(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定条件下で前記ペダルアームを前記休止位置に向けて押し戻すように制御するべく,前記ペダルアームに当接して戻し力を及ぼす戻しレバー,前記戻しレバーを駆動する駆動源を含むアクティブ制御機構をさらに含み、
前記ペダルアームは、前記所定軸線を境にして上側に位置する上側アーム及び下側に位置する下側アームを有し、
前記戻しレバーは、前記上側アームと係合するように形成され、
前記当接部は、前記下側アームに形成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のアクセルペダル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、装置全体の小型化、ヒステリシス発生機構の小型化等を図りつつ、所望のヒステリシス特性が得られえるアクセルペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のアクセルペダル装置は、アクセルペダルに連動するペダルアームと、ペダルアームを休止位置と最大踏込み位置の間で所定軸線回りに回動可能に支持するハウジングと、アクセルペダルの踏力にヒステリシスを発生させるべく,ハウジングに形成された摺動案内路,摺動案内路内に摺動自在に配置されると共に踏力が及ぼされるべくペダルアームと係合しかつ移動方向に対して傾斜した第1傾斜面をもつ第1スライダ,摺動案内路内に摺動自在に配置されると共に第1傾斜面と接触する第2傾斜面もつ第2スライダ,及び第2スライダに係合して踏力に拮抗する向きに付勢力を及ぼす付勢バネを含むヒステリシス発生機構と、を備えたアクセルペダル装置であって、上記摺動案内路は、アクセルペダルの踏み込みに連動する第1スライダ及び第2スライダの移動方向に向かって先細りとなるように形成されている、構成となっている。
この構成によれば、アクセルペダルが踏み込まれペダルアームが踏み込み方向に回転すると、第1スライダの第1傾斜面が第2スライダの第2傾斜面を押して、両者のくさび作用により、第1スライダ及び第2スライダが摺動案内路に押し付けられつつ付勢バネの付勢力に抗して移動すると共に、摺動案内路が先細りに形成されているため、第1スライダと第2スライダが互いに摺動案内路の中心に近づくような相対的な摺動を生じる。
したがって、休止位置から最大踏込み位置に向かう際の摩擦力としては、第1スライダと傾斜面をもつ摺動案内路との間の摩擦力及び第2スライダと傾斜面をもつ摺動案内路との間の摩擦力に加えて、第1スライダ(の第1傾斜面)と第2スライダ(の第2傾斜面)との間の摩擦力が作用するため、その分だけ摩擦力を増加させることができ、一方、アクセルペダルが戻されてペダルアームが戻し方向に回転すると、付勢バネの付勢力により、第2スライダ及び第1スライダが押し戻され、最大踏込み位置から休止位置に向かう際の摩擦力は、第1スライダ及び第2スライダが自由となる開放側に移動するため、小さくなる。
したがって、仮にヒステリシス発生機構(摺動案内路、第1スライダ及び第2スライダ、付勢バネ等)を小型化しても、踏込み時の摩擦力を大きくして、踏力に対して所望のヒステリシスを得ることができる。
【0007】
上記構成において、第1スライダは、摺動案内路に摺動自在に接触する第1摺動面を有し、第2スライダは、摺動案内路に摺動自在に接触する第2摺動面を有し、摺動案内路は、第1摺動面及び第2摺動面を摺動自在に案内する内壁面を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1スライダは、その第1摺動面を介して摺動案内路の内壁面と面接触して摺動し、第2スライダは、その第2摺動面を介して摺動案内路の内壁面と面接触して摺動するため、安定した摩擦力が生じ、踏力において所望のヒステリシス特性を得ることができる。
【0008】
上記構成において、第1摺動面及び第2摺動面は平面状に形成され、摺動案内面は、第1スライダの第1摺動面を摺動自在に接触させる平面状の第1傾斜内壁面と、第2スライダの第2摺動面を摺動自在に接触させる平面状の第2傾斜内壁面とを画定するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1スライダの第1摺動面が摺動案内路の第1傾斜内壁面と平面状に面接触して摺動し、第2スライダの第2摺動面が摺動案内路の第2傾斜内壁面と平面状に面接触して摺動するため、スティック(食い付き)等の発生を防止して、摺動動作を円滑に行わせ安定した摩擦力を得ることができる。
【0009】
