特許第5743776号(P5743776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743776
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】端子金具
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20150611BHJP
   H01R 12/70 20110101ALI20150611BHJP
【FI】
   H01R13/11 K
   H01R13/11 D
   H01R12/70
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-162470(P2011-162470)
(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公開番号】特開2013-26157(P2013-26157A)
(43)【公開日】2013年2月4日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】岸端 裕矢
(72)【発明者】
【氏名】島田 知弘
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−074568(JP,A)
【文献】 特開2011−090819(JP,A)
【文献】 特開2003−317859(JP,A)
【文献】 特開2008−192464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/02〜13/35
H01R 12/70〜12/91
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに装備されて、前記コネクタに挿入装着されるフラット回路体の表面に装備された導体パターンとの導通接続を果たす端子金具であって、
前記フラット回路体が挿入されると前記導体パターンの上を摺動する接点部を有した導通アーム部と、前記接点部が前記導体パターンとの接触状態を保つように前記フラット回路体の裏面を前記接点部側に押圧する挟持アーム部と、を備え、
前記接点部は、
前記導体パターンに最初に接触する先端縁が前記フラット回路体の挿入方向に凹んだ凹形状で、且つ、前記フラット回路体の挿入方向と直交する方向に前記導体パターンと接触する接触幅が前記先端縁で最大となる平面形状に形成されて前記導体パターンに面接触する接触面と、
前記導体パターンの表面と交差するように前記先端縁から立ち上がり、前記接触面が前記導体パターンの表面を摺動した際に発生する摩耗粉を前記凹形状の内奥に掻き集める回収面と、
を備えたことを特徴とする端子金具。
【請求項2】
前記回収面は、前記凹形状の内奥に掻き集められた摩耗粉から発生するウィスカが前記凹形状の両外側に脱出しない程度に、前記先端縁から立ち上がる高さ寸法が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)などのフラット回路体が挿入装着されるコネクタに装備されて、前記コネクタに挿入装着されるフラット回路体の表面に装備された導体パターンとの導通接続を果たす端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ、プリンタ、携帯電話機、パソコン等の各種電子機器の内部配線材として、上記のFPCやFFCなどのフラット回路体を使用することが増えている。
【0003】
従来、上記のフラット回路体の導体や、このフラット回路体の導体パターンに接続されるコネクタ(フラット回路体用コネクタ)の接続端子は、接続性能を向上させるために、その表面に錫−鉛合金(Sn−Pb)メッキを施したものが、広く普及していた。ところが、近年、環境上の問題から、Pbフリー(非鉛)化の要求が高まってきたのに伴って、フラット回路体の導体やコネクタの接続端子には、錫(Sn)メッキが施されるようになってきた。
【0004】
しかし、錫メッキを施した導体と接続端子との接触部では、錫の摩耗粉等に摺動時の押圧荷重が作用することが原因となって、ウィスカ(針状単結晶)が発生し易い。
【0005】
前記ウィスカは、メッキ被膜表面に発生したヒゲ状の結晶生成物であり、錫合金或いは純錫でメッキした場合に発生し易く、発生後には、成長して短絡等の障害を招くことがあった。
【0006】
次に、フラット回路体が挿入装着される従来のコネクタとウィスカの発生態様を、図5図8により説明する。
【0007】
図5において、符号101はプリント基板等に搭載されるコネクタ、符号111はコネクタ101に挿入装着されるフラット回路体である。
【0008】
フラット回路体111の先端には、コネクタ101への挿入操作によりコネクタ101との結合を果たす樹脂製のスライダ116が、装備されている。図5の矢印E1は、スライダ116をコネクタ101に挿入する方向を示している。
【0009】
図5に示したコネクタ101は、下記特許文献1に開示されたものである。
コネクタ101は、複数の端子金具120を収容保持する。端子金具120は、コネクタ101に挿入装着されるフラット回路体111の表面に形成された導体パターン112(図8参照)との導通接続を果たす金具である。
