特許第5744340号(P5744340)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744340
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】フィルムコーティング用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4178 20060101AFI20150618BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 9/28 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 9/30 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 9/36 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20150618BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   A61K31/4178
   A61P9/12
   A61K9/14
   A61K9/28
   A61K9/30
   A61K9/36
   A61K47/04
   A61K47/02
   A61K47/32
   A61K47/38
【請求項の数】5
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2014-540267(P2014-540267)
(86)(22)【出願日】2014年5月23日
(86)【国際出願番号】JP2014002709
(87)【国際公開番号】WO2014188728
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2014年9月2日
(31)【優先権主張番号】特願2013-109871(P2013-109871)
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000181147
【氏名又は名称】持田製薬株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区四谷1丁目7番地
(74)【代理人】
【識別番号】100102668
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 憲生
(74)【代理人】
【識別番号】100147289
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100182486
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 正展
(74)【代理人】
【識別番号】100189131
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 拓郎
(74)【代理人】
【識別番号】100158872
【弁理士】
【氏名又は名称】牛山 直子
(72)【発明者】
【氏名】藤井 啓達
【住所又は居所】東京都新宿区四谷一丁目7番地 持田製薬株式会社内
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/029820(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/113420(WO,A1)
【文献】 特開平10−218795(JP,A)
【文献】 特開平09−002976(JP,A)
【文献】 特開2002−012541(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/018777(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/057569(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/062077(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/123765(WO,A1)
【文献】 特開2012−036140(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/145191(WO,A1)
【文献】 特開2014−224099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
A61K 31/4178
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルメサルタンメドキソミルを有効成分として含む錠剤、細粒剤および顆粒剤からなる群より選ばれる少なくとも1つの固形製剤が、
コーティング層中の含量が、コーティング製剤中の前記オルメサルタンメドキソミル100質量部に対して5〜100質量部である無機化合物であって、含水二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、及び軽質無水ケイ酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物、並びに、
コーティング層中の含量が、コーティング製剤中の前記オルメサルタンメドキソミル100質量部に対して5質量部以上であるポリマー基剤であって、当該ポリマー基剤がポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーであるポリマー基剤、
を含有してなるコーティング用組成物、でコーティングされたコーティング層を有することを特徴とするコーティング製剤。
【請求項2】
無機化合物が、含水二酸化ケイ素及び/又は酸化マグネシウムである請求項に記載のコーティング製剤。
【請求項3】
コーティング層が、2層以上の多層コーティングである請求項1又は2に記載のコーティング製剤。
【請求項4】
固形製剤が錠剤である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
【請求項5】
コーティング層中の無機化合物の含量が、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5〜10質量部である請求項1〜のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の医薬品が発するジアセチルに起因する特有な不快臭の放出を改善したコーティング用組成物及び当該組成物でコーティングが施されたコーティング製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医薬品は経口投与製剤の占める割合が高く、その中でも固形製剤が主流であるが、中には特有な不快臭を有する製剤が存在する。これらの不快臭は、服用者の服薬時や医療従事者の調剤時に強い不快感を与えることから、何らかの改善策が求められる。
【0003】
特有な不快臭を有する医薬品成分の例の1つとして、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−{[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)−1,1’−ビフェニル−4−イル]メチル}−1H−イミダゾール−5−カルボキシレート(以下、「オルメサルタンメドキソミル」という。)が挙げられる。オルメサルタンメドキソミルは、オルメテック(登録商標、以下同)錠として既に製造・販売されている高血圧症治療薬であり、オルメテック錠は有効成分にオルメサルタンメドキソミルを含む素錠の形態の錠剤である。オルメサルタンメドキソミルは、メドキソミルエステルが徐々に切断される過程で臭い原因物質と考えられている低分子の2,3−ブタジオン(以下、「ジアセチル」という。)を放出することが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
また、オルメテック錠は有効成分がメトホルミン塩酸塩であるメデット(登録商標、以下同)錠やメトグルコ(登録商標、以下同)錠、有効成分がカモスタットメシル酸塩であるフオイパン(登録商標、以下同)錠と一包化時に、これらの錠剤を着色することも知られており、この原因もオルメテック錠より放出されるジアセチルによるものと考えられている。一包化による錠剤の着色は外観を損なうだけでなく、医薬品そのものの品質にも影響を与える可能性があり、好ましくない。このようなことから、オルメサルタンメドキソミルを含有する医薬品製剤からジアセチルを発生させない、あるいは放出させない工夫が必要とされてきている。
【0005】
においの放出を抑制する方法としては、糖衣錠やフィルムコーティング錠が知られている。しかしながら、糖衣錠は錠剤が大型化し服用しにくくなるという問題がある。
【0006】
オルメサルタンメドキソミルを含む錠剤に関するコーティング錠としては、コーティング成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロース(特許文献2参照)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(特許文献3参照)、デキストロース(特許文献4参照)、ポリビニルアルコールやビニルアルコール系共重合体(特許文献5参照)などを用いて素錠をフィルムコートすることが知られている。
また、ジアセチルを発生させない方法として、フィルムコーティング中や医薬組成物処方中にシクロデキストリンを加える方法が知られている(特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、これらのコーティング方法では、40℃3時間、または室温1週間という短期間でのにおいの抑制効果は開示されているものの、充分な抑制効果を示さないものもあった。また、医薬品は過酷条件下や長期保存条件下でも耐えうる品質を有する必要があるが、かかる条件下でのにおいの抑制効果は明らかではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010/018777号パンフレット
【特許文献2】特開2003−300883号公報
【特許文献3】国際公開第2006/123765号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/123766号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2009/057569号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように、ジアセチルを発生し、放出して特有の不快臭を有する医薬品製剤において、ジアセチルの製剤中からの放出を抑制することで、不快臭なく、あるいは不快臭を抑制し、服薬時や医療従事者の調剤時に不快感のないコーティング製剤の提供が望まれている。特に、過酷条件下や長期保存条件下でもジアセチルの製剤中からの放出を抑制することができるコーティング製剤の提供が望まれている。
また、医薬品の一包化時に他剤を着色することのないコーティング製剤の提供が望まれている。
そして、これらの性質の少なくとも1つを有するコーティング製剤、及びそれを製造するためのコーティング用組成物を提供することが課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記問題に鑑み、経口用製剤からのジアセチルの放出を効率的に抑制することができる製剤を鋭意検討した結果、一般的なフィルムコーティング基剤に含水二酸化ケイ素等の特定の無機化合物を加えたコーティング用組成物で経口用固形製剤を被覆することにより、不快臭の原因であるジアセチルの放出を抑制し、その結果、においを発生させない、又はにおいの放出を抑制することができることを見出した。
