特許第5743845号(P5743845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743845
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】発光ダイオード駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20150611BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
【請求項の数】22
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2011-232164(P2011-232164)
(22)【出願日】2011年10月21日
(65)【公開番号】特開2012-129502(P2012-129502A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2011年10月24日
【審判番号】不服2014-2052(P2014-2052/J1)
【審判請求日】2014年2月4日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0126900
(32)【優先日】2010年12月13日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ダエ ホーン
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ジェオング イン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェイ シン
【合議体】
【審判長】 吉野 公夫
【審判官】 松川 直樹
【審判官】 鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−057331号公報(JP,A)
【文献】 特開2010−153599号公報(JP,A)
【文献】 特開2010−161264号公報(JP,A)
【文献】 特表2010−514195号公報(JP,A)
【文献】 特開2006−210272号公報(JP,A)
【文献】 特開2011−009701号公報(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0237799号明細書(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H05B 37/00-39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源を整流及び平滑する整流平滑部と、
前記整流平滑部からの整流された電源の電圧及び電流の位相差を調整する力率補正部と、
電源のスイッチングを制御するスイッチング制御信号に応じて前記力率補正部によって力率補正された電源をスイッチングするスイッチング部と、
前記スイッチング部からスイッチングされた電源の入力を受ける少なくとも一つの一次巻線と、前記少なくとも一つの一次巻線と電気的に絶縁され、予め設定された巻線比を形成して前記少なくとも一つの一次巻線から駆動電源の誘起を受ける少なくとも一つの二次巻線と、を有するトランスフォーマと、
少なくとも一つのLEDチャンネルブロックが有する第1及び第2LEDチャンネルの各々に供給される前記駆動電源の電流平衡を維持する少なくとも一つの電流平衡ユニットを有する電流平衡部と、
前記少なくとも一つのLEDチャンネルブロックと接地との間に連結され、前記少なくとも一つのLEDチャンネルブロックに前記駆動電源が供給または遮断されるようにスイッチングするスイッチ部と、
前記少なくとも一つのLEDチャンネルブロックに供給された駆動電源の状態を検出して前記スイッチ部のスイッチングを制御し、検出された駆動電源の状態に応じて前記スイッチング制御信号を生成して出力し、前記トランスフォーマの二次巻線が形成された二次側に位置する制御部と、
前記制御部から前記スイッチング制御信号の入力を受ける第1巻線と、前記第1巻線と電気的に絶縁され、前記第1巻線に入力されたスイッチング制御信号の誘起を受けて前記スイッチング部に伝達する第2巻線とを有するパルストランスフォーマを備える伝達部と
を含むことを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、
検出された駆動電源の状態に応じて設定される電流を生成する電流生成部と、
前記電流生成部によって生成された電流に応じて周期が設定されるクロック信号を生成するクロック生成部と、
前記電流生成部によって生成された電流に応じて、前記クロック生成部によって生成されたクロック信号のデッドタイムを生成するデッドタイム生成部と、
前記デッドタイム生成部によってデッドタイムが生成されたクロック信号を電源のスイッチング制御用に加工して前記伝達部に伝達するゲート駆動部と、
検出された駆動電源の状態に応じて前記スイッチ部のスイッチングを制御して前記少なくとも一つのLEDチャンネルの輝度を制御するディミング部と、
検出された駆動電源の状態が予め設定された非定常動作に該当する場合、前記ゲート駆動部の動作を遮断する保護部と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項3】
前記ディミング部は、
前記スイッチ部をスイッチングオン及びオフするPWM(Pulse Width Modulation)信号がハイ信号である場合、検出された駆動電源の状態を検出信号として受けて前記電流生成部に伝達される電流制御信号を演算する演算部と、
前記PWM信号がロー信号である場合、前記検出信号の電圧レベルを予め設定された電圧レベルに制御するバッファ部と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を電荷平衡原理によって維持する電流平衡用キャパシタと、
前記第1LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第1及び第2ダイオードと、
前記第2LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第3及び第4ダイオードと、
前記第1及び第2ダイオードと並列連結されて前記第1LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第3及び第4ダイオードと並列連結されて前記第2LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記二次巻線の一端に連結され、第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を電荷平衡原理によって維持する電流平衡用キャパシタと、
前記二次巻線の他端と前記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、
前記電流平衡用キャパシタと前記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、
