(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744114
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】入力装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
H01H 36/00 20060101AFI20150611BHJP
G06F 3/02 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
H01H36/00 J
G06F3/02 360E
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-134369(P2013-134369)
(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-11788(P2015-11788A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2014年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】特許業務法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】伊勢谷 匠
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 達也
(72)【発明者】
【氏名】角谷 健太
【審査官】
段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−317393(JP,A)
【文献】
特開平8−248957(JP,A)
【文献】
特開平1−280470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 36/00
G06F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配列された静電容量式の複数のスイッチ部と、
前記複数のスイッチ部の各々への操作状態を判定し、当該操作状態に対応した操作信号を出力する操作信号出力部と、
を含み、
前記操作信号出力部は、前記操作状態が前記複数のスイッチ部に対してその配列方向に沿った第1方向へ前記複数のスイッチ部のうちの2つのスイッチ部を順に触れる第1操作状態であると判定したときには制御対象値をその上限値へ変更する前記操作信号を出力し、前記操作状態が前記複数のスイッチ部に対して前記第1方向と反対の第2方向へ前記2つのスイッチ部を順に触れる第2操作状態であると判定されたときには前記制御対象値をその下限値へ変更する前記操作信号を出力する、
入力装置。
【請求項2】
前記操作信号出力部は、前記第1操作状態であると判定した時点の前記制御対象値が前記下限値であるときには、前記制御対象値を前記上限値と前記下限値の間の第1中間値へ変更する前記操作信号を出力し、前記第2操作状態であると判定した時点の前記制御対象値が前記上限値であるときには、前記制御対象値を前記上限値と前記下限値の間の第2中間値へ変更する前記操作信号を出力する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記操作信号出力部は、前記第1操作状態であると判定した時点の前記制御対象値が前記上限値と所定値以上の差を有するとき又は前記制御対象値が前記下限値と所定値以下の差を有するときには前記制御対象値を前記上限値と前記下限値の間の第1中間値へ変更する前記操作信号を出力し、前記第2操作状態であると判定した時点の前記制御対象値が前記下限値と所定値以上の差を有するとき又は前記制御対象値が前記上限値と所定値以下の差を有するときには、前記制御対象値を前記上限値と前記下限値の間の第2中間値へ変更する前記操作信号を出力する、
請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記複数のスイッチ部は、離間して配置された少なくとも2つの第1スイッチ部と、前記第1スイッチ部の相互間に配置された少なくとも1つの第2スイッチ部とを有しており、
前記第1スイッチ部には各々に特定の機能が割り当てられており、前記第2スイッチ部には特定の機能が割り当てられていない、
請求項1〜3の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記2つのスイッチ部は、各々、電極と当該電極の位置に対応して設けられた意匠部とを有する、
請求項1〜3の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項6】
前記複数のスイッチ部は、ユーザーが操作すると車載機器が動作するものである、
請求項1〜5の何れか1項に記載の入力装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の入力装置を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザが指などを用いて操作入力を行うための入力装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが指によって操作入力を行う入力装置の先行例は、例えば特開2012−242924号公報(特許文献1)に開示されている。この種の入力装置を用いて、例えばエアーコンディショナーの温度設定や風量設定を行う場合を考える。例えば、入力装置には上昇と下降の各コマンドに対応する2つのスイッチが備わっているとする。この場合、例えば温度や風量の設定値を上昇させるには、ユーザは、希望する設定値になるまで上昇コマンドのスイッチを複数回押すことで設定値を段階的に上昇させるか、あるいは上昇コマンドを長押しすることによって設定値を連続的に上昇させることで対処していた。温度等の設定値を下降させる場合も同様である。