【0010】
フラット回路体111は、図7及び図8に示すように、シート状或いは平板状に形成された絶縁性基板113の表面に、複数の導体パターン112を装備したものである。複数の導体パターン112は、所定の配列ピッチに、形成されている。隣接する導体パターン112間には、所定の幅の絶縁体部113aが設けられる。絶縁体部113aは絶縁性基板113と一体である。
【0011】
特許文献1のコネクタ101に収容保持される複数の端子金具120は、図8に示したフラット回路体111上の複数の導体パターン112と同じ配列ピッチで、保持される。
【0012】
各端子金具120は、図6及び図7に示すように、フラット回路体111がコネクタ101に挿入されると導体パターン112の上を摺動する接点部121aを有した導通アーム部121と、接点部121aが導体パターン112との接触状態を保つようにフラット回路体111の裏面を接点部121a側に押圧する挟持アーム部122と、を備える。
【0013】
導通アーム部121と挟持アーム部122は、端子金具120の基端側で合流している。端子金具120の基端側は、図示はしていないが、コネクタ101が搭載される基板上の回路パターンに接続される。
【0014】
導通アーム部121の接点部121aは、導体パターン112との接触面が円形または長円形となる突起状である。図8には、導体パターン112に対する接点部121aの接触面121bを、単純な円形状にして示している。
【0015】
以上に説明したフラット回路体111の導体パターン112や接点部121aが、錫合金或いは純錫でメッキされている場合、導体パターン112上を摺動する接触面121bの周囲では、錫合金や錫の摩耗粉51が発生し、これらの摩耗粉51に摺動時の押圧荷重が作用することが原因となって、図8に示すように、接触面121bの周囲にウィスカW1,W2,W3が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2003−317859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところが、特許文献1のコネクタ101における端子金具120の構造では、ウィスカW1,W2,W3の発生箇所の周囲は開放した空間になっているため、接触面121bの周囲に発生したウィスカW1,W2,W3が成長すると、隣接する導体パターン112に接触して、短絡事故を招く。図8において、符号T1,T2,T3はウィスカW1,W2,W3による短絡箇所を示している。
【0018】
特許文献1におけるコネクタ101において前述のウィスカW1,W2,W3による短絡事故を防止する方法としては、フラット回路体111の導体パターン112や端子金具120の接点部121aに施す金属メッキを、金(Au)メッキや、銀(Ag)メッキに変更して、ウィスカの発生自体を防止する方法が有効である。
【0019】
しかし、このような貴金属によるメッキに変更すると、メッキ処理費が高額化して、製品のコストアップを招くという問題が生じる。
【0020】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、コネクタに挿入装着されたフラット回路体の導体パターンとの導通接続箇所において、コストアップを招かずにウィスカによる短絡事故の発生を防止することができる端子金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)コネクタに装備されて、前記コネクタに挿入装着されるフラット回路体の表面に装備された導体パターンとの導通接続を果たす端子金具であって、
前記フラット回路体が挿入されると前記導体パターンの上を摺動する接点部を有した導通アーム部と、前記接点部が前記導体パターンとの接触状態を保つように前記フラット回路体の裏面を前記接点部側に押圧する挟持アーム部と、を備え、
前記接点部は、
前記導体パターンに最初に接触する先端縁が前記フラット回路体の挿入方向に凹んだ凹形状で、且つ、前記フラット回路体の挿入方向と直交する方向に前記導体パターンと接触する接触幅が前記先端縁で最大となる平面形状に形成されて前記導体パターンに面接触する接触面と、
前記導体パターンの表面と交差するように前記先端縁から立ち上がり、前記接触面が前記導体パターンの表面を摺動した際に発生する摩耗粉を前記凹形状の内奥に掻き集める回収面と、
を備えたことを特徴とする端子金具。
【0022】
(2)前記回収面は、前記凹形状の内奥に掻き集められた摩耗粉から発生するウィスカが前記凹形状の両外側に脱出しない程度に、前記先端縁から立ち上がる高さ寸法が設定されていることを特徴とする上記(1)に記載の端子金具。
【0023】
上記(1)の構成によれば、フラット回路体の導体パターンに摺動接触する端子金具の接点部の接触面は、フラット回路体の挿入方向と直交する方向に導体パターンと接触する接触幅が先端縁で最大となり、且つ、接触面の先端縁がフラット回路体の挿入方向に凹んだ凹形状となっている。そのため、端子金具の接点部の接触面と導体パターンとの摺動接触により発生した摩耗粉は、先端縁から立ち上がる接点部の回収面により、接触面の先端縁が形成している凹形状の内奥に掻き集められる。
【0024】
