【実施例1】
【0023】
図3は、本発明の第1の実施例である画像表示装置のブロック構成図である。画像表示装置は、画像フレーム受信部10と、第一調光値決定部11と、第二調光値決定部12と、時間フィルタ部13と、バックライト制御部14と、バックライト部15と、バックライト輝度分布算出部16と、画像信号補正部17と、液晶制御部18と、液晶パネル20とを有して構成されている。なお、第一調光値決定部11及び第二調光値決定部12を併せて、発光量決定部19とする。バックライト部15は、前記
図1、
図2におけるバックライト装置100が対応し、複数の分割導光板101を配置して構成する導光板と、配線基板104上に置かれた光源103により構成される。液晶パネル20は、
図2における液晶パネル202が対応する。
【0024】
画像表示装置の全体動作を説明する。画像フレーム受信部10が受信した画像フレーム信号は、発光量決定部19ならびに画像信号を補正するための画像信号補正部17へ送出される。
【0025】
発光量決定部19の第一調光値決定部11は、入力された画像フレーム信号を画面内のエリア102毎に分解し、画素毎の輝度情報を基に各エリア102における輝度分布(すなわち、複数の輝度範囲に分けてそれぞれに含まれる画素がどれだけ存在するか)を示すヒストグラムを検出する。また、ヒストグラム検出結果とエリアに対応する光源の発光量との関係を、図示しないメモリ(例えばROM等)にテーブル形式で予め保持しておく。該ヒストグラム検出結果に基づいてテーブルを参照することにより、各エリア102に対応する光源103の初期発光量(以下、第一調光値信号)を決定し、第二調光値決定部12に送出する。
【0026】
ここで、画素毎の輝度情報とは、画像フレーム信号の各画素における最大階調値もしくは階調値から求める液晶パネル上の輝度値である。ヒストグラム検出結果とは、エリア内において輝度情報値の頻度を検出し、輝度情報値の頻度上位5%から最大値(最大輝度情報値)までの任意の値を指す。すなわち、各エリアにおいて実質的に最大階調(輝度)となる最大階調情報を検出する。
【0027】
また、ヒストグラム検出結果とこれに対応する光源の発光量との関係を表すテーブルでは、エリア制御に基づき、最大階調(輝度)が小さいエリアでは対応する光源の発光量(第一調光値信号)を小さく設定する。テーブルは予め数種類用意しておき、ユーザが設定する映像モード、入力される映像の映像ジャンル情報、周囲照度、周囲温度、人の有無、人の視聴位置等で切り替えて使用してもよい。
【0028】
次に発光量決定部19の第二調光値決定部12は、分割導光板101間の輝度段差を視認し難くするように、各エリア102に対応する光源103の発光量を補正する。第二調光値決定部12における処理には、空間フィルタ処理と境界エリア処理が含まれる。空間フィルタ処理では、バックライトを構成する各エリア間の光の広がりの影響を補償するため、前記第一調光値信号に対して空間方向のフィルタ処理を施す。境界エリア処理では、境界エリア(境界部を有するエリア)に対する調光値信号を補正し、境界部を隔てるエリア対に対応する光源が互いに一定の割合以上で点灯させるようにする。このようにして、分割導光板101の境界部で発生する輝度段差を抑制した第二調光値信号を生成する。なお、空間フィルタ処理と境界エリア処理の詳細については後述する。
【0029】
時間フィルタ部13では、第二調光値決定部12で決定した第二調光値信号に対し、急峻な輝度変動を抑えるように時間方向のフィルタ処理を行う。この処理は、例えば現在の画像信号のフレームのタイミングで得られた第二調光値信号と前フレームのタイミング、もしくは前フレームとその前のフレームのタイミングで得られた第二調光値信号との加重平均を求める処理である。時間方向のフィルタ処理が施された、第二調光値信号は、エリアに対応する光源の発光量としてバックライト制御部14ならびにバックライト輝度分布算出部16に送出される。
【0030】
バックライト制御部14は、時間フィルタ部13で決定された発光量を受け、バックライト部15内の光源103を点灯制御する。なお、光源103を駆動する信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号、もしくは振幅変調信号である。PWM信号の場合、PWM周波数は一定とし、発光強度に応じてON期間とOFF期間の比(デューティ比)を変化させて駆動する。またPWM周波数は、画像表示装置のフレーム周波数より高いもくしは同等程度であることが望ましい。
