(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定値以上の濃度の炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、「ガス」という)と液体とを粉砕溶解させたミスト(以下、「ガスミスト」という)を生体の皮膚又は粘膜に接触させるためのシステムであって、
ガス供給手段と、
上部に前記ガスミストを生成する流体ノズルと、下部に液体を貯留する液体貯留部と、を有するガスミスト生成手段と、
前記生体の皮膚及び粘膜を覆い、前記ガスミスト生成手段から供給されるガスミストを内部に封入する空間を形成する生体カバー部材と、
前記液体貯留部から前記ガス生成手段の外に取り出した液体を再び前記流体ノズルへ導入する液体循環手段と、
を備え、
前記ガスミスト生成手段の下半分を構成する漏斗状の前記液体貯留部は、上端に前記ガスミスト生成手段の本体と嵌合する接続部、漏斗状の下方の先端には前記液体循環手段と取り外し自在に接続される液体排出部を有して、前記接続部で前記本体と分離し且つ前記液体排出部を前記液体循環手段から取り外すことにより、他の液体貯留部と取替え可能に構成することを特徴とするガスミスト圧浴システム。
前記加圧手段が、前記生体カバー部材と連設され、該生体カバー部材内にガスミストを排出可能な中空のガス溜からなることを特徴とする請求項4に記載のガスミスト圧浴システム。
前記制御手段により、前記ガスミストを間歇的に前記生体カバー部材内に供給することによって、該生体カバー部材内をインターバル加圧することを特徴とする請求項2に記載のガスミスト圧浴システム。
前記加圧手段が、前記生体カバー部材内に間歇的にガスミストを排出することによって、該生体カバー部材をインターバル加圧することを特徴とする請求項5に記載のガスミスト圧浴システム。
前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
前記液体は、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有することを特徴とする請求項8に記載のガスミスト圧浴システム。
前記ガスミスト生成手段から前記生体カバー部材内に供給される前記ミストの粒径が、10μm以下であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
前記制御手段は、ガスミスト圧浴時における前記生体カバー部材内の圧力を1.02乃至2.5気圧に保持することを特徴とする請求項2に記載のガスミスト圧浴システム。
前記ガスミスト生成手段が供給するミストに電荷を付与する電荷付与手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
前記制御手段は、前記生体カバー部材内の圧力値が所定値以上になった際は前記ガス供給手段からのガスの供給を停止することを特徴とする請求項2に記載のガスミスト圧浴システム。
前記ガスミスト生成手段が、内部に前記ガスミストを微細化するための細孔を有するプレートを一又は複数備えることを特徴とする請求項1乃至19の何れか一項に記載のガスミスト圧浴システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようなガスミスト圧浴装置の衛生を保つためには、ガスミスト生成手段を使い捨てにすることが望ましい。しかしながら、使い捨てにする分コストが上昇し、無駄が増えることになる。
【0007】
そこで本発明は、上記状況に鑑み、ガスミスト生成器の一部のみを使い捨てにして衛生を保つと共に低コスト化を実現できるガスミスト圧浴システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、所定値以上の濃度の炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス(以下、「ガス」という)と液体とを粉砕溶解させたミスト(以下、「ガスミスト」という)を生体の皮膚又は粘膜に接触させるためのシステムであって、ガス供給手段と、
上部に前記ガスミストを生成する流体ノズルと、
下部に液体を貯留する液体貯留部と、を有するガスミスト生成手段と、前記生体の皮膚及び粘膜を覆い、前記ガスミスト生成手段から供給されるガスミストを内部に封入する空間を形成する生体カバー部材と、前記
