(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
まず、本発明の各好ましい実施の形態で好適に使用される基板処理装置について説明する。この基板処理装置は、半導体装置の製造に使用される半導体製造装置の一例として構成されているものである。
【0012】
下記の説明では、基板処理装置の一例として、基板に対し成膜処理等をおこなう縦型の装置を使用した場合について述べる。しかし、本発明は、縦型装置の使用を前提としたものでなく、例えば、枚葉装置を使用しても良い。
【0013】
図1を参照すれば、基板処理装置101では、基板の一例となるウエハ200を収納したカセット110が使用されており、ウエハ200は半導体シリコン等の材料から構成されている。基板処理装置101は筐体111を備えており、筐体111の内部にはカセットステージ114が設置されている。カセット110はカセットステージ114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入されたり、カセットステージ114上から搬出されたりする。
【0014】
カセットステージ114上にはカセット110が、工程内搬送装置(図示せず)によって、カセット110内のウエハ200が垂直姿勢を保持しかつカセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くように載置される。カセットステージ114は、カセット110を筐体111の後方に右回り縦方向90°回転し、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように動作可能となるよう構成されている。
【0015】
筐体111内の前後方向の略中央部にはカセット棚105が設置されており、カセット棚105は複数段複数列にて複数個のカセット110を保管するように構成されている。カセット棚105にはウエハ移載機構125の搬送対象となるカセット110が収納される移載棚123が設けられている。
【0016】
カセットステージ114の上方には予備カセット棚107が設けられ、予備的にカセット110を保管するように構成されている。
【0017】
カセットステージ114とカセット棚105との間には、カセット搬送装置118が設置されている。カセット搬送装置118は、カセット110を保持したまま昇降可能なカセットエレベータ118aと、搬送機構としてのカセット搬送機構118bとを備えている。カセット搬送装置118はカセットエレベータ118aとカセット搬送機構118bとの連動動作により、カセットステージ114とカセット棚105と予備カセット棚107との間で、カセット110を搬送するように構成されている。
【0018】
カセット棚105の後方には、ウエハ移載機構125が設置されている。ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置125aと、ウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ125bとを備えている。ウエハ移載装置125aにはウエハ200をピックアップするためのツイーザ125cが設けられている。ウエハ移載装置125はウエハ移載装置125aとウエハ移載装置エレベータ125bとの連動動作により、ツイーザ125cをウエハ200の載置部として、ウエハ200をボート217に対して装填(チャージング)したり、ボート217から脱装(ディスチャージング)したりするように構成されている。
【0019】
筐体111の後部上方には、ウエハ200を熱処理する処理炉202が設けられており、処理炉202の下端部が炉口シャッタ147により開閉されるように構成されている。
【0020】
処理炉202の下方には処理炉202に対しボート217を昇降させるボートエレベータ115が設けられている。ボートエレベータ115の昇降台にはアーム128が連結されており、アーム128にはシールキャップ219が水平に据え付けられている。シールキャップ219はボート217を垂直に支持するとともに、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
【0021】
ボート217は複数の保持部材を備えており、複数枚(例えば50〜150枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0022】
カセット棚105の上方には、清浄化した雰囲気であるクリーンエアを供給するクリーンユニット134aが設置されている。クリーンユニット134aは供給ファン(図示せず)および防塵フィルタ(図示せず)を備えており、クリーンエアを筐体111の内部に流通させるように構成されている。
【0023】
筐体111の左側端部には、クリーンエアを供給するクリーンユニット134bが設置されている。クリーンユニット134bも供給ファン(図示せず)および防塵フィルタ(図示せず)を備えており、クリーンエアをウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通させるように構成されている。当該クリーンエアは、ウエハ移載装置125aやボート217等の近傍を流通した後に、筐体111の外部に排気されるようになっている。
【0024】
続いて、基板処理装置101の主な動作について説明する。
【0025】
工程内搬送装置(図示略)によってカセット110がカセットステージ114上に搬入されると、カセット110は、ウエハ200がカセットステージ114の上で垂直姿勢を保持し、カセット110のウエハ出し入れ口が上方向を向くようにカセットステージ114上に載置される。その後、カセット110は、カセットステージ114によって、カセット110内のウエハ200が水平姿勢となり、カセット110のウエハ出し入れ口が筐体111の後方を向くように、筐体111の後方に右周り縦方向90°回転させられる。
【0026】
その後、カセット110は、カセット棚105ないし予備カセット棚107の指定された棚位置へカセット搬送装置118によって自動的に搬送され受け渡され、一時的に保管された後、カセット棚105ないし予備カセット棚107からカセット搬送装置118によって移載棚123に移載されるか、もしくは直接移載棚123に搬送される。
【0027】
カセット110が移載棚123に移載されると、ウエハ200はカセット110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってカセット110のウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはカセット110に戻り、後続のウエハ200をボート217に装填する。
【0028】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、処理炉202の下端部を閉じていた炉口シャッタ147が開き、処理炉202の下端部が開放される。その後、ウエハ200群を保持したボート217がボートエレベータ115の上昇動作により処理炉202内に搬入(ローディング)され、処理炉202の下部がシールキャップ219により閉塞される。
【0029】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に対し任意の処理が実施される。その処理後は、上述の逆の手順で、ウエハ200およびカセット110が筐体111の外部に搬出される。
【0030】
(第1の実施の形態)
次に
図2、
図3を参照して前述した基板処理装置101に使用される第1の実施の形態の処理炉202について説明する。
【0031】
図2および
図3を参照すれば、処理炉202にはウエハ200を加熱するための加熱装置(加熱手段)であるヒータ207が設けられている。ヒータ207は上方が閉塞された円筒形状の断熱部材と複数本のヒータ素線とを備えており、断熱部材に対しヒータ素線が設けられたユニット構成を有している。ヒータ207の内側には、ウエハ200を処理するための石英製の反応管203がヒータ207と同心円状に設けられている。
【0032】
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は反応管203の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。反応管203の下部開口端部に設けられた環状のフランジとシールキャップ219の上面との間には気密部材(以下Oリング)220が配置され、両者の間は気密にシールされている。少なくとも、反応管203およびシールキャップ219により処理室201が形成されている。
【0033】
シールキャップ219上にはボート217を支持するボート支持台218が設けられている。ボート支持台218は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成され断熱部として機能すると共にボートを支持する支持体となっている。ボート217は、ボート支持台218上に立設されている。ボート217は例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料で構成されている。ボート217はボート支持台218に固定された底板210とその上方に配置された天板211とを有しており、底板210と天板211との間に複数本の支柱212が架設された構成を有している(
図1参照)。ボート217には複数枚のウエハ200が保持されている。複数枚のウエハ200は、互いに一定の間隔をあけながら水平姿勢を保持しかつ互いに中心を揃えた状態で反応管203の管軸方向に多段に積載されボート217の支柱212に支持されている。
【0034】
シールキャップ219の処理室201と反対側にはボートを回転させるボート回転機構267が設けられている。ボート回転機構267の回転軸265はシールキャップを貫通してボート支持台218に接続されており、回転機構267によって、ボート支持台218を介してボート217を回転させることでウエハ200を回転させる。
【0035】
シールキャップ219は反応管203の外部に設けられた昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降され、これによりボート217を処理室201内に対し搬入搬出することが可能となっている。
【0036】
以上の処理炉202では、バッチ処理される複数枚のウエハ200がボート217に対し多段に積層された状態において、ボート217がボート支持台218で支持されながら処理室201に挿入され、ヒータ207が処理室201に挿入されたウエハ200を所定の温度に加熱するようになっている。
【0037】
図2および
図3を参照すれば、原料ガスを供給するための3本のガス供給管310、320、330が接続されている。
【0038】
処理室201内には、ノズル410、420、430が設けられている。ノズル410、420、430は、反応管203の下部を貫通して設けられている。ノズル410にはガス供給管310が接続され、ノズル420にはガス供給管320が接続され、ノズル430にはガス供給管330が接続されている。
【0039】
ガス供給管310には、上流側から順に、開閉弁であるバルブ314、液体原料の流量制御装置である液体マスフローコントローラ312、気化ユニット(気化装置)である気化器315および開閉弁であるバルブ313が設けられている。
【0040】
ガス供給管310の下流側の端部は、ノズル410の端部に接続されている。ノズル410は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間で、反応管203の内壁の下部より上部に沿ってウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル410はL字型のロングのノズルとして構成されている。ノズル410の側面には原料ガスを供給する多数のガス供給孔411が設けられている。ガス供給孔411は反応管203の中心を向くように開口している。ガス供給孔411は、下部から上部にわたって同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、同じピッチで設けられている。
【0041】
さらに、ガス供給管310には、バルブ313および気化器315との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン610およびバルブ612が設けられている。
【0042】
主に、ガス供給管310、バルブ314、液体マスフローコントローラ312、気化器315、バルブ313、ノズル410、ベントライン610、バルブ612によりガス供給系301が構成されている。
