(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガイド突部の一面と前記ガイド待受部の対向面とが互いに平行に傾斜することにより、前記非常時摺接部が構成されたことを特徴とする請求項2に記載のドアロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を
図1〜
図15に基づいて説明する。本実施形態のドアロック装置10は、
図1に全体が示されており、樹脂製ボディ11に複数の部品を組み付けた構成になっている。樹脂製ボディ11は、
図2に示すように上方から見ると、全体がL字形をなした樹脂ボディ本体90を備えている。その樹脂ボディ本体90は、外角部分を挟んで隣り合った両側面に第1と第2の部品収容部90A,90Bを有し、樹脂ボディ本体90のL字の短辺側に配置された第1部品収容部90Aの側面開口を塞ぐように第1樹脂カバー91が樹脂ボディ本体90に組み付けられる一方、樹脂ボディ本体90のL字の長辺側に配置された第2部品収容部90Bの側面開口を塞ぐように第2樹脂カバー92が樹脂ボディ本体90に組み付けられている。そして、これら第1と第2の樹脂カバー91,92と樹脂ボディ本体90とから樹脂製ボディ11が構成されている。
【0015】
なお、第1樹脂カバー91には、第2樹脂カバー92側に突出したサイド突壁91Aが備えられ、樹脂ボディ本体90に第2樹脂カバー92が先に取り付けられてから、その第2樹脂カバー92の縁部に外側から第1樹脂カバー91の縁部を重ね合わせた状態に組み付けられている。
【0016】
図1に示すように、第1樹脂カバー91の外面には、板金カバー93(本発明の「金属プレート」に相当する)が重ねた状態に固定されている。板金カバー93は、板金のプレス加工品であって、
図4に示すように、メイン板部81の一側縁部からサブ板部82を直角曲げした構造をなし、第1樹脂カバー91のうち第1部品収容部90Aの奥壁90Cと対向する部分の外面にメイン板部81が重ねられると共に、
図11に示すように、第1樹脂カバー91のうち第2樹脂カバー92と反対側の側面にサブ板部82が重ねられている。
【0017】
図1に示すように、第1樹脂カバー91のうちメイン板部81に覆われる部分にはラッチ機構収容凹部91Bが形成され、そのラッチ機構収容凹部91Bにラッチ機構10Rを構成する後述のラッチ13及びラチェット14(
図6参照)が収容されている。また、第1樹脂カバー91のうちラッチ機構収容凹部91Bの奥面には、水平方向に延びた溝本体12Aが形成され、メイン板部81のうち溝本体12Aと対向する部分には、水平溝12Bが形成されている。そして、これら溝本体12Aと水平溝12Bとからストライカ受容溝12が構成され、そのストライカ受容溝12の一端部がサイド突壁91Aに開放してストライカ受容口12Kになっている。
【0018】
図3に示すように、第1樹脂カバー91の内面には板金製の補強板94が重ねられ、その補強板94と板金カバー93との間が1対の金属製の回動支持ピン13J,14Jで連結されることで、板金カバー93と補強板94が第1樹脂カバー91に固定されている。また、
図6に示すように、一方の回動支持ピン13Jは、ストライカ受容溝12より上方に配置され、他方の回動支持ピン14Jは、ストライカ受容溝12より下方に配置されている。そして、上側の回動支持ピン13Jにラッチ13が回動可能に支持される一方、下側の回動支持ピン14Jにラチェット14が回動可能に支持されている。
【0019】
図3に示すように、第1樹脂カバー91の内面下端部からは、支持突部95が突出している。
図5に示すように、支持突部95は、第1樹脂カバー91から突出した第1円筒部95Aと、その第1円筒部95Aの先端を閉塞する先端壁95Bから突出した第2円筒部95Cとを備えている。また、第2円筒部95Cは、第1円筒部95Aの中心に対して下方に偏心した位置に配置されている。
【0020】
図4に示すように、樹脂ボディ本体90には、第1部品収容部90Aの奥壁90Cに回動支持筒96が突出形成されている。その回動支持筒96は、先端が開放した円筒状をなし、奥壁90Cのうち回動支持筒96に囲まれた部分の中心には、貫通孔96Aが形成されている。そして、第1樹脂カバー91を樹脂ボディ本体90に組み付けると、回動支持筒96に第2円筒部95Cが挿入された状態になり、貫通孔96Aに挿通したセルフタッピングスクリューである螺子N2を第2円筒部95Cに締め付けることで、第1樹脂カバー91が樹脂ボディ本体90に固定されると共に、第2円筒部95Cと回動支持筒96が一体になって本発明に係る支軸97が構成される。
【0021】
