特許第5743617号(P5743617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743617
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】X線CT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/08 20060101AFI20150611BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   A61B6/08 301
   A61B6/03 323A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-54763(P2011-54763)
(22)【出願日】2011年3月11日
(65)【公開番号】特開2012-187322(P2012-187322A)
(43)【公開日】2012年10月4日
【審査請求日】2014年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】近藤 玄
【審査官】 安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−268793(JP,A)
【文献】 特開昭63−260537(JP,A)
【文献】 特開平03−092140(JP,A)
【文献】 特開2011−050583(JP,A)
【文献】 特開2007−229387(JP,A)
【文献】 特開2001−070292(JP,A)
【文献】 特開2000−355243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を照射するX線管と、
前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、
前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、
前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、
前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部とを備え、
前記投光器制御部は、前記投光器の角度が予め設定された視野外角度であるとき、前記投光器を照射駆動し、前記投光器の角度が前記視野外角度以外の視野角度であるとき、前記投光器の駆動を停止することを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
被検体に対してX線を照射するX線管と、
前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、
前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、
前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、
前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部とを備え、
前記投光器制御部は、前記投光器の角度が前記視野外角度であるとき、前記投光器を連続駆動し、前記投光器の角度が前記視野外角度以外の視野角度であるとき、前記投光器をパルス駆動することを特徴とするX線CT装置。
【請求項3】
前記天板上に載置される被検体の体位を入力する操作部を有し、
前記視野角度は、前記操作部から入力された体位が仰臥位である場合、前記投光器が前記天板の上方に位置し、前記天板上に載置された仰臥位の被検体により可視光線の直視が可能な角度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記天板上に載置される被検体の体位を入力する操作部を有し、
前記視野角度は、前記操作部から入力された体位が右側臥位又は左側臥位の一方の臥位である場合、前記投光器が前記天板の幅方向における一方向又はこの一方向の付近に位置し、前記天板上に載置された前記一方の臥位の被検体により可視光線の直視が可能な角度であり、前記操作部から入力された体位が他方の臥位である場合、前記投光器が前記天板の幅方向における他方向又はこの他方向の付近に位置し、前記天板上に載置された前記他方の臥位の被検体により可視光線の直視が可能な角度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項5】
被検体に対してX線を照射するX線管と、
前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、
前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、
前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、
前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部と
前記天板を長手方向へ移動する移動機構及びこの移動機構により移動された前記天板の位置を検出する位置検出器を有し、