【0043】
また、ガス供給管310にはキャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管510が、バルブ313の下流側で接続されている。キャリアガス供給管510にはマスフローコントローラ512およびバルブ513が設けられている。主に、キャリアガス供給管510、マスフローコントローラ512、バルブ513によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)501が構成されている。
【0044】
ガス供給管310では、液体原料が液体マスフローコントローラ312で流量調整されて気化器315に供給され、気化されて原料ガスとなって供給される。
【0045】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ313を閉じ、バルブ612を開けて、バルブ612を介して原料ガスをベントライン610に流しておく。
【0046】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ612を閉じ、バルブ313を開けて、原料ガスをバルブ313の下流のガス供給管310に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ512で流量調整されてバルブ513を介してキャリアガス供給管510から供給され、原料ガスはバルブ313の下流側でこのキャリアガスと合流し、ノズル410を介して処理室201に供給される。
【0047】
ガス供給管320には、上流側から順に、流量制御装置であるマスフローコントローラ322および開閉弁であるバルブ323が設けられている。
【0048】
ガス供給管320の下流側の端部は、ノズル420の端部に接続されている。ノズル420は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室423内に設けられている。バッファ室423内には、さらに後述する電極保護管451、452が設けられている。ノズル420、電極保護管451、電極保護管452がバッファ室423内にこの順序で配置されている。
【0049】
バッファ室423は、反応管203の内壁とバッファ室壁424とにより形成されている。バッファ室壁424は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。バッファ室壁424のウエハ200と隣接する壁にはガスを供給するガス供給孔425が設けられている。ガス供給孔425は、電極保護管451と電極保護管452との間に設けられている。ガス供給孔425は反応管203の中心を向くように開口している。ガス供給孔425は、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、さらに同じピッチで設けられている。
【0050】
ノズル420は、バッファ室423の一端側に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル420は、L字型のロングのノズルとして構成されている。ノズル420の側面にはガスを供給するガス供給孔421が設けられている。ガス供給孔421はバッファ室423の中心を向くように開口している。ガス供給孔421は、バッファ室423のガス供給孔425と同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。複数のガス供給孔421のそれぞれの開口面積は、バッファ室423内とノズル420内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、同一の開口面積で同一のピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって、順次開口面積を大きくするか、ピッチを小さくするとよい。
【0051】
本実施の形態においては、ノズル420のガス供給孔421のそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔421のそれぞれから、流速の差はあるもの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてガス供給孔421のそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室423内に導入し、バッファ室423内においてガスの流速差の均一化を行っている。
【0052】
すなわち、ノズル420のガス供給孔421のそれぞれよりバッファ室423内に噴出したガスはバッファ室423内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室423のガス供給孔425より処理室201内に噴出する。これにより、ノズル420のガス供給孔421のそれぞれよりバッファ室423内に噴出したガスは、バッファ室423のガス供給孔425のそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0053】
さらに、ガス供給管320には、バルブ323およびマスフローコントローラ322との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン620およびバルブ622が設けられている。
【0054】
主に、ガス供給管320、マスフローコントローラ322、バルブ323、ノズル420、バッファ室423、ベントライン620、バルブ622によりガス供給系302が構成されている。
【0055】
また、ガス供給管320にはキャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管520が、バルブ323の下流側で接続されている。キャリアガス供給管520にはマスフローコントローラ522およびバルブ523が設けられている。主に、キャリアガス供給管520、マスフローコントローラ522、バルブ523によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)502が構成されている。
【0056】
ガス供給管320では、気体原料ガスがマスフローコントローラ322で流量調整されて供給される。
【0057】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ323を閉じ、バルブ622を開けて、バルブ622を介して原料ガスをベントライン620に流しておく。
【0058】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ622を閉じ、バルブ323を開けて、原料ガスをバルブ323の下流のガス供給管320に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ522で流量調整されてバルブ523を介してキャリアガス供給管520から供給され、原料ガスはバルブ323の下流側でこのキャリアガスと合流し、ノズル420、バッファ室423を介して処理室201に供給される。
【0059】
ガス供給管330には、上流側から順に、流量制御装置であるマスフローコントローラ332および開閉弁であるバルブ333が設けられている。
【0060】
ガス供給管330の下流側の端部は、ノズル430の端部に接続されている。ノズル430は、ガス分散空間(放電室、放電空間)であるバッファ室433内に設けられている。バッファ室433内には、さらに後述する電極保護管461、462が設けられている。ノズル430、電極保護管461、電極保護管462がバッファ室433内にこの順序で配置されている。
【0061】
バッファ室433は、反応管203の内壁とバッファ室壁434とにより形成されている。バッファ室壁434は、反応管203の内壁とウエハ200との間における円弧状の空間に、反応管203内壁の下部より上部にわたる部分に、ウエハ200の積載方向に沿って設けられている。バッファ室壁434のウエハ200と隣接する壁にはガスを供給するガス供給孔435が設けられている。ガス供給孔435は、電極保護管461と電極保護管462との間に設けられている。ガス供給孔435は反応管203の中心を向くように開口している。ガス供給孔435は、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれが同一の開口面積を有し、さらに同じピッチで設けられている。
【0062】
ノズル430は、バッファ室433の一端側に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル430は、L字型のロングのノズルとして構成されている。ノズル430の側面にはガスを供給するガス供給孔431が設けられている。ガス供給孔431はバッファ室433の中心を向くように開口している。ガス供給孔431は、バッファ室433のガス供給孔435と同様に、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。複数のガス供給孔431のそれぞれの開口面積は、バッファ室433内とノズル430内の差圧が小さい場合には、上流側(下部)から下流側(上部)まで、同一の開口面積で同一のピッチとするとよいが、差圧が大きい場合には上流側から下流側に向かって、順次開口面積を大きくするか、ピッチを小さくするとよい。
【0063】
本実施の形態においては、ノズル430のガス供給孔431のそれぞれの開口面積や開口ピッチを、上流側から下流側にかけて上述のように調節することで、まず、ガス供給孔431のそれぞれから、流速の差はあるもの、流量がほぼ同量であるガスを噴出させる。そしてガス供給孔431のそれぞれから噴出するガスを、一旦、バッファ室433内に導入し、バッファ室433内においてガスの流速差の均一化を行っている。
【0064】
すなわち、ノズル430のガス供給孔431のそれぞれよりバッファ室433内に噴出したガスはバッファ室433内で各ガスの粒子速度が緩和された後、バッファ室433のガス供給孔435より処理室201内に噴出する。これにより、ノズル430のガス供給孔431のそれぞれよりバッファ室433内に噴出したガスは、バッファ室433のガス供給孔435のそれぞれより処理室201内に噴出する際には、均一な流量と流速とを有するガスとなる。
【0065】
さらに、ガス供給管330には、バルブ333およびマスフローコントローラ332との間に、後述の排気管232に接続されたベントライン630およびバルブ632が設けられている。
【0066】
主に、ガス供給管330、マスフローコントローラ332、バルブ333、ノズル430、バッファ室433、ベントライン630、バルブ632によりガス供給系303が構成されている。
【0067】
また、ガス供給管330にはキャリアガス(不活性ガス)を供給するためのキャリアガス供給管530が、バルブ333の下流側で接続されている。キャリアガス供給管530にはマスフローコントローラ532およびバルブ533が設けられている。主に、キャリアガス供給管530、マスフローコントローラ532、バルブ533によりキャリアガス供給系(不活性ガス供給系)503が構成されている。
【0068】
ガス供給管330では、気体原料ガスがマスフローコントローラ332で流量調整されて供給される。
【0069】
原料ガスを処理室201に供給していない間は、バルブ333を閉じ、バルブ632を開けて、バルブ632を介して原料ガスをベントライン630に流しておく。
【0070】
そして、原料ガスを処理室201に供給する際には、バルブ632を閉じ、バルブ333を開けて、原料ガスをバルブ333の下流のガス供給管330に供給する。一方、キャリアガスがマスフローコントローラ532で流量調整されてバルブ533を介してキャリアガス供給管530から供給され、原料ガスはバルブ333の下流側でこのキャリアガスと合流し、ノズル430、バッファ室433を介して処理室201に供給される。
【0071】