なお、
図3に示すように、前記した補強板94の上端部にも螺子孔94Nが形成され、第1樹脂カバー91を樹脂ボディ本体90に組み付けた状態で、第1部品収容部90Aの奥壁90Cに備えた図示しない貫通孔に通した螺子N1を螺子孔94Nに締め付けることによっても第1樹脂カバー91が樹脂ボディ本体90に固定されている。
【0022】
ドアロック装置10は、板金カバー93をドアの端部壁(図示せず)の内面に宛ってサブ板部82をドアの外装壁側に対向させる一方、第2樹脂カバー92をドアの内装壁側に対向させた状態でドア内部に配置される(
図2参照)。そして、ドアの端部壁に備えた貫通孔に通したボルトを板金カバー93の螺子孔N3(
図1参照)に締め付けることでドアロック装置10がドアに固定される。また、ドアロック装置10のストライカ受容溝12は、ドアに備えた図示しない切欠溝に重ね合わされる。そして、車両本体のドア枠の内面に備えたストライカ15(
図6参照)が、ドアを閉めた際に、ストライカ受容口12Kからストライカ受容溝12内に進入する。
【0023】
ストライカ15全体は、例えば断面円形の線材を屈曲させた門形構造をなし、その門形構造の1対の脚部がドア枠の内面から突出しかつ内外方向に並べられている。そして、ストライカ15の1対の脚部のうち外寄りに配置された一方の脚部に、次述するラッチ13が係合する。なお、
図6及び
図7には、ストライカ15のうちラッチ13と係合する部分のみが示されている。
【0024】
図6に示すように、ラッチ13は、互いに平行になった第1と第2の係止爪13A,13Bを有し、それら第1と第2の係止爪13A,13Bの間がストライカ受容部13Cになっている。そして、ラッチ13のうち第1と第2の係止爪13A,13B同士を連絡する部分を前記した回動支持ピン13Jが貫通している。
【0025】
また、ラッチ13は、樹脂製ボディ11との間に設けた図示しないトーションコイルバネによりアンラッチ方向(
図6の時計回り方向)に付勢されている。そして、ドアを開けた状態では、ラッチ13に備えたストッパ当接部13Dと樹脂製ボディ11に備えたストッパ11Xとの当接によりラッチ13がアンラッチ位置(
図6に示した位置)に位置決めされる。
【0026】
そのアンラッチ位置では、第1係止爪13Aがストライカ受容溝12の上方に退避しかつ、第2係止爪13Bがストライカ受容溝12を横切った状態になり、ストライカ受容部13Cの開口端がストライカ受容溝12のストライカ受容口12K側を向く。そして、ストライカ受容溝12に進入したストライカ15がストライカ受容部13C内に受容されると共に、ストライカ15が第2係止爪13Bを押してラッチ13がラッチ方向(
図6における反時計回り方向)に回動する。これにより、
図7に示すように、ストライカ受容溝12のうちストライカ15よりストライカ受容口12K側が第1係止爪13Aによって塞がれて、ラッチ13がストライカ15と噛み合った状態になる。
【0027】
ラチェット14は、前述の如く回動支持ピン14Jによって回動可能に支持され、ラッチ回動規制片14Aとストッパ片14Bとを相反する方向に突出させて備えている。また、ラチェット14は、トーションコイルバネ14Sによって
図6における反時計回り方向に付勢されている。これにより、ラチェット14は、通常は、ストッパ片14Bが樹脂製ボディ11に備えたラチェットストッパ11Dに当接した原点位置に位置決めされている。この原点位置で、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉し、ラチェット14が原点位置から時計回りに回動してリリース位置に至ると、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aとラッチ13の第1係止爪13A及び第2係止爪13Bとが干渉しなくなる。なお、
図3に示すように、トーションコイルバネ14Sのコイル部分の内側には、前述した支持突部95における第1円筒部95Aが貫通している。
【0028】
ドアを開いた状態から閉じると、以下のようにしてラチェット14がラッチ13に係合する。即ち、ドアが閉じられると、ストライカ15に押されて回動するラッチ13の第2係止爪13Bと第1係止爪13Aとが順次、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aを押し下げて通過する。そして、ドアがドア枠との間の防音部材を最大限に押し潰した位置に至ると、ラッチ13は、ラチェット14のラッチ回動規制片14Aから第2係止爪13Bが僅かに離間したオーバーストローク位置に至り、これにより、ラチェット14は原点位置に戻る。そして、防音部材の弾発力でドアが押し戻されると、ラッチ13の第1係止爪13Aに対し、ストライカ受容部13Cの反対側からラチェット14のラッチ回動規制片14Aが突き当たり、ラッチ13がラッチ位置に位置決めされる。これにより、ラッチ13のラッチ解除方向への回動が規制されたフルラッチ状態になり、ドアが全閉状態に保持される。