前記投光器制御部は、前記位置検出器の位置情報に基づいて前記天板が所定の位置にある場合、前記視野外角度であるときの前記投光器を駆動し、前記視野角度であるときの前記投光器の駆動を停止又はパルス駆動を行うことを特徴とするX線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、被検体の撮影位置を示す投光器を備えたX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT装置は、被検体の撮影により生成される画像データを提供するものであり、診断や治療等の医療行為に重要な役割を果たしている。このX線CT装置は、被検体に対してX線を照射するX線管及び被検体を透過したX線を検出するX線検出器を有する架台を備えている。この架台は円筒状の開口部を有し、天板上に載置された被検体が開口部に送り込まれると、X線管及びX線検出器が被検体の周りを回転しながら、被検体にX線を照射すると共に被検体を透過したX線を検出して撮影を行う。
【0003】
ところで、撮影を行う際に被検体の位置決めを行う必要がある。そして、位置決めには、被検体の体軸方向における所定範囲のX線透視により得られるスキャノ像上に撮影の開始位置及び終了位置を指定することにより、被検体の撮影位置の位置決めを行うことができるX線CT装置がある。また、被検体の位置決めを行うための可視領域のレーザ光線等の可視光線を撮影位置に照射する投光器を備えたX線CT装置がある。この投光器には、X線管及びX線検出器と共に回転しながら撮影位置に可視光線を照射することができる回転型のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−253805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被検体の周りを回転する投光器から可視光線が頭部に照射されると、安全なレベルであるものの可視光線が眼に入って被検体に不快感を与える問題がある。
【0006】
実施形態は、上記問題点を解決するためになされたもので、可視光線の照射により被検体に与える不快感を軽減することができるX線CT装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、実施形態のX線CT装置は、被検体に対してX線を照射するX線管と、前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部とを備え、前記投光器制御部は、前記投光器の角度が予め設定された視野外角度であるとき、前記投光器を駆動制御し、前記投光器の角度が前記視野外角度以外の視野角度であるとき、前記投光器の駆動を停止することを特徴とする。
また、上記問題を解決するために、実施形態のX線CT装置は、被検体に対してX線を照射するX線管と、前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部とを備え、前記投光器制御部は、前記投光器の角度が前記視野外角度であるとき、前記投光器を連続駆動し、前記投光器の角度が前記視野外角度以外の視野角度であるとき、前記投光器をパルス駆動することを特徴とする。
また、上記問題を解決するために、実施形態のX線CT装置は、被検体に対してX線を照射するX線管と、前記X線管から照射され、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の周りを回転可能に保持する回転フレームと、前記回転フレームの角度を検出する角度検出器と、前記回転フレームに保持され、前記X線管により照射されるX線の所定の領域に可視光線を照射する投光器と、前記回転フレームの回転中に前記角度検出器により検出される角度の情報に基づいて前記投光器を駆動制御する投光器制御部と
前記天板を長手方向へ移動する移動機構及びこの移動機構により移動された前記天板の位置を検出する位置検出器を有し、
前記投光器制御部は、前記位置検出器の位置情報に基づいて前記天板が所定の位置にある場合、前記視野外角度であるときの前記投光器を駆動し、前記視野角度であるときの前記投光器の駆動を停止又はパルス駆動を行うことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るX線CT装置の構成を示すブロック図。
図2】実施形態に係る投光部の構成を示す図。
図3】実施形態に係る天板上に載置された被検体Pが仰臥位である場合の投光部の動作を示す図。
図4】実施形態に係る天板上に載置された被検体が右側臥位である場合の投光部の動作を示す図。
図5】実施形態に係る天板上に載置された被検体が左側臥位である場合の投光部の動作を示す図。
図6】実施形態に係る天板上に載置された被検体が伏臥位である場合の投光部の動作を示す図。
図7】実施形態に係る表示部に表示されたスキャノ像データの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0010】
図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成を示したブロック図である。このX線CT装置100は、被検体Pが移動可能に載置される寝台部10と、寝台部10に載置された被検体PにX線を照射して透視や撮影を行う架台部20と、架台部20で生成されるX線投影データに基づいてスキャノ像データや画像データを生成する画像処理部40とを備えている。また、寝台部10に載置された被検体Pの移動や架台部20で行われる被検体Pの撮影に関するX線の照射条件等の入力を行なう操作部50と、寝台部10、架台部20、及び画像処理部40を統括して制御するシステム制御部60とを備えている。
【0011】
寝台部10は、架台部20から離間して架台部20の正面側に配置され、被検体Pが載置される天板11と、天板11を上下方向及び長手方向へ移動する天板駆動部12と、天板駆動部12により移動された天板11の位置を検出する位置検出器13とを備えている。そして、天板駆動部12は、被検体Pが載置された天板11を架台部20の撮影が可能な位置へ移動する。
【0012】
