特許第5743583号(P5743583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743583
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】組合せ秤
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20150611BHJP
   G01G 11/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G01G19/387 D
   G01G11/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-26126(P2011-26126)
(22)【出願日】2011年2月9日
(65)【公開番号】特開2012-163528(P2012-163528A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2014年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 忠信
【審査官】 三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−23354(JP,A)
【文献】 特開2009−288157(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1347276(EP,A2)
【文献】 特開昭62−282228(JP,A)
【文献】 特開2008−128769(JP,A)
【文献】 特開2007−248240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00−23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が供給される複数のホッパをそれぞれ有する複数のホッパ群と、
少なくともホッパ群毎に、該ホッパ群のホッパに供給される被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行って1組の適量組合せのホッパをそれぞれ求める組合せ演算手段と、
各ホッパ群の下方に配設され、各ホッパ群の前記適量組合せのホッパから下方へ排出される被計量物を、ホッパ群毎に、単一の包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送する複数の搬送手段と、
前記組合せ演算の結果に応じて、各ホッパ群のホッパを制御して被計量物の排出を制御すると共に、各搬送手段を制御して被計量物の搬送を制御する制御手段とを備え、
前記複数のホッパ群が、第1,第2の2つのホッパ群であり、各ホッパ群の複数のホッパが直線状に列設され、
前記複数の搬送手段が、前記第1,第2の各ホッパ群にそれぞれ対応する第1,第2の2つの搬送コンベヤであって、各搬送コンベヤは、コンベヤ長さが異なると共に、上下に配設され、
前記第1の搬送コンベヤよりもコンベヤ長さが長い前記第2の搬送コンベヤは、前記第1の搬送コンベヤに比べて被計量物の搬送方向の上流側が長くなるように、前記第1の搬送コンベヤの下方に配設され、
前記制御手段は、前記適量組合せとして選択された第1のホッパ群のホッパの被計量物を、前記第1の搬送コンベヤに排出させたときには、前記包装機からの投入要求信号に応答して前記第1の搬送コンベヤによって被計量物を搬送して前記包装機に被計量物を投入する一方、
前記適量組合せとして選択された第2のホッパ群のホッパの被計量物を、第2の搬送コンベヤに排出させたときには、該第2の搬送コンベヤによって被計量物を、包装機への投入前の位置まで搬送し、前記包装機からの投入要求信号に応答して前記第2の搬送コンベヤによって被計量物を搬送して前記包装機に投入する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項2】
被計量物が供給される複数のホッパをそれぞれ有する複数のホッパ群と、
少なくともホッパ群毎に、該ホッパ群のホッパに供給される被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行って1組の適量組合せのホッパをそれぞれ求める組合せ演算手段と、
各ホッパ群の下方に配設され、各ホッパ群の前記適量組合せのホッパから下方へ排出される被計量物を、ホッパ群毎に、単一の包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送する複数の搬送手段と、
前記組合せ演算の結果に応じて、各ホッパ群のホッパを制御して被計量物の排出を制御すると共に、各搬送手段を制御して被計量物の搬送を制御する制御手段とを備え、
前記複数のホッパ群が、第1,第2の2つのホッパ群であり、各ホッパ群の複数のホッパが直線状に列設され、
前記複数の搬送手段が、前記第1,第2の各ホッパ群にそれぞれ対応する第1,第2の2つの搬送コンベヤであって、各搬送コンベヤは、コンベヤ長さが異なると共に、上下に配設され、
前記組合せ演算手段は、前記第1,第2のホッパ群の内の一方のホッパ群の組合せ演算で前記適量組合せが得られないときには、前記一方のホッパ群の入れ替え用の被計量物と、少なくとも他方のホッパ群のホッパの被計量物とに基づいて、前記入れ替え用の被計量物が適量組合せに含まれるように組合せ演算を行い、
前記制御手段は、前記入れ替え用の被計量物と、少なくとも他方のホッパ群のホッパの被計量物とに基づく前記組合せ演算によって、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られたときには、該適量組合せの被計量物を、前記包装機へ搬送させる一方、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られないときには、前記入れ替え用の被計量物を、前記包装機への搬送方向とは逆方向へ搬送させて回収する、
ことを特徴とする組合せ秤。
【請求項3】
前記制御手段は、前記組合せ演算によって前記適量組合せとして選択された第1,第2の各ホッパ群のホッパの被計量物を、各ホッパ群に対応する第1,第2の各搬送コンベヤにそれぞれ排出させる一方、排出された前記適量組合せの被計量物を、該適量組合せの被計量物を搬送単位として、前記第1,第2の各搬送コンベヤによってそれぞれ搬送し、交互に、又は、先に投入準備ができた順に、前記包装機へ被計量物を投入する、
請求項1または2に記載の組合せ秤。
【請求項4】
前記第1,第2の各ホッパ群は、前記組合せ演算に用いる組合せ用ホッパの複数組を備え、前記組合せ用ホッパの各組は、被計量物を計量する計量ホッパと、該計量ホッパで計量された被計量物が供給される2つのメモリホッパとをそれぞれ有する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の組合せ秤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物を所定重量範囲内の重量となるように組合せ計量して排出する組合せ秤に関に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ秤、例えば、半自動式の組合せ秤では、人手で被計量物を組合せ秤に投入するので、単体重量が比較的大きく不定形な被計量物や機械によるハンドリングが難しい被計量物、例えば、鶏肉(ブロイラー)などの生肉やイカ、タコなどの魚介類を取り扱う上で好適である。