バッファ室423内には、細長い構造を有する棒状電極471および棒状電極472が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。棒状電極471および棒状電極472は、それぞれ、ノズル420と平行に設けられている。棒状電極471および棒状電極472は、それぞれ、上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管451、452により覆われることで保護されている。棒状電極471は、整合器271を介して高周波(RF:Radio Frequency)電源270に接続され、棒状電極472は基準電位であるアース272に接続されている。この結果、棒状電極471および棒状電極472間のプラズマ生成領域にプラズマが生成される。主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により第1のプラズマ発生構造429が構成される。主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第1のプラズマ源が構成される。第1のプラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。バッファ室423はプラズマ発生室として機能する。
【0072】
バッファ室433内には、細長い構造を有する棒状電極481および棒状電極482が、反応管203の下部より上部にわたりウエハ200の積層方向に沿って配設されている。棒状電極481および棒状電極482は、それぞれ、ノズル430と平行に設けられている。棒状電極481および棒状電極482は、それぞれ、上部より下部にわたって電極を保護する保護管である電極保護管461、462により覆われることで保護されている。棒状電極481は、整合器271を介して高周波電源270に接続され、棒状電極482は基準電位であるアース272に接続されている。この結果、棒状電極481および棒状電極482間のプラズマ生成領域にプラズマが生成される。主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により第2のプラズマ発生構造439が構成される。主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第2のプラズマ源が構成される。第2のプラズマ源は、ガスをプラズマで活性化させる活性化機構として機能する。バッファ室433はプラズマ発生室として機能する。
【0073】
図4、
図5を参照すれば、電極保護管461、電極保護管462は、ボート支持台218の下部付近の高さの位置で、反応管203に設けた貫通孔204、205をそれぞれ介して、バッファ室423内に挿入されている。電極保護管461、電極保護管462は、貫通孔204、205の位置で反応管203に固定されている。電極保護管461、電極保護管462は、バッファ室423内で、それぞれ取付板401の穴402、403を貫通して設けられ、取付板401によって固定されている。取付板401は、反応管203およびバッファ室壁424に固定されている。電極保護管451、電極保護管452も電極保護管461、電極保護管462と同じ構造である。
【0074】
電極保護管451および電極保護管452は、棒状電極471および棒状電極472をそれぞれバッファ室423の雰囲気と隔離した状態でバッファ室423内に挿入でき構造となっている。電極保護管461および電極保護管462は、棒状電極481および棒状電極482をそれぞれバッファ室433の雰囲気と隔離した状態でバッファ室433内に挿入できる構造となっている。電極保護管451、452、461、462の内部が外気(大気)と同一雰囲気であると、電極保護管451、452、461、462にそれぞれ挿入された棒状電極471、472、481、482はヒータ207による熱で酸化されてしまう。そこで、電極保護管451、452、461、462の内部には窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えて棒状電極471、472、481、482の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられている。
【0075】
なお、本実施の形態により発生したプラズマをリモートプラズマと呼ぶ。リモートプラズマとは電極間で生成したプラズマをガスの流れ等により被処理物表面に輸送してプラズマ処理を行うものである。本実施の形態では、バッファ室423内に2本の棒状電極471および472が収容され、バッファ室433内に2本の棒状電極481および482が収容されているため、ウエハ200にダメージを与えるイオンがバッファ室423、433の外の処理室201内に漏れにくい構造となっている。また、2本の棒状電極471および472を取り囲むように(つまり、2本の棒状電極471および472がそれぞれ収容される電極保護管451および452を取り囲むように)電場が発生し、プラズマが生成され、2本の棒状電極481および482を取り囲むように(つまり、2本の棒状電極481および482がそれぞれ収容される電極保護管461および462を取り囲むように)電場が発生し、プラズマが生成される。プラズマに含まれる活性種は、バッファ室423のガス供給孔425およびバッファ室433のガス供給孔435を介してウエハ200の外周からウエハ200の中心方向に供給される。また、本実施形態のようにウエハ200を複数枚、主面を水平面に平行にしてスタック状に積み上げる縦型のバッチ装置であれば、反応管203の内壁面、つまり処理すべきウエハ200に近い位置にバッファ室423、433が配置されている結果、発生した活性種が失活せずにウエハ200の表面に到達しやすいという効果がある。
【0076】
図2、3を参照すれば、反応管の下部に排気口230が設けられている。排気口230は排気管231に接続されている。ノズル410のガス供給孔411と排気口230は、ウエハ200を挟んで対向する位置(180度反対側)に設けられている。このようにすれば、ガス供給孔411より供給される原料ガスが、ウエハ200の主面上を排気管231の方向に向かって横切るように流れ、ウエハ200の全面により均一に原料ガスが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0077】
本実施の形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源とを備えている。プラズマを使用して、ウエハ200の処理温度を下げるためには、プラズマを形成する際の高周波電力を大きくする必要があるが、高周波電力を大きくすると、ウエハ200や形成する膜に与えるダメージが大きくなってしまう。これに対して、本実施の形態では、第1のプラズマ源および第2のプラズマ源という2つのプラズマ源を設けているので、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。
【0078】
また、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられているので、両プラズマ発生構造からウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0079】
さらに、排気口230もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられているので、ウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。また、さらに、ノズル410のガス供給孔411もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられているので、ウエハ200の全面により均一に原料ガスが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0080】
また、ノズル410のガス供給孔411と、バッファ室423のガス供給孔425との距離と、ノズル410のガス供給孔411と、バッファ室433のガス供給孔435との距離とが等しくなるようにガス供給孔411、ガス供給孔425、ガス供給孔435が配置されているので、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0081】
再び、
図2、3を参照すれば、反応管の下部の排気口230には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243を介して真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。真空ポンプ246の下流側の排気管232は廃ガス処理装置(図示せず)等に接続されている。なお、APCバルブ243は、弁を開閉して処理室201内の真空排気・真空排気停止ができ、更に弁開度を調節してコンダクタンスを調整して処理室201内の圧力調整をできるようになっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243、真空ポンプ246、圧力センサ245により排気系が構成される。
【0082】
反応管203内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への供給電力を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、L字型に構成されており、マニホールド209を貫通して導入され、反応管203の内壁に沿って設けられている。
【0083】
反応管203内の中央部にはボート217が設けられている。ボート217は、ボートエレベータ115により反応管203に対し昇降(出入り)することができるようになっている。ボート217が反応管203内に導入されると、反応管203の下端部がOリング220を介してシールキャップ219で気密にシールされる。ボート217はボート支持台218に支持されている。処理の均一性を向上するために、ボート回転機構267を駆動し、ボート支持台218に支持されたボート217を回転させる。
【0084】
図6を参照すれば、コントローラ280は、操作メニュー等を表示するディスプレイ288と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作入力部290と、を備えている。また、コントローラ280は、基板処理装置101全体の動作を司るCPU281と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM282と、各種データを一時的に記憶するRAM283と、各種データを記憶して保持するHDD284と、ディスプレイ288への各種情報の表示を制御すると共にディスプレイ288からの操作情報を受け付けるディスプレイドライバ287と、操作入力部290に対する操作状態を検出する操作入力検出部289と、後述する温度制御部291、後述する圧力制御部294、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、マスフローコントローラ312、322、332、512、522、532、後述するバルブ制御部299等の各部材と各種情報の送受信を行う通信インタフェース(I/F)部285と、を備えている。
【0085】
CPU281、ROM282、RAM283、HDD284、ディスプレイドライバ287、操作入力検出部289および通信I/F部285は、システムバスBUS286を介して相互に接続されている。従って、CPU281は、ROM282、RAM283、HDD284へのアクセスを行うことができると共に、ディスプレイドライバ287を介したディスプレイ288への各種情報の表示の制御およびディスプレイ288からの操作情報の把握、通信I/F部285を介した各部材との各種情報の送受信の制御を行うことができる。また、CPU281は、操作入力検出部289を介して操作入力部290に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0086】
温度制御部291は、ヒータ207と、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250と、温度センサ263と、コントローラ280との間で設定温度情報等の各種情報を送受信する通信I/F部293と、受信した設定温度情報と温度センサ263からの温度情報等に基づいて加熱用電源250からヒータ207への供給電力を制御するヒータ制御部292とを備えている。ヒータ制御部292もコンピュータによって実現されている。温度制御部291の通信I/F部293とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル751で接続されている。
【0087】
圧力制御部294は、APCバルブ243と、圧力センサ245と、コントローラ280との間で設定圧力情報、APCバルブ243の開閉情報等の各種情報を送受信する通信I/F部296と、受信した設定圧力情報、APCバルブ243の開閉情報等と圧力センサ245からの圧力情報等に基づいてAPCバルブ243の開閉や開度を制御するAPCバルブ制御部295とを備えている。APCバルブ制御部295もコンピュータによって実現されている。圧力制御部294の通信I/F部296とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル752で接続されている。
