(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のレールのレールボンド箇所と第2のレールのレールボンド箇所とを接続するレールボンド部におけるレールボンド抵抗を測定するレールボンド抵抗測定装置であって、
前記第1のレールから前記第2のレールに向かうレールの延伸方向に順に配置される第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極を含む複数の電極と、
所定の電圧を印加するか否かを制御する制御信号に応じて、前記第1電極と前記第5電極との間に前記所定の電圧を印加する電源部と、
前記電源部を制御する前記制御信号を生成するとともに、前記第2電極と前記第3電極との間の電位差と、前記第3電極と前記第4電極との間の電位差との比に基づいて、前記レールボンド抵抗の大きさを算出する演算制御部と、
前記第1電極と前記第2電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第1の接触部と、
前記第4電極と前記第5電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第2の接触部と、
前記第3電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第3の接触部と、
を備え、
前記接触部は、回転ノブ
を備え、
前記電極針は、前記同一の面の法線方向を軸として、前記軸から径方向に隔てた位置に設けられ、前記回転ノブの回転に伴って前記軸を中心に回転するように支持されており、
前記接触部は、
前記第1のレール又は前記第2のレールにそれぞれ前記電極針の先端部が接触するように磁力により保持した後に、前記回転ノブを回転させることにより、前記電極針の先端部によりレール表面に存在する絶縁膜を破壊して、前記電極針と当該レールとの間の電気的導通を確保し、
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第1のレールのレールボンド箇所が、前記レールの延伸方向に向け前記第1のレール上に順に設けられ、
前記第2のレールのレールボンド箇所、前記第4電極及び第5電極が、前記レールの延伸方向に向け前記第2のレール上に順に設けられ、
前記第2電極から前記第3電極までの間隔と前記第4電極から前記第3電極までの間隔とが同じ間隔になるように当該電極の位置を互いに隔てた位置にする
ことを特徴とするレールボンド抵抗測定装置。
第1のレールのレールボンド箇所と第2のレールのレールボンド箇所とを接続するレールボンド部におけるレールボンド抵抗を測定するレールボンド抵抗測定装置であって、
前記第1のレールから前記第2のレールに向かうレールの延伸方向に順に配置される第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極を含む複数の電極と、
所定の電圧を印加するか否かを制御する制御信号に応じて、前記第1電極と前記第5電極との間に前記所定の電圧を印加する電源部と、
前記電源部を制御する前記制御信号を生成するとともに、前記レールボンド抵抗の大きさを算出する演算制御部と、
一端が前記第2電極に接続される第1の抵抗と、
一端が前記第4電極に接続され、他端が前記第1の抵抗の他端に接続され、前記演算制御部からの指令に応じて抵抗値が制御される第2の抵抗と、
前記第1電極と前記第2電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第1の接触部と、
前記第4電極と前記第5電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第2の接触部と、
前記第3電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第3の接触部と、
を備え、
前記接触部は、回転ノブ
を備え、
前記電極針は、前記同一の面の法線方向を軸として、前記軸から径方向に隔てた位置に設けられ、前記回転ノブの回転に伴って前記軸を中心に回転するように支持されており、
前記接触部は、
前記第1のレール又は前記第2のレールにそれぞれ前記電極針の先端部が接触するように磁力により保持した後に、前記回転ノブを回転させることにより、前記電極針の先端部によりレール表面に存在する絶縁膜を破壊して、前記電極針と当該レールとの間の電気的導通を確保し、
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第1のレールのレールボンド箇所が、前記レールの延伸方向に向け前記第1のレール上に順に設けられ、
前記第2のレールのレールボンド箇所、前記第4電極及び第5電極が、前記レールの延伸方向に向け前記第2のレール上に順に設けられ、
前記第2電極から前記第3電極までの間隔と前記第4電極から前記第3電極までの間隔とが同じ間隔になるように当該電極の位置を互いに隔てた位置にして、
前記演算制御部は、
前記第3電極の電位と、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点の電位との電位差に基づいて第3変換情報を生成する第3変換情報生成部と、
前記第3変換情報に基づいて、前記第3電極の電位と、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗との接続点の電位とを等しくするように前記第2の抵抗の抵抗値を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするレールボンド抵抗測定装置。
第1のレールのレールボンド箇所と第2のレールのレールボンド箇所とを接続するレールボンド部におけるレールボンド抵抗を測定するレールボンド抵抗測定装置におけるレールボンド抵抗測定方法であって、
レールボンド抵抗測定装置は、
前記第1のレールから前記第2のレールに向かうレールの延伸方向に順に配置される第1電極、第2電極、第3電極、第4電極、第5電極を含む複数の電極と、
前記第1電極と前記第2電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第1の接触部と、
前記第4電極と前記第5電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第2の接触部と、
前記第3電極の電極針を備え、かつ該電極針が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第3の接触部と、
を備え、
前記接触部は、回転ノブ
を備え、
前記電極針は、前記同一の面の法線方向を軸として、前記軸から径方向に隔てた位置に設けられ、前記回転ノブの回転に伴って前記軸を中心に回転するように支持されており、
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極及び前記第1のレール上のレールボンド箇所が、前記レールの延伸方向に向け前記第1のレール上に順に設けられ、
前記第2のレール上のレールボンド箇所、前記第4電極及び第5電極が、前記レールの延伸方向に向け前記第2のレール上に順に設けられ、
前記第3電極が、前記第2電極と前記第4電極とからそれぞれ所定の距離を隔てて設けられており、
前記第2電極から前記第3電極までの間隔と前記第4電極から前記第3電極までの間隔とが同じ間隔になるように当該電極の位置を互いに隔てた位置にして、
前記第1のレール又は前記第2のレールにそれぞれ前記電極針の先端部が接触するように磁力により保持した後に、前記回転ノブを回転させることにより、前記電極針の先端部によりレール表面に存在する絶縁膜を破壊して、前記接触部が、前記電極針と当該レールとの間の電気的導通を確保する過程と、
電源部が、所定の電圧を印加するか否かを制御する制御信号に応じて、前記第1電極と前記第5電極との間に前記電圧を印加する過程と、
演算制御部が、前記電源部を制御する前記制御信号を生成するとともに、前記第2電極と前記第3電極との間の電位差と、前記第3電極と前記第4電極との間の電位差との比に基づいて、前記レールボンド抵抗の大きさを算出する過程
