(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744034
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】過渡運転状態のエンジンの制御方法
(51)【国際特許分類】
F02D 41/04 20060101AFI20150611BHJP
F02D 23/00 20060101ALI20150611BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20150611BHJP
F02D 43/00 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
F02D41/04 355
F02D41/04 380B
F02D41/04 305B
F02D41/04 335B
F02D23/00 E
F02D45/00 312A
F02D43/00 301R
F02D43/00 301J
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-530350(P2012-530350)
(86)(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-505395(P2013-505395A)
(43)【公表日】2013年2月14日
(86)【国際出願番号】IB2010002376
(87)【国際公開番号】WO2011036538
(87)【国際公開日】20110331
【審査請求日】2013年9月20日
(31)【優先権主張番号】12/564,072
(32)【優先日】2009年9月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】スホーキー、クリストファー
【審査官】
藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−282879(JP,A)
【文献】
特開昭62−048929(JP,A)
【文献】
実開平02−020755(JP,U)
【文献】
特開平03−222842(JP,A)
【文献】
特開昭63−248937(JP,A)
【文献】
特開2007−002837(JP,A)
【文献】
特開2001−073789(JP,A)
【文献】
特開平09−209766(JP,A)
【文献】
特開2001−082158(JP,A)
【文献】
特開2000−179409(JP,A)
【文献】
特表平09−508691(JP,A)
【文献】
特開2010−127259(JP,A)
【文献】
特開平09−228881(JP,A)
【文献】
特開2004−340137(JP,A)
【文献】
特開平05−280407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00 〜 41/40
F02D 43/00 〜 45/00
F02D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン(20)のクランク軸に連結され機械的に駆動されて前記内燃エンジン(20)への空気の流量を制御するスーパーチャージャ(24)を介した内燃エンジン(20)の制御方法であって、
前記エンジン(20)の定常運転状態を規定し、
前記エンジン(20)の運転パラメータを監視し、
前記エンジン(20)が前記定常運転状態から外れて過渡運転状態で運転しているときを検知し、
前記エンジン(20)が過渡運転状態にあるのを検知したとき、前記エンジン(20)への燃料の供給を調整せずに、前記スーパーチャージャ(24)から前記エンジン(20)への空気の流量を先ず調整し、
前記スーパーチャージャ(24)から前記エンジン(20)への空気の流量を調整した後、次いで、前記エンジン(20)への燃料の供給を調整することにより、
前記エンジン(20)の過渡運転状態中の燃料/空気混合気を制御することを含む制御方法。
【請求項2】
更に、前記運転パラメータの値の範囲を前記定常運転状態に関連付けすることを含む請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
運転パラメータを監視することは、該運転パラメータの値を測定することとして規定される請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
更に、前記運転パラメータの測定値を前記運転パラメータの値の関連付けられた範囲と比較して、前記運転パラメータの測定値が前記定常運転状態に関連付けられた前記運転パラメータの値の範囲外であるか否かを判定することを含む請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記運転パラメータは、前記エンジン(20)内の燃料/空気混合比、前記エンジン(20)の速度、前記エンジン(20)の排出ガスエミッションレベル、前記エンジン(20)の燃料噴射タイミング及び燃焼空気の流量を含む運転パラメータのグループから選択された前記エンジン(20)の運転パラメータを含むことを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記定常運転状態の規定は、更に、エンジン(20)が経時的な変化なく運転する運転範囲として規定されることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項7】