前記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項6】
前記二次巻線はセンタータップを中心に予め設定された巻線数に分割され、
前記第1LEDチャンネルと前記第2LEDチャンネルは直列連結され、
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記二次巻線のセンタータップに連結され、前記第1及び第2LEDチャンネルの連結点に連結されて、前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を維持する電流平衡用キャパシタと、
前記二次巻線の一端と前記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、
前記二次巻線の他端と前記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、
前記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項7】
前記トランスフォーマは、複数のLEDチャンネルブロック夫々に連結され、該当するLEDチャンネルブロックに駆動電源を供給する複数の二次巻線を含み、
前記電流平衡部は、前記複数の二次巻線からの駆動電源を、該当するLEDチャンネルブロックの第1LEDチャンネル及び第2LEDチャンネルに電流平衡を維持して供給する前記電流平衡ユニットを複数個含むことを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項8】
前記トランスフォーマは、前記複数の二次巻線に夫々一対一対応する複数の一次巻線を含むことを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項9】
電気的に絶縁された一次側と二次側とを有し、入力された電源を前記一次側でスイッチングし、当該スイッチングされた電源を前記二次側で予め設定された電圧レベルを有する駆動電源に変換し、前記駆動電源を少なくとも一つのLED(Light Emitting Diode)チャンネルに供給する電源供給部と、
前記電源供給部からの前記少なくとも一つのLEDチャンネルへの前記駆動電源の供給及び遮断を制御して前記少なくとも一つのLEDチャンネルを駆動し、前記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給される前記駆動電源の状態に応じて前記電源供給部のスイッチングを制御し、前記二次側に位置する駆動部と、
前記駆動部から伝達された前記電源供給部のスイッチングを制御するスイッチング制御信号を前記電源供給部の前記二次側から前記一次側に伝達する伝達部と
を含み、
前記電源供給部は、少なくとも一つのLEDチャンネルブロックが有する第1及び第2LEDチャンネルの各々に前記駆動電源を供給し、
前記駆動部は、
前記少なくとも一つのLEDチャンネルと接地との間に連結され、前記少なくとも一つのLEDチャンネルに前記駆動電源が供給または遮断されるようにスイッチングするスイッチ部と、
前記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給された駆動電源の状態を検出して前記スイッチ部のスイッチングを制御し、検出された駆動電源の状態に応じて前記スイッチング制御信号を生成して前記伝達部に伝達する制御部と
を含み、
前記伝達部は、前記制御部からのスイッチング制御信号の入力を受ける第1巻線と、前記第1巻線と電気的に絶縁され、前記第1巻線に入力されたスイッチング制御信号の誘起を受けて前記電源供給部に伝達する第2巻線とを有するパルストランスフォーマであることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項10】
前記制御部は、
検出された駆動電源の状態に応じて設定される電流を生成する電流生成部と、
前記電流生成部によって生成された電流に応じて周期が設定されるクロック信号を生成するクロック生成部と、
前記電流生成部によって生成された電流に応じて、前記クロック生成部によって生成されたクロック信号のデッドタイムを生成するデッドタイム生成部と、
前記デッドタイム生成部によってデッドタイムが生成されたクロック信号を前記電源供給部のスイッチング制御用に加工して前記伝達部に伝達するゲート駆動部と、
検出された駆動電源の状態に応じて前記スイッチ部のスイッチングを制御して前記少なくとも一つのLEDチャンネルの輝度を制御するディミング部と、
検出された駆動電源の状態が予め設定された非定常動作に該当する場合、前記ゲート駆動部の動作を遮断する保護部と
を含むことを特徴とする請求項に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項11】
前記ディミング部は、
前記スイッチ部をスイッチングオン及びオフするPWM(Pulse Width Modulation)信号がハイ信号である場合、検出された駆動電源の状態を検出信号として受けて前記電流生成部に伝達される電流制御信号を演算する演算部と、
前記PWM信号がロー信号である場合、前記検出信号の電圧レベルを予め設定された電圧レベルに制御するバッファ部と
を含むことを特徴とする請求項10に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項12】
前記電源供給部からの駆動電源を整流し、前記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給する整流部をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項13】
前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に供給される前記駆動電源の電流平衡を維持する少なくとも一つの電流平衡ユニットを有する電流平衡部をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項14】
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を電荷平衡原理によって維持する電流平衡用キャパシタと、
前記第1LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第1及び第2ダイオードと、
前記第2LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第3及び第4ダイオードと、
前記第1及び第2ダイオードと並列連結されて前記第1LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第3及び第4ダイオードと並列連結されて前記第2LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項9に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項15】
前記電源供給部は、
商用電源を整流及び平滑する整流平滑部と、