【0029】
ラチェット14によるラッチ13の回動規制は、ドアの外装面に備えた図示しないアウトサイドドアハンドルと、ドアの内装面(車内面)に備えた図示しないインサイドドアハンドルとの何れかの操作によって解除することができる。それらアウトサイドドアハンドル及びインサイドドアハンドルからの操作力をラチェット14に伝達するために、
図8(A)に示したリフトレバー16が、ラチェット14に一体的に回動するように取り付けられている。
【0030】
具体的には、リフトレバー16は、
図3に示すように、回動支持ピン14Jのうち第1樹脂カバー91と補強板94とに挟まれた部分に回動可能に軸支されている。また、
図8(A)に示すように、リフトレバー16には、回動支持ピン14Jからストライカ受容溝12(
図6参照)のストライカ受容口12K側(以下、これを「前側」といい、その反対側を「後側」という)に向かって突出した第1傾動アーム16Aと、回動支持ピン14Jから後側の斜め下方に向かって突出した第2傾動アーム16Cとが備えられている。そして、第2傾動アーム16Cの上縁部から回動支持ピン14Jの軸方向に直角曲げされた係合突片16Kがラッチ14に備えた係合孔14C(
図6参照)に凹凸係合して、リフトレバー16がラチェット14と一体的に回動する。また、第1傾動アーム16Aには、その前端部を回動支持ピン14Jの軸方向に折り曲げてなる先端当接部16Bが設けられると共に、第2傾動アーム16Cには、その後端部を回動支持ピン14Jの軸方向に折り曲げかつ、第2傾動アーム16Cより前側斜め下方に突出させた突当突片16Dが備えられている。
【0031】
回動支持ピン14Jより後側の斜め下方位置には、前述した支軸97が配置され、その支軸97にアウトサイドオープンレバー17が回動可能に支持されている。アウトサイドオープンレバー17は、本発明の「オープンレバー」に相当し、支軸97から前側に突出した支持アーム17Aと、支軸97から後側に突出した操作アーム17Dとを備えている。そして、アウトサイドオープンレバー17は、図示しないストッパによって回動範囲を規制され、
図8(A)及び
図8(B)に示された原点位置と、その原点位置より所定角だけ同図の時計回り方向に回動した作動位置(
図9(A)及び
図9(B)参照)との間を回動する。また、アウトサイドオープンレバー17が原点位置に配置されると、支持アーム17Aは前下がりに傾斜した姿勢になり(
図8(A)参照)、アウトサイドオープンレバー17が作動位置になると支持アーム17Aが水平姿勢に近づき、わずかに前下がりに傾斜した姿勢になる(
図9(A)参照)。さらに、アウトサイドオープンレバー17は、
図3、
図4及び
図8(A)に示したトーションコイルバネ18によって、原点位置側に付勢されている。
【0032】
支持アーム17Aの前端部には、係合孔17Bが支軸97の軸方向と平行な方向に貫通形成されている。その係合孔17Bは、円形孔の内周面における180度離れた2位置から互いに接近する側に1対の山形突部17T,17Tを突出させた形状になっている。
【0033】
支持アーム17Aの前端の下縁部からは、受圧片17Cが支軸97の軸方向に折り曲げられて突出している。そして、インサイドドアハンドルを操作したときに受圧片17Cに後述するインサイドオープンレバー20が下方から当接してアウトサイドオープンレバー17を原点位置から作動位置へと回動させる。
【0034】
図3に示すように、操作アーム17Dにおける後端の上縁部からは、係合部17Eが支軸97の軸方向に直角曲げされてメイン板部81側に突出している。係合部17Eには、貫通孔が形成され、その貫通孔に樹脂リング17Vが装着されている。また、その樹脂リング17Vの内側に図示しないロッドの一端部が接続され、そのロッドの他端部がアウトサイドドアハンドルに接続されている。そして、アウトサイドドアハンドルが操作されると、係合部17Eが下方に押されてアウトサイドオープンレバー17が原点位置から作動位置へと回動する。
【0035】