【0003】
例えば、特許文献1には、従来例の半自動式の組合せ秤が開示されている。
【0004】
図11は、特許文献1に開示されている従来例の半自動式の組合せ秤の平面図であり、図12は、その正面図であり、図13は、その側面図である。
【0005】
この半自動式の組合せ秤では、作業者が、被計量物を手動で複数の投入口351〜358からその下方にそれぞれ配設された複数の各供給ホッパ361〜368に供給する。各供給ホッパ361〜368は、図13に示すように、両開きの排出用のゲート361a〜368,361b〜368bを備えており、いずれか一方のゲート361a〜368a(または361b〜368b)を、矢符で示すように開放することによって、被計量物を、2つの計量室371a〜378a,371b〜378bに区画されている複数の計量ホッパ371〜378のいずれか一方の計量室371a〜378a(または371b〜378b)に供給する。
【0006】
各計量ホッパ371〜378は、本体の内部に設けられているロードセルからなる各計量センサ(図示せず)にそれぞれ連結され、各計量センサによって各計量ホッパ371〜378内の被計量物の重量が計量される。被計量物は、供給ホッパ361〜368から計量ホッパ371〜378の2つの計量室371a〜378a,371b〜378bのいずれか一方の計量室371a〜378a(または371b〜378b)に供給されるので、各計量センサによって検出される重量値の変化に基づいて、各計量室371a〜378a,371b〜378bに供給される被計量物を計量することができる。
【0007】
この組合せ秤では、一定時間間隔の組合せ演算のタイミングで、被計量物が供給されて計量センサによる計量が完了している計量ホッパ371〜378の計量室371a〜378a,371b〜378bの重量を種々に組合せ、これら組合せの中から合計重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲内にある適量組合せを探す、すなわち、組合せ演算を行う。そして、組合せが成立して、選択された適量組合せの被計量物が収容されている計量ホッパ371〜378の計量室371a〜378a,371b〜378bの排出用のゲート(図示せず)を開いて、下方の搬送コンベヤ38上に排出し、搬送コンベヤ38によって、該搬送コンベヤ38の搬出端側に配置されている包装機(図示せず)に搬送投入し、包装機で被計量物が包装される。
【0008】
このようにして、被計量物の排出が行われると、空になった計量ホッパ371〜378の計量室371a〜378a,371b〜378bには、その上方にある供給ホッパ361〜368から被計量物が供給される。その結果、空になった供給ホッパ361〜368には、人手によって被計量物が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−201073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
かかる従来例の組合せ秤において、一定時間における生産量(一定時間における組合せ秤から包装機への総投入回数)を向上させるために、組合せ演算の時間間隔を短くして計量処理能力を高めることが考えられるが、組合せ演算の時間間隔を短くすると、被計量物の投入が間に合わず、組合せ演算に参加できるホッパの数が少なくなって組合せ精度が低下する場合がある。
【0011】
例えば、或るサイクルでは、全てのホッパに被計量物が供給されて全てのホッパが組合せ演算に参加することができても、組合せが成立して選択されたホッパから被計量物を排出する結果、次のサイクルでは、被計量物を排出して空となった複数のホッパの内、被計量物の供給が間に合わない空のホッパが生じる場合があり、かかる場合には、組合せ演算に参加できるホッパの数が少なくなって組合せ精度が低下することになる。
【0012】
また、従来例の組合せ秤では、先の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物を、搬送コンベヤ上に排出して搬送している間に、次の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物を、前記搬送コンベヤ上に排出すると、先の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物と、次の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物との間隔が十分にとれず、混在してしまうことになる。このため、組合せ演算の時間間隔を短くしても、先の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物を、搬送コンベヤ上に排出して搬送している間は、次の組合せ演算によって選択された適量組合せの被計量物を、前記搬送コンベヤ上に排出して搬送することはできない。
【0013】
この場合、搬送コンベヤを高速で運転して高速搬送することも考えられるが、高速搬送を行うと、搬送コンベヤの搬出端から包装機等の後段の装置へ被計量物が投入される際に、被計量物が放物線を描いて放出される状態となって包装機の受け入れシュートに叩きつけるような受け渡しとなる。このため、被計量物が傷み品質が低下することになる。また、高速搬送を行うと、搬送コンベヤ上で被計量物がスリップして転がったり、搬送コンベヤの運転時の騒音も大きくなるといった新たな課題が生じる。したがって、搬送コンベヤの搬送速度にも限界があり、高速搬送を行うのは困難である。
【0014】
本発明は、上述のような課題を解決するために為されたものであって、組合せ精度を低下させることなく、計量処理能力を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0016】
(1)本発明の組合せ秤は、被計量物が供給される複数のホッパをそれぞれ有する複数のホッパ群と、少なくともホッパ群毎に、該ホッパ群のホッパに供給される被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行って1組の適量組合せのホッパをそれぞれ求める組合せ演算手段と、各ホッパ群の下方に配設され、各ホッパ群の前記適量組合せのホッパから下方へ排出される被計量物を、ホッパ群毎に、単一の包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送する複数の搬送手段と、前記組合せ演算の結果に応じて、各ホッパ群のホッパを制御して被計量物の排出を制御すると共に、各搬送手段を制御して被計量物の搬送を制御する制御手段とを備え、前記複数のホッパ群が、第1,第2の2つのホッパ群であり、各ホッパ群の複数のホッパが直線状に列設され、前記複数の搬送手段が、前記第1,第2の各ホッパ群にそれぞれ対応する第1,第2の2つの搬送コンベヤであって、各搬送コンベヤは、コンベヤ長さが異なると共に、上下に配設され、前記第1の搬送コンベヤよりもコンベヤ長さが長い前記第2の搬送コンベヤは、前記第1の搬送コンベヤに比べて被計量物の搬送方向の上流側が長くなるように、前記第1の搬送コンベヤの下方に配設され、前記制御手段は、前記適量組合せとして選択された第1のホッパ群のホッパの被計量物を、前記第1の搬送コンベヤに排出させたときには、前記包装機からの投入要求信号に応答して前記第1の搬送コンベヤによって被計量物を搬送して前記包装機に被計量物を投入する一方、前記適量組合せとして選択された第2のホッパ群のホッパの被計量物を、第2の搬送コンベヤに排出させたときには、該第2の搬送コンベヤによって被計量物を、包装機への投入前の位置まで搬送し、前記包装機からの投入要求信号に応答して前記第2の搬送コンベヤによって被計量物を搬送して前記包装機に投入する。