【0003】
しかしながら、上記のような入力装置の操作状況によると、例えばエアーコンディショナーの設置された室内(例えば車室内)が非常に低温または高温であり、室温を急速に調整するために温度の設定値を上限値または下限値に設定したいような場合には、スイッチを押す回数が非常に多くなり、あるいは長押しに時間を要することになり、ユーザに煩わしさを感じさせていた。なお、このような不都合はエアーコンディショナーの温度設定等に限られず、例えばオーディオ装置における音量設定等、種々の制御対象値の設定においても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−242924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に係る具体的態様は、制御対象値の大幅な変更が必要な場合にも操作の煩わしさを軽減可能な入力装置等を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一態様の入力装置は、(a)一方向に配列された静電容量式の複数のスイッチ部と、(b)複数のスイッチ部の各々への操作状態を判定し、当該操作状態に対応した操作信号を出力する操作信号出力部と、を含み、(c)操作信号出力部は、操作状態が複数のスイッチ部に対してその配列方向に沿った第1方向へ
複数のスイッチ部のうちの2つのスイッチ部を順に触れる第1操作状態であると判定したときには制御対象値をその上限値へ変更する操作信号を出力し、操作状態が複数のスイッチ部に対して第1方向と反対の第2方向へ
上記2つのスイッチ部を順に触れる第2操作状態であると判定されたときには制御対象値をその下限値へ変更する操作信号を出力する、入力装置である。
【0007】
上記構成によれば、各スイッチ部に対して第1方向または第2方向へ順に触れる操作(スライド操作)を行うことによって、制御対象値を現在の値から上限値または下限値へ一挙に変更する操作入力を行うことができる。したがって、制御対象値の大幅な変更が必要な場合にも操作の煩わしさを軽減することが可能となる。
【0008】
上記の入力装置において、操作信号出力部は、第1操作状態であると判定した時点の制御対象値が下限値であるときには、制御対象値を上限値と下限値の間の第1中間値へ変更する操作信号を出力し、第2操作状態であると判定した時点の制御対象値が上限値であるときには、制御対象値を上限値と下限値の間の第2中間値へ変更する操作信号を出力する、ことも好ましい。なお、第1中間値と第2中間値は同じ値であってもよい。
【0009】
これにより、例えば制御対象値が室温であるとすると、室内を急速に暖めるために前回のスライド操作で室温の設定値を上限値にしていた場合に、次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。同様に、室内を急速に冷やすために前回のスライド操作で室温の設定値を下限値にしていた場合に、次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。
【0010】
上記の入力装置において、操作信号出力部は、第1操作状態であると判定した時点の制御対象値が上限値と所定値以上の差を有するとき又は前記制御対象値が前記下限値と所定値以下の差を有するときには制御対象値を上限値と下限値の間の第1中間値へ変更する操作信号を出力し、第2操作状態であると判定した時点の制御対象値が下限値と所定値以上の差を有するとき又は前記制御対象値が前記上限値と所定値以下の差を有するときには、制御対象値を上限値と下限値の間の第2中間値へ変更する操作信号を出力する、ことも好ましい。なお、第1中間値と第2中間値は同じ値であってもよい。
【0011】
これにより、例えば制御対象値が室温であるとすると、室温の設定値が上限値ないしはそれに近い値である場合に、次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。同様に、室温の設定値が下限値ないしはそれに近い値である場合に、次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。
【0012】
上記の入力装置において、複数のスイッチ部は、離間して配置された少なくとも2つの第1スイッチ部と、第1スイッチ
部の相互間に配置された少なくとも1つの第2スイッチ部とを有しており、第1スイッチ
部には各々に特定の機能が割り当てられており、第2スイッチ
部には特定の機能が割り当てられていない、ことも好ましい。
これにより、スライド操作をより確実に判定することができる。
【0013】
上記の入力スイッチにおいて、複数のスイッチ部は、ユーザーが操作すると車載機器が動作するものである、ことも好ましい。また、複数のスイッチ部は、各々、電極と当該電極の位置に対応して設けられた意匠部とを有する、ことも好ましい。
【0014】
本発明に係る一態様の電子機器は、上記した入力装置を備えて構成される。ここでいう電子機器に特段の限定はなく、例えば、車載用エアーコンディショナー、車載用カーナビゲーション装置、車載用オーディオ装置、あるいは携帯型の情報処理装置など種々のものが考えられる。
【0015】
上記構成によれば、制御対象値の大幅な変更が必要な場合にも操作の煩わしさを軽減可能な入力装置を備えた電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態の入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2(A)は、各スイッチ部の構造について説明するための模式的な平面図である。