【0031】
バックライト輝度分布算出部16では、時間フィルタ部13で決定された発光量を受け、液晶パネル20の直下における輝度分布を算出し、適切なゲイン量を画像信号補正部17に送出する。画像信号補正部17では、得られたゲイン量に基づき画像補正を行う。例えば、光源の発光量を最大輝度の1/2に低下させるものであれば画像信号の振幅を2倍にし、発光輝度を低下させることによる画像の輝度低下を相殺するように画像補正を行う。この補正された画像信号を液晶制御部18へ送出し、液晶パネル20を駆動する。液晶パネル20では、その画素毎にバックライト部15から出射された光を変調し、画像を形成表示する。
【0032】
次に、第二調光値決定部12の動作について詳細に説明する。
図4は、第二調光値決定部12の詳細構成図である。第一調光値受信部21は、第一調光値決定部11において決定された第一調光値信号を入力(受信)し記憶領域部24に送出する。記憶領域部24はRAM等で構成され第一調光値信号を記憶する。また第一調光値受信部21は、第一調光値信号の入力を完了すると、受信完了信号を空間フィルタ部22に送出する。空間フィルタ部22では、記憶領域部24から第一調光値信号を読出し、空間フィルタ処理を行い第二調光値信号を生成する。境界エリア処理部23は、第二調光値信号の内で境界エリアに属する調光値に対して境界エリア処理を行う。その際境界判定部25は、処理対象エリアが境界エリアであるかどうかを判定する。以下、空間フィルタ処理と境界エリア処理について説明する。
【0033】
図5は、空間フィルタ部22の動作を説明する図である。(a)には空間フィルタ処理で参照するエリアとその第一調光値信号を示し、(b)には演算に用いる空間フィルタ係数αを示している。この例では、処理対象となる画面位置(x,y)の中央エリアとその周囲の8エリアを示しており、BLは、各エリアにおける光源の第一調光値信号を示す。なお、位置(x,y)は、例えば画面左上端にあるエリアを原点(x=0,y=0)としている。
【0034】
空間フィルタ部22では、バックライトを構成する各エリア間の光の広がりの影響を補償するため、記憶領域部24で保持している第一調光値信号に対して、空間方向のフィルタ処理を施す。つまり、BL(x,y)の分布に対して空間フィルタ係数α(m,n)を用いて(1)式の演算を行うことで、空間フィルタ部通過後の調光値BLo(x,y)を算出する。
BLo(x,y)=Max{α(m,n)×BL(x+m,y+n)} (1)
ただし、m=−1〜+1、n=−1〜+1
【0035】
この演算は、中央エリアと周囲エリアの各調光値にフィルタ係数αを掛け、その中の最大値を採用することを意味する。すなわち係数αを掛けた各調光値を比較し、中央エリアの値よりも大きい周囲エリアの値があれば、中央エリアの値をそれよりも大きい周囲エリアの値で置き換えることに特徴がある。
【0036】
図5(b)には空間フィルタ係数α(m,n)の一例を示す。α(m,n)は予め記憶領域部24に保持されている。ここで係数α(m,n)の値は参照する各エリアからの寄与度(重み付け)を示すもので、処理対象の中央エリアの値α(0,0)を最大値1.2とし周囲エリアの値を小さくしている。具体的には、周囲エリアの係数αは、0.4以下とすることが望ましい。
【0037】
例えば、中央エリアの調光値BL(x,y)=0で、周囲エリアの調光値BL(x+1,y)=100の場合、空間フィルタ通過後の調光値の値BLo(x,y)は、α(1,0)×BL(x+1,y)=0.3×100=30で置き換える。このように、隣接するエリア間の光の広がりを制御することで、各エリアに対応する光源の発光量の空間的な変化を緩やかにすることができる。以上の処理を全エリアに対して施すことで、画面全体のBLoを算出し、第二調光値信号を生成する。
【0038】
なお、この例では処理対象である中央エリアに対し隣接する周囲8エリアを参照範囲としたが、更にその外側に隣接するエリアを参照範囲に加え、計24エリアとしてもよい。
【0039】
図6、
図7は、境界エリア処理部23の動作を説明する図である。
図6は処理対象エリアが境界エリアに該当しない(境界部を挟まない)場合であり、
図7は処理対象エリアが境界エリアに該当する(境界部を挟む)場合である。いずれも、(a)は処理で参照するエリアとその第二調光値信号を、(b)は演算に用いる境界エリア係数βを示している。
【0040】