【0017】
ホッパとは、供給される被計量物を保持し、排出するものであればよく、例えば、被計量物の重量を計量する計量ホッパでもよいし、計量済みの被計量物が供給されるメモリホッパであってもよい。各ホッパ群がそれぞれ有するホッパの数は、複数であれば、特に限定はなく、また、各ホッパ群は、同じ種類のホッパに限らず、異なる種類のホッパを有していてもよい。
【0018】
適量組合せのホッパとは、ホッパの被計量物の重量を組合せた組合せ合計重量が、設定された排出条件を満足する組合せの被計量物をいい、例えば、被計量物の重量を組合せた組合せ合計重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲内にある組合せのホッパをいう。
【0019】
組合せ演算手段は、少なくともホッパ群毎に組合せ演算を行う、すなわち、少なくとも各ホッパ群について組合せ演算を行うものであればよく、各ホッパ群以外に、例えば、複数のホッパ群の全体について組合せ演算を行ってもよい。
【0020】
本発明の組合せ秤によると、複数のホッパ群を備え、ホッパ群毎に組合せ演算を行うので、単一のホッパ群からなる組合せ秤に比べて、ホッパ群毎の組合せ演算の時間間隔を短くしなくても、組合せ秤全体としては、組合せ演算の処理能力を複数倍に高めることができる。しかも、組合せ演算の結果に応じて各ホッパ群のホッパから排出される被計量物を、ホッパ群毎に包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送する複数の搬送手段を備えているので、搬送手段によって、処理能力が制限されることもない。
【0021】
したがって、組合せ演算に参加できないホッパが生じて組合せ精度が低下するといったこともなく、組合せ秤の計量処理能力を向上させることができる。しかも、制御手段は、組合せ演算の結果に応じて、各ホッパ群のホッパによる被計量物の排出および各搬送手段による被計量物の搬送を制御するので、ホッパ群毎の動作を協調させて、包装機に対して適切なタイミングで、被計量物を搬送することができる。
【0023】
本発明によると、第1,第2の各ホッパ群の複数のホッパは、直線状に列設され、コンベア長さの異なる第1,第2の各搬送コンベヤは、上下2段に配設されるので、例えば、第1のホッパ群のホッパの被計量物を、下方の第1の搬送コンベヤに排出し、第2のホッパ群のホッパの被計量物を、第1の搬送コンベヤよりもコンベヤ長さが長い下方の第2搬送コンベヤに排出することが可能となり、例えば、ホッパのゲートを開いて被計量物を下方へ落下させるという従来例の組合せ秤と同様の排出機構等を採用することができる。
【0028】
本発明によると、コンベヤ長さが長い第2の搬送コンベヤでは、該第2の搬送コンベヤに排出された被計量物を、包装機への投入前の位置まで予め搬送して待機し、前記包装機からの投入要求信号に応答して被計量物を該包装機へ搬送して投入するので、コンベヤ長さが長い第2の搬送コンベヤも、第1の搬送コンベヤと同様に、包装機から投入要求信号が与えられたときには、直ちに包装機に適量組合せの被計量物を搬送して投入することができる。
【0029】
(2)本発明の組合せ秤は、被計量物が供給される複数のホッパをそれぞれ有する複数のホッパ群と、少なくともホッパ群毎に、該ホッパ群のホッパに供給される被計量物の重量に基づいて組合せ演算を行って1組の適量組合せのホッパをそれぞれ求める組合せ演算手段と、各ホッパ群の下方に配設され、各ホッパ群の前記適量組合せのホッパから下方へ排出される被計量物を、ホッパ群毎に、単一の包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送する複数の搬送手段と、前記組合せ演算の結果に応じて、各ホッパ群のホッパを制御して被計量物の排出を制御すると共に、各搬送手段を制御して被計量物の搬送を制御する制御手段とを備え、前記複数のホッパ群が、第1,第2の2つのホッパ群であり、各ホッパ群の複数のホッパが直線状に列設され、前記複数の搬送手段が、前記第1,第2の各ホッパ群にそれぞれ対応する第1,第2の2つの搬送コンベヤであって、各搬送コンベヤは、コンベヤ長さが異なると共に、上下に配設され、前記組合せ演算手段は、前記第1,第2のホッパ群の内の一方のホッパ群の組合せ演算で前記適量組合せが得られないときには、前記一方のホッパ群の入れ替え用の被計量物と、少なくとも他方のホッパ群のホッパの被計量物とに基づいて、前記入れ替え用の被計量物が適量組合せに含まれるように組合せ演算を行い、前記制御手段は、前記入れ替え用の被計量物と、少なくとも他方のホッパ群のホッパの被計量物とに基づく前記組合せ演算によって、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られたときには、該適量組合せの被計量物を、前記包装機へ搬送させる一方、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られないときには、前記入れ替え用の被計量物を、前記包装機への搬送方向とは逆方向へ搬送させて回収する。なお、(2)の構成を、上記(1)の組合せ秤の構成と組合せてもよい。
【0030】
本発明によると、一方のホッパ群の被計量物の組合せ演算で適量組合せが得られず、被計量物を入れ替える場合には、その入れ替え用の被計量物と、他方のホッパ群の被計量物とに基づいて、前記入れ替え用の被計量物が含まれるように組合せ演算を行うので、この組合せ演算によって、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られたときには、その適量組合せの被計量物を包装機へ搬送し、前記入れ替え用の被計量物を含む適量組合せが得られなかったときに、入れ替え用の被計量物を、前記包装機への搬送方向とは逆方向へ搬送させて回収するので、入れ替え用の被計量物を回収する頻度が少なくなり、歩留まりが向上する。
(3)本発明の好ましい実施態様では、前記制御手段は、前記組合せ演算によって前記適量組合せとして選択された第1,第2の各ホッパ群のホッパの被計量物を、各ホッパ群に対応する第1,第2の各搬送コンベヤにそれぞれ排出させる一方、排出された前記適量組合せの被計量物を、該適量組合せの被計量物を搬送単位として、前記第1,第2の各搬送コンベヤによってそれぞれ搬送し、交互に、又は、先に投入準備ができた順に、前記包装機へ被計量物を投入する。
この実施態様によると、第1,第2のホッパ群毎に、適量組合せの被計量物を、第1,第2の搬送コンベヤにそれぞれ排出し、各搬送コンベヤによって前記適量組合せの被計量物を、包装機へ交互に、あるいは、先に投入準備ができた順に、包装機へ投入することができる。
