(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
リフトアームとイコライザアームをX字状に枢着して成り、リフトアームブラケットを介してリフトアームにより支持したウインドガラスを、リフトアームの回転によって開閉する、いわゆるXアーム式のウインドレギュレータが提供されている。
【0003】
特開2003−321970号公報(特許文献1)には、リフトアーム中央部の貫通孔に、イコライザアーム中央部のプラグプレートを挿通することにより、両アームを枢着して成る、Xアーム式のウインドレギュレータが開示されている。ここで、プラグプレートとは、イコライザアームを構成する第1アームと第2アームをイコライザアームの中央部で接合する偏平な円柱形状のプレートであり、第1アームの端部がプラグプレートの一方の端面に溶接され、第2アームの端部がプラグプレートの他方の端面に溶接されることにより、第1アームと第2アームの接合が実現される。
特開2003−321970号公報のウインドレギュレータでは、リフトアームとイコライザアームの枢着部分での相対回動が円滑に行われ、且つ、ガタつきや異音が発生しないようにするために、何れか一方のアームの他方のアームとの対向面に、他方のアーム側へ突出する凸部を設けており、これにより、各部品の製造上のバラツキに影響されない適正なクリアランスを確保している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Xアーム式のウインドレギュレータでは、軽量化の要請から、リフトアーム等の各部材の薄肉化が望まれている。また、各部材に対する小型化の要請もある。
その一方で、Xアーム式のウインドレギュレータでは、ウインドガラスが全閉位置や全開位置に至ったときに、ウインドガラス側から加わる荷重によって、リフトアームが座屈したり、過度に湾曲したりすることを防止できる十分な強度が求められている。即ち、長手方向の軸に関する十分な捩じり剛性が、Xアーム式ウインドレギュレータのリフトアームに求められている。
本発明は、軽量化・薄肉化と十分な捩じり剛性という、相反する要請に応えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記[1]〜[5]のように構成される。なお、この項(課題を解決するための手段)と、次項(発明の効果)において、各符号は、理解を容易にするために付したものであり、本発明を符号の構成に限定する趣旨ではない。
[1]構成1
基端部11を回転可能に支持され、ウインドガラス開閉方向と交叉する方向に延びるリフトアームブラケット5のガイド51に先端部12を案内されるリフトアーム1と、
前記リフトアーム1とX字状を成すように中間部23を前記リフトアーム中央部の貫通孔13に回転可能に枢着され、先端部22で前記リフトアームブラケット5を支持し、基端部21を前記リフトアームブラケット5のガイド51と平行なイコライザアームブラケット6のガイド61に案内されるイコライザアーム2とを有し、
前記リフトアーム1の回転により、前記リフトアームブラケット5に支持されたウインドガラスを開閉するウインドレギュレータであって、
前記リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位に、応力分散凸部18を形成して成
り、
前記リフトアーム中央部の貫通孔13の周囲には環状凸部14が形成され、該リフトアームの環状凸部14と基端部11の間の幅方向中央部には該環状凸部14手前から基端部11側に延びる長手状凸面部15が長手方向に沿って形成され、
前記応力分散凸部18は、前記長手状凸面部15の先端部と幅方向で離間し且つ長手方向で重複する部位を有するように形成され、
前記応力分散凸部18の一端は前記環状凸部14に連なっている、
ことを特徴とするウインドレギュレータ。
[2]構成2
構成1に於いて、
前記長手状凸面部15の先端部は先端側に向けて下がるように傾斜し、前記応力分散凸部18は少なくとも前記長手状凸面部15の先端部と長手方向で重複する部位を有するように形成されている、
ことを特徴とするウインドレギュレータ。
【0007】
応力分散凸部18は、ウインドガラスからリフトアームブラケット5を介してリフトアーム1の先端部12側に加わる荷重による応力を、分散させる機能を奏する。
応力分散凸部18は、例えば、プレス成形によりリフトアーム1を形成する際に、貫通孔13等とともに同時に形成することができる。プレス成形による場合、応力分散凸部18の「凸」は、反対面側では「凹」となる。