図8(A)に示すように、アウトサイドオープンレバー17の係合孔17Bには、オープンリンク19の係合突片19Aが回動可能に係合している。オープンリンク19は、全体が上下方向に延びた形状をなし、下端部から支軸97の軸方向に上記した係合突片19Aが突出している。そして、オープンリンク19は、係合孔17Bにおける前記した1対の山形突部17T,17Tによって回動範囲が規制され、前側に倒れたアンロック位置と、後側に倒れたロック位置との間を回動する。また、オープンリンク19とアウトサイドオープンレバー17との間には、トーションコイルバネ29(
図8(B),
図9(A)及び
図9(B)では省略)が設けられ、このトーションコイルバネ29によってオープンリンク19は、アンロック位置側に付勢されている。
【0036】
オープンリンク19の上縁部からは、押上突片19Cが支軸97の軸方向に折り曲げて突出している。そして、オープンリンク19がアンロック位置に配置されると、
図8(B)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16における先端当接部16Bの下方に位置し、この状態でアウトサイドオープンレバー17が原点位置から作動位置に回動すると、
図9(B)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16の先端当接部16Bを押し上げる。これによりリフトレバー16がラチェット14(
図7参照)と共に原点位置からリリース位置へと回動し、ラチェット14とラッチ13との係合が解除されて、ドアが開かれる。
【0037】
一方、オープンリンク19がロック位置に配置されると、
図8(A)に示すように、押上突片19Cはリフトレバー16における先端当接部16Bより回動支持ピン14J側にずれる。よって、この状態でアウトサイドオープンレバー17が原点位置から作動位置に回動しても、
図9(A)に示すように、押上突片19Cがリフトレバー16の先端当接部16Bを押し上げることがなくなる。即ち、オープンリンク19がロック位置に配置されたときには、アウトサイドドアハンドルを操作してもドアを開くことができないロック状態になる。
【0038】
オープンリンク19の下端寄り位置からは下端アーム19Fが前方に突出していて、その下端アーム19Fの下縁部から、ロック解除片19Bが支軸97の軸方向に折り曲げられかつ前方に突出している。そして、このロック解除片19Bを、後述するアクティブレバー25が上方に押し上げることで、オープンリンク19がアンロック位置からロック位置に切り替えられる。
【0039】
なお、オープンリンク19がロック位置に配置された状態でドアが閉められると、そのドアの閉塞過程でラチェット14と共に回動するリフトレバー16の突当突片16Dがオープンリンク19を後方から押圧してアンロック位置に移動させるようになっている。即ち、本実施形態のドアロック装置10には、ロック状態にしてドアを閉めると、そのロック状態が解消されるというキャンセル機能が備えられている。
【0040】
上記した樹脂ボディ本体90の第2部品収容部90Bには、
図10に示したインサイドオープンレバー20、アクティブレバー25、連結バー30、中継レバー31等が収容されている。なお、以下、各部品の説明において、第2樹脂カバー92と対向する面(
図10の紙面の表側を向いた面)をその部品の「外面」ということとし、その反対側の面をその部品の「内面」ということとする。
【0041】
インサイドオープンレバー20は、第2部品収容部90Bのうち
図10における右側下端寄り位置に配置された樹脂支軸20Jに回動可能に支持されている。樹脂支軸20Jは、第2部品収容部90Bの奥面と第2樹脂カバー92の奥面とから突出した軸体と筒体とを嵌合してなる。後述する樹脂支軸24J,25Jに関しても同様である。また、インサイドオープンレバー20には、樹脂支軸20Jから樹脂製ボディ11における横方向の中央側に向かって延びて先端が樹脂支軸20Jの軸方向に折り曲げられた押上当接部20Bと、押上当接部20Bから下方に向かって突出し、先端部がワイヤー係止部20Aになった連結突片20Cとが備えられている。また、ワイヤー係止部20Aに、ワイヤー(図示せず)を介してインサイドドアハンドルが接続されている。そして、インサイドドアハンドルの操作により、インサイドオープンレバー20が原点位置から作動位置まで回動し、その間、インサイドオープンレバー20の押上当接部20Bが前述したアウトサイドオープンレバー17の受圧片17Cを押し上げ、アウトサイドオープンレバー17も原点位置から作動位置まで回動する。このとき、オープンリンク19がアンロック位置に配置されていれば、前述したようにドアが開き、オープンリンク19がロック位置に配置されていれば、ドアは開かない。
【0042】