前記整流平滑部からの整流された電源の電圧及び電流の位相差を調整する力率補正部と、
前記スイッチング制御信号に応じて前記力率補正部によって力率補正された電源をスイッチングするスイッチング部と、
前記スイッチング部からスイッチングされた電源の入力を受ける少なくとも一つの一次巻線と、前記少なくとも一つの一次巻線と電気的に絶縁され、予め設定された巻線比を形成して前記少なくとも一つの一次巻線から電源の誘起を受ける少なくとも一つの二次巻線と、を有するトランスフォーマと
を含むことを特徴とする請求項14に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項16】
前記トランスフォーマは、複数のLEDチャンネルブロック夫々に連結され、該当するLEDチャンネルブロックに駆動電源を供給する複数の二次巻線を含み、
記複数の二次巻線からの駆動電源を、該当するLEDチャンネルブロックの第1LEDチャンネル及び第2LEDチャンネルに電流平衡を維持して供給する流平衡ユニットを複数個含む電流平衡部を備えることを特徴とする請求項15に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項17】
前記トランスフォーマは、前記複数の二次巻線に夫々一対一対応する複数の一次巻線を含むことを特徴とする請求項16に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項18】
前記電源供給部は、少なくとも一つのLEDチャンネルブロックが有する前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に前記駆動電源を供給し、
前記電源供給部は、
商用電源を整流及び平滑する整流平滑部と、
前記整流平滑部からの整流された電源の電圧及び電流の位相差を調整する力率補正部と、
前記スイッチング制御信号に応じて前記力率補正部によって力率補正された電源をスイッチングするスイッチング部と、
前記スイッチング部からスイッチングされた電源の入力を受ける少なくとも一つの一次巻線と、前記少なくとも一つの一次巻線と電気的に絶縁され、予め設定された巻線比を形成して前記少なくとも一つの一次巻線から電源の誘起を受ける少なくとも一つの二次巻線と、を有するトランスフォーマと、
前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に供給される前記駆動電源の電流平衡を維持する少なくとも一つの電流平衡ユニットを有する電流平衡部と
を含むことを特徴とする請求項9、11及び12の何れか1項に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項19】
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記二次巻線の一端に連結され、第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を電荷平衡原理によって維持する電流平衡用キャパシタと、
前記二次巻線の他端と前記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、
前記電流平衡用キャパシタと前記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、
前記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項20】
前記二次巻線はセンタータップを中心に予め設定された巻線数に分割され、
前記第1LEDチャンネルと前記第2LEDチャンネルは直列連結され、
前記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、
前記二次巻線のセンタータップに連結され、前記第1及び第2LEDチャンネルの連結点に連結されて、前記第1及び第2LEDチャンネルの各々に伝達される駆動電源同士の電流平衡を維持する電流平衡用キャパシタと、
前記二次巻線の一端と前記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、
前記二次巻線の他端と前記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、
前記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、
前記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと
を含むことを特徴とする請求項18に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項21】
前記トランスフォーマは、複数のLEDチャンネルブロック夫々に連結され、該当するLEDチャンネルブロックに駆動電源を供給する複数の二次巻線を含み、
前記電流平衡部は、前記複数の二次巻線からの駆動電源を、該当するLEDチャンネルブロックの第1LEDチャンネル及び第2LEDチャンネルに電流平衡を維持して供給する前記電流平衡ユニットを複数個含むことを特徴とする請求項19または20に記載の発光ダイオード駆動装置。
【請求項22】
前記トランスフォーマは、前記複数の二次巻線に夫々一対一対応する複数の一次巻線を含むことを特徴とする請求項21に記載の発光ダイオード駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源を駆動電源に変換して発光ダイオードを駆動することができる発光ダイオード駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ産業は陰極線管(Cathode Ray Tube;CRT)を主に用いるディスプレイ装置から、高解像度と大画面化などのユーザーの要求を反映したフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display;FPD)装置に代替されている傾向にある。
【0003】
特に、大型ディスプレイ装置の場合、軽薄短小化の利点によって液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)装置が急進的な成長傾向を示しており、価格と市場性の側面において今後主導的な役割をすると期待されている。
【0004】
一方、既存の液晶ディスプレイ装置にはバックライト光源として冷陰極蛍光ランプ(Cold Cathode Fluorescent Lamp;CCFL)が主に用いられたが、最近は、電力消耗、寿命及び環境に優しいなどのような多様な長所により、漸次的に発光ダイオード(Light Emitting Diode;LED)が用いられる傾向にある。
【0005】