また、ジアセチルの放出が抑制できることから、一包化時に他剤を着色させなくなることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明の第一の態様は以下のコーティング製剤である。
(1−1)メドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含む固形製剤が、
ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物でコーティングされたコーティング層を有していることを特徴とするコーティング製剤。
(1−2)メドキソミル基を持つ薬剤が、オルメサルタンメドキソミルである前記(1−1)に記載のコーティング製剤。
(1−3)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、カオリン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイトである前記(1−1)又は(1−2)に記載のコーティング製剤。
(1−4)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムである前記(1−1)〜(1−3)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−5)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素又は軽質無水ケイ酸である前記(1−3)又は(1−4)に記載のコーティング製剤。
(1−6)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素である前記(1−5)に記載のコーティング製剤。
(1−7)リン酸水素カルシウムが、無水リン酸水素カルシウムである前記(1−1)又は(1−2)に記載のコーティング製剤。
(1−8)無機化合物が、二酸化ケイ素、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(1−1)〜(1−7)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−9)無機化合物が、含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(1−1)〜(1−7)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−10)無機化合物が、含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(1−1)〜(1−9)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−11)コーティング用組成物が、さらにポリマー基剤を含有してなる前記(1−1)〜(1−10)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−12)コーティング用組成物が、さらにポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー基剤を含有してなる前記(1−1)〜(1−11)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−13)ポリビニルアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーである前記(1−12)に記載のコーティング製剤。
(1−14)ポリビニルアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーである前記(1−12)又は(1−13)に記載のコーティング製剤。
(1−15)オルメサルタンメドキソミルを有効成分として含む固形製剤が、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー基剤を含有してなるコーティング用組成物でコーティングされたコーティング層を有していることを特徴とするコーティング製剤。
(1−16)オルメサルタンメドキソミルを有効成分として含む固形製剤が、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマーを含有してなるポリマー基剤を含有してなるコーティング用組成物でコーティングされたコーティング層を有していることを特徴とするコーティング製剤。
(1−17)コーティング層中の無機化合物の含量が、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5〜10質量部である前記(1−1)〜(1−16)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−18)コーティング層中の無機化合物の含量が、固形製剤中のメドキソミル基を持つ薬剤100質量部に対して5〜100質量部である前記(1−1)〜(1−17)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−19)固形製剤が錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤およびトローチ剤から選ばれる少なくとも1つである前記(1−1)〜(1−18)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−20)固形製剤が錠剤、細粒剤および顆粒剤から選ばれる少なくとも1つである前記(1−19)に記載のコーティング製剤。
(1−21)固形製剤のコーティングが錠剤のコーティング及び/又は錠剤中に配合する主薬を含む粒子のコーティングである前記(1−1)〜(1−20)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−22)固形製剤へのコーティングがフィルムコーティングまたは糖衣コーティングである前記(1−1)〜(1−21)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−23)固形製剤へのコーティングがフィルムコーティングである前記(1−1)〜(1−22)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−24)オルメサルタンメドキソミルを有効成分として含む固形製剤が、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー基剤を含有してなるコーティング用組成物でフィルムコーティングされたコーティング層を有していることを特徴とするコーティング製剤であって、
コーティング層中の無機化合物の含量が、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする前記(1−1)〜(1−23)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−25)オルメサルタンメドキソミルを有効成分として含む固形製剤が、
含水二酸化ケイ素である無機化合物と、
ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーを含有してなるポリマー基剤を含有してなるコーティング用組成物でフィルムコーティングされたコーティング層を有していることを特徴とするコーティング製剤であって、
コーティング層中の無機化合物の含量が、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする前記(1−1)〜(1−24)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−26)コーティング製剤が、においの発生及び/又はその放出が低減された製剤である前記(1−1)〜(1−25)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−27)発生及び/又はその放出が低減された臭いが、不快な臭いである前記(1−26)に記載のコーティング製剤。
(1−28)コーティング製剤の製造直後に実質的ににおいの発生及び/又はその放出がない前記(1−1)〜(1−27)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−29)メドキソミル基を持つ薬剤10mgを含有する固形製剤を核にしたコーティング製剤を容積20mLのガラスバイアルに入れて密封し、60℃1週間保存した時のメドキソミル基を持つ薬剤1mgあたりのジアセチルの放出量が200ng/mg以下である前記(1−1)〜(1−28)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−30)メドキソミル基を持つ薬剤10mgを含有する固形製剤を核にしたコーティング製剤を容積20mLのガラスバイアルに入れて密封し、40℃1週間保存した時のメドキソミル基を持つ薬剤1mgあたりのジアセチルの放出量が200ng/mg以下である前記(1−1)〜(1−29)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−31)製造直後の硬度が良好な前記(1−1)〜(1−30)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−32)40℃相対湿度75%の開放環境下で1週間保管した時に保管前と比較して硬度が低下しないことを特徴とする前記(1−1)〜(1−31)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−33)40℃相対湿度75%の開放環境下で4週間保管した時に硬度が6kgf以上である前記(1−32)に記載のコーティング製剤。
(1−34)40℃相対湿度75%の開放環境下で4週間保管した時に硬度が初期の硬度の50%以上である前記(1−32)に記載のコーティング製剤。
(1−35)他の医薬品と一包化した場合に実質的に他の医薬品の品質を変化させないことを特徴とする前記(1−1)〜(1−33)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−36)他の医薬品と一包化した場合に実質的に他の医薬品を変色させないことを特徴とする前記(1−1)〜(1−35)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(1−37)他の医薬品がグアニジノ基を有する薬剤である前記(1−35)又は(1−36)に記載のコーティング製剤。
(1−38)グアニジノ基を有する薬剤がメトホルミン、メシル酸カモスタットまたはこれらの製薬学上許容しうる塩である前記(1−37)に記載のコーティング製剤。
【0012】
本発明の第二の態様は以下のコーティング用組成物である。
(2−1)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物。
(2−2)固形製剤の内部から外部へのジアセチルの透過を抑制するための固形製剤の被覆用のコーティング用組成物であって、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物。
(2−3)ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物。
(2−4)ジアセチルを発生させる成分がメドキソミル基を持つ薬剤である、前記(2−3)に記載のコーティング用組成物。
(2−5)メドキソミル基を持つ薬剤が、オルメサルタンメドキソミルである前記(2−1)又は(2−4)に記載のコーティング用組成物。