【0088】
真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322、332、512、522、532、高周波電源270とコントローラ280の通信I/F部285は、それぞれケーブル753、754、755、756、757、758、759、760、761、762で接続されている。
【0089】
バルブ制御部299は、バルブ313、314、323、333、513、523、533、612、622、632と、エアバルブであるバルブ313、314、323、333、513、523、533、612、622、632へのエアの供給を制御する電磁バルブ群298とを備えている。電磁バルブ群298は、バルブ313、314、323、333、513、523、533、612、622、632にそれぞれ対応する電磁バルブ297を備えている。電磁バルブ群298とコントローラ280の通信I/F部285はケーブル763で接続されている。
【0090】
以上のようにして、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322、332、512、522、532、バルブ313、314、323、333、513、523、533、612、622、632、APCバルブ243、加熱用電源250、温度センサ263、圧力センサ245、真空ポンプ246、ボート回転機構267、ボートエレベータ115、高周波電源270等の各部材はコントローラ280に接続されている。コントローラ280は、液体マスフローコントローラ312、マスフローコントローラ322、332、512、522、532の流量制御、バルブ313、314、323、333、513、523、533、612、622、632の開閉動作制御、APCバルブ243の開閉制御および圧力センサ245からの圧力情報に基づく開度調整動作を介した圧力制御、温度センサ263からの温度情報に基づく加熱用電源250からヒータ207への電力供給量調整動作を介した温度制御、高周波電源270から供給される高周波電力の制御、真空ポンプ246の起動・停止制御、ボート回転機構267の回転速度調節制御、ボートエレベータ115の昇降動作制御等をそれぞれ行うようになっている。
【0091】
次に、上述の基板処理装置を用いて大規模集積回路(LSI:Large Scale Integration)を製造する半導体装置(デバイス)の製造工程の一例について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0092】
LSIは、シリコンウエハ上に処理を施すウエハプロセスを行なった後、組立工程、試験工程、信頼性試験工程を経て製造される。ウエハプロセスは、シリコンウエハに酸化、拡散などの加工を施す基板工程と、その表面に配線を形成する配線工程とに区分され、配線工程では、リソグラフィ工程を中心に洗浄、熱処理、膜形成などが反復して行なわれる。リソグラフィ工程では、レジストパターンを形成し、該パターンをマスクとしてエッチングを行なうことにより該パターンの下層を加工する。
【0093】
次に、
図7A〜7Fを参照しながら、ウエハ200上にレジストパターンを形成する処理シーケンスの一例について説明する。
【0094】
この例では、パターニングを2回以上行ってパターンを形成するダブルパターニング技術(DPT:Double Patterning Technology)を用いる。このDPTによれば、1回のパターニングで形成されるパターンよりも微細なパターンが形成できる。処理シーケンスでは、ウエハ200上に第1レジストパターン705を形成する第1レジストパターン形成工程と、第1レジストパターン705上に第1レジスト保護膜として酸化シリコン膜706を形成する酸化シリコン膜形成工程と、酸化シリコン膜706上に第2レジストパターン709を形成する第2レジストパターン工程とを、この順に実施する。 以下、各工程について説明する。
【0095】
<第1レジストパターン形成工程>
第1レジストパターン形成工程では、ウエハ200上に形成されたハードマスク702上に第1レジストパターン705を形成する。最初に、ウエハ200上に形成されたハードマスク702上に、第1レジスト703を塗布する(
図7A参照)。
【0096】
次に、ベーキング、ArFエキシマ光源(193nm)やKrFエキシマ光源(248nm)等の光源によるマスクパターン等を用いた選択的露光、現像等を行うことで、第1レジストパターン705を形成する(
図7B参照)。
【0097】
<第1レジスト保護膜形成工程>
第1レジスト保護膜形成工程では、第1レジストパターン形成工程にて形成された第1レジストパターン705上および第1レジストパターン705が形成されていないハードマスク702上に、酸化シリコンの薄膜706を第1レジストパターン705の保護膜として形成する(
図7C参照)。これにより、第1レジストパターン705の形状変化や膜質変化を防止して後述の第2レジスト707の溶剤から保護する。この酸化シリコン膜706の形成を上述した基板処理装置101を使用して行うが、詳細は後述する。
【0098】
<第2レジストパターン形成工程>
第2レジストパターン形成工程では、第1レジスト保護膜形成工程にて第1レジストパターン705上に形成された酸化シリコン膜706上であって、第1レジストパターン705が形成される位置とは異なる位置に、第2レジストパターン709を形成する。本工程では、第1レジストパターン形成工程と同様の処理を行う。
【0099】
最初に、第1レジストパターン705の保護膜である酸化シリコン膜706上に、第2レジスト707を塗布する(
図7D参照)。
【0100】
次に、ベーキング、ArFエキシマ光源(193nm)やKrFエキシマ光源(248nm)等による露光、現像等を行うことで、第2レジストパターン709を形成する(
図7E参照)。
【0101】
上記のように、第1レジストパターン形成工程、第1レジスト保護膜形成工程、第2レジストパターン形成工程を実施することにより、微細なレジストパターンを形成することが出来る。
【0102】
また、第2レジストパターン709の形成後であって、所定の処理(例えば寸法検査、あわせ検査、リワーク処理等)を実施した後、必要に応じて酸化シリコン膜706を除去するために、次のような第1レジスト保護膜除去工程を実施しても良い。
【0103】
<第1レジスト保護膜除去工程>
第1レジスト保護膜除去工程では、第1レジスト保護膜形成工程にて形成された第1レジスト保護膜としての酸化シリコン膜706を除去する(
図7F参照)。
【0104】
除去方式には、ウエットエッチング方式とドライエッチング方式の2つがある。ウエットエッチングにより酸化シリコン膜706を除去する場合のエッチング液としては、例えば弗化水素酸(HF)液であって、希薄なHF水溶液等が挙げられる。また、ドライエッチング方式により酸化シリコン膜604を除去する場合には、例えば、酸素プラズマ等を用いることができる。
【0105】
また、上記では、レジストパターンを2回形成する工程について説明したが、レジストパターンは3回以上形成してもよく、その場合は、レジストパターン形成工程と酸化シリコン膜形成工程を所定回数繰り返して行う。この酸化シリコン膜の形成も上述した基板処理装置101を使用して行うが、詳細は後述する。
【0106】
またレジストパターンを3回以上形成する場合、必要に応じて、第1レジストパターン形成工程→第1レジスト保護膜(第1酸化シリコン膜)形成工程→第2レジストパターン形成工程→第1レジスト保護膜(第1酸化シリコン膜)除去→第3レジストパターン形成工程→第2レジスト保護膜(第2酸化シリコン膜)形成工程→第4レジストパターン形成工程→第2レジスト保護膜(第2酸化シリコン膜)除去→第5レジストパターン形成工程→・・・というように、保護膜である酸化シリコン膜を1回ずつ除去しても良い。
【0107】
なお、上記では、第1レジストパターン705はウエハ200上に形成されたハードマスク702上に形成することとしているが、ハードマスク702は無くても良い。また、レジストの代わりにACL(アモルファスカーボン層:Amorphous Carbon Layer)を用いても良い。ACLを用いる場合は、ACLを保護するための酸化シリコン膜を形成する際の処理温度はレジストより高い温度であってもよく、200℃以下であればよい。200℃以下であればACLが加熱により変質するのを有効に防止できる。
【0108】
次に、
図8A〜8Dを参照しながら、ウエハ200上にレジストパターンを形成する処理シーケンスの他の例について説明する。
【0109】
この例では、サイドウォールを利用して微細なパターンを形成する自己整合ダブルパターニング技術(SASP:Self Aligned Double Patterning)を用いる。
【0110】
まず、ウエハ200上にレジスト721を形成し、リソグラフィ工程でパターニングして、第1のレジストパターン722を形成する(
図8A参照)。
【0111】
次に、第1のレジストパターン722上に、低温で酸化シリコン膜723を200℃以下の低温で形成する(
図8B参照)。この酸化シリコン膜723の形成に上述した基板処理装置101を使用して行うが、詳細は後述する。
【0112】
次に、ドライエッチング等により、酸化シリコン膜723の異方性エッチングを行い、レジストパターン722の側壁のみ酸化シリコン膜723をサイドウォール724として残す(
図8C参照)。
【0113】
次に、酸化シリコン膜のサイドウォール724をマスクとして、ドライエッチング等により、露出したレジスト721を垂直方向に異方性エッチングし、レジスト721からなる微細パターン725を形成する(
図8D参照)。
【0114】
尚、レジストの代わりにACL(アモルファスカーボン層:Amorphous Carbon Layer)を用いても良い。ACLを用いる場合は、ACLを保護するための酸化シリコン膜を形成する際の処理温度はレジストより高い温度であってもよく、200℃以下であればよい。200℃以下であればACLが加熱により変質するのを有効に防止できる。
【0115】
次に、基板処理装置101を使用して第1レジスト保護膜としての酸化シリコン膜706やエッチングマスクとしての酸化シリコン膜723を200℃以下の低温にて成膜する例について説明する。
【0116】
従来のCVD法やALD法では、例えば、CVD法の場合、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガス等を同時に供給し、また、ALD法の場合、形成する膜を構成する複数の元素を含む複数種類のガス等を交互に供給する。そして、供給時の供給流量、供給時間、プラズマパワーなどの処理条件を制御することにより酸化シリコン膜(SiO膜)や窒化シリコン膜(SiN膜)を形成する。それらの技術では、例えばSiO膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるO/Si≒2となるように、また例えばSiN膜を形成する場合、膜の組成比が化学量論組成であるN/Si≒1.33となるようにすることを目的として、供給条件を制御する。
【0117】
一方、形成する膜の組成比が化学量論組成とは異なる所定の組成比となるようにすることを目的として、供給条件を制御することも可能である。すなわち、形成する膜を構成する複数の元素のうち少なくとも一つの元素が他の元素よりも化学量論組成に対し過剰となるようにすることを目的として、供給条件を制御する。このように形成する膜を構成する複数の元素の比率、すなわち、膜の組成比を制御しつつ成膜を行うことも可能である。以下では、ALD法により、異なる種類の元素を含む複数種類のガスを交互に供給して化学量論組成を有する酸化シリコン膜を形成するシーケンス例について説明する。
【0118】
ここでは第1の元素をシリコン(Si)、第2の元素を酸素(O)とし、第1の元素を含む原料としてシリコン含有原料であって液体原料の、BTBAS(SiH
2(NH(C
4H
9)
2、ビスターシャルブチルアミノシラン)を気化したBTBASガスを、第2の元素を含む反応ガスとして酸素含有ガスであるO
2ガスを用い、基板上に絶縁膜としての酸化シリコン膜を形成する例について
図9〜
図10を参照して説明する。
図9は、パターンを形成する際に使用する酸化シリコン膜の製造プロセスを説明するためのフローチャートである。
