特許第5743936号(P5743936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5743936
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】信号変換装置、交換機及び信号変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 29/14 20060101AFI20150611BHJP
   H04L 12/66 20060101ALI20150611BHJP
   H04L 29/06 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   H04L13/00 313
   H04L12/66 C
   H04L13/00 305B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-66076(P2012-66076)
(22)【出願日】2012年3月22日
(65)【公開番号】特開2013-198104(P2013-198104A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2013年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】303013763
【氏名又は名称】NECエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】塙田 将志
【審査官】 阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−128891(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/050964(WO,A1)
【文献】 特開2004−289486(JP,A)
【文献】 特開2004−040348(JP,A)
【文献】 特開2002−374309(JP,A)
【文献】 特開2009−088936(JP,A)
【文献】 特開2000−013506(JP,A)
【文献】 特開2001−352325(JP,A)
【文献】 特開2002−164894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 29
H04L 12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された第1の信号をIP(internet protocol)パケット信号に変換して信号変換手段及び外部ネットワークへ出力するパケット変換手段と、
前記IPパケット信号を、前記IPパケット信号の情報を含む第2の信号に変換して出力する前記信号変換手段と、
前記第2の信号から前記IPパケット信号を復元し、復元された前記IPパケット信号を出力するパケット復元手段と、
入力信号を前記第1の信号として前記パケット変換手段に転送するとともに、前記信号変換手段から入力された前記第2の信号を前記パケット復元手段に転送する回線交換手段と、
を備える交換機
【請求項2】
前記入力信号及び第1の信号はアナログ電話回線で伝送されるアナログ電話信号であり、
前記信号変換手段は前記IPパケット信号を前記アナログ電話回線で伝送可能な信号に変換するモデムであり、
前記回線交換手段は前記アナログ電話回線の交換回路である、
請求項1に記載された交換機。
【請求項3】
前記モデムは、DSL(digital subscriber line)モデムである、請求項2に記載された交換機
【請求項4】
前記第1の信号はISDN(integrated services digital network)回線で伝送される信号であり、
前記信号変換手段は前記IPパケット信号を前記ISDN回線で伝送可能な信号に変換するTA(ターミナルアダプタ)であり、
前記回線交換手段は前記ISDN回線の交換回路である、
請求項1に記載された交換機
【請求項5】
回線交換手段によって、入力信号を第1の信号としてパケット変換手段に転送し、
前記パケット変換手段によって、前記第1の信号をIP(internet protocol)パケット信号に変換して信号変換手段及び外部ネットワークへ出力し、
前記信号変換手段によって、前記IPパケット信号を前記IPパケット信号の情報を含む第2の信号に変換して出力し、
前記回線交換手段によって、前記第2の信号をパケット復元手段に転送し、
前記パケット復元手段によって、前記第2の信号から前記IPパケット信号を復元し、
復元された前記IPパケット信号を出力する、
