特許第5743681号(P5743681)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743681
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20060101AFI20150611BHJP
   F21V 5/02 20060101ALI20150611BHJP
   F21V 5/00 20150101ALI20150611BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20150611BHJP
【FI】
   F21S2/00 431
   F21V5/02 100
   F21V5/00 530
   F21Y101:02
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-98128(P2011-98128)
(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公開番号】特開2012-230811(P2012-230811A)
(43)【公開日】2012年11月22日
【審査請求日】2014年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】枝光 貴志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 瞬
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−116441(JP,A)
【文献】 特開2009−283419(JP,A)
【文献】 特開2008−204948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/02
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する出射面を有する光源部と、傾斜面を有し前記光源部からの出射光の配光を二次元的に制御するために面状に配置された複数のプリズムを含むプリズム面を有する配光制御部材とを備え、前記プリズム面は、平坦部を有し、前記配光制御部材は、前記プリズム面が前記光源部の出射面に対向するように配置されており、前記光源部からの出射光は、前記出射面から均一に出射されて前記平坦部及び前記傾斜面を通じて前記配光制御部材に入射し、前記傾斜面の傾斜角度は、42度以上かつ45度以下、または、47度以上かつ55度以下であることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記プリズムは、四角錐または四角錐台からなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
請求項に記載の照明装置からなる照明ユニットを複数個隣接させて配置したことを特徴とする照明装置。
【請求項4】
前記プリズムは、三角錐または三角錐台からなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記プリズムは、円錐または円錐台からなることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光源部は、導光板と、該導光板の側端面に配置された光源を含むことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、被照明面上の照度の均一性を向上させることが可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置は、その発光面の正面の光度が最も大きく、正面からの角度が増すにつれて光度が減少するような配光特性を有するのが一般的である。そして、このような配光特性を有する照明装置では、照明装置から離れた位置にある被照明面(例えば、このような照明装置を室内照明として天井に取り付けて使用した場合には、床面)における照度は、照明装置の直下のみが大きく、周辺にいくにしたがって急激に減少するといった問題がある。従来、この問題を回避して被照明面上の比較的広い領域において均一な照度を達成するために、照明装置の配光特性を後述するバットウィング状とすることが知られている。
【0003】
ここで、図10(a)は、室内空間106において、照明装置100を天井102に取り付け、床面104を照らすようにした配置構成を示す図である。また、図10(b)は、照明装置100の配光特性の基準軸(通常、発光面の正面方向の中心軸。以下、光軸ともいう)qを含む一断面(例えば、P)において、光軸qからの偏向角(以下、配光角という)θに対する照明装置100の光度の分布(以下、光度角分布という)L1、L2を示すグラフであり、図10(c)は、図10(b)に示す光度角分布L1、L2にそれぞれ対応する、床面104における照度の分布(以下、照度角分布という)E1、E2を示すグラフである。尚、図10(b)、(c)において、円周の周囲に示された数値(−90〜90)は配光角θを示し、各配光角θにおける光度は、最も光度が大きくなる角度での値を1とした相対値で示し、照度は、それぞれ光軸q上の(すなわち、θ=0度における)照度を1とする相対値で示されている。
【0004】
図10(b)に示す光度角分布L2は、上述した一般的な配光特性に相当し、この場合、面状照明装置100の光度は、θ=0度の方向で最大となり、配光角θの絶対値が増大するにつれて減少する。この際、床面104における照度は、図10(c)に示す対応する照度角分布E2から分かるように、(光度角分布L2が、−25度〜25度の範囲で比較的均一であるにもかかわらず)、配光角θの絶対値が増大するにつれて急激に減少する。