を含むことを特徴とするレールボンド抵抗測定方法。
【背景技術】
【0002】
電気鉄道において、レールは帰還電流等が流れる電気回路としても利用されている。そのため、レール継目をボンド(例えば、軟銅より線)で橋絡し電気抵抗を低減している。このレール継目のボンド(単に「レールボンド」とも呼ぶ)について、例えば、直流の電車線路の帰線用レールの継目1箇所の電気抵抗は、「レールの長さ5mの抵抗に相当する値以下であること」(レール換算抵抗5m以下であること)と規定されている(「電気設備の技術基準の解釈」参照)。このため、レールを敷設する際には、レールボンド箇所の電気抵抗が上記規定の値を満たすか否かを確認する必要がある。このレールの長さ5mあたりの電気抵抗はきわめて小さく(例えば、50Nレールで170μΩ)、このような低抵抗を測定する方法のひとつとしてホイートストンブリッジ回路による測定方法が用いられている。
【0003】
図9は、既存のレールボンド抵抗測定装置の例を示す図であり、ホイートストンブリッジ回路によりレールボンド抵抗を測定する装置の例を示している。この
図9に示すレールボンド抵抗測定装置3では、測定の基準側となるレール11(基準側レール)とレール12(ボンド側レール)とがレールボンド13により接続される場合において、この基準側レール11の1mの長さの抵抗値を基準にして、レールボンド13の抵抗値(メートル長に換算した値)を測定して表示する。すなわち、レールボンド抵抗測定装置3は、レールボンド13の抵抗値を使用レール1m当たりの電気抵抗に換算して表示する。
【0004】
このレールボンド抵抗の測定のために、基準側レール11とボンド側レール12上に、第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4と、第5電極C5とが、レール表面に接触するようにして配置される。なお、これらの電極C1〜C5は、後述するレール接触器(
図10を参照)を使用してレール11の表面に良好に接触するようにして配置される。
【0005】
そして、このレール11において、基準側レール11からボンド側レール12に向かうレールの延伸方向に、第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3とがこの順に配置される。また、ボンド側レール12において、上記レールの延伸方向に、第4電極C4と、第5電極C5とがこの順に配置される。なお、レール11上に配置される第2電極C2と第3電極C3は、その間隔が1mの長さになるように配置され、この第2電極C2と第3電極C3との間の抵抗値をR
Dとする。従って、抵抗値をR
Dはレール1m当りの抵抗値に相当することになる。
【0006】
また、レール11の第3電極C3とレール12の第4電極C4はレールボンド13を間に挟むように配置される。この第3電極C3と第4電極C4は、その間隔が1mの長さになるように配置され、この第3電極C3と第4電極C4との間の抵抗値をR
X(測定対象となる抵抗)とする。従って、抵抗値R
Xは、より正確にはレールボンド13の抵抗とレールの抵抗とを含む抵抗値となる。
【0007】
また、レールボンド抵抗測定装置3は、定電圧源となるバッテリ42と、抵抗R
Sと可変抵抗R
Mの直列回路と、ガルバノメータG1とを有している。このレールボンド抵抗測定装置3において、上記抵抗R
Sの一端はケーブルを通して第2電極C2に接続され、抵抗R
Sの他端は可変抵抗R
Mの一端に接続され、可変抵抗R
Mの他端はケーブルを通して第4電極C4に接続される。また、抵抗R
Sと可変抵抗R
Mの接続点(ノードN1)にガルバノメータG1の一端が接続され、ガルバノメータG1の他端はケーブルを通して第3電極C3に接続される。上記構成において、抵抗R
D、抵抗R
X、抵抗R
S、抵抗R
M、及びガルバノメータG1により、ホイートストンブリッジ回路が形成される。
【0008】
上記構成において、最初に、バッテリ42の+側端子を、ケーブルを通して第1電極C1に接続し、バッテリ42の−側端子を、ケーブルを通して第5電極C5に接続することにより、第1電極C1と第5電極C5間にバッテリ電圧Vbatを印加し、レール11、レールボンド13、及びレール12に電流を流す。これにより、抵抗R
Dの両端(第2電極C2と第3電極C3との間)に電圧V
RDが発生し、抵抗R
Xの両端(第3電極C3と第4電極C4との間)に電圧V
RXが発生する。また、抵抗R
Sの両端に電圧V
RSが発生し、可変抵抗R
Mの両端に電圧V
RMが発生する。このため、ガルバノメータG1には、第3電極C3とノードN1との間の電位差に応じた電流Ioが流れ、ガルバノメータG1の指針が、+側又は−側の方向に振れる。
【0009】
この状態において、ガルバノメータG1の電流Ioの読みが「0(ゼロ)」になるように可変抵抗R
Mの抵抗値を調整する。ガルバノメータG1の電流Ioの読みが「0(ゼロ)」になるように、可変抵抗R
Mの抵抗値が調整されると、抵抗R
Dの両端の電圧V
RDと、抵抗R
Sの両端の電圧V
RSとが等しくなる(V
RD=V
RS)。また、抵抗R
Xの両端の電圧V
RXと、抵抗R
Mの両端の電圧V
RMとが等しくなる(V
RX=V
RM)。
【0010】
従って、
「R
D:R
X=R
S:R
M」となり、「R
X/R
D=R
M/R
S」となる。
【0011】
ここで、抵抗R
Sと抵抗R
Mの値は既知であり、また、抵抗R
Dはレール長さ1m当りの抵抗値であるため、「R
M/R
S」を算出することにより、抵抗R
Dの値が不明であっても、レール長さに換算された抵抗値(R
X/R
D)を算出することができる。そして、このレールボンド抵抗測定装置3では、測定結果を表示部(図示せず)に表示する際に、表示単位を、抵抗値でなくレール長(レール長換算抵抗値)で表示する。
なお、ガルバノメータG1に流れる電流Ioがゼロであるか否かの検出は、簡単なコイル式の電流計であっても非常に精度良く検出できる。従って、レールボンド抵抗測定装置3によって簡単かつ高精度でレールボンド13の抵抗値を測定することができる。
【0012】
なお、ホイートストンブリッジ回路については、特許文献1にも示されているように、小型化が困難であることが知られている。
【0013】
また、
図10は、電極C1〜C5をレールに接触させるために使用されるレール接触器の構成を示す図であり、
図10(A)は、レール接触器61をレール11に取り付けた状態において、レール11の断面側(レール断面の法線方向側)からレール接触器61を見た図、
図10(B)は、レール11の側面側からレール接触器61を見た図を示している。
図10(A)に示すように、レール接触器61は、絶縁材料で形成される直方体状の絶縁ベース62に、両腕形状の電極アセンブリ63を取り付けて構成されている。また、
図10(B)に示すように、この電極アセンブリ63は、絶縁ベース62の両側面(レール11の延伸方向側の面)に取り付けられており、1つのレール接触器61が2つの電極を備えている。
【0014】
そして、この電極アセンブリ63は、
図10(A)に示すように、一方の腕部63Aに電極(電極針)64が取り付けられ、この電極64の先端部64Aをレール11の側面11aに接触させるよう構成されている。また、電極アセンブリ63の他方の腕部63Bには、ボルト部65とナット部66が設けられ、このボルト部65の一方の端部である先端部65Aをレール11の側面11bに接触させるように構成されている。また、ボルト部65の他方の端部には、このボルト部65を手動により回転させるための回転ハンドル67が設けられており、この回転ハンドル67を矢印A−A´方向に回転させることにより、ボルト部65を矢印X―X´方向に移動させるように構成されている。
【0015】