架台部20は正面側と背面側の間を貫通する円筒状の開口部20aを有し、寝台部10の被検体Pが載置された天板11の長手方向への移動により、開口部20aへ送り込まれる被検体PにX線を照射するX線管21と、開口部20aを介してX線管21に対向配置され、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器22と、X線検出器22で検出された信号に基づいてX線投影データを生成するデータ収集部23とを備えている。
【0013】
また、架台部20は、データ収集部23で生成されたX線投影データを画像処理部40に伝送するデータ伝送部24と、X線管21を照射駆動する高電圧発生器25と、開口部20aを介して互いに対向配置され、開口部20aへ送り込まれた被検体Pに可視光線を照射する2つの投光部26,27とを備えている。
【0014】
更に、架台部20は、X線管21、X線検出器22、データ収集部23、データ伝送部24、高電圧発生器25、及び投光部26,27を開口部20aの周りを回転可能に保持する回転フレーム28と、回転フレーム28を矢印R1方向へ回転駆動する回転駆動部29と、回転駆動部29により回転された回転フレーム28の角度を検出する角度検出器30とを備えている。
【0015】
X線管21は、高電圧発生器25の照射駆動によりX線を発生する。また、X線検出器22は例えばマルチスライス型であり、X線を検出する検出面にはX線検出素子が天板11の長手方向に複数列配列されている。そして、撮影のときに回転しながら、X線管21から照射され、被検体Pを透過したX線をX線検出器22が検出して電気信号に変換し、変換した信号を増幅してデータ収集部23に出力する。
【0016】
データ収集部23は、アナログ/デジタル変換回路等を有する電子回路基板を備え、X線検出器22の外周に配置される。そして、X線検出器22から出力される信号をデジタル信号に変換し、その変換したデジタル信号を回転フレーム28の所定の撮影角度回転毎に収集して投影データを生成する。
【0017】
データ伝送部24は、例えば光通信手段により送受信するための送信部及び受信部を有し、送信部が回転フレーム28に配置されており、データ収集部23からのX線投影データを画像処理部40に出力する。
【0018】
投光部26,27は、開口部20aを介して互いに対向配置されている。そして、開口部20aへ送り込まれた被検体Pに対して、撮影前に定位置からX線が照射される撮影位置に可視光線を照射する。また、角度検出器30で検出される角度の情報に基づいて、撮影中に予め設定された視野外角度からX線が照射される撮影位置に可視光線を照射する。
【0019】
回転フレーム28は、X線管21の焦点とX線検出器22の検出面の中心を通る直線211に直交し、開口部20aの中心を通る直線212を仮想の回転軸としてR1方向に回転する。
【0020】
画像処理部40は、架台部20のデータ伝送部24から出力されたX線投影データを保存する記憶部41と、記憶部41に保存されたX線投影データを再構成して画像データを生成する再構成部42と、再構成部42で生成された画像データを表示する表示部43とを備えている。
【0021】
操作部50は、キーボード、トラックボール、ジョイスティック、マウス、ハンドスイッチなどの入力デバイスや表示パネルを備えたインターラクティブなインターフェースであり、寝台部10の天板11の移動や、天板11上に載置される被検体Pの体位、架台部20における撮影に関するX線や可視光線の照射条件等を入力する。また、ハンドスイッチは架台部20に配置され、撮影の開始及び停止の入力を行う。
【0022】
システム制御部60は、CPUと記憶回路を備え、操作部50からの操作により入力される入力情報を一旦記憶した後、これらの入力情報に基づいて、寝台部10における天板11の移動、架台部20におけるX線や可視光線の照射及び停止、画像処理部40における画像データの生成や表示に関する制御などシステム全体の制御を行う。
【0023】
次に、図1及び図2を参照して、架台部20における投光部26,27の構成の一例を説明する。
図2は、投光部26,27の構成を示した図である。そして、図2(a)は架台部20の背面側から見た投光部26,27の配置を示し、図2(b)は架台部20の側面側から見た投光部26,27の配置を示している。
【0024】
投光部26は、可視領域のレーザ光線等の可視光線を照射する投光器261及びこの投光器261を駆動制御する投光器制御部262により構成される。また、投光部27は、投光器261と同じ可視光線を照射する投光器271及びこの投光器271を駆動制御する投光器制御部272により構成される。
【0025】
投光器261はX線管21から例えばR1方向へ90°回転した位置に配置され、投光器271は、投光器261からR1方向へ180°回転した位置に配置される。そして、各投光器261,271は、直線211,212に直交する直線213を光軸とし、X線管21から照射されるX線の内の直線211,213を含む2次元の領域であるスキャン中心面214に可視光線を広角照射する。
【0026】
ここで、各投光器261,271は、各投光器制御部262,272の連続駆動又はパルス駆動の照射駆動により、スキャン中心面214に可視光線を連続して照射する又は所定の時間間隔でパルス照射する。また、各投光器制御部262,272の駆動停止により、可視光線の照射を停止する。
【0027】
このように、各投光器261,271から可視光線を照射させることにより、天板11上の被検体P表面に可視光線を投影させて撮影位置を示すことができる。
【0028】
各投光器制御部262,272は、撮影開始前に天板11上に載置された被検体Pの位置決めのために操作部50から投光操作が行われると、各投光器261,271を照射駆動して定位置からスキャン中心面214に可視光線を照射させる。
【0029】