液体貯留部から前記ガス生成手段の外に取り出した液体を再び前記流体ノズルへ導入する液体循環手段と、を備え、前記ガスミスト生成手段
の下半分を構成する漏斗状の前記液体貯留部は、上端に前記ガスミスト生成手段の本体と嵌合する接続部、漏斗状の下方の先端には前記液体循環手段と取り外し自在に接続される液体排出部を有して、前記接続部で前記本体と分離し且つ前記液体排出部を前記液体循環手段から取り外すことにより、他の液体貯留部と取替え可能に構成することを特徴とするガスミスト圧浴システムを提供する。
【0009】
なお、本願においては、液体を粉砕し微細な液滴にして気体(炭酸ガス、又は酸素、又は炭酸ガスと酸素の混合ガス)と接触混合させることを、粉砕溶解という。
【0010】
ここで、本発明のガスミスト圧浴システムは、前記生体カバー部材内の気圧、温度、酸素濃度、炭酸ガス濃度及び湿度等の測定値を検知するセンサ類と、そのセンサ類の測定値に基づき前記生体カバー部材内を予め設定された設定値の範囲内に制御する制御手段と、をさらに備えるのが好適である。
【0011】
また、前記液体循環手段は、液体加圧手段を備えるようにしても良い。
【0012】
さらに、前記生体カバー部材内を加圧する加圧手段をさらに備えるようにしても良い。そして、この加圧手段は、前記生体カバー部材と連設され、その生体カバー部材内にガスミストを排出可能な中空のガス溜からなるのが好適である。
【0013】
なお、前記制御手段により、前記ガスミストを間歇的に前記生体カバー部材内に供給することによって、その生体カバー部材をインターバル加圧するようにしても良い。あるいは、前記加圧手段が、前記生体カバー部材内に間歇的にガスミストを排出することによって、その生体カバー部材をインターバル加圧するようにしても良い。
【0014】
また、前記液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、又は滅菌精製水の何れか一つ又は複数の組み合わせであるのが好ましい。さらに、前記液体は、メンソール、ビタミンE、ビタミンC誘導体、レチノール、麻酔薬、シクロデキストリン、光触媒、光触媒とアパタイトの複合体、ヒアルロン酸、コエンザイムQ10、シードオイル、プロポリス、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウム、高濃度炭酸泉剤、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、又は育毛剤のうち、何れか一つ又は複数をさらに含有しても良い。
【0015】
なお、前記ガスミスト生成手段から前記生体カバー部材内に供給される前記ミストの粒径は、10μm以下であるのが好ましい。
【0016】
また、前記制御手段は、ガスミスト圧浴時における前記生体カバー部材内の圧力を1.02乃至2.5気圧に保持するのが好適である。
【0017】
そして、前記ガスミスト生成手段が供給するミストに電荷を付与する電荷付与手段をさらに備えるようにしても良い。このとき、前記電荷は、マイナス電荷であるのが好ましい。
【0018】
また、前記ガスミスト生成手段が、前記生体圧浴カバー内へガスミストを供給するためのガスミスト供給管を有し、このガスミスト供給管が、管内に付着する液滴を除去するためのフィルターを備えるようにするのが良い。さらにこのガスミスト供給管の全部又は一部は、ジャバラ状の管から構成されるのが好適である。また、このガスミスト供給管には、逆止弁を設けるのが良い。
【0019】
さらに、前記生体カバー部材のガスミスト供給口にも、逆止弁を設けるのが好ましい。
【0020】
なお、前記制御手段は、前記生体カバー部材内の圧力値が所定値以上になった際は前記ガス供給手段からのガスの供給を停止するのが好適である。
【0021】
また、前記ガスミスト生成手段の取り外し可能部分は、予め滅菌処理されているのが好ましい。
【0022】
さらに、前記ガスミスト生成手段は、内部に前記ガスミストを微細化するための細孔を有するプレートを一又は複数備えるのが好適である。
【発明の効果】
【0023】
本発明のガスミスト圧浴システムによれば、ガスミスト生成手段において、液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯留部と取替え可能に構成することにより、衛生に配慮すると共にコストを低下させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。