図10は、パターンを形成する際に使用する酸化シリコン膜の製造プロセスを説明するためのタイミングチャートである。
【0119】
まず、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御して処理室201内を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって例えば100℃となるような温度に保持しておく。
【0120】
その後、第1レジストパターン705が形成された(
図7B参照)複数枚のウエハ200または第1のレジストパターン722が形成された(
図8A参照)複数枚のウエハ200をボート217に装填(ウエハチャージ)する(ステップS201)。
【0121】
その後、真空ポンプ246を起動する。また、炉口シャッタ147(
図1参照)を開ける。複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(ステップS202)。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。その後、ボート217をボート駆動機構267により回転させ、ウエハ200を回転させる。
【0122】
その後、APCバルブ243を開いて真空ポンプ246により処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空引きし、ウエハ200の温度が100℃に達して温度等が安定したら(ステップS203)、処理室201内の温度を100℃に保持した状態で次のステップを順次実行する。
【0123】
この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ244の開度がフィードバック制御される(圧力調整)。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づき加熱用電源250からヒータ207への電力供給具合がフィードバック制御される(温度調整)。
【0124】
次に、BTBASガスとO
2ガスを処理室201内に供給することにより酸化シリコン膜706(
図7C参照)、723(
図8B参照)を成膜する酸化シリコン膜形成工程を行う。酸化シリコン膜形成工程では次の4つのステップ(S204〜S207)を順次繰り返して実行する。本実施の形態では、ALD法を用いて酸化シリコン膜を形成する。
【0125】
(BTBAS供給:ステップS204)
ステップS204では、ガス供給系301のガス供給管310、ノズル410よりBTBASを処理室201内に供給する。バルブ313を閉じておき、バルブ314、612を開ける。BTBASは常温で液体であり、液体のBTBASが液体マスフローコントローラ312で流量調整されて気化器315に供給され気化器315で気化される。BTBASを処理室201に供給する前は、バルブ313を閉じ、バルブ612を開けて、バルブ612を介してBTBASをベントライン610に流しておく。
【0126】
そして、BTBASを処理室201に供給する際には、バルブ612を閉じ、バルブ313を開けて、BTBASをバルブ313の下流のガス供給管310に供給すると共に、バルブ513を開けて、キャリアガス(N
2)をキャリアガス供給管510から供給する。キャリアガス(N
2)の流量はマスフローコントローラ512で調整する。BTBASはキャリアガス(N
2)とバルブ313の下流側で合流し混合され、ノズル410のガス供給孔411を介して処理室201に供給されつつ排気管231から排気される。この時、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を50〜900Paの範囲であって、例えば300Paに維持する。液体マスフローコントローラ312で制御するBTBASの供給量は0.05〜3.00g/minの範囲であって、例えば1.00g/minにする。BTBASにウエハ200を晒す時間は2〜6秒間で範囲であって、例えば3秒間である。また、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御して処理室201内を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって例えば100℃となるような温度に保持しておく。
【0127】
このとき、処理室201内に流しているガスは、BTBASと不活性ガスであるN
2のみであり、O
2は存在しない。したがって、BTBASは気相反応を起こすことはなく、ウエハ200の表面や下地膜と表面反応(化学吸着)して、原料(BTBAS)の吸着層またはSi層(以下、Si含有層)を形成する。BTBASの化学吸着層とは、BTBAS分子の連続的な吸着層の他、不連続な化学吸着層をも含む。Si層とは、Siにより構成される連続的な層の他、これらが重なってできるSi薄膜をも含む。なお、Siにより構成される連続的な層をSi薄膜という場合もある。
【0128】
同時に、ガス供給管320の途中につながっているキャリアガス供給管520から、バルブ523を開けてN
2(不活性ガス)を流すと、O
2側のノズル420、バッファ室423やガス供給管320にBTBASが回り込むことを防ぐことができる。同様に、同時にガス供給管330の途中につながっているキャリアガス供給管530から、バルブ533を開けてN
2(不活性ガス)を流すと、O
2側のノズル430、バッファ室433やガス供給管330にBTBASが回り込むことを防ぐことができる。なお、BTBASが回り込むのを防止するためなので、マスフローコントローラ522、532で制御するN
2(不活性ガス)の流量は少なくてよい。
【0129】
(残留ガス除去:ステップS205)
ステップS205では、残留BTBAS等の残留ガスを処理室201内から除去する。ガス供給管310のバルブ313を閉めて処理室201へのBTBASの供給を停止し、バルブ612を開けてベントライン610へBTBASを流す。このとき排気管231のAPCバルブ243を全開として、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、処理室201内に残留する残留BTBAS等の残留ガスを処理室201内から排除する。このときN
2等の不活性ガスを、BTBAS供給ラインであるガス供給管310から、さらには、ガス供給管320、330から、処理室201内へ供給すると、さらに残留BTBAS等の残留ガスを排除する効果が高まる。
【0130】
(活性化したO
2供給:ステップS206)
ステップS206では、O
2をガス供給系302のガス供給管320よりノズル420のガス供給孔421を介してバッファ室423内に供給し、O
2をガス供給系303のガス供給管330よりノズル430のガス供給孔431を介してバッファ室433内に供給する。このとき、棒状電極471および棒状電極472間に高周波電源270から整合器271を介して高周波電力を印加することで、バッファ室423内に供給されたO
2ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔425から処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。また、棒状電極481および棒状電極482間に高周波電源270から整合器271を介して高周波電力を印加することで、バッファ室433内に供給されたO
2ガスはプラズマ励起され、活性種としてガス供給孔435から処理室201内に供給されつつガス排気管231から排気される。
【0131】
O
2はマスフローコントローラ322で流量調整されてガス供給管320よりバッファ室423内に供給され、マスフローコントローラ332で流量調整されてガス供給管330よりバッファ室433内に供給される。O
2は、バッファ室423に供給する前は、バルブ323を閉じ、バルブ622を開けて、バルブ622を介してベントライン620に流しておき、バッファ室433に供給する前は、バルブ333を閉じ、バルブ632を開けて、バルブ632を介してベントライン630に流しておく。そして、O
2をバッファ室423に供給する際には、バルブ622を閉じ、バルブ323を開けて、O
2をバルブ323の下流のガス供給管320に供給すると共に、バルブ523を開けて、キャリアガス(N
2)をキャリアガス供給管520から供給する。キャリアガス(N
2)の流量はマスフローコントローラ522で調整する。O
2はキャリアガス(N
2)とバルブ323の下流側で合流し混合され、ノズル420を介してバッファ室423供給される。また、O
2をバッファ室433に供給する際には、バルブ632を閉じ、バルブ333を開けて、O
2をバルブ333の下流のガス供給管330に供給すると共に、バルブ533を開けて、キャリアガス(N
2)をキャリアガス供給管530から供給する。キャリアガス(N
2)の流量はマスフローコントローラ532で調整する。O
2はキャリアガス(N
2)とバルブ333の下流側で合流し混合され、ノズル430を介してバッファ室433供給される。
【0132】
O
2ガスをプラズマ励起することにより活性種として流すときは、APCバルブ243を適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50〜900Paの範囲内の圧力であって、例えば500Paとする。マスフローコントローラ322で制御するO
2ガスの供給流量は、例えば2000〜9000sccmの範囲内の流量であって、例えば6000sccmとする。マスフローコントローラ332で制御するO
2ガスの供給流量は、例えば2000〜9000sccmの範囲内の流量であって、例えば6000sccmとする。O
2ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種にウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間は、例えば3〜20秒間の範囲内の時間であって、例えば9秒とする。なお、高周波電源270から棒状電極471および棒状電極472間に印加する高周波電力は、例えば20〜600Wの範囲内の電力であって、例えば200Wとなるよう設定し、高周波電源270から棒状電極481および棒状電極482間に印加する高周波電力は、例えば20〜600Wの範囲内の電力であって、例えば200Wとなるよう設定する。また、ヒータ207に電力を供給する加熱用電源250を制御して処理室201内を、200℃以下、より好ましくは100℃以下の温度であって例えば100℃となるような温度に保持しておく。O
2ガスはそのままでは反応温度が高く、上記のようなウエハ温度、処理室内圧力では反応しづらいので、プラズマ励起することにより活性種としてから流すようにしており、このためウエハ200の温度は上述のように設定した低い温度範囲とすることが可能となる。ただし、温度変更には時間がかかるためBTNASガスを供給する際の温度と同一とすることが好ましい。
【0133】
このとき、処理室201内に流しているガスはO
2ガスをプラズマ励起することにより得られた活性種(O
2プラズマ)であり、処理室201内にはBTBASガスは流していない。したがって、O
2ガスは気相反応を起こすことはなく、活性種となった、もしくは活性化されたO
2ガスは、ステップS204でウエハ200上に形成された第1の層としてのシリコン含有層と反応する。これによりシリコン含有層は酸化されて、シリコン(第1の元素)及び酸素(第2の元素)を含む第2の層、すなわち、酸化シリコン層(SiO層)へと改質される。
【0134】
同時に、ガス供給管310の途中につながっているキャリアガス供給管510から、バルブ513を開けてN
2(不活性ガス)を流すと、BTBAS側のノズル410やガス供給管310にO
2が回り込むことを防ぐことができる。なお、O
2が回り込むのを防止するためなので、マスフローコントローラ512で制御するN
2(不活性ガス)の流量は少なくてよい。
【0135】
(残留ガス除去:ステップS207)
ステップS207では、未反応もしくは酸化に寄与した後の残留O
2等の残留ガスを処理室201内から除去する。ガス供給管320のバルブ323を閉めて処理室201へのO
2の供給を停止し、バルブ622を開けてベントライン620へO
2を流し、ガス供給管330のバルブ333を閉めて処理室201へのO
2の供給を停止し、バルブ632を開けてベントライン630へO
2を流す。このとき排気管231のAPCバルブ243を全開として、真空ポンプ246により処理室201内を20Pa以下となるまで排気し、処理室201内に残留する残留O
2等の残留ガスを処理室201内から排除する。このときN
2等の不活性ガスを、O