交換機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は信号変換装置及びその信号変換装置を備える交換機並びに信号変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IP(internet protocol)プロトコルを用いた通信機器の普及に伴い、電話の音声をIP回線によって伝送するVoIP(voice over IP)システムが普及している。図6は、本発明に関連するVoIPシステム400の構成を示す図である。図6に示すVoIPシステム400においては、電話機401、402がそれぞれ接続された交換機403及び404が、VoIPネットワーク405を介して接続されている。VoIPネットワーク405は、例えばLAN(local area network)406、407及びWAN(wide area network)408を含んだIPプロトコルによるネットワークである。VoIPネットワーク405は、インターネットとは独立したIP専用線で構成される場合もある。
【0003】
交換機403及び404は、それぞれ音声IP化モジュール409及び410を備える。音声IP化モジュール409及び410は、それぞれ交換機403及び404において、音声信号をIPパケット化してVoIPネットワーク405に出力する。また、音声IP化モジュール409及び410は、VoIPネットワーク405から受信したIPパケットを交換機403または404で処理可能な信号形態に変換する。すなわち、音声IP化モジュール409及び410は、VoIPネットワーク405に対する交換機403または404のNIC(network interface card)である。
【0004】
IPパケットを用いたシステムにおいて、VoIPネットワーク405上の通信状態の解析のためにIPパケットを収集するための、ネットワーク機器のポートミラーリング機能が知られている。ポートミラーリング機能は、スイッチングハブやルータなどのネットワーク機器において、ネットワークを通過するパケットを監視する装置(パケットモニタリング装置)が接続されたポートにコピーする機能である。パケットモニタリング装置は、コピーされたパケットをネットワーク機器の当該ポートから受信して解析する。
【0005】
本発明に関連して、特許文献1は、分散して配置された音声モニタリングの対象となる機器のパケットを、IPルーティングを利用して指定された地点で監視するための構成を開示している。また、特許文献2は、ポートミラーリング機能を備えた構内交換装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−248192号公報
【特許文献2】特開2010−183235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているように、一般的には、IPパケットの監視のためにはIPネットワークの内部の機器にパケットモニタリング装置を接続することが必要となる。しかしながら、近年、IPネットワークの情報セキュリティの確保の観点から、IPネットワークの内部に通常使用しないネットワーク機器を接続することが制限される場合がある。特に、高いセキュリティを確保するためにIP専用線が用いられている場合には、IP専用線ネットワークの内部の機器へのパケットモニタリング装置の接続が制限される場合が多い。
【0008】
一方、パケットモニタリング装置の接続が認められる場合であっても、IPネットワークを構成するネットワーク機器はポートミラーリング機能を必ずしも備えているわけではない。また、VoIPネットワークには多数のネットワーク機器が接続されることにより、ポートミラーリング機能によりコピーされたパケットを外部のパケットモニタリング装置へ出力するためのポートの空きがネットワーク機器にない場合もある。このような場合にパケットモニタリング装置を接続するためには、ポートミラーリング機能を備えたネットワーク機器を回線上に新たに接続する必要がある。しかしながら、ネットワーク機器に空きポートがない状態でポートミラーリング機能を備えたネットワーク機器を接続するためには、使用中のIP回線を一時的に切断する必要があり、その際にパケット通信が一旦中断されてしまうという課題がある。
【0009】
このため、VoIPシステムにおいては、使用中のIP回線を切断することなく、また音声データが通過するIPネットワーク内の機器に外部機器を直接接続することなく音声IPパケットのモニタリングを可能とする技術が必要とされている。
【0010】
(発明の目的)
本発明の目的は、IPネットワークにおいて伝送されるIPパケットを、回線を切断することなく、かつIPネットワーク内部に機器を接続することなく監視することを可能とするための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の信号変換装置は、入力された第1の信号をパケット信号に変換して出力する第1の信号変換手段と、パケット信号を、パケット信号の情報を含む第2の信号に変換して出力する第2の信号変換手段と、を備える。
【0012】