運転範囲は、更に、エンジン(20)の運転速度の範囲として規定されることを特徴とする請求項6に記載の制御法。
【請求項8】
更に、前記定常運転状態を外れたエンジン(20)の運転としてエンジン(20)の過渡運転状態を規定することを含む請求項6に記載の制御方法。
【請求項9】
前記エンジン(20)は、ディーゼルエンジンを含むことを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、一般的には内燃エンジンの制御方法に関し、より具体的には過渡運転状態におけるディーゼルエンジンの運転中のディーゼルエンジンからの煤煙の排出を最小限にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン、特にディーゼルエンジンは、定常運転状態中に低エミッションで効率的に運転するように設計されており、エンジンの過渡運転状態中には、多量の煤煙すなわちスモークを排出する傾向がある。過渡運転状態は、エンジンが定常運転状態から外れて運転するときに生じ、エンジン始動時、低速エンジン回転からの加速時、一定エンジン速度の維持中に負荷が増大したとき、及び、エンジン負荷が一定でエンジン速度が低下したときを含むが、これらに限定されない。
【0003】
過渡運転状態は、一般的にエンジンに噴射される所与の燃料に対してエンジンに流入する燃焼空気が不足することに関係し、排気中に多量の煤煙を放出するリッチ燃焼を生じる。連邦エミッションガイドライン及び要件に適合するため、エンジンは、排出ガスから煤煙エミッションを濾過する粒子フィルタを備えることができる。しかしながら、現在入手可能な粒子フィルタは、適切な作動を維持するために定期的に再生される必要がある。
【発明の概要】
【0004】
機械的に駆動されてエンジンへの空気の流量を制御するスーパーチャージャに連結された内燃エンジンの制御方法が開示されている。この制御方法は、エンジンの定常運転状態を規定すること、エンジンの制御パラメータを監視してエンジンが定常運転から外れて過渡運転状態で運転しているか否かを判定すること、及び、過渡運転状態でのエンジンの運転中にスーパーチャージャからの空気の流量を調整することを含む。スーパーチャージャから供給される空気の流量は、エンジンの燃料/空気の混合気を所定の比率の範囲内に維持して、過渡運転状態でのエンジンの運転中にエンジンからのエミッションを最小限にする。
【0005】
また、機械的に駆動されてディーゼルエンジンへの空気の流量を制御するスーパーチャージャに連結されたディーゼルエンジンからのエミッションを最小限にする制御方法が開示されている。この制御方法は、エンジンの定常運転状態を規定すること、エンジンの定常状態から外れた運転としてエンジンの過渡運転状態を規定すること、エンジンの運転パラメータの値を定常運転状態に関連付けること、エンジンの運転中に運転パラメータの値を測定すること、測定された運転パラメータの値を関連付けられた運転パラメータの値の範囲と比較して、測定された運転パラメータの値が過渡運転状態にあるか否かを判定すること、及び、ディーゼルエンジンの過渡運転状態での運転中にスーパーチャージャからの空気の流量を調整することを含む。スーパーチャージャから供給される空気の流量は、ディーゼルエンジンの燃料/空気の混合気を所定の比率の範囲内に維持して、ディーゼルエンジンの過渡運転状態での運転中にディーゼルエンジンからのエミッションを最小限にする。
【0006】
したがって、この制御方法は、排出ガスの流量とは関係なく過渡運転状態中にエンジンへの燃焼空気流を供給し、エンジンへの燃料噴射率の増加に優先してスーパーチャージャからエンジンに供給される空気の流量を増大することにより、適切な燃料/空気比を維持する。適切な燃料/空気比を維持することにより、過渡運転状態におけるエンジンの運転中に煤煙の排出を最小限にする。煤煙の排出が減少することにより、粒子フィルタの再生を必要とすることなく、エンジンの運転時間の延長が可能になる。
【0007】
本発明の上述の特徴及び利点、並びに、他の特徴及び利点は、添付の図面に関連する以下の本発明を実施するための最良の形態の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る内燃エンジンの第1実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図2】本発明に係る内燃エンジンの第2実施形態を概略的に示す断面図である。
【
図3】本発明に係る内燃エンジンの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、いくつかの図を通して同様の参照符号は対応する部分を示しており、内燃エンジンの第1実施形態が