(2−6)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、カオリン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はベントナイトである前記(2−1)から(2−5)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−7)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、又はケイ酸カルシウムである前記(2−1)〜(2−6)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−8)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素または軽質無水ケイ酸である前記(2−6)又は(2−7)に記載のコーティング用組成物。
(2−9)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素である前記(2−8)に記載のコーティング用組成物。
(2−10)リン酸水素カルシウムが、無水リン酸水素カルシウムである前記(2−1)から(2−6)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−11)無機化合物が、含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(2−1)〜(2−10)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−12)コーティング用組成物が、更にポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなる前記(2−1)〜(2−11)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−13)ポリビニルアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーである前記(2−12)に記載のコーティング用組成物。
(2−14)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物。
(2−15)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマーを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物。
(2−16)無機化合物の含量が、コーティング用組成物中0.1〜10質量%である前記(2−1)〜(2−15)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−17)コーティング用組成物が、溶媒を含有してなる前記(2−1)〜(2−16)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−18)コーティング用組成物が、溶媒に溶解又は分散されている前記(2−1)〜(2−17)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物。
(2−19)溶媒として水を含む前記(2−17)又は(2−18)に記載のコーティング用組成物。
(2−20)溶媒が、水である前記(2−17)〜(2−19)に記載のコーティング用組成物。
(2−21)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、
ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物であって、
無機化合物の含量がコーティング用組成物中0.1〜10質量%であり、
溶媒として水を含むことを特徴とするコーティング用組成物。
(2−22)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を被覆するコーティング用組成物であって、
含水二酸化ケイ素である無機化合物と、
ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物であって、
無機化合物の含量がコーティング用組成物中0.1〜10質量%であり、
溶媒として水を含むことを特徴とするコーティング用組成物。
【0013】
本発明の第三の態様は以下のコーティング方法であって;
(3−1)前記(2−1)から(2−22)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物を用いて、処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法。
(3−2)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法であって;
a)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤を製造する工程;
b)ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなる、前記固形製剤のコーティング方法。
(3−3)前記(2−1)から(2−22)のいずれか1項に記載のコーティング用組成物を用いて、ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤をコーティングする方法。
(3−4)ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤をコーティングする方法であって;
a)処方中にジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤を製造する工程;
b)ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなる、前記固形製剤のコーティング方法。
(3−5)ジアセチルを発生させる成分がメドキソミル基を持つ薬剤である、前記(3−3)又は(3−4)に記載のコーティングする方法。
(3−6)前記(2−1)から(2−22)に記載のコーティング用組成物を用いて、処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法。
(3−7)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法であって;
a)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤を有効成分として含有する固形製剤を製造する工程;
b)ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなるコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなる、前記固形製剤のコーティング方法。
(3−8)メドキソミル基を持つ薬剤が、オルメサルタンメドキソミルである前記(3−1)、(3−2)、(3−5)、(3−6)又は(3−7)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−9)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、カオリン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はベントナイトである前記(3−1)〜(3−8)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−10)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、又はケイ酸カルシウムである前記(3−1)〜(3−9)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−11)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素または軽質無水ケイ酸である前記(3−9)又は(3−10)に記載のコーティング方法。
(3−12)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素である前記(3−11)に記載のコーティング方法。
(3−13)リン酸水素カルシウムが、無水リン酸水素カルシウムである前記(3−2)、(3−4)又は(3−7)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−14)無機化合物が、含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(3−2)〜(3−13)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−15)コーティング用組成物が、更にポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなる前記(3−2)〜(3−14)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−16)ポリビニルアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーである前記(3−15)に記載のコーティング方法。
(3−17)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法であって;
a)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を製造する工程;
b)含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなる、前記固形製剤のコーティング方法。
(3−18)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤をコーティングする方法であって;
a)処方中にオルメサルタンメドキソミルを有効成分として含有する固形製剤を製造する工程;
b)含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマーを含有してなるポリマーとを含有してなるコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなる、前記固形製剤のコーティング方法。
(3−19)無機化合物の含量が、コーティング用組成物中0.1〜10質量%である前記(3−2)〜(3−18)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−20)コーティング用組成物が、溶媒を含有してなる前記(3−2)〜(3−19)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−21)コーティング用組成物が、溶媒に溶解又は分散されている前記(3−2)〜(3−20)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
(3−22)溶媒として水を含む前記(3−20)又は(3−21)に記載のコーティング方法。
(3−23)溶媒が、水である前記(3−21)〜(3−22)のいずれか1項に記載のコーティング方法。
【0014】
本発明の第四の態様は以下のコーティング製剤の製造方法である。
(4−1)コーティング製剤の製造方法であって;
ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させたコーティング用組成物を、ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤の核にコーティングすることを特徴とするコーティング製剤の製造方法。
(4−2)コーティング製剤の製造方法であって;
a)ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤を製造する工程;
b)ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させてコーティング用組成物を調製する工程;及び、
c)工程b)で調製されたコーティング用組成物を、工程a)で製造された有効成分を含有する固形製剤にコーティングする工程;
を含有してなるコーティング製剤の製造方法。