そして、摩耗粉の加圧によりウィスカが発生しても、ウィスカの発生箇所の両側が接点部の回収面によって囲われており、ウィスカが隣接する導体パターン側に延出しないように、接点部の回収面がウィスカを封じ込める。
【0025】
従って、接点部の周囲にウィスカが発生しても、そのウィスカによって短絡事故が発生することを防止することができる。
【0026】
また、ウィスカの発生自体を防止するために、端子金具の接点部やフラット回路体の導体パターンに対するメッキ処理を、金(Au)メッキや、銀(Ag)メッキなどの貴金属によるメッキに変更する必要が無くなり、安価な錫メッキにすることができるため、製造コストを低減させることができる。
【0027】
即ち、上記(1)の構成によれば、コネクタに挿入装着されたフラット回路体の導体パターンとの導通接続箇所において、コストアップを招かずにウィスカによる短絡事故の発生を防止することができる。
【0028】
上記(2)の構成によれば、回収面の高さ寸法を適宜に設定することで、接点部の先端縁の凹形状内にウィスカを封じ込める構成で、接点部の接触面及び回収面以外の構造は特に制限が必要なく、自由に設計することができる。従って、端子金具の設計自由度を高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明による端子金具によれば、端子金具の接点部の接触面と導体パターンとの摺動接触により発生した摩耗粉は、先端縁から立ち上がる接点部の回収面により、接触面の先端縁が形成している凹形状の内奥に掻き集められる。
【0030】
そして、摩耗粉の加圧によりウィスカが発生しても、ウィスカが隣接する導体パターン側に延出しないように、接点部の回収面がウィスカを封じ込める。
【0031】
従って、接点部の周囲にウィスカが発生しても、そのウィスカによって短絡事故が発生することを防止することができる。
【0032】
また、ウィスカの発生自体を防止するために、端子金具の接点部やフラット回路体の導体パターンに対するメッキ処理を、金(Au)メッキや、銀(Ag)メッキなどの貴金属によるメッキに変更する必要が無くなり、安価な錫メッキにすることができるため、製造コストを低減させることができる。
【0033】
即ち、本発明による端子金具によれば、コネクタに挿入装着されたフラット回路体の導体パターンとの導通接続箇所において、コストアップを招かずにウィスカによる短絡事故の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明に係る端子金具を用いたコネクタとフラット回路体の一実施形態の平面図である。
図2】本発明の一実施形態の端子金具の斜視図である。
図3図2に示した端子金具がフラット回路体の導体パターンに導通接続されている状態の側面図である。
図4図3のB矢視図で、端子金具の接点部の接触面の周囲に発生したウィスカが接点部の回収面により封じ込められて、ウィスカによる短絡事故が防止されている状態の説明図である。
図5】フラット回路体が挿入装着される従来のコネクタの斜視図である。
図6図5に示したコネクタに収容保持される端子金具の斜視図である。
図7図6が示した端子金具がフラット回路体の導体パターンに導通接続されている状態の側面図である。
図8図7のA矢視図で、従来の端子金具の接点部の接触面の周囲に発生したウィスカによって隣接する導体パターン相互が短絡する状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る端子金具の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1図4は本発明に係る端子金具の一実施形態を説明するもので、図1は本発明の端子金具を用いたコネクタとフラット回路体の一実施形態の平面図、図2は一実施形態の端子金具の斜視図、図3図2に示した端子金具がフラット回路体の導体パターンに導通接続されている状態の側面図、図4図3のB矢視図で、端子金具の接点部の接触面の周囲に発生したウィスカが接点部の回収面により封じ込められて、ウィスカによる短絡事故が防止されている状態の説明図である。
【0037】
図1に示したコネクタ11は、回路基板に搭載されるコネクタで、上面がスライダ係合面13となっている。そして、スライダ係合面13の下方に、スライダ挿入部15が配設されている。このスライダ挿入部15には、フラット回路体21に接続されたスライダ31の本体部32と、この本体部32の裏側に支持されたフラット回路体21の接続端子部23(図4参照)と、が挿入される。
【0038】
コネクタ11のスライダ係合面13は、スライダ31の挿入方向(図の矢印B方向)に沿って形成された平面である。
【0039】
また、コネクタ11のスライダ挿入部15内には、本発明の一実施形態の端子金具40が、収容保持されている。一実施形態の端子金具40は、スライダ挿入部15にスライダ31が適正に挿入されると、フラット回路体21の接続端子部23の表面に装備された導体パターン25との導通接続を果たす。
【0040】
フラット回路体21の接続端子部23は、図3及び図4に示すように、シート状或いは平板状に形成された絶縁性基板26の表面に、複数の導体パターン25を装備したものである。複数の導体パターン25は、図4に示すように、所定の配列ピッチに、形成されている。隣接する導体パターン25間には、所定の幅の絶縁体部26aが設けられる。絶縁体部26aは絶縁性基板26と一体の絶縁体層である。