【0005】
一方、床面104における照度を、図10(c)に示す照度角分布E1のように比較的広い領域(例えば、−25度〜25度の範囲)で均一にしたい場合、照明装置100の配光特性を、図10(b)に示す光度角分布L1のように、θ=0度の方向から、その領域に対応する配光角の上下限値(例えば、±25度)の方向に向かって、光度が増大するような特性とする必要がある。この場合、光度角分布は、配光角θの上記上下限値にピーク値をとる2峰性の分布形状を有するものとなり、このような光度角分布を備えた配光特性を、バットウィング状の配光特性という。
【0006】
従来、配光特性をバットウィング状とするための配光制御部材を備えた照明装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の照明装置を、図11を参照して説明すれば、次の通りである。
【0007】
図11(a)に示す照明装置200は、光源202と、光源202から出射される光Lの配光態様を制御する配光制御部材203とを有している。配光制御部材203は、三角錐プリズム板231を備えており、これによって、光源202からの光Lをバットウィング状に拡散することが図られている。この三角錐プリズム板231は、光源202側を平面231a、他側の面を光拡散面231bとするように構成及び配置され、光拡散面231bは、図11(b)に示すように、隙間なく配列された複数の三角錐プリズムからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−266521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、照明装置において、その照明光による被照明面の照度の均一性をより優れたものとするには、バットウィング状の配光特性において、その光度角分布の分布形状をさらに精細に調整する必要がある。加えて、被照明面の照度の均一性を向上させるため、照明装置の配光特性は、光軸周り方向(図10(a)に示す方位角φ方向)に均一であること(すなわち、任意の方位角φについて、断面Pφにおける光度角分布が可能な限り等しいこと)が望ましい。しかしながら、本発明者らによる調査、検討の結果、図11に記載したような従来の照明装置では、このような光度角分布の調整及び方位角φ方向の均一性の達成は困難であることが分かった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑み、被照明面上の照度の均一性を向上させることが可能な照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、さらに他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0012】
(1)光を出射する出射面を有する光源部と、傾斜面を有し前記光源部からの出射光の配光を二次元的に制御するために面状に配置された複数のプリズムを含むプリズム面を有する配光制御部材とを備え、前記プリズム面は、平坦部を有し、前記配光制御部材は、前記プリズム面が前記光源部の出射面に対向するように配置されており、前記光源部からの出射光は、前記出射面から均一に出射されて前記平坦部及び前記傾斜面を通じて前記配光制御部材に入射し、前記傾斜面の傾斜角度は、42度以上かつ45度以下、または、47度以上かつ55度以下であることを特徴とする照明装置(請求項1)。
【0013】
本項に記載の照明装置によれば、配光制御部材のプリズム面が平坦部を有することにより、バットウィング状の配光特性を実現するとともに、その光度角分布を任意に調整し、被照明面上の所定の領域における均一な照度を達成するための理想的な分布に近づけることが可能となる。加えて、本項に記載の照明装置によれば、被照明面上の所定の領域における照度の、光軸周りの均一性を向上させることも可能となる。
【0014】
また、本項に記載の照明装置によれば、光源部の出射面の反対側を向くようにプリズムを配置した構成と比較して、バットウィング状の配光特性を容易に実現することが可能となる。
【0015】
また、本項に記載の照明装置によれば、通常の光学樹脂材料(屈折率1.45〜1.6)を用いてプリズムを形成することにより、バットウィング状の配光特性を容易に実現することが可能となる。
【0016】
)(1)項に記載の照明装置において、前記プリズムは、四角錐または四角錐台からなることを特徴とする照明装置(請求項)。
本項に記載の照明装置によれば、被照明面上でほぼ均一な照度が実現される領域を、丸みを帯びた四角形状とすることが可能であるため、四角形状の被照明面(例えば、一般的な室内空間における床面)を照明するために好適な照明装置を提供することが可能となる。
【0017】
)()項に記載の照明装置からなる照明ユニットを複数個隣接させて配置したことを特徴とする照明装置(請求項)。
本項に記載の照明装置によれば、隣接する照明ユニットからの照明光が互いに重なる部分を少なくすることができるため、比較的広い面積を有する被照明面を効率的に照明することが可能となる。
【0018】
)(1)項に記載の照明装置において、前記プリズムは、三角錐または三角錐台からなることを特徴とする照明装置(請求項)。
本項に記載の照明装置によれば、照明装置の配光特性の光軸周り方向の均一性を向上させることができる。
【0019】
)(1)項に記載の照明装置において、前記プリズムは、円錐または円錐台からなることを特徴とする照明装置(請求項)。