このような発光ダイオードを駆動するためには、商用交流電源を直流電源に変換する電源供給回路と発光ダイオードに直流電源の供給を制御する駆動回路とが一般的に採用される。電源供給回路は、絶縁機能を強化するためにトランスフォーマを基準に一次側と二次側とに区分することができるが、一次側は商用交流電源を整流及び平滑して電源をスイッチングする回路で構成され、二次側はトランスフォーマによって変圧された電源を整流し負荷への供給を制御する回路で構成される。即ち、一般的に一次側には電源スイッチング制御回路が形成され、二次側には上述した駆動回路が形成されるが、電源のスイッチングを円滑に制御するためには、発光ダイオードに供給される電源状態のフィードバックを受け、これを基にスイッチングを制御しなければならず、このために絶縁機能を備えてフィードバック電流を伝達する複数のフォトカプラー(photo coupler)が主に用いられるが、フォトカプラーは光素子であるため、信号伝達特性がフォトン(Photon)、使用時間及び接合(Junction)温度に依存されて回路設計が容易でなくなり、フォトカプラーの採用によって製造コストが上昇するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、電源供給回路において、一次側と絶縁された二次側に発光ダイオード制御機能と電源スイッチング制御機能とを統合して形成することで、一次側の電源スイッチングを制御する発光ダイオード駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を果たすために、本発明の一つの技術的な側面によると、電気的に絶縁された一次側と二次側とを有し、一次側で入力された電源をスイッチングし、二次側でスイッチングされた電源を予め設定された電圧レベルを有する駆動電源に変換し、上記駆動電源を少なくとも一つのLED(Light Emitting Diode)チャンネルに供給する電源供給部と、上記電源供給部からの上記少なくとも一つのLEDチャンネルへの上記駆動電源の供給及び遮断を制御して上記少なくとも一つのLEDチャンネルを駆動し、上記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給される上記駆動電源の状態に応じて上記電源供給部のスイッチングを制御する駆動部と、上記駆動部から伝達された上記電源供給部のスイッチングを制御するスイッチング制御信号を上記電源供給部の二次側から一次側に伝達する伝達部と、を含むことを特徴とする発光ダイオード駆動装置が提供される。
【0008】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記駆動部は、上記少なくとも一つのLEDチャンネルと接地との間に連結され、上記少なくとも一つのLEDチャンネルに上記駆動電源が供給または遮断されるようにスイッチングするスイッチ部と、上記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給された駆動電源の状態を検出して上記スイッチ部のスイッチングを制御し、検出された駆動電源の状態に応じて上記スイッチング制御信号を生成して上記伝達部に伝達する制御部と、を含むことができる。
【0009】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記制御部は、検出された駆動電源の状態に応じて設定される電流を生成する電流生成部と、上記電流生成部によって生成された電流に応じて周期が設定されるクロック信号を生成するクロック生成部と、上記電流生成部によって生成された電流に応じて上記クロック生成部によって生成されたクロック信号のデッドタイムを生成するデッドタイム生成部と、上記デッドタイム生成部によってデッドタイムが生成されたクロック信号を上記電源供給部のスイッチング制御用に加工して上記伝達部に伝達するゲート駆動部と、検出された駆動電源の状態に応じて上記スイッチ部のスイッチングを制御して上記少なくとも一つのLEDチャンネルの輝度を制御するディミング部と、検出された駆動電源の状態が予め設定された非定常動作に該当する場合、上記ゲート駆動部の動作を遮断する保護部と、を含むことができる。
【0010】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記ディミング部は、上記スイッチ部をスイッチングオン及びオフするPWM(Pulse Width Modulation)信号がハイ信号である場合、検出された駆動電源の状態を検出信号として受けて上記電流生成部に伝達される電流制御信号を演算する演算部と、上記PWM信号がロー信号である場合、上記検出信号の電圧レベルを予め設定された電圧レベルに制御するバッファ部と、を含むことができる。
【0011】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記伝達部は、上記ゲート駆動部からのスイッチング制御信号の入力を受ける第1巻線と、上記第1巻線と電気的に絶縁され、上記第1巻線に入力されたスイッチング制御信号の誘起を受けて上記電源供給部に伝達する第2巻線とを有するパルストランスフォーマであることができる。
【0012】
本発明の一つの技術的な側面によると、本発明の駆動装置は、上記電源供給部からの駆動電源を整流し、上記少なくとも一つのLEDチャンネルに供給する整流部をさらに含むことができる。
【0013】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記電源供給部は、第1及び第2LEDチャンネルを有する少なくとも一つのLEDチャンネルブロックの上記第1及び第2LEDチャンネルに夫々上記駆動電源を供給することができる。
【0014】
本発明の一つの技術的な側面によると、本発明の駆動装置は、上記第1及び第2LEDチャンネルに夫々供給される上記駆動電源の電流平衡を維持する少なくとも一つの電流平衡ユニットを有する電流平衡部をさらに含むことができる。
【0015】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、電荷平衡原理によって上記第1及び第2LEDチャンネルに夫々伝達される駆動電源間の電流平衡を維持する電流平衡用キャパシタと、上記第1LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第1及び第2ダイオードと、上記第2LEDチャンネルと接地との間に互いに直列連結されて駆動電源を整流する第3及び第4ダイオードと、上記第1及び第2ダイオードと並列連結されて上記第1LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、上記第3及び第4ダイオードと並列連結されて上記第2LEDチャンネルに供給される駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタとを含むか、または、電荷平衡原理によって上記二次巻線の一端に連結され、第1及び第2LEDチャンネルに夫々伝達される駆動電源間の電流平衡を維持する電流平衡用キャパシタと、上記二次巻線の他端と上記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、上記電流平衡用キャパシタと上記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、上記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、上記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタとを含むか、または、上記二次巻線はセンタータップを中心に予め設定された巻線数に分割され、上記第1LEDチャンネルと上記第2LEDチャンネルは直列連結され、上記少なくとも一つの電流平衡ユニットは、上記二次巻線のセンタータップに連結され、上記第1及び第2LEDチャンネルの連結点に連結されて、上記第1及び第2LEDチャンネルに夫々伝達される駆動電源間の電流平衡を維持する電流平衡用キャパシタと、上記二次巻線の一端と上記第1LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第1ダイオードと、上記二次巻線の他端と上記第2LEDチャンネルとの間に連結されて駆動電源を整流する第2ダイオードと、上記第1LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第1安定化キャパシタと、上記第2LEDチャンネルと並列連結されて駆動電源を安定化させる第2安定化キャパシタと、を含むことができる。