上記構成において、第1摺動面及び第2摺動面は曲面状に形成され、摺動案内面は、第1スライダの第1摺動面及び第2スライダの第2摺動面を摺動自在に接触させる円錐状の内壁面を画定するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1スライダの第1摺動面及び第2スライダの第2摺動面が摺動案内路の円錐状の内壁面と曲面状に面接触して摺動するため、第1スライダと第2スライダとの自動調芯を行うことができ、安定した摩擦力を得ることができる。
【0010】
上記構成において、ハウジングは、一端が開口して摺動案内路を画定する筒状部を有し、筒状部には、第1スライダ、第2スライダ、及び付勢バネが配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、ハウジングの筒状部に付勢バネを嵌め込み、その外側から第2スライダを嵌め込み、さらにその外側から第1スライダを嵌め込むだけで、ヒステリシス発生機構を形成することができるため、組み付け作業の簡素化、構造の簡素化、機構及び装置の小型化を達成することができる。
【0011】
上記構成において、ペダルアームを休止位置に復帰させる付勢力を及ぼす復帰バネを含み、ペダルアームは、第1スライダに離脱可能に当接する当接部を有する、構成を採用することができる。
この構成によれば、仮に、第1スライダ及び第2スライダがスティック(ロック)して戻らなくなった場合でも、復帰バネの付勢力によりペダルアーム(アクセルペダル)を休止位置に確実に復帰させることができる。
【0012】
上記構成において、所定条件下でペダルアームを休止位置に向けて押し戻すように制御するべく,ペダルアームに当接して戻し力を及ぼす戻しレバー,戻しレバーを駆動する駆動源を含むアクティブ制御機構をさらに含み、ペダルアームは、所定軸線を境にして上側に位置する上側アーム及び下側に位置する下側アームを有し、戻しレバーは、上側アームと係合するように形成され、当接部は、下側アームに形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、アクティブ制御機構をハウジング内に配置するような場合でも、ヒステリシス発生機構を下側アームの領域に配置することで、装置(ハウジング)全体の小型化を達成することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、構造の簡素化、部品点数の削減、低コスト化、装置全体の小型化、ヒステリシス発生機構の小型化等を達成しつつ、所望のヒステリシス特性が得られえるアクセルペダル装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
このアクセルペダル装置は、
図1ないし
図5に示すように、自動車等の車体に固定されるハウジング10、アクセルペダル(不図示)に連動しハウジング10により規定される所定の軸線Lを中心として回動自在に支持されたペダルアーム20、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼす復帰バネ30、アクセルペダルの踏力(ペダル荷重)にヒステリシスを発生させるヒステリシス発生機構40(摺動案内路12j´、第1スライダ41、第2スライダ42、付勢バネ43)、所定条件下においてペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す押し戻し力を生じさせるためのアクティブ制御機構50(駆動源51(ロータ51a、コイル51b、ヨーク51c)、戻しレバー52)、ペダルアーム20の回転角度位置を検出する位置センサ60(アーマチュア61、永久磁石62、ステータ63、ホール素子64)、アクティブ制御機構50(コイル51b)の温度を検出する温度センサ70、制御回路基板80、制御回路基板80に電気的に接続されたコネクタ90等を備えている。
【0016】
ハウジング10は、
図1ないし
図4に示すように、第1ハウジング本体11、第2ハウジング本体12、第1ハウジングカバー13、及び第2ハウジングカバー14により構成されている。
第1ハウジング本体11は、樹脂材料により成形されており、
図2ないし