図1に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムは、酸素、炭酸ガス、又は酸素と炭酸ガスの混合ガス(以下、単にガスという)を供給するガス供給手段10と、ガスミスト生成手段としてのガスミスト生成器30と、液体循環手段としての液体供給管41と、供給されたガスミストを内部に封入する生体カバー手段としての生体圧浴カバー50と、制御手段としての制御装置60と、から構成される。
【0027】
ガス供給手段10はガスボンベ等からなり、後述するガスミスト生成器30の流体ノズル32にガスを供給する。ガス供給手段10には、図示しないがガスの圧力調整のためのレギュレータが設けられている。また、ガスの温度制御のためにヒータと温度計を配置しても良い。
【0028】
ガスミスト生成器30は、内部に液体を貯留して、ガス供給手段10から供給されるガスの高速流により、液体とガスを粉砕溶解したガスミストを生成し、これを生体圧浴カバー50に供給する。
図1に示すように、ガスミスト生成器30は、生成器本体31と、この生成器本体31から取り外しが可能な液体貯留部34とから構成されている。
【0029】
生成器本体31は、ガスミスト生成器30の上半分を構成する部分であり、下側が空いた略円筒状の容器の上部に、ガスミストを生成するための流体ノズル32とガスミストを排出するためのガスミスト排出口33が設けられている。
【0030】
流体ノズル32は、ガス供給手段10から供給されるガスの高速流を利用してガスミストを生成する二流体ノズルである。流体ノズル32は、ガス供給手段10と接続されるガス供給部32Aと、後述する液体排出部35と接続される液体供給部32Bとを有する。流体ノズル32が生成したガスミストは、生成器本体31及び液体貯留部34を組み合わせたときに内部にできる空間30A内に放出され、ガスミスト排出口33から排出される。このとき、生成されるミストの粒径は微細であることが望ましく、具体的には10μm以下であるのが最適である。このように微細に粉砕されたミストは、マイナスイオンの効果を発揮することができる。
【0031】
液体貯留部34は、ガスミスト生成器30の下半分を構成する部分であり、
図2に示すように底部が漏斗のような形状の容器である。液体貯留部34の上部には接続部34Aが設けられており、この接続部34Aで生成器本体31の下部と接続される。液体貯留部34の下部には内部の液体を排出して流体ノズル32に送るための液体排出部35が設けられている。
【0032】
液体貯留部34には予め製造段階において所定の液体が貯留された上で接続部34Aと液体排出部35が密封されている。
図3は、液体貯留部34を密封する態様を示す模式図である。
図3(a)は、液体貯留部34の上部と下部をゴム等の弾性部材からなる栓36a、36bで封じた例を示している。また、
図3(b)では、液体貯留部34の上部をアルミやプラスチック等からなるフィルム36cで熱や接着剤等を用いて蓋をし、下部をゴム等の弾性部材からなる栓36bで封じた例を示している。ガスミスト生成器30の使用時には、上記のように封をされた液体貯留部34を開封して生成器本体31にセットし、使用後には液体貯留部34ごと廃棄するのが好適である。
【0033】
このように本発明では、ガスミスト生成器30の液体貯留部34を着脱可能にし使用後には使い捨てることができる。即ち、少なくとも液体貯留部34を取り外し可能にして他の新たな液体貯留部34と取替え可能に構成することによって、衛生を保つと共にコストの抑制を図る。特に液体貯留部34は構造も簡易なため、ガスミスト生成器30全体を取替え可能にする場合と比べてコストの抑制効果が高い。さらに、取替え可能な部分に液体を予め貯留できるため、薬液等の液体を補給する構成を省くことが可能となり、コンパクト化と低コスト化を実現することができる。なお、この取り外しが可能な液体貯留部34は、製造段階で予め滅菌処理されるのが好適である。また、ガスミスト生成器30の使い捨てにしない残りの部分も使用前に予め滅菌処理される。
【0034】