【0016】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記電源供給部は、商用電源を整流及び平滑する整流平滑部と、上記整流平滑部からの整流された電源の電圧及び電流の位相差を調整する力率補正部と、上記スイッチング制御信号に応じて上記力率補正部によって力率補正された電源をスイッチングするスイッチング部と、上記スイッチング部からスイッチングされた電源の入力を受ける少なくとも一つの一次巻線と、上記少なくとも一つの一次巻線と電気的に絶縁され、予め設定された巻線比を形成して上記少なくとも一つの一次巻線から電源の誘起を受ける少なくとも一つの二次巻線と、を有するトランスフォーマとを含むことができる。
【0017】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記トランスフォーマは、複数のLEDチャンネルブロック夫々に連結され、該当するLEDチャンネルブロックに駆動電源を供給する複数の二次巻線を含み、上記電流平衡部は、上記複数の二次巻線からの駆動電源を該当するLEDチャンネルブロックの第1LEDチャンネル及び第2LEDチャンネルに電流平衡を維持して供給する上記電流平衡ユニットを複数個含むことができる。
【0018】
本発明の一つの技術的な側面によると、上記トランスフォーマは、上記複数の二次巻線に夫々一対一対応する複数の一次巻線を含むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、二次側に発光ダイオード制御機能と電源スイッチング制御機能とを統合形成して一次側の電源スイッチングを制御することにより、製造コストを低減した回路設計が容易であり、電流上昇の遅延を防止して電流のスパイク成分を抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の発光ダイオード駆動装置の第1実施例の概略的な構成図である。
図2】本発明の発光ダイオード駆動装置の第2実施例の概略的な構成図である。
図3】本発明の発光ダイオード駆動装置の第3実施例の概略的な構成図である。
図4】本発明の発光ダイオード駆動装置の第4実施例の概略的な構成図である。
図5】(a)は本発明の発光ダイオード駆動装置に採用されるスイッチング部の実施例の概略的な構成図であり、(b)は本発明の発光ダイオード駆動装置に採用されるスイッチング部の実施例の概略的な構成図であり、(c)は本発明の発光ダイオード駆動装置に採用されるスイッチング部の実施例の概略的な構成図である。
図6】本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される制御部の概略的な構成図である。
図7】本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される制御部の一部拡大図である。
図8a】一般的な発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフである。
図8b】本発明の発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフである。
図9a】一般的な発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフである。
図9b】本発明の発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフである。
図10】本発明の発光ダイオード駆動装置の主要構成の信号波形グラフである。
図11a】本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される電流平衡部の実施例の概略的な構成図である。
図11b】本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される電流平衡部の実施例の概略的な構成図である。
図12a】本発明の発光ダイオード駆動装置の電流平衡部の動作を示す電流の流れ図である。
図12b】本発明の発光ダイオード駆動装置の電流平衡部の動作を示す電流の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の発光ダイオード駆動装置の第1実施例の概略的な構成図である。
【0023】
図1を参照すると、本発明の第1実施例による発光ダイオード駆動装置100は、電源供給部110と、駆動部120と、伝達部130とを含むことができ、整流部140をさらに含むことができる。
【0024】
電源供給部110は、商用交流電源ACの入力を受けてこれを整流及び平滑する整流平滑部111と、整流平滑部111によって整流された電源の電圧及び電流間の位相差を調整して力率を改善する力率補正部112と、力率補正部112によって力率補正された電源をスイッチングするスイッチング部113と、スイッチング部113によってスイッチングされた電源の電圧レベルを可変する変圧部114と、を含むことができる。図示していないが、電磁気干渉(EMI)を除去するために、EMIフィルターがさらに含まれることができる。
【0025】
スイッチング部113は、力率補正部112によって力率補正された電源を交互にスイッチングする二つのスイッチが直列連結されて漏洩インダクタンスLlkgと共振キャパシタCとを有するLLC共振インバータで構成されることができる。二つのスイッチは、50:50のデューティ比を有し、相補的にオン/オフされるようにする。なお、図5(a)〜図5(c)に図示されたように、本発明の第1実施例による発光ダイオード駆動装置100に採用されるスイッチング部113の実施例は、ハーフブリッジインバータ(図5(a))、フルブリッジインバータ(図5(b))またはプッシュフルインバータ(図5(c))などで構成されることができる。
【0026】
変圧部114は、少なくとも一つの一次巻線Npと少なくとも一つの二次巻線Nsとを備えることができ、一次巻線Npはスイッチング部113によってスイッチングされた電源の入力を受け、二次巻線Nsは一次巻線Npと電気的に絶縁され、一次巻線Npと予め設定された巻線比に応じて一次巻線Npに入力された電源の誘起を受けて電圧レベルを変圧することができる。変圧された電源は複数の発光ダイオードが直列連結された少なくとも一つの発光ダイオードチャンネルLEDに伝達されることができる。