そして、このレール接触器61をレール11に取り付ける際には、予めレール11の表面11aを研磨することによりサビ等の絶縁膜を破壊し、電極64の先端部64Aとレール表面11aとの接触抵抗が低くなるようにする。その後に、電極64の先端部64Aをレール表面11aに押し当てた状態において、回転ハンドル67を手動で回転させることにより、ボルト部65の先端部65AをX方向に移動させる。これにより、電極64の先端部64Aとボルト部65の先端部65Aとによりレール11を強く締め付け、レール接触器61をレール11に固定するとともに、電極64の先端部64Aをレール表面11aに強く押し当て、電極64とレール11の電気的導通性を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
(レールボンド抵抗測定装置の全体構成の説明)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるレールボンド抵抗測定装置の構成を示す図である。この
図1に示すレールボンド抵抗測定装置1は、測定の基準側となるレール11(基準側レール)とレール12(ボンド側レール)とがレールボンド13により接続される場合において、この基準側レール11の1mの長さの抵抗値を基準にして、レールボンド13の抵抗値(メートル長に換算した値)を測定して表示する装置である。すなわち、レールボンド抵抗測定装置1では、レールボンド13の抵抗値を使用レール1m当たりの電気抵抗の倍数に換算して表示する。
【0030】
このレールボンド抵抗測定装置1は、レール11又はレール12上に固定される3つのレール接触器21、22、23と、電源部41と、差動増幅器51及び52と、演算制御部100と、入力部111と、表示部112と、を備える。
【0031】
そして、このレールボンド抵抗測定装置1において、レールボンド抵抗を測定する際には、レール11及び12上に、レールの延伸方向に向かって(レール11からレール12に向かう方向)に第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4と、第5電極C5とがこの順に、レール表面に接触するようにして配置される。また、この複数の電極C1〜C5の内、第1電極C1と第2電極C2がレール接触器21に含まれ、第3電極C3(2個の電極で構成される電極)がレール接触器22に含まれ、第4電極C4と第5電極C5とがレール接触器23に含まれるように配置される。この場合に、レール11上の第2電極C2と第3電極C3とは、その間隔が所定の基準長さ(通常は1mの長さ)になるように配置され、この第2電極C2と第3電極C3との間のレールの抵抗値をR
Dとする。従って、抵抗値をR
Dはレール1m当りの抵抗値に相当することになる。
【0032】
また、レール11の第3電極C3とレール12の第4電極C4はレールボンド13を間に挟むように配置され、この第3電極C3と第4電極C4との間隔も1mの長さになるように配置され、この第3電極C3と第4電極C4との間の抵抗値をR
X(測定対象となる抵抗)とする。従って、抵抗値をR
Xは、より正確にはレールボンド13の抵抗とレールの抵抗とを含む抵抗値となる。
【0033】
図2は、レール接触器の概略構成を示す図であり、例えば、レール接触器21の構成を示す図である(他のレール接触器22、23についても同様な構成である)。この図に示すように、レール接触器21は、絶縁材料で形成されるベース31の表面a上に配設された複数の電極針(電極)32と、マグネット33とを有し、このマグネット33の磁力により、レール接触器21をレール11の表面(軌道面)11Aに吸着固定するとともに、電極針32の先端部32Aをレール表面11Aに接触させる。また、電極針32は、後述する回転ノブ40(
図5参照)を回転させることより、レール軌道面に対する法線方向(Y−Y´方向)の中心軸Cを中心にして回動可能に構成されている。
【0034】
そして、電極針32の先端部32Aがレール表面11Aに接触した状態において、この回転ノブ40(
図5参照)により電極針32を回転させることにより、この電極針32の先端部32Aによりレール表面11Aに存在する絶縁膜(サビ等による生じる厚膜)を破壊し、電極針32とレール11との間の電気的導通を確保する。このように、本実施形態のレール接触器21を用いることにより、レール接触器21をレール11上に確実かつ容易に固定できるとともに、レール表面11Aを研磨することなく電極針32とレール11との間の接触抵抗を低く抑えることが可能になる。また、
図10に示す既存のレール接触器61と比較して、レール11を挟み付けて固定する必要がなく、レール接触器の小型と軽量化を図ることができる。
なお、この3つのレール接触器21、22、23は、後述するようにレール接触器21、22、23がケーブル接続された電極プローブ(
図4を参照)として一体化されて構成されており、この電極プローブの詳細については後述する。
【0035】
また、
図1に示すレールボンド抵抗測定装置1において、電源部41は、バッテリ42とスイッチ43との直列回路で構成され、バッテリ42の+側端子がレール接触器21の第1電極C1に接続され、バッテリ42の−側端子がスイッチ43を介して、レール接触器23の第5電極C5により接続される。この電源部41の構成により、スイッチ43をオン(導通)することにより、バッテリ42側から第1電極C1と第5電極C5との間に所定の電圧(バッテリ電圧Vbat)が印加され、レール11、レールボンド13、及びレール12に電流が流れる。なお、スイッチ43は、機械的な接点を有するスイッチであってもよいし、FET等で構成される半導体スイッチであってもよい。
【0036】
第1差動増幅器51は、一方の入力端子が第2電極C2に接続され、他方の入力端子が第3電極C3に接続され、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1を増幅する。また、第2差動増幅器52は、一方の入力端子が第3電極C3に接続され、他方の入力端子が第4電極C4に接続され、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2を増幅する。
【0037】
演算制御部100は、電源部41(より正確にはスイッチ43)を制御する制御信号Scを生成するとともに、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1と、第3電極C3と第4電極C4と間の電位差V2との比に基づいて、レールボンド13の抵抗の大きさ(レール長換算抵抗値)を算出する処理部である。この演算制御部100は、第1変換情報生成部101と、第2変換情報生成部102と、演算部103と、制御部104と、表示制御部105と、を備える。また、この演算制御部100には、押しボタンスイッチ等で構成される入力部111と、液晶表示パネル等で構成される表示部112とが付設されている。なお、入力部111には、レールボンド抵抗測定の実行を指示する押しボタンスイッチ(図示せず)を備え、この押しボタンスイッチが押下することにより、演算制御部100においてレールボンド抵抗の測定が自動で実行され、その測定結果(レールボンド抵抗のレール長換算抵抗値)が表示部112に表示されるものである。
【0038】
演算制御部100内の制御部104は、演算制御部100内の各処理部の全体を統括して制御する制御部である。この制御部104では、例えば、入力部111の押しボタンスイッチ等によりレールボンド抵抗測定の実行を指示された場合に、スイッチ43を制御する制御信号Scを生成し、この制御信号Scによりスイッチ43をオン(導通)させることにより、第1電極C1と第5電極C5との間にバッテリ42によりバッテリ電圧Vbatを印加させる。また、制御部104は、第1変換情報生成部101と、第2変換情報生成部102と、演算部103とを制御して、レールボンド抵抗の測定処理を実行する。制御部104は、その測定結果を、表示制御部105を通して表示部112に表示する。
【0039】
演算制御部100内の第1変換情報生成部101は、第1差動増幅器51の出力信号(電位差V1を増幅した信号)を入力し、第2電極C1と第3電極C3との間の電位差V1に基づいた第1変換情報S1を生成する。この第1変換情報S1を生成する際に、第1変換情報生成部101は、レール11及び12(より正確には第1電極C1と第5電極C5との間)にバッテリ電圧Vbatを印加している場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1on(バッテリ電圧Vbatを印加している場合の電位差V1)を変換した基準電圧情報S1onを生成する。