アクティブレバー25は、第2部品収容部90Bにおける上下と横の両方向の中央に位置した樹脂支軸25Jに回動可能に支持されている。また、アクティブレバー25は、樹脂支軸25Jから上方に張り出した第1扇形突片25Aと、樹脂支軸25Jから斜め左下方に張り出した扇形の第2扇形突片25Dと、樹脂支軸25Jから斜め右側に突出したアクティブ作用アーム25Cとを備えている。
【0043】
図10に示すように、アクティブ作用アーム25Cの先端部は、オープンリンク19におけるロック解除片19Bに下方から対向している。そして、アクティブレバー25がアンロック位置からロック位置に回動するときに、
図8(B)から
図8(A)の変化に示すように、アクティブ作用アーム25Cがロック解除片19Bを押し上げてオープンリンク19をアンロック位置からロック位置に移動する。
【0044】
図10に示すように、第2扇形突片25Dの下端部からはワイヤー結合片25Eが張り出している。そのワイヤー結合片25Eには、図示しないワイヤーを介してドアの内面に備えたロック操作部が接続されている。そして、ロック操作部を操作することで、アクティブレバー25をアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。
【0045】
アクティブレバー25は、ドアの内面のロック操作部以外にも車内の集中ロックや無線キーによってアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。そのために、
図10に示したモータ22が樹脂製ボディ11に取り付けられている。そのモータ22の回転出力軸にはウォームギヤ23が固定され、そのウォームギヤ23に噛合するウォームホイール24が、樹脂ボディ本体90に備えた樹脂支軸24Jに対して回転可能に支持されている。そして、ウォームホイール24に備えた1対の回転押圧突部24A(
図10では、一方の回転押圧突部24Aのみが示されている)と第1扇形突片25Aの内面に備えた図示しない凹凸部との係合により、モータ22の動力をアクティブレバー25に伝達して、アクティブレバー25を、ロック位置とアンロック位置とに切り替えることができる。
【0046】
なお、アクティブレバー25は、ドアに備えたキーシリンダによってもアンロック位置とロック位置とに切り替えることができる。そのキーシリンダに連結されるキー連結レバー32は、
図1に示すように、樹脂ボディ本体90の裏面側に配置され、その回動軸が樹脂ボディ本体90を貫通し、
図10に示すように第2部品収容部90B内に配置された中継レバー31に連結されている。また、中継レバー31とアクティブレバー25との間は、連結バー30によって連結されている。これにより、キーシリンダの操作によってもアクティブレバー25がアンロック位置とロック位置とに切り替えられる。
【0047】
さて、本実施形態のドアロック装置10は、車両の側突によりドアのラッチが解除されないようにするために、以下の構成を備えている。即ち、板金カバー93には、
図1及び
図11に示すように、メイン板部81とサブ板部82との角部を下方に延長して断面L字形の下端突部84が形成されている。そして、
図12に示すように下端突部84を構成するサブ板部82の下端部に、メイン板部81から離れる側の斜め下方に突出した規制部85が設けられ、その規制部85が
図13に示すようにアウトサイドオープンレバー17における係合部17Eの前側に隣接配置されている。
【0048】
また、
図8(A)に示すように、アウトサイドオープンレバー17のうち回動中心である支軸97より前側部分の上縁部には、ガイド突部17X(本発明に係る「ガイド部」及び「ガイド突部」に相当する)が設けられている。具体的には、ガイド突部17Xは、例えば、アウトサイドオープンレバー17の支持アーム17Aから上方に突出した突片を、係合部17Eと同じ側に直角曲げしてなり、支軸97に対して水平方向の前方に配置されている。また、ガイド突部17Xの上面は、本発明に係る非常時摺接部17Yになっていて、アウトサイドオープンレバー17が原点位置に配置された状態(
図8(A)の状態)で、前下がりに傾斜している。
【0049】
図3に示すように、第1樹脂カバー91には、上記したガイド突部17Xに対応させて、本発明に係るガイド待受部98Xが設けられている。ガイド待受部98Xは、第1樹脂カバー91の内面からアウトサイドオープンレバー17の回動軸方向に突出した片持ち梁状をなしている。また、