図1に全体として符号20で示されている。エンジン20は、ディーゼルエンジン又はガソリンエンジンのような一般的なエンジンを含む。
図1に示されるように、エンジン20は、「スーパーターボ」過給システムに接続され、このシステムは、エンジン20の燃焼空気の過給、すなわち、圧力を増大する互いに直列に配置されたターボチャージャ22及びスーパーチャージャ24の両方を含む。
【0010】
ターボチャージャ22は、公知のように、エンジン20によって供給される排出ガスにより駆動される。スーパーチャージャ24は、エンジン20に機械的に連結されてエンジン20によって駆動される。スーパーチャージャ24は、
図1に示されるように、エンジン20とスーパーチャージャ24とを相互に連結するクラッチ26を含んでもよい。あるいは、
図2に示すように、スーパーチャージャ124をエンジン120に直接連結して、エンジン120によってスーパーチャージャ124を連続的に運転してもよい。クラッチ26は、スーパーチャージャ24を選択的に結合及び離脱するように構成されている。本発明の技術的範囲内において、クラッチ26は、車両のエンジン20からスーパーチャージャ24の入力軸への機械的駆動力を伝達するのに有効なあらゆる形式のクラッチ26(例えば、結合可能な摩擦ディスククラッチ、電磁クラッチ等)を含むことを当業者は理解すべきである。また、当業者には公知のように、クラッチ26とスーパーチャージャの入力軸との間に「ステップアップギヤ」の類の増速機構を配置することができ、一般的にそのような増速機構の増速比は約2:1から約4:1の範囲である。
【0011】
この過給システムは、エンジン20に燃焼空気を導入するように構成された複数のエアダクトを含む。これらのエアダクトは、エンジン20へ及びエンジン20から燃焼エアを導入する。これらのエアダクトは、入口28を含み、この入口28を通して燃焼空気が矢印30によって示される方向に過給システムに入る。第1エアダクト32は、フィルタ34を含み、スーパーチャージャ24の入口に流体接続される。燃焼空気は、入口28を通って過給システムに入り、フィルタ34を通ってスーパーチャージャ24に向って流れる。
【0012】
第2エアダクト38は、スーパーチャージャ24の出口をポンプ部すなわちターボチャージャ22のコンプレッサ42に接続する。第3エアダクト44は、コンプレッサ42の出口をインタークーラ46の入口に相互に接続する。インタークーラ46の機能は、周知であり、本発明の技術的範囲外である。したがって、インタークーラ46の機能は、ここでは詳細に説明しない。第4エアダクト48は、インタークーラ46の出口をエンジン20の燃焼室50に相互に接続する。
【0013】
第4エアダクト48内には、エンジンスロットル52が配置され、このエンジンスロットル52は、全開位置で
図1に示されている。当然のことながら、エンジンスロットル52は、
図1に示す全開位置と、全閉位置との間でいずれかの位置で制御することができ、全閉位置では、第4エアダクト48を通る全ての空気の流れをほぼ遮断し、これにより、エンジン20の燃焼室50に流入する空気の流れを制限する。
【0014】
また、ターボチャージャ22は、タービン部54を含み、このタービン部54は、コンプレッサ42に機械的に連結されて、これを駆動する。第5エアダクト56は、エンジン20の燃焼室50をターボチャージャ22のタービン部54に相互に接続して、タービン部54に排出ガスを供給する。第6エアダクト58は、ターボチャージャ22のタービン部54の出口を排気出口60に相互に接続する。排出ガスは、排気出口60を通って矢印62で示される方向に過給システムの外へ流れる。
【0015】
第1エアダクト32とスーパーチャージャ24の出口との間に燃焼空気バイパスダクト64が配置されている。この燃焼空気バイパスダクト64内に燃焼空気バイパスバルブ66が配置されている。燃焼空気バイパスバルブ66は、通常は閉位置にあり、このとき、スーパーチャージャ24は、燃焼空気を第1エアダクト32を通してスーパーチャージャ24に導入するように作動している。しかしながら、低レベルの過給で充分なとき、燃焼空気バイパスバルブ66は、閉位置から開位置に向って移動して燃焼空気の一部が燃焼空気バイパスダクト64を通って第2エアダクト38に流入できるようにして、スーパーチャージャ24を通る燃焼空気の流量を減少させる。
【0016】
燃焼空気バイパスバルブ66がより開いた位置へ移動することによる一つの結果として、第2エアダクト38内の燃焼空気の過給圧は、燃焼空気バイパスバルブ66が全閉のときの通常の過給圧よりも低くなる。車両エンジン20が比較的高いエンジン速度に達したとき、クラッチ26が離脱されてスーパーチャージャ24が駆動されないようにする。同時に、ターボチャージャ22は、第5エアダクト56を通る排出ガスの流れによって駆動される。このモードの作動中、燃焼空気バイパスバルブ66は、全開位置にあり、燃焼空気に対する望ましくないいかなる流通抵抗も生じないように充分大きく開かれ、この燃焼空気は、入口28から第1エアダクト32、燃焼空気バイパスバルブ66、燃焼空気バイパスダクト64及び第2エアダクト38を通ってターボチャージャ22のコンプレッサ42に流入する。