【0031】
)上記()ないし()のいずれかの実施態様では、前記第1,第2の各ホッパ群は、前記組合せ演算に用いる組合せ用ホッパの複数組を備え、前記組合せ用ホッパの各組は、被計量物を計量する計量ホッパと、該計量ホッパで計量された被計量物が供給される2つのメモリホッパとをそれぞれ有する構成としてもよい。
【0032】
この実施態様によると、計量ホッパと、2つのメモリホッパとによって、一組の組合せ用ホッパを構成しているので、例えば、計量ホッパをWB、2つのメモリホッパをMB1,MB2とすると、一組の組合せ用ホッパによる被計量物の排出のパターンには、
(I) 一方のメモリホッパMB1から被計量物を排出
(II) 他方のメモリホッパMB2から被計量物を排出
(III)両方のメモリホッパ(MB1+MB2)から被計量物を排出
(IV) 計量ホッパと一方のメモリホッパ(WB+MB1)から被計量物を排出
(V) 計量ホッパと他方のメモリホッパ(WB+MB2)から被計量物を排出
(VI) 計量ホッパと両メモリホッパ(WB+MB1+MB2)から被計量物の排出
(VII)被計量物の排出無し
の7通りがある。
【0033】
これに対して、上述の図11図13に示される供給ホッパと、2つの計量ホッパWB1,WB2を複数組備える従来例の組合せ秤では、組合せ演算に用いる一組の組合せ用ホッパを、2つの計量ホッパWB1,WB2で構成しているので、被計量物の排出パターンは、
(I) 一方の計量ホッパWB1から被計量物を排出
(II) 他方の計量ホッパWB2から被計量物を排出
(III)両方の計量ホッパ(WB1+WB2)から被計量物を排出
(IV) 被計量物の排出無し
の4通りとなる。
【0034】
したがって、この実施態様によると、被計量物を投入する投入口の1つについて、従来例に比べて組合せの数が倍近くに増えることになり、従来例に比べて組合せ精度が向上する。
【発明の効果】
【0035】
本発明によると、複数のホッパ群および各ホッパ群にそれぞれ対応する複数の搬送手段を備え、ホッパ群毎に組合せ演算を行うと共に、組合せ演算の結果に応じて各ホッパ群のホッパから排出される被計量物を、ホッパ群毎に単一の包装機の同一の投入口へそれぞれ搬送するので、各ホッパ群の組合せ演算の時間間隔を短くすることなく、したがって、組合せ演算に参加できないホッパが生じて組合せ精度が低下することなく、組合せ秤の計量処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は本発明の一実施形態の組合せ秤の概略平面図である。
図2図2図1の組合せ秤の概略正面図である。
図3図3図1の組合せ秤の概略側面図である。
図4図4図1の組合せ秤と包装機との配置例を示す概略正面図である。
図5図5図1の組合せ秤の制御系統を示すブロック図である。
図6図6は搬送コンベヤによる被計量物の搬送動作を説明するための概略図である。
図7図7は搬送コンベヤによるリジェクト用の被計量物の搬送動作を説明するための概略図である。
図8図8図1の組合せ秤の動作説明に供するフローチャートである。
図9図9図1の組合せ秤の動作説明に供するフローチャートである。
図10図10図1の組合せ秤の動作説明に供するフローチャートである。
図11図11は従来例の組合せ秤の概略平面図である。
図12図12図11の従来例の組合せ秤の概略正面図である。
図13図13図11の従来例の組合せ秤の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面によって本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0038】
図1は、本発明の一実施形態に係る半自動式の組合せ秤の概略平面図であり、図2はその正面図であり、図3はその側面図であり、図4は、半自動式組合せ秤と包装機との配置例を示す正面図である。
【0039】
この実施形態の組合せ秤1は、被計量物の供給を人手によって行う半自動式の組合せ秤であり、被計量物は特に限定されないが、鶏肉(ブロイラー)等の生肉、イカやカツオ等の魚介類等、粘着性があり単重(1個あたりの重さ)が比較的大きい被計量物の計量に好適である。
【0040】
この半自動式の組合せ秤1は、被計量物の組合せ計量を行う本体2と、当該組合せ秤1の運転制御用パラメータ、例えば、組合せ演算に必要な目標組合せ重量、許容上限値などの設定や作動状況の表示を行う操作設定表示部3とを備えている。
【0041】
この組合せ秤1は、組合せ計量後の所定重量範囲内の被計量物を、組合せ秤1の後段側(図1図2図4の右側)に配置された図4に示す1台の包装機25へ搬送するものであり、この実施形態では、被計量物を搬送するために、コンベヤ長さが異なる上下2段に配設された2つの第1,第2の搬送コンベヤ4,5を備えている。
【0042】
下側の第2の搬送コンベヤ5は、上側の第1の搬送コンベヤ4に比べてコンベヤ長さが約2倍となっている。両搬送コンベヤ4,5は、図4に示す包装機25の投入ファネル26に被計量物を投入できるように、矢符Aで示される被計量物の搬送方向の下流側の搬送端は揃えられており、コンベヤ長さが長い第2の搬送コンベヤ5は、第1の搬送コンベヤ4に比べて搬送方向の上流側(図1図2図4の左側)へ延びている。
【0043】
組合せ秤1の本体2は、図3に示すように、略コの字状の基台6を備えている。この基台6の上部には、天板7が設けられている。この天板7には、図1に示すように、二人の作業者が被計量物を掴んで投入するための複数、この実施形態で10個の投入口81〜810が、中央部に直線状に列設されており、矢符Aで示される搬送方向の下流側の5個の投入口81〜85と、上流側の5個の投入口86〜810との境界部分の投入口85,86の間隔は、やや広くなっている。二人の作業者の内の一方の作業者が、搬送方向の下流側の5個の投入口81〜85へ被計量物を投入し、他方の作業者が、上流側の5個の投入口86〜810へ被計量物を投入する。
【0044】
各投入口81〜810の下方には、それぞれ個別に対応する10個の計量ホッパ91〜910が直線状に列設され、基台6には、図3に示すように、各計量ホッパ91〜910に個別に連結されたロードセルからなる10個の計量センサ101〜1010が格納されている。
【0045】
10個の各計量ホッパ91〜910の下方には、各計量ホッパ91〜910から被計量物が供給される各一対のメモリホッパ111〜1110,121〜1210が、前後方向(図3の左右方向、図1の上下方向)に配設されている。各一対のメモリホッパ111〜1110,121〜1210も、各計量ホッパ91〜910と同様に、直線状に列設されている。これら20個のメモリホッパ111〜1110,121〜1210は、基台6に支持されている。
【0046】
各計量ホッパ91〜910は、各投入口81〜810から投入される被計量物をそれぞれ収容して計量する。基台6には、後述する制御回路(図示せず)が収納されている。
【0047】
各計量ホッパ91〜910は、図3に示すように、両開きの2個の排出用のゲート91a〜910a,91b〜910bをそれぞれ有している。これら2個のゲート91a〜910a,91b〜910bはそれぞれ独立して開閉が可能であり、どちらか一方のゲート91a〜910a(または91b〜910b)を開くことで、被計量物を前後方向の一対のメモリホッパ111〜1110,121〜1210のいずれかのメモリホッパ111〜1110(または121〜1210)に選択的に供給できるように構成されている。