本項に記載の照明装置によれば、照明装置の配光特性の光軸周り方向の均一性をさらに向上させることができる。
【0020】
)(1)〜()項に記載の照明装置において、前記光源部は、導光板と、該導光板の側端面に配置された光源を含むことを特徴とする照明装置(請求項)。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る照明装置は、上記のように構成したことにより、被照明面上の照度の均一性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は、本発明の一実施形態における照明装置の要部を示す側面図であり、(b)は、(a)に示す照明装置の配光制御部材の一部を拡大して示す側面図である。
図2】本発明の一実施形態において、配光制御部材のプリズム面の例を示す平面図であり、(a)は、四角錐台からなる複数のプリズムを敷き詰めた態様、(b)は、四角錐からなる複数のプリズムを間隔をおいて配置した態様、(c)は、四角錐台からなる複数のプリズムを間隔をおいて配置した態様を、それぞれ示す図である。
図3】本発明の一実施形態において、配光制御部材のプリズム面の別の例を示す平面図であり、(a)は、三角錐台からなる複数のプリズムを敷き詰めた態様、(b)は、三角錐からなる複数のプリズムを間隔をおいて配置した態様、(c)は、三角錐台からなる複数のプリズムを間隔をおいて配置した態様を、それぞれ示す図である。
図4】本発明の一実施形態において、配光制御部材のプリズム面の傾斜面を示す側断面図であり、(a)は、図2(a)及び図3(a)のA−A断面、(b)は、図2(b)及び図3(b)のB−B断面、(c)は、図2(c)及び図3(c)のC−C断面に、それぞれ相当する図である。
図5】本発明の一実施形態において、配光制御部材のプリズム面のさらに別の例を模式的に示す平面図である。
図6】照明装置の配光特性を、球体の中心に置かれた照明装置によって照明される半球面上の光度分布として示す図であり、配光制御部材を備えない比較例の場合を示す図である。
図7】照明装置の配光特性を、球体の中心に置かれた照明装置によって照明される半球面上の光度分布として示す図であり、(a)は、四角錐台プリズムを敷き詰めた態様のプリズ面を有する本発明の一実施例の場合、(b)は、四角錐プリズムを敷き詰めた態様のプリズム面を有する配光制御部材を備えた比較例の場合を、それぞれ示す図である。
図8】照明装置の配光特性を、球体の中心に置かれた照明装置によって照明される半球面上の光度分布として示す図であり、(a)は、三角錐台プリズムを敷き詰めた態様のプリズム面を有する本発明の一実施例の場合、(b)は、三角錐プリズムを敷き詰めた態様のプリズム面を有する配光制御部材を備えた比較例の場合を、それぞれ示す図である。
図9】照明装置の配光特性を、球体の中心に置かれた照明装置によって照明される半球面上の光度分布として示す図であり、円錐プリズムを間隔をおいて配置した本発明の一実施例の場合を示す図である。
図10】一般的に照明装置の光度角分布と照度角分布の特性を示す図であり、(a)は照明装置の配置構成を示す図、(b)は、2つの異なる配光特性に対応する光度角分布の例を示すグラフ、(c)は、(b)に示す2つの光度角分布にそれぞれ対応する照度角分布を示すグラフである。
図11】従来の照明装置の一例を示す図であり、(a)は、照明装置を模式的に示す側断面図、(b)は、(a)に示す照明装置の配光制御部材を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。尚、照明装置の全体または部分を示す各図は、いずれも説明のために特徴を強調して示す模式図であって、図示された各部分の相対的な寸法は、必ずしも実際の縮尺を反映するものではない。
【0024】
図1に示す照明装置10は、導光板12と、光源14と、反射部材16とを含む光源部10を備えている。導光板12は、メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂材料を成形してなる板状の導光体であり、一方の主面を出射面12a、出射面12aとは反対側の主面を反射面12bとするように構成され、この出射面12aが光源部10の出射面となる。本実施形態では、導光板12は、四角形状の主面を有するものであり、四方の側端面を入光面12cとして、各入光面12cに対向するように光源14が配置される。光源14は、例えば、各入光面12cの長手方向に沿って配列される複数の発光ダイオードからなる。また、導光板12の反射面12b側には、導光板12と光源14を覆うように、シート状の反射部材16が配置されている。
【0025】
光源部10は、光源14から各入光面12cを通じて導光板12の内部へと入射した光を、出射面12aと反射面12bとの間で全反射を繰返しつつ導光板12内を伝播させ、その過程で、伝播光を出射面12aから均一に出射させるものである。また、導光板12の反射面12bには、反射面12bに入射した光の一部を反射して、臨界角以下の入射角でもって出射面12aに入射させるための拡散反射手段または正反射手段が設けられているものであってもよい。
【0026】