【0017】
排出ガスバイパスダクト68は、第5エアダクトを第6エアダクト58に相互に接続する。排出ガスバイパスダクト68内に排出ガスバイパスバルブ、すなわち、ウエストゲート70が配置されている。ウエストゲート70は、ターボチャージャ22の技術において公知であるように製造され、機能する。
【0018】
「スーパーターボ」システムが
図1に示され、以上に説明されており、これにおいては、スーパーチャージャ24が過給システム内でターボチャージャ22の上流に配置されているが、当然ながら、スーパーチャージャ24とターボチャージャとの位置関係は、逆にして「ターボスーパー」過給システムを形成してもよく、これにおいては、ターボチャージャ22が過給システム内でスーパーチャージャの上流に配置される。
【0019】
図2を参照して、本発明に係るエンジンの第2実施形態が全体として符号120で示されている。第2実施形態のエンジン120において、第1実施形態のエンジン20と同様の部分は、同じ参照符号に100を加えている。例えば、第1実施形態のエンジン20では参照符号34で示されるフィルタは、第2実施形態のエンジン120では参照符号134で示される。
【0020】
第2実施形態のエンジン120は、ターボチャージャ22及び関連するエアダクトを取除いた第1実施形態のエンジン20と同様である。換言すると、第2実施形態のエンジン120の過給システムは、スーパーチャージャ124のみを含み、ターボチャージャ22を含まない。このため、第1実施形態のエンジン20と第2実施形態のエンジン120との間の相違点のみを以下に説明する。したがって、入口128、入口128に流入する空気流を表す矢印130、第4エアダクト148、スロットル152、排気出口160からの空気流を示す矢印162及び燃焼空気バイパスバルブ166を含む
図2に示される第2実施形態のエンジン120の構成は、それぞれ第1実施形態のエンジン20における対応する構成と同様に作動し、以下に詳細には説明しない。
【0021】
さらに、第2実施形態のエンジン120は、スーパーチャージャ124とエンジン120とを相互に連結するクラッチ26を含まない。したがって、スーパーチャージャ124は、エンジン120に直接連結されて、エンジン120によって連続的に作動する。
【0022】
第2実施形態のエンジン120において、第7エアダクト172はスーパーチャージャ124の出口とインタークーラ146の入口とを相互に接続し、燃焼空気バイパスダクト164は第1エアダクト132と第7エアダクト172とを相互に接続し、また、第8エアダクト174はエンジン120と排気出口160とを相互に接続して排出ガスをエンジン120の燃焼室150から排気出口160へ導く。
【0023】
図3を参照すると、内燃エンジン20、120の制御方法が示されている。好ましくは、エンジン20、120は、ディーゼルエンジンを含む。この制御方法は、エンジン20、120の定常運転状態を規定することを含む(ブロック76)。エンジン20、120の定常運転状態の規定は、更に、エンジンを経時的に変化することなく運転する運転範囲を規定することを含む。換言すると、この定常運転状態は、エンジン20、120を長時間、高効率で正常に運転する運転状態の範囲を含む。
【0024】
この運転範囲の規定は、更に、例えば500から7000rpmの間のようなエンジン運転速度範囲を規定することを含んでもよい。しかし、当然ながら、具体的な運転速度範囲は、個々のエンジン20、120及びエンジン20、120の適用の相違により、変化する。
【0025】
この制御方法は、更に、エンジン20、120の過渡運転状態を規定することを含む(ブロック78)。エンジン20、120の過渡運転状態は、エンジン20、120の定常運転状態から外れた運転として規定することができる。このエンジン20、120の過渡運転状態は、エンジン20、120の1つ以上の経時的な運転パラメータの変化に対応する。エンジン20、120の運転パラメータは、エンジン20、120を定常運転状態で運転している間、ほぼ一定に留まる。しかしながら、定常運転状態から外れると、エンジン20、120の運転パラメータは、経時的に変化する。
【0026】
運転パラメータは、燃料/空気比、エンジン20、120の速度、エンジン20、120の排出ガスエミッションレベル、エンジン20、120の燃料噴射タイミング及び燃焼空気の流量を含む運転パラメータのグループから選択されたエンジン20、120の1つ以上の運転パラメータを含むことができる。当然ながら、エンジン20、120の運転パラメータは、ここに記述されない他のパラメータを含んでもよい。
【0027】
この制御方法は、更に、1つ以上の運転パラメータ値の範囲を定常運転状態に関連付けることを含む(ブロック80)。したがって、その運転パラメータの値の範囲内でのエンジン20、120の運転が、定常運転状態の範囲内のエンジン20、120の運転に対応するのに対して、その運転パラメータの値の範囲外でのエンジン20、120の運転が、定常運転状態から外れた、すなわち、過渡運転状態での運転に対応する。
