(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744006
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】超合金部品およびスラリー組成物
(51)【国際特許分類】
C23C 10/26 20060101AFI20150611BHJP
C22C 21/02 20060101ALI20150611BHJP
C22C 21/00 20060101ALI20150611BHJP
B22F 9/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
C23C10/26
C22C21/02
C22C21/00 E
B22F9/00 B
C22C21/00 N
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-503933(P2012-503933)
(86)(22)【出願日】2010年2月16日
(65)【公表番号】特表2012-523494(P2012-523494A)
(43)【公表日】2012年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2010051922
(87)【国際公開番号】WO2010115649
(87)【国際公開日】20101014
【審査請求日】2012年2月14日
(31)【優先権主張番号】09005236.6
(32)【優先日】2009年4月9日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100112793
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳大
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100128679
【弁理士】
【氏名又は名称】星 公弘
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100143959
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 秀一
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ポール マシュー ウォーカー
【審査官】
今井 淳一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平03−044484(JP,A)
【文献】
特開平11−158602(JP,A)
【文献】
特開2001−070879(JP,A)
【文献】
特開昭56−096067(JP,A)
【文献】
特開2003−183809(JP,A)
【文献】
特表2001−521987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 10/26
B22F 9/00
C22C 21/00
C22C 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超合金部品のアルミ化のための組成物、特にスラリー組成物であって、クロメートおよび/またはホスフェート有機結合剤を含む有機結合剤と、ケイ素、ハフニウムおよびイットリウムを含有し、残部がアルミニウムである固形分とを含み、該固形分が、総固形分の1質量%〜40質量%のケイ素を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
組成物が、該組成物の2.5質量%以下、特に1質量%以下のハフニウム含分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、該組成物の0.1質量%以下、特に0.05質量%以下のイットリウム含分を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物の5質量ppm以下である硫黄含分を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
アルミナイドコーティングを含む超合金部品(1)において、該コーティングが少なくとも第一の層(3、9)を含み、且つ、第一の層(3、9)のコーティング材料が、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物によって形成されることを特徴とする超合金部品(1)。
