(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744191
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月1日
(54)【発明の名称】高分子材料をフローコートするための方法
(51)【国際特許分類】
B05D 1/30 20060101AFI20150611BHJP
B05D 7/02 20060101ALI20150611BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20150611BHJP
【FI】
B05D1/30
B05D7/02
B05D7/24 303E
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-514634(P2013-514634)
(86)(22)【出願日】2011年6月6日
(65)【公表番号】特表2013-532058(P2013-532058A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011059311
(87)【国際公開番号】WO2011157586
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2013年1月30日
(31)【優先権主張番号】10165849.0
(32)【優先日】2010年6月14日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シユミツト,ゼバステイアン
(72)【発明者】
【氏名】チユール,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ツエール,ユーリ
【審査官】
山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/134768(WO,A1)
【文献】
特開平8−300569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子材料をフローコートするための方法であって、
a.少なくとも1つの構成部品(1)が、ホルダー(2)内に床(5)に対して25°〜90°の角度で挿入され、
b.構成部品(1)が、上縁(1a)から、10重量%〜30重量%の4−メチル−2−ペンタノンを含むワニス(3)で被覆され、
ステップ(b)において、上縁(1a)に隣接する構成部品(1)の表面の30%までが影響される空気(4)の流れが形成される、方法。
【請求項2】
空気(4)の流れが、1m/s〜5m/sの速度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
空気(4)の流れが、30℃〜150℃の温度を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
高分子材料をフローコートするための方法であって、
a.少なくとも1つの構成部品(1)が、ホルダー(2)内に床(5)に対して25°〜90°の角度で挿入され、
b.構成部品(1)が、上縁(1a)から、10重量%〜30重量%の4−メチル−2−ペンタノンを含むワニス(3)で被覆され、
ステップ(b)の前および/または間に、上縁(1a)に隣接する構成部品(1)の表面の30%までが、25℃〜100℃の温度で維持される、方法。
【請求項5】
ステップ(b)が、30秒〜120秒後に少なくとも一度繰り返される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
構成部品(1)が、床に対して35°〜70°の角度でホルダー(2)に挿入される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ワニス(3)が、トップコートおよび/または下塗剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
トップコートおよび/または下塗剤が、有機的に改質されたシリコーン樹脂および/またはポリアクリレート類を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ワニス(3)が、溶媒として、4−メチル−2−ペンタノン、エタノール、メタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンおよび/またはそれらの混合物または誘導体を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料をフローコートするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティングおよびワニスを塗布することは、外観に加えて、高分子材料の表面の質および抵抗に実質的な影響を有する。これは、高分子材料の色や光沢などの視覚的印象およびその化学的および機械的抵抗の両方に関係がある。ワニスが、被覆される部品に単に不十分に付着する場合、恒久的に付着するワニスの塗布は、2段階プロセスで行われることができる。第1のステップにおいて、ポリマー部とトップコートとの間に化学的または物理的結合を生じる下塗剤が、塗布される。下塗剤の塗布および硬化後に、機能層は塗布されることができる。着色化合物および顔料に加えて、機能層および下塗剤は、構成部品と同様にUV遮断物および防腐剤を含むことができ、引っかき抵抗性、例えば、ナノ粒子を増大させる。多くの場合では、最初に塗布された下塗剤は、UV遮断物および防腐剤を含む。次いで、第2のステップでは、ハードコートが下塗剤上に塗布される。ハードコートは、多くの場合には、ハイブリッドポリシロキサン類を含み、有機残留物−Rを備えたSi−O基およびSi−R基の両方を含む。これらのハードコートは、機械的応力、攻撃的化学物質または化合物に対する高い抵抗を有する。これは、主に、有機溶媒を含むが、希酸および塩基も含む。