【0048】
各メモリホッパ111〜1110,121〜1210は、開閉可能な排出用のゲート111a,b〜1110a,b;121a,b〜1210a,bをそれぞれ有している。
【0049】
この実施形態の組合せ秤1は、図1に示される10個の投入口81〜810の内、搬送方向の下流側の5個の投入口81〜85から被計量物が供給される5個の計量ホッパ91〜95及び10個のメモリホッパ111〜115,121〜125を有する第1のホッパ群としての第1グループG1と、搬送方向の上流側の5個の投入口81〜85から被計量物が供給される5個の計量ホッパ96〜910及び10個のメモリホッパ116〜1110,126〜1210を有する第2のホッパ群としての第2グループG2とを備えており、通常は、グループG1,G2毎に組合せ演算を行うようにしている。
【0050】
搬送方向の下流側の第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125の下方には、第1の搬送コンベヤ4が配置されており、上流側の第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210の下方には、第2の搬送コンベヤ5の搬送方向の上流側の部分が配置されている。
【0051】
したがって、第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125の排出用のゲート111a〜115a,111b〜115b;121a〜125a,121b〜125bを開くと、被計量物を上側の第1の搬送コンベヤ4へ排出し、該第1の搬送コンベヤ4によって被計量物を包装機25へ搬送することができる。また、第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210の排出用のゲート116a〜1110a,116b〜1110b;126a〜1210a,126b〜1210bを開くと、被計量物を下側の第2の搬送コンベヤ5へ排出し、該第2の搬送コンベヤ5によって被計量物を包装機25へ搬送することができる。すなわち、各メモリホッパ111〜1110,121〜1210から排出される被計量物を、グループG1,G2毎に、各搬送コンベヤ4,5によって包装機25へそれぞれ搬送する。
【0052】
この実施形態では、組合せ秤1は、図4に示すように、各搬送コンベヤ4,5から被計量物を搬出する高さと、被計量物を受ける包装機25の投入ファネル26の高さとを合わせるために、架台27上に設置されている。二人の作業者は、階段28を上って作業台29上で作業を行う。この実施形態の包装機25は、各搬送コンベヤ4,5からの被計量物を投入ファネル26で受けて、予め成形された袋に充填して真空パックを行う給袋式の包装機である。
【0053】
図5は、この実施形態の制御系統を示すブロック図であり、上述の図1図4に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0054】
この実施形態の組合せ秤1は、制御回路13を備えており、この制御回路13は、各部を制御すると共に、組合せ演算を行うCPU部14と、制御プログラムが格納されていると共に、計量値などが格納されるメモリ部15と、第1グループG1の計量ホッパ91〜95の各ゲート91a〜95a,91b〜95bをそれぞれ独立に開閉する第1グループ計量ホッパ用ゲート駆動回路部16と、第2グループG2の計量ホッパ96〜910の各ゲート96a〜910a,96b〜910bを独立に開閉する第2グループ計量ホッパ用ゲート駆動回路部17と、第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125のゲート111a,b〜115a,b;121a,b〜125a,bを開閉する第1グループメモリホッパ用ゲート駆動回路部18と、第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210のゲート116a,b〜1110a,b;126a,b〜1210a,bを開閉する第2グループメモリホッパ用ゲート駆動回路部19と、第1グループG1の各計量センサ101〜105からのアナログ信号をデジタル信号に変換する第1グループA/D変換回路部20と、第2グループG2の各計量センサ106〜1010からのアナログ信号をデジタル信号に変換する第2グループA/D変換回路部21と、上下の各搬送コンベヤ4,5を駆動するコンベヤ駆動回路部22と、包装機25に接続されたI/O回路部23とを有している。
【0055】
各グループのA/D変換回路部20,21からのデジタル信号は、CPU部14において、計量値に変換される。
【0056】
CPU部14は、計量ホッパ91〜910に供給された被計量物の重量を計量し、計量ホッパ91〜910の一方の排出用のゲート91a〜910a(または91b〜910b)を開くことで、被計量物を計量ホッパ91〜910から空のメモリホッパ111〜1110,121〜1210に落下させる。メモリホッパ111〜1110,121〜1210に落下した被計量物の重量は、CPU部14によりメモリ部15に記憶される。
【0057】
例えば、図3に示される計量ホッパ91〜910で被計量物を計量し、前側(図3の右側)のゲート91b〜910bを開いて被計量物を落下させると、前側のメモリホッパ121〜1210の被計量物の重量値としてメモリ部15に記憶される。次に計量ホッパ91〜910で被計量物を計量し、後側(図3の左側)のゲート91a〜910aを開いて被計量物を落下させると、後側のメモリホッパ111〜1110の被計量物の重量値としてメモリ部15に記憶される。
【0058】
CPU部14は、一定の時間間隔の組合せ演算のタイミング時に、基本的には、グループG1,G2毎に組合せ演算を行う。この組合せ演算では、各グループG1,G2の計量ホッパ91〜95;96〜910、及び、メモリホッパ111〜115,121〜125;116〜1110,126〜1210の被計量物の重量を種々に組合せ、グループG1,G2毎に、組合せ合計重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い許容重量範囲内にある適量組合せを探す。
【0059】
計量ホッパ91〜95;96〜910、及び、メモリホッパ111〜115,121〜125;116〜1110,126〜1210が、組合せ演算に用いられる組合せ用ホッパを構成する。この組合せ用ホッパは、被計量物を投入する各投入口81〜810について、1つの計量ホッパ91〜910と、2つのメモリホッパ111〜1110;121〜1210とでそれぞれ構成される。
【0060】
グループG1,G2毎の組合せ演算によって組合せが成立し、得られた適量組合せの被計量物を、各グループG1,G2に対応する上側または下側の第1,第2の搬送コンベヤ4,5に排出してそれぞれ搬送する。
【0061】