(4−3)ジアセチルを発生させる成分がメドキソミル基を持つ薬剤である、前記(4−1)又は(4−2)に記載のコーティング製剤の製造方法。
(4−4)メドキソミル基を持つ薬剤が、オルメサルタンメドキソミルである前記(4−3)に記載の製造方法。
(4−5)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、カオリン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、又はベントナイトである前記(4−1)〜(4−4)のいずれか1項に記載のコーティング製剤の製造方法。
(4−6)ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、又はケイ酸カルシウムである前記(4−1)〜(4−5)のいずれか1項に記載のコーティング製剤の製造方法。
(4−7)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素又は軽質無水ケイ酸である前記(4−1)〜(4−6)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−8)二酸化ケイ素が、含水二酸化ケイ素である前記(4−7)に記載の製造方法。
(4−9)リン酸水素カルシウムが無水リン酸水素カルシウムである前記(4−1)から(4−8)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−10)無機化合物が、含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである前記(4−1)〜(4−9)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−11)コーティング用組成物が、さらにポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなる前記(4−1)〜(4−10)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−12)ポリビニルアルコール系ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーである前記(4−11)に記載の製造方法。
(4−13)コーティング製剤の製造方法であって;
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー、とを含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させたコーティング用組成物を、オルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤の核にコーティングすることを特徴とするコーティング製剤の製造方法。
(4−14)コーティング製剤の製造方法であって;
含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマーを含有してなるポリマー、とを含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させたコーティング用組成物を、オルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤の核にコーティングすることを特徴とするコーティング製剤の製造方法。
(4−15)無機化合物の含量が、コーティング用組成物の0.1〜10質量%である前記(4−1)〜(4−14)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−16)溶媒として水を含む前記(4−1)〜(4−15)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−17)溶媒が水である前記(4−1)〜(4−16)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−18)コーティングがスプレーコーティングである前記(4−1)〜(4−17)のいずれか1項に記載の製造方法。
(4−19)コーティングがフィルムコーティングまたは糖衣コーティングである前記(4−1)〜(4−18)のいずれか1項に記載のコーティング製剤。
(4−20)コーティングがフィルムコーティングである前記(4−1)〜(4−19)のいずれか1項に記載の製造方法。
【0015】
本発明の第五の態様は以下の不快臭の抑制方法である。
(5−1)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤と、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマーとを含有することを特徴とする、薬剤からのにおい発生の抑制及び/又は防止方法。
(5−2)処方中にメドキソミル基を持つ薬剤がオルメサルタンメドキソミルである前記(5−1)に記載の抑制及び/又は防止方法。
【0016】
本発明の第六の態様は以下の保存方法である。
(6−1)オルメサルタンメドキソミルと、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含む固形製剤を、その硬度が6kgf以上の量に維持することを特徴とする固形製剤の保存方法。
(6−2)固形製剤表面にポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを有する前記(6−1)に記載の保存方法。
(6−3)固形製剤表面に前記無機化合物を有する前記(6−1)または(6−2)に記載の保存方法。
【0017】
本発明の第七の態様は以下の着色の抑制方法である。
(7−1)他の医薬品の着色の抑制方法であって;
オルメサルタンメドキソミルを含有する固形製剤の核に含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、及び炭酸カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマー及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー、とを含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させたコーティング用組成物を、コーティングすることを特徴とする、抑制方法。
(7−2)他の医薬品がグアニジノ基を有する薬剤である前記(7−1)に記載の抑制方法。
(7−3)グアニジノ基を有する薬剤がメトホルミン、メシル酸カモスタットまたはこれらの製薬学上許容しうる塩である前記(7−2)に記載の抑制方法。
【0018】
本発明の第八の態様は以下のジアセチルの透過を抑制する方法である。
(8−1)ジアセチルの透過の抑制方法であって;
ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1つの無機化合物を含有してなる混合物を溶媒に溶解又は分散させたコーティング用組成物を、ジアセチルを発生させる成分を含有する固形製剤の核にコーティングすることを特徴とする抑制方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明のコーティング製剤は、特定の無機化合物を含むコーティング用組成物を用いてコーティングされており、素錠等の固形製剤中の成分から発生したジアセチルの放出をコーティング部分で留め、放出しないことにより、特有の不快臭を素錠と比較して防止、又は抑制できる。また、本発明のコーティング用組成物を用いてコーティングすることにより、開放環境下で保存しても硬度の低下がない、又は硬度の低下が抑制されるため、従来の錠剤などが有していた開放環境下での硬度低下の問題を解決することもできる。さらに、本発明のコーティング製剤は、ジアセチルの放出を十分に抑制することができるので、一包化の際に他剤を変質させる、着色させる等の品質を低下させることが無い。本発明のコーティング製剤は、上記の好ましい性質を少なくとも1つ以上、好ましくは2つ以上備え、さらに好ましくは全ての性質を備える。
また、本発明のコーティング用組成物を用いることにより、錠剤等の固形製剤に通常のスプレーコーティングなどのコーティング技術を用いて容易にコーティング、及び乾燥出来、コーティング製剤を得ることができる。さらに、本発明のコーティング製剤の核となる固形製剤として、従来の製造方法により製造し得る固形製剤をそのまま使用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明は、少なくとも1種の無機化合物を固形製剤のコーティング用組成物の必須成分として使用することを特徴とするものである。
本発明の特定の無機化合物は、ケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機化合物である。これらの無機化合物は、2種以上のものを組み合わせて使用することもできる。
ケイ酸化合物としては、例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、カオリン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ベントナイトなどが挙げられる。好ましくは、ケイ酸化合物が、二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムである。
二酸化ケイ素としては、例えば、含水二酸化ケイ素或いは軽質無水ケイ酸などが挙げられる。二酸化ケイ素は、ゾル−ゲル法や沈降法などの湿式法で製造される二酸化ケイ素と、乾式法で製造される二酸化ケイ素がある。本発明における二酸化ケイ素としては、いずれの製法で製造された二酸化ケイ素でもよいが、湿式法で製造された二酸化ケイ素が好ましい。より好ましくはゾル-ゲル法で製造された二酸化ケイ素が挙げられる。二酸化ケイ素としては、市販のもの、好ましくは市販の含水二酸化ケイ素又は軽質無水ケイ酸を使用することができ、例えば、サイリシア(登録商標、以下同)(富士シリシア化学)、アドソリダー(登録商標、以下同)(フロイント産業)、カープレックス(登録商標、以下同)(塩野義製薬)、含水二酸化ケイ素(日本アエロジル)の各シリーズなどが挙げられる。本発明における二酸化ケイ素の物性としては、特に限定はされないが、平均粒子径(レーザー法)が2.0〜20μm、好ましくは2.5〜14μmのもの;比表面積(簡易BET法)が50〜1.2×10/g、好ましくは2.0×10〜9.5×10/g、より好ましくは4.5×10〜8.5×10/gのもの;平均細孔径が1.0〜30nm、好ましくは2.0〜25nm、より好ましくは2.0〜10nmのもの;が挙げられる。さらに、これらの物性の組合せとしては、平均粒子径が2.5〜14μm、比表面積2.0×10〜9.5×10/g、平均細孔径2.0〜25nmのものが好ましい。後述する実施例では、含水二酸化ケイ素に分類されるサイリシア730、アドソリダー102、或いは軽質無水ケイ酸に分類されるアドソリダー101を用いているが、これらの二酸化ケイ素はいずれも湿式法で製造されたものであり、また、これらの物性はそれぞれの好ましい範囲を形成している。
メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとしては、市販のものを使用することができ、例えば、ノイシリン(富士化学工業)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(冨田製薬)などが挙げられる。ケイ酸カルシウムとしては、市販品としては、例えば、フローライト(冨田製薬)などが挙げられる。
【0021】
リン酸水素カルシウムとしては、無水リン酸水素カルシウムが好ましく、例えば、フジカリン(富士化学工業)、無水リン酸水素カルシウム(協和化学工業、冨田製薬)などが挙げられる。酸化マグネシウムとしては、酸化マグネシウム(オリエンタル薬品工業、協和化学工業、冨田製薬)、などが挙げられる。炭酸カルシウムとしては、炭酸カルシウム(キシダ化学、純正化学、林純薬工業、和光純薬工業)、沈降炭酸カルシウム(オリエンタル薬品工業、純正化学、備北粉化工業)などが挙げられる。