【0028】
この制御方法は、更に、エンジン20、120の1つ以上の運転パラメータを監視することを含み、エンジン20、120が定常運転状態の範囲内か、過渡運転状態で定常運転状態から外れているかを判定する(ブロック82)。運転パラメータの監視は、更に、運転パラメータ値の測定として規定することができる。したがって、この車両は、運転パラメータ値を検出する1つ以上のセンサを含むことができる。
【0029】
この制御方法は、更に、運転パラメータの測定値を運転パラメータ値が関連付けられた範囲と比較して、運転パラメータの測定値が関連付けられた運転パラメータ値の範囲から外れているか否かを判定する(ブロック84)。運転パラメータの測定値が定常運転状態に関連付けられた値の範囲内である場合、エンジン20、120は、定常運転状態の範囲で運転している。しかしながら、運転パラメータの測定値が定常運転状態に関連付けられた値の範囲から外れている場合、エンジン20、120は、過渡運転状態の範囲で運転している。
【0030】
この制御方法は、過渡運転状態におけるエンジン20、120の運転中、スーパーチャージャ24、124からの空気の流量を調整することを含む(ブロック86)。スーパーチャージャ24、124の調整により、エンジン20、120の燃焼室150に充分な流量で空気の流れを連続的に供給して、ほぼ所定の比率の適切な燃料/空気の混合気を維持する。この所定の比率は、エンジン20、120の効率的な運転に対応し、エンジン20、120は、過剰なリッチ状態、すなわち、供給可能な燃焼空気の量に対して過剰な燃料量で運転しない。エンジン20、120の過渡運転中に、燃料/空気の混合気を所定の比率の範囲に維持することにより、エンジン20、120からの煤煙の排出を最小限にする。エンジン20、120からの煤煙の排出を最小限にすることにより、排出ガスから煤煙を濾過するのに使用される粒子フィルタ(図示せず)の再生の時間間隔が増大する、すなわち、エンジン20、120が生成する排出ガス中の煤煙が減少して、粒子フィルタがより長く持続する。
【0031】
スーパーチャージャ24からの空気の流量の調整は、更に、エンジン20、120が過渡運転状態において運転している間にスーパーチャージャ24、124を調整することを含み、過渡運転状態におけるエンジン20、120の運転中に、エンジン20、120への適切な燃焼空気の流量を確保する。上述のように、エンジン20、120の燃焼室50、150への適切な空気の流量を維持することにより、適切な燃料/空気比が確実に維持されるようにし、この比は、エンジン20、120、特にディーゼルエンジンからの煤煙の排出を最小限にする。
【0032】
この制御方法は、更に、ブロック88に示されるように、エンジン20、120が過渡運転状態で運転しているとき、スーパーチャージャ24、124からの燃焼空気の流量を維持している間、エンジン20、120への入力を調整することを含む。エンジン20、120への入力の調整は、燃料/空気の混合気を所定の比率の範囲に維持するのを補助する。エンジン20、120への入力の調整は、更に、エンジン20、120の燃料噴射タイミングの調整として規定することができる。燃料噴射タイミングの調整は、更に、燃料噴射率、すなわち、エンジンに噴射される燃料の流量の調整として規定することができる。当然のことながら、エンジンへの入力は、ここでは説明されない何らかの他の入力を含んでもよい。
【0033】
この制御方法は、更に、各過渡運転状態の中で複数の中間運転状態を規定することを含む。換言すると、各過渡運転状態は、複数の中間運転状態に分割され、すなわち、複数の中間運転状態を含む。過渡運転状態が分割されて複数の中間運転状態が規定されている場合、過渡運転状態におけるエンジン20、120の運転中のスーパーチャージャ24、124からの空気の流量の調整は、更に、その過渡運転状態の中で規定された複数の中間運転状態の1つを達成するためのスーパーチャージャ24、124からの空気の流量の調整として規定される。加えて、この制御方法は、更に、エンジン20、120の燃料噴射タイミング、すなわち、燃料流量の調整を含み、過渡運転状態の中で規定された複数の中間運転状態の1つを達成する。この燃料噴射率は、その過渡運転状態の中で規定された複数の中間運転状態の1つを達成するようにスーパーチャージャ24、124からの空気の流量が調整された後に調整される。このため、複数の中間運転状態が規定されている場合、1番面の中間運転状態を達成するように空気の流量が調整され、その後、その1番目の中間運転状態の燃料流量が調整される。1番目の中間運転状態が達成された後、2番目の中間運転状態に合せてスーパーチャージャからの空気の流量が調整され、その後、2番目の中間運転状態を達成するように燃料流量が調整される。このようにして、エンジン20、120が定常運転状態の範囲内で運転するまで、各中間運転状態を通してエンジンの運転が進行する。
【0034】
本発明を実行するための最良の形態について詳細に説明してきたが、本発明に関連する当業者は、添付の特許請求の範囲の技術的範囲内において、本発明を実行するための様々な設計及び実施形態の変更を認識するであろう。