この実施形態では、第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210から排出される被計量物を搬送する下側の第2の搬送コンベヤ5は、第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125から排出される被計量物を排出する上側の第1の搬送コンベヤ4よりも搬送方向の上流側に延びており、この上流側に延びた部分で、第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210から排出される被計量物を受け止めて搬送方向の下流側の包装機25へ搬送するので、第1グループG1の第1の搬送コンベヤ4に比べて搬送距離が長くなる。
【0062】
そこで、この実施形態では、第2グループG2の第2の搬送コンベヤ5による被計量物の包装機25への搬送を効率的に行うために、次のようにしている。
【0063】
図6は、第1,第2の搬送コンベヤ4,5による被計量物301,302の搬送動作を説明するための概略図である。
【0064】
この実施形態の組合せ秤1では、上側の第1の搬送コンベヤ4は、第1グループG1の組合せ演算によって、組合せが成立し、得られた適量組合せの被計量物301がメモリホッパ111〜115,121〜125から排出されると、図6(a)〜(c)に示すように包装機25から投入要求信号が与えられるまでそのまま待機し、投入要求信号が与えられると、駆動されて適量組合せの被計量物301が下流側へ搬送されて上述の包装機25へ投入される。
【0065】
これに対して、下側の第2の搬送コンベヤ5は、上側の第1の搬送コンベヤ4と異なり、第2グループG2の組合せ演算によって、組合せが成立し、得られた適量組合せの被計量物302が、図6(a)に示すようにメモリホッパ116〜1110,126〜1210から排出されると、包装機25からの投入要求信号が与えられなくても駆動され、図6(b)に示すように適量組合せの被計量物302を、矢符Bで示すように搬送方向の下流側へ移送し、包装機25への被計量物302の投入の直前の位置で停止し、包装機25から投入要求信号が与えられるまで待機し、投入要求信号が与えられると、再び駆動されて適量組合せの被計量物302を搬送して包装機25へ投入するようにしている。
【0066】
これによって、搬送方向の上流側の第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210から排出される被計量物302を受取る第2の搬送コンベヤ5も第1の搬送コンベヤ4と同様に、包装機25の直前の位置まで被計量物302を移送した状態で、包装機25から投入要求信号が与えられるまで待機し、包装機25から投入要求信号に応答して被計量物302を搬送して包装機25に投入する。
【0067】
なお、第1,第2の搬送コンベヤ4,5による被計量物の包装機25への投入は、交互に行ってもよいし、包装機25への被計量物の投入の直前の位置で先に待機している方、すなわち、包装機25への投入の準備が先にできた順に行ってもよい。
【0068】
この実施形態の組合せ秤1では、上述のように、グループG1,G2毎に組合せ演算を行うのであるが、組合せが成立せず、適量組合せがない場合には、予め設定した組合せに選ばれにくい条件の被計量物、例えば、最も重量の重い被計量物を、入れ替え用の被計量物である、リジェクト用の被計量物として回収除去し、新しい被計量物と入れ替える必要がある。このようなリジェクト用の被計量物の回収除去の頻度が多くなると、生産性が低下し、歩留まりが悪くなる。
【0069】
そこで、この実施形態では、第1グループG1の組合せ演算で組合せが成立せず、適量組合せが得られない場合には、例えば、最も重量の重い被計量物を、リジェクト用の被計量物とし、このリジェクト用の被計量物を必ず含むように、第2グループG2の被計量物とで組合せ演算を行うようにしている。
【0070】
図7は、この組合せ演算を行う場合の動作を説明するための概略図である。
【0071】
第1グループG1の組合せ演算で組合せが成立せず、適量組合せが得られない場合には、例えば、最も重量の重い被計量物を、回収除去して入れ替えるリジェクト用の被計量物301Rとして図7(b)に示すように、第1の搬送コンベヤ4に排出し、このリジェクト用の被計量物301Rを必ず含むように、第2グループG2の被計量物とで組合せ演算を行う。
【0072】
この組合せ演算でも適量組合せが得られないときには、図7(c)に示すように、第1の搬送コンベヤ4を逆転駆動して矢符Cで示される通常の搬送方向とは逆方向へ搬送して第2の搬送コンベヤ5へ落下させ、この第2の搬送コンベヤ5も逆転駆動して矢符Dで示される逆方向へ搬送し、図示しない回収箱にリジェクト用の被計量物301Rを回収する。
【0073】
上記組合せ演算で、リジェクト用の被計量物301Rを含む適量組合せが得られたときには、図7(d)に示すように、第1の搬送コンベヤ4を逆転駆動して矢符Eで示される逆方向へ搬送してリジェクト用の被計量物301Rを第2の搬送コンベヤ5へ落下させると共に、適量組合せに選ばれた第2グループG2の被計量物302を第2の搬送コンベヤ5に排出し、リジェクト用の被計量物301Rを含む適量組合せの被計量物302を矢符Fで示すように包装機25へ搬送して包装機25へ投入する。なお、第1の搬送コンベヤ4によってリジェクト用の被計量物301Rを逆方向に搬送して第2の搬送コンベヤ5へ落下させるのではなく、第1の搬送コンベヤ4によって包装機25側へ搬送して、第2の搬送コンベヤ5によって搬送される第2グループの被計量物302と共に、包装機25へ投入してもよい。
【0074】
また、この実施形態では、第1グループG1で組合せ演算が成立しなった場合に、第1グループG1のリジェクト用の被計量物301Rを含むように、第2グループG2の被計量物とで組合せ演算を行うようにしたけれども、他の実施形態として、更に、第2グループG2で組合せ演算が成立しなった場合に、第2グループG2のリジェクト用の被計量物を含むように、第1グループG1の被計量物とで組合せ演算を行うようにしてもよい。
【0075】
また、リジェクト用の被計量物を含むように、第1または第2グループG1,G2のいずれか一方のグループG1(G2)の被計量物とで組合せ演算を行うのではなく、リジェクト用の被計量物を含むように、第1及び第2グループG1,G2の両グループ全体の被計量物とで組合せ演算を行うようにしてもよい。
【0076】
図8図10は、この実施形態の制御処理を示すフローチャートである。
【0077】
図8に示すように、先ず、第1グループG1の計量制御を行う(ステップS1)。この計量制御では、第1グループG1の計量ホッパ91〜95に投入された被計量物を計量すると共に、排出用のゲート91a〜95a,91b〜95bを制御して被計量物が未供給状態の第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125に被計量物を供給する。
【0078】
次に第2グループG2の計量制御を行い、第2グループG2の計量ホッパ96〜910に投入された被計量物を計量すると共に、排出用のゲート96a〜910a,96b〜910bを制御して被計量物が未供給状態の第2グループG2のメモリホッパ116〜1110,126〜1210に被計量物を供給する(ステップS2)。
【0079】