応力分散凸部18が「凸」となる側は、リフトアーム1に対してイコライザアーム2が相対的に回転するとき(=ウインドガラスの開/閉時)に、両アームが干渉しないように設けられていれば、いずれの面であってもよい。
一般的なイコライザアーム2は、基端部21側の第1アーム2Aと、先端部12側の第2アーム2Bと、中間部23に位置するプラグプレート2Cから構成される。プラグプレート2Cは短い(=偏平な)円柱形状を成し、該プラグプレート2Cを介して、第1アーム2Aと第2アーム2Bとが、一体に固着される。また、イコライザアーム2は、プラグプレート2Cの部分で、リフトアーム1の貫通孔13に枢着される。
【0008】
構成1に於いて「前記応力分散凸部18は、前記長手状凸面部15の先端部と幅方向で離間し且つ長手方向で重複する部位を有するように形成され、」とは、リフトアームの長手方向に関して、
(
1)環状凸部14と長手状凸面部15先端の間に応力分散凸部18が在り、さらに、長手状凸面部15先端側と重複する部位まで応力分散凸部18が延びている;
又は、
(
2)環状凸部14と長手状凸面部15先端の間に応力分散凸部18が在り、さらに、環状凸部14の一部と重複する部位まで応力分散凸部18が延びているとともに長手状凸面部15先端側と重複する部位まで応力分散凸部18が延びている;
ことを言う。
環状凸部13と応力分散凸部18に関しては、それらが「凸」となる側は、リフトアーム1に対してイコライザアーム2が相対的に回転するとき(=ウインドガラスの開/閉時)に、両アームが干渉しないように設けられていれば、同じ側の面であってもよく、異なる側の面であってもよい。また、環状凸部13と長手状凸面部15と応力分散凸部18に関して、それらが「凸」となる側は、全てが同じ側の面であってもよく、何れかが異なる側の面であってもよい。
[3]構成3
構成1又は構成2に於いて、
前記応力分散凸部18は、前記リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位であって且つ縁16寄りの部位に少なくとも形成されている、
ことを特徴とするウインドレギュレータ。
ここで、「縁16寄りの部位に少なくとも形成されている」とは、
(1)応力分散凸部18がリフトアーム1の一方の縁16寄りの部位に形成されている;
又は、
(2)応力分散凸部18がリフトアーム1の両方の縁16、16寄りの部位にそれぞれ形成されている;
又は、
(3)応力分散凸部18がリフトアーム1の一方の縁16寄りの部位に形成されているとともに、リフトアーム1の長手方向仮想中心線に沿い、リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位にも形成されている;
又は、
(4)応力分散凸部18がリフトアーム1の両方の縁16、16寄りの部位にそれぞれ形成されているとともに、リフトアーム1の長手方向仮想中心線に沿い、リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位にも形成されている;
ことを言う。
応力分散凸部18が複数個設けられている場合、それらが「凸」となる側は、リフトアーム1に対してイコライザアーム2が相対的に回転するとき(=ウインドガラスの開/閉時)に、両アームが干渉しないように設けられていれば、同じ側の面であってもよく、異なる側の面であってもよい。
【0009】
[4]構成4
構成1〜構成3の何れかに於いて、
前記応力分散凸部18は、線状に延びる応力分散凸条部181(181A)、及び/又は、面状を成す応力分散凸面部185(185A)である、
ことを特徴とするウインドレギュレータ。
[5]構成5
構成4に於いて、
前記応力分散凸部18はその他端が前記リフトアームの縁16に至るように形成されている、
ことを特徴とするウインドレギュレータ。
【発明の効果】
【0010】
構成1は、基端部11を回転可能に支持され、ウインドガラス開閉方向と交叉する方向に延びるリフトアームブラケット5のガイド51に先端部12を案内されるリフトアーム1と、前記リフトアーム1とX字状を成すように中間部23を前記リフトアーム中央部の貫通孔13に回転可能に枢着され、先端部22で前記リフトアームブラケット5を支持し、基端部21を前記リフトアームブラケット5のガイド51と平行なイコライザアームブラケット6のガイド61に案内されるイコライザアーム2とを有し、前記リフトアーム1の回転により、前記リフトアームブラケット5に支持されたウインドガラスを開閉するウインドレギュレータであって、前記リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位に、応力分散凸部18を形成して成