【0003】
下塗剤およびトップコートからなるワニスは、様々な方法を使用して塗布されることができる。一般に使用される方法としては、ブラッシングおよびローリング、エアゾールの噴霧、粉体コーティング、ディップコーティング、および溶液、乳濁液、または懸濁液のフローコーティングの他に、ガス相からのCVD(化学蒸着法)およびPVD(物理的気相成長法)法が挙げられる。方法は、それらの装置の必要条件、コスト、および特に多量の場合にそれらの再現性において著しく異なる。多量に高分子材料を塗布する一般的な方法は、フローコーティングである。このために、構成部品は、液体ワニスで上縁から影響される。結果として生じるコーティングは、1つまたは複数の固定して設けられたフローコートノズルまたはワニスカーテンで、または移動可能なフローロボットアームで行うことができる。流れるワニスは、フローロボットアームの位置に依存して構成部品全体を湿らす。
【0004】
フローコーティングの欠点は、ワニスの塗布の点または上側奔流端および過剰ワニスの下側滴下縁からの物理的に生み出されたコーティング厚さの傾斜である。被覆される構成部品上のその経路上で、溶媒の一部が蒸発する。溶媒濃度の低下は、多くの場合に、滴下縁の領域中のワニスの粘性の増大をもたらす。粘性の増大は、同時に、滴下速度を低下し、滴下縁の領域における層厚さの増大も同時に引き起こす。さらに、あらかじめ重合され、部分的に重合されたワニスの一部は、滴下縁の領域に堆積し、溜まる可能性がある。奔流領域では、必要な層厚さは、頻繁に達せられない。ところが、滴下縁では、ワニスの連続する流れにより、過剰な層厚さが成長する可能性がある。不十分な層厚さは、耐候性の損失、したがって、被覆された構成部品の急速な経年変化をもたらす場合がある。対照的に、ワニスの過剰な層厚さは、しばしば、応力亀裂の形成を引き起こす。この効果は、複数のワニス層または機能層が、被覆される部品上に塗布される場合に強められる。
【0005】
独国特許出願公開第19906247号明細書は、自動車体上に2層トップコートを生成するための方法を開示している。透明ワニスコーティング材料から作られる透明最終コートは、水系ベースコート上に塗布される。
【0006】
英国特許第1,097,461号明細書は、プラスチックシートまたはフィルムを印刷し着色する方法を開示している。着色はブラッシング、スプレー、またはフローコーティングによって塗布され、次いで、乾燥によって固定されることができる。
【0007】
英国特許第1,201,292号明細書は、低温で硬化されることができる木材、ガラス、プラスチック、および合成車体部品用アクリルコーティングを開示している。アクリルコーティングは、スプレー、ディッピング、ブラッシング、またはフローコーティングによって塗布されることができる。
【0008】
英国特許出願公開第2123841号明細書は、ディップコーティングおよびフローコーティング法によって材料に塗布されることができる薄い耐摩耗性ポリウレタンコーティングを開示している。可能な基板は、特に、透明ポリカーボネートおよび熱可塑性ポリウレタンシートである。
【0009】
国際公開第2008/134768号は、高分子材料をフローコートするための方法を開示している。コーティングは、所定のコーティング角度で塗布される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】独国特許出願公開第19906247号明細書
【特許文献2】英国特許第1,097,461号明細書
【特許文献3】英国特許第1,201,292号明細書
【特許文献4】英国特許出願公開第2123841号明細書
【特許文献5】国際公開第2008/134768号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、被覆される構成部品上に塗布されることが可能なワニスの層の一定の層厚さを形成する高分子材料をフローコートするための方法を提供することである。特に、ワニスの層厚さの傾斜は、上側奔流端から下側滴下縁までできるだけ小さいべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、請求項1に記載の高分子材料をフローコートするための方法によって本発明により完成される。好ましい実施形態は、従属請求項によって付与される。
【0013】
フローコーティングのための本発明による装置およびその使用は、他の独立請求項から明らかになる。
【0014】