【0022】
ここで、本発明の「コーティング用組成物」は、特定の無機化合物、後述するポリマー基剤、及びその他の成分を溶媒に溶解又は分散させた組成物である。また、本発明における「コーティング層」とは、本発明のコーティング用組成物を核となる固形製剤にコーティングし、乾燥させた後に固形製剤の表面に形成される固形層をいう。
また、本発明のコーティング用組成物における溶媒以外の成分を組み合わせて、本発明のコーティング用組成物を製造するためのコーティング用キットとすることもできる。
本発明のコーティング用組成物における特定の無機化合物の含有量としては、本発明の固形製剤中の成分から発生する不快臭を効果的に抑制できる程度含まれていれば特に限定されないが、コーティング用組成物全体の0.1質量%以上用いるのが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上である。また、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、とりわけ好ましくは1〜5質量%用いるのが良い。
また、本発明のコーティング用組成物における特定の無機化合物の含量としては、本発明の固形製剤中の成分から発生する不快臭を効果的に抑制できる程度含まれていれば特に限定されないが、溶媒を除去した全組成の量100質量部に対する無機化合物が10質量部以上、好ましくは10〜50質量部、より好ましくは12〜45質量部である。
【0023】
また、本発明のコーティング製剤のコーティング層中の特定の無機化合物の含有量としては、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5質量部以上含まれているのが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部、とりわけ好ましくは0.5〜3.5質量部であるが、これらの含有量に限定されるものではない。ただし、特定の無機化合物としてメタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はケイ酸カルシウムが使用されている場合には、2質量部以上含まれることが好ましく、さらに好ましくは2〜10質量部である。
本発明における「固形製剤」とは、固形状の医薬品製剤であれば特に制限されるものではなく、本発明のコーティング製剤における核となるものであればよい。好ましい固形製剤としては、例えば、錠剤、丸剤、顆粒剤などが挙げられる。より好ましい固形製剤としては、コーティング製剤の核となる素錠又はアンダーコーティングされた錠剤などが挙げられる。
なお、「コーティング前の固形製剤」は、本発明のコーティングをする前の固形製剤をいい、錠剤であれば、素錠の形態や本発明以外のコーティング(アンダーコーティング等)をしたものも含まれる。
【0024】
本発明における「ジアセチルの透過を抑制する」とは、ジアセチル又はその分解物であるアセトインの、固形製剤の内部から外部への透過を、コーティング膜の存在により抑制することである。抑制の程度については、特に制限はないが、ヒトの臭覚、視覚、又は味覚などによりその存在の知覚を低減できる程度であればよい。
【0025】
また、本発明のコーティング製剤のコーティング層中の特定の無機化合物の含有量としては、ジアセチルを発生させる成分100質量部に対して5質量部以上含まれていればよく、7質量部以上がなお好ましい。好ましい含有量としては、5から100質量部、より好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは5〜45質量部であるが、これらの含有量に限定されるものではない。
本発明における「ジアセチルを発生させる成分」とは、製剤の有効期限までの保存中においてジアセチル又はその分解物であるアセトインなどを発生させる成分であり、その程度については特に制限はないが、ヒトの臭覚、視覚、又は味覚などによりその存在を知覚できる量を発生させる成分が包含される。好ましい「ジアセチルを発生させる成分」としてはメドキソミル基を有する薬剤が挙げられ、ジアセチルを発生させる成分100質量部に対して規定している上記の量は、かかる薬剤がコーティング製剤中に含まれる場合の量を示す。
【0026】
本発明のコーティング用組成物は、さらに一般的に用いられるポリマーや糖類を含むことができる。ポリマーや糖類の例としては、例えば、ポリビニルアルコール系ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、精製セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、精製ゼラチン、D−マンニトール、トレハロースなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、及びポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーからなる群から選ばれるポリマーが挙げられる。これらのポリマーは1種、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ポリビニルアルコールとしては、ポバール(日本酢ビ・ポバール)、クラレポバール(クラレ)、ゴーセノール(日本合成化学工業)などが挙げられる。ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーとしては、POVACOAT(大同化成工業)などの市販品を使用することができる。また、ポリビニルアルコール系ポリマーをポリマー基剤とする場合には、例えば、ポリビニルアルコール系ポリマーを含むコーティング基剤として市販されているOPADRY300、OPADRYII(COLORCON社製)などを使用することもできる。また、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)をポリマー基剤とする場合には、例えば、TC-5(信越化学工業)、METOLOSE(信越化学工業)、メトセル(ダウケミカル日本)などの市販品を使用することもできる。また、還元麦芽糖水アメ、還元麦芽糖やキシリトール、マンニトール、エリスリトール、ソルビトールなどの糖アルコールやトレハロースなどを用いることもできる。
これらのポリマー、糖類は少なくとも1種を含んでいてもよく、2種以上を組み合わせて用いても良い。ポリマーと糖類を組み合わせて使用してもよく、例えば、ポリビニルアルコールとトレハロース、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマーとトレハロース、の組合せが好ましい。
【0027】
ここで、本発明のコーティング用組成物に含まれる該ポリマー及び/又は糖類の濃度はスプレーコーティングができ、形成されるコーティング層が十分な強度を有するものであれば特に限定されないが、コーティング用組成物全体に対して該ポリマー及び/又は糖類が1質量%以上、好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、とりわけ好ましくは7質量%以上含まれているのがよい。また、好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは1〜15質量%含まれているのが良い。また、好ましくは2〜20質量%、5〜12質量%、7〜10質量%含まれているのが良い。
【0028】
また、本発明のコーティング製剤のコーティング層中の該ポリマー及び/又は糖類の含有量としては、コーティング層を100質量部に対して50〜90質量部含まれていればよく、好ましくは60〜80質量部、より好ましくは65〜75質量部である。
【0029】
また、本発明のコーティング製剤のコーティング層中の該ポリマー及び/又は糖類の含有量としては、コーティング前の固形製剤100質量部に対して0.5質量部以上含まれていればよい。また、好ましくは0.5〜20質量部、さらに好ましくは0.5〜15質量部、とりわけ好ましくは0.5〜10質量部含まれているのが良い。また、好ましくは1〜15質量部、好ましくは2〜10質量部、さらに好ましくは5〜8質量部含まれているのが良い。
また、本発明のコーティング製剤のコーティング層中の前記ポリマー、糖類の含有量としては、ジアセチルを発生させる成分100質量部に対して5質量部以上含まれていればよく、7質量部以上がなおよい。また、好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは5〜150質量部、とりわけ好ましくは7〜90質量部含まれているのが良い。また、好ましくは15〜150質量部、さらに好ましくは30〜100質量部、とりわけ好ましくは50〜90質量部含まれているのが良い。
【0030】
コーティング用組成物にはケイ酸化合物、リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、及び薬用炭から選ばれる少なくとも1つの無機化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー)及び/又はヒプロメロースを含有してなるポリマー基剤を含むことが出来、無機化合物とポリマー基剤の組合せは特に限定されないが、含水二酸化ケイ素とポリビニルアルコール、無水リン酸水素カルシウムとポリビニルアルコール、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとポリビニルアルコール、ケイ酸カルシウムとポリビニルアルコール、酸化マグネシウムとポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸とポリビニルアルコール、炭酸カルシウムとポリビニルアルコール、含水二酸化ケイ素とポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、無水リン酸水素カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、ケイ酸カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、酸化マグネシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、軽質無水ケイ酸とポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、炭酸カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、含水二酸化ケイ素とヒプロメロース、無水リン酸水素カルシウムとヒプロメロース、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとヒプロメロース、ケイ酸カルシウムとヒプロメロース、酸化マグネシウムとヒプロメロース、軽質無水ケイ酸とヒプロメロース、炭酸カルシウムとヒプロメロース、の組合せが好ましい。特に好ましくは、含水二酸化ケイ素とポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、無水リン酸水素カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、酸化マグネシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、炭酸カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、の組合せであり、とりわけ好ましくは含水二酸化ケイ素とポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、無水リン酸水素カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、炭酸カルシウムとポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、の組合せである。最も好ましい組み合わせは、含水二酸化ケイ素とポリビニルアルコール−アクリル酸−メタクリル酸メチルコポリマー、である。
