(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバ把持領域の一部が前記光ファイバ固定部側に開口し、前記光ファイバ把持領域に挿入された前記光ファイバの一部が前記光ファイバ固定部の底部に露出することを特徴とする請求項1記載の光コネクタ。
前記光ファイバ固定部材は、前記光ファイバ固定部内に収容される凸部と、前記樹脂継手の上面に配置される平面部と、を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光ファイバと各種光デバイスを結合する用途で使用される光コネクタにおいては、形状面においてその寸法が小さいこと、機器面において抜き差しが繰り返されても光ファイバとコリメータレンズとの位置関係が維持されることが要求される。
【0007】
しかし、特許文献1に開示された技術のように、光ファイバの端面とコリメータレンズとの位置決めに別部品を用いると、部品点数が増加するとともに、組み立て工程が複雑になるという問題がある。また、別部品を保持部材内に挿入する作業は、光コネクタの寸法が小さくなるほど困難となり、その作業に要するコストが上昇するという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に開示された技術のように、光コネクタを組み立てる際にくさび部材などの別部品を用いると、部品点数がさらに増加するとともに、組み立て工程がますます複雑になるという問題がある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、煩雑な組立工程を必要とすることなく高精度にコリメータレンズと光ファイバとを位置合わせできる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光コネクタは、一端にコリメータレンズを収容する収容部が形成され、他端に光ファイバが挿入される挿入孔が形成された金属製の保持部材と、一端に前記保持部材が挿入される第1の挿入孔が形成され、他端に前記光ファイバが挿入される第2の挿入孔が形成される通孔を有し、前記通孔の一部に光ファイバ把持領域が形成され
ると共に当該光ファイバ把持領域上に、光ファイバ固定部材を収容するための光ファイバ固定部が形成された樹脂継手と、を備えた光コネクタであって、前記保持部材の収容部近傍
の外周に陥没部
を設けることで形成される当接面に、前記コリメータレンズおよび前記光ファイバの端面の少なくとも一方を当接させて位置決めを行い、
前記光ファイバ固定部材は、前記樹脂継手の一部および前記第2の挿入孔から露出する前記光ファイバの一部を結束する結束部と、前記光ファイバ固定部内に収容される側面視断面略U字形状の固定部と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記光コネクタによれば、保持部材に設けられた陥没部にコリメータレンズおよび光ファイバの少なくとも一方を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部を基準としてコリメータレンズおよび/または光ファイバを位置決めすることができるので、従来のように別部品を保持部材内に挿入する場合と比べて作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズと光ファイバとの位置決めを行うことが可能となる。また、樹脂継手における光ファイバ把持領域上に、光ファイバ固定部材を収容するための光ファイバ固定部を形成するので、少ない部品点数で位置決めされた光ファイバを堅固に固定することが可能となる。この結果、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることが可能となる。
また、光ファイバ固定部材における結束部が樹脂継手の一部および第2の挿入孔から露出する光ファイバの一部を結束するため、接続強度をより強くすることが可能となる。また、固定部と結束部とが一体となった光ファイバ固定部材であるため、部品点数を少なくすることが可能となる。
【0012】
例えば、上記光コネクタにおいて、前記光ファイバ把持領域の一部が前記光ファイバ固定部側に開口し、前記光ファイバ把持領域に挿入された前記光ファイバの一部が前記光ファイバ固定部の底部に露出することが考えられる。この場合には、光ファイバ固定部に収容された光ファイバ固定部材の底面によって、光ファイバが上から押さえ込まれるため、位置決めされた光ファイバを堅固に固定することが可能となる。
【0013】
また、上記光コネクタにおいて、前記光ファイバ固定部材は、前記光ファイバ固定部内に収容される凸部と、前記樹脂継手の上面に配置される平面部と、を有するようにしてもよい。この場合には、光ファイバ固定部材が簡単な構造であるため、その製造に要するコストを低減することが可能となる。
【0015】
さらに、上記光コネクタにおいて、前記第1の挿入孔が並列して複数個設けられていてもよい。この場合には、複数本の光ファイバが装填された光コネクタであっても、簡単な組立工程で得ることが可能となる。
【0016】
さらに、上記光コネクタにおいて、前記樹脂継手の外周に、デバイスと接続した際に前記デバイス側の嵌合部と嵌合する被嵌合部を設けるようにしてもよい。この場合には、樹脂継手の一部に設けた被嵌合部により、デバイスに挿入した光コネクタの位置ずれを防止できるので、光コネクタとデバイスとの接続を良好なものとすることが可能となる。