本発明の信号変換方法は、入力された第1の信号をパケット信号に変換して出力し、パケット信号を、パケット信号の情報を含む第2の信号に変換して出力する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、回線を切断することなく、かつパケットネットワーク内部に機器を接続することなくパケットネットワークを伝送されるパケットを監視することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態のVoIPシステムの構成を示す図である。
図2】第1の実施形態のVoIPシステムの動作フローを示す図である。
図3】第1の実施形態の変形例で用いられるディジタル交換機の構成を示す図である。
図4】本発明の第2の実施形態のVoIPシステムの構成を示す図である。
図5】本発明の第3の実施形態の信号変換装置の構成を示す図である。
図6】本発明に関連するVoIPシステムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のVoIPシステム1の構成を示す図である。VoIPシステム1は、アナログ交換機100及び110、VoIPネットワーク200、パケットモニタリング装置210及びコンソール装置220を備える。VoIPシステム1は、電話機161及び162との通話を、VoIPネットワーク200を用いて実現するシステムである。
【0016】
アナログ交換機100はアナログ電話回線を収容し、音声IP化モジュール101、NIC102及び回線交換部103を備える。回線交換部103は、アナログ交換機100が収容する回線同士を接続する。アナログ交換機100は、音声IP化モジュール101及びNIC102のそれぞれに接続された回線をも収容する。
【0017】
音声IP化モジュール101は、アナログ交換機100とVoIPネットワーク200とを接続するインタフェースである。音声IP化モジュール101は、パケット変換部151及びモデム104を備える。パケット変換部151は、回線交換部103が出力するアナログ電話信号をIPパケット化してVoIPネットワーク200に出力する。また、パケット変換部151は、VoIPネットワーク200から着信したIPパケット化された電話信号をアナログ電話信号に変換して回線交換部103に出力する。なお、アナログ交換機100は、アナログ電話回線の発呼及び着呼を処理して回線交換部103を制御する機能をも備えているが、電話交換機における発着呼の機能は周知であるので説明は省略する。
【0018】
モデム104は、音声IP化モジュール101がVoIPネットワーク200との間で送受信するIPパケットを、当該IPパケットを回線交換部103のインタフェースであるアナログ信号に変換して出力する。モデム104の入力はパケット変換部151とVoIPネットワーク200との間から分岐されている。従って、モデム104には音声IP化モジュール101がVoIPネットワーク200との間で送受信するIPパケットがそのままコピーされて入力される。モデム104は、たとえばDSL(digital subscriber line)モデムである。しかし、モデム104の仕様はこれには限定されない。
【0019】
音声IP化モジュール101は、アナログ交換機100に接続されたコンソール装置220によって操作されてもよい。コンソール装置220は、ネットワーク管理者の操作によりアナログ交換機100の各部を制御する。
【0020】
一方、アナログ交換機110は、音声IP化モジュール111及び回線交換部112を備える。また、アナログ交換機110は電話機162を含む電話回線を収容する。音声IP化モジュール111は、アナログ交換機110とVoIPネットワーク200とを接続するインタフェースである。音声IP化モジュール111は、回線交換部112が出力するアナログ電話信号をIPパケット化して、VoIPネットワーク200に出力する。また、音声IP化モジュール111は、VoIPネットワーク200から着信したIPパケット化された電話信号を、アナログ電話信号に変換して回線交換部112に出力する。回線交換部112の機能は、アナログ交換機100が備える回線交換部103と同様である。
【0021】
VoIPネットワーク200は、音声IP化モジュール101と111とを接続するIPネットワークである。
【0022】
NIC102は、回線交換部103とパケットモニタリング装置210との間に配置される。すなわち、NIC102はVoIPネットワーク200と直接接続されていない。NIC102は、回線交換部103から受信したアナログ電話信号を復調するモデム105を備える。モデム105は、音声IP化モジュール101のモデム104と同様の仕様を備えるモデムである。モデム105は、モデム104で変調されたIPパケットを復調して、パケットモニタリング装置210へ出力する。モデム105によって復調されたIPパケットは、モデム104で変調される前のIPパケットと同一のものである。
【0023】