2供給ラインであるガス供給管320、330から、さらには、ガス供給管310から、処理室201内へ供給すると、さらに残留O
2等の残留ガスを排除する効果が高まる。
【0136】
上記ステップS204〜S207を1サイクルとし、少なくとも1回以上行なう(ステップS208)ことによりウエハ200上にALD法を用いて所定膜厚の酸化シリコン膜706(
図7C参照)、酸化シリコン膜723(
図8B参照)を成膜する。
【0137】
上述したステップS204〜S207を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行うことにより、第1レジストパターン705およびハードマスク702上に、第1レジスト保護膜として、所定膜厚のシリコン(第1の元素)および酸素(第2の元素)を含む酸化シリコン膜706が形成され(
図7C参照)、第1のレジストパターン722上に酸化シリコン膜723が形成される(
図8B参照)。
【0138】
所定膜厚の酸化シリコン膜706または酸化シリコン膜723を形成する成膜処理がなされると、N
2等の不活性ガスを処理室201内へ供給しつつ排気することで処理室201内を不活性ガスでパージする(ガスパージ:ステップS210)。なお、ガスパージは、残留ガスを除去したのち、APCバルブ243を閉じ、バルブ513、523、533を開いて行うN
2等の不活性ガスの処理室201内への供給と、その後、バルブ513、523、533を閉じてN
2等の不活性ガスの処理室201内への供給を停止すると共に、APCバルブ243を開いて行う処理室201内の真空引きとを繰り返して行うことが好ましい。
【0139】
その後、ボート回転機構267を止め、ボート217の回転を止める。その後、バルブ513、523、533を開いて処理室201内の雰囲気をN
2等の不活性ガスで置換し(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力を常圧に復帰する(大気圧復帰:ステップS212)。その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219を下降して、反応管203の下端を開口するとともに、処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から処理室201の外部に搬出(ボートアンロード:ステップS214)する。その後、反応管203の下端を炉口シャッタ147で閉じる。その後、真空ポンプ246を止める。その後、処理済ウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ:ステップS216)。これにより1回の成膜処理(バッチ処理)が終了する。
【0140】
次に、
図11を参照して、本実施の形態の一変形例を説明する。
上記第1の実施の形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられており、排気口230もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられており、ノズル410のガス供給孔411もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられており、第1のプラズマ発生構造429と第2のプラズマ発生構造439は排気口230近傍に設けられているが、本変形例では、第1のプラズマ発生構造429と第2のプラズマ発生構造439はウエハ200を挟んで対向する位置(180度反対側)に設けられ、ウエハ200の中心および反応管203の中心に対して点対称に設けられ、また、ノズル410は、排気口230と第2のプラズマ発生構造439との間に設けられている点が上記第1の実施の形態と異なるが、他の点は同じである。
【0141】
本変形例でも、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源とを備えているので、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。
【0142】
また、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439は、ウエハ200を挟んで対向する位置(180度反対側)に設けられ、ウエハ200の中心および反応管203の中心に対して点対称に設けられているので、両プラズマ発生構造からウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0143】
次に、
図12を参照して、本実施の形態の他の変形例を説明する。
上記第1の実施の形態では、ノズル410のガス供給孔411は、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられており、ノズル410のガス供給孔411もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられているが、本変形例では、第1のプラズマ発生構造429と、第2のプラズマ発生構造439は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられているが、ノズル410のガス供給孔411はこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられていない点が上記第1の実施の形態と異なるが、他の点は同じである。
【0144】
本変形例でも、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源とを備えているので、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。
【0145】
また、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造と主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられているので、両プラズマ発生構造からウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0146】
次に、
図13を参照して、本実施の形態のさらに他の変形例を説明する。
本変形例では、上記
図12に示す他の変形例に対して、主に、棒状電極481’、棒状電極482’、電極保護管461’、電極保護管462’、バッファ室433’およびガス供給孔435’により構成され、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439と同じ構造の、第3のプラズマ発生構造439’を、追加し、この第3のプラズマ発生構造439’を、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、ウエハ200の中心および反応管203の中心に対して点対称に設けている。
【0147】
本変形例では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源に、さらに、主に、棒状電極481’、棒状電極482’、電極保護管461’、電極保護管462’、整合器271、高周波電源270により構成される第3のプラズマ源が追加されているので、プラズマ源が2つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力がさらに小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージをより小さくでき、しかもウエハ200の処理温度をより低くできる。
【0148】
(第2の実施の形態)
図14、
図15を参照して、本実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、電極保護管461、電極保護管462は、ボート支持台218の下部付近の高さの位置で、反応管203に設けた貫通孔204、205をそれぞれ介して、バッファ室423内に挿入され、棒状電極481、482もボート支持台218の下部付近の高さの位置でバッファ室423内に挿入され、電極保護管461、電極保護管462は、バッファ室423内で、取付板401によって固定され、電極保護管451、電極保護管452と棒状電極471、472も電極保護管461、電極保護管462と棒状電極481、482と同じ構造であるが、本実施の形態では、電極保護管461、電極保護管462は、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置で、反応管203に設けた貫通孔206、207をそれぞれ介して、バッファ室423内に挿入され、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置より下側の位置では、反応管203の外側に設けられ、棒状電極481、482もボート支持台218の上部付近の高さの位置でバッファ室423内に挿入され、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置より下側の位置では、反応管203の外側に設けられ、電極保護管461、電極保護管462は、反応管203の外側でそれぞれ取付板401の穴405、406を貫通して設けられ、取付板401によって固定され、取付板401は、反応管203に固定され、電極保護管451、電極保護管452と棒状電極471、472も電極保護管461、電極保護管462と棒状電極481、482と同じ構造である点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同じである。本実施の形態では、棒状電極481、482は、ボート支持台218の上部付近の高さの位置でバッファ室423内に挿入され、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置より下側の位置では、反応管203の外側に設けられているので、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置より下側の位置での放電を抑制できる。なお、棒状電極482(481、471、472)の曲部490の曲率よりも、曲部491の曲率の方が大きい。
【0149】
(第3の実施の形態)
図16、
図17を参照して、本実施の形態を説明する。
第1の実施の形態では、棒状電極471、472、481、482の太さは、高さに拘らず同じであるが、本実施の形態では、棒状電極471、472、481、482は、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置から下側では、ボート支持台218の上部付近より上側よりも細くなっている点が
第1の実施の形態と異なるが、他の点は同じである。棒状電極471、472、481、482を細くすることにより、エネルギーが弱くなり、ボート支持台218の上部付近(製品ウエハが搭載される最下段より少し下の部分)の高さの位置より下側の位置での放電を抑制でき、エネルギー消費を抑制することができる。
【0150】
(第4の実施の形態)
図18、
図19を参照して、本実施の形態を説明する。
上述の第1の実施の形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439は、反応管203の内側に設けたが、本実施の形態では、プラズマ発生構造を反応管203の外側に突き出して設ける点が第1の実施の形態と異なるが、他の点は同様である。
【0151】
反応管203の側壁に、反応管の下部から上部にわたる上下に細長い矩形の開口822が設けられ、開口822を覆って反応管203の外壁にプラズマ形成室壁428が設けられている。プラズマ形成室壁428は、断面コの字状をなし上下に細長く形成されている。プラズマ形成室壁428は、例えば石英で形成されている。プラズマ形成室壁428内にはプラズマ形成室821が形成される。プラズマ形成室821は開口822を介して反応管203の内部と連通している。開口822はボート217に積層されて搭載された複数のウエハ200の最下部よりも下側から最下部よりも上側にわたって上下に細長く形成されている。
【0152】
プラズマ形成室821の奥の部分(反応管203の中心から最も離れた部分)に、ノズル426が立設されている。ノズル426の下部の部分は、一端反応管203内部側に折れ曲がり、その後、プラズマ形成室壁428の下側の反応管203の管壁から反応管203の外部に突き出し、その端部はガス供給管320に接続されている。
【0153】