【0031】
本発明のコーティング用組成物に用いられる溶媒としては、特に限定されないが、例えば水、低級アルコール(C〜Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、C〜C脂肪酸のC〜Cアルキルエステル(例えば、酢酸エチルなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化メチレンなど)、アセトン、ヘキサンなどの有機溶媒や、これらの混合溶媒が挙げられ、特に水が好ましい。溶媒は水を含む態様でも、水のみからなる態様でも良い。溶媒が水を含む態様である場合は、溶媒100質量部に対する水の含量が50質量部以上であることが好ましく、70質量部以上であることがより好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましく、95質量部以上であることがとりわけ好ましい。
本発明のコーティング用組成物は、これらの溶媒に溶解した状態であってもよいし、懸濁又は分散した状態であってもよい。本発明のコーティング用組成物における溶媒の量としては、コーティング用組成物全体量に対して、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上であるが、これらに限定されるものではない。
本発明のコーティング用組成物は、前記した特定の無機化合物、ポリマー、糖類、溶媒以外に、必要に応じてさらに通常用いられる量の可塑剤、賦形剤、滑沢剤、隠蔽剤、着色剤及び防腐剤等の1つ又はそれ以上の添加剤を含むことができる。
本発明における固形製剤の形態はコーティングが可能であればその形態は特に限定されないが、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、トローチ剤などを挙げることができ、特に錠剤の形態が好ましい。
【0032】
本発明のコーティング製剤のコーティング層の膜厚は特定の無機化合物が薬剤の不快臭を効果的に抑制できる程度含まれていれば特に限定されないが、1μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上あれば良く、好ましくは1μm〜300μm、より好ましくは1μm〜200μm、とりわけ好ましくは1μm〜50μmである。コーティングが糖衣コーティングであれば、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは1μm〜300μm、とりわけ好ましくは1μm〜200μm、さらに好ましくは1〜50μmである。コーティング層の膜厚は、超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス)で測定することができる。
本発明のコーティング製剤におけるコーティング率としては、不快臭の放出を抑制できる量のコーティング層が形成できる比率であれば特に制限はないが、好ましくは1%以上、より好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜20%又は2〜15%程度があげられるが、これに限定されるものではない。
なお、本発明における「コーティング率(%)」とは、コーティング製剤の質量に対するコーティング層の質量の比率(%)であり、下記の式より算出される。
コーティング率(%)=(WA−WB)/WA×100
ここで、前記式中のWAは、コーティング後のコーティング製剤の質量であり、WBはコーティング前の固形製剤の質量である。
【0033】
本発明のコーティング用組成物は、前記してきた各成分を混合することにより製造することができる。混合する順序に特に制限はないが、好ましくはポリマー基剤と溶媒を混合して、溶解又は懸濁若しくは分散させ、次いで特定の無機化合物を混合し、必要に応じてその他の添加剤成分を混合することにより製造することができる。
本発明では、上記コーティング用組成物を、常法、例えばスプレーコーティングにより、例えば錠剤にフィルムコートを形成することができる。コーティング工程においては、市販のパンコーティング装置、流動層コーティング装置、通気式回転ドラムコーティング装置等を使用することができ、特に通気式回転ドラムコーティング装置が適している。糖衣コーティングにより糖衣コートを形成してもよい。粉末コーティングを使用してもよい。
また、薬物を含む粒子をコーティングすることもできる。コーティングした薬物を含む粒子を用いて錠剤を製造してもよい。
【0034】
本発明の経口用組成物は2層以上の多層コーティングをしてもよく、かかる場合、特定の無機化合物を有するコーティング層は少なくとも1層あればよい。多層コーティングをする場合には、アンダーコーティング等、素錠と接する最内層は特定の無機化合物を含まないコーティング層が好ましい。特定の無機化合物はコーティング層として用いればジアセチルの放出抑制には有効であるが、オルメサルタンメドキソミルなどの有効成分と直接混合すると却って加水分解を促進し、ジアセチルが発生しやすくなる可能性がある。
【0035】
本発明のコーティング製剤の核となる固形製剤は、有効成分となる薬剤の他に各種の製剤化のための担体、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、pH調整剤、吸収促進剤、滑沢剤などを配合することができる。
【0036】
本発明の固形製剤における製剤担体としては、製剤技術分野で公知のものを広く使用できる。例えば、乳糖、白糖、マンニトール、ラクトース、トレハロース、塩化ナトリウム、ブドウ糖、でんぷん、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸塩等の賦形剤、水、エタノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースNa、セラック、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デキストリン、プルラン等の結合剤;クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム二水和物、無水リン酸一水素ナトリウム、無水リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、無水リン酸水素二ナトリウム等のpH調整剤;カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピセルロース、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、部分アルファー化デンプン、乾燥デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポビドン、ポリソルベート80等の崩壊剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、コロイド状ケイ酸等の滑沢剤等が例示できる。
【0037】
本発明における固形製剤における薬剤としては、不快なにおいを発するものであれば特に限定されないが、メドキソミル基((5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソール−4−イル)メチル)を有するものが適しており、ジアセチルを発生させるものが特に好適である。不快なにおいを発するものとは、実際においを発生させているだけでなく、発生させるおそれがある場合も含まれる。
薬剤としては、例えば、高血圧薬であるオルメサルタンメドキソミル、抗菌薬であるプルリフロキサシン、塩酸レナンピシリンなどが挙げられる。また、必要に応じて他の薬剤を併用することもできる。オルメサルタンメドキソミル等の薬剤を含む配合剤でもよい。
【0038】
本発明のコーティング用組成物を用いることにより、不快なにおい(不快臭)を発する成分、又は不快臭を発生させるおそれがある成分を含有する固形製剤からの不快臭を抑制及び/又は防止することができる。したがって、本発明は、不快臭を発する成分、又は不快臭を発生させるおそれがある成分を含有する固形製剤からの不快臭を抑制及び/又は防止する方法を提供する。本発明の不快臭の抑制及び/又は防止方法は、不快臭の発生を抑制及び/若しくは防止する方法、又は不快臭の外部への漏出を抑制及び/若しくは防止する方法のいずれであってもよい。
【0039】
本発明におけるコーティング製剤は一包化しても他薬剤の配合変化を起こさせないし、着色等の品質低下を起こさせないことを特徴とする。このような他薬剤としてはジアセチルが原因で配合変化を起こす薬剤であれば特に限定されないが、例えば、グアニジノ基を有する薬剤などが挙げられる。グアニジノ基を有する薬剤としては、メトホルミン、メシル酸カモスタット、ザナミビル水和物、酢酸セトロレリクス、マレイン酸テガセロド、酢酸デスモプレシン、エプティフィバチド、ビバリルジン、酢酸ガニレリクス、酢酸ブセレリン、ファモチジン、パモ酸トリプトレリン、ピナシジル、ヒストレリン、チモぺンタチン、メシル酸アドレノクロムグアニルヒドラゾン、シメチジン、塩酸ベネキサートベータデクス、塩酸グスペリムス、メシル酸ナファモスタット、酢酸グアナベンズ、アルガトロバン、これらの製薬学上許容しうる塩などが挙げられる。メトホルミン塩酸塩は糖尿病治療薬であり、カモスタットメシル酸塩は逆流性食道炎治療薬である。
【0040】
本発明のコーティング用組成物を用いることにより、他薬剤の着色を抑制及び/又は防止することができる。したがって、本発明は薬剤の着色の抑制及び/又は防止方法を提供する。
また、後述する実施例又は比較例の試験結果から明らかなように、本発明のコーティング用組成物により形成されるコーティング膜は、高濃度のジアセチルが存在する場合であっても、固形製剤に存在しているジアセチルを当該コーティング膜の内側から外側への透過を十分に抑制及び/又は防止することができる。したがって、本発明は、本発明のコーティング用組成物により形成されるコーティング膜を用いることによる、ジアセチルの透過の抑制及び/又は防止方法を提供する。本発明のジアセチルの透過の抑制及び/又は防止方法は、ジアセチルの透過を抑制及び/又は防止する必要がある固形製剤に適用することができる。
【0041】
本発明において、不快臭の評価は後述する試験例1の「性状:においの確認」により行うことが出来る。具体的には、メドキソミル基を有する有効成分10mgにつき、20mLの容積のガラスバイアルに入れ密封し、所定の温度・期間保存した後の錠剤のにおいを後述する評価基準により0.5単位で評価した。
においは評点で表すが、1.5以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。評点の具体的な定義は後述する。
【0042】
ジアセチルの定量は、後述する試験例2のガスクロマトグラフィーにより行うことが出来る。この方法ではにおいの原因であるジアセチルの量を定量的に評価できる。
メドキソミル基を持つ薬剤10mgにつき、製造直後、あるいは20mLの容積のガラスバイアルに密封して保管した場合のジアセチルの値は、メドキソミル基を持つ薬剤の量に対する値で表わし、メドキソミル基を持つ薬剤1mgあたり60℃1週間では160ng/mg以下が好ましく、100ng/mg以下がより好ましく、60ng/mg以下がさらに好ましい。最も好ましくは0ng/mgである。また40℃2週間では50ng/mg以下が好ましく、20ng/mg以下がより好ましく、10ng/mg以下がさらに好ましい。最も好ましくは0ng/mgである。
【0043】
オルメサルタンメドキソミルなどのメドキソミル基を持つ薬剤の特有な不快臭はジアセチルが原因である。そのため、においの評点をヒトによる評価で行った場合でも、においの評点とジアセチルの値には一定の相関がみられた。
においの評点が1.5以下であれば、ジアセチルは約200ng/mg以下であり、1.0であれば約100ng/mg以下であり、0.5であれば約70ng/mg以下であると考えられる。
【0044】