NIC102に接続されたパケットモニタリング装置210は、入力されるIPパケットを分析し、IPパケットの内容を記録するとともに画面に表示する機能を備える。パケットモニタリング装置210は、例えばIPネットワーク上のIPパケットを監視して障害を解析する際に使用される。
【0024】
なお、図1では音声IP化モジュール101及びNIC102はそれぞれ1台のみ記載されているが、アナログ交換機100に接続される音声IP化モジュール101及びNIC102の台数は制限されない。例えば、ネットワーク管理者は、複数の音声IP化モジュール101及びNIC102からそれぞれ特定の1台をコンソール装置220によって選択してもよい。そして、回線交換部103は、選択された音声IP化モジュールから選択されたNICへIPパケットが転送されるように回線を接続してもよい。また、音声IP化モジュール101は、モデム104経由でNIC102あるいはパケットモニタリング装置210へのアナログ電話回線の発呼処理(ダイヤルアップ)を行うことで、音声IP化モジュール101とパケットモニタリング装置210との間の回線を接続してもよい。
【0025】
電話回線の発呼処理により回線交換部103を動作させることで、パケットの監視の開始及び終了時刻や監視に使用した電話回線の記録を残すことができる。その結果、不正に接続された監視装置の有無を記録に基づいて調査することができる。
【0026】
これらの手段はそれぞれ次のように動作する。なお、以下で説明する動作フローは例であり、それ以外の動作を実施形態から除外するものではない。
【0027】
アナログ交換機100とアナログ交換機110との間でVoIPネットワーク200を利用した音声通話が行われる際には、音声IP化モジュール101と音声IP化モジュール111との間で、VoIPネットワーク200を介してIP化された音声パケットが送受信される。
【0028】
コンソール装置220は、音声IP化モジュール101に対して、コピーされたIPパケットをモデム104で変調するとともに変調された信号が回線交換部103を介してNIC102に出力されるように設定情報を生成する。NIC102は、受信した信号をモデム105によって復調し、モデム104で変調される前のIPパケットを再生する。
【0029】
これにより、NIC102は、音声IP化モジュール101がVoIPネットワーク200との間で送受信するIPパケットをパケットモニタリング装置210へ出力することが可能となる。その結果、パケットモニタリング装置210を用いて、VoIPネットワーク200と音声IP化モジュール101との間で送受信されるIPパケットを監視することが可能となる。以下に、本実施形態の動作フローについてさらに詳細に説明する。
【0030】
図2は、第1の実施形態のVoIPシステム1の動作フローを示す図である。まず、ネットワーク管理者は、コンソール装置220において、IPパケットをモニタする音声IP化モジュール101及びIPパケットの転送先となるNIC102を指定する。コンソール装置220は、ネットワーク管理者によって指定された音声IP化モジュール101を通過するIPパケットがNIC102へ転送されるように設定情報を作成する(図2のステップS1)。設定情報は、コンソール装置220からアナログ交換機100の各部に送信される(S2)。
【0031】
音声IP化モジュール101は、コンソール装置220から受信した設定情報に基づいて、VoIPネットワーク200との間で送受信されているIPパケットをコピーしてモデム104で変調する(S3)。そして、音声IP化モジュール101は、モデム104で変調されたIPパケットを回線交換部103へ出力する(S4)。
【0032】
回線交換部103は、コンソール装置220から受信した設定情報に基づいて、音声IP化モジュール101とNIC102とを接続する(S5)。その結果、モデム104で変調された変調信号が、回線交換部103を経由してNIC102で受信される(S6)。なお、回線交換部103における音声IP化モジュール101とNIC102との接続(S5)は、音声IP化モジュール101が変調されたIPパケットを回線交換部103へ出力する際(S4)の発呼処理によって行われてもよい。
【0033】
NIC102は、受信した変調信号を復調してIPパケットを再生し(S7)、パケットモニタリング装置210が接続されているポートへIPパケットを出力する(S8)。
【0034】
パケットモニタリング装置210は、再生されたIPパケットをNIC102から受信し、解析する(S9)。このようにして、音声IP化モジュール101において送受信されているIPパケットを、パケットモニタリング装置210で監視することが可能になる。
【0035】
以上説明したように、第1の実施形態のVoIPシステム1においては、音声IP化モジュール101は、VoIPネットワーク200で伝送されるIPパケットをコピーして変調し、NIC102に転送する。NIC102は、転送された信号を復調してIPパケットを再生する。ここで、パケットモニタリング装置210はVoIPネットワーク200の外部に接続されており、VoIPネットワーク200とは直接接続されていない。