【0027】
駆動部120は、スイッチ部121と制御部122とを含むことができる。
【0028】
スイッチ部121は発光ダイオードチャンネルLEDに連結され、ディミング信号に応じてターンオンまたはターンオフして、発光ダイオードチャンネルLEDに駆動電源が供給または遮断されるようにする。
【0029】
制御部122は発光ダイオードチャンネルLEDに供給された電源の状態に応じてスイッチ部121のターンオン及びターンオフを制御し、スイッチング部113のスイッチングを制御することで、発光ダイオードチャンネルLEDに供給される電源の電圧レベルまたは電流レベルを制御することができる。
【0030】
伝達部130は制御部122からのスイッチング制御信号を磁気誘導方式でスイッチング部113に伝達するものであり、このために、伝達部130は第1巻線N1と第2巻線N2とを備えたパルストランスフォーマを含むことができる。第1巻線N1と第2巻線N2とは互いに電気的に絶縁されており、第1巻線N1は制御部122からのスイッチング制御信号の伝達を受け、第2巻線N2は電気的に絶縁された第1巻線N1から磁気的に誘導されたスイッチング制御信号Sをスイッチング部113に伝達することができる。
【0031】
整流部140は、キャパシタCb1と、第1〜第4ダイオードD1〜D4と、安定化キャパシタCo1とを含むことができ、変圧部114の二次巻線Nsからの電源を整流及び安定化して発光ダイオードチャンネルLEDに駆動電源を供給することができる。図示されたように、キャパシタCb1の一端は二次巻線Nsの一端に連結され、第1及び第2ダイオードD1、D2は互いに直列連結されており、キャパシタCb1の他端は第1及び第2ダイオードD1、D2の連結点に連結されることができる。第3及び第4ダイオードD3、D4は互いに直列連結されて第1及び第2ダイオードD1、D2と並列連結され、二次巻線Nsの他端は第3及び第4ダイオードD3、D4の連結点に連結されており、安定化キャパシタCo1は第3及び第4ダイオードD3、D4と並列連結されることができる。
【0032】
上述したように、整流平滑部111、力率補正部112、スイッチング部113及び変圧部114の一次巻線Npと伝達部130の第2巻線N2は一次側に形成され、駆動部120、整流部140及び変圧部114の二次巻線Nsと伝達部130の第1巻線N1は二次側に形成されることができる。これにより、一次側のスイッチングを制御する機能と二次側の発光ダイオードを駆動する機能が二次側に統合されて形成されることができる。
【0033】
図2は本発明の発光ダイオード駆動装置の第2実施例の概略的な構成図である。
【0034】
図1とともに図2を参照すると、本発明の第2実施例による発光ダイオード駆動装置200は、少なくとも二つの発光ダイオードチャンネルLED1、LED2に駆動電源を供給することができる。これにより、本発明の第2実施例による発光ダイオード駆動装置200は図1の整流部140と異なって、電流平衡部240を含むことができる。
【0035】
電流平衡部240は、電流平衡用キャパシタCb1と、第1〜第4ダイオードD1〜D4と、第1及び第2安定化キャパシタCo1、Co2とを含むことができる。図示されたように、電流平衡用キャパシタCb1の一端は二次巻線Nsの一端に連結され、第1及び第2ダイオードD1、D2は互いに直列連結されており、キャパシタCb1の他端は第1及び第2ダイオードD1、D2の連結点に連結され、第2安定化キャパシタCo2は第1及び第2ダイオードD1、D2に並列連結されることができる。第3及び第4ダイオードD3、D4は互いに直列連結され、二次巻線Nsの他端は第3及び第4ダイオードD3、D4の連結点に連結されており、第1安定化キャパシタCo1は第3及び第4ダイオードD3、D4と並列連結されることができる。
【0036】
ここで、第1安定化キャパシタCo1の電圧(Vo1)と第2安定化キャパシタCo2の電圧(Vo2)との絶対値が同一となるので、電流平衡用キャパシタCb1の両端に印加される電圧は、ゼロになり、電荷平衡原理(The capacitor charge balance principle)により下記の式が成り立つ。
Icb1は、電流平衡用キャパシタCb1を流れる電流である。またIcb1は、第1発光ダイオードチャンネルLED1に流れる電流(Isec1)と第1発光ダイオードチャンネルLED1に流れる電流(Isec2)との差分で表すことができる。よって、Isec1とIsec2とは下記の関係を満たす。
そして、本実施形態における二つのスイッチは、50:50のデューティ比を有するので、一周期の間の電流は、Isec1=Isec2となる。つまり、電流平衡用キャパシタCb1の電荷平衡が成り立つように構成されていることにより、第1発光ダイオードチャンネルLED1と第2発光ダイオードチャンネルLED2とに供給される駆動電源間の電流平衡を維持することができる。これについての詳細な説明は後述する図12a及び図12bを参照してより詳細に説明する。
【0037】
それ以外の整流平滑部211、力率補正部212、スイッチング部213、変圧部214を有する電源供給部210と、スイッチ部221、制御部222を有する駆動部220と、伝達部230の構成及び機能は、図1での説明と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0038】
図3は本発明の発光ダイオード駆動装置の第3実施例の概略的な構成図である。
【0039】
図3を参照すると、本発明の第3実施例による発光ダイオード駆動装置300は、変圧部314が複数の二次巻線NS1〜NSNを含み、これに応じて電流平衡部340は複数の電流平衡ユニット341〜34Nを含み、複数の電流平衡ユニット341〜34Nは夫々複数の二次巻線NS1〜NSNに対応して電気的に連結されることができる。複数の電流平衡ユニット341〜34N夫々は、図2に図示された電流平衡部240の構成と同様であることができ、これについての詳細な説明は省略する。さらに、共振キャパシタCの位置は図1及び図2と異なることがあるがLLC共振には影響がないため、漏洩インダクタンスLlkgの記載は省略した。
【0040】
それ以外の整流平滑部311、力率補正部312、スイッチング部313を有する電源供給部310と、スイッチ部321、制御部322を有する駆動部320と、伝達部330の構成及び機能は、図1での説明と同様であるため詳細な説明は省略する。
【0041】
図4は本発明の発光ダイオード駆動装置の第4実施例の概略的な構成図である。
【0042】
図4を参照すると、本発明の第4実施例による発光ダイオード駆動装置400は、変圧部414が複数の一次巻線NP1〜NPNと複数の二次巻線NS1〜NSNを含み、複数の一次巻線NP1〜NPNと複数の二次巻線NS1〜NSNは夫々互いに一対一対応することができる。電流平衡部440は複数の電流平衡ユニット441〜44Nを含み、複数の電流平衡ユニット441〜44Nは夫々複数の二次巻線NS1〜NSNに対応して電気的に連結されることができる。複数の電流平衡ユニット441〜44N夫々は、図2に図示された電流平衡部240の構成と同様であることができ、これについての詳細な説明は省略する。