本発明におけるコーティング製剤は良好な硬度を有していることが好ましい。オルメテック錠やオルメサルタンメドキソミルを有効成分に含む素錠の形態の錠剤は、開放環境下では空気中の水分により、分解が促進してジアセチルの発生や類縁物質の増加が起こることに加え、硬度の経時的な低下が起きる。
硬度の低下は錠剤を脆くするため、薬剤を分割する際に砕け易くなる等の品質の低下を招き好ましくない。一方、本発明のコーティング製剤は製造直後、あるいは密封環境下、あるいはPTP包装で室温保存した場合に硬度が6kgf以上、好ましくは8kgf以上である。また、40℃相対湿度75%の開放条件下においても製造直後と比較して硬度が低下しない、あるいは硬度の低下が少ないことが望ましく、40℃相対湿度75%の開放条件下に4週間保管した場合に6kgf以上、好ましくは8kgf以上であり、または、40℃相対湿度75%の開放条件下に4週間保管した場合に6kgf以上、好ましくは8kgf以上である。
また、初期の硬度を100%とした時に40℃相対湿度75%の開放条件下に4週間保管した場合に50%以上、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。また、40℃相対湿度75%の開放条件下に4週間保管した場合に50%以上、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。
本発明の固形製剤は、長期間にわたり硬度を維持することができ、本発明は固形製剤の保存方法を提供するものである。
【0045】
本発明におけるコーティング製剤は良好な溶出性を有していることが好ましい。本発明のコーティング製剤1錠につき、日本薬局方溶出試験パドル法にて試験を行った場合(試験液:日本薬局方溶出試験液2液、回転数:50回転)、試験開始後30分における溶出率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上であるとよい。
【実施例】
【0046】
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
<素錠の製法>
(1)素錠A
オルメサルタンメドキソミル10.0g、無水乳糖89.5g、アルファー化デンプン7.5g、フマル酸ステアリルナトリウム1.0gを混合後、直径7.0mm、1錠あたりの質量108mgとなるように打錠して素錠Aを得た。
【0048】
(2)素錠B
オルメサルタンメドキソミル20.0g、無水乳糖177.0g、含水二酸化ケイ素17.0g、フマル酸ステアリルナトリウム2.0gを混合後、直径7.0mm、1錠あたりの質量108mgとなるように打錠して素錠Bを得た。
【0049】
(3)素錠C
オルメサルタンメドキソミル20.0g、無水乳糖162.0g、ステアリン酸17.0g、アルファー化デンプン15.0g、フマル酸ステアリルナトリウム2.0gを混合後、直径7.0mm、1錠あたりの質量108mgとなるように打錠して素錠Cを得た。
【0050】
(4)素錠D
オルメサルタンメドキソミル20.0g、無水乳糖167.0g、ステアリン酸17.0g、アルファー化デンプン10.0g、フマル酸ステアリルナトリウム2.0gを混合後、直径7.0mm、1錠あたりの質量108mgとなるように打錠して素錠Dを得た。
【0051】
(5)素錠E
オルメサルタンメドキソミル20.0g、結晶セルロース19.6g、乳糖130.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース39.6gを高速撹拌造粒機で混合後、ヒドロキシプロピルセルロース5.0gを水溶液として添加し造粒を行い、流動層乾燥機で乾燥した。乾燥後の造粒物を整粒機にて整粒し、整粒後の粉末160.65gにステアリン酸マグネシウム1.35gを加えて混合後、直径7.0mm、1錠あたりの質量108mgとなるように打錠して素錠Eを得た。
表1に素錠A〜Eの処方(有効成分含量を10mgとした時の各成分含量)を示す。
【0052】
【表1】
【0053】
<コーティングの方法>
実施例1−1
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを、精製水252.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(アドソリダー102)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[フィルムコートの組成比(以下同じ。):ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/含水二酸化ケイ素=20.0/8.0(w/w)]。
このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。コーティング率は2.43%であった。
【0054】
比較例1−2
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを、精製水252.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次にタルク8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/タルク=20.0/8.0(w/w)]。
このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。コーティング率は2.65%であった。
【0055】
実施例1−3
実施例1−1と組成は共通するが、コーティング率が異なり4.22%であった。
【0056】
比較例1−4
素錠Aをそのまま使用した。
【0057】
比較例1−5
素錠Bをそのまま使用した。
【0058】
比較例1−6
オルメテック錠10mgをそのまま使用した。
【0059】
実施例1−7
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)3.0g、トレハロース19.0gを、精製水250.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(アドソリダー102)3.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とする[組成比(以下同じ。):ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/トレハロース/含水二酸化ケイ素=12.0/76.0/12.0(w/w/w)]。
このコーティング液を上記素錠Aにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。コーティング率は約4%である。
【0060】
素錠及びコーティング錠剤の特性を以下の方法で評価した。
試験例1<性状:においの確認>
素錠あるいはコーティング錠剤1錠を20mL容量のガラスバイアルに入れ、密栓し、所定の条件に保存後のにおいを下記評価基準で評価した。
ここでにおいの評点は下記の通りとし、0.5刻みで評点を付けた。
0.0 におわない
1.0 ごく僅かににおう
2.0 僅かににおう
3.0 におう
4.0 強くにおう
5.0 非常に強くにおう
【0061】
試験例2<ガスクロマトグラフィーによるジアセチルの定量>
素錠あるいはコーティング錠剤1錠を、20mL容量のガスクロマトグラフィー用のバイアルに入れ、密栓した。このバイアルを所定の条件に保存後、ヘッドスペースガスをガスクロマグラフィーにインジェクションし、ジアセチルの濃度を測定した。
なお、試験結果に示した数値は、オルメサルタンメドキソミル1mgあたりのジアセチル量(ng/mg)である。
[ガスクロマトグラフィーの測定条件]
装置:ガスクロマトグラフ (アジレントテクノロジー(株))
検出器:水素炎イオン化検出器
分析カラム:DB−WAX (アジレントテクノロジー(株)、0.53mmi.d.×30m、膜厚:1.00μm)
カラム温度:50℃
キャリヤーガス:ヘリウム
流量:5.0mL/min
注入口温度:200℃
検出器温度:250℃
注入量:1.0mL
実施例/比較例1−1〜1−6の製剤を40℃1週間、2週間、60℃1週間それぞれ保管した場合の試験例1及び2の結果をまとめて表2に示す。なお、特に注釈が無い場合には製剤は20mL容量のガラスバイアルで密封して保管しており、かかる場合には外気の湿度の影響は無い。以下において同じである。
【0062】
【表2】
【0063】
表中の「コーティング率(%)」は、前記した式で定義される値である。
【0064】
コーティング用組成物に含水二酸化ケイ素を含む処方である実施例1−1及び1−3では、いずれも臭いの評価は0.0であり、ジアセチルも0.0ng/mgでありほぼ完全に臭いを抑制でき、ジアセチルの放出も抑制できた。一方、含水二酸化ケイ素を含まない比較例1−2では経時的ににおいおよびジアセチル量の増加が認められた。これより、錠剤からのジアセチルの放出抑制には二酸化ケイ素が有効であり、実施例1−1のようにコーティング率が低い場合にもにおいの抑制に有効であることが確認できた。
【0065】
また、比較例1−5は含水二酸化ケイ素を素錠中に配合した素錠Bの処方である。素錠Bでは、製造直後からにおいの評点が4.0と高く、不快臭が非常に強くなっており、含水二酸化ケイ素を素錠中に含んでいない素錠A(比較例1−4)に比べても臭いの評価及びジアセチルの定量において悪化していたことが確認できた。これより、含水二酸化ケイ素をオルメサルタンメドキソミルと混合して打錠することではジアセチルの錠剤からの放出抑制を達成することはできず、フィルムコート用組成物に使用することで初めてジアセチルの錠剤からの放出抑制が達成できると考えられる。
【0066】
実施例2−1
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水180.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(サイリシア730)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/含水二酸化ケイ素=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0067】
実施例2−2
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)25.0gを精製水225.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に無水リン酸水素カルシウム(フジカリンSG)10.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/無水リン酸水素カルシウム=25.0/10.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0068】
実施例2−3
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水180.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次にメタケイ酸アルミン酸マグネシウム(ノイシリンUFL2)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/メタケイ酸アルミン酸マグネシウム=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0069】
実施例2−4
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水180.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次にケイ酸カルシウム(フローライトRE)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/ケイ酸カルシウム=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0070】
実施例2−5