次に、第1グループG1に対応する上側の第1の搬送コンベヤ4に、包装機25側とは逆方向へ搬送して回収除去する入れ替え用の被計量物である、リジェクト用の被計量物があるか否か、すなわち、第1グループG1のメモリホッパ111〜115,121〜125からリジェクト用の被計量物が排出されたか否かを判断し(ステップS3)、リジェクト用の被計量物がないときには、第1グループG1に対応する上側の第1の搬送コンベヤ4に、組合せ演算によって組合せが成立して排出された適量組合せの被計量物があるか否かを判断し(ステップS4)、被計量物がないときには、第1グループG1について組合せ演算を行う(ステップS5)。この第1グループG1についての組合せ演算では、第1グループG1の計量ホッパ91〜95、及び、メモリホッパ111〜115,121〜125の被計量物の重量を種々に組合せ、組合せ合計重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲内にある適量組合せを探す。
【0080】
次に、第1グループG1についての組合せ演算によって、組合せ成立したか否か、すなわち、適量組合があったか否かを判断する(ステップS6)。組合せが成立せず、適量組合せがなかったときには、第1グループG1のホッパのリジェクト制御を行う(ステップS23)。このリジェクト制御では、組合せに選ばれにくい重量の被計量物として予め定められた被計量物、例えば、最も重量が大きい被計量物が収納されているメモリホッパのゲートを開いて第1グループG1に対応する上側の第1の搬送コンベヤ4に、リジェクト用の被計量物として排出し、上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物が存在することを示すリジェクト用被計量物ありフラグをオンして図9のステップS9に移る(ステップS24)。
【0081】
図8のステップS6において、第1グループG1の組合せが成立したとき、すなわち、適量組合せがあったときには、第1グループG1のホッパ制御を行って、適量組合せのホッパのゲートを開いて第1グループG1に対応する上側の第1の搬送コンベヤ4に被計量物を排出し(ステップS7)、上側の第1の搬送コンベヤ4に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグをオンして図9に示されるステップS9に移る(ステップS8)。
【0082】
図9に示されるステップS9では、第2グループG2に対応する下側の第2の搬送コンベヤ5に、組合せが成立して排出された適量組合せの被計量物があるか否かを判断し、被計量物がないときには、第2グループG2について組合せ演算を行う(ステップS10)。この第2グループG2についての組合せ演算では、第2グループG2の計量ホッパ96〜910、及び、メモリホッパ116〜1110,126〜1210の被計量物の重量を種々に組合せ、組合せ合計重量が、目標組合せ重量に等しい、あるいは、目標組合せ重量に最も近い所定重量範囲内にある適量組合せを探す。
【0083】
次に、第2グループG2について組合せ演算が成立したか否か、すなわち、適量組合があったか否かを判断する(ステップS11)。組合せが成立せず、適量組合せがなかったときには、第2グループG2のホッパのリジェクト制御を行い、組合せに選ばれにくい被計量物、例えば、重量の最も重い被計量物が収納されているメモリホッパのゲートを開いて第2グループG2に対応する下側の第2の搬送コンベヤ5にリジェクト用の被計量物として排出し(ステップS27)、上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物があるか否かを判断する(ステップS28)。
【0084】
ステップS28において、上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物があるときには、上側の第1の搬送コンベヤ4を、包装機25とは逆方向へ搬送させて下側の第2の搬送コンベヤ5上に、リジェクト用の被計量物を落下させ(ステップS29)、上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物が存在することを示すリジェクト用被計量物ありフラグをオフし(ステップS30)、下側の第2の搬送コンベヤ5を、包装機25とは逆方向へ搬送させてリジェクト用の被計量物を、回収箱に回収する(ステップS31)。
【0085】
ステップS11において、第2グループG2についての組合せが成立したとき、すなわち、適量組合せがあったときには、第2グループG2のホッパ制御を行って、適量組合せのホッパのゲートを開いて第2グループG2に対応する下側の第2の搬送コンベヤ5に被計量物を排出し(ステップS12)、下側の第2の搬送コンベヤ5の搬送制御を行って排出された被計量物を包装機25の直前の下流側まで搬送して待機し(ステップS13)、下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグをオンして図10に示されるステップS15に移る(ステップS14)。
【0086】
再び図8を参照して、上記のステップS3において、第1グループG1に対応する上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物があるときには、第2グループG2に対応する下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立して排出された適量組合せの被計量物があるか否かを判断し(ステップS25)、下側の第2の搬送コンベヤ5に適量組合せの被計量物がないときには、上側の第1の搬送コンベヤ4のリジェクト用の被計量物を必ず含むようにして計量済みの第2グループG2の計量ホッパ及びメモリホッパについて組合せ演算を行う(ステップS26)。次に、図9に示されるステップS32に移り、組合せが成立したか否か、すなわち、前記リジェクト用の被計量物を含む適量組合せがあるか否かを判断する。
【0087】
ステップS32において、組合せが成立せず、適量組合せがなかったときには、上側の第1の搬送コンベヤ4を、包装機25とは逆方向へ搬送させて下側の第2の搬送コンベヤ5上に、リジェクト用の被計量物を落下させ(ステップS33)、上側の第1の搬送コンベヤ4にリジェクト用の被計量物が存在することを示すリジェクト用被計量物ありフラグをオフし(ステップS34)、下側の第2の搬送コンベヤ5を、包装機25とは逆方向へ搬送させてリジェクト用の被計量物を、図示しない回収箱に回収する(ステップS35)。
【0088】
ステップS32において、組合せが成立したとき、すなわち、適量組合せがあったときには、第2グループG2のホッパ制御を行って、適量組合せのホッパのゲートを開いて第2の搬送コンベヤ5に被計量物を排出し(ステップS36)、上側の第1の搬送コンベヤ4を、包装機25とは逆方向へ搬送させて下側の第2の搬送コンベヤ5上に、被計量物を落下させ(ステップS37)、下側の第2の搬送コンベヤ5の搬送制御を行って被計量物を包装機25の直前の下流側まで搬送して待機し(ステップS38)、下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグをオンして図10に示されるステップS15に移る(ステップS39)。
【0089】