照明装置10は、光源部10の出射面12a側に配置される配光制御部材20を備えている。配光制御部材20は、メタクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂材料を板状に成形してなるものであり、所定の位置に配置したときに少なくとも光源部10の出射面12aを覆う形状及びサイズに形成される。また、配光制御部材20の一方の主面は、傾斜面25を有する複数のプリズム24が設けられたプリズム面20aとして構成され、さらに、このプリズム面20aは、平坦部22を有するものである。照明装置10において、配光制御部材20は、プリズム面20aが光源部10の出射面12aに対向するように配置されており、プリズム面20aとは反対側の主面は平坦面20bとして構成されている。
【0027】
照明装置10において、光源部10の出射面12aから出射された光(図1(b)に破線矢印として模式的に示す)は、配光制御部材20をプリズム面20a側から平坦面20b側へと透過し、これによって配光制御された平坦面20bからの出射光が照明光として利用される。この際、照明装置10では、配光制御部材20のプリズム面20aが、各プリズム24を構成する傾斜面25とともに平坦部22を有しているため、照明光に、傾斜面25を通じて配光制御部材20に入射した光と、平坦部22を通じて配光制御部材20入射した光とが混合されるものである。
【0028】
また、配光制御部材20において、複数のプリズム24は、光源部10からの出射光の配光を二次元的に制御するために面状に配置されるものである。ここで、本明細書において、「面状」の配置とは、プリズム面20aに含まれるプリズム24が備える傾斜面25中に、平坦部22に対して少なくとも異なる2方向に傾斜する傾斜面が含まれるように、複数のプリズム24を配置することを意味する。
例えば、図1の範囲内に示される傾斜面25は、平坦部22に対して1方向(この場合、紙面左右方向の1次元)に傾斜する傾斜面であり、配光制御部材20のプリズム面20aは、実際には、この傾斜面25とは異なる方向(例えば、図1において紙面に直交する方向)に傾斜する傾斜面を含んでいる。次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る配光制御部材20における、複数のプリズム24の構成及び配置態様の例について説明する。
【0029】
図2(a)、(b)、(c)は、本実施形態における配光制御部材20及びその複数のプリズム24の構成及び配置を例示するための配光制御部材30、40、50の一部を、それぞれプリズム面30a、40a、50a側から見た平面図である。
【0030】
図2(a)に示す配光制御部材30では、各プリズム34は、平坦な頂面34aと、頂面34aに対して傾斜する4つの側面34b、34c、34d、34eとを備える四角錐台からなる。そして、これらの複数のプリズム34は、敷き詰められて配置されており、各プリズム34の四角錐台の底面の外周を構成する4辺(プリズム面30aの最外周に位置するプリズム34では、隣接するプリズム34が存在する側の3辺または2辺)のそれぞれは、隣接するプリズム34の対応する1辺と接している。
【0031】
この配置構成では、配光制御部材30のプリズム面30aが備える平坦部は、各プリズム34の頂面34aによって構成され、各プリズムの側面34b、34c、34d、34eが、平坦部(同様に、符号34aで示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号34b、34c、34d、34eで示す)を構成する。また、この配置構成により、配光制御部材30のプリズム面30aは、紙面左右方向に傾斜する傾斜面34b、34dと、紙面上下方向に傾斜する傾斜面34c、34eとの、異なる2方向に傾斜する傾斜面群を有することになる。
【0032】
尚、プリズム面30aは、紙面左右方向及び紙面上下方向の2方向内における向きまで考慮した場合、右方に傾斜する傾斜面34d、左方に傾斜する傾斜面34b、下方に傾斜する傾斜面34e、上方に傾斜する傾斜面34cの4種類の傾斜面を有している。さらに、図2(a)に示す例では、各プリズム34は、底面を正方形とする合同な四角錐台から構成されており、これらの傾斜面34b、34c、34d、34eは、各プリズム34の底面の頂点周りに4回の回転対称性を有するパターンで配置されている。
【0033】
図2(b)に示す配光制御部材40は、図2(a)に示す配光制御部材30と比較して、複数のプリズム44のそれぞれが、4つの側面44b、44c、44d、44eを備える四角錐からなり、かつ、複数のプリズム44が、隣接するプリズム44から間隔をおいて配置されている点で相違するものである。この配置構成では、配光制御部材40のプリズム面40aが備える平坦部は、各プリズム44の周囲に形成される平坦面42により構成され、各プリズムの側面44b、44c、44d、44eが、平坦部(同様に、符号42で示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号44b、44c、44d、44eで示す)を構成する。
【0034】
図2(c)に示す配光制御部材50は、各プリズム54が、平坦な頂面54aと4つの側面54b、54c、54d、54eとを備える四角錐台からなる点で、図2(a)に示す配光制御部材30と同様のものであるが、各プリズム54が、隣接するプリズム54から間隔をおいて配置されている点で、配光制御部材30と相違するものである。この配置構成では、配光制御部材50のプリズム面50aが備える平坦部は、各プリズム54の頂面54aと各プリズム54の周囲に形成される平坦面52の両方により構成され、各プリズムの側面54b、54c、54d、54eが、平坦部(同様に、符号54a及び52で示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号54b、54c、54d、54eで示す)を構成する。
【0035】