【0040】
また、第1変換情報生成部101は、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1off(バッテリ電圧Vbatを印加していない場合の電位差V1)を変換した基準電圧オフセット情報S1offを生成する。そして、第1変換情報生成部101は、基準電圧情報S1onから基準電圧オフセット情報S1offを減算した第1変換情報S1(=S1on−S1off)を生成し、この生成した第1変換情報S1の信号を演算部103に向けて出力する。
【0041】
なお、第1変換情報生成部101において、基準電圧オフセット情報S1offを生成する際には、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offを複数回検出し、これらの電位差V1offoを平均した値を変換して基準電圧オフセット情報S1offを生成するようにしてもよい。また、基準電圧オフセット情報S1offを生成する際には、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offと、同じくレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2offとを平均化した電位差「(V1off+V2off)/2」を変換して基準電圧オフセット情報S1offを生成するようにしてもよい。
【0042】
また、第2変換情報生成部102は、第2差動増幅器52の出力信号(電位差V2を増幅した信号)を入力し、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2に基づいた第2変換情報S2を生成する。この第2変換情報S2を生成する際に、第2変換情報生成部102は、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加している場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2on(バッテリ電圧Vbatを印加している場合の電位差V2)を変換した検出電圧情報S2onを生成し、また、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2off(バッテリ電圧Vbatを印加していない場合の電位差V2)を変換した検出電圧オフセット情報S2offを生成し、検出電圧情報S2onから検出電圧オフセット情報S2offを減算した第2変換情報S2(=S2on−S2off)を生成する。この第2変換情報生成部102は、この生成した第2変換情報S2の信号を演算部103に向けて出力する。
【0043】
なお、第2変換情報生成部102において、検出電圧オフセット情報S2offを生成する際には、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2off(バッテリ電圧Vbatを印加してない場合の電位差V2)を複数回検出し、これを平均した結果を変換して検出電圧オフセット情報S2offとするようにしてもよい。また、検出電圧オフセット情報S2offを生成する際には、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offと、同じくレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2offと平均化した電位差「(V1off+V2off)/2」を変換して検出電圧オフセット情報S2offを生成するようにしてもよい。
【0044】
演算部103では、第1変換情報生成部101から第1変換情報S1の信号を入力し、第2変換情報生成部102から第2変換情報S2の信号を入力し、この第2変換情報S2の値を第1変換情報S1の値により除算することにより、レールボンド13の抵抗値R
LB(メートル長に換算された抵抗値)を算出する。演算部103では、算出したレールボンド13の抵抗値R
RBを制御部104に出力する。制御部104は、演算部103から入力したレールボンド13の抵抗値R
RBの信号を表示制御部105に出力し、表示制御部105は、抵抗値R
RBをメートル長に換算された抵抗値として表示部112に表示する。
【0045】
なお、上述した演算制御部100は、CPU、ROM、RAM、A/Dコンバータ、タイマ、及びカウンタ等を有するマイクロコントローラやマイクロコンピュータ等を用いて構成されており、この演算制御部100において行われる処理の過程は、プログラムの形式でROM等に記憶されており、このプログラムをCPUが読み出して実行することによって、演算制御部100に必要な機能が実現される。すなわち、第1変換情報生成部101、第2変換情報生成部102、演算部103、制御部104、表示制御部105等における各処理の全部又は1部の機能は、CPUがROM等から上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。
【0046】
また、
図3は、レールボンド抵抗測定装置1におけるレールボンド抵抗測定処理の流れをフローチャートで示したものである。以下、
図3を参照して、その処理の流れについて説明する。なお、このレールボンド抵抗測定装置1において、レールボンド抵抗測定処理を開始する前に、第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4と、第5電極C5とが、レール表面に良好に接触するようにして既に配置されているものとする。
【0047】
そして、最初に、入力部111を通して演算制御部100に対してレールボンド抵抗測定処理の開始を指示する(ステップS101)。演算制御部100では、第1変換情報生成部101により、第1差動増幅器51の出力信号を入力し、レール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1off(バッテリ電圧Vbatを印加していない場合の電位差V1)を変換した基準電圧オフセット情報S1offを生成する(ステップS102)。また、第2変換情報生成部102においても、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2off(バッテリ電圧Vbatを印加していない場合の電位差V2)を変換した検出電圧オフセット情報S2offを生成する(ステップS103)。
【0048】
その後、制御部104は、電源部41内のスイッチ43をオン(導通)にし、レール11及び12(より正確には第1電極C1と第5電極C5との間)にバッテリ電圧Vbatを印加する(ステップS104)。なお、電源部41内のスイッチ43をオン(導通)にしておく時間は、レールボンド抵抗測定が終了するまでの時間とすることができる(例えば、1秒以下とすることができる)。
そして、第1電極C1と第5電極C5との間にバッテリ電圧Vbatが印加されると、第1変換情報生成部101は、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1on(バッテリ電圧Vbatが印加された場合の電位差V1)を変換した基準電圧情報S1onを生成し(ステップS105)、第2変換情報生成部102は、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2on(バッテリ電圧Vbatが印加された場合の電位差V2)を変換した検出電圧情報S2onを生成する(ステップS106)。
【0049】
続いて、第1変換情報生成部101では、基準電圧情報S1onから基準電圧オフセット情報S1offを減算した第1変換情報S1(=S1on−S1off)を生成し、この第1変換情報S1の信号を演算部103に出力する(ステップS107)。また、第2変換情報生成部102では、検出電圧情報S2onから検出電圧オフセット情報S2offを減算した第2変換情報S2(=S2on−S2off)を生成し、この第2変換情報S2の信号を演算部103に出力する(ステップS108)。