図4に示すように、側壁部11a、側壁部11aの内側において軸線Lと同軸上に設けられた円筒状の軸受部11b、軸受部11bの中央において軸線L方向の内側に向けて突出しかつ側壁部11aの外側に向けて凹状に形成された円柱部11c、第2ハウジング本体12を連結するための複数の連結孔11d、側壁部11aの外側に形成されて制御回路基板80を取り付けるために位置決めする複数の位置決めピン11e、側壁部11aの外側に形成されて第1ハウジングカバー13を結合するための複数のネジ穴11f、アクティブ制御機構50に含まれる励磁用のコイル51bを制御回路基板80に電気的に接続するべく側壁部11aに埋設された複数の端子11g、第2ハウジング本体12を連結するための複数の連結片11h、ペダルアーム20の最大踏込み位置を規定する全開ストッパ11i等を備えている。
円柱部11cは、
図6に示すように、軸受部11bと同軸上(軸線L上)に中心をもつように形成され、軸受部11bがペダルアーム20の円筒部21に嵌め込まれた状態で、円筒部21の内周面に固定された環状のアーマチュア61及び円弧状の一対の永久磁石62と非接触となるように形成されている。
【0017】
第2ハウジング本体12は、樹脂材料により成形されており、
図2ないし
図5に示すように、側壁部12a、側壁部12aの内側において軸線Lと同軸上に設けられた円柱状の軸受部12b、第1ハウジング本体11を連結するための複数の嵌合突起12d、側壁部12aの外側に形成されて駆動源51(コイル51b,ヨーク51c)を取り付けるために取付凹部12e、ヨーク51cを取り付けるネジ孔12f、ロータ51aの回転軸51a´を回動自在に支持する軸受孔12g、コイル51bを通す開口部12h、復帰バネ30の一端部を受ける受け部12i、ヒステリシス発生機構40(の第1スライダ41、第2スライダ42、及び付勢バネ43)を配置するべく一端が開口して摺動案内路12j´を画定する筒状部12j、第2ハウジングカバー14を結合するためのネジ穴12k、第1ハウジング本体11を連結するための複数の連結爪12m等を備えている。
【0018】
第1ハウジングカバー13は、樹脂材料により成形されており、
図2ないし
図4に示すように、側壁部13a、複数のネジ孔13b等を備え、第1ハウジング本体11と協働して制御回路基板80を挟み込んで覆った状態で保持するべく、第1ハウジング本体11に対して着脱自在に結合されるように形成されている。
【0019】
第2ハウジングカバー14は、放熱性を高めるために金属材料(例えば、アルミ)により成形されており、
図5に示すように、側壁部14a、複数のネジ孔14b、コイル51bを収容するべく外側に膨らむ凹部14c、ロータ51aの端部(ナット51a´´)側を回動自在に支持する軸受部14d等を備え、第2ハウジング本体12と協働して駆動源51を挟み込んで(一部を除いて)覆った状態で保持するべく、第2ハウジング本体12及びヨーク51cに対して着脱自在に結合されるように形成されている。
【0020】
ペダルアーム20は、全体が樹脂材料により成形されており、
図2ないし
図6に示すように、ハウジング10(第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12)の軸受部11b,12bにより回動自在に支持される円筒部21、円筒部21から下方に伸長して(軸線Lを境にして下側に位置するように)一体的に形成されてアクセルペダル(不図示)にリンク機構等を介して連動するように連結される下側アーム22、円筒部21から上方に伸長して(軸線Lを境にして上側に位置するように)一体的に形成された上側アーム23、円筒部21の下方近傍において下側アーム22に形成されて復帰バネ30の他端部を受ける受け部24、受け部24の下方近傍に形成されてヒステリシス発生機構40の第1スライダ41に当接するロッド状の当接部25等を備えている。
【0021】
円筒部21は、
図6に示すように、第1ハウジング本体11の軸受部11bがその縮径部分の外側に嵌合され、かつ、第2ハウジング本体12の軸受部12bがその拡径部分の内側に嵌合されて、軸線L回りに回動自在に支持されている。
また、円筒部21には、
図4及び
図6に示すように、その縮径部分の内周面において、磁性材料からなる環状のアーマチュア61、アーマチュア61の内周面に結合された一対の円弧状の永久磁石62が設けられている。
上側アーム23は、ペダルアーム20が第1ハウジング本体11及び第2ハウジング本体12により回動自在に挟持された状態において、復帰バネ30の付勢力により、その縁部23aが戻しレバー52の近傍に配置された嵌合突起12dに当接してペダルアーム20が休止位置に位置決めされ、又、その縁部23bに対してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す戻しレバー52が当接するように形成されている。
当接部25は、