図3(a)、(b)、(c)は、本実施形態における配光制御部材20及びその複数のプリズム24の構成及び配置を例示するための配光制御部材60、70、80の一部を、それぞれプリズム面60a、70a、80a側から見た平面図である。
【0036】
図3(a)に示す配光制御部材60において、複数のプリズム64、64’は、平坦な頂面64aと3つの側面64b、64c、64dとを備える三角錐台からなるプリズム64、及び、平坦な頂面64aと3つの傾斜面64b’、64c’、64d’とを備える三角錐台からなるプリズム64’とからなる。そして複数のプリズム64、64’は、敷き詰められて配置されており、各プリズム64の三角錐台の底面の外周を構成する3辺(プリズム面60aの最外周に位置するプリズム64では、隣接するプリズム64’が存在する側の2辺または1辺)のそれぞれは、隣接するプリズム64’の対応する1辺と接しており、また、各プリズム64’の三角錐台の底面の外周を構成する3辺(プリズム面60aの最外周に位置するプリズム64’では、隣接するプリズム64が存在する側の2辺または1辺)のそれぞれは、隣接するプリズム64の対応する1辺と接している。
【0037】
この配置構成では、配光制御部材60のプリズム面60aが備える平坦部は、各プリズム64、64’の頂面64aによって構成され、各プリズムの側面64b、64c、64d、64b’、64c’、64d’が、平坦部(同様に、符号64aで示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号64b、64c、64d、64b’、64c’、64d’で示す)を構成する。また、この配置構成により、配光制御部材60のプリズム面60aは、紙面の右上−左下を走る斜め方向に傾斜する傾斜面64b、64b’、紙面の左上−右下を走る斜め方向に傾斜する傾斜面64c、64c’、及び、紙面左右方向に傾斜する傾斜面64d、64d’の、異なる3方向に傾斜する傾斜面群を有することになる。
【0038】
尚、プリズム面60aは、紙面の右上−左下を走る斜め方向、紙面の左上−右下を走る斜め方向、及び紙面左右方向の3方向内における向きまで考慮した場合、プリズム64の側面からなる左下方に傾斜する傾斜面64b、左上方に傾斜する傾斜面64c、及び右方に傾斜する傾斜面64dと、プリズム64’の側面からなる右上方に傾斜する傾斜面64b’、右下方に傾斜する傾斜面64c’、及び左方に傾斜する傾斜面64d’の、6種類の傾斜面を有している。さらに、図3(a)に示す例では、各プリズム64、64’は、底面を正三角形とする合同な三角錐台から構成されており、これらの傾斜面64b、64b’、64c、64c’、64d、64d’は、各プリズム64、64’の底面の頂点周りに6回の回転対称性を有するパターンで配置されている。
【0039】
図3(b)に示す配光制御部材70は、図3(a)に示す配光制御部材60と比較して、複数のプリズム74(74’)のそれぞれが、3つの側面74b(74b’)、74c(74c’)、74d(74d’)を備える三角錐からなり、かつ、各プリズム74(74’)が、隣接するプリズム74’(74)から間隔をおいて配置されている点で相違するものである。この配置構成では、配光制御部材70のプリズム面70aが備える平坦部は、各プリズム74、74’の周囲に形成される平坦面72により構成され、各プリズム74、74’の側面74b、74c、74d、74b’、74c’、74d’が、平坦部(同様に、符号72で示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号74b、74c、74d、74b’、74c’、74d’で示す)を構成する。
【0040】
図3(c)に示す配光制御部材80は、各プリズム84(84’)が、平坦な頂面84aと3つの側面84b(84b’)、84c(84c’)、84d(84d’)とを備える三角錐台からなる点で、図3(a)に示す配光制御部材60と同様のものであるが、各プリズム84(84’)が、隣接するプリズム84’(84)から間隔をおいて配置されている点で配光制御部材60と相違するものである。この配置構成では、配光制御部材80のプリズム面80aが備える平坦部は、各プリズム84、84’の頂面84aと各プリズム84、84’の周囲に形成される平坦面82の両方によって構成され、各プリズム84、84’の側面84b、84c、84d、84b’、84c’、84d’が、平坦部(同様に、符号84a及び82で示す)に対して傾斜する傾斜面(同様に、符号84b、84c、84d、84b’、84c’、84d’で示す)を構成する。
【0041】
ここで、このような配光制御部材30、40、50、60、70、80、90において、プリズム面30a、40a、50a、60a、70a、80a、90aに含まれるプリズム34、44、54、64、64’、74、74’、84、84’は、その傾斜面34b〜e、44b〜44e、54b〜54e、64b〜64d、74b’〜74d’、84b’〜84d’が、42度以上かつ45度以下、または、47度以上55度以下の傾斜角度を有するように形成されるものである。
但し、傾斜面34b〜34e、44b〜44e、54b〜54e、64b〜64d、74b’〜74d’、84b’〜84d’の傾斜角度とは、プリズム面30a、40a、50a、60a、70a、80a、90aにおいて、傾斜面34b〜34e、44b〜44e、54b〜54e、64b〜64d、74b’〜74d’、84b’〜84d’と、対応する平坦部34a、42、54a及び52、64a、72、84a及び82とがなす角度のうち鋭角の方を意味する。