ここで、液体貯留部34に貯留する液体は、水、イオン水、オゾン水、生理食塩水、精製水、滅菌精製水を用いるのが好適である。さらに、これらの液体に使用者の疾患、症状等に有効な薬剤を含有させても良い。薬剤とは、例えば、抗アレルギー剤、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗真菌剤、抗インフルエンザウィルス剤、インフルエンザワクチン、ステロイド剤、抗ガン剤、血圧降下剤、化粧剤、増毛剤、発毛剤、育毛剤等が挙げられる。さらに、清涼作用のあるメンソールや、血行を促進させるビタミンE、皮膚組織に吸収されやすく美肌効果の高いビタミンC誘導体、皮膚の角化作用を正常にし粘膜を保護するレチノール、粘膜への刺激を和らげるための麻酔薬、臭気を除去するためのシクロデキストリン、殺菌、消炎効果のある光触媒、又は光触媒とアパタイトの複合体、保水力に優れ肌の保湿効果を有するヒアルロン酸、細胞を活性化し免疫力を向上させるコエンザイムQ10、抗酸化物質や多量の栄養素を含むシードオイル、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用、鎮痛・麻酔作用、免疫作用等を有するプロポリス等を単独あるいは複数組み合わせて混合して、ガスの生理作用との相乗効果を生じさせることも可能である。あるいは、エタノール、グルコン酸クロルヘキシジン、両性界面活性剤、塩化ベンザルコニウム、酢酸アルキルジアミノエテルグリシン、次亜塩素酸ナトリウム、過酢酸、セスキ炭酸ナトリウム、シリカ、ポピドンヨード、炭酸水素ナトリウムを添加しても良い。さらに、炭酸塩と有機酸を主成分とする高濃度炭酸泉剤(有効成分の一例としては、硫酸塩、炭酸塩、有機酸、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム)を添加しても良い。
【0035】
上記のような液体が入った状態で、液体貯留部34を生成器本体31にセットし、ガス供給手段10から流体ノズルにガスを供給すると、ガスミスト生成器30内部が高圧になるために液体は液体排出部35から液体供給管41へと送り出される。そして液体供給管41から流体ノズル32の液体供給部32Bに至った液体は流体ノズル32によりガスミストとなり、空間30Aに噴霧される。空間30Aに充満したガスミストはほとんどがガスミスト排出口33からガスミスト供給管43を介して生体圧浴カバー50に供給されるが、その一部は液体貯留部34に溜まった液体に溶け込む。ガスミストが溶け込むことによってその液体にはガスが溶解し、その液体がさらに液体供給管41に送られて流体ノズル32からガスミストとして噴霧されることを繰り返す。その結果、液体貯留部34に貯留された液体は循環するうちに次第にガスの溶解濃度が高くなり、ガスが高濃度に溶解したガスミストを生成することが可能となる。
【0036】
なお、液体供給管41に液体を効率よく循環させるため、ポンプ等の液体加圧器42を液体供給管41に配置しても良い。
【0037】
ガスミスト生成器30内部の空間30Aには、
図4に示すように、生成されたガスミストを微細化するための一枚又は複数枚(ここでは例として二枚)のプレート31A、31Bを、貯留された液面より上部に設けても良い。
図5にプレート31A、31Bの一例を示す。このように、プレート31A、31Bにはそれぞれ複数の細孔が設けられており、生成されたガスミストがこの細孔を通ることで微細化する。このとき、流体ノズル32に近いプレート31Aと遠いプレート31Bとでは、近いプレート31Aの細孔の径がより大きくなるようにする。
【0038】
ガスミスト生成器30で生成されたガスミストは、ガスミスト排出口33からガスミスト供給管43を介して生体圧浴カバー50に供給される。このガスミスト供給管43の内部には、ガスミストの逆流を防止するための逆止弁を設けるようにする。また、ガスミスト供給管43には、図示しないが管内に付着する余分な液滴を取り除くための液滴除去フィルターを設けるようにしても良い。さらに、ガスミスト供給管43は、
図6に示すようにその全部又は一部が管径の太い柔軟なジャバラ状の管44から構成されるのが好適である。このようにジャバラ状の管44で構成すれば自在に曲がり伸縮させることもできるため、使用者の動きを制限することもない。また、ガスミスト供給管43を流れるガスミストが次第に液化してもジャバラの凹凸部にその液体を取り除くことができる。
【0039】
生体圧浴カバー50は、生体(ここでは例として、人体の下肢)の皮膚及び粘膜を覆い、ガスミストを内部に封入する空間を形成できるカバーである。例として、
図1では人体の下肢を覆うズボンのような形状を図示している。この生体圧浴カバー50は、耐圧性、非通気性、非透湿性素材から構成される。例えば、天然ゴム、シリコンゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等からなるのが好適である。