【0043】
それ以外の整流平滑部411、力率補正部412、スイッチング部413を有する電源供給部410と、スイッチ部421、制御部422を有する駆動部420と、伝達部430の構成及び機能は、図1での説明と同様であるため詳細な説明は省略する。なお、図1から4においては、電流平滑部は電源供給部の外に図示されているが、電流平滑部は電源供給部に含まれる構成であってもよい。
【0044】
図6は本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される制御部の概略的な構成図であり、図7は本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される制御部の一部拡大図である。
【0045】
図6を参照すると、本発明の発光ダイオード駆動装置に採用された制御部は、図1図4に図示された本発明の実施例による発光ダイオード駆動装置100、200、300、400に共通的に採用されることができる。よって、図1の制御部122に基づいて説明する。
【0046】
制御部122は、電流生成部122aと、クロック生成部122bと、デッドタイム生成部122cと、ゲート駆動部122dと、ディミング部122eと、保護部122fとを含むことができる。
【0047】
電流生成部122aは発光ダイオードチャンネルLED1に供給された駆動電源の状態に応じて設定されるレベルを有する電流を生成し、クロック生成部122bは電流生成部122aによって生成された電流に応じて設定される周期を有するクロック信号を生成することができる。
【0048】
デッドタイム生成部122cは、電流生成部122aによって生成された電流レベルとクロック生成部122bによって生成されたクロック信号とを基にスイッチング部113のスイッチングを制御するためのデッドタイム(dead time)を生成し、ゲート駆動部122dは、外部からのPWM(pulse width modulation)信号を基に、デッドタイム生成部122cによって生成されたデッドタイムを有するスイッチング制御信号を生成する。これは伝達部130を介してスイッチング部113に伝達されることができる。
【0049】
ディミング部122eは、ゲート駆動部122dにも供給されるPWM信号または外部からのアナログディミング信号(ADIM)を基に、発光ダイオードチャンネルLED1に駆動電源が供給または遮断されるように制御するスイッチング信号SWを提供することができる。そのため、ディミング部122eには、発光ダイオードチャンネルLED1に供給された駆動電源が検出抵抗RSENによって検出されて抵抗R1、R2を介して第1及び第2フィードバック信号FB1、FB2として伝達されることができる。
【0050】
さらに、ディミング部122eには発光ダイオードチャンネルLED1に供給された駆動電源が抵抗R2及びRCネットワークを介してエラー信号EROとして伝達されることができる。上記エラー信号EROは電流生成部122aに伝達されて電流生成に関与することができる。
【0051】
保護部122fは発光ダイオードチャンネルLED1に供給された電源の電圧及び電流状態SLP、OLPに応じて異常動作の有無を判断し、異常動作と判断された場合は、電流生成部122a及びゲート駆動部122dの動作を停止させることができる。
【0052】
一方、図7を参照すると、ディミング部122eは演算部122e−1と、バッファ部122e−2とを含むことができ、演算部122e−1は、検出抵抗RSENによって検出された発光ダイオードチャンネルLED1に供給された駆動電源の電圧レベルVSENにより、発光ダイオードチャンネルLED1に供給された駆動電源のフィードバック信号FB1の入力を受けることができる。
【0053】
演算部122e−1は上述したフィードバック信号FB1のレベルに応じて周波数を可変し、PFM(Pulse Frequency Modulation)制御ができる。
【0054】
動作を説明すると、スイッチ部121のスイッチM1ターンオンされた状態の場合、演算部122e−1にフィードバック信号FB1が伝達されて電流生成部122aの電流RTの生成を制御することができる。この際、バッファ部122e−2のスイッチQ1はターンオフされて動作しない。
【0055】
一方、スイッチ部121のスイッチM1ターンオフされた状態の場合、バッファ部122e−2のスイッチQ1はターンオンされてエラー信号EROの電圧レベルをアナログディミング信号ADIMの電圧レベルに維持させることで、PWM信号がロー状態であってもアナログディミング信号ADIMによりエラー信号EROの電圧レベルをフィードバック信号FB1のレベルと同様に合わせることができる。

【0056】
図8a及び図9aは一般的な発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフであり、図8b及び図9bはこれに対比される本発明の発光ダイオード駆動装置の電気的特性を示すグラフである。
【0057】
一方、フィードバックレベル信号を伝達する時、演算部122e−1の外部抵抗とキャパシタ成分により、図8aの符号Aのように電流レベルが上昇する現象が発生する。しかし、本発明のディミング部122eでは、PWM信号がロー信号の場合にもエラー信号EROの電圧レベルをPWM信号のハイ信号の区間と同様に一定に維持し、PWM信号がローレベルであるディミングオフ状態からディミングオン状態となる場合にも、図8bのように発光ダイオードチャンネルLED1に流れる電流ILEDの上昇時間を短縮させることができる。
【0058】
LLC電源変換方式では、無負荷時にスイッチング制御信号Sが低周波数で動作して出力電圧のゲインを増加させる特性があるため、PWM信号がローであると出力電圧VOUTは増加するようになる。このような出力電圧の増加は、PWM信号がハイの場合、図9aの符号Bのように発光ダイオードチャンネルLED1に流れる電流(LED Current)が瞬間的に上昇するという問題点を招く。一方、本発明ではPWM信号がローの場合、スイッチング制御信号の出力をオフさせて出力電圧VOUTを維持し、図9bのように発光ダイオードチャンネルLED1に流れる電流(LED current)レベルを安定的に維持することができる。
【0059】
さらに、上述した制御部122が二次側に形成されるため、一般的に一次側に電源制御回路が形成されて二次側で発生された電源の状態を一次側に伝達するためのフォトカプラーの使用を排除することができる。
【0060】
図10は本発明の発光ダイオード駆動装置の主要構成の信号波形グラフである。
【0061】