【0036】
このため、VoIPシステム1においては、パケットモニタリング装置210を設置するために、音声IP化モジュール101と111との間で伝送されるIPパケットの伝送路をVoIPネットワーク200の内部で切断する必要がない。また、IPパケットを監視するためにVoIPネットワーク200を構成する機器にパケットモニタリング装置を接続するためのポートを確保しておく必要もない。
【0037】
すなわち、第1の実施形態のVoIPシステムは、回線を切断することなく、かつパケットネットワーク内部に機器を接続することなくパケットネットワークを伝送されるパケットを監視することを可能とする。
【0038】
そして、VoIPシステム1においては、VoIPネットワーク200に直接パケットモニタリング装置が接続されないので、VoIPネットワーク200に他の機器が接続されることによるネットワークセキュリティの低下の懸念も生じない。
【0039】
なお、第1の実施形態のVoIPシステム1では、モデム104で変調したIPパケットを、アナログ交換機100の回線交換機能を用いて回線交換部103を介してNIC102に転送している。従って、NIC102及びパケットモニタリング装置210を音声IP化モジュール101から接続可能な他の交換機の配下に配置しても、モデム104において変調されたパケットを当該NIC及びパケットモニタリング装置に転送することができる。
【0040】
さらに、音声IP化モジュール101は、パケット変換部151で生成したIPパケットを他の形式の信号に変換することなく単純にコピーしてアナログ交換機100の外部に出力する機能を備えていてもよい。IPインタフェースを備えるパケットモニタリング装置がアナログ交換機100の近傍で利用可能である場合には、コピーされたIPパケットをそのまま用いてパケットモニタリング装置による監視が可能である。
【0041】
(第1の実施形態の変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。図3は、第1の実施形態におけるアナログ交換機100に代えて用いられるディジタル交換機120の構成を示す図である。図3に示すディジタル交換機120は、音声IP化モジュール121、NIC122及びディジタル回線交換部123を備える。
【0042】
音声IP化モジュール121は、ディジタル交換機120のVoIPネットワーク200とのインタフェースである。ディジタル回線交換部123との間で入出力されるディジタル音声信号とVoIPネットワーク200との間で入出力されるIPパケットとを相互に変換する。
【0043】
音声IP化モジュール121は、パケット変換部126を備える。パケット変換部126は、ディジタル回線交換部123が出力するディジタル音声信号をIPパケット化してVoIPネットワーク200に出力する。さらに、音声IP化モジュール121及びNIC122は、TA(ターミナルアダプタ)124及び125を備える。TA124及び125は、IPパケットをカプセリングしてディジタル回線交換部123で処理可能な信号に変換する。TA124及び125は、DSU(digitas service unit)の機能をさらに備えていてもよい。
【0044】
ディジタル回線交換部123は、ディジタル回線の交換機能を備える。例えば、ディジタル回線交換部123は、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線の交換機能を備えている。そして、TA124は、VoIPネットワーク200との間で送受信されるIPパケットをコピーしてISDN回線で伝送可能な形態に変換する。NIC122が備えるTA125は、TA124で生成されたISDN信号から、IPパケットを復元する。復元されたIPパケットは、NIC122と接続されたパケットモニタリング装置210に入力される。
【0045】
すなわち、ディジタル回線交換部123がISDN交換機の機能を備える構成においては、パケット変換部126に入出力されるIPパケットは、TA124によってISDN信号に変換される。ISDN信号に変換されたIPパケットは、回線交換部123を介してNIC122で受信される。そして、NIC122が備えるTA125は、受信されたISDN信号からIPパケットを復元する。ここで、ディジタル回線交換部123は、ISDN信号のダイヤルアップ処理によって、TA124とTA125とを接続する。
【0046】
このような構成を備えたディジタル交換機120を図1で説明したVoIPシステムに適用しても、第1の実施形態と同様の効果が得られることは明らかである。すなわち、ディジタル交換機120を用いたVoIPシステムも、回線を切断することなく、かつIPネットワーク内部に機器を接続することなくIPネットワークを伝送されるIPパケットを監視することを可能とする。そして、ディジタル交換機120を用いたVoIPシステムは、IPパケットの監視を行う際に、VoIPネットワーク200に他の機器が接続されることによるネットワークセキュリティの低下の懸念も生じない。