【請求項6】
コーティングが、少なくとも2つの層(3、5;7、9)を含み、その少なくとも2つの層(3、5;7、9)が第一の層(3;9)および少なくとも第二の層(5;7)を含み、第二の層(5;7)のコーティング材料がアルミニウムを含み、ハフニウムを有さず、且つイットリウムを有さないことを特徴とする、請求項5に記載の超合金部品(1)。
【請求項7】
少なくとも3つの層(7、9、11)を含み、その少なくとも3つの層(7、9、11)が、第一の層(9)、第二の層(7)、および第三の層(11)を含み、第三の層(11)のコーティング材料がアルミニウムを含み、ハフニウムを有さず且つイットリウムを有さず、且つ、第一の層(9)が、第二の層(7)と第三の層(11)との間に挟まれていることを特徴とする、請求項6に記載の超合金部品。
【請求項8】
第一の層(3、9)中のハフニウム含分が、該層の成分の3質量%以下であることを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項に記載の超合金部品(1)。
【請求項9】
第一の層(3、9)中のイットリウム含分が、該層の成分の0.17質量%以下であることを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項に記載の超合金部品(1)。
【請求項10】
コーティングが、少なくとも1つの層を含み、その少なくとも1つの層のコーティング材料が、アルミニウムの他にケイ素を含むことを特徴とする、請求項5から9までのいずれか1項に記載の超合金部品(1)。
【請求項11】
少なくとも1つの層のケイ素含分が、該層の成分の1質量%〜40質量%であることを特徴とする、請求項10に記載の超合金部品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超合金部品のアルミ化のためのスラリー組成物、およびアルミナイドコーティングを含む超合金部品に関する。
【0002】
熱い腐蝕性ガスに曝露される部品、例えば、熱く且つ腐蝕性の燃焼ガスに曝露されるガスタービン部品は、典型的には高められた温度で高強度を示す超合金から製造される。かかる超合金は特に、ニッケルベースの超合金、鉄ベースの超合金およびコバルトベースの超合金である。
【0003】
超合金が1200℃以下、およびそれ以上の温度で高い強度を示すにもかかわらず、それらは酸化および/または腐食から保護される必要がある。この保護は、典型的にはアルミナ形成コーティング、例えばいわゆるMCrAlYオーバーレイコーティングによってなされ、ここで、前記Mは鉄(Fe)、コバルト(Co)、またはニッケル(Ni)を表し、且つ、Yはイットリウム(Y)、ハフニウム(Hf)または希土類元素を意味する。オーバーレイコーティングの調製の間、アルミニウムが酸化され、且つ、部品を酸化および腐食から保護する緊密に付着したアルミナスケールを形成する。かかるコーティングは、例えばEP0486489号B1、EP0786017号B1またはEP1306456号A1から公知である。
【0004】
腐食および/または酸化耐性のアルミナスケールを形成する他の方法は、いわゆるスラリーアルミ化である。スラリーアルミ化法においては、アルミニウム含有スラリーを部品表面上に被覆する。その後、該部品を熱処理に供し、それによりアルミニウムが溶融される。その後、溶融されたアルミニウムが部品の材料と反応し、そして、部品を酸化および/または腐食から保護するアルミナスケールを有するアルミナイドコーティングを形成する。アルミニウムの他に、スラリーはケイ素を含有して、アルミナイドコーティング単独よりも良好な酸化耐性を示すアルミナイド−シリサイドコーティングをみちびくこともできる。スラリー法によってアルミナイドコーティングおよびアルミナイド−シリサイドコーティングを形成することは、例えばUS5547770号、US6080246号、EP1820875号A2、US2007/0298269号A1およびUS6126758号内に開示されている。
【0005】
さらに、それはスラリー技術が合金基材上のコーティングのために使用されることがある米国特許US3720537号から公知である。コバルト−アルミニウム、ニッケル−アルミニウムおよび/または鉄−アルミニウムの微細に分割された合金が、クロム−アルミニウム合金と混合される。イットリウムが合金として添加されることがある。
【0006】
超合金部品、特にニッケル(Ni)ベース、コバルト(Co)または鉄(Fe)ベースの超合金部品のアルミ化のために有利なスラリー組成物を提供することが本発明の課題である。アルミナイドコーティングを含む有利な超合金部品を提供することが本発明のさらなる課題である。