また、各投光器制御部262,272は、操作部50からハンドスイッチの操作により撮影開始の入力が行われると、操作部50から前もって入力された投光器261,271の制御条件(停止制御、パルス制御等)及び天板11上の被検体Pの体位(仰臥位、右を下にする右側臥位、左を下にする左側臥位、伏臥位等)の情報、並びに角度検出器30で検出された回転フレーム28の角度の情報に基づいて、架台部20における撮影の動作に合わせて回転している投光器261,271を駆動制御する。
【0030】
そして、角度検出器30で検出された角度の情報に基づいて、各投光器261,271の角度を算出し、算出した各投光器261,271の角度が開口部20aに送り込まれた被検体Pにより可視光線の直視が困難な予め設定された視野外角度であるとき、各投光器261,271を照射駆動して視野外角度からスキャン中心面214に可視光線を照射させる。また、各投光器261,271の角度が被検体Pにより可視光線の直視が可能な前記視野外角度以外の視野角度であるとき、各投光器261,271の駆動の停止又はパルス駆動を行う。
【0031】
以下、図1乃至図7を参照して、操作部50からハンドスイッチの操作により、被検体Pの眼の部分を含む撮影が行われるときの投光部26,27の動作について説明する。そして、図3は、天板11上に載置された被検体Pが仰臥位である場合の投光部26,27の動作を示す図である。また、図4は、天板11上に載置された被検体Pが右側臥位である場合の投光部26,27の動作を示す図である。また、図5は、天板11上に載置された被検体Pが左側臥位である場合の投光部26,27の動作を示す図である。また、図6は、天板11上に載置された被検体Pが伏臥位である場合の投光部26,27の動作を示す図である。また、図7は、表示部43に表示されたスキャノ像データの一例を示す図である。
【0032】
図3において、操作部50から停止制御及び仰臥位が入力された後、ハンドスイッチの操作により撮影が行われているとき、各投光部26,27の各投光器制御部262,272は、角度検出器30で検出された角度の情報に基づいて、各投光器261,271を駆動制御する。
【0033】
投光器制御部262は、投光器261が天板11の上方に位置し、天板11上に載置された仰臥位の被検体Pにより可視光線の直視が可能な視野角度θU1であるとき、投光器261の駆動を停止する。また、図3(a)及び図3(b)に示すように、投光器261が天板11上に載置された仰臥位の被検体Pにより可視光線の直視が困難な視野角度θU1以外の視野外角度θU2であるとき、投光器261を照射駆動する。
【0034】
投光器制御部272は、図3(b)に示すように、投光器271が視野角度θU1であるとき、投光器271の駆動を停止する。また、図3(a)に示すように、投光器271が視野外角度θU2であるとき、投光器271を照射駆動する。
【0035】
なお、各投光器261,271が視野外角度θU2であるとき、各投光器261,271から照射された可視光線が天板11上の被検体Pに投影されない角度における各投光器261,271からの照射を停止させるように実施してもよい。
【0036】
このように、操作部50から入力された体位が仰臥位である場合、被検体Pの両側面に可視光線を照射して、両側面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面への可視光線の照射を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0037】
操作部50からパルス制御及び仰臥位が入力されていると、各投光器制御部262,272は、視野角度θU1であるときの各投光器261,271をパルス駆動し、視野外角度θU2であるときの各投光器261,271を連続駆動する。
【0038】
このように、被検体Pの両側面に可視光線を連続照射すると共に前面に可視光線をパルス照射して、両側面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの両側面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面に可視光線をパルス照射して実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0039】
図4は、天板11上に載置された被検体Pが右側臥位である場合の投光部26,27の動作を示した図である。
操作部50から停止制御及び右側臥位が入力されていると、投光器制御部262は、図4(a)に示すように、投光器261が天板11の幅方向における一方向又はこの一方向の付近に位置し、天板11上に載置された右側臥位の被検体Pにより可視光線の直視が可能な視野角度θR1であるとき、投光器261の駆動を停止する。また、図4(b)に示すように、投光器261が天板11上に載置された右側臥位の被検体Pにより可視光線の直視が困難な視野角度θR1以外の視野外角度θR2であるとき、投光器261を照射駆動する。
【0040】
また、投光器制御部272は、投光器271が視野角度θR1であるとき、投光器271の駆動を停止する。また、図4(a)及び図4(b)に示すように、投光器271が視野外角度θR2であるとき、投光器271を照射駆動する。
【0041】
このように、操作部50から入力された体位が右側臥位である場合、被検体Pの左側面及び背面に可視光線を照射して、左側面及び背面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面への可視光線の照射を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0042】
操作部50からパルス制御及び右側臥位が入力されていると、各投光器制御部262,272は、視野角度θR1であるときの各投光器261,271をパルス駆動し、視野外角度θR2であるときの各投光器261,271を連続駆動する。