【0017】
さらに、上記光コネクタにおいて、前記光ファイバは、プラスチック光ファイバであることが考えられる。この場合には、素材が柔軟であるため、光ファイバ固定部材によって上から抑え込むことができ、部品点数を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、煩雑な組立工程を必要とすることなく、高精度にコリメータレンズと光ファイバを位置合わせすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係る光コネクタをデバイスに接続した状態について説明する。
図1は、本発明に係る光コネクタをデバイスに接続した状態を模式的に示す側断面図である。なお、
図1においては、説明の便宜上、受光/発光素子を備えるデバイスについて説明するが、デバイスの構成についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0021】
図1に示すように、本発明に係る光コネクタ10が接続されるデバイス100は、受光/発光素子101をケース102の内部に配置するとともに、この受光/発光素子101の光軸上に図示しない支持手段によって支持された集光レンズ103および斜め研磨面104を配置して構成される。また、デバイス100におけるケース102の側面には、光コネクタ10を挿入する開口部105が設けられている。
【0022】
デバイス100において、発光素子101から出射されるレーザ光は、集光レンズ103を介して斜め研磨面104によって反射され、開口部105に導かれる。そして、斜め研磨面104によって反射された光は、光コネクタ10のコリメータレンズ12により集光され、光ファイバ13に入射する。そして、このように入射した光が、光ファイバ13内を伝搬する。なお、
図1においては、点線で発光素子101から出射されたレーザ光の光路を表示している。
【0023】
また、デバイス100において、光ファイバ13を伝搬する光は、コリメータレンズ12を経由することによりコリメートされる。そして、光ファイバ13から出射されたレーザ光は、斜め研磨面104によって反射され、集光レンズ103を介して受光素子101に導かれる。なお、
図1においては、点線で光ファイバ13から出射されたレーザ光の光路を表示している。
【0024】
本実施の形態に係るデバイス100においては、ケース102内の所定位置まで光コネクタ10が挿入されると、受光/発光素子101と光ファイバ13との間を伝わるレーザ光が集光レンズ103および斜め研磨面104を介して適切に入出射できるように設計されている。以下、このようなデバイス100に接続される本発明に係る光コネクタ10の構成について説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ10の外観斜視図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ10の側断面図である。
図2および
図3に示すように、光コネクタ10は、概して円筒形状を有する保持部材としての複数本の(本実施の形態において2本)ホルダ11と、各ホルダ11の一端部に保持されるコリメータレンズ12と、各ホルダ11の他端部に設けられた挿入孔11aから挿入される複数本の(本実施の形態において2本)光ファイバ13と、各ホルダ11および各光ファイバ13を保持する樹脂継手14と、各光ファイバ13を固定および結束する固定結束部材15と、各光ファイバ13を被覆するジャケット16と、を含んで構成される。なお、第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、光ファイバ13としてプラスチック光ファイバが好適に挿入される。
【0026】
ホルダ11、コリメータレンズ12および光ファイバ13は、光コリメータ10aを構成している。この光コリメータ10aについての詳細は後述する。
【0027】
図4Aは、樹脂継手14の斜視図であり、
図4Bは樹脂継手14の側断面図である。
図4Aに示すように、樹脂継手14は概して直方体形状を有し、その長手方向に沿って通孔が設けられている。通孔の一端にはホルダ11が挿入される挿入孔14aが設けられ、他端には光ファイバ13が挿入される開口部14bが設けられている。樹脂継手14の中央付近には、樹脂継手14の外周の一部が断面略矩形状に切り取られた形状の光ファイバ固定部14cが形成されている。以下では、光ファイバ固定部14cの前端部より前方側の樹脂継手14の部分を先端部14d、光ファイバ固定部14cの後端部より後方側の樹脂継手14の部分を後端部14eと称する。先端部14dの外周上面には、断面略直角三角形状である凹溝形状の被嵌合部14fが形成されている。
【0028】