図10を参照すると、符号(1)、(2)及び(3)のように正常動作で任意の異常動作信号が印加された場合、保護動作が容易になされることが分かる。即ち、符号(1)のように、スイッチ部121のスイッチM1ソースの電圧が一定電圧以下に落ちてOLP(Over LED Protection)電圧レベルがローとなるとSDTのキャパシタが充電され、充電された電圧レベルが0.7V程度の一定レベル以上となると保護機能が動作することが分かる。符号(2)では、発光ダイオードチャンネルがショートされる場合のようにSLP(Short LED Protection)スイッチM1のドレーン電圧が4V程度の一定電圧以上であると、直ちにラッチシャットダウン(latch−shutdown)され、スイッチM1のドレーン電圧が3V電圧以上であるとSDT(Shut−Down Time)用キャパシタが充電され、一定電圧以上となると保護機能が動作することが分かる。符号(3)では、一次側に過電流が発生した場合、OCP(Over Current Protection)電圧が2V程度の一定電圧レベル以上となるとスイッチング制御信号Sの出力が中止され、保護機能が動作することが分かる。
【0062】
一方、図11a及び図11bは本発明の発光ダイオード駆動装置に採用される電流平衡部の実施例の概略的な構成図である。
【0063】
図11aを参照すると、第1電流平衡ユニットは第1ダイオードD1と第2ダイオードD2とを備え、第1電流平衡キャパシタCb1は第1二次巻線NS1の一端と第2ダイオードD2のアノードとの間に電気的に直列連結される。また、第1ダイオードD1のアノードは第1二次巻線NS1の他端と電気的に連結され、第1ダイオードD1のカソードは第1安定化キャパシタCo1の一端と第1発光ダイオードチャンネルLED1の一端に電気的に連結され、第2ダイオードD2のアノードは第1電流平衡キャパシタCb1とともに第1安定化キャパシタCo1の他端と第1発光ダイオードチャンネルLED1の他端に電気的に連結され、第2ダイオードD2のカソードは第2安定化キャパシタCo2の一端と第2発光ダイオードチャンネルLED2の一端に電気的に連結され、第2安定化キャパシタCo2の他端と第2発光ダイオードチャンネルLED2の他端は第1二次巻線NS1の他端と電気的に連結されることができる。上記では第1電流平衡ユニットについてのみ説明したが、第2電流平衡キャパシタCb2と、第3及び第4ダイオードD3、D4と第3及び第4安定化キャパシタCo3、Co4を有する第2電流平衡ユニットも、上述した第1電流平衡ユニットと同一の構成を有することができ、このような電流平衡ユニットは複数個備えられることができる。
【0064】
図11bを参照すると、第1電流平衡ユニットの第1二次巻線NS1は分割巻線されてセンタータップを備え、第1電流平衡キャパシタCb1は第1二次巻線NS1のセンタータップと接地との間に直列連結されて、第1ダイオードD1及び第2ダイオードD2を備える。第1ダイオードD1のアノードは第1二次巻線NS1の一端と電気的に連結され、第1ダイオードD1のカソードは第1安定化キャパシタCo1の一端と第1発光ダイオードチャンネルLED1の一端に電気的に連結され、第2ダイオードD2のアノードは第1二次巻線NS1の他端と電気的に連結され、第2ダイオードD2のカソードは第2安定化キャパシタCo2の一端と第2発光ダイオードチャンネルLED2の一端に電気的に連結され、第1及び第2安定化キャパシタCo1、Co2の他端と上記第1及び第2発光ダイオードチャンネルLED1、LED2の他端は接地されることができる。同様に、上記では第1電流平衡ユニットについてのみ説明したが、第2電流平衡キャパシタCb2と、第3及び第4ダイオードD3、D4と第3及び第4安定化キャパシタCo3、Co4とを有する第2電流平衡ユニットも、上述した第1電流平衡ユニットと同一の構成を有することができ、このような電流平衡ユニットは複数個備えられることができる。
【0065】
図12a及び図12bは本発明の発光ダイオード駆動装置の電流平衡部の動作を示す電流の流れ図である。
【0066】
スイッチング部113のスイッチングに応じて一次巻線Nに流れる電流は順方向(図12a)及び逆方向(図12b)に交番して進行する。この際、第1及び第2二次巻線NS1、NS2と一次巻線Nの電磁気結合を均等にするために第1及び第2二次巻線NS1、NS2の巻線数を互いに同一にすると、順方向の場合、第1及び第2二次巻線NS1、NS2のポジティブ(positive)電源の電流Isec1_P、Isec2_Pは次の式1のように近似的に同一であることができる。
【0067】
[式1]
Isec1_P≒Isec2_P (P Positive)
【0068】
同様に、逆方向の場合、第1及び第2二次巻線NS1、NS2のネガティブ(negative)電源の電流ISsec1_N、Isec2_Nは次の式2のように近似的に同一であることができる。
【0069】
[式2]
Isec1_N≒Isec2_N (N Negative)
【0070】
この際、各整流器は一つの電流平衡キャパシタCb1、Cb2を備えることができ、図12a及び図12bに図示されたように、順方向と逆方向の電流導通経路が形成され、電流平衡キャパシタCb1、Cb2の電荷平衡原理(Charge Balance Law)によって第1及び第3発光ダイオードチャンネルLED1、LED3と、第2及び第4発光ダイオードチャンネルLED2、LED4に供給される電源は、次の式3及び式4のように近似的に同一であることができる。
【0071】
[式3]
Isec1,2_P≒Isec1,2_N
【0072】
[式4]
Isec1_P≒Isec2_P≒Isec1_N≒Isec2_N
【0073】
即ち、第1から第4発光ダイオードチャンネルLED1〜LED4に供給される駆動電源の電流は一定に維持されることができる。
【0074】
上述した構成の多様な実施形態として、一つのトランスフォーマが巻線数が同一であるN個の二次巻線を備える場合、各二次巻線に対応して備えられるN個の電流平衡キャパシタの電荷平衡原理によって少なくとも2N個の発光ダイオードチャンネルに供給される駆動電源の電流平衡が維持され、各発光ダイオードチャンネルに一定の電流が流れることができる(ここで、Nは正の偶数)。
【0075】
上述したように、本発明によると、一般的に一次側に形成されるスイッチング制御回路と二次側に形成される発光ダイオード制御回路とを二次側に統合して形成することにより、フォトカプラーを用いることなく、製造コストを低減することができる。
【0076】
以上で説明した本発明は、上述の実施例及び添付の図面により限定されず、添付の請求範囲により限定され、本発明の構成は、本発明の技術的思想を外れない範囲内でその構成を多様に変更及び改造することができるということは、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば容易に分かるであろう。
【符号の説明】
【0077】
100、200、300、400 発光ダイオード駆動装置
110、210、310、410 電源供給部
111、211、311、411 整流平滑部
112、212、312、412 力率補正部
113、213、313、413 スイッチング部
120、220、320、420 駆動部
121、221、321、421 スイッチ部
122、222、322、422 制御部
130、230、330、430 伝達部
140 整流部
240、340、440 電流平衡部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9a
図9b
図11a
図11b
図12a
図12b
図10