【0041】
一実施形態の端子金具40は、図2及び図3に示すように、導通アーム部41と、挟持アーム部42と、を備える。
【0042】
導通アーム部41は、図3に示すように、スライダ挿入部15に挿入される接続端子部23の表面(導体パターン25)と略平行に、接続端子部23の挿入方向(図3の矢印X1方向)に沿って延出したアーム本体41aと、該アーム本体41aの先端に一体形成される接点部41bと、を有している。
【0043】
接点部41bは、接続端子部23がスライダ挿入部15に適正に挿入されると、接続端子部23の表面の導体パターン25の上を摺動して、導体パターン25との電気的接続を果たす。
【0044】
挟持アーム部42は、導通アーム部41との間に接続端子部23を挟むように延設されている。この挟持アーム部42は、接点部41bが導体パターン25との接触状態を保つように、フラット回路体21の裏面(図3では、絶縁性基板26の下面)を接点部41b側に押圧する。
【0045】
本実施形態の場合、接点部41bは、導体パターン25に面接触する接触面411(図3参照)と、導体パターン25に最初に接触する接触面411の先端縁411aから立ち上がる回収面412と、を備えている。
【0046】
接触面411は、先端縁411aがフラット回路体21の挿入方向(図3の矢印X1方向)に凹んだ凹形状で、且つ、接触幅が先端縁411aの先端両端部で最大(Wmax)となる平面形状に形成されている。前記接触幅とは、フラット回路体21の挿入方向と直交する方向(図4の矢印Y1方向)に導体パターン25と接触する幅寸法である。
【0047】
回収面412は、導体パターン25の表面と略直交する方向に交差するように、先端縁411aから立ち上がった面である。この回収面412は、図4に示すように、接触面411が導体パターン25の表面を摺動した際に発生する摩耗粉51を凹形状の内奥に掻き集める。
【0048】
本実施形態の場合、回収面412は、接触面411の先端縁411aが形成する凹形状の内奥に掻き集められた摩耗粉51から発生するウィスカW1,W2,W3,W4…が前記凹形状の両外側に脱出しない程度に、先端縁411aから立ち上がる高さ寸法H1(図3参照)が設定されている。
【0049】
以上に説明した導通アーム部41及び挟持アーム部42の基端側は、合流して1本の軸部43となり、コネクタ11が搭載される回路基板の回路パターンに接続される。
【0050】
以上に説明した一実施形態の端子金具40によれば、フラット回路体21の導体パターン25に摺動接触する接点部41bの接触面411は、フラット回路体21の挿入方向と直交する方向に導体パターン25と接触する接触幅が先端縁411aで最大となり、且つ、接触面411の先端縁411aがフラット回路体21の挿入方向に凹んだ凹形状となっている。
【0051】
そのため、接触面411と導体パターン25との摺動接触により発生した摩耗粉51は、図4に示したように、先端縁411aから立ち上がる接点部41bの回収面412により、接触面411の先端縁411aが形成している凹形状の内奥に掻き集められる。
【0052】
そして、摩耗粉51の加圧によりウィスカW1,W2,W3,W4…が発生しても、ウィスカW1,W2,W3,W4…の発生箇所の両側が接点部41bの回収面412によって囲われており、ウィスカW1,W2,W3,W4…が隣接する導体パターン25側に延出しないように、接点部41bの回収面412がウィスカW1,W2,W3,W4…を封じ込める。
【0053】
従って、接点部41bの周囲にウィスカW1,W2,W3,W4…が発生しても、そのウィスカW1,W2,W3,W4…によって短絡事故が発生することを防止することができる。
【0054】
また、ウィスカW1,W2,W3,W4…の発生自体を防止するために、端子金具40の接点部41bやフラット回路体21の導体パターン25に対するメッキ処理を、金(Au)メッキや、銀(Ag)メッキなどの貴金属によるメッキに変更する必要が無くなり、安価な錫メッキにすることができるため、製造コストを低減させることができる。
【0055】
即ち、以上に説明した一実施形態の端子金具40によれば、コネクタ11に挿入装着されたフラット回路体21の導体パターン25との導通接続箇所において、コストアップを招かずにウィスカW1,W2,W3,W4…による短絡事故の発生を防止することができる。
【0056】
また、以上に説明した一実施形態の端子金具40は、回収面412の高さ寸法H1を適宜に設定することで、接点部41bの先端縁411aの凹形状内にウィスカW1,W2,W3,W4…を封じ込める構成で、接点部41bの接触面411及び回収面412以外の構造は特に制限が必要なく、自由に設計することができる。従って、端子金具40の設計自由度を高めることができる。
【0057】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0058】
11 コネクタ
21 フラット回路体
25 導体パターン
40 端子金具
41 導通アーム部
41b 接点部
42 挟持アーム部
411 接触面
411a 先端縁
412 回収面
51 摩耗粉
H1 高さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8