【0042】
図4(a)(図2(a)のA−A断面図)には、図2(a)に示すプリズム面30aにおける傾斜面34b、34d及び平坦部34aを例として、図4(b)(図2(b)のB−B断面図)には、図2(b)に示すプリズム面40aにおける傾斜面44b、44d及び平坦部42を例として、図4(c)(図2(c)のC−C断面図)には、図2(c)に示すプリズム面50aにおける傾斜面54b、54d及び平坦部54a、52を例として、それぞれ傾斜角度αが示されている。
尚、図4(a)、図4(b)、及び図4(c)に示す断面のプロファイルは、それぞれ図3(a)のA−A断面、図3(b)のB−B断面、図3(c)のC−C断面にも相当するものである。
【0043】
ここで、照明装置10が備える配光制御部材20における、複数のプリズム24の構成及び配置態様は、複数のプリズム24が面状に配置される限り、図2図4に示すプリズムの構成及び配置態様に限定されるものではない。
例えば、図2及び図3には、各プリズムが、それぞれ四角錐台(プリズム34、54)、四角錐(プリズム44)、三角錐台(プリズム64、64’、84、84’)、及び三角錐(74、74’)からなる例を示したが、配光制御部材20が備える複数のプリズムは、任意の多角形を底面とする角錐台または角錐、円錐台または円錐、または、これらの任意の組合せを含むものであってもよい。
尚、円錐台または円錐からなるプリズムの場合、その傾斜面の傾斜角度は、円錐台または円錐の側面の接平面の傾斜角度として定義される。
【0044】
また、図2及び図3には、各プリズム34、44、54、64、64’、74、74’、84、84’を、特定の対称性を有するパターンに従って配置した例を示したが、配光制御部材20において、複数のプリズム24は、任意の適切な配置パターンに従って(または、ランダムに)配置されるものであってもよい。
【0045】
さらに、図2及び図3に示す各プリズム面30a、40a、50a、60a、70a、80a、90aにおいて、それぞれのプリズム34、44、54、64、64’、74、74’、84、84’は、照明装置10への配置時に出射面12aに向かう方向に突出する凸部として形成されるものとしたが、配光制御部材20は、このような凹凸のパターンを反転させた凹部として形成されるプリズムを含むものであってもよい。
【0046】
この場合、例えば、図2(a)に示す配光制御部材30において、そのプリズム面30aの凹凸のパターンを反転させて全てのプリズム34を凹部とした場合、この構成は、傾斜面34b、34dに対応する2つの傾斜面を有して紙面上下方向に延在する複数の三角柱型リニアプリズムと、傾斜面34c、34eに対応する2つの傾斜面を有して紙面左右方向に延在する複数の三角柱型リニアプリズムとを、互いに交差するように配置した構成とみなすことができる。
同様に、図3(a)に示す配光制御部材40において、そのプリズム面40aの凹凸のパターンを反転させて全てのプリズム64、64’を凹部とした場合、この構成は、傾斜面64b、64b’に対応する2つの傾斜面を有して紙面の左上−右下を走る斜め方向に延在する複数の三角柱型リニアプリズムと、傾斜面64c、64c’に対応する2つの傾斜面を有して紙面の右上−左下を走る斜め方向に延在する複数の三角柱型リニアプリズムと、傾斜面64d、64d’を有して紙面上下方向に延在する複数の三角柱型リニアプリズムとを、互いに交差するように配置した構成とみなすことができる。
配光制御部材20は、このように、そのプリズム面20aに含まれるプリズム24を複数の三角柱型リニアプリズムとし、これらの三角柱型リニアプリズムを面状に配置した構成を含むものである。
【0047】
さらに、本実施形態における配光制御部材20は、図5にその一例として示す配光制御部材90のように、複数のプリズム24が設けられる複数のプリズム領域91と、平坦面として形成される複数の平坦領域92とを組合せて配置することにより、そのプリズム面90aが構成されるものであってもよい。
【0048】
配光制御部材90において、プリズム領域91は、例えば角錐型の複数のプリズムを敷き詰めて配置することにより構成されて、プリズム領域91自体に平坦部を含まないものであってもよい。この場合、プリズム面90aが有する平坦部は、複数の平坦領域92によって構成される。あるいは、プリズム領域91は、例えば、図2及び図3を参照して上述したような構成により、平坦部を含むように構成され、プリズム面90aが有する平坦部は、複数のプリズム領域91に含まれる平坦部と複数の平坦領域92の両方によって構成されるものであってもよい。
【0049】
ここで、図5には、それぞれ四角形状のプリズム領域91と平坦領域92を千鳥格子状に配置した例が示されている。但し、配光制御部材90において、プリズム領域91及び平坦領域92の形状及びその配置構成は、任意の適切なものとすることができる。
【0050】
以上のように構成された照明装置10によれば、光源部10からの出射光の配光を二次元的に制御し、バットウィング状の配光特性を実現するとともに、配光角θ(図10(a)参照)に対する光度角分布を任意に調整して、被照明面上の所定の領域における均一な照度を達成するための理想的な分布に近づけることが可能となるとともに、被照明面上の所定の領域における照度の、光軸q(図10(a)参照)周りの均一性を向上させることが可能となる。
【0051】