境界判定部25は対象エリアが境界エリアに該当するか否かを判定し、境界エリア係数β(m,n)を決定して境界エリア処理部23に出力する。境界エリアに該当する場合には、周囲のどのエリアと境界部を有するかを判断して境界エリア係数β(m,n)を決定する。この判定のために、記憶領域部24には分割導光板101とエリア102の位置関係を記憶させておく。
【0041】
境界エリア処理部23では、空間フィルタ部22で生成された第二調光値信号BLo(x,y)に対して、境界エリア係数β(m,n)を用いて(2)式の演算を行うことで、境界エリア処理後の第二調光値信号BLd(x,y)を算出する。
BLd(x,y)=Max{β(m,n)×BLo(x+m,y+n)} (2)
ただし、m=−1〜+1、n=−1〜+1
【0042】
図6(a)では、処理対象となる画面位置(x,y)の中央エリアは周囲エリアとの間で境界部を有していないため、(b)のように、中央エリアの係数β(0,0)=1に、全ての周囲エリアの係数β(m,n)=0に設定する。これにより(2)式の演算の結果、BLd(x,y)=BLo(x,y)となり、空間フィルタ部22の出力である第二調光値信号BLo(x,y)がそのまま出力される。
【0043】
これに対し、
図7(a)では、処理対象となる画面位置(x,y)の中央エリアは、X方向に隣接する画面位置(x+1,y)のエリアとの間で境界部(間隙D1)を有している。この場合(b)のように、境界部を挟んで隣接するエリア(x+1,y)の係数β(1,0)として0以外の値、ここでは例えば0.7を設定する。これより(2)式の演算の結果、BLd(x,y)として、BLo(x,y)もしくは0.7×BLo(x+1,y)のいずれか大きい値を出力する。例えば、BLo(x,y)=30、BLo(x+1,y)=100の場合には、BLd(x,y)の値は0.7×100=70で置き換えられる。
【0044】
以上のように、処理対象エリアが境界エリアである場合のみ、その調光値BLo(x,y)を補正する処理を行う。この補正においても、対象エリアの調光値が調光値の高い隣接エリアの値で引き上げられることになる。上記の例で言えば、処理前の調光値の比が30:100だったものが、処理後の調光値の比は70:100となる。これより境界部を隔てるエリア対の調光値の差は縮まり、調光値の比Rは0.3から0.7に増加し、係数βで決まる割合以上で点灯するようになる。なお、調光値の比Rは、大きい方の調光値を分母とする分数で表わすこととし、0〜1の範囲の値となる。
【0045】
対象エリアが境界エリアであるとき、その境界部の位置は様々な方向に存在する。例えば、Y方向に隣接するエリア(x,y+1)の間に境界部(間隙D2)が存在する場合は、β(x,y+1)=0.7とする。さらに、X方向とY方向の両方向に境界部が存在する場合は、β(x+1,y)=β(x,y+1)=β(x+1,y+1)=0.7とすればよい。なお、光源の指向性等の影響により、ある一定方向、例えばX方向のみ輝度段差が強く視認される場合は、一定方向のβ(x+1,y)のみに値(0.7)を設定してもよい。
【0046】
また、本実施例の境界エリア処理は映像の種類によらず常時適用可能であるが、輝度段差の視認し易さが映像の種類により変化する場合には、映像の種類により境界エリア係数βの値を切替えたり、あるいは境界エリア処理機能をON/OFFさせる構成としても良い。
【0047】
このように、境界部を隔てるエリア対に対応する光源は、それらの調光値比Rが境界エリア係数β以上で点灯することになり、分割導光板の境界部で発生する輝度段差を互いに相殺し、輝度段差を抑制することが可能となる。上記例では境界エリア係数βの値として0.7を設定したが、導光板の構造(すなわち輝度段差の発生し易さ)に応じて0.5〜1.0の範囲から適宜選択して設定する。これは、係数βが0.5より小さくなると、分割導光板の境界部で発生する輝度段差を相殺する効果が小さくなり、係数βが1.0に近付くと、各エリアの調光値が同一になってしまい、エリア制御の意味を成さなくなるからである。
【0048】
次に、本実施例による輝度段差抑制の効果を具体的に説明する。
図1におけるバックライト装置のエリア102から境界部を隔てないエリア対と、境界部を隔てたエリア対を選び、選んだ各エリアに対応する光源をそれらの調光値比Rを変えて点灯させた場合の輝度分布を比較した。
【0049】
図11は、境界部を隔てないエリア対の輝度分布を示す図であり、このようなエリア対として、例えば