【0043】
このように、被検体Pの左側面及び背面に可視光線を連続照射すると共に前面に可視光線をパルス照射して、左側面、背面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの左側面及び背面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面に可視光線をパルス照射して実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0044】
図5は、天板11上に載置された被検体Pが左側臥位である場合の投光部26,27の動作を示した図である。
操作部50から停止制御及び左側臥位が入力されていると、投光器制御部262は、投光器261が天板11の幅方向における他方向又はこの他方向の付近に位置し、天板11上に載置された左側臥位の被検体Pにより可視光線の直視が可能な視野角度θL1であるとき、投光器261の駆動を停止する。また、図5(a)及び図5(b)に示すように、投光器261が天板11上に載置された左側臥位の被検体Pにより可視光線の直視が困難な視野角度θL1以外の視野外角度θL2であるとき、投光器261を照射駆動する。
【0045】
また、投光器制御部272は、図5(a)に示すように、投光器271が視野角度θL1であるとき、投光器271の駆動を停止する。また、図5(b)に示すように、投光器271が視野外角度θL2であるとき、投光器271を照射駆動する。
【0046】
このように、操作部50から入力された体位が左側臥位である場合、被検体Pの右側面及び背面に可視光線を照射して、右側面及び背面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面への可視光線の照射を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0047】
操作部50からパルス制御及び左側臥位が入力されていると、各投光器制御部262,272は、視野角度θL1内であるときの各投光器261,271をパルス駆動する。また、視野外角度θL2であるときの各投光器261,271を連続駆動する。
【0048】
このように、被検体Pの右側面及び背面に可視光線を連続照射すると共に前面に可視光線をパルス照射して、右側面、背面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの右側面及び背面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの前面に可視光線をパルス照射して実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0049】
図6は、天板11上に載置された被検体Pが伏臥位である場合の投光部26,27の動作を示した図である。各投光器制御部262,272は、操作部50からハンドスイッチの操作により撮影開始の入力が行われると、各投光器261,271の照射駆動を開始する。そして、ハンドスイッチの操作により撮影が行われている間、各投光器261,271を照射駆動し続け、ハンドスイッチの操作により撮影停止の入力が行われると、各投光器261,271の駆動を停止する。
【0050】
このように、操作部50から入力された体位が伏臥位である場合、被検体Pの両側面及び背面に可視光線を照射して、両側面及び背面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。
【0051】
図7は、表示部43に表示されたスキャノ像データの一例を示した図である。このスキャノ像データ44は、天板11上に載置された仰臥位の被検体Pを長手方向へ移動しながら、回転フレーム28が停止した状態で被検体PのX線透視を行うことにより得られたデータである。
【0052】
操作部50から停止制御及び仰臥位が入力された後、操作部50からの指定操作により、停止制御を行う位置として、スキャノ像データ44の体軸方向における眼のデータを含む領域である開始位置Sと終了位置Eが入力指定される。そして、ハンドスイッチの操作により撮影が行われると、天板駆動部12は、位置検出器13で検出された天板11の位置の情報に基づいて、天板11をスキャノ像データ44が得られたときと同じ位置を矢印L1方向へ移動する。
【0053】
各投光器制御部262,272は、角度検出器30で検出された角度及び位置検出器13で検出された位置の情報の情報に基づいて、投光器261,271を駆動制御する。そして、撮影を開始してから、天板11のL1方向への移動によりスキャノ像データ44上の開始位置Sに対応する被検体Pの位置がスキャン中心面214の位置に達するまでの間、投光器261,271を照射駆動する。
【0054】
次いで、スキャノ像データ44上の開始位置Sに対応する被検体Pの位置がスキャン中心面214の位置に達してから、天板11のL1方向への移動により終了位置Sに対応する被検体Pの位置がスキャン中心面214の位置に達するまでの間、各投光器261,271を視野角度θU1であるときに駆動を停止し、視野外角度θU2であるときに照射駆動する。
【0055】
更に、終了位置Sに対応する被検体Pの位置がスキャン中心面214の位置に達してから、天板11のL1方向への移動により撮影が終了するまでの間、各投光器261,271を照射駆動する。
【0056】