【0007】
第一の課題は、請求項1において特許請求される通りの、超合金部品をアルミ化するためのスラリー組成物によって解決される。第二の課題は、請求項7において特許請求される通りの、アルミナイドコーティングを含む超合金部品によって解決される。従属請求項に、本発明のさらなる実施形態が記載されている。
【0008】
超合金部品のアルミ化のための本発明のスラリー組成物は、有機結合剤、即ち結合剤塩を有する溶剤、例えば水、および固形分を含む。固形分はアルミニウムを含む。本発明によれば、スラリー組成物はさらに、ハフニウム(Hf)および/またはイットリウム(Y)、特にハフニウムおよびイットリウムを含む。ハフニウムおよび/またはイットリウムは、粉末として、フレーク、切り屑またはその種のものの形態で、スラリーの固形分に添加されるか、または塩の形態で有機結合剤に添加されるかのいずれかであってよい。
【0009】
本発明のスラリーにおいて使用される有機結合剤として、クロメートおよび/またはホスフェート有機結合剤が、本発明の文脈において特に使用される。
【0010】
スラリーへのハフニウムおよび/またはイットリウムの添加は、本発明のスラリーを用いて提供される超合金部品の熱処理後に形成されるアルミナイドコーティングによって提供される酸化および腐食の保護において改善をみちびくことが判明した。有利なハフニウム含分は、スラリーの約2.5質量%以下、好ましくはスラリーの約1質量%以下である。有利なイットリウム含分は、スラリーの約0.1質量%以下、特にスラリーの約0.05質量%(5ppm)以下である。
【0011】
アルミニウムの他に、固形分は、総固形分の1質量%〜40質量%のケイ素を含んでよい。ハフニウムおよび/またはイットリウム同様、ケイ素は、形成するアルミナイド−シリサイドコーティングによって被覆された超合金部品の酸化および腐食耐性を、アルミナイドコーティング単独よりも改善する。
【0012】
本発明のスラリー組成物のさらなる実施形態において、スラリーは、最大でスラリーの5質量ppmの硫黄(S)含分を含む。硫黄が超合金材料について腐蝕性であるので、アルミナスケールがスラリー被覆部品の熱処理の間に形成される場合、スラリー中の硫黄の存在が超合金部品を脆弱化することがある。スラリー中の硫黄含分を可能な限り低減することによって、熱処理中の硫黄に起因する部品の脆弱化を避けることができる。
【0013】
本発明の超合金部品はアルミナイドコーティングを含む。コーティング材料は、アルミニウムの他に、ハフニウムおよび/またはイットリウム、特にハフニウムおよびイットリウムを含む、少なくとも1つの層を含む。
【0014】
アルミニウムの他に、ハフニウムおよび/またはイットリウムが存在すれば、アルミナイドコーティングの腐食耐性および/または酸化耐性を改善できることが判明した。
【0015】
本発明の超合金部品の特別な実施態様において、コーティングは、少なくとも2つの層を含み、1つの層のコーティング材料は、アルミニウムを含み、ハフニウムを有さず、且つイットリウムを有さない。他の層のコーティング材料は、ハフニウムおよび/またはイットリウムを含む。さらなる実施形態において、該コーティングは少なくとも3つの層を含み、その際、2つの層のコーティング材料はアルミニウムを含み、ハフニウムを有さず、且つイットリウムを有さない。第三の層のコーティング材料は、アルミニウムの他にハフニウムおよび/またはイットリウムを含む。この第三の層を特に、ハフニウムおよび/またはイットリウムを有さない層の間に挟むことができる。しかしながら、イットリウムおよび/またはハフニウムを有する層と、イットリウムおよび/またはハフニウムを有さない層とが、本発明の上記の実施形態において存在するにもかかわらず、本発明はハフニウムを有さず且つイットリウムを有さない層が存在する場合に限定されないことに留意すべきである。特に、両方の層、または3層の場合、2層または3層全ては、本発明の文脈においてハフニウムおよび/またはイットリウムを含有してよい。
【0016】
本発明の超合金部品のコーティング層が、アルミニウムの他にハフニウムを含む場合、ハフニウム含分は好ましくは層の成分の約3質量%以下である。かかる層を、例えば、スラリーの70質量%の結合剤および1質量%以下のハフニウムを含むスラリーによって達成できる。
【0017】