図1におけるエリア番号3、4のエリアを取り上げる。(a)は調光値比R=0.3で、(b)は調光値比R=1.0で、各エリアの光源を点灯させている。いずれの場合も単一エリアを点灯させたときの輝度分布は滑らかに変化していることから、エリア3とエリア4を同時に点灯させたときの合計の輝度分布は、両者の境界位置においても輝度段差は発生せず、滑らかに推移している。
【0050】
図12は、境界部を隔てたエリア対の輝度分布を示す図であり、このようなエリア対として、例えば
図1におけるエリア番号6、7のエリアを取り上げる。(a)は調光値比R=0.3で、(b)は調光値比R=1.0で、各エリアの光源を点灯させている。
【0051】
境界部を有するエリア(境界エリア)6,7においては、境界部において光の広がりが遮断されるため、輝度が急峻に低下する。これは導光板の端部から間隙(空気層)へ入射する光の一部が、導光板と空気層の屈折率の違いにより全反射するためである。その結果、単一エリアのみを点灯させた場合には境界部での輝度段差は視認される大きさとなってしまう。これに対し、エリア6とエリア7を同時に点灯させたときの合計の輝度分布は、両者の境界位置における輝度段差を緩和する効果がある。その効果は両エリアの調光値の比Rに依存し、(a)はR=0.3の場合で、境界部にはまだ段差が視認される。(b)はR=1.0の場合で、境界部における段差は解消され、滑らかな分布となっている。
【0052】
ここで、輝度段差を解消するために必要な調光値比Rについて解析する。
図13は、解析に用いる輝度段差ΔLの定義を説明する図である。境界部を隔てて隣接するエリアにおいて、境界部位置をS0とし、S0から各エリア内にそれぞれ一定の距離だけ進入した位置を測定位置S1,S2とする。そして、各位置S1,S2での輝度をL1,L2とする。このとき境界部における規格化された輝度変化率は(3)式で表わされ、これを輝度段差ΔLとする。
ΔL=|L1−L2|/{Max(L1,L2)×|S1−S2|} (3)
【0053】
図14は、輝度段差ΔLと調光値比Rの関係を示す図である。
図14では、境界部を隔てる場合の輝度段差の特性ΔL1と、比較のために境界部を隔てない場合の輝度段差の特性ΔL0を示し、調光値比Rを0から1の範囲で変化させている。なお、測定位置の間隔は|S1−S2|=5mmとしている。
【0054】
図14より、いずれの調光値比Rにおいても、境界部を隔てる場合の輝度段差ΔL1は境界部を隔てない場合の輝度段差ΔL0よりも大きく、調光値比Rを1に近づけるほど輝度段差ΔL1,ΔL0は小さくなる。ここで、境界部を隔てない場合の輝度段差ΔL0はR=0の場合に最大値0.015となり、これを輝度段差の許容値とする。この判断基準に従えば、境界部を隔てる場合の輝度段差ΔL1を許容値0.015以内とするには、調光値比Rをおよそ0.5以上とすればよい。すなわち、境界部を隔てる一対のエリアの調光値比Rを0.5〜1.0の範囲内の一定の割合で点灯させることで、輝度段差を抑制しつつ本来のエリア制御を実行することが可能となる。
【0055】
以上のように本実施例によれば、分割導光板を複数枚並べて構成されるバックライト装置において、境界エリア処理により境界部を隔てるエリア対に対応する光源を所定範囲の調光値比で点灯するよう制御することで、分割導光板の境界部で発生する輝度段差を抑制することが可能となる。
【実施例2】
【0056】
図8は、本発明の第2の実施例である画像表示装置の第二調光値決定部12の詳細構成図である。実施例2では、第二調光値決定部12における空間フィルタ処理と境界エリア処理を同時に行うための境界制御空間フィルタ部26を設け、実施例1(
図5)における空間フィルタ部22と境界エリア処理部23の機能を統合している。他の構成は実施例1(
図4、
図5)と同様である。以下、空間フィルタ処理と境界エリア処理を統合した処理を「境界制御空間フィルタ処理」と呼ぶ。
【0057】
第二調光値決定部12では、第一調光値決定部11において決定された第一調光値信号を記憶領域部24に記憶する。また記憶領域部24は、境界制御空間フィルタ処理に用いる境界空間フィルタ係数γを格納し、境界判定部25は処理対象エリアが境界エリアであるかどうかを判定する。境界制御空間フィルタ部26は、記憶領域部24から第一調光値信号を読出し、境界制御空間フィルタ処理を行い第二調光値信号を生成する。その際境界判定部25は、処理対象エリアが境界エリアであるか否かに応じて、境界制御空間フィルタ処理で用いる境界空間フィルタ係数γを切り替えて出力する。
【0058】
図9、