【0040】
生体圧浴カバー50は、ガスミスト供給管43に接続され、ガスミストを内部に導入するための供給口51を備えている。この供給口51の内部には、ガスミストの逆流を防ぐための逆止弁が設けられている。また、生体圧浴カバー50には、内部の圧力を調整するため、ガスミストを排出できる開口や弁を設けるようにしても良い。そして、これらの圧力調整は手動で行われても良いが、後述する圧力計71の計測値に基づき、ガスミストの供給制御と共に制御装置60により自動的に行われるのが望ましい。また、生体圧浴カバー50内が一定圧力値以上になると自動的に弁が開く安全弁(逃し弁)を設けるようにしても良い。
【0041】
生体圧浴カバー50内には、内部の圧力を計測するための圧力計71が設置されている。制御装置60は、生体圧浴カバー50内の圧力値を1気圧以上(より好適には、1.02〜2.5気圧)に保つため、この圧力計71の計測値に基づき、ガスミストの生成、供給を制御する。例えば、ガス供給手段10からのガスの供給を調整、停止したり、生体圧浴カバー50からガスミストを排出したりする。また、生体圧浴カバー50の内部には生体圧浴カバー50内の温度を計測するための温度計72が設置されている。制御装置60は、生体圧浴カバー50内を温浴効果が得られる設定温度(例えば38℃程度)に保つため、温度計72の計測値に基づきガス供給手段10に設けられたヒータのオン・オフ等を行う。このほか、生体圧浴カバー50内には、酸素濃度、炭酸ガス濃度、湿度等を計測するセンサを設置して制御装置60によってカバー内を予め設定された値の範囲内に制御するようにしても良い。
【0042】
生体圧浴カバー50の開口部には、生体(ここでは人体の下肢)への着脱を可能にすると共に内部に封入したガスミストの漏出を防ぐための止着部52が設けられている。止着部52は、例えば伸縮性のある面ファスナーにより構成されるのが好適である。あるいは、紐やゴム等を単独、又は組み合わせて用いても良い。さらに、生体圧浴カバー50内の密閉性を高めるため、生体圧浴カバー50の内側面(止着部52の内側面等)に使用者の皮膚に粘着する素材を配置しても良い。この粘着素材は、例えばポリウレタンやシリコンゴム等からなる粘弾性ゲルであるのが好ましい。さらにこの粘着素材は取り外し可能に設けられ、使用の都度あるいは粘性が低くなれば交換できる構成とするのが良い。
【0043】
制御装置60は、CPU、メモリ、ディスプレイを備えたコンピュータから構成される。そして、ガス供給手段10から供給されるガスの圧力調整やオン・オフ切替、ガスミストの供給のオン・オフ切替等々の各種制御を行い、最適な状態でガスミスト圧浴が行えるようにする。特に、生体圧浴カバー50内の圧力値が所定値以上になった場合、制御装置60によりガス供給手段10のガス供給を停止するように構成するのが好適である。
【0044】
以下、上記第1の実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う手順の一例について説明する。
【0045】
まず、密封された液体貯留部34を開封して、生成器本体31と液体供給管41をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。生体圧浴カバー50は、生体(ここでは人体の下肢)に固定して密閉する。
【0046】
次いでガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始する。流体ノズル32にガスが供給されると、流体ノズル32からガスミスト生成器30内の空間30Aにガスが吐出される。するとガスミスト生成器30内が高圧になり、液体貯留部34内の液体が液体供給管41を介して流体ノズル32の液体供給部32Bへと送られる。流体ノズル32にガスと液体が供給されるとガスミストの生成が始まり、生成されたガスミストは空間30Aに広がって、ガスミスト排出口33からガスミスト供給管43を介して生体圧浴カバー50に供給される。このようにしてガスミストを生成する間、制御装置60は、ガスの供給圧や温度等の調整を行う。
【0047】
生成されたガスミストは、ガスミスト供給管43を通って供給口51から生体圧浴カバー50内に供給される。制御装置60は、生体圧浴カバー50内に配置された圧力計71、温度計72の計測値から、生体圧浴カバー50内が最適な加圧、温度状態(約1.02〜2.5気圧、約38℃)に保たれるように各手段を調整し、この状態でガスミスト圧浴が行われる。