樹脂継手14の通孔には、先端部14dにホルダ挿入領域14g、後端部開口部14b側にジャケット挿入領域14h、ホルダ挿入領域14gとジャケット挿入領域14hとの間に光ファイバ把持領域14iが設けられている。ホルダ挿入領域14gと光ファイバ把持領域14iは、光コネクタ10に固定させる光ファイバ13の本数に対応して複数個(本実施の形態において2つ)設けられている。また、ホルダ挿入領域14gと光ファイバ把持領域14iとの境界には、位置決め部14jが設けられている。ホルダ挿入領域14gの内径は、ホルダ11の外径とほぼ同径となるように構成されている。ジャケット挿入領域14hの内径は、ジャケット16の外径とほぼ同径となるように構成されている。光ファイバ把持領域14iの内径は、光ファイバ13の外径とほぼ同径となるように構成されている。また、光ファイバ把持領域14iの一部は、光ファイバ固定部14c側に開口している。
【0029】
樹脂継手14の被嵌合部14fは、デバイス100における開口部105の内周に設けられた凸形状の嵌合部105aと嵌合することにより(
図1参照)、デバイス100に挿入した光コネクタ10の位置ずれを防止し、光コネクタ10とデバイス100との接続を良好なものとするために設けられている。また、被嵌合部14fと嵌合部105aとが嵌合するまで光コネクタ10をデバイス100内に挿入することにより、常にケース102内の所定位置に光コネクタ10を位置決めすることが可能となる。
【0030】
固定結束部材15は、長手方向の断面が略U字形状である、すなわち固定結束部材15の側方から見て略U字形状である固定部分15aと、短手方向の断面が略U字形状である、すなわち固定結束部材15の前後方向から見て略U字形状である結束部分15b,15cと、から構成される。固定部分15aは、樹脂継手14の光ファイバ固定部14cに配置される。結束部分15bは、樹脂継手14における後端部14eの上面、側面および底面の一部を覆っている。結束部分15cは、樹脂継手14の開口部14bから露出する光ファイバ13(ジャケット16)の一部を覆っている。結束部分15bと結束部分15cとは、その上面が接続されている。
【0031】
ジャケット16は、例えば、弾性部材や抗張力繊維で形成され、樹脂継手14のジャケット挿入領域14h内ないし開口部14bから露出する光ファイバ13の長手方向に沿って、光ファイバ13すべてを覆っている。ジャケット16と光ファイバ13とは密着しておらず、隙間を空けて装着されている。そのため、ジャケット16が引っ張られても光ファイバ13には力が加わらず、光ファイバ13の断線を防ぐことができる。
【0032】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る光コネクタ10に用いる、ホルダ11、コリメータレンズ12および光ファイバ13から構成される光コリメータ10aについて詳細に説明する。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る光コリメータ10aの側面図である。
図6は、
図5に示すA−A矢視断面図である。
【0033】
ホルダ11は、例えば、ステンレス等の金属材料で形成される。特に加工性の点から、ホルダ11は、オーステナイト系ステンレスで形成されることが好ましい。
図6に示すように、ホルダ11におけるコリメータレンズ12側の端部には、開口部11bが設けられている。この開口部11bの内側には、コリメータレンズ12を収容する収容部11cが設けられている。この収容部11cは、コリメータレンズ12の表面の損傷を防止するためにコリメータレンズ12全体をその内側に収容可能な寸法に設けられ、コリメータレンズ12が圧入可能に構成されている。また、ホルダ11の内部には、光ファイバ13の外径よりもわずかに大径の貫通孔11dが設けられている。この貫通孔11dは、挿入孔11aに連通するとともに、収容部11cに連通して設けられている。さらに、ホルダ11には、その外周部から工具等により押圧加工を施すことで形成される複数の陥没部11eが設けられている。これらの陥没部11eは、収容部11cと貫通孔11dとの間に設けられ、詳細について後述するように、コリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決めに利用される。
【0034】
コリメータレンズ12は、例えば、ガラス材料で形成され、球形状を有するボールレンズで構成されている。
図6に示すように、コリメータレンズ12は、ホルダ11の収容部11c内に収容された状態において、貫通孔11dに挿入された光ファイバ13の先端部に臨むように配置されている。
【0035】
光ファイバ13は、その中心を貫通して設けられるコア13aと、このコア13aを被覆するクラッド13bと、このクラッド13bを被覆して補強する補強層13cとから構成されている。光ファイバ13のコリメータレンズ12に対向する端面においては、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが同一平面上に配置されている。すなわち、コリメータレンズ12に対向する端面において、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが揃って配置されている。
【0036】
また、光ファイバ13は、挿入孔11aを介して貫通孔11dに挿入され、その先端部がコリメータレンズ12の近傍でその球面に対向するように配置した状態で固定されている。
【0037】