図8に示すように、筒状部12j内に配置されたヒステリシス発生機構40の第1スライダ41に離脱可能に当接して、第1スライダ41及び第2スライダ42を付勢バネ43の付勢力に抗して押し込むように形成されている。
【0022】
復帰バネ30は、
図3及び
図4に示すように、バネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、その一端部が第2ハウジング本体12の受け部12iに当接しかつその他端部がペダルアーム20の受け部24に当接して、所定の圧縮代に圧縮された状態で取り付けられて、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすようになっている。
【0023】
ヒステリシス発生機構40は、
図7に示すように、第2ハウジング本体12の筒状部12jに形成された摺動案内路12j´、第1スライダ41、第2スライダ42、付勢バネ43により構成されている。
摺動案内路12j´は、
図8に示すように、中央軸線CLに対して中心角2αをなす円錐状の内壁面S(中央軸線CLに対して角度αの傾斜をなす内壁面S)を画定するように、すなわち、アクセルペダルの踏み込みに連動する第1スライダ41及び第2スライダ42の移動方向に向かって(奥側に向かって)先細りとなるように形成されている。
【0024】
第1スライダ41は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図7及び
図8に示すように、曲面状をなす第1摺動面41a、平面状の第1傾斜面41b、平面状の係合面41c、中央突起41d等を備えている。
第1摺動面41aは、摺動案内路12j´の内壁面Sに摺動自在に接触するように曲面状に形成されている。
第1傾斜面41bは、中央軸線CLに対して所定角度θだけ傾斜して、第2スライダ42の第2傾斜面42bと摺動自在に係合するように形成されている。
係合面41cは、ペダルアーム20の当接部25が離脱可能に係合し得るように形成されている。
中央突起41dは、第2スライダ42の中央開口42dに対して隙間をおいて挿入される、すなわち、中央軸線CLに垂直な方向における第1スライダ41と第2スライダ42との所定量の相対的な移動を許容するように形成されている。
【0025】
第2スライダ42は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図7及び
図8に示すように、曲面状をなす第2摺動面42a、平面状の第2傾斜面42b、平面状の受け面42c、中央開口42d等を備えている。
第2摺動面42aは、摺動案内路12j´の内壁面Sに摺動自在に接触するように曲面状に形成されている。
第2傾斜面42bは、中央軸線CLに対して所定角度θだけ傾斜して、第1スライダ41の第1傾斜面41bと摺動自在に係合するように形成されている。
受け面42cは、付勢バネ43の一端部を受けるように形成されている。
中央開口42dは、中央軸線CLに垂直な方向における第1スライダ41と第2スライダ42との所定量の相対的な移動を許容するべく、第1スライダ41の中央突起41dを受け入れるように形成されている。
【0026】
付勢バネ43は、
図7及び
図8に示すように、バネ鋼等により形成された圧縮型のコイルバネであり、その一端部43aが第2スライダ42の受け面42cに係合し、その他端部43bが第2ハウジング本体12の筒状部12jの底壁に係合して、所定の圧縮代に圧縮された状態で取り付けられて、第2スライダ42の傾斜面42bを第1スライダ41の傾斜面41bに押し付けて、第1スライダ41及び第2スライダ42を摺動案内路12j´の内壁面Sに向けて押し付けるようなくさび作用を及ぼすと共に、第2スライダ42及び第1スライダ41を介して、ペダルアーム20を休止位置に戻す付勢力を及ぼすようになっている。
尚、第1傾斜面41b及び第2傾斜面42bの角度θとしては、例えば45度程度が選択され、摺動案内路12jの内壁面Sの角度αとしては、例えば1度程度が選択される。
【0027】
上記構成をなすヒステリシス発生機構40によれば、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ43)の付勢力に抗して休止位置から最大踏込み位置(全開位置)に向けて踏み込まれる場合は、当接部25が付勢バネ43の付勢力に抗して第1スライダ41を
図8中の左向きに押すことで、第1傾斜面41b及び第2傾斜面42bのくさび作用により、第1スライダ41及び第2スライダ42が摺動案内路12j´(内壁面S)に押し付けられつつ付勢バネ43の付勢力に抗して移動し、第1摺動面41a及び第2摺動面42aと摺動案内路12j´(の内壁面S)との間に摩擦力(摺動抵抗)を生じ、この摩擦力は、付勢バネ43の付勢力の増加に伴って直線的に増加する。