【0048】
なお、上記ではガスミスト圧浴を行う生体の部位として、人体の下肢を例にとって説明したが、本発明は様々な部位に適用することができる。その場合、対象とする部位に合わせた形状の生体圧浴カバー50を用いて最適なガスミスト圧浴を行うようにする。
【0049】
図7乃至
図9に様々な生体圧浴カバー50の形状を例に示す。まず、
図7に人体の上半身用の生体圧浴カバー50Aの概略を示す。この生体圧浴カバー50Aは、上半身全体を覆い包む形状をしており。腰部の開口には着脱を可能にすると共に内部に封入したガスミストの漏出を防ぐための止着部52Aが設けられている。また、首部の開口にも同様に止着部53Aが設けられている。なお、51Aはガスミストを生体圧浴カバー50A内部に導入するための供給口である。
【0050】
図8は、生体のさらに局所的な部位を覆う生体圧浴カバー50の形状の例を示している。
図8(a)は、人体の片下肢(膝下部)用の生体圧浴カバー50Bである。この生体圧浴カバー50Bには、その開口部に止着部52Bが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Bが設けられている。
図8(b)は、人体の足部用の生体圧浴カバー50Cである。この生体圧浴カバー50Cには、その開口部に止着部52Cが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Cが設けられている。
図8(c)は、人体の前腕用の生体圧浴カバー50Dである。この生体圧浴カバー50Dには、その開口部に止着部52Dが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Dが設けられている。
図8(d)は、人体の手部用の生体圧浴カバー50Eである。この生体圧浴カバー50Eには、その開口部に止着部52Eが設けられると共に、ガスミストを内部に導入するための供給口51Eが設けられている。
【0051】
さらに
図9は、パッチ状の生体圧浴カバー50Fの例を示している。
図9(a)は、そのパッチ状の生体圧浴カバー50Fの概略を示す図、
図9(b)はそのパッチ状の生体圧浴カバー50Fの概略を示す図、
図9(b)はそのパッチ状の生体圧浴カバー50Fを生体(ここでは人体下肢)に装着した際の外観を示す図である。生体圧浴カバー50Fは、生体の皮膚及び粘膜を覆うカバー部54Fと、そのカバー部54Fの周縁に設けられて生体の皮膚及び粘膜へ直接貼着される止着部52Fと、カバー部54Fを生体に固定するためのベルトや紐等からなる固定部53Fと、カバー部54Fと止着部52Fが形成する空間内にガスミストを供給するための供給口51Fとから構成されている。
【0052】
生体圧浴カバー50は、
図7乃至
図9に示したこれらの例の他にも様々な形状が考えられる。特に、本発明は人体だけでなく動物等、生体全般に適用することが可能なため、生体圧浴カバー50も使用対象と使用部位に合わせた形状を採用する。要は生体の皮膚及び粘膜を覆い、ガスミストを内部に封入する空間を形成できる形状であればどのような形状であっても良い。なお、ここでは図示を省略したが、生体圧浴カバー50には、内部のガスミストの排出や圧力調整を行うための排気口が設けられるのが好適である。
【0053】
なお、ガスミスト圧浴においては生体圧浴カバー50によって所定の圧力値以上で生体の皮膚及び粘膜にガスミストを接触させるが、このような加圧は所定のインターバルでパルス状に行うことでより効果が高まる。そのため、制御装置60はガスミストを一定のリズムで間歇的に生体圧浴カバー50内に供給するようにしても良い。その際のインターバル加圧の間隔は、脈の拍動に同期させると効果が高くなる。
【0054】
〔第2の実施形態〕
図10は、本発明の第2の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。本実施形態では、生体圧浴カバー内の加圧を容易にする加圧手段をさらに備えたガスミスト圧浴システムについて説明する。なお、
図1に示す第1の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0055】
図10に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムでは、ガスミストを内部に封入する空間を形成する生体圧浴カバー80と、この生体圧浴カバー80と連設され生体圧浴カバー80内を加圧する加圧手段90とを備えている。