【0050】
続いて、演算部103では、第1変換情報生成部101から第1変換情報S1の信号を入力し、第2変換情報生成部102から第2変換情報S2の信号を入力し、この第2変換情報S2の値を、第1変換情報S1の値により除算することにより、レールボンド13の抵抗値R
RB(メートル長に換算された抵抗値)を算出する(ステップS109)。演算部103では、算出したレールボンド13の抵抗値R
RBを制御部104に出力し、制御部104は、演算部103から入力したレールボンド13の抵抗値R
RBの信号を表示制御部105に出力し、表示制御部105は表示部112に、抵抗値R
RBをメートル長に換算された抵抗値として表示させる(ステップS110)。
【0051】
以上説明したように、第1の実施形態のレールボンド抵抗測定装置1では、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1と、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2とを検出し、この電位差V1と電位差V2との比によりレールボンド抵抗を測定するので、ホイートストンブリッジ回路のように手動で抵抗調整を行う必要がなく、レールボンド抵抗の自動測定が可能となる。
【0052】
(レール接触器の構成の説明)
次に、本発明のレールボンド抵抗測定装置において電極をレールに接触させるために使用されるレール接触器の構成について説明する。
図4は、レール接触器の構成について説明するための図であり、レール接触器21、22、23は、レール接触器22を中心として相互にケーブル接続されることにより、電極プローブ20として一体化されて構成されている。より具体的には、レール接触器21とレール接触器22とはケーブル38A及びケーブルクランプ39Aを用いて接続されており、また、レール接触器22とレール接触器23とはケーブル38B及びケーブルクランプ39Bを用いて接続されている。なお、ケーブル38A及びケーブル38Bの長さを1mにすることにより、レール接触器21、22、23をレール上に設置する際に、メジャー等で計測することなく、第2電極C2と第3電極C3とを1mの間隔でレール上に配置することができ、また、第3電極C3と第4電極C4とを1mの間隔でレール上に配置することができる。
【0053】
図4(A)は、この電極プローブ20を上面側(レールと接触しない面側)から見た図である。
図4(B)は、レール接触器21を下面側(レールと接触する面側)から見た図であり、
図4(C)は、レール接触器22を側面側から見た図である。
【0054】
この電極プローブ20において、レール接触器21は、前述の第1電極C1と第2電極C2とを備え、レール接触器22は第3電極C3を備え、レール接触器23は、第4電極C4と第5電極C5とを備えている。そして、上記第1電極C1から第5電極C5までのそれぞれの電極に繋がる配線が、レール接触器23のケーブルクランプ39C及びケーブル38Cを通して、外部に引き出されている。
【0055】
次に、このレール接触器21、22、23の詳細な構造について説明する。
図5は、レール接触器の詳細な構造を示す図であり、例えば、レール接触器21の構成を示す図である。なお、レール接触器22及びレール接触器23についても同様な構成である。
【0056】
この
図5において、
図5(A)は、レール接触器21の上面図(レール接触器21をレール接触面の反対側から見た図)を示し、
図5(B)は、レール接触器21の側面図を示し、
図5(C)は、レール接触器21の下面図(レール接触器21をレール接触面側から見た図)を示している。なお、
図5(B)の上面図においては、レール接触器21の中心線Cを境にA−A´側の回転ノブ40の部分を取り除いた形状を示しており、
図5(B)においては、レール接触器21の中心線Cを境にB−B´側はレール接触器21の断面の形状を示している。また、
図6に、レール接触器21を構成する部品の部品表を参考のために示している。
【0057】
図5に示すように、レール接触器21は、電極針32を保持するベース(絶縁材)31と、電極針アセンブリ31Aに保持される6個の先端部が尖った電極針(電極)32と、このレール接触器21をレール面に吸着して固定するためのマグネット33と、スプリング34と、スペーサ35と、本体カバー36と、MGボルト37と、ケーブル38と、ケーブルクランプ39と、回転ノブ40と、を備える。なお、
図6のレール接触器の部品表に示すように、電極針32は、タングステンカーバイド鋼等の超硬材で形成され、マグネット33はネオジウム等で形成されている。
【0058】
そして、このレール接触器21では、
図5(B)に示すように、電極針32は回転体である電極針アセンブリ31Aに保持され、この電極針アセンブリ31Aは、6個の電極針32の先端部がなす面(レールに接触する基準面)の法線方向を軸として、回転ノブ40により回動可能に構成されている。また、電極針32はスプリング34により保持され、Y−Y´方向に微小な距離(例えば、数mm程度)だけ移動可能に構成されている。
そして、通常状態(レール接触器21をレール上に固定していない状態)においては6個の電極針32の先端部が、マグネット33のレール吸着面よりも、例えば、1mm程度下側(Y´方向)に突き出すように構成されている。
【0059】
上記構成において、レール接触器21をレールに固定する場合は、まず、電極針32の先端部をレール表面に接触させた状態において、回転ノブ40をY´方向に押し込むことにより、マグネット33をY´方向に下降させ、マグネット33の表面をレール表面に密着させてレール接触器21をレール表面に吸着固定する。このマグネット33をY´方向に下降させることにより、電極針32はレール表面側からの圧力を受けて、電極針32はY方向に移動する。この際に、スプリング34の作用により、電極針32の先端はレール表面に強く押し付けられる。この状態において、回転ノブ40を回転することにより、電極針32の先端部をレール表面において摺動回転させ、電極針32の先端部によりレール表面のサビ等の絶縁膜を破壊して電極針32とレールとの接触抵抗を低くする。
【0060】
上記レール接触器21の構成により、レール接触器21をレール11上に確実に吸着固定できるとともに、レール11の表面を磨くことなく電極針32とレール11との間の接触抵抗を低く抑えることが可能になる。また、
図10に示す既存のレール接触器61と比較して、レール11を挟み付けて固定する必要がなく、レール接触器の小型と軽量化を図ることができる。
【0061】
なお、レール接触器21には、例えば6個の電極針32が電極として設備されており、これらの6個の電極を用途に応じて使分けることができる。例えば、レール接触器21では、第1電極C1として3個の電極を使用し、第2電極C2として3個の電極を使用し、レール接触器22では、第3電極C3として6個の電極を使用し、レール接触器23では、第4電極C4として3個の電極を使用し、第5電極C5として3個の電極を使用することができる。
【0062】
また、例えば、レール接触器21では、第1電極C1として2個の電極を使用し、第2電極C2として4個の電極を使用し、レール接触器22では、第3電極C3として6個の電極を使用し、レール接触器23では、第4電極C4として4個の電極を使用し、第5電極C5として3個の電極を使用することができる。また、例えば、レール接触器21では、第1電極C1として1個の電極を使用し、第2電極C2として1個の電極を使用し、レール接触器22では、第3電極C3として1個の電極を使用し、レール接触器23では、第4電極C4として1個の電極を使用し、第5電極C5として1個の電極を使用することができる。
【0063】
[第2の実施形態]