図2(B)および
図2(C)は、各スイッチ部を用いて行われる操作入力について説明するための模式図である。
【
図3】
図3は、あるスイッチ部(一例としてスイッチ部10A)に対してタッチ操作が行われた際におけるスイッチ部のオン/オフ検出波形を示す図である。
【
図4】
図4は、スイッチ部10Aからスイッチ部10Cへ向かってスライド操作が行われた際における各スイッチ部のオン/オフ検出波形を示す図である。
【
図5】
図5は、スライド操作が行われた場合における設定温度の遷移状態の一例を示す概念図である。
【
図6】
図6は、スライド操作が行われた場合における設定温度の遷移状態の他の例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、一実施形態の入力装置の構成を示すブロック図である。この入力装置は、例えば車載用エアーコンディショナーへの指示入力を行うために車室内の所定位置に設置されているものであり、複数(本例では3つ)のスイッチ部10A、10B、10Cと、操作検出部11と、制御部12を含んで構成されている。なお、本実施形態では、スイッチ部10Aとスイッチ部10Cが「第1スイッチ部」に対応し、スイッチ部10Bが「第2スイッチ部」に対応し、操作検出部11と制御部12が「操作信号出力部」に対応する。
【0019】
各スイッチ部10A、10B、10Cは、ユーザが自身の指などで押すことにより各種の指示入力を行うために用いられる静電容量式のスイッチ部である。
【0020】
操作検出部11は、各スイッチ部10A等と接続されており、これらのスイッチ部10A等へのユーザによる操作状態を検出する。具体的には、操作検出部11は、各スイッチ部10A等のいずれかにユーザの指などが接触すると、この操作状態を検出してその状態を表す電気信号(検出値)を出力する。ここでは、デジタル信号による検出値を出力するものとする。
【0021】
制御部12は、例えばCPU、ROM、RAM等を含んで構成されたマイクロコンピュータであり、予めROMに記憶された所定の動作プログラムを実行することにより、入力装置の全体動作を制御する。具体的には、制御部12は、操作検出部11から得られる検出値に基づいて、各スイッチ部10A等への操作状態に対応した操作信号を生成し、車載用エアーコンディショナーへ出力する。なお、制御部12は、車載用エアーコンディショナー自体に備わっているCPU等を共用して実現されていてもよい。
【0022】
図2(A)は、各スイッチ部の構造について説明するための模式的な平面図である。図示のように、各スイッチ部10A〜10C(図中、単にA,B,Cと示す。)は、一方向に沿って隣接して配置されている。スイッチ部10Aは、表面材(ガラス、アクリル等)の内側に設けられた電極20Aと、この電極20Aの位置に対応して表面材の外側に印刷された意匠部30Aを含んで構成される。同様に、スイッチ部10Cは、電極20Cと意匠部30Cを含んで構成される。なお、図示の都合上、電極と意匠部を左右に分離して表現しているが実際には両者は重なって配置される。ここでいう意匠部とはスイッチ部を操作することにより実行される機能を図柄で表現するものであり、本例の意匠部30A、30Cでは、エアーコンディショナーの温度設定値を上昇/下降させる機能に対応している。なお、スイッチ部10Bは、電極20Bを有するがタッチ操作に対応した特定の機能が割り当てられていないために意匠部は有していない。
【0023】
図2(B)および
図2(C)は、各スイッチ部を用いて行われる操作入力について説明するための模式図である。本実施形態では、
図2(B)に示すように意匠部30Aまたは意匠部30Cを単独で触れる操作をタッチ操作とし、
図2(C)に示すように意匠部30Aから意匠部30Cへかけて、または意匠部30Cから意匠部30Aへかけて指を滑らすように触れる操作をスライド操作とする。意匠部30Aへのタッチ操作は設定温度を所定値(本例では1℃)だけ上昇させる操作入力に対応し、意匠部30Cへのタッチ操作は設定温度を所定値(本例では1℃)だけ下降させる操作入力に対応する。また、意匠部30Aから意匠部30Cへかけてのスライド操作(DOWNスライド操作)は設定温度を所定値(たとえば下限値)まで一挙に下降させる操作入力に対応し、意匠部30Cから意匠部30Aへかけてのスライド操作(UPスライド操作)は設定温度を所定値(たとえば上限値)まで一挙に上昇させる操作入力に対応する。
【0024】
本実施形態の入力装置は上記の構成を備えており、次にその動作について詳細に説明する。
【0025】
図3は、あるスイッチ部(一例としてスイッチ部10A)に対してタッチ操作が行われた際におけるスイッチ部のオン/オフ検出波形を示す図である。スイッチ部10Aに対してタッチ操作が行われるとその接触時間に応じた期間だけ検出波形のレベルが上昇し、制御部12において、スイッチ部10A(スイッチA)がオン状態であると判定される。このタッチ操作が行われる毎に設定温度(温度の設定値)が1℃ずつ上昇し、それに対応する操作信号が制御部12によって生成され、出力される。図示の例では、設定温度が19℃、20℃と上昇している。また、スイッチ部10Aに対するタッチ操作による接触時間が所定基準を超えて継続した場合には、設定温度が連続的に上昇し、それに対応する操作信号が制御部12によって生成され、出力される。図示の例では、設定温度が21℃、22℃、・・・25℃と連続的に上昇している。このようなタッチ操作は、設定温度を変化させたい幅が比較的小さい場合にはさほど煩わしくないが、例えば設定温度を上限値まで変化させたい場合にはユーザにとって非常に煩わしい。
【0026】