【0056】
生体圧浴カバー80は、第1の実施形態で示した生体圧浴カバー50とほぼ同じ構造であり、ガスミストの供給口81と止着部82を備えている。ただし供給口81は、本実施形態では加圧手段90と接続されている。なお、ここでは例として、人体の手部を覆う形状の生体圧浴カバー80を図示している。
【0057】
加圧手段90は、生体圧浴カバー80内を加圧するため、生体圧浴カバー80と連設される中空のガス溜部91を備えている。このガス溜部91は、耐圧性、非通気性、非透湿性の柔軟な素材から構成される。また、加圧手段90は、生体圧浴カバー80の供給口81と接続されると共に、自身も供給口92を備えており、ここからガス溜部91内部にガスミストが供給される。なお、加圧手段90の供給口92にも内部にガスミストの逆流を防止するための逆止弁が設けられている。
【0058】
加圧手段90により生体圧浴カバー80を加圧する際には、生体圧浴カバー80内に適度なガスミストが貯まっている状態で、ガス溜部91にガスミストを溜める。そして、
図10の矢印に示すようにガス溜部91を押し潰すように加圧すると、ガス溜部91内のガスミストが生体圧浴カバー80内に排出されるため、生体圧浴カバー80内を加圧することができる。
【0059】
なお、加圧手段90は、手動で押圧する構成としても良いし、駆動装置等を用いて制御装置60の制御で機械的に行っても良い。また前述の通り、ガスミスト圧浴における加圧は、所定のインターバルでパルス状に行うことにより効果が高まるため、加圧手段90を一定のリズムで間歇的に押圧するのが効果的である。
【0060】
そこで、本実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う際には、まず、密封された液体貯留部34を開封して、生成器本体31と液体供給管41をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。生体圧浴カバー80は、生体(ここでは人体の手部)に固定し加圧部90と接続して密閉する。
【0061】
次いでガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始し、ガスミストを生成する。この間、制御装置60は、ガスの供給圧や温度等の調整を行う。
【0062】
生成されたガスミストは、ガスミスト排出口33からガスミスト供給管43を介して加圧手段90及び生体圧浴カバー80に供給される。制御装置60は、生体圧浴カバー80内に配置された温度計72の計測値から、生体圧浴カバー80内が最適温度(例えば約38℃)に保たれるよう調整する。そして、生体圧浴カバー80と加圧手段90に最適な量のガスミストが溜まったところで、加圧手段90を押圧して生体圧浴カバー80を適度に加圧し(約1.02〜2.5気圧)、ガスミスト圧浴を行う。
【0063】
第1の実施形態でも述べた通り、生体の種々の部位に適用するため、生体圧浴カバー80は様々な形状のものを用いることができる。ただし、本実施形態の場合、生体圧浴カバー80は加圧手段90で容易に加圧可能な大きさである必要がある。例えば加圧手段90を手動で押圧する場合、加圧手段90の大きさは人が片手又は両手で掴める程度である必要があり、そのような加圧手段90で加圧できる生体圧浴カバー80の大きさも、ある程度限定される。また、駆動装置等で加圧する場合であっても、加圧手段90もこれを押圧する押圧手段も現実的にはあまり場所を取らないコンパクトなものが望ましいため、本実施形態の場合比較的コンパクトな(生体の局所的部位を覆う)生体圧浴カバー80への適用が向いている。
【0064】
図11及び
図12に、本実施形態の適用が向く生体圧浴カバー80とこれに接続される加圧手段90の形状の例を示す。
図11(a)は、人体の片下肢(膝下部)用の生体圧浴カバー80Aである。この生体圧浴カバー80Aには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Aが設けられると共に、その開口部に止着部82Aが設けられている。供給口81Aには加圧手段90Aが接続されている。加圧手段90Aは、ガス溜部91Aと供給口92Aを備えている。