層がアルミニウムの他にイットリウムを含む場合、イットリウム含分は好ましくは該層の成分の約0.17質量%以下である。かかる層を、スラリーの70質量%以下の有機結合剤および0.05質量%(5ppm)のイットリウムを含むスラリーを使用することによって達成できる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態によれば、コーティング材料は少なくとも1つの層を含む。その少なくとも1つの層のコーティング材料は、アルミニウムの他にケイ素を含む。この層のケイ素含分は、該層の成分の1質量%〜40質量%であってよい。全てのアルミニウム含有層がケイ素を含有することも可能であることに留意。
【0019】
本発明のさらなる特徴、性質、および利点は、添付の図面と関連づけて本発明の実施態様の以下の記載から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の部品の第一の実施態様を示す。
【
図2】
図2は、本発明の部品の第二の実施態様を示す。
【
図3】
図3は、本発明の部品の第三の実施態様を示す。
【0021】
本発明の超合金部品の第一の実施態様を
図1に示す。該図は、部品を非常に概略化された断面図で示し、該部品はガスタービン部品、例えばタービンブレードまたは羽根、または熱ガス流路の直線状の素子であってよい。該図は、コーティング3を上に適用された超合金1を示す。超合金1は特に、EP1204776号B1、EP1306454号B1、EP1319729号A1、WO99/67435号A1またはWO00/44949号A1内に開示される超合金の1つを含んでよい。
【0022】
特にEP1204776号B1によれば、超合金1はニッケルベースの超合金から製造され、その組成物は以下の成分を含む(質量パーセント): 11〜13% クロム、3〜5% タングステン、0.5〜2.5% モリブデン、3〜5% アルミニウム、3〜5% チタン、3〜7% タンタル、0〜12% コバルト、0〜1% ニオブ、0〜2% ハフニウム、0〜1% ジルコニウム、0〜0.05% ホウ素、0〜0.2% 炭素、1〜5% レニウム、0〜5% ルテニウム、および残留分 Niおよび不純物。
【0023】
EP1306454号B1から、高温での腐食および酸化に対して部品を保護するための保護層であって、以下の成分から構成されるものが公知である(詳細は質量パーセントにて): 0.5〜2%のレニウム、15〜21%のクロム、9〜11.5%のアルミニウム、0.05〜0.7%のイットリウム、および/または、スカンジウムおよび希土類からなる群からの少なくとも1つの等量の金属、0〜1%のルテニウム、および残留分 コバルトおよび/またはニッケルおよび製造に関連する不純物。
【0024】
EP1319729号A1によれば、超合金1はニッケルベースの超合金から製造されてよく、その組成物は以下の元素を含む(質量パーセント): 9〜10.75%のクロム、3〜5%のタングステン、0.5〜2.5%のモリブデン、3〜5%のアルミニウム、3〜5%のチタン、3〜7%のタンタル、0〜12%のコバルト、0〜1%のニオブ、0〜2%のハフニウム、0〜1%のジルコニウム、0〜0.05%のホウ素、0〜0.2%の炭素、レニウム、ルテニウムからなる群から選択される少なくとも1つの元素、その際、1〜5%のレニウム、および/または0.1〜5%のルテニウムが使用される、および残留分のNiおよび不純物。
【0025】
ニッケルアルミナイドコーティングは、Sermatech(登録商標) International社から商標名「SermaLoy(登録商標) J」および「SermaLoy(登録商標) 1515」によっても供給されている。「SermaLoy(登録商標) J」は、ガスタービンの熱い部分の部品および熱腐食を被る産業用部品の保護のために設計された、スラリー適用アルミナイド拡散コーティングである。それを部品表面に適用し、その後、拡散させる。これは、パーツ表面に緊密に付着するコーティングをもたらす。「SermaLoy(登録商標) 1515」は、高強度、低クロムのニッケルベース合金から製造された部品を保護するために設計され、高温と低温との両方の熱腐食並びに酸化に対して極めて耐性がある。それは特に、タービンブレードの冷却路内部を保護するために設計されている。
【0026】
コーティング3は、ハフニウムおよびイットリウムを含むアルミナイド−シリサイドコーティングである。ハフニウム含分は層の成分の約3質量%である一方、イットリウム含分は層の成分の約0.17質量%である。
【0027】