前述の第1の実施形態では、ホイートストンブリッジ回路を用いることなく、レールボンド抵抗を測定するレールボンド抵抗測定装置の例について説明したが、本発明の第2の実施形態としてホイートストンブリッジ回路を用いたレールボンド抵抗測定装置の例について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係わるレールボンド抵抗測定装置の構成を示す図である。
図7に示す第2の実施形態のレールボンド抵抗測定装置2は、
図1に示す第1の実施形態のレールボンド抵抗測定装置1と比較して、
図7に示す演算制御部100Aの構成が
図1に示す演算制御部100の構成と異なるものであり、他の構成は、
図1に示すレールボンド抵抗測定装置1と同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
図7に示すレールボンド抵抗測定装置2において、演算制御部100Aは、抵抗R
Sと可変抵抗R
Mの直列回路と、差動増幅器106と、第3変換情報生成部107と、制御部104Aと、表示制御部105と、を備える。そして、上記抵抗R
Sの一端はケーブルを通して第2電極C2に接続され、抵抗R
Sの他端は可変抵抗R
Mの一端に接続され、可変抵抗R
Mの他端はケーブルを通して第4電極C4に接続される。上記構成において、抵抗R
D、抵抗R
X、抵抗R
S、抵抗R
Mにより、ホイートストンブリッジ回路が形成される(但し、
図9に示すガルバノメータG1を含まない)。
【0065】
差動増幅器106は、一方の入力端子が第3電極C3に接続され、他方の入力端子が抵抗R
Sと可変抵抗R
Mの接続点(ノードN2)に接続され、この差動増幅器106は、第3電極C3とノードN2との間の電位差V3を増幅する。
【0066】
第3変換情報生成部107は、第3電極C3の電位と、抵抗R
Sと抵抗R
Mとの接続点(ノードN2)の電位との電位差V3に基づいて第3変換情報S3を生成する。第3変換情報生成部107は、この生成した第3変換情報S3の信号を制御部104Aに向けて出力する。制御部104Aは、第3変換情報生成部107から入力した第3変換情報S3の信号に基づいて制御信号Svarを生成し、この制御信号Svarにより、第3電極C3の電位とノードN2(抵抗R
Sと可変抵抗R
Mとの接続点)の電位とを等しくするように、可変抵抗R
Mの抵抗値を制御する。
【0067】
このように、第3電極C3の電位と、ノードN2の電位とを等しくすることにより、第3電極C3とノードN2との間の電位差V3が0(ゼロ)となる。このことは、前述の
図9に示すホイートストンブリッジ回路において、ガルバノメータG1の電流Ioの読みが「0(ゼロ)」になるように可変抵抗R
Mの抵抗値を調整することと等価になる。
【0068】
従って、前述したように、
「R
D:R
X=R
S:R
M」となり、「R
X/R
D=R
M/R
S」となる。
【0069】
ここで、抵抗R
Sと抵抗R
Mの値は既知であり、また、抵抗R
Dはレール長さ1m当りの抵抗値であるため、「R
M/R
S」を算出することにより、抵抗R
Dの値が不明であっても、レール長さに換算された抵抗値R
X(レールボンドの抵抗)を算出することができる。このレールボンド抵抗測定装置2では、測定結果を表示部112に表示する際に、表示単位を、抵抗値でなくレール長(例えば、m単位)で表示する。
【0070】
また、
図8は、上述したレールボンド抵抗測定装置2おけるレールボンド抵抗測定処理の流れをフローチャートで示した図である。以下、
図8を参照して、その処理の流れについて説明するなお、このレールボンド抵抗測定装置1において、レールボンド抵抗測定処理を開始する前に、第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4と、第5電極C5とが、レール表面に良好に接触するようにして既に配置されているものとする。
【0071】
そして、最初に、入力部111を通して演算制御部100に対してレールボンド抵抗測定処理の開始を指示する(ステップS201)。演算制御部100では、制御部104Aを通して、電源部41内のスイッチ43をオン(導通)にし、第1電極C1と第5電極C5との間にバッテリ電圧Vbatを印加する(ステップS202)。第1電極C1と第5電極C5との間にバッテリ電圧Vbatが印加されると、差動増幅器106により、第3電極C3とノードN2(抵抗R
Sと抵抗R
Mとの接続点)との間の電位差V3を検出する(ステップS203)。
【0072】
第3変換情報生成部107は、第3電極C3の電位と、ノードN2(抵抗R
Sと可変抵抗R
Mとの接続点)の電位との電位差V3に基づいて第3変換情報S3の信号を生成する。制御部104Aは、第3変換情報S3の信号に基づいて制御信号Svarを生成し、この制御信号Svarにより、第3電極C3の電位と、ノードN2の電位とを等しくするように、可変抵抗R
Mの抵抗値を制御する。
すなわち、制御部104Aでは、第3変換情報生成部107から第3変換情報S3の信号を入力し、電位差V3が0(セロ或いは所定の値以下)であるか否かを判定し(ステップS204)、電位差V3が0でないと判定された場合は(ステップS204:No)、抵抗R
Mの抵抗値を変更し(ステップS205)、再度、ステップS204に戻り、差動増幅器106により、第3電極C3とノードN2との間の電位差V3を検出する。
【0073】
一方、ステップS204において、電位差V3が0(セロ或いは所定の値以下)であると判定された場合は(ステップS204:Yes)、制御部104Aでは、演算部104Bにより抵抗R
Sと抵抗R
Mの抵抗値を基に、レール長さに換算された抵抗値R
X(レールボンド抵抗のレール長換算値)を算出する(ステップS206)。制御部104Aでは、算出したレールボンド13の抵抗値R
RBの信号を表示制御部105に出力し、表示制御部105は、抵抗値R
RBをメートル長に換算された抵抗値として表示部112に表示する(ステップS207)。
【0074】
このように、第2の実施形態のレールボンド抵抗測定装置2においては、可変抵抗R
Mの抵抗値を自動調整可能な構成としたことにより、ホイートストンブリッジ回路を使用するとともに、レールボンド抵抗を自動で測定することができる。また、レール接触器21、22、23を第1の実施形態と同様にマグネットによる固定式としているため、レール接触器21、22、23のレール11及び12への設置が容易になる。また、レール接触器21、22、23において複数の針状の電極針(電極)32を配列することにより、第1電極C1、第2電極C2、第3電極C3、第4電極C4、及び第5電極C5のそれぞれ電極とレール表面との接触抵抗を低くすることができる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここで、上記実施形態と本発明との対応関係について補足して説明しておく。上記実施形態において、本発明におけるレールボンド抵抗測定装置は、
図1に示すレールボンド抵抗測定装置1、或いは
図7に示すレールボンド抵抗測定装置2が対応する。また、本発明における第1のレールはレール11(基準側レール11)が対応し、本発明における第2のレールはレール12(ボンド側レール12)が対応し、本発明におけるレールボンド部は、レールボンド13が対応する。また、本発明における接触部は、レール接触器21、22、23が対応する。また、本発明における第1の接触部は、レール接触器21が対応し、本発明における第2の接触部は、レール接触器23が対応し、本発明における第3の接触部は、レール接触器22が対応する。また、本発明における接触端子は、レール接触器21、22、23が対応する。
【0076】