図10は、境界制御空間フィルタ部26の動作を説明する図である。
図9は処理対象エリアが境界エリアに該当しない(境界部を挟まない)場合であり、
図10は処理対象エリアが境界エリアに該当する(境界部を挟む)場合である。いずれも、(a)は処理で参照するエリアとその第一調光値信号を、(b)は演算に用いる境界空間フィルタ係数γを示している。この例でも、処理対象となる画面位置(x,y)の中央エリアとその周囲の8エリアを示している。
【0059】
境界判定部25は対象エリアが境界エリアに該当するか否かを判定し、境界空間フィルタ係数γ(m,n)を決定して境界制御空間フィルタ部26に出力する。境界エリアに該当する場合には、境界部は周囲のどのエリアとの間に存在するかを判断して境界空間フィルタ係数γ(m,n)を決定する。
【0060】
境界制御空間フィルタ部26では、記憶領域部24で保持している第一調光値信号BL(x,y)に対して、境界空間フィルタ係数γ(m,n)を用いて(4)式の演算を行うことで、境界制御空間フィルタ処理後の第二調光値信号BLd(x,y)を算出する。
BLd(x,y)=Max{γ(m,n)×BL(x+m,y+n)} (4)
ただし、m=−1〜+1、n=−1〜+1
【0061】
図9(a)では、処理対象となる画面位置(x,y)の中央エリアは周囲エリアとの間で境界部を有していないため、(b)に示す境界空間フィルタ係数γとして、前記
図5(b)に示した空間フィルタ係数αと同じ値を設定する。これにより(4)式の演算を行うことで、バックライトを構成する各エリア間の光の広がりの影響を補償する空間フィルタ処理のみの機能を実現する。
【0062】
これに対し、
図10(a)では、処理対象となるの中央エリア(x,y)は、X方向に隣接するエリア(x+1,y)との間で境界部(間隙D1)を有している。この場合には(b)に示す境界空間フィルタ係数γとして、一旦前記
図5(b)に示した空間フィルタ係数αと同じ値を設定した後、境界部を挟んで隣接するエリア(x+1,y)の係数γ(1,0)を、前記
図7(b)の該当エリア(x+1,y)の境界エリア係数β(=0.7)に置き換えて設定する。これにより(4)式の演算を行うことで、前記した空間フィルタ処理の機能を実現するとともに、境界部を隔てるエリア対の調光値の差を縮め、調光値比Rを所定の割合以上で点灯させる境界エリア処理の機能を同時に実現する。
【0063】
例えば、第一調光値信号が処理対象の中央エリアでBL(x,y)=30、隣接エリアでBL(x+1,y)=80、他のエリアで0の場合を考える。この時、
図9(a)のように処理対象エリアが境界エリアでない場合は、γ(0,0)×BL(x,y)=1.2×30=36とγ(1,0)×BL(x+1,y)=0.3×80=24の比較から、BLd(x,y)=36となる。一方、
図10(a)のように処理対象エリアが境界エリアである場合は、γ(0,0)×BL(x,y)=36とγ(1,0)×BL(x+1,y)=0.7×80=56の比較から、BLd(x,y)=56となる。その結果、境界部を隔てて隣接するエリアとの調光値比Rは、30/80=0.37から56/80=0.7に増加する。
【0064】
対象エリアが境界エリアであるとき、その境界部の位置は様々な方向に存在する。例えば、Y方向に隣接するエリア(x,y+1)の間に境界部(間隙D2)が存在する場合は、γ(x,y+1)=0.7とする。さらに、X方向とY方向の両方向に境界部が存在する場合は、γ(x+1,y)=γ(x,y+1)=γ(x+1,y+1)=0.7とすればよい。
【0065】
ここで、境界部を隔てて隣接するエリアに対し設定する境界空間エリア係数γは、前記境界エリア係数βと同様に導光板の構造に応じて0.5〜1.0の範囲から適宜選択して設定する。これは、係数γが0.5より小さくなると、分割導光板の境界部で発生する輝度段差を相殺する効果が小さくなり、係数γが1.0に近付くと、各エリアの調光値が同一になってしまい、エリア制御の意味を成さなくなるからである。本実施例における輝度段差抑制の効果は前記実施例1と同様である。
【0066】
本実施例では、バックライト輝度分布の変化を緩やかにする空間フィルタ処理と分割導光板の境界部で発生する輝度段差を抑制する境界エリア処理を同時に行うことで、演算処理時間を短縮する効果がある。
【0067】
本発明は、バックライトを複数の表示領域に分割して個別に光源輝度を制御する、いわゆるエリア制御を採用した液晶テレビや携帯ディスプレイなどの液晶表示装置に好適に適用できる。