コーティング3(特許請求の範囲に記載の「第一の層」に相応)は、スラリーアルミ化法によって形成される。この方法において、アルミニウム、および随意にケイ素を含む固形分(前記ケイ素含分は総固形分の質量の1%〜40%である)は、クロメートおよびホスフェートを含む有機結合剤と混合されて、超合金1の表面に適用できるスラリーを形成する。ハフニウム粉末は、スラリーの1質量%の量でスラリーに添加される。さらには、イットリウム粉末は、スラリーに、該スラリーの0.05質量%の量で添加される。スラリーが形成される場合、該スラリーの硫黄量を、5ppm未満の非常に少ない痕跡量になるように注意深く調節する。
【0028】
その後、該スラリーを超合金部品の表面に、例えば受け手側のパーツの上へ噴霧することによって適用する。部品表面上への適用後、該スラリーを約300℃の熱処理によって硬化させる。硬化されたスラリー内に含有される、アルミニウム、随意のケイ素、ハフニウムおよびイットリウムは、その後、超合金1の表面内に、700℃〜1100℃の温度での拡散熱処理によって拡散される。該拡散熱処理を使用することによって、アルミニウム、随意のケイ素、イットリウムおよびハフニウムが、超合金1の表面層内に取り込まれる一方、有機結合剤の溶剤は揮発する。揮発されなかった結合剤の残留成分は、機械的手段によって、例えば表面を軽くブラストすることによって容易に除去できる。
【0029】
本発明の部品の第二の実施態様を
図2に示す。この実施態様は、第二のコーティング層5が、第一の実施態様のコーティング層3の上に適用されている点で、第一の実施態様とは異なる。従って、コーティング3は超合金1と、第二のコーティング層5との間に配置されることになる。コーティング層3は、第二の実施態様に関して第一のコーティング層3とも称される。第二のコーティング層5は、原則的に、第一の実施態様の第一のコーティング層3に関して記載された通りのコーティング層であってよい。しかしながら、第二のコーティング層5として、イットリウムもハフニウムも含有しないコーティング層を提供することも可能である。
【0030】
第二の実施態様の変法において、第一のコーティング層3は、ハフニウムおよびイットリウムの元素の1つのみを含有する一方、第二のコーティング層はそれらの元素の他の1つを含有する。例えば、第一のコーティング層3がハフニウムを含有することがある一方、第二のコーティング層5はイットリウムを含有する。ハフニウムまたはイットリウムのみがそれぞれのスラリーに添加される場合、コーティング層3の製造について第一の実施態様に関して記載された方法を用いて、かかる層を製造できる。
【0031】
本発明の超合金部品の第三の実施態様を
図3に示す。第三の実施態様のコーティングは、超合金基材1、第一のコーティング層7(特許請求の範囲に記載の「第二の層」に相応、イットリウムもハフニウムも含有しない)、第二の層9(特許請求の範囲に記載の「第一の層」に相応、イットリウムおよびハフニウムを含有)、および第三の層11(特許請求の範囲に記載の「第三の層」に相応、イットリウムもハフニウムも含有しない)から理解される通りの3層コーティングである。全ての層を、上述の方法に従い、それぞれのスラリーに単にイットリウムおよび/またはハフニウムを添加するか、または添加しないで製造できる。
【0032】
図3に示される実施態様は、第一のコーティング層7、第二のコーティング層9、および第三のコーティング層11のいずれかが、ハフニウムおよびイットリウムの少なくとも1つの元素を含有し得る点で変更されることがある。特に、3層全てがイットリウムおよび/またはハフニウムを含んでよい。他方で、例えば、第一のコーティング層7がイットリウムもハフニウムも含有せず、第二のコーティング層9がイットリウムを含有し、且つ、第三のコーティング層11がハフニウムを含有することが可能なこともある。
【0033】
コーティングが1層より多くのコーティング層を含む場合、各コーティング層について、熱処理またはレーザー処理を上述の通りに実施することに留意。
【0034】
3つの全ての実施態様において、ハフニウム含分は好ましくは層の成分の約3質量%以下であり、および/またはイットリウム含分は層の成分の約0.17質量%以下であり、それは、例えば、スラリーの70質量%の有機結合剤、1質量%のハフニウム、および/または0.05質量%のイットリウム、残留固形分を含有するスラリーを使用することによって達成でき、該固形分はアルミニウムを含み、且つ、さらに該固形分の1質量%〜40質量%、特に該固形分の1質量%〜約20質量%、特別な実施態様においては該固形分の約10質量%〜約15質量%の範囲のケイ素を含んでよい。