このように、操作部50から停止制御及び仰臥位が入力されている場合、スキャノ像データ44の体軸方向における眼のデータを含む領域を指定することにより、角度検出器30で検出された角度及び位置検出器13で検出された位置の情報に基づいて、指定領域に対応する被検体Pの領域がスキャン中心面214を通過している間、その領域の両側面に可視光線を照射して、両側面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの指定領域に対応する撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの指定領域に対応する前面への可視光線の照射を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0057】
以上述べた実施形態によれば、角度検出器30により検出される角度の情報に基づいて、各投光器261,271が天板11上の被検体Pにより可視光線の直視が可能な視野角度であるとき、各投光器261,271の駆動の停止又はパルス駆動を行い、各投光器261,271が視野角度以外の視野外角度であるとき、各投光器261,271の照射駆動を行うことができる。
【0058】
そして、操作部50から入力された体位が仰臥位である場合、視野外角度θU2であるときの各投光器261,271を照射駆動することにより、被検体Pの両側面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θU1であるときの各投光器261,271の駆動を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0059】
また、各投光器261,271を視野外角度θU2であるときに連続駆動し、視野角度θU1であるときにパルス駆動することにより、被検体Pの両側面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの両側面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θU1であるときの各投光器261,271をパルス駆動して可視光線の実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0060】
次に、操作部50から入力された体位が右側臥位である場合、視野外角度θR2であるときの各投光器261,271を照射駆動することにより、被検体Pの左側面及び背面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θR1であるときの各投光器261,271の駆動を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0061】
また、各投光器261,271を視野外角度θR2であるときに連続駆動し、視野角度θR1であるときにパルス駆動することにより、被検体Pの左側面、背面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの左側面及び背面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θR1であるときの各投光器261,271をパルス駆動して可視光線の実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0062】
次に、操作部50から入力された体位が左側臥位である場合、視野外角度θL2であるときの各投光器261,271を照射駆動することにより、被検体Pの右側面及び背面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θL1であるときの各投光器261,271の駆動を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0063】
また、各投光器261,271を視野外角度θL2であるときに連続駆動し、視野角度θL1であるときにパルス駆動することにより、被検体Pの右側面、背面及び前面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの右側面及び背面のみを可視化する場合よりも明確に被検体Pの撮影位置を確認することができる。また、視野角度θL1であるときの各投光器261,271をパルス駆動して可視光線の実効エネルギーを下げることにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を低減することができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0064】
次に、操作部50から停止制御及び仰臥位が入力されている場合、スキャノ像データ44の体軸方向における眼のデータを含む領域を指定することにより、角度検出器30で検出された角度及び位置検出器13で検出された位置の情報に基づいて、指定領域に対応する被検体Pの領域がスキャン中心面214を通過している間、その領域の両側面に可視光線を照射して、両側面における撮影位置を可視化することができる。これにより、被検体Pの指定領域に対応する撮影位置を確認することができる。また、被検体Pの指定領域に対応する前面への可視光線の照射を停止することにより、被検体Pが直視する可能性がある角度からの可視光線の照射を避けることができる。これにより、被検体Pに与える不快感を軽減することができる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
P 被検体
11 天板
20 架台部
21 X線管
22 X線検出器
26,27 投光部
28 回転フレーム
29 回転駆動部
30 角度検出器
211,212,213 直線
214 スキャン中心面
261,271 投光器
262,272 投光器制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7