ここで、上述した実施形態における照明装置10では、光源部10は、導光板12と、導光板12の入光面12cに配置された光源14とを備えるものとしたが、本発明に係る照明装置における光源部は、この態様に限定されるものではない。例えば、光源部は、導光板を使用することなく、複数の光源(例えば、発光ダイオード)を平面状に配置してなるものであってもよい。または、光源部は、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えるものであってよい。
【実施例】
【0052】
以下、実施例に基づいて、本発明の作用効果について詳述する。
ここで、本発明者らは、鋭意研究の結果、被照明面上の所定の領域における均一な照度を達成するための理想的な光度角分布について、次のような知見を得た(尚、以下では、被正面面上で均一な照度を達成したい領域に対応する配光角θ(図10(a)参照)の上下限値の絶対値(例えば、図10(c)に示す照度角分布E1では、25度)を、要求角度θともいう)。
【0053】
本発明者らは、理想的な照度の均一性を得るためには、バットウィング状の配光特性において、その光度角分布が所定の分布形状を有する必要があり、少なくとも、光軸q方向(配光角θ=0度方向)の光度Aと要求角度θ方向の光度Bとの間に、
A≒Bcosθ
の関係が成り立つ必要があることを見出した。
したがって、例えば、要求角度θが25度の場合には、要求角度θ方向の光度Bに対する光軸q方向の光度Aの比率A/B(以下、光軸上の相対強度ともいう)を、75%とすることにより、配光角θが−25度〜25度の範囲に対応する被照明面上の領域において、優れた均一性を達成することができる。
【0054】
加えて、本発明者らは、光源部と配光制御部材とを備える照明装置において、次のような知見を得ることもできた。すなわち、図11に示した従来の照明装置200のように、配光制御部材231を、そのプリズム面(光拡散面231b)を光源202とは反対側に向けて配置した場合(いわゆる、正プリズムシート状の配置)、光軸q上に光度のピークを有する単峰性または3峰性の光度角分布となりやすく、バットウィング状の配光特性を得ることが実際には困難であるのに対して、照明装置10のように、配光制御部材20を、プリズム面20aが光源部10の出射面12aに対向するように配置した場合(所謂、逆プリズムシート状の配置)には、2峰性の光度角分布を有するバットウィング状の配光特性が容易に得られることが分かった。
【0055】
また、光学材料として通常用いられる(ポリカーボネート樹脂またはメタクリル樹脂等の)透明樹脂(屈折率:1.45〜1.6)を用いて配光制御部材20を製作した場合、そのプリズム面20aに含まれるプリズム24の傾斜面25の傾斜角度が、42度よりも小さい場合、45度よりも大きく47度よりも小さい場合、及び、55度よりも大きい場合には、光軸q上に光度の小ピークを有する3峰性の光度角分布が生じる傾向があり、2峰性の光度角分布を有するバットウィング状の配光特性を得るには、傾斜面25の傾斜角度を、42度以上かつ45度以下、または、47度以上かつ55度以下とすることが望ましいことも分かった。
【0056】
以下、本発明の実施例及び比較例の配光特性について、シミュレーションを実行した結果を示す。このシミュレーションは、一辺の長さが600mmの正方形状の主面を有する導光板と、導光板の4側端面に沿って配置された光源を有する光源部を備えた照明装置を半径2mの球体の中心に配置したとして、その照明装置によって照明される半球面上の光度角分布について行った。
【0057】
図6図8は、上記半球面上の光度分布を、半球面に対応する円内の濃淡の分布として示した図である。図6図8において、円の中心は、光軸qと半球面の交点に対応し、円周の周囲に記載された数値は、光軸q周りの方位角φ(図10(a)参照)に対応する。また、各方位角φについて、円周上の方位角φの位置から方位角φ+180度の位置まで延びる直径上の濃淡の分布が、その断面Pφ内における、配光角θの−90度〜90度範囲の光度角分布に対応する。図6図8において、最も淡く表された領域(以下、ハイライト領域ともいう)は最も光度が高い領域を表し、ハイライト領域の周囲に隣接して、ハイライト領域よりも濃く表現されている領域は、ハイライト領域よりも光度の小さい領域を表す。但し、円内の濃淡と光度の大小は、必ずしも円内全体にわたって(例えば、濃い領域程光度が小さいといったような)一定の関係を有するものではないが、少なくとも、濃淡の異なる領域は光度の異なる領域に対応する。そして、床面等の平面の被照明面上の照度の光軸q周り方向の均一性については、図6図8に示す半球面上の光度分布の、光軸q周り方向の均一性がそのまま反映される。
【0058】
図6は、比較例として、配光制御部材を備えない照明装置について、その配光特性を示す図である。この場合、光軸q上(図6に示す円の中心)に光度のピーク値を有する単峰性の光度角分布が生じ、照明装置の直下のみが明るく、周辺にいくにしたがって急激に暗くなるといった配光特性を示す。尚、この比較例の場合、光軸q周り方向(図6の円周周り方向)に対して、照度は均一である。
【0059】
図7(a)は、本発明の実施例として、四角錐台からなるプリズムを敷き詰めて配置したプリズム面を有する配光制御部材(図2(a)に示す配光制御部材30に相当する)を用いた照明装置の配光特性を示す図であり、図7(b)は、比較例として、四角錐からなるプリズムを敷き詰めて配置したプリズム面を有する(したがって、プリズム面に平坦部を有さない)配光制御部材を用いた照明装置の配光特性を示す図である。
尚、図7(a)、(b)において、配光制御部材を形成する材料の屈折率は1.49、プリズムが備える傾斜面の傾斜角度は、52.5度とした。また、図7(b)に示す比較例についても、配向制御部材は、本発明の実施例と同様に、逆プリズムシート状に配置した。