図11(b)は、人体の足部用の生体圧浴カバー80Bである。この生体圧浴カバー80Bには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Bが設けられると共に、その開口部に止着部82Bが設けられている。供給口81Bには加圧手段90Bが接続されている。加圧手段90Bは、ガス溜部91Bと供給口92Bを備えている。
図11(c)は、人体の前腕用の生体圧浴カバー80Cである。この生体圧浴カバー80Cには、ガスミストを内部に導入するための供給口81Cが設けられると共に、その開口部に止着部82Cが設けられている。供給口81Cには加圧手段90Cが接続されている。加圧手段90Cは、ガス溜部91Cと供給口92Cを備えている。
【0065】
図12は、パッチ状の生体圧浴カバー80Dの例を示している。
図12(a)はそのパッチ状の生体圧浴カバー80Dの概略を示す図、
図12(b)はそのパッチ状の生体圧浴カバー80Dを生体(ここでは人体下肢)に装着した際の外観を示す図である。生体圧浴カバー80Dは、生体の皮膚及び粘膜を覆うカバー部84Dと、そのカバー部84Dの周縁に設けられて生体の皮膚及び粘膜へ直接貼着される止着部82Dと、カバー部84Dを生体に固定するためのベルトや紐等からなる固定部83Dと、カバー部84Dと止着部82Dが形成する空間内にガスミストを供給するための供給口81Dとから構成されている。供給口81Dには加圧手段90Dが接続されている。加圧手段90Dは、ガス溜部91Dと供給口92Dを備えている。
【0066】
なお、ここでは図示を省略したが、生体圧浴カバー80内のガスミストの排出や圧力調整を行うための排気口が設けられるのが好適である。
【0067】
また、上記実施形態では、加圧手段90を生体圧浴カバー80に連設される中空のガス溜部91から構成したが、この他生体圧浴カバー80自体を外周から押し潰すように圧迫する部材等、生体圧浴カバー80を簡便に加圧できるものであればどのようなものを用いても良い。
【0068】
〔第3の実施形態〕
図13は、本発明の第3の実施形態に係るガスミスト圧浴システムの全体概略図である。本実施形態では、発生させたミストを帯電させるための電荷付与手段をさらに備えたガスミスト圧浴システムについて説明する。なお、
図1に示す第1の実施形態と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
図13に示すように、本実施形態のガスミスト圧浴システムでは、ガスミスト生成器30のガスミスト排出口33の出口近傍に、電極22が配置されている。電極22は電源装置21に接続されており、制御装置60により電圧値の設定、及びオン・オフの制御が行われる。
【0070】
電極22は、ガスミスト生成器30が生成したミストが排出される際に、電荷(マイナスの電荷が望ましい)を付与する。それによりミストを帯電状態とし、荷電した物体への付着性を高めることができる。即ち、生体の皮膚及び粘膜への付着性を向上させれば、ガスミスト圧浴によるガスの吸収率向上の効果をさらに高め、ガスミストの上述したような薬剤が含まれる場合は、同様に皮膚及び粘膜への浸透をより促進させることが可能となる。
【0071】
そこで、本実施形態のガスミスト圧浴システムを用いてガスミスト圧浴を行う際には、まず、密封された液体貯留部34を開封して、生成器本体31と液体供給管41をセットし、ガスミスト生成器30を完成させる。生体圧浴カバー50は、生体(ここでは人体の下肢)に固定して密閉する。
【0072】
次いでガス供給手段10からガスミスト生成器30へのガスの供給を開始し、ガスミストを生成する。この間、制御装置60は、ガスの供給圧や温度等の調整を行う。また、制御装置60は、電源装置21をオンにし、電極22からミストに電荷を付与する。
【0073】
生成されたガスミストは、ガスミスト排出口33からガスミスト供給管43を介して生体圧浴カバー50に供給される。制御装置60は、生体圧浴カバー50内に配置された圧力計71、温度計72の計測値から生体圧浴カバー50内が最適な加圧、温度状態(約1.02〜2.5気圧、約38℃)に保たれるように各手段を調整し、この状態でガスミスト圧浴が行われる。
【0074】
上記のように構成したため、本発明のガスミスト圧浴システムによれば、ガスミスト生成手段において、液体貯留部を取り外し可能にして他の液体貯留部と取替え可能に構成することにより、衛生に配慮すると共にコストを低下させることが可能となる。
【0075】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。