【0047】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図4は、本発明の第2の実施形態のVoIPシステムの構成を示す図である。図4を参照すると、第2の実施形態のVoIPシステム2は、VoIP通信が可能な端末300と、パケットモニタリング装置310と、VoIPネットワーク320と、端末330とを備える。
【0048】
端末300は、音声IP化モジュール301と、端末機能部302とを備える。端末機能部302は、電話機能等の端末300の基本的な機能を実現する。音声IP化モジュール301は、端末機能部302とVoIPネットワーク320とのインタフェースである。端末330は、端末300がVoIPネットワーク320を介して通信を行う相手先の端末である。
【0049】
端末機能部302は、アナログ電話機の機能を備えている。端末機能部302と、アナログ電話信号をIPパケットに変換する音声IP化モジュール301とを組み合わせることで、端末300をIP電話機として構成できる。
【0050】
音声IP化モジュール301は、端末機能部302をVoIPネットワーク320と接続させるためのインタフェースモジュールである。音声IP化モジュール301は、パケット変換部303及び信号変換部304を備えている。パケット変換部303は、端末機能部302が出力するアナログ電話信号をIPパケット化して、VoIPネットワーク320に出力する。また、パケット変換部303は、VoIPネットワーク320から着信したIPパケット化された電話信号を、アナログ電話信号に変換して端末機能部302に出力する。
【0051】
信号変換部304の入力はパケット変換部303とVoIPネットワーク320との間から分岐されている。従って、信号変換部304には音声IP化モジュール301がVoIPネットワーク320との間で送受信されるIPパケットがそのままコピーされて入力される。信号変換部304は、音声IP化モジュール301が送受信するIPパケットをIPパケットとは異なる他の形態の信号に変換して、VoIPネットワーク320とのインタフェースとは別のインタフェースから出力する。第2の実施形態では、信号変換部304は、コピーしたIPパケットをシリアルインタフェースの信号形式に変換する。シリアルインタフェースの信号形式に変換されたIPパケットは、VoIPネットワーク320とのインタフェースとは異なるインタフェースからパケットモニタリング装置310へ出力される。
【0052】
パケットモニタリング装置310は、シリアルインタフェース信号に変換されたIPパケットを音声IP化モジュール301から受信する。パケットモニタリング装置310は、受信したシリアルインタフェース信号からIPパケットを復元して分析する。端末300は、このような構成を備えることにより、端末300が音声IP化モジュール301にて送受信しているパケットをモニタリングすることを可能とする。
【0053】
第2の実施形態のVoIPシステム2において、パケットモニタリング装置310は、VoIPネットワーク320の外部に接続されている。このため、IPパケットの監視の際に端末300と端末330との間の回線を切断する必要はない。そして、第2の実施形態のVoIPシステム2においては、IPパケットを監視するために、VoIPネットワーク320を構成する機器にパケットモニタリング装置を接続するためのポートを設ける必要もない。さらに、第2の実施形態のVoIPシステムにおいては、IPパケットを監視する際にVoIPネットワーク320に直接パケットモニタリング装置310が接続されないので、VoIPネットワーク320に他の機器が接続されることによるセキュリティリスクを低減することができる。
【0054】
そして、音声IP化モジュール301は、信号変換部304を備えることにより、IPパケットを他の信号形式に変換して出力できる。信号変換部304が変換可能な信号形式を、変換された信号が入力される装置(例えばパケットモニタリング装置)が処理可能な信号形式と合わせることで、多様なインタフェースの装置にIPパケットを転送することが可能となる。
【0055】
すなわち、第2の実施形態のVoIPシステムも、第1の実施形態と同様に、回線を切断することなく、かつパケットネットワーク内部に機器を接続することなくパケットネットワークを伝送されるパケットを監視することを可能とする。
【0056】
第2の実施形態においては、コピーされたIPパケットを信号変換部304がシリアルインタフェース信号に変換する構成について説明した。しかし、信号変換部304においてIPパケットが変換される信号の形式はシリアルインタフェース信号には限定されない。例えば、音声IP化モジュール301とVoIPネットワーク320との間は有線接続とし、信号変換部304及びパケットモニタリング装置310は無線信号の送受信機能をさらに備えていてもよい。無線信号の送受信機能によって、信号変換部304はコピーしたIPパケットを無線信号としてパケットモニタリング装置310に送信することができる。