第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいて、光ファイバ13は、例えば、グレーデッドインデックス(GI)型光ファイバで構成され、ファイバ軸に垂直な断面で屈折率が連続的に変化するように構成されている。また、コア13aおよびクラッド13bは、例えば、C−H結合のHをFに置換した全フッ素置換光学樹脂で構成されている。このように、光ファイバ13を全フッ素置換光学樹脂で構成するとともに、GI型光ファイバで構成することにより、高速かつ大容量通信を実現することができる。
【0038】
このような構成を有し、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うためにホルダ11に設けた陥没部11eを利用する。具体的には、ホルダ11に設けた陥没部11eに、コリメータレンズ12および光ファイバ13の一部を当接させて位置決めを行うことにより、これらの位置決め用のスペーサなどの構成を不要とし、コストの上昇を抑制しつつ、簡便にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを可能とするものである。
【0039】
ここで、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aのホルダ11におけるコリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決め方法について
図7を用いて説明する、
図7は、
図6に示す2点鎖線B内の拡大図である。
図7に示すように、陥没部11eのうち、コリメータレンズ12に対向する部分には、コリメータレンズ12の一部が当接する一方、光ファイバ13に対向する部分には、光ファイバ13を構成するコア13a以外のクラッド13bまたは補強層13c、あるいはクラッド13bおよび補強層13cの一部が当接する。このように当接した状態でコリメータレンズ12および光ファイバ13がそれぞれホルダ11の所定位置に位置決めされる。
【0040】
図7に示すように、陥没部11eは、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、
図7に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの中心を通過する平面C)に対して、コリメータレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とが異なる角度に設けられている。このような陥没部11eは、例えば、先端部の形状が異なる先細の工具を用いて押圧加工を施すことにより設けられる。このような工具で押圧加工することにより、陥没部11eは、その押圧加工時における中心軸を基準として、コリメータレンズ12に対向する部分の角度と、光ファイバ13に対向する部分の角度とを異なる角度とすることで、形状の異なるコリメータレンズ12と光ファイバ13とを効果的に位置決めすることが可能となる。
【0041】
また、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、このような陥没部11eがホルダ11の同一周上に複数(本実施の形態においては、3つ)設けられている。同一周上への陥没部11eの形成は、例えば、上述した先端形状の異なる工具によりホルダ11の外周から同時に押圧加工を施すことが考えられる。このように同一周上に複数の陥没部11eを設けることにより、コリメータレンズ12および光ファイバ13をそれぞれ複数の位置で当接させることができるので、より高精度にコリメータレンズ12および光ファイバ13の位置決めを行うことが可能となる。
【0042】
陥没部11eにおけるコリメータレンズ12に対向する部分は、傾斜面11e
1を構成する。この傾斜面11e
1は、
図7に矢印で示す光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、
図7に示す光ファイバ13の端面と平行に配置され、陥没部11eの基端部を通過する平面D)に対する角度θ
1が0°以上45°以下となるように設けられている。このようにコリメータレンズ12側の傾斜面11e
1の角度θ
1を光ファイバ13の挿入方向と直交する平面Dに対して0°以上45°以下に設定することにより、コリメータレンズ12における光ファイバ13側の一部を支持した状態で位置決めすることができるので、コリメータレンズ12の位置精度を高めることができる。
【0043】
一方、陥没部11eにおける光ファイバ13に対向する部分は、傾斜面11e
2を構成する。傾斜面11e
2は、光ファイバ13の挿入方向と直交する平面(例えば、
図7に示す光ファイバ13の端面と平行に配置される平面E)に対する角度θ
2が0°以上20°以下となるように設けられている。このように傾斜面11e
2の角度を平面Eに対して0°以上20°以下に設けることにより、光ファイバ13が、上述したように、コア13a、クラッド13bおよび補強層13cが同一平面上に配置される光ファイバで構成される場合に、当該光ファイバ13の端面を陥没部11eに当接させることにより、これらの位置精度を確保し易くすることができる。