【0028】
また、摺動案内路12j´(内壁面S)が先細りになっているため、第1スライダ41と第2スライダ42が互いに摺動案内路12j´の中心(中央軸線CL)に近づくような相対的な移動を生じ、この相対的な移動により第1傾斜面41bと第2傾斜面42bとの間に摩擦力を生じる。
したがって、休止位置から最大踏込み位置に向かう際の摩擦力としては、第1スライダ41(の第1摺動面41a)と摺動案内路12j´との間の摩擦力及び第2スライダ42(の第2摺動面42a)と摺動案内路12j´との間の摩擦力に加えて、第1スライダ41(の第1傾斜面41b)と第2スライダ42(の第2傾斜面42b)との間の摩擦力が作用するため、その分だけ摩擦力を増加させることができる。
【0029】
一方、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ43)の付勢力により、最大踏込み位置から休止位置に向けて戻される場合は、付勢バネ43の付勢力により第1スライダ41及び第2スライダ42が元の位置に向けて
図8中の右向きに移動すると共に、第1スライダ41と第2スライダ42が互いに摺動案内路12j´の中心(中央軸線CL)から離れるような相対的な移動を生じ、第2スライダ42及び第1スライダ41が付勢バネ43の付勢力により自由となる開放側に押し戻されるため、第1傾斜面41b及び第2傾斜面42bのくさび作用により生じる摩擦力(摺動抵抗)は小さくなり、付勢バネ43の付勢力が減少することで摩擦力が直線的に減少する。
尚、戻り動作の途中において、仮に、第1スライダ41及び第2スライダ42がスティック(ロック)して戻らなくなった場合は、復帰バネ30の付勢力により、当接部25が第1スライダ41(の係合面41c)から離脱することで、ペダルアーム20(アクセルペダル)は、所定の休止位置に確実に戻るようになっている。
【0030】
このように、戻り動作の際の摩擦力は、踏込み動作の際の摩擦力よりも小さくなるため、踏込み動作から戻し動作までの全体の踏力(ペダル荷重)にヒステリシスを発生させることができる。
したがって、ヒステリシス発生機構40(摺動案内路12j´、第1スライダ41及び第2スライダ42、付勢バネ43等)を小型化しても、
図9に示すように、第1スライダ41と第2スライダ42との相対的な移動に伴う摩擦力が追加された分だけ踏込み時の摩擦力を大きくして、踏力に対して所望のヒステリシスを得ることができる。
また、第1スライダ41の第1摺動面41a及び第2スライダ42の第2摺動面42aが摺動案内路12j´の円錐状の内壁面Sと曲面状に面接触して摺動するため、第1スライダ41と第2スライダ42との自動調芯を行うことができ、安定した摩擦力を得ることができる。
【0031】
また、第1スライダ41、第2スライダ42、及び付勢バネ43は、第2ハウジング本体12に形成された筒状部12j内に配置される構成を採用しているため、筒状部12jに付勢バネ43を嵌め込み、その外側から第2スライダ42を嵌め込み、さらにその外側から第1スライダ41を嵌め込むだけで、ヒステリシス発生機構40を構成することができるため、組み付け作業の簡素化、構造の簡素化、機構及び装置の小型化を達成することができる。
【0032】
アクティブ制御機構50は、
図2ないし
図5に示すように、第2ハウジング本体12と第2ハウジングカバー14の間に配置されて保持され電磁力により回転駆動力を発生する駆動源51、駆動源51に直結されてペダルアーム20の上側アーム23に対して離脱可能に係合する戻しレバー52等により構成されている。
【0033】
駆動源51は、
図5に示すように、一対の永久磁石を一体的に有し電磁力により回転するロータ51a、励磁用のコイル51b、磁路を形成するヨーク51cにより構成されている。
ロータ51aは、
図5に示すように、第2ハウジング本体12の軸受孔12gに通されて支持される回転軸51a´及び締結用のナット51a´´を有し、回転軸51a´の端部において戻しレバー52が一体的に回転するように固定されている。尚、ロータ51aは、ナット51a´´側も第2ハウジングカバー14の軸受部14dにより回動自在に支持されるようになっている。
コイル51bは、ボビンを介して図示しない励磁部材に巻回され、組付けの際にその接続端子が開口部12hを通して第1ハウジング本体11に埋設された端子11gと接続されるようになっている。
ヨーク51cは、第2ハウジング本体12の取付凹部12eに配置され、第2ハウジング本体12の側壁部12aと第2ハウジングカバー14により挟持されると共にその一部を除いて露出しないように覆われた状態で保持されるようになっている。