図10に示されるステップS15では、包装機25から投入要求信号が与えられたか否かを判断し、投入要求信号が与えられたときには、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4に組合せが成立した被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグがオンしているか否かを判断し(ステップS16)、フラグがオンしているときには、第2グループG2の下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグがオンしているか否かを判断する(ステップS17)。
【0090】
このステップS17において、フラグがオンしているときには、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4の被計量物の包装機25への投入の完了を示す投入完了フラグがオンしているか否かを判断し(ステップS18)、オンしていないときには、第1グループG1の投入完了フラグをオンし(ステップS19)、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4の搬送制御を行い、第1の搬送コンベヤ4を駆動して被計量物を、包装機25へ搬送して投入し(ステップS20)、上側の第1の搬送コンベヤ4に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグをオフし(ステップS21)、包装機25へ投入完了信号を送信して図8のステップS1に戻る(ステップS22)。
【0091】
上記ステップS16において、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグがオンしていないときには、第2グループG2の下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグがオンしているか否かを判断する(ステップS40)。
【0092】
このステップS40において、フラグがオンしているときには、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4の被計量物の包装機25への投入の完了を示す投入完了フラグをオフし(ステップS41)、第2グループG2の下側の第2の搬送コンベヤ5の搬送制御を行い、第2の搬送コンベヤ5を駆動して被計量物を、包装機25へ搬送して投入し(ステップS42)、下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグをオフし(ステップS43)、ステップS22に移る。
【0093】
ステップS40において、第2グループG2の下側の第2の搬送コンベヤ5に組合せが成立した適量組合せの被計量物が存在することを示す被計量物ありフラグがオンしていないときには、図8のステップS1に戻る。
【0094】
また、ステップS18において、第1グループG1の上側の第1の搬送コンベヤ4の被計量物の包装機25への投入完了を示す投入完了フラグがオンしているときには、ステップS41に移る。
【0095】
以上のようにして、複数の組合せ用のホッパをそれぞれ有する2つのグループG1,G2毎に組合せ演算をそれぞれ行って、第1,第2の搬送コンベヤ4,5によってグループ毎の適量組合せの被計量物を包装25へそれぞれ搬送して投入するので、単一のグループからなる組合せ秤に比べて、グループG1,G2毎の組合せ演算の時間間隔を短くしなくても、組合せ秤全体としては、組合せ演算の処理能力を2倍に高めることができる。しかも、グループ毎G1,G2に、第1,第2の搬送コンベヤ4,5によってそれぞれ搬送するので、搬送能力によって処理能力が制限されることもない。
【0096】
更に、各グルーブG1,G2の投入口81〜810およびホッパ91〜910,111〜1110,121〜1210は、直線状に列設され、長さの異なる第1,第2の搬送コンベヤ4,5は、ホッパの下方に、上下2段に配設されるので、設置スペースも比較的小さく、各グループG1,G2のホッパによる被計量物の排出も従来と同様にゲートを開いて下方に落下排出すればよく、簡単な排出構造となる。
【0097】
また、この実施形態では、各グループG1,G2の組合せ演算に用いる組合せ用のホッパは、被計量物の1個の投入口に対して、1つの計量ホッパWBと、2つのメモリホッパMBとによって構成されている。
【0098】
かかるホッパ構成では、被計量物の1個の投入口に対応する組合せ用のホッパによる被計量物の排出パターンは、
(I) 一方のメモリホッパMB1から被計量物を排出
(II) 他方のメモリホッパMB2から被計量物を排出
(III)両方のメモリホッパ(MB1+MB2)から被計量物を排出
(IV) 計量ホッパと一方のメモリホッパ(WB+MB1)から被計量物を排出
(V) 計量ホッパと他方のメモリホッパ(WB+MB2)から被計量物を排出
(VI) 計量ホッパと両メモリホッパ(WB+MB1+MB2)から被計量物の排出
(VII)被計量物の排出無し
の7通りとなる。
【0099】
これに対して、上述の図11図13に示される従来例では、供給ホッパと、2つの計量ホッパWB1,WB2とを備えているので、組合せ演算に用いる組合せ用のホッパは、被計量物の1個の投入口に対して、2つの計量ホッパWB1,WB2によって構成されている。
【0100】
かかる従来例のホッパ構成では、被計量物の1個の投入口に対応する組合せ用のホッパによる被計量物の排出パターンは、
(I) 一方の計量ホッパWB1から被計量物を排出
(II) 他方の計量ホッパWB2から被計量物を排出
(III)両方の計量ホッパ(WB1+WB2)から被計量物を排出
(IV) 被計量物の排出無し
の4通りとなる。
【0101】
この実施形態では、各グループは、5個の投入口を有しているので、その組合せの数は、75−1=16,806通りの組合せ数となる。
【0102】
これに対して従来例のホッパ構成では、例えば、7個の投入口を有しているとすると、47−1=16,383通りの組合せ数となる。
【0103】
すなわち、この実施形態の5個の投入口を有する各グループG1,G2は、7個の投入口を有する従来例の1台の組合せ秤に相当することになり、この実施形態では、2つのグループG1,G2を有しているので、7個の投入口を有する従来例の2台の組合せ秤を連結したのと同様の処理速度、すなわち、7個の投入口を有する従来例の組合せ秤の2倍の処理速度が得られることになる。
【0104】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、供給ホッパを備えていなかったけれども、供給ホッパと、計量ホッパとを備える構成やその他のホッパの構成にも同様に適用できるものである。
【0106】
上述の実施形態では、作業者が被計量物を投入する半自動式の組合せ秤に適用して説明したけれども、本発明は、被計量物が自動的に供給される組合せ秤に適用することもできる。
【符号の説明】
【0107】
1 組合せ秤
4,5 第1,第2の搬送コンベヤ
1〜810 投入口
1〜910 計量ホッパ
101〜1010 計量センサ
111〜1110,121〜1210 メモリホッパ
13 制御回路
25 包装機
図1
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