り、前記リフトアーム中央部の貫通孔13の周囲には環状凸部14が形成され、該リフトアームの環状凸部14と基端部11の間の幅方向中央部には該環状凸部14手前から基端部11側に延びる長手状凸面部15が長手方向に沿って形成され、前記応力分散凸部18は、前記長手状凸面部15の先端部と幅方向で離間し且つ長手方向で重複する部位を有するように形成され、前記応力分散凸部18の一端は前記環状凸部14に連なっていることを特徴とするウインドレギュレータであるため、応力分散凸部18が、リフトアーム先端部側からの荷重による応力を分散させる機能を奏し、その結果、リフトアーム1を薄肉化したとしても、十分な捩じり剛性を得ることができる。したがって、軽量で且つ十分な捩じり剛性を備えたウインドレギュレータを提供することができる。
構成2は、構成1に於いて、
前記長手状凸面部15の先端部は先端側に向けて下がるように傾斜し、前記応力分散凸部18は少なくとも前記長手状凸面部15の先端部と長手方向で重複する部位を有するように形成されていることを特徴とするウインドレギュレータであるため、構成1の効果に加えて、さらに、
十分な捩じり剛性を得ることができる。
構成3は、構成1又は構成2に於いて、前記応力分散凸部18は、前記リフトアーム中央部の貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位であって且つ縁16寄りの部位に少なくとも形成されていることを特徴とするウインドレギュレータであるため、構成1や2の効果に加えて、さらに、応力分散凸部18が応力分散機能を奏するのに適した具体的部位を与えることができる効果がある。
構成4は、構成1〜構成3の何れかに於いて、前記応力分散凸部18は、線状に延びる応力分散凸条部181、及び/又は、面状を成す応力分散凸面部185である、ことを特徴とするウインドレギュレータであるため、構成1〜3の効果に加えて、さらに、応力分散凸部18の具体的形状を与えることができる効果がある。
構成5は、構成4に於いて、
前記応力分散凸部18はその他端が前記リフトアームの縁16に至るように形成されていることを特徴とするウインドレギュレータであるため、構成1〜4の効果に加えて、さらに、具体的形状を与えることができる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下では、凸部、凸条部、凸面部の語句が用いられているが、これらは相対的な表現であり、反対面側から見た場合は、それぞれ、凹部、凹条部、凹面部である。
【0013】
(1)
図1・
図2に示す例の概要
図1・
図2に示す例では、応力分散凸条部181、181、環状凸部14、長手状凸面部15、長手状凸面部15aは、何れも紙面表面側へ「凸」である。
図1に示すいわゆるXアーム式のウインドレギュレータは、リフトアーム1と、イコライザアーム2と、リフトアームブラケット5と、イコライザアームブラケット6と、モータ91を備えた駆動機構9を有する。なお、
図1に示す例では、駆動源はモータ91であるが、モータ91に代えて手動方式であってもよい。
【0014】
金属製のリフトアーム1は、その基端部11にドリブンギア19が一体に固着されており、その回転軸である軸81は、リフトアーム1の回転軸でもある。リフトアーム1、及び、リフトアーム1と一体のドリブンギア19は、軸81によりベースプレート8に対して回転可能に取り付けられている。また、このベースプレート8には、駆動機構9が一体に取り付けられている。ここで、駆動機構9は、モータ91と、モータ91の出力軸(不図示)の駆動力をドリブンギア19に伝達する伝達ギア機構(不図示)とを有する。駆動機構9によりリフトアーム1を揺動させる機構は周知であるため、これ以上の説明は割愛する。
【0015】
リフトアーム1の長手方向中央部には、イコライザアーム2の中間部23が交叉するように枢着されており、これにより、「X字」が形作られている。
イコライザアーム2は、その先端部22がリフトアームブラケット5のガイド51に係合されて案内されるとともに、リフトアームブラケット5を支持している。また、イコライザアーム2は、その基端部21がイコライザアームブラケット6のガイド61に係合されて、該ガイド61によって案内される。
【0016】
かかるイコライザアーム2は、第1アーム2Aと、第2アーム2Bと、プラグプレート2Cを有し、これらが一体に固着されて成る。
第1アーム2Aは、基端部21〜中間部23の部位を構成する部材であり、
図1ではリフトアーム1の上面側に位置する。第2アーム2Bは、中間部23〜先端部22の部位を構成する部材であり、