ノズル426は、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル426の上端は閉塞されている。ノズル426の側面には、ガスを供給するガス供給孔427が、ボート217に積層されて搭載された複数のウエハ200の最下部よりも下側から最下部よりも上側にわたってウエハ200の積載方向に沿って複数設けられている。ガス供給孔427は反応管203の中心に向かって開口している。複数のガス供給孔427の開口面積は同一であり、同一のピッチで設けられている。
【0154】
プラズマ形成室壁428の両側壁428a、428bの外面に上下方向に沿って互いに対向して、細長い一対のプラズマ形成電極473、474が設けられている。プラズマ形成電極473、474をそれぞれ覆って電極カバー475、476が設けられている。電極カバー475、476の内部に、窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えてプラズマ形成電極473、474の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられている。
【0155】
プラズマ形成電極473は、整合器271を介して高周波電源270に接続され、プラズマ形成電極474は基準電位であるアース272に接続されている。主に、プラズマ形成電極473、474、プラズマ形成室壁428、プラズマ形成室821、開口822、ノズル426およびガス供給孔427により第1のプラズマ発生構造820が構成される。主に、プラズマ形成電極473、474、整合器271、高周波電源270によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第1のプラズマ源が構成される。
【0156】
以上のように構成された結果、ガスがプラズマ形成室821の奥の部分に設けられたノズル426のガス供給孔427からプラズマ形成電極473、474間に供給され、プラズマ形成電極473、474間のプラズマ生成領域でプラズマが生成され、開口822を介して、反応管203の中心に向けて拡散しつつ流れる。
【0157】
反応管203の側壁に、反応管の下部から上部にわたる上下に細長い矩形の開口832が設けられ、開口832を覆って反応管203の外壁にプラズマ形成室壁438が設けられている。プラズマ形成室壁438は、断面コの字状をなし上下に細長く形成されている。プラズマ形成室壁438は、例えば石英で形成されている。プラズマ形成室壁438内にはプラズマ形成室831が形成される。プラズマ形成室831は開口832を介して反応管203の内部と連通している。開口832はボート217に積層されて搭載された複数のウエハ200の最下部よりも下側から最下部よりも上側にわたって上下に細長く形成されている。
【0158】
プラズマ形成室831の奥の部分(反応管203の中心から最も離れた部分)に、ノズル436が立設されている。ノズル436の下部の部分は、一端反応管203内部側に折れ曲がり、その後、プラズマ形成室壁438の下側の反応管203の管壁から反応管203の外部に突き出し、その端部はガス供給管330に接続されている。
【0159】
ノズル436は、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の積載方向上方に向かって立ち上がるように設けられている。ノズル436の上端は閉塞されている。ノズル436の側面には、ガスを供給するガス供給孔437が、ボート217に積層されて搭載された複数のウエハ200の最下部よりも下側から最下部よりも上側にわたってウエハ200の積載方向に沿って複数設けられている。ガス供給孔437は反応管203の中心に向かって開口している。複数のガス供給孔437の開口面積は同一であり、同一のピッチで設けられている。
【0160】
プラズマ形成室壁438の両側壁438a、438bの外面に上下方向に沿って互いに対向して、細長い一対のプラズマ形成電極483、484が設けられている。プラズマ形成電極483、484をそれぞれ覆って電極カバー485、486が設けられている。電極カバー485、486の内部に、窒素などの不活性ガスを充填あるいはパージし、酸素濃度を充分低く抑えてプラズマ形成電極483、484の酸化を防止するための不活性ガスパージ機構が設けられている。
【0161】
プラズマ形成電極483は、整合器271を介して高周波電源270に接続され、プラズマ形成電極484は基準電位であるアース272に接続されている。主に、プラズマ形成電極483、484、プラズマ形成室壁438、プラズマ形成室831、開口832、ノズル436およびガス供給孔437により第2のプラズマ発生構造830が構成される。主に、プラズマ形成電極483、484、整合器271、高周波電源270によりプラズマ発生器(プラズマ発生部)としての第2のプラズマ源が構成される。
【0162】
以上のように構成された結果、ガスがプラズマ形成室831の奥の部分に設けられたノズル436のガス供給孔437からプラズマ形成電極483、484間に供給され、プラズマ形成電極483、484間のプラズマ生成領域でプラズマが生成され、開口832を介して、反応管203の中心に向けて拡散しつつ流れる。
【0163】
上記のような構成を備えたプラズマ発生構造820、830によっても、リモートプラズマが生成される。すなわち、プラズマ発生構造820、830で発生したラジカルが処理室201内のウエハ200の全面に到達するまでに失活せず、かつプラズマ発生構造820、830で発生したイオンが処理室内のウエハ200にダメージを与えるほどには到達しない。
【0164】
本実施の形態のように、プラズマ発生構造820、830を反応管203の外部に突き出して設けると、第1の実施の形態のように、バッファ室423、433を反応管203の内部に設けた場合と比較して、ウエハ200の外周と反応管203の内周面との距離をより近くにすることができる。
【0165】
本実施の形態では、主に、プラズマ形成電極473、474、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、プラズマ形成電極483、484、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源を備えているので、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。
【0166】
また、主に、プラズマ形成電極473、474、プラズマ形成室壁428、プラズマ形成室821、開口822、ノズル426およびガス供給孔427により構成される第1のプラズマ発生構造820と、主に、プラズマ形成電極483、484、プラズマ形成室壁438、プラズマ形成室831、開口832、ノズル436およびガス供給孔437により構成される第2のプラズマ発生構造830は、ウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線に対して線対称に設けられているので、両プラズマ発生構造からウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0167】
さらに、排気口230もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられているので、ウエハ200の全面により均一にプラズマが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。また、さらに、ノズル410のガス供給孔411もこのウエハ200の中心(反応管203の中心)を通る線上に設けられているので、ウエハ200の全面により均一に原料ガスが供給されやすくなり、ウエハ200上により均一な膜を形成することができる。
【0168】
(第5の実施の形態)
図20、
図21を参照して、本実施の形態を説明する。
以上の実施の形態は、バッファ室423、433、433’やプラズマ形成室821、831にO
2ガスを供給して酸素のプラズマを発生させる構造であったが、バッファ室やプラズマ形成室を用いてプラズマを発生させる構造のものであれば、膜種やガス種に限定はなく、例えば、DCS(ジクロロシラン:SiH
2Cl
2)とNH
3(アンモニア)を用いて窒化シリコン膜を形成する場合でもよく、本実施の形態は、そのような場合に関するものである。
【0169】
図2、12を参照して説明した第1の実施の形態の他の変形例では、ガス供給系301おいて、液体状のBTBASを使用したので、液体マスフローコントローラ312と気化器315を使用し、また、ガス供給系302、303からO
2を供給したが、本実施の形態では、気体状のDCSを使用するので、ガス供給系301の液体マスフローコントローラ312と気化器315に代えてマスフローコントローラ316を使用したガス供給管340を有するガス供給系304を使用し、また、ガス供給系302、303からNH
3を供給する点が第1の実施の形態の他の変形例と異なるが他の点は同じである。
【0170】
また、比較例として、
図22に示すように、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429のみを備え、ガス供給系も、ガス供給系303を備えず、ガス供給管340を備えるガス供給系304およびガス供給管320を備えるガス供給系302のみ備える基板処理装置101を用いる。
【0171】
この比較例においては、基板温度650℃程度の低温で、DCS(ジクロロシラン)とNH
3(アンモニア)プラズマを用いてALD法によるアモルファス窒化シリコン膜(以下、SiNと略す)の形成を行った。ウエハ200上へのSiN形成は、DCS供給工程、DCS排気工程、NH
3プラズマ供給工程、NH
3排気工程を複数回繰り返して行うことで行われる。この4つの工程を繰り返すことにより、ウエハ200上に所定の膜厚のSiN膜の堆積を行うことができる。ALD法では、そのサイクル処理の数で膜厚が制御できる。
【0172】
しかしながら、上記のようなプラズマを利用したALD法においては、プラズマを利用しない方法に対してパーティクルが発生しやすいという欠点を持っている。この問題は、被処理基板であるウエハ200以外に堆積する累積膜のマイクロクラック発生による剥離異物汚染であると考えられる。さらに連続的に累積する膜厚が大きくなると顕著に発生するArea性パーティクル問題でもある。また、高周波電力を上げるとパーティクル個数は増加し悪化する。このパーティクル発生という結果は、高周波電力が行った仕事の一部でもあると考えられる。半導体装置製造において微細化が進むにつれウエハ200の温度が低下する傾向にあり、不足するエネルギーを補充するために高周波電力を大きくする必要があるため、よりパーティクルが発生するようになってきている。
【0173】
本実施の形態では、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、バッファ室423およびガス供給孔425により構成される第1のプラズマ発生構造429と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、バッファ室433およびガス供給孔435により構成される第2のプラズマ発生構造439とを備え、主に、棒状電極471、棒状電極472、電極保護管451、電極保護管452、整合器271、高周波電源270により構成される第1のプラズマ源と、主に、棒状電極481、棒状電極482、電極保護管461、電極保護管462、整合器271、高周波電源270により構成される第2のプラズマ源とを備えているので、高周波電力を分散でき、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。また、前述のArea性パーティクルの発生を抑制できる。
【0174】
図21に示す本実施の形態の基板処理装置と、
図22に示す比較例の基板処理装置の両方を用い、ウエハ200として300mmウエハを用い、ウエハ200の温度350℃として、
図23に示す成膜条件にてパーティクル発生量の比較を行った。反応管203のSiN累積膜厚みが1.2μm〜1.3μmにおける結果である。なお、
図23における高周波電力のX軸の値は、
図24の高周波電力のX軸の欄に記載されている。
図24は高周波電力とサイズ0.08μm以上のパーティクル発生量の関係を示した表であり、
図25は
図24の表をグラフ化したものである。
【0175】
この結果から明らかなように、同一の高周波電力でも、本実施の形態のように高周波電力を分散供給したほうがパーティクル発生量は少ないことが判る。また、
図13に示すように3分配したほうが効果が大きいのは言うまでもない。
【0176】