【0060】
図7(a)に示す本発明の実施例では、バットウィング状の配光特性が実現されるとともに、22度の要求角度θ(この場合、光軸上の相対強度A/Bの理想値は80%)に対して、理想値と一致する80%の光軸上の相対強度A/Bが得られた。一方、図7(b)に示す比較例では、バットウィング状の配向特性は実現されるものの、22度の要求角度θに対して、光軸上の相対強度A/Bは33%であり、理想値80%よりも著しく小さい値となった。すなわち、図7(b)に示す比較例の場合、被照明面上の照度について、照明装置の直下がその周辺よりも暗いといった不均一性を示すことになる。
そして、この結果は、プリズム面に平坦部を設けた配光制御部材を用いることによって、平坦部を有さないプリズム面を備えた配光制御部材を用いた場合と比較して、光軸q上の光度を増大させ、ひいては、被照明面上での照度の均一性を向上させることが可能となることを示すものである。
【0061】
加えて、比較例の光度分布では、図7(b)に示すように、光軸q周り方向に対して4回の回転対称性を備えた顕著な不均一性が生じているのに対して、図7(a)から、プリズム面に平坦部を設けた配光制御部材を用いた本発明の実施例では、光度分布の光軸q周りの不均一性も改善されることが分かる。
【0062】
但し、図7(a)でも、光軸q周り方向に対して4回の回転対称性を備えた不均一性は見て取れるものの、その不均一性は、比較的明るい領域(ハイライト領域とその周辺の領域)が丸みを帯びた四角形状となる程度に改善されている。したがって、本発明のこの実施例は、このような配光特性を活用して、四角形状の被照明面(例えば、一般的な室内空間における床面)を照明するために好適な照明装置として使用することができる。さらに、この実施例の照明装置を1つの照明ユニットとし、複数の照明ユニットを隣接させて配置して全体として広い出射面を有する多ユニット型の照明装置を構成した場合、各照明ユニットからの照明光が互いに重なる部分を少なくすることができるため、比較的広い面積を有する被照明面を効率的に照明することが可能となる。
【0063】
図8(a)は、本発明の実施例として、三角錐台からなるプリズムを敷き詰めて配置したプリズム面を有する配光制御部材(図3(a)に示す配光制御部材60に相当する)を用いた照明装置の配光特性を示す図であり、図8(b)は、比較例として、三角錐からなるプリズムを敷き詰めて配置したプリズム面を有する(したがって、プリズム面に平坦部を有さない)配光制御部材を用いた照明装置の配光特性を示す図である。
尚、図8(a)、(b)において、配光制御部材を形成する材料の屈折率は1.49、プリズムが備える傾斜面の傾斜角度は、52.5度とした。また、図8(b)に示す比較例についても、配向制御部材は、本発明の実施例と同様に、逆プリズムシート状に配置した。
【0064】
図8(a)に示す本発明の実施例では、バットウィング状の配光特性が実現されるとともに、23度の要求角度θ(この場合、光軸上の相対強度A/Bの理想値は78%)に対して、理想値と一致する78%の光軸上の相対強度A/Bが得られた。一方、図8(b)に示す比較例では、バットウィング状の配向特性は実現されるものの、23度の要求角度θに対して、光軸上の相対強度A/Bは69%であり、理想値78%よりも小さい値となった。すなわち、図8(b)に示す比較例の場合、図7(b)の比較例と同様に、被照明面上の照度について、照明装置の直下が、その周辺よりも暗いといった不均一性を示すことになる。
この結果は、図7を参照して上述した実施例と同様に、プリズム面に平坦部を設けた配光制御部材を用いることによって、平坦部を有さないプリズム面を備えた配光制御部材を用いた場合と比較して、光軸q上の光度を増大させ、被照明面上での照度の均一性を向上させることが可能となることを示すものである。
【0065】
加えて、比較例の光度分布では、図8(b)に示すように、光軸q周り方向に対して6回の回転対称性を備えた顕著な不均一性が生じているのに対して、図8(a)から、プリズム面に平坦部を設けた配光制御部材を用いた本発明の実施例では、光度分布の光軸q周りの不均一性が改善されることが分かる。また、この実施例の光度分布は、図7(a)に示す実施例と比較した場合、回転対称性が4から6に増大したことにより、光軸q周りの均一性により優れていることが分かる。
【0066】
図9は、本発明の実施例として、円錐からなるプリズムを間隔を置いて配置したプリズム面を有する配光制御部材(この場合、プリズム面の平坦部は、各プリズムの周囲に形成される平坦面により構成される)を用いた照明装置の配光特性を示す図である。この実施例では、バットウィング状の配光特性が実現されるとともに、25度の要求角度θ(この場合、光軸上の相対強度A/Bの理想値は76%)に対して、理想値に略一致する75%の光軸上の相対強度A/Bが得られた。また、図9から、この実施例の光度分布は、図7(a)及び図8(a)に示す実施例と比較して、光軸q周りの均一性がさらに向上していることが分かる。
【符号の説明】
【0067】
10:光源部、12a:出射面、20(30,40,50,60,70,80,90):配光制御部材、20a(30a,40a,50a,60a,70a,80a,90a):プリズム面、24(34,44,54,64,64’,74,74’,84,84’):プリズム、25(34b〜34e,44b〜44e,54b〜54e,64b〜64d,74b’〜74d’,84b’〜84d’):傾斜面、22(34a,42,54a,52,64a,72,84a,82):平坦部
図1
図2
図3
図4
図5
図10
図11
図6
図7
図8
図9