(1)そして、上記実施形態において、レールボンド抵抗測定装置1は、第1のレール11のレールボンド箇所と第2のレール12のレールボンド箇所とを接続するレールボンド13におけるレールボンド抵抗を測定するレールボンド抵抗測定装置1であって、第1のレール11から第2のレール12に向かうレールの延伸方向に順に配置される第1電極C1、第2電極C2、第3電極C3、第4電極C4、第5電極C5を含む複数の電極と、所定の電圧を印加するか否かを制御する制御信号に応じて、第1電極C1と第5電極C5との間に所定の電圧(バッテリ電圧Vbat)を印加する電源部41と、電源部41を制御する制御信号を生成するとともに、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1と、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2との比に基づいて、レールボンド抵抗の大きさを算出する演算制御部100と、を備え、第1電極C1、第2電極C2、第3電極C3及び第1のレール11のレールボンド箇所(レールボンド13)が、レール11の延伸方向に向け第1のレール11上に順に設けられ、第2のレール12のレールボンド箇所(レールボンド13)、第4電極C4、及び第5電極C5が、レールの延伸方向に向け第2のレール12上に順に設けられ、第3電極C3が、第2電極C2と第4電極C4とからそれぞれ所定の距離を隔てて設けられ、複数の電極は、対向する第1のレール11又は第2のレール12との接触抵抗を低くするように設けられる。
【0077】
このような構成のレールボンド抵抗測定装置1においては、第1のレール11と第2のレール12のレールボンド箇所(レールボンド13)の抵抗を測定するために、第1のレール11上に、第1電極C1、第2電極C2、第3電極C3を、レールの延伸方向(レール11からレール12に向かう方向)にこの順に配置する。この場合に、第3電極C3をレールボンド箇所に接近した位置に配置し、また、第2電極C2と第3電極C3との間隔が所定の長さ(例えば、1m)になるように配置する。また、第2のレール12上に、第4電極C4と第5電極C5とを上記レールの延伸方向に向けてこの順に配置する。この場合に、第1のレール11上の第3電極C3と、第2のレール12上の第4電極C4との間隔が所定の長さ(例えば、1m)になるように配置する。なお、第1電極C1、第2電極C2、第3電極C3、第4電極C4、第5電極C5は、対向する第1のレール11又は第2のレール12の表面との接触抵抗が低くなるようにして配置される。
【0078】
そして、電源部41により、第1電極C1と第5電極C5との間に所定のバッテリ電圧Vbatを印加し、演算制御部100により、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1と、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2とを検出し、この電位差V1と電位差V2との比に基づいて、レールボンド抵抗の大きさ(メートル長に換算された抵抗値)を算出する。
これにより、既存のホイーストンブリッジ回路を用いたレールボンド抵抗測定装置のように、ホイートストンブリッジ回路内の可変抵抗を手動で調整する必要がなく、レールボンド抵抗を自動で測定することができる。このため、レールボンド抵抗の測定作業を簡易化することができるとともに、測定に要する作業時間を短縮することができる。
【0079】
(2)また、上記実施形態において、演算制御部100は、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1に基づいた第1変換情報S1を生成する第1変換情報生成部101と、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2に基づいた第2変換情報S2を生成する第2変換情報生成部102と、第2変換情報S2の値を、第1変換情報S1の値により除算する演算部103と、を備える。
【0080】
このような構成のレールボンド抵抗測定装置1においては、第1変換情報生成部101により、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1に基づいた第1変換情報S1を生成し、第2変換情報生成部102により、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2に基づいた第2変換情報S2を生成する。そして、演算部103により、第2変換情報S2の値を、第1変換情報S1の値により除算することにより、レールボンド抵抗(メートル長に換算された抵抗値)を算出する。
これにより、第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1と、第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2とを測定し、この電位差V1と電位差V2とに基づいて、レールボンド抵抗(メートル長に換算された抵抗値)を算出することができる。このため、既存のホイーストンブリッジ回路を用いたレールボンド抵抗測定装置のように、ホイートストンブリッジ回路内の可変抵抗を手動で調整する必要がなく、レールボンド抵抗を自動で測定することができ、レールボンド抵抗の測定作業を簡易化することができる。
【0081】
(3)また、上記実施形態において、レールボンド抵抗測定装置1は、第2電極C2に接続される第1の入力端子と、第3電極C3に接続される第2の入力端子を備える第1差動増幅器51と、第3電極C3に接続される第1の入力端子と、第4電極C4に接続される第2の入力端子を備える第2差動増幅器52と、測定実行を指示された場合に、電源部41に所定の電圧(バッテリ電圧Vbat)を所定期間印加させる制御信号を生成する制御部104と、を備え、第1変換情報生成部101は、電源部41がレール11及び12に電圧Vbatを印加している場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1onを変換した基準電圧情報S1onを生成し、電源部41が所定の電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offを変換した基準電圧オフセット情報S1offを生成し、基準電圧情報S1onから基準電圧オフセット情報S1offを減算した第1変換情報S1(=S1on−S1off)を生成し、第2変換情報生成部102は、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加している場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2onを変換した検出電圧情報S2onを生成し、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2offを変換した検出電圧オフセット情報S2offを生成し、検出電圧情報S2onから検出電圧オフセット情報S2offを減算した第2変換情報S2(=S2on−S2off)を生成する。
【0082】
このような構成のレールボンド抵抗測定装置1においては、第1変換情報生成部101は、電源部41がレール11及び12(より正確には第1電極C1と第5電極C5間)にバッテリ電圧Vbatを印加している場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1onを変換した基準電圧情報S1onを生成し、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offを変換した基準電圧オフセット情報S1offを生成し、基準電圧情報S1onから基準電圧オフセット情報S1offを減算した第1変換情報S1を生成する。また、第2変換情報生成部102は、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加している場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2onを変換した検出電圧情報S2onを生成し、電源部41がレール11及び12にバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2offを変換した検出電圧オフセット情報S2offを生成し、検出電圧情報S1onから検出電圧オフセット情報S2offを減算した第2変換情報S2(=S2on−S2off)を生成する。
