特許第5744098号(P5744098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744098
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】ディスクコイル用の測定ツール
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/30 20060101AFI20150611BHJP
   G01B 21/20 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
   G01B21/30 101
   G01B21/20 C
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-88525(P2013-88525)
(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-224940(P2013-224940A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年1月6日
(31)【優先権主張番号】12290137.4
(32)【優先日】2012年4月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル シュヴァイツァー
【審査官】 神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−302218(JP,A)
【文献】 特開昭63−293807(JP,A)
【文献】 特開平04−244908(JP,A)
【文献】 特開平01−195309(JP,A)
【文献】 特開平10−291015(JP,A)
【文献】 特公昭63−044282(JP,B2)
【文献】 特開平09−273926(JP,A)
【文献】 特開2000−292152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00− 5/30
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクコイル(2)用の測定ツール(1)であって、
フレーム(10)と、
該フレーム(10)に設けられた2つのキャリヤ(11,12)であって、可動な支持体(13,14)を有する、キャリヤ(11,12)と、
前記ディスクコイル(2)の幾何学的特徴を測定するための、前記可動な支持体(13,14)に設けられたゲージ(16,17)と、を備え、
前記ゲージ(16,17)が設けられた前記可動な支持体(13,14)を備えた前記2つのキャリヤ(11,12)は、それぞれ、
可動な支持体(13)及び第1のゲージ(16)を備えた第1のキャリヤ(11)と、
可動な支持体(14)及び第2のゲージ(17)を備えた第2のキャリヤ(12)とであり、
前記第1のキャリヤ及び前記第2のキャリヤ(11,12)は、制御ユニット(27)に接続されており、
さらに前記ディスクコイル(2)の角度位置を測定する角度位置のセンサ(25)を備え、該角度位置のセンサ(25)は、前記制御ユニット(27)に接続されており、
前記ディスクコイルは、半径方向に隣接して配列された複数の同軸の環状のリング(3)を有し、
前記第1のゲージ(16)は、前記リング(3)の円周経路をたどりかつ該リング(3)の円周経路を示す第1の信号を発生するよう配置されており、
前記第2のゲージ(17)は、前記ディスクコイル(2)の外側境界(7)の経路をたどりかつ前記ディスクコイル(2)の外側境界(7)の経路を示す第2の信号を発生するよう配置されており、
前記制御ユニット(27)は、前記第1の信号と前記第2の信号との差を計算することによって前記外側境界(7)に関する各リング(3)の形状を確認するよう配置されていることを特徴とする、ディスクコイル(2)用の測定ツール。
【請求項2】
前記フレーム(10)は、ディスクコイル(2)用の支持体(20)を有する又はディスクコイル(2)用の支持体に結合されている、請求項1記載のツール。
【請求項3】
前記ディスクコイル(2)は、中央孔(5)を備えた環状構造を有し、前記ディスクコイル(2)用の支持体(20)は、前記ディスクコイル(2)を前記中央孔(5)において保持するように配置された中央エレメント(21)を有する、請求項2記載のツール。
【請求項4】
前記支持体(20)は、前記中央エレメント(21)に結合された少なくとも1つの支柱(22)も有する、請求項3記載のツール(1)。
【請求項5】
前記中央エレメント(21)は、前記支柱(22)の下側に結合されている、請求項4記載のツール(1)。
【請求項6】
前記中央エレメント(21)は、前記支柱(22)の上側に結合されている、請求項4記載のツール。
【請求項7】
前記支持体(20)は、前記フレーム(10)に対して回転可能である、請求項2記載のツール(1)。