図14に示すように、ガイド待受部98Xは、ガイド突部17Xの回動領域R1より外側の領域で、原点位置のアウトサイドオープンレバー17におけるガイド突部17Xに対して水平方向の前方に配置されている。また、ガイド待受部98Xの下面は、本発明に係る非常時摺接部98Yになっていて、原点位置のアウトサイドオープンレバー17におけるガイド突部17Xの非常時摺接部17Yと平行に前下がりに傾斜している。さらには、ガイド待受部98Xの非常時摺接部98Yにおける上端位置P1から水平方向に延ばした線L1は、ガイド突部17Xの非常時摺接部17Yにおける上下方向の中間部を通過するように配置されている。
【0050】
本実施形態のドアロック装置10の構成に関する説明は以上である。次に、ドアロック装置10の作用効果について説明する。車内の集中ロックや、ドアの内面のロック操作部等によってドアロック装置10のロックを解除した状態にすると、前述したようにインサイドドアハンドル又はアウトサイドドアハンドルの操作により、アウトサイドオープンレバー17が
図8(B)に示した原点位置から
図9(B)に示した作動位置に回動して、アウトサイドオープンレバー17の前端部に連結されたオープンリンク19がリフトレバー16の前端部を押し上げ、そのリフトレバー16と共にラチェット14(
図6参照)が回動して、ラッチ機構10Rのラッチが解除される。
【0051】
さて、ドアロック装置10をアンロック状態にして走行中に側突を受けると、アウトサイドオープンレバー17の係合部17Eとアウトサイドドアハンドルとの間を連絡するロッドがドアの内装面側に押され、これに伴い、アウトサイドオープンレバー17もドアの内装面側に押されることがある。
【0052】
しかしながら、本実施形態のドアロック装置10では、側突によってアウトサイドオープンレバー17がドアの内装面側に押されても、アウトサイドオープンレバー17の係合部17Eが、ドアの端部壁に固定された板金カバー93の規制部85に当接してアウトサイドオープンレバー17の前方への移動を規制するので、従来のドアロック装置で問題になり得た車両の側突によるドアのラッチ解除が防がれる。しかも、本実施形態では、板金カバー93のメイン板部81とサブ板部82との角部を下方に延長して断面L字形の下端突部84を形成し、その下端突部84を構成するサブ板部82の一部を規制部85としたので、単にメイン板部81のみ又はサブ板部82のみを下方に延長してその下端部を規制部85としたものに比べて強度を高くすることができる。
【0053】
ここで、仮に、側突により規制部85がアウトサイドオープンレバー17に押されて変形した場合、
図15に示すように、支軸97が撓んでアウトサイドオープンレバー17が前方に水平移動する事態が生じ得る。しかしながら、そのような事態が生じても、アウトサイドオープンレバー17に備えたガイド突部17Xの非常時摺接部17Yが、樹脂製ボディ11に設けられたガイド待受部98Xの非常時摺接部98Yと面接触して摺接することで、アウトサイドオープンレバー17が原点位置から作動位置に向けて回動することを規制するようにガイドされ、オープンレバー17の前端部がオープンリンク19を押し上げてラッチ機構10Rによるラッチを解除するような事態を防ぐことができる。また、本実施形態では、これらガイド突部17X及びガイド待受部98Xが支軸97に対してドアの内装壁側に配置されているので、これらガイド部及びガイド待受部が支軸に対して車両の外側面側に配置された場合に比べて、側突されて仮に金属プレートが変形したり支軸が撓む事態が生じても、ガイド突部17X及びガイド待受部98Xの変形や破損を防ぐことができる。以上により、本実施形態のドアロック装置10では、側突によるドアのラッチ解除を防ぐことができる。
【0054】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、上記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0055】
(1)本発明の「ドア」として、例えば、サイドドアやバックドアに本発明を適用してもよい。
【0056】
(2)前記実施形態では、第1樹脂カバー91に形成された第2円筒部95Cと、樹脂ボディ本体90に突出形成された回動支持筒96とから本発明に係る「支軸」が構成されていたが、本発明に係る「支軸」は樹脂製に限定されるものではなく、例えば、アウトサイドオープンレバー17をドアの端部壁側から覆う板金カバーを備え、その板金カバーに金属製の支軸を設けた構成であってもよい。
【0057】
(3)前記実施形態では、ガイド待受部98Xが樹脂製ボディ11に形成されていたが、ガイド待受部が板金カバー93に形成された構成であってもよい。また、そのガイド待受部にアウトサイドオープンレバー17の一部(本発明の「ガイド部」に相当する)を摺接させることで、アウトサイドオープンレバー17が原点位置から作動位置に向けて回動することを規制する構成であってもよい。