これにより、演算部103において、第1変換情報生成部101から入力する第1変換情報S1と、第2変換情報生成部102から入力する第2変換情報S2とを基に、レールボンド抵抗を算出する際に、第1変換情報S1と第2変換情報S2とに含まれるオフセット電圧分を除外することができる。このため、レールボンド抵抗の測定精度を向上させることができる。
【0083】
(4)また、上記実施形態において、第1変換情報生成部101は、複数回の検出により得られた、電源部41がバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第2電極C2と第3電極C3との間の電位差V1offを変換して平均した結果を基準電圧オフセット情報S1offとし、第2変換情報生成部102は、複数回の検出により得られた、電源部41がバッテリ電圧Vbatを印加していない場合の第3電極C3と第4電極C4との間の電位差V2offを変換して平均した結果を検出電圧オフセット情報S2offとする。
これにより、基準電圧オフセット情報S1offと検出電圧オフセット情報S2offを求める際に、平均化されたオフセット情報を求めることができる。このため、レールボンド抵抗の測定精度を向上させることができる。
【0084】
(5)また、上記実施形態において、レールボンド抵抗測定装置1は、基準面に対し同じ方向に突出する記複数の電極(電極針32)が並べて保持されるように設けられた複数のレール接触器21、22、23を備え、この複数のレール接触器21、22、23は、第1電極C1と第2電極C2を含む複数の電極を備え、かつ該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第1のレール接触器21と、第4電極C4と第5電極C5を含む複数の電極を備え、かつ該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第2のレール接触器23と、第3電極C3を含む電極を備え、かつ該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第3のレール接触器22と、を備え、複数のレール接触器21、22、23は、第1のレール11又は第2のレール12にそれぞれ上記電極を接触するように磁力により保持する。
【0085】
このような構成のレールボンド抵抗測定装置1においては、第1電極C1と第2電極C2を含み、該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第1のレール接触器21と、第4電極C4と第5電極C5を含み、該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第2のレール接触器23と、第3電極C3を含み、該電極が同一の面から同じ方向に突出するように並べて設けられる第3のレール接触器22と、を備える。そして、レール接触器21、22、23のそれぞれを、第1のレール11又は第2のレール12上に磁力により吸着固定するとともに、この磁力によりレール接触器21、22、23のそれぞれの電極がレール表面に接触するように保持する。
これにより、レール接触器21、22、23を第1のレール11又は第2のレール12上に磁力により容易に固定することができるとともに、レール接触器21、22、23のそれぞれの電極を、磁力を用いてレール表面に押し付けて接触させることができる。
【0086】
(6)また、上記実施形態において、レール接触器21、22、23は、上記設けられた電極を対向する第1のレール11又は第2のレール12にそれぞれ接触させるように磁力による応力を働かせる磁石(マグネット33)を備える。
これにより、レール接触器21、22、23を磁石(マグネット33)により第1のレール11又は第2のレール12に容易に吸着固定することができるとともに、レール接触器21、22、23のそれぞれの電極を、磁石(マグネット33)の磁力を用いて対向するレール表面に押し付けるようにして接触させることができる。
【0087】
(7)また、上記実施形態において、レール接触器21、22、23は、レール接触器21、22、23は外部に接続される接続線を取り出す開口部が所定の方向に設けられた本体と、本体に対し、電極を保持する基準面の法線方向を軸として、電極を保持して回転する回転体と、回転体を回転させる回転ノブと、を備える。
このような構成のレールボンド抵抗測定装置1では、レール接触器21、22、23は、
図5に示すように、外部に接続される接続線(ケーブル38)を取り出す開口部(ケーブルクランプ39)が本体に設けられ、また、本体に対し、電極(電極針32)を保持する基準面の法線方向を軸Cとして、電極(電極針32)を保持して回転する回転体(電極針アセンブリ31A)と、この回転体(電極針アセンブリ31A)を回転させる回転ノブ40と、を備える。
これにより、レール接触器21、22、23の電極(電極針32)と演算制御部100とをケーブル38により接続することができる。また、回転ノブ40を回転させることにより、電極(電極針32)の先端部をレール表面に接触させながら摺動させ、レール表面のサビ等の絶縁膜を破壊することができる。
【0088】
(8)また、上記実施形態において、レールボンド抵抗測定装置2は、一端が第2電極C2に接続される第1の抵抗R
Sと、一端が第4電極C4に接続され、他端が第1の抵抗R
Sの他端に接続され、演算制御部100Aからの指令に応じて抵抗値が制御される第2の抵抗R
Mと、を備え、上記演算制御部100Aは、第3電極C3の電位と、第1の抵抗R
Sと第2の抵抗R
Mとの接続点(ノードN2)の電位との電位差V3に基づいて第3変換情報S3を生成する第3変換情報生成部107と、第3変換情報S3に基づいて、第3電極C3の電位と、第1の抵抗R
Sと第2の抵抗R
Mとの接続点(ノードN2)の電位とを等しくするように第2の抵抗R
Mの抵抗値を制御する制御部104Aと、を備える。
【0089】
このような構成のレールボンド抵抗測定装置2においては、一端が第2電極C2に接続される第1の抵抗R
Sと、一端が第4電極C4に接続され他端が第1の抵抗R
Sの他端に接続される第2の抵抗R
Mと、を備える。これにより、第2電極C2と第3電極C3との間のレール抵抗R
Dと、第3電極C3と第4電極C4との間の抵抗R
Xと、上記抵抗R
Sと、上記抵抗R
Mと、によりホイートストンブリッジ回路を構成する。そして、演算制御部100A内の制御部104Aにより、第3電極C3の電位と、第1の抵抗R
Sと第2の抵抗R
Mの接続点(ノードN2)の電位とが等しくなるように、抵抗R
Mの抵抗値を制御する。これにより、例えば、
図9に示すホイートストンブリッジ回路において、ガルバノメータG1の電流Ioの読みが「0(ゼロ)」になるように可変抵抗R
Mの抵抗値を調整することと等価になり、式(R
X/R
D=R
M/R
S)により、レール長さに換算された抵抗値R
X(レールボンド抵抗のレール長換算値)を算出することができる。
このように、レールボンド抵抗測定装置2では,可変抵抗R
Mの抵抗値を自動調整可能な構成としたことにより、ホイートストンブリッジ回路を用いて、レールボンド抵抗を自動で測定することができる。
【0090】
(9)また、上記実施形態において、接触端子(レール接触器21、22、23)は、複数の電極として、第1電極C1及び第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4及び第5電極C5とのうちから、少なくともいずれかを備える。
これにより、3つの接触端子(レール接触器21、22、23)を用いて、基準側レール11及びボンド側レール12上に、第1電極C1と、第2電極C2と、第3電極C3と、第4電極C4と、第5電極C5とを、レール表面に良好に接触するようにして容易に配置することができる。
【0091】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明のレールボンド抵抗測定装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。