すなわち、駆動源51は、軸線Lに平行な軸線L2を中心として所定の角度範囲を回動すると共に戻しレバー52を直結するロータ51aを含むトルクモータである。
尚、ペダルアーム20の踏力に抵抗して戻しレバー52を回動させることができるものであれば、トルクモータに限らずその他の構成をなす駆動源を適用してもよい。
【0034】
戻しレバー52は、
図4及び
図5に示すように、軸線L2を中心に回動するロータ51aの回転軸51a´に直結されると共にその先端部のローラ52aがペダルアーム20の上側アーム23の縁部23bに離脱可能に係合するように形成されている。
そして、戻しレバー52は、駆動源51が駆動力(回転トルク)を及ぼさないとき、ペダルアーム20の揺動に追従するように、すなわち、上側アーム23の移動に対して抵抗力を及ぼすことなく追従するように自由に回動し、一方、駆動源51が駆動力(回転トルク)を及ぼすとき、踏力に抵抗してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻す押し戻し力を上側アーム23に対して及ぼすようになっている。
【0035】
上記ヒステリシス発生機構40及びアクティブ制御機構50を備える構成において、戻しレバー52は上側アーム23と係合するように形成され、当接部25は下側アーム22に形成されているため、アクティブ制御機構50をハウジング内に配置するような場合でも、ヒステリシス発生機構40を下側アーム22の領域に配置することで、装置(ハウジング)全体の小型化を達成することができる。
【0036】
位置センサ60は、非接触式の磁気式センサであり、
図4及び
図6に示すように、軸線Lの周りの領域において、ペダルアーム20の円筒部21の内周面に配置(保持)された磁性材料からなる環状のアーマチュア61、アーマチュア61の内周面に結合された円弧状の一対の永久磁石62、第1ハウジング本体11の円柱部11cの内側に埋設するようにして配置(保持)された磁性材料からなるステータ63、ステータ63間に配置されると共に制御回路基板80上に形成された回路に接続された2つのホール素子64等により構成されている。
すなわち、ペダルアーム20が回動することにより、アーマチュア61及び永久磁石62が、ステータ63及びホール素子64に対して相対的に回転し、この相対的な回転移動による磁束密度の変化をホール素子64で検出して電圧信号として出力することで、ペダルアーム20の角度位置が検出されるようになっている。
【0037】
温度センサ70は、第1ハウジング本体11の側壁部11aの外側に保持されて、コイル51bの温度を検出するものであり、温度センサ70の信号を処理する回路は、制御回路基板80に設けられており、その電気的接続が、端子等を介して第1ハウジング本体11の外側に配置される制御回路基板80上に形成された回路に接続されるようになっている。これにより、コイル51bの温度を検出され、検出温度に基づいてコイル51bへの通電のオン/オフが適宜制御されて、過熱を防止してフェールセーフ機能が確保されるようになっている。
【0038】
制御回路基板80は、
図2ないし
図4、
図6に示すように、第1ハウジング本体11の位置決めピン11eに嵌め込まれる複数の位置決め孔83a、ネジが通される複数の孔83b、種々の電子部品(制御ユニット)を含む制御回路、位置センサ60のホール素子64から出力される信号を処理する回路、温度センサ70から出力される信号を処理する回路、ホール素子64を電気的に接続する端子(バスバー)、温度センサ70を電気的に接続する端子(バスバー)等を備えている。
そして、制御回路基板80は、第1ハウジング本体11と第1ハウジングカバー13との間に配置されて外部に露出しないように覆われた状態で保持されている。
【0039】
次に、このアクセルペダル装置の動作について説明する。
先ず、運転者がアクセルペダルを踏み込まない休止位置にあるとき、復帰バネ30の付勢力により、上側アーム23が嵌合突起12dに当接して、ペダルアーム20は休止位置に停止している。このとき、ペダルアーム20の当接部25は、第1スライダ41の係合面41bと離脱可能に係合した状態にある。また、戻しレバー52(のローラ52a)は、上側アーム23に戻し力を及ぼさない状態で係合した状態にある。
【0040】