【0044】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光コリメータ10aにおいては、ホルダ11に設けた陥没部11eにコリメータレンズ12の一部および光ファイバ13の一部を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてコリメータレンズ12および光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように、別部品をホルダ11に挿入する場合と比べて、作業効率を向上させることができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。
【0045】
続いて、第1の実施の形態に係る光コネクタ10の組み立て工程について、
図8〜
図10に基づいて説明する。
図8〜
図10は、光コネクタ10の組み立て工程を順に示す説明図である。光コネクタ10の組み立て工程は、樹脂継手14にホルダ11を圧入する工程(a)と、光ファイバ13を挿入する工程(b)と、ジャケット16を装着する工程(c)と、固定結束部材15を装着する工程(d)と、を含んでいる。以下、各工程について詳細に説明する。
【0046】
[工程(a)]
まず、
図8に示すように、樹脂継手14の挿入孔14aから、ホルダ11を圧入する。ホルダ11の収容部11cには、陥没部11eに当接した状態でコリメータレンズ12が位置決めされて収容されている。挿入孔14aから圧入されたホルダ11は、ホルダ11の挿入孔11aが位置決め部14jに当接すると静止する。このとき、ホルダ11は所定の位置に位置決めされた状態となる。
【0047】
[工程(b)]
次に、
図9に示すように、樹脂継手14の開口部14bから光ファイバ13を挿入する。光ファイバ13は、樹脂継手14の内径に案内されてホルダ11の挿入孔11aに至り、ホルダ11の内径に案内されて陥没部11eに至る。光ファイバ13が、陥没部11eに当接したところで挿入作業が終了する。このとき、光ファイバ13は所定の位置に位置決めされた状態となる。光ファイバ13を光ファイバ把持領域14iに装填した場合、光ファイバ13は、光ファイバ固定部14cの底部にその一部が露出するように配置される。
【0048】
[工程(c)]
次に、
図10に示すように、樹脂継手14のジャケット挿入領域14h内ないし開口部14bから露出する光ファイバ13の長手方向に沿って、光ファイバ13すべてを覆うようにジャケット16を装着する。ただし、
図10においては、ジャケット16の一部は省略して描かれている。
【0049】
なお、あらかじめジャケット16で被覆された光ファイバ13を用いる場合には、光ファイバ13を挿入する工程(b)の前に、ホルダ11および光ファイバ把持領域14iに装填される部分のジャケット16を剥がして光ファイバ13を露出させておく。このように端部を露出させたジャケット16付きの光ファイバ13を樹脂継手14の開口部14bから挿入することにより、上記工程(b)および(c)を経た場合と同様に、
図10に示す状態を得ることができる。
【0050】
[工程(d)]
最後に、固定結束部材15の固定部分15aを樹脂継手14の光ファイバ固定部14c内に配置し、結束部分15bと結束部分15cとで、樹脂継手14の後端部14eおよび開口部14bから露出する光ファイバ13(ジャケット16)の一部を覆うことで、
図3に示す光コネクタ10が得られる。固定部分15aは、光ファイバ固定部14cの上から押さえ付けられることにより、光ファイバ13を固定する。すなわち、光ファイバ把持領域14iに装填され、光ファイバ固定部14cの底部にその頭が出るように配置された複数本の光ファイバ13は、固定部分15aにより上から押さえ込まれて一度に固定される。また、結束部分15bおよび結束部分15cは、その両側面を押さえ付けられることにより、かしめられて樹脂継手14およびジャケット16を固定する。この構成により、樹脂継手14と光ファイバ13との接続強度をより強くすることが可能となる。
【0051】
以上説明したように、第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、ホルダ11に設けられた陥没部11eにコリメータレンズ12および光ファイバ13の少なくとも一方を当接させて位置決めするようにしたことから、陥没部11eを基準としてコリメータレンズ12および/または光ファイバ13を位置決めすることができるので、従来のように別部品を保持部材内に挿入する場合と比べて作業効率を向上することができ、コストの上昇を抑制しつつ、簡単にコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行うことが可能となる。また、樹脂継手14における光ファイバ把持領域14i上に、固定結束部材15の固定部分15aを収容するための光ファイバ固定部14cを形成することにより、位置決めされた光ファイバ13を堅固に固定することができるので、少ない部品点数で簡単に組み立て作業を行うことが可能となる。
【0052】
例えば、光ファイバを用いて機器間もしくは機器内での大容量通信を行うために用いられる光コネクタにおいて、従来のように、光ファイバとコリメータレンズとの位置決め用に隔壁(スペーサ部)を形成する場合には、金属材料などで構成される保持部材(ホルダ)に対して切削加工などの加工処理を施す必要がある。しかしながら、上記用途で使用される光コネクタの保持部材においては、その寸法が小さくなることから、切削加工の加工精度が低下し、加工処理に伴うコスト(例えば、寸法不良製品の発生によるコスト)の増大が顕著となる。これに対し、第1の実施の形態に係る光コネクタ10のホルダ11においては、保持部材であるホルダ11に切削加工を施すことで隔壁(スペーサ部)を形成するのではなく、塑性加工を施すことで陥没部11eを形成することから、加工処理に伴うコストを大幅に低減することができる。