【請求項8】
前記支持体(20)は、前記ディスクコイル(2)のための支持平面(28)を規定し、前記ディスクコイル(2)は、前記中央エレメント(21)に結合されたときに前記支持平面(28)に位置し、前記ツール(1)の前記第1のゲージ(16)及び前記第2のゲージ(17)は、一方が前記支持平面(28)の上方に、他方が前記支持平面(28)の下方に位置決めされている、請求項5又は6又は7記載のツール(1)。
【請求項9】
前記キャリヤ(11,12)のうちの少なくとも一方によって支持されかつ前記制御ユニット(27)に接続された少なくとも1つの傾斜計(30)を備える、請求項記載のツール(1)。
【請求項10】
前記第1のゲージ及び前記第2のゲージ(16,17)は、位置ゲージである、請求項記載のツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスクコイル用の測定ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
EMR(電子的医療記録)のような特定の用途において、磁石用のディスクコイルが広く用いられている。
【0003】
これらのディスクコイルは、互いに絶縁されかつ一方が他方の内側に同心状に配置された(例えば銅から形成された)複数の円形の導電性リングから形成された構造体を有する。
【0004】
これらの種類の用途に必要とされる高い質の磁界を保証するために、コイルの特徴、特にコイルの幾何学的特徴は、極めて正確でなければならない。
【0005】
これは、高精度の製造ツールに加え、製造されたコイルの幾何学的特徴をチェックするための測定ツールを必要とする。
【0006】
しかしながら、現在はこのような測定ツールは提供されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、コイルの幾何学的特徴を正確に測定するディスクコイル用の測定ツールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の態様は、コイルの幾何学的特徴の正確な測定を提供する、ディスクコイル用の測定ツールを提供することを含む。
【0009】
これらの態様及びその他の態様は、添付の請求項に係る測定ツールを提供することによって達成される。
【0010】
別の特徴及び利点は、添付の図面における非制限的な例によって例示された、ツールの好適であるが排他的でない実施の形態の説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態におけるツールを示す概略図である。
図2】第1の実施の形態におけるツールの詳細図を示す概略図である。
図3】第2の実施の形態におけるツールを示す概略図である。
図4】ディスクコイルを示す概略図である。
図5】ディスクコイルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照すると、これらの図面は、ディスクコイル2用の測定ツール1を示している。
【0013】
ディスクコイル2は、例えば銅から形成された複数の導電性リング3を有する。リング3は、軸線4と同軸である。
【0014】
さらに、ディスクコイル2は、内側境界6によって画定された中央孔5と、外側境界7とを形成する環状の構造体を成す。ディスクコイル2は、2つの互いに反対側の面8,9をも有する。
【0015】
このディスクコイル2の幾何学的特徴は正確に測定されなければならない。例えば、幾何学的特徴は、ディスクコイル2を形成する各リング3の真円度、又はディスクコイル2の面8,9の平行度を含む。
【0016】
これらの特徴を測定するために、測定ツール1を使用することができる。
【0017】
測定ツール1はフレーム10を有し、このフレーム10上には1つ以上のキャリヤ11,12が具備されている。キャリヤ11,12は可動な支持体13,14を有する。
【0018】
さらに、各可動な支持体13,14は、ディスクコイルの幾何学的特徴を測定するためのゲージ16,17を支持している。
【0019】
可動な支持体13,14を備えたキャリヤはアクチュエータであることができる。例えば、第1のキャリヤ11は、空圧式シリンダであることができ、可動な支持体13は空圧式シリンダのピストンであることができる。同様に、第2のキャリヤ12は、空圧式シリンダであることができ、可動な支持体14は、空圧式シリンダのピストンであることができる。もちろん、例えば液圧式アクチュエータ、電気式アクチュエータなどの様々なタイプのアクチュエータを用いることもできる。
【0020】
ゲージは好適にはコンタクトゲージのような位置ゲージである。
【0021】
好適には、フレーム10は、コイル2用の支持体20を含む又はコイル2用の支持体20に結合されている。
【0022】
支持体20は、好適にはフレーム10に対して回転可能である。例えば、支持体を固定することができ、フレームが回転することができるか、又はフレームを固定することができ、支持体が回転することができる。