【0057】
なお、音声IP化モジュール301は、パケット変換部303で生成したIPパケットを他の形式の信号に変換することなくコピーして端末300の外部に出力する機能を備えていてもよい。IPインタフェースを備えるパケットモニタリング装置が端末300の近傍で利用可能である場合には、コピーされたIPパケットをそのまま用いてパケットモニタリング装置で監視することができる。
【0058】
また、第2の実施形態においては、端末300はIP電話機の機能を備えているとした。しかし、端末300の機能はIP電話機に限定されない。例えば、端末300はIP音声ゲートウェイにも適用できる。IP音声ゲートウェイは、VoIPシステムにおいて、電話ネットワークとIPネットワークとを中継する装置である。IP音声ゲートウェイが上述の音声IP化モジュール301を備えるように構成することで、VoIPネットワークと電話ネットワークとの間で送受信されるIPパケットを、IP音声ゲートウェイにおいて監視することができる。
【0059】
(第3の実施形態)
続いて、本発明の第3の実施形態について説明する。図5は、本発明の第3の実施形態の信号変換装置500の構成を示す図である。信号変換装置500は、第1の信号変換部501と、第2の信号変換部502とを備える。第1の信号変換部は、入力された第1の信号をパケット信号に変換して出力する。第2の信号変換部は、第1の信号変換部から出力されたパケット信号を、第2の信号に変換して出力する。ここで、第2の信号変換部で変換された信号は、第1の信号変換部から出力されたパケット信号の情報を全て含んでいる。すなわち、第2の信号に対して第2の信号変換部における処理の逆の処理を行うことで、第1の信号変換部から出力されたパケット信号を復元することができるものとする。
【0060】
信号変換装置500は、第1の信号変換部から出力されたパケット信号を出力するとともに、当該パケット信号は第2の信号に変換された形態でも出力される。パケット信号は、パケット信号のネットワークを経由して、本来の通信先へ伝送される。
【0061】
一方、信号変換装置500は、第2の信号により、パケット信号のネットワークを経由することなく他の通信先へパケット信号を転送することができる。従って、第2の信号の信号形式を信号変換装置500と他の通信先との間のネットワークに適合した形式とすることで、第2の信号を他のネットワーク上の他の通信先へ転送することができる。
【0062】
例えば、アナログ電話網を介して信号変換装置500と接続されたパケットモニタリング装置を用いてパケットを監視したい場合には、第2の信号変換部としてモデムを用いればよい。モデムを用いてパケット信号を変調してアナログ信号としてアナログ電話網で伝送させ、パケットモニタリング装置でパケット信号を復調することで、遠隔にあるパケットモニタリング装置でパケット信号の監視が可能となる。
【0063】
この際、パケットモニタリング装置を接続するためにパケット信号の本来の通信先との通信を切断する必要はない。また、信号変換装置500とパケット信号の本来の通信先との間の機器にパケットモニタリング装置を接続するためのポートを設ける必要もない。
【0064】
さらに、信号変換装置500が出力するパケットを監視する際に信号変換装置500とパケット信号の本来の通信先との間のネットワークに直接パケットモニタリング装置を接続する必要がない。従って、信号変換装置500は、パケットを監視する際に、本来の通信先との間の通信経路上に他の機器が接続されることによるネットワークセキュリティの低下の懸念も生じない。
【0065】
このように、第3の実施形態の信号変換装置は、回線を切断することなく、かつパケットネットワーク内部に機器を接続することなくパケットネットワークを伝送されるパケットを監視するシステムを実現することを可能とする。
【0066】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1、400 VoIPシステム
100、110 アナログ交換機
101、111、121、301、409、410 音声IP化モジュール
102、122 NIC
103、112 回線交換部
104、105 モデム
120 ディジタル交換機
123 ディジタル回線交換部
124、125 TA
126、151、303 パケット変換部
210、310 パケットモニタリング装置
220 コンソール装置
300、330 端末
302 端末機能部
304 信号変換部
161、162、401、402 電話機
403、404 交換機
200、320、405 VoIPネットワーク
406、407 LAN
408 WAN
500 信号変換装置
501 第1の信号変換部
502 第2の信号変換部
図1
図2
図3
図4
図5
図6