【0053】
また、第1の実施の形態に係る光コネクタ10においては、ホルダ11に形成された陥没部11eによりコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う一方、樹脂継手14に形成された光ファイバ把持領域14iおよび光ファイバ固定部14cに収容された固定結束部材15の固定部分15aにより光ファイバ13を固定している。この場合において、光ファイバ13は、位置決めした状態で堅固に固定されている。このため、光ファイバ13を用いて機器間もしくは機器内での大容量通信を行うための用途において、抜き差しが繰り返し行われた場合においても、光ファイバ13とコリメータレンズ12との位置関係を維持することができる。
【0054】
なお、以上の説明においては、ホルダ11に設けた陥没部11eにコリメータレンズ12の一部および光ファイバ13の一部を当接させてコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う場合について説明している。しかしながら、コリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決め方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、コリメータレンズ12および光ファイバ13の双方を陥没部11eに当接させるのではなく、コリメータレンズ12または光ファイバ13の一方を当接させるようにし、他方については陥没部11e以外のホルダ11の部分で位置決めを行うようにしてもよい。ただし、この場合には、他方を位置決めするための部分が、陥没部11eとの関係で一定の位置関係に設計されることを前提とする。すなわち、本発明に係る光コネクタ10においては、コリメータレンズ12または光ファイバ13の一方を陥没部11eに当接させる着想も含まれる。
【0055】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態で示した光コネクタ10とは異なる構造の光コネクタ20について説明する。光コネクタ20は、樹脂継手14の光ファイバ固定部14cにおいて光ファイバ13を固定する部材の構造が、光コネクタ10と相違する。以下、第2の実施の形態に係る光コネクタ20について、
図11,
図12に基づいて説明する。
図11は、第2の実施の形態に係る光コネクタ20の外観斜視図である。
図12は、第2の実施の形態に係る光コネクタ20の側断面図である。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態に係る光コネクタ10と共通する構成については同一の符号を付与してその説明を省略する。
【0056】
図11および
図12に示すように、固定部材25は、樹脂継手14の上面に配置される上面視矩形状の平面部25aと、光ファイバ固定部14c内に配置される略直方体形状の凸部25bと、から構成される。このように、固定部材25は簡単な構造であるため、低コストで作製することが可能である。
【0057】
続いて、第2の実施の形態に係る光コネクタ20の組み立て工程について説明する。光コネクタ20の組み立て工程は、第1の実施の形態に係る光コネクタ10の組み立て工程と、工程(a)〜工程(c)が共通し、工程(d)が相違する。
【0058】
[工程(d)]
最後に、固定部材25の凸部25bを樹脂継手14の光ファイバ固定部14c内に配置する。固定部材25は、平面部25aを上から押さえ付けられることにより、光ファイバ13を固定する。すなわち、光ファイバ把持領域14iに装填され、光ファイバ固定部14cの底部にその一部が露出するように配置された複数本の光ファイバ13は、固定部材25の凸部25bにより上から押さえ込まれて一度に固定される。
【0059】
また、第2の実施の形態に係る光コネクタ20においては、ホルダ11に形成された陥没部11eによりコリメータレンズ12と光ファイバ13との位置決めを行う一方、樹脂継手14に形成された光ファイバ把持領域14iおよび光ファイバ固定部14cに収容された固定部材25の凸部25bにより光ファイバ13を固定している。この場合において、光ファイバ13は、位置決めした状態で堅固に固定されている。このため、光ファイバ13を用いて機器間もしくは機器内での大容量通信を行うための用途において、抜き差しが繰り返し行われた場合においても、光ファイバ13とコリメータレンズ12との位置関係を維持することができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
【0061】
上記実施の形態においては、プラスチック光ファイバを光ファイバ13の一例として説明しているが、上記実施の形態に係る光コネクタ10(20)にて適用される光ファイバ13は、プラスチック光ファイバに限定されるものではない。例えば、ガラスファイバを適用することも可能である。