この状態から、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、ペダルアーム20は、復帰バネ30の付勢力に抗して回転し、ヒステリシス発生機構40が発生する抵抗荷重(第1摺動面41aと内壁面Sとの間の摩擦力、第2摺動面42aと内壁面Sとの間の摩擦力、及び第1傾斜面41bと第2傾斜面42bとの間の摩擦力)を増しながら、最大踏込み位置(全開位置)まで回転して、上側アーム23(の縁部23b)がハウジング10(第1ハウジング本体11)の全開ストッパ11iに当接して停止する。この踏込み動作において、戻しレバー52は、何ら負荷(押し戻し力)を及ぼすことなく、上側アーム23の移動に追従するようになっている。
【0041】
一方、運転者が踏力を緩めると、踏込み時の抵抗荷重(ペダル荷重)よりも小さい抵抗荷重(ペダル荷重)を操作者(運転者)に及ぼしながら、ペダルアーム20は復帰バネ30の付勢力により休止位置に向けて移動し、上側アーム23(の縁部23a)がハウジング10(第2ハウジング本体12)の嵌合突起12dに当接して停止する。この戻し動作において、戻しレバー52は、何ら負荷(押し戻し力)を及ぼすことなく、上側アーム23の移動に追従するようになっている。
【0042】
すなわち、休止位置から最大踏込み位置に向かう際の摩擦力としては、第1スライダ41と摺動案内路12j´(内壁面S)との間の摩擦力及び第2スライダ42と摺動案内路12j´(内壁面S)との間の摩擦力に加えて、第1スライダ41(の第1傾斜面41b)と第2スライダ42(の第2傾斜面42b)との間の摩擦力が作用するため、その分だけ摩擦力を増加させることができ、一方、アクセルペダルが戻されてペダルアーム20が戻し方向に回転し、付勢バネ43の付勢力により第2スライダ42及び第1スライダ41が押し戻されつつ最大踏込み位置から休止位置に向かう際の摩擦力は、第1スライダ41及び第2スライダ42が自由となる開放側に移動するが故に小さくでき、ヒステリシス発生機構40(摺動案内路12j´、第1スライダ41及び第2スライダ42、付勢バネ43等)を小型化しても、踏込み時の摩擦力を大きくして、踏力に対して所望のヒステリシスを得ることができる。
【0043】
一方、運転者がアクセルペダルを踏み込んだ状態において、例えば、危険回避あるいは危険告知が必要と判断(この判断は別の車間距離検出システム等に判断される)された場合(所定条件下において)は、制御回路基板80(上の制御ユニット)からの制御信号及び位置センサ60からの出力信号等に基づいて、アクティブ制御機構50の駆動源51が起動し、戻しレバー52が回転トルク(押し戻し力)を発生して、運転者の踏力に対抗してペダルアーム20を休止位置に向けて押し戻すように駆動制御される。
【0044】
また、戻しレバー52の押し戻し力をペダルアーム20(の上側アーム23)に直接作用させることで、ヒステリシス発生機構40に影響を及ぼすのを防止でき、踏力において所望のヒステリシス特性を得ることができる。
また、アクティブ制御機構50が仮に作動不良になっても、戻しレバー52はペダルアーム20の上側アーム23に対して離脱可能であるため、ペダルアーム20の安全側(休止位置)への戻りを確実に保証することができる。
さらに、ヒシテリシス発生機構40及びアクティブ制御機構50が作動不良になっても、復帰バネ30が直接付勢力を及ぼしているため、ペダルアーム20の安全側(休止位置)への戻りを確実に保証することができる。
【0045】
上記構成をなすアクセルペダル装置によれば、運転者がアクセルペダルを操作して、ペダルアーム20を休止位置と最大踏み込み位置の間で回動させる際に、ヒステリシス発生機構40により所望のヒステリシスを生じるような踏力が得られ、又、所定条件下で(例えば、車両の運転中に危険回避あるいは危険告知等が必要なった場合に)はアクティブ制御機構50が作動して、運転者の踏力に対抗してペダルアーム20を押し戻すような押し戻し力を発生させることができる。
【0046】
図10及び
図11は、ヒステリシス発生機構の他の実施形態を示すものであり、前述の実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態において、ヒステリシス発生機構40´は、
図10及び
図11に示すように、第2ハウジング本体12の筒状部12jに形成された摺動案内路12j´´、第1スライダ41´、第2スライダ42´、付勢バネ43により構成されている。
摺動案内路12j´´は、
図10及び
図11に示すように、中央軸線CLに対して上側に角度αをなす平面状の第1傾斜内壁面S1、中央軸線CLに対して下側に角度αをなす平面状の第2傾斜内壁面S2を画定するように、すなわち、アクセルペダルの踏み込みに連動する第1スライダ41´及び第2スライダ42´の移動方向に向かって(奥側に向かって)先細りとなるように形成されている。