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水252.0gを混合した液にプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に酸化マグネシウム(日本薬局方酸化マグネシウム)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/酸化マグネシウム=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0071】
実施例2−6
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水252.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に軽質無水ケイ酸(アドソリダー101)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/軽質無水ケイ酸=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0072】
実施例2−7
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水252.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に炭酸カルシウム(食品添加物炭酸カルシウム)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/炭酸カルシウム=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0073】
比較例2−8
素錠Cをそのまま使用した。
実施例2−1〜2−7、比較例2−8、1−6の製剤を40℃1週間、2週間、3ヶ月、60℃1週間、4週間それぞれ保管した場合の試験例1及び2の結果をまとめて表3及び表4に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
【表4】
【0076】
実施例2−1は実施例1−1と同様に含水二酸化ケイ素を含むコーティング組成物でフィルムコートした処方である。一方、実施例2−2〜2−7は含水二酸化ケイ素に代えて、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウムを加えた処方である。
実施例2−1〜2−7は40℃で1週間保存した場合、においの評点は1.0以下、ジアセチル量も3.2ng/mg以下であり、比較例2−8、及び1−6と比較して、におい及びジアセチルの放出が顕著に抑制されていることが確認された。このことより含水二酸化ケイ素に加え、無水リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、軽質無水ケイ酸、又は炭酸カルシウムにもジアセチル放出抑制効果があることが分かった。
特に実施例2−1、2−2、又は2−7の含水二酸化ケイ素、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウムでは、60℃4週間という非常に過酷な環境下でもジアセチルが0、3.8、3.6ng/mgと非常に低く、特に抑制効果が高い化合物であることが確認できた。
【0077】
実施例3−1
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)20.0gを精製水252.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(アドソリダー102)8.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/含水二酸化ケイ素=20.0/8.0(w/w)]。このコーティング液を上記素錠Cにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。コーティング率は5.85%であった。
【0078】
実施例3−2
実施例3−1と組成は共通するが、コーティング率が異なり3.25%であった。
【0079】
比較例3−3
実施例3−1と組成は共通するが、コーティング率が異なり1%未満であった。
実施例3−1、3−2、比較例3−3の製剤を40℃1週間、2週間、60℃1週間、それぞれ保管した場合の試験例1及び2の結果をまとめて表5に示す。
【0080】
【表5】
【0081】
比較例3−3はコーティング率を1%未満とした例である。
【0082】
この結果より、本発明のコーティング用組成物でコーティングする場合、少なくとも2%以上のコーティング率でコーティングされていれば充分に放出抑制効果があると考えられる。この場合、素錠100質量部に対して二酸化ケイ素が0.5質量部以上コーティングされていることとなる。なお、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又はケイ酸カルシウムの場合には、素錠100質量部に対して2.2質量部以上でコーティングされていると好ましい。
【0083】
実施例4−1
ヒプロメロース(TC−5R)7.0gを精製水126.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17)1.5g、酸化チタン(日局 NA65)1.5g、含水二酸化ケイ素(アドソリダー102)4.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ヒプロメロース/タルク/酸化チタン/含水二酸化ケイ素=7.0/1.5/1.5/4.0]。このコーティング液をオルメテック錠10mgにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0084】
比較例4−2
ヒプロメロース(TC−5R)7.0gを精製水90.0gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次にタルク(ハイフィラー#17)1.5g、酸化チタン(日局 NA65)1.5gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ヒプロメロース/タルク/酸化チタン=7.0/1.5/1.5]。このコーティング液をオルメテック錠1mgにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
実施例4−1、比較例4−2の製剤を25℃1週間、40℃1週間、2週間、60℃1週間、それぞれ保管した場合の試験例1及び2の結果をまとめて表6に示す。
【0085】
【表6】
【0086】
実施例4−1は比較例4−2の処方に含水二酸化ケイ素を加えた処方である。いずれも素錠として、市販のオルメテック錠を用いた。
【0087】
なお、市販のオルメテック錠は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、乳糖水和物、及びステアリン酸マグネシウムを添加物として含有する錠剤である。
【0088】
各保存条件において、においの評点およびジアセチル量は比較例4−2と比較して実施例4−1の方が低くなっており、この場合でもコーティング用組成物に含水二酸化ケイ素を配合することで、ジアセチルの放出およびにおいが抑制されることが確認された。
【0089】
実施例5−1
ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)25g、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体を含む基剤であるOpadry300 35gを精製水630gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(サイリシア730)10.0gを上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/Opadry300/含水二酸化ケイ素=25/35/10]。このコーティング液をα液とした。このコーティング液を素錠Dにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0090】
実施例5−2
実施例5−1のコーティング液を使用し、素錠Eにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてスプレーコーティングし、コーティング錠剤を得た。
【0091】
実施例5−3
ポリビニルアルコールを含む基剤であるOpadry300 80gを精製水720gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。このコーティング液をβ液とした。ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体(POVACOAT)75gを精製水675gにプロペラ撹拌機にて撹拌しながら加え、溶解した。次に含水二酸化ケイ素(サイリシア730)30gを秤量し、上記溶液に加え、均一に分散しコーティング液とした[ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体/含水二酸化ケイ素=75/30]。このコーティング液をγ液とした。
これらのコーティング液を素錠Eにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてβ液、γ液の順にスプレーコーティングし、2層コーティング錠剤を得た。
【0092】
実施例5−4
実施例5−3のコーティング液を使用し、素錠Eにコーティング装置(ドリアコーター200:パウレック)を用いてβ液、γ液、β液の順にスプレーコーティングし、3層コーティング錠剤を得た。
【0093】
比較例5−5
素錠Eをそのまま使用した。
【0094】
試験例3<硬度>
モンサント型錠剤硬度計にて錠剤の硬度を測定した。
実施例5−1〜5−4、比較例5−5、1−6(オルメテック錠)の製剤を製造直後、40℃4週間、60℃4週間保管した場合の結果をまとめて表7に示す。ここで、開放とはガラス容器で密封せずに保管していることを指し、外気の湿度の影響を受ける。なお40℃保管時の相対湿度は75%である。
【0095】
【表7】
【0096】
ここで、コーティング率(%)に記載の1層目は多層コーティングの一番内側を示し、層が増えるごとに外側にコーティングすることを示す。また、硬度に記載の開放は、錠剤を密封せずに40℃相対湿度75%の環境下に保存することを示す。
【0097】
実施例5−1〜5−4は比較例と比較して60℃4週間でのジアセチルの放出を抑制した。また、実施例5−1〜5−4の各錠剤では各保存条件での硬度の低下も認められなかった。
【0098】
試験例4<溶出試験>
素錠あるいはコーティング錠剤1錠につき、日本薬局方溶出試験パドル法にて試験を行い(試験液:日本薬局方溶出試験液2液、回転数:50回転)試験開始後30分における溶出率を測定する。
本発明のコーティング錠剤は30分80%以上の良好な溶出性を示す。
【0099】
試験例5<配合変化試験(一包化試験)>
実施例5−1の錠剤又はオルメテック錠(10mg錠)1錠を、メトグルコ錠(有効成分:メトホルミン塩酸塩)250mg、メデット錠(有効成分:メトホルミン塩酸塩)250mg、またはフオイパン錠(有効成分:カモスタットメシル酸塩)100mg1錠と、一包化包装用のポリセロ袋に入れ、25℃相対湿度60%で保管後の錠剤の外観を評価した。なお、外観の評価基準は以下とした。
(−)変化なし
(±)極くうすい紅色に変化
(+)うすい紅色に変化
(++)紅色に変化
配合変化試験の結果を表8に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
実施例5−1の錠剤と一包化包装を行ったメトグルコ錠、メデット錠およびフオイパン錠は25℃90日の保存でも外観の変化は認められず、本発明のコーティング組成物とすることで、これらの錠剤と一包化包装を行った際の品質変化が抑制されることが確認できた。