高分子材料をフローコートするための本発明による方法は、第1のステップを含み、少なくとも1つの構成部品は、ホルダー内に床に対して25°〜90°の角度で挿入される。構成部品は、次いで、上縁から、4−メチル−2−ペンタノンおよび/またはその誘導体10重量%〜30重量%、好ましくは、15重量%〜20重量%を含むワニスで被覆される。ワニスは、構成部品上の上縁から滴下縁まで全面的に流れる。被覆される構成部品のサイズによって、ワニスは、ワニスカーテンおよび/または互いに隣接して配置された複数のノズルから構成部品上に流れる。他の選択では、ワニスは、移動可能なノズルアームから構成部品上に塗布される。
【0015】
急速に蒸発する溶媒4−メチル−2−ペンタノンは、コーティングの流れの原動力を早期に停止し、このように、過度に長く連続するワニスの流れによる上縁の領域におけるフィルム収縮、およびワニスの集積による下側端上で増大するワニスのビルドアップを妨げるという点で、フィルム形成を著しく促進する。このように、均質な層厚さは、構成部品の表面に沿ってY方向に得られる。実験は、2〜10%の上縁の領域(上縁から構成部品の長さのおよそ30%まで)における層厚さの増大、および2〜10%の下側端の領域(下側端から構成部品の長さのおよそ30%まで)における層厚さの減少を引き起こした。
【0016】
好ましい実施形態では、構成部品の上縁下のワニスは、ワニスが構成部品上を流れると同時におよび/または間に、空気の流れによって影響される。本発明の文脈では、表現「上縁下」は、構成部品の端に隣接する表面の30%までを含む。上縁下の領域内の少なくとも小領域上の空気の流れによる影響は、ワニス中の溶媒の蒸発を増大させ、ワニスの粘性を増大する。増大した粘性は、上縁下の領域中のワニスの流れを遅くし、下側滴下縁上のワニスの層厚さと上縁下のワニスの層厚さを等しくする。
【0017】
高分子材料をフローコートするための本発明による方法の別の実施形態では、第1のステップにおいて、少なくとも1つの構成部品が、ホルダー内に床に対して25°〜90°の角度で挿入される。次いで、構成部品は、25℃〜100℃の温度に上縁上で加熱され、その間および/またはその後、上縁からワニスで被覆される。表現「上縁」は、上記のように、上縁に隣接する構成部品の表面の30%までを称する。上縁の加熱は、空気の熱い流れまたは送風機で行われることができる。代替の選択は、例えば、赤外線ラジエタで放射熱を使用する加熱である。上縁下の構成部品の加熱は、空気の流れによる影響と同様に、ワニス中の溶媒の蒸発を増大し、ワニスの粘性を増大する。増大した粘性は、上縁下の領域中のワニスの流れを遅くし、下側滴下縁上のワニスの層厚さと上縁(奔流端)下のワニスの層厚さを等しくする。
【0018】
説明された本発明による方法の2つの実施形態は、自動プロセスで繰り返されることもできる。ワニスの塗布の繰り返しおよび空気の流れまたは構成部品の加熱による影響は、複数の同じおよび/または異なるワニス層の複数の堆積を可能にする。繰り返しは、同じ装置および搬送機ベルトによって互いに接続された本発明による異なる装置の両方上で行われることができる。
【0019】
構成部品は、ホルダー内に床に対して好ましくは、35°〜70°、特に好ましくは、40°〜60°の角度で挿入される。ホルダーは、好ましくは、金属および/または合金、特に好ましくは、鉄、アルミニウム、クロム、バナジウム、ニッケル、モリブデン、マンガン、またはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリメチルメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリアミド類および/またはそれらの混合物または共重合体などのポリマーを含む。
【0020】
空気の流れは、好ましくは、1m/s〜5m/s、好ましくは、2m/s〜4m/sの速度を有する。
【0021】
空気の流れは、好ましくは、30℃〜150℃、好ましくは、40℃〜80℃の温度を有する。
【0022】
本発明は、さらに、高分子材料をフローコートするための装置を含む。装置は、ホルダー内に床に対して25°〜90°の角度で挿入された少なくとも1つの構成部品を含む。構成部品は、少なくとも1つの高分子材料を含み、その上、構成部品は、金属および/またはガラスを含むこともできる。高分子材料は、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン類、ポリカーボネート類、ポリメチルメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはそれらの混合物または共重合体、特に好ましくは、ポリカーボネート、およびポリカーボネート/ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート/アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレートなどのポリカーボネート混合物を含む。構成部品は、好ましくは、250cm
2を超える、特に好ましくは、500cm
2を超える表面を有する。ノズル、好ましくは、移動可能なロボットアームは構成部品上方に配置されて、構成部品上にワニスを塗布する。ノズルまたは移動可能なロボットアームは、床および端に隣接する構成部品の表面の30%に対する上縁上へのワニスの塗布を可能にする。空気ノズルおよび/または熱源は、構成部品の上縁に向けられる。構成部品のサイズおよび幅に依存して、複数の空気ノズルおよび/または熱源は、互いに隣接して配置されることもできる。
【0023】