ほとんどのALD法によるSiN成膜装置は、成膜処理とガスクリーニング処理の繰り返しで運用されているので、本実施の形態によれば、パーティクル発生量を抑制できるので、ガスクリーニングの周期を延長することができる。
【0177】
なお、上記各実施の形態では、ALD法を使用する場合を例に説明したが、CVD法を使用する場合でも、複数のプラズマ源を備えることによって、高周波電力を分散でき、プラズマ源が1つの場合に比べて、各プラズマ源に供給する高周波電力が小さくても、充分な量のプラズマを発生させることができる。従って、プラズマを利用してウエハ200を処理する際にウエハ200や形成する膜に与えるダメージを小さくでき、しかもウエハ200の処理温度を低くできる。また、パーティクルの発生を抑制できる。
【0178】
また、上記実施の形態では、キャリアガスとして、N
2(窒素)を使用したが、窒素に代えて、He(ヘリウム)、Ne(ネオン)、Ar(アルゴン)等を使用してもよい。
【0179】
また、上記実施の形態では、液体原料を気化するのに、気化器315を使用したが、気化器に代えてバブラーを使用してもよい。
【0180】
(本発明の好ましい態様)
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0181】
(付記1)
本発明の好ましい一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室と区画され、前記処理室へ開口するガス供給口をそれぞれ有する複数のバッファ室と、
第1の処理ガスを前記複数のバッファ室にそれぞれ供給可能な第1の処理ガス供給系と、
高周波電力を出力する電源と、
前記電源により高周波電力が印加されることによって、前記バッファ室の内部で前記第1の処理ガスを活性化させるプラズマ発生用の電極と、
第2の処理ガスを前記処理室に供給する第2の処理ガス供給系と、
前記処理室を排気する排気系と、
基板を、前記活性化された第1の処理ガスおよび、前記第2の処理ガスに曝し、前記基板を200℃以下に加熱しつつ前記基板上に膜を形成するよう前記第1の処理ガス供給系、前記電源、前記第2の処理ガス供給系および前記排気系を制御する制御手段と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0182】
(付記2)
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、前記処理室および前記バッファ室は反応管の内部に設けられる。
【0183】
(付記3)
付記1または2の基板処理装置であって、好ましくは、前記電極は前記バッファ室内に設けられる。
【0184】
(付記4)
付記1または2の基板処理装置であって、好ましくは、前記電極は前記バッファ室外に設けられる。
【0185】
(付記5)
付記1〜4のいずれかの基板処理装置であって、好ましくは、前記第2の処理ガスは活性化させないで用いる。
【0186】
(付記6)
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、前記第1の処理ガスは酸素含有ガスであり、第2の処理ガスはシリコン含有ガスであり、前記基板上に形成する膜は酸化シリコン膜である。
【0187】
(付記7)
付記6の基板処理装置であって、好ましくは、前記第1の処理ガスは酸素であり、前記第2の処理ガスはBTBASである。
【0188】
(付記8)
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、前記基板を100℃以下に加熱しつつ前記膜を形成する。
【0189】
(付記9)
付記1の基板処理装置であって、好ましくは、
前記第2の処理ガス供給系は、前記処理室内に立設されガス供給口を有するノズルに接続され、前記ノズルを介して前記ガス供給口から前記第2の処理ガスを前記処理室に供給し、
前記排気系は、前記処理室に開口する排気口に接続され、
前記ノズルのガス供給口と前記排気口は前記基板を挟んで対向する位置に設けられる。
【0190】
(付記10)
付記9の基板処理装置であって、好ましくは、前記複数のバッファ室は、前記複数のバッファ室のガス供給口と前記ノズルのガス供給口との距離がそれぞれ実質的に等しい。
【0191】
(付記11)
本発明の好ましい他の態様によれば、
高周波電力が電極に印加されて複数のバッファ室内に発生したプラズマにより活性化された第1の処理ガスに、レジストまたはアモルファスカーボンのパターンが形成された基板を曝す工程と、
プラズマにより活性化させずに第2の処理ガスに、前記基板を曝す工程と、
を前記基板を200℃以下に加熱しつつ行うことにより、前記基板に酸化シリコン膜を形成する半導体装置の製造方法が提供される。
【0192】
(付記12)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、付記11の半導体デバイスの製造方法を用いて形成された半導体装置が提供される。
【0193】
(付記13)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
処理室内に設けられた2つ以上のプラズマ形成用バッファ室と、
前記2つ以上のプラズマ形成用バッファ室に高周波電力を分散して供給する高周波電力供給手段と、を備える基板処理装置が提供される。
【0194】
(付記14)
付記13の基板処理装置であって、好ましくは、処理室下段の電極太さを細くした構造を有する高周波電極を装備する。
【0195】
(付記15)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
シリコンを含む第1の原料を複数枚の基板へ供給する工程と、
前記第1の原料、およびその副生成ガスを一定時間排気処理する工程と、
アンモニアをプラズマ形成用バッファ室へ供給しながらプラズマを発生させて、アンモニアラジカルを前記複数枚の基板へ供給する工程と、
残留ガスを一定時間排気処理する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0196】
(付記16)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
シリコンを含む第一の原料を複数枚の基板へ供給する工程と、
前記第一の原料、およびその副生成ガスを一定時間排気処理する工程と、
酸素をプラズマ形成用バッファ室へ供給しながらプラズマを発生させて、酸素ラジカルを前記複数枚の基板へ供給する工程と、
残留ガスを一定時間排気処理する工程と、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0197】
(付記17)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記基板を加熱する加熱手段と、
前記処理室と区画され、前記処理室へ開口するガス供給口をそれぞれ有する複数のプラズマ形成室と、
第1の原料ガスを前記複数のプラズマ形成室にそれぞれ供給可能な第1の原料ガス供給系と、
高周波電力を出力する高周波電源と、
前記電源により高周波電力が印加されることによって、前記複数のプラズマ形成室の内部で前記第1の原料ガスをそれぞれ励起させるプラズマ発生用の複数の電極と、
第2の原料ガスを前記処理室に供給する第2の原料ガス供給系と、
前記処理室を排気する排気系と、
前記基板を200℃以下に加熱しつつ、前記基板を、前記活性化された第1の原料ガスおよび、前記第2の原料ガスに曝し、前記基板上に膜を形成するよう、前記加熱手段、前記第1の原料ガス供給系、前記高周波電源、前記第2の原料ガス供給系および前記排気系を制御する制御手段と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0198】
(付記18)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
前記処理室内を加熱する加熱手段と、
前記処理室内の温度を検出する温度検出手段と、
前記処理室と区画され、前記処理室へ開口するガス供給口をそれぞれ有する複数のプラズマ形成室と、
第1の原料ガスを前記複数のプラズマ形成室にそれぞれ供給可能な第1の原料ガス供給系であって、前記第1の原料ガスの流量を制御する第1の流量制御手段と、前記第1の原料ガスの前記複数のプラズマ形成室への供給を制御する第1のバルブとを備える前記第1の原料ガス供給系と、
高周波電力を出力する高周波電源と、
前記高周波電源により高周波電力が印加されることによって、前記複数のプラズマ形成室の内部で前記第1の原料ガスをそれぞれ励起させるプラズマ発生用の複数の電極と、
第2の原料ガスを前記処理室に供給する第2の原料ガス供給系であって、前記第2の原料ガスの流量を制御する第2の流量制御手段と、前記第2の原料ガスの前記処理室への供給を制御する第2のバルブとを備える前記第2の原料ガス供給系と、
前記処理室を排気する排気系と、
前記温度検出手段によって検出された温度情報に基づいて、前記処理室内の温度を200℃以下に加熱するよう前記加熱手段を制御し、前記複数の電極に所定量の高周波電力を印加するように前記高周波電源を制御し、前記第1の原料ガスが前記複数のプラズマ形成室にそれぞれ所定量供給されるように前記第1の流量制御手段および前記第1のバルブを制御し、前記第2の原料ガスが処理室に所定量供給されるように前記第2の流量制御手段および前記第2のバルブを制御し、前記処理室が所定の排気量で排気されるように前記排気系を制御する制御手段と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0199】
(付記19)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
基板を処理する処理室内の温度を検出する温度検出手段によって検出された温度情報に基づいて、前記処理室内を加熱する加熱手段を制御して前記処理室内の温度を200℃以下に加熱し、
前記処理室と区画され、前記処理室へ開口するガス供給口をそれぞれ有する複数のプラズマ形成室に、第1の原料ガスをそれぞれ供給可能な第1の原料ガス供給系を制御して前記第1の原料ガスを前記複数のプラズマ形成室にそれぞれ所定量供給し、
高周波電力を出力する高周波電源を制御して、前記高周波電源により高周波電力が印加されることによって、前記複数のプラズマ形成室の内部で前記第1の原料ガスをそれぞれ励起させるプラズマ発生用の複数の電極に、所定量の高周波電力を印加し、
第2の原料ガスを前記処理室に供給する第2の原料ガス供給系を制御して前記第2の原料ガスを前記処理室に所定量供給し、
前記処理室を排気する排気系を制御して、前記処理室を所定の排気量で排気して、
前記基板を200℃以下に加熱しつつ、前記基板を、活性化された第1の原料ガスおよび、前記第2の原料ガスに曝し、前記基板上に膜を形成する工程を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0200】
(付記20)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、
コンピュータを、
基板を処理する処理室内の温度を検出する温度検出手段によって検出された温度情報に基づいて、前記処理室内を加熱する加熱手段を制御して前記処理室内の温度を200℃以下に加熱し、
前記処理室と区画され、前記処理室へ開口するガス供給口をそれぞれ有する複数のプラズマ形成室に、第1の原料ガスをそれぞれ供給可能な第1の原料ガス供給系を制御して前記第1の原料ガスを前記複数のプラズマ形成室にそれぞれ所定量供給し、
高周波電力を出力する高周波電源を制御して、前記高周波電源により高周波電力が印加されることによって、前記複数のプラズマ形成室の内部で前記第1の原料ガスをそれぞれ励起させるプラズマ発生用の複数の電極に、所定量の高周波電力を印加し、
第2の原料ガスを前記処理室に供給する第2の原料ガス供給系を制御して前記第2の原料ガスを前記処理室に所定量供給し、
前記処理室を排気する排気系を制御して、前記処理室を所定の排気量で排気するように制御する、制御手段として機能させるプログラムが提供される。
【0201】
(付記21)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、付記20のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0202】
(付記22)
本発明の好ましいさらに他の態様によれば、付記21の記録媒体を備える基板処理装置が提供される。
【0203】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。