図1ではリフトアーム1の下面側に位置する。プラグプレート2Cは偏平な円柱形状を成し、
図1基準での上端面に第1アーム2Aの中間部23寄りの端部が溶接によって固着されるとともに、
図1基準での下端面に第2アーム2Bの中間部23寄りの端部が溶接によって固着される部材であり、これにより、第1アーム2Aとプラグプレート2Cと第2アーム2Bの一体化が実現される。
また、プラグプレート2Cが、リフトアーム1の長手方向中央部の貫通孔13に挿通されることにより、イコライザアーム2とリフトアーム1との枢着が実現される。この様子を、
図1(b)に模式的に示す。
【0017】
リフトアームブラケット5は、その上方側(自動車への取付基準での上方側)にウインドガラス(不図示)を支持する部材であり、ウインドガラスの開閉方向(上下方向)と交叉する方向へ延びるガイド51を有する。このガイド51にリフトアームの先端部12が係合され、リフトアーム1の揺動(=ウインドガラスの昇降)に伴って、ガイド51内を案内される。
【0018】
イコライザアームブラケット6は、イコライザアーム2の基端部21を摺動可能に支持する部材であり、リフトアームブラケット5のガイド51と平行な方向へ延びるガイド61を有する。このガイド61にイコライザアームの基端部21が係合されており、リフトアーム1の揺動(=ウインドガラスの昇降)により生起されるイコライザアーム2の揺動に伴って、ガイド61内を案内される。
【0019】
上述のイコライザアームブラケット6と、ベースプレート8とが、自動車のドアパネル内の所定の部位に取り付けられることにより、ウインドレギュレータは、自動車のドアパネル内にセットされる。
【0020】
(2)
図1・
図2に示すリフトアームの形状
リフトアーム1の形状を、
図1と
図2を参照して説明する。
リフトアーム1は、長手方向の中央部に円形の貫通孔13を有し、該貫通孔13の周囲に、環状凸部14が形成されている。この環状凸部14は、イコライザアーム2がリフトアーム1に対して回転する際に、その摺動面となるものである。なお、貫通孔13にイコライザアーム2のプラグプレート2Cが枢着されることは、前述の通りである。
【0021】
リフトアーム1の環状凸部14と基端部11の間の幅方向中央部には、環状凸部14の手前から基端部11側へ延びる長手状凸面部15が、リフトアーム1の長手方向に沿って形成されている。ここで、「手前」とは、
図2で環状凸部14の左側且つ環状凸部14から若干離隔した部位を言う。この若干の離隔は、イコライザアーム2がリフトアーム1に対して相対的に回転する際に、両者の干渉を避けるべく設けられているものである。
【0022】
同様に、リフトアーム1の環状凸部14と先端部12の間の幅方向中央部には、環状凸部14を越えた向こうから先端部12側へ延びる長手状凸面部15aが、リフトアーム1の長手方向に沿って形成されている。ここで、「越えた向こう」とは、
図2で環状凸部14の右側且つ環状凸部14から若干離隔した部位を言う。この若干の離隔もまた、イコライザアーム2がリフトアーム1に対して相対的に回転する際に、両者の干渉を避けるべく設けられているものである。
【0023】
これらの長手状凸面部15、15aは、リフトアーム1の捩じり剛性を強化するために設けられたものであり、リフトアーム1をプレス成形により製造する際に、貫通孔13や環状凸部14、さらには、下記の応力分散凸部18(181、181)と同時に形成されるものである。
【0024】
環状凸部14や長手状凸面部15、15aに加えて、
図1及び
図2に示す例では、応力分散凸部18としての応力分散凸条部181が、貫通孔13付近で且つ基端部11側の部位に形成されている。具体的には、貫通孔13の周囲の環状凸部14に一端が連なり、反対側が基端部11側へ斜めに延びた後、他端がリフトアーム1の縁16に至る応力分散凸条部181が、各縁16、16へそれぞれ向かって、合計2本、形成されている。
【0025】
これら2本の応力分散凸条部181、181は、リフトアーム1の長手方向に直交する方向(
図2(h)での紙面上方側)から見たときを基準として、何れも、環状凸部14に連なる一端部側が環状凸部14とオーバーラップし、縁16に至る他端部側が長手状凸面部15の先端部とオーバーラップ(重複)している。このようにオーバーラップ部分があるため、さらなる捩じり剛性の強化が実現されている。
【0026】