ホルダーは、好ましくは、搬送機ベルト、床搬送機、または吊下げ搬送機上に設置される。搬送機ベルトは、好ましくは、ワニスライン内に位置し、このようにして、大量の構成部品のフローコーティングおよび複数のワニスを塗布するステップを可能にする。
【0024】
空気ノズルまたは噴霧装置は、好ましくは、一時的な静止(止め置かれた)状態で構成部品から100mm〜1000mm、好ましくは、150mm〜400mm離れて配置される。
【0025】
好ましくは、1〜10の空気ノズル、特に好ましくは、2〜5の空気ノズルが構成部品の前に配置される。
【0026】
ワニスは、好ましくは、トップコートおよび/または下塗剤、特に好ましくは、トップコート中の有機的に改質されたシリコーン樹脂および/または下塗剤中のポリアクリレート類を含む。
【0027】
ワニスは、好ましくは、溶媒、好ましくは、水、アルコール類および/またはケトン類、特に好ましくは、メタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンおよび/またはそれらの混合物または誘導体を含む。
【0028】
下塗剤は、溶媒、好ましくは、1−メトキシ−2−プロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンおよび/またはそれらの混合物または誘導体を含む。トップコートは、溶媒、好ましくは、水、特に好ましくは、メタノール、2−プロパノール、n−ブタノールおよび/またはそれらの混合物または誘導体を含む。
【0029】
本発明は、さらに、高分子材料をフローコートするため、好ましくは、自動車中のプラスチック部品をフローコートするため、特に好ましくは、自動車ルーフをフローコーティングするためおよび/またはプラスチックから作られる自動車グレージングのための本発明による装置の使用を含む。
【0030】
以下では、本発明は、図面を参照して詳細に説明される。図面は、単に概要であり、縮尺に忠実ではない。図面は、本発明を決して限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明による装置の1つの実施形態の概略図である。
【
図2】本発明による装置の他の実施形態の概略図である。
【
図3】先行技術のフローコートされた構成部品の断面図である。
【
図4】本発明の方法によるフローコートされた構成部品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明による装置(10)の好ましい実施形態の概略図である。被覆される構成部品(1)は、ホルダー(2)内に位置し、構成部品(1)の上縁(1a)から移動可能なノズルアーム(6)によってワニス(3)で被覆される。構成部品(1)の上縁(1a)内の領域、つまり、端に隣接する表面の30%において、ワニス(3)は、空気ノズル(7a)からの空気(4)の流れに影響される。ホルダー(2)は、好ましくは、床搬送機(8)上に位置する。床(5)上の床搬送機(8)は、ワニスラインおよび組立てラインで移動方向(11)に本発明による装置(10)を使用することを可能にする。
【0033】
図2は、本発明による装置(10)の他の好ましい実施形態の概略図である。基本構造は、
図1に記載された装置の構造に相当する。しかしながら、上縁の領域では、構成部品は、熱源(7b)によってワニス(3)(図示せず)の塗布前または塗布中に加熱される。ワニス(3)中の溶媒は、加熱された領域中でより速く蒸発し、このようにしてより高い粘性および上縁(1a)上の層厚さ(a)を生成する。床(5)上の搬送機ベルト(8)は、
図1の場合のように、ワニスラインおよび組立てラインでの本発明による装置(10)を使用することを可能にする。
【0034】
図3は、先行技術によるフローコートされた構成部品の断面図を表す。構成部品(1)は、上縁(a’)から滴下縁(b’)までフローコートされた。ワニス(3)中の溶媒の一部は、構成部品(1)上を流れる間に蒸発する。構成部品(1)が長く、周囲温度が高いほど、それだけこの効果は大きい。ワニス(3)中の溶媒が減少すると、ワニス(3)の粘性が増大し、したがって、滴下縁(b’)の領域中のワニスの層厚さが不都合に増大する。
【0035】
図4は、本発明の方法によるフローコートされた構成部品の断面図を表す。構成部品(1)は、上縁(a)から滴下縁(b)までフローコートされ、ワニス(3)は、その間に、空気(4)の流れによって構成部品(1)の上縁(1a)下で影響された。ワニス(3)中の溶媒の一部は、構成部品(1)上を流れる間に蒸発する、すなわち、
図3に記載されるように、構成部品(1)が長く、周囲温度が高いほど、それだけこの効果は大きい。しかしながら、空気(4)の流れによる影響は、上縁(a)上のワニス(3)の溶媒の蒸発を増大させる。結果として起こる高い粘性は、上縁(a)上のワニス(3)の層厚さを増大させ、滴下縁(b)上のワニス(3)の層厚さとの差を確実に小さくする。
図3による装置でのフローコーティングに比較して、上縁(1a)の中間の層厚さは、本発明による装置および方法で3%〜5%増大する。
【符号の説明】
【0036】
(1)構成部品
(1a)構成部品の上縁
(2)ホルダー
(3)ワニス
(4)空気の流れ
(5)床
(6)ノズル/スプレーアーム
(7a)空気ノズル
(7b)熱源
(8)搬送機ベルト/床搬送機
(9)温度放射
(10)本発明による装置
(11)移動方向
(a、a’)上縁/奔流端
(b、b’)滴下縁