図4は、スイッチ部10Aからスイッチ部10Cへ向かってスライド操作が行われた際における各スイッチ部のオン/オフ検出波形を示す図である。詳細には、
図4(A)はスイッチ部10Aの波形図であり、
図4(B)はスイッチ部10Bの波形図であり、
図4(C)はスイッチ部10Cの波形図である。各図に示すように、スライド操作に伴ってスイッチ部10A、スイッチ部10B、スイッチ部10Cの順にユーザの指が接触するので、そのユーザの指の接触時間に応じてスイッチ部10A(スイッチA)、スイッチ部10B(スイッチB)、スイッチ部10C(スイッチC)の順でオン状態であると判定される。この連続的なオン状態の判定に基づいて、制御部12は、DOWNスライド操作が行われたことを判定し(
図2(C)参照)、それに対応する操作信号を生成し、出力する。具体的には、本実施形態では、設定温度が上限値の32℃であった場合には、中間値である25℃まで設定温度を下降させる操作信号が生成・出力される。また、設定温度が上限値より低い値(例えば例示の31℃)であった場合には、下限値である18℃まで設定温度を下降させる操作信号が生成・出力される。
【0027】
なお、図示を省略するがスイッチ部10Cからスイッチ部10Aへ向かってスライド操作が行われた場合も同様である。すなわち、スライド操作に伴ってスイッチ部10C、スイッチ部10B、スイッチ部10Aの順にユーザの指が接触するので、そのユーザの指の接触時間に応じてスイッチ部10C(スイッチC)、スイッチ部10B(スイッチB)、スイッチ部10A(スイッチA)の順でオン状態であると判定される。この連続的なオン状態の判定に基づいて、制御部12は、UPスライド操作が行われたことを判定し、それに対応する操作信号を生成し、出力する。
【0028】
図5は、スライド操作が行われた場合における設定温度の遷移状態の一例を示す概念図である。本実施形態では、制御部12は、設定温度がその下限値の18℃であるときにUPスライド操作を判定すると、下限値と上限値の間に存在する中間値(本例では25℃)に設定温度を上昇させる操作信号を出力する。また、制御部12は、設定温度がその下限値の18℃よりも高い値(19℃〜31℃)であるときにUPスライド操作を判定すると、上限値の32℃に設定温度を上昇させる操作信号を出力する。同様に、制御部12は、設定温度がその上限値の32℃であるときにDOWNスライド操作を判定すると、下限値と上限値の間に存在する中間値(本例では25℃)に設定温度を下降させる操作信号を出力する。また、制御部12は、設定温度がその上限値の32℃よりも低い値(19℃〜31℃)であるときにDOWNスライド操作を判定すると、下限値の18℃に設定温度を下降させる操作信号を出力する。なお、ここではUPスライド操作に対応する中間値とDOWNスライド操作に対応する中間値がともに25℃であるがこの値は一例であり、かつこれらはそれぞれ別の値に設定されてもよい。
【0029】
図6は、スライド操作が行われた場合における設定温度の遷移状態の他の例を示す概念図である。上記した
図5の遷移状態では、設定温度がその下限値18℃である場合にのみUPスライド操作に対応して設定温度を中間値へ変更していたが、
図6に示すように、設定温度がその下限値18℃を含んだ所定範囲(図示の例では18℃〜20℃)の場合にはUPスライド操作に対応して設定温度を中間値へ変更するようにしてもよい。換言すれば、UPスライド操作を判定した時点の設定温度と上限値の間に一定値以上の差(本例では12℃)がある場合には、UPスライド操作に対応して設定温度を中間値へ変更するようにしてもよい。同様に、
図6に示すように、設定温度がその上限値32℃を含んだ所定範囲(図示の例では30℃〜32℃)の場合にはDOWNスライド操作に対応して設定温度を中間値へ変更するようにしてもよい。換言すれば、DOWNスライド操作を判定した時点の設定温度と下限値の間に一定値以上の差(本例では12℃)がある場合には、DOWNスライド操作に対応して設定温度を中間値へ変更するようにしてもよい。
【0030】
また、その他の例として、設定温度が下限値であるか否かに関わらずUPスライド操作が行われた場合には一律に設定温度を上限値(またはそれに近い所定値)へ変更してもよく、同様に、設定温度が上限値であるか否かに関わらずDOWNスライド操作が行われた場合には一律に設定温度を下限値(またはそれに近い所定値)へ変更してもよい(図示省略)。
【0031】
以上のような本実施形態によれば、各スイッチ部に対して第1方向または第2方向へ順に触れる操作(スライド操作)を行うことによって、制御対象値である設定温度を現在の値から上限値または下限値へ一挙に変更する操作入力を行うことができる。したがって、制御対象値である設定温度の大幅な変更が必要な場合にも操作の煩わしさを軽減することが可能となる。また、現時点での設定温度が上限値ないしはそれに近い値である場合には次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。同様に、設定温度が下限値ないしはそれに近い値である場合に、次のスライド操作によって適温に相当する中間値へ簡単な操作で変更することができる。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、上述した実施形態では入力装置を用いた制御対象値の一例として室温の設定値を挙げていたが制御対象値はこれに限定されない。例えば、エアーコンディショナーの風量設定、オーディオ装置における音量設定やラジオ放送の周波数設定などの種々の制御対象値の設定において本発明を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0033】
10A、10B、10C:スイッチ部
11:操作検出部
12:制御部
20A、20B、20C:電極
30A、30C:意匠部