【0047】
第1スライダ41´は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図10及び
図11に示すように、平面状をなす第1摺動面41a´、第1傾斜面41b、係合面41c、中央突起41d等を備えている。
第1摺動面41a´は、摺動案内路12j´´の第1傾斜内壁面S1に摺動自在に接触するように平面状に形成されている。
【0048】
第2スライダ42´は、樹脂材料(例えば、含油ポリアセタール等の高摺動性材料)により形成されており、
図10及び
図11に示すように、平面状をなす第2摺動面42a´、第2傾斜面42b、受け面42c、中央開口42d等を備えている。
第2摺動面42a´は、摺動案内路12j´´の第2傾斜内壁面S2に摺動自在に接触するように平面状に形成されている。
【0049】
上記構成をなすヒステリシス発生機構40´によれば、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ43)の付勢力に抗して休止位置から最大踏込み位置(全開位置)に向けて踏み込まれる場合は、当接部25が付勢バネ43の付勢力に抗して第1スライダ41´を
図11中の左向きに押すことで、第1傾斜面41b及び第2傾斜面42bのくさび作用により、第1スライダ41´及び第2スライダ42´が摺動案内路12j´´(第1傾斜内壁面S1及び第2傾斜内壁面S2)に押し付けられつつ付勢バネ43の付勢力に抗して移動し、第1摺動面41b及び第2摺動面42bと摺動案内路12j´´(第1傾斜内壁面S1及び第2傾斜内壁面S2)との間に摩擦力(摺動抵抗)を生じ、この摩擦力は、付勢バネ43の付勢力の増加に伴って直線的に増加する。
【0050】
また、摺動案内路12j´´(第1傾斜内壁面S1及び第2傾斜内壁面S2)が先細りになっているため、第1スライダ41´と第2スライダ42´が互いに摺動案内路12j´´の中心(中央軸線CL)に近づくような相対的な摺動を生じ、この相対的な移動により第1傾斜面41bと第2傾斜面42bとの間に摩擦力を生じる。
したがって、休止位置から最大踏込み位置に向かう際の摩擦力としては、第1スライダ41´と摺動案内路12j´´(第1傾斜内壁面S1)との間の摩擦力及び第2スライダ42´と摺動案内路12j´´(第2傾斜内壁面S2)との間の摩擦力に加えて、第1スライダ41´(の第1傾斜面41b)と第2スライダ42´(の第2傾斜面42b)との間の摩擦力が作用するため、その分だけ摩擦力を増加させることができる。
【0051】
一方、ペダルアーム20が、復帰バネ30(及び付勢バネ43)の付勢力により、最大踏込み位置から休止位置に向けて戻される場合は、付勢バネ43の付勢力により第1スライダ41´及び第2スライダ42´が元の位置に向けて
図11中の右向きに移動すると共に、第1スライダ41´と第2スライダ42´が互いに摺動案内路12j´´の中心(中央軸線CL)から離れるような相対的な摺動を生じ、第2スライダ42´及び第1スライダ41´が付勢バネ43の付勢力により自由となる開放側に押し戻されるため、第1傾斜面41b及び第2傾斜面42bのくさび作用により生じる摩擦力(摺動抵抗)は小さくなり、付勢バネ43の付勢力が減少することで摩擦力が直線的に減少する。
この実施形態においては、第1スライダ41´の第1摺動面41a´が摺動案内路12j´´の第1傾斜内壁面S1と平面状に面接触して摺動し、第2スライダ42´の第2摺動面42a´が摺動案内路12j´´の第2傾斜内壁面S2と平面状に面接触して摺動するため、スティック(食い付き)等の発生を防止して、摺動動作を円滑に行わせ安定した摩擦力を得ることができる。
【0052】
上記実施形態においては、ヒステリシス発生機構40,40´の摩擦力を生じる摺動面(摺動案内路の内壁面、第1摺動面、第2摺動面、第1傾斜面、第2傾斜面)を面状に形成して面接触させる場合を示したが、これに限定されるものではなく、上記のような面にディンプル等を設けた構成を採用してもよい。
上記実施形態においては、ペダルアーム20が、アクセルペダルと別個に形成され、車両等の床面に揺動自在に支持されたアクセルペダルと連動する場合を示したが、アクセルペダルを一体的に備えたペダルアームを用いる構成において、本発明を採用してもよい。
上記実施形態においては、ハウジング10が、第1ハウジング本体11、第2ハウジング本体12、第1ハウジングカバー13、及び第2ハウジングカバー14により構成される場合を示したが、これに限定されるものではなく、二分割のハウジング本体からなる構成を採用してもよい。