このように応力分散凸条部181が形成されているため、ウインドガラスが上昇してガラスシール部材(不図示)に当接し、又は、ウインドガラスが下降してストッパ部材(不図示)に当接して、それらからの反力によりリフトアームブラケット5を介してリフトアーム1の先端部12に荷重が加わったとき、その荷重による応力は、応力分散凸条部181、181にて良好に分散される。このため、リフトアーム1は薄肉ではあるが、十分に応力に耐えることができる。
【0027】
(3)
図3に示す例
図3(a)〜(j)に、応力分散凸部18の別の例を示す。
図1及び
図2に示す例では、応力分散凸部18は、それぞれ直線状を成し且つ一端が環状凸部13に連なるとともに他端側が斜め方向に延びて各縁16、16に至る応力分散凸条部181、181として形成されていた。
【0028】
これに対して、
図3(a)では、一端が環状凸部13に連なり他端側が斜め方向に延びた後に湾曲して縁16と平行方向になる形状を成す。また、
図3(b)では、ジグザグの曲線状を成し且つ一端が環状凸部13に連なり他端側が全体として斜め方向に延びて縁16に至る形状を成す。また、
図3(c)では、環状凸部13から離隔するとともに縁16にも至らず、縁16と平行方向に延びる形状を成す。また、
図3(d)では、直線状を成し且つ一端は環状凸部13に連ならずに離隔しているが他端側は斜め方向に延びて縁16に至る形状を成す。また、
図3(e)では、環状凸部13から離隔するとともに両端が縁16に至り、中央が縁16から離れるように湾曲する円弧状を成す。
【0029】
また、
図3(f)では、一端が環状凸部13に連なり縁16と平行方向に延びた後に屈曲し、その後に他端側が縁16に至る形状を成す。また、
図3(g)では、曲線状を成し且つ一端が環状凸部13に連なり他端側が湾曲しつつ長手状凸面部15の先端隅に略連なった後に同様に湾曲しつつ縁16に至る形状を成す。また、
図3(h)では、一端が環状凸部13に連なり縁16と平行に延びて長手状凸面部15の先端隅に略連なるとともに屈曲し、その後に他端側が縁16に至る形状を成す。また
図3(i)では、曲線状を成し且つ一端が環状凸部13に連なり他端側が内側へ湾曲しつつ長手状凸面部15の先端に連なる形状を成す。また、
図3(j)では、
図3(i)と同様ではあるが湾曲の度合いが若干小さな2本の応力分散凸条部181j、181jに加えて、リフトアーム1の長手方向仮想の中心線に沿い且つ一端が環状凸部14に連なり他端側が直線状に延びて長手状凸面部15付近に至る形状の応力分散凸条部181jjを有する。
これらも、
図1及び
図2に示した例と略同様に、応力分散機能を奏する。
【0030】
(4)
図4に示す例
図4に、応力分散凸部18の更に別の例を示す。
図4(a)(b)では、環状凸部14Aと長手状凸面部15との間で且つリフトアーム1の幅方向中央部に、応力分散凸面部185Aが形成されている。ここで、環状凸部14A及び応力分散凸面部185Aの「A」は、それらが「凸」となる側が、長手状凸面部15とは反対側の面であることを示す。
【0031】
図4(c)(d)では、環状凸部14と長手状凸面部15との間で且つリフトアーム1の幅方向中央部に、応力分散凸面部185が形成されている。この例では、環状凸部14と長手状凸面部15と応力分散凸面部185は、何れも、同じ側に「凸」となっている。
【0032】
図4(e)(f)では、環状凸部14Aと長手状凸面部15との間に、一端が環状凸部14Aに連なるとともに他端側が斜め方向に延びてリフトアーム1の各縁16、16に至る合計2本の応力分散凸条部181A、181Aが形成されている。ここで、環状凸部14A及び応力分散凸条部181Aの「A」は、それらが「凸」となる側が、長手状凸面部15とは反対側の面であることを示す。
これらもまた、
図1及び
図2に示した例や、
図3に示した例と略同様に、応力分散機能を奏する。
【0033】
(5)変形例
上記では、応力分散凸部18が応力分散凸条部181(又は181A)である場合、一方の縁16側では一本づつ、両縁16、16で合計2本、形成されているが、これに代えて、少なくとも一方の縁16側に複数本の応力分散凸条部を、例えば、相互に平行に沿うように形成してもよい。
また、上記では、応力分散凸条部181(又は181A)は、一端が環状凸部14とオーバーラップし、他端が長手状凸面部15の先端部とオーバーラップしているが、一端及び/又は他端がオーバーラップしない構成も可能である。
また、
図1及び
図2や
図3の例では、応力分散凸部18が縁16寄りの位置に在る場合に、直線状又は曲線状の応力分散凸条部を例にとって説明しているが、これに代えて、または、これと混在させて、凸部分が面状を成す応力分散凸面部を設けても良い。例えば、
図3(e)の応力分散凸条部181e、181eと各縁16、16とで囲まれる部分全域を凸面として形成してもよい。