【0023】
コイル2用の支持体20は、コイル2を孔5において保持するように配置された中央エレメント21を有する。支持体20は、中央エレメント21に結合された支柱22をも有する。
【0024】
様々な例において、中央エレメント21を、支柱22の下側又は支柱22の上側に結合することができる。
【0025】
好適な実施の形態において、ツール1は、可動な支持体13及び第1のゲージ16を備える第1のキャリヤ11と、可動な支持体14及び第2のゲージ17を備える第2のキャリヤ12とを有する。
【0026】
さらに、角度位置のセンサ25も好適には提供されている。
【0027】
第1及び第2のキャリヤ11,12及び角度位置のセンサ25は、制御ユニット27に接続されている。
【0028】
例えば、第1のゲージ16は、リング3の円周経路(the circumferential path)をたどり、リング3の円周経路を示す第1の信号を発生するよう配置することができ、第2のゲージ17は、ディスクコイル2の外側境界7の経路をたどり、ディスクコイル2の外側境界7の経路を示す第2の信号を発生するよう配置することができる。つまり、制御ユニットは、第1の信号と第2の信号との差又はその逆を計算することによって、外側境界7に関する各リング3の形状を確認するよう配置することができる。
【0029】
支持体20は、複数の支柱22を有することもでき、コイル2用の支持平面28を規定することができる。この場合、コイル2は、中央エレメント21に結合されたとき、支持平面28に位置することができる。さらに、ツール1の第1のゲージ16及び第2のゲージ17の一方を支持平面28の上方に、他方を支持平面28の下方に位置決めすることができる。
【0030】
ツール1には傾斜計30を設けることもできる。傾斜計30は、例えばキャリヤ11,12のうちの一方によって支持されており、制御ユニット27に接続されている。
【0031】
以下では、ツールの2つの例が詳細に説明される。
【実施例】
【0032】
実施例1
図1及び図2に示したツールは、ディスクコイル2のリング3の真円度を測定するために用いることができる。
【0033】
図面から明らかなように、ディスクコイル2は、中央エレメント21によって支持されており、ゲージ16,17に面している。
【0034】
ゲージ16は、各リング3の経路をたどり、その位置を示す信号を、キャリヤ12を介して制御ユニット27へ送信する。ゲージ17は、ディスクコイル2の外周部の経路をたどり、また、その位置を示す信号を制御ユニット27へ送信する。
【0035】
さらに、角度位置のセンサ25も、その位置を示す信号(ひいては角度位置のセンサ25に結合されたディスクコイル2の位置をも示す)を制御ユニット27へ送信する。
【0036】
制御ユニット27は、これらの信号に基づいて、外側のディスクコイル周縁部に関する各リング3の経路、つまり各リング3の真円度を計算することができる。
【0037】
実施例2
図3は、ツール1の別の例を示している。この例におけるツール1は、ディスクコイル2の面8,9の平行度を測定するために利用することができる。
【0038】
図3に示したように、ツール1は、支持平面28にディスクコイル2を支持する支柱22(好適には2つ以上)を有することができる。
【0039】
フレーム10は、可動な支持体13,14及びゲージ16,17を備えたキャリヤ11,12を支持している。ゲージ16,17は、支持平面28に関して互いに反対側に(すなわち一方は上方に、他方は下方に)配置されている。ゲージ16,17は、位置ゲージであり、両方ともディスクコイル2の1つのリング3において同時に使用される。
【0040】
さらに、この実施の形態において、傾斜計30も好適には設けられている(もちろん角度位置のセンサ25を提供することもできる)。
【0041】
第1及び第2のゲージ16,17並びに傾斜計30は、制御ユニット27へ送信される信号を発生する。制御ユニット27は、これらの信号に基づいて、面8,9を仮想的に再構成することができ、これらの面8,9の平行度を確認することができる。傾斜計は、キャリヤ11,12の可能な不正確な向きを補正するために利用することができる(キャリヤ11,12は、図示された実施の形態において水平であるべきである)。
【0042】
もちろん、説明された特徴は、互いに独立して提供されてよい。
【0043】
実際には、使用される材料、及び寸法は、要求及び従来技術にしたがって任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ツール
2 ディスクコイル
3 リング
4 軸線
5 中央孔
6 内側境界
7 外側境界
8 面
9 面
10 フレーム
11 キャリヤ
12 キャリヤ
13 支持体
14 支持体
16 ゲージ
17 ゲージ
20 支持体
21 中央エレメント
22 支柱
25 センサ
27 制御ユニット
28 支持平面
30 傾斜計
図4
図5
図1
図2
図3