(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カラオケ楽曲の演奏テンポを変更可能であり、演奏テンポを遅くした場合に、利用者が当該カラオケ楽曲の演奏テンポを把握できるように補助テンポを出力するシステムであって、利用者ID取得手段と、演奏テンポ変更手段と、楽曲データベースと、入力音声採点手段と、補助テンポ出力基準値設定手段と、補助テンポ出力手段と、を備え、
前記利用者ID取得手段は、システムログインした利用者の利用者IDを取得し、
前記演奏テンポ変更手段は、任意のカラオケ楽曲を演奏する際に、各利用者の指示に基づいて、その演奏テンポを変更し、
前記楽曲データベースは、カラオケ楽曲毎に少なくとも演奏制御データを含む楽曲データを格納し、前記演奏制御データには、当該カラオケ楽曲の基準テンポを補完して、利用者に対して当該基準テンポを把握させるための補助テンポを含ませ、
前記入力音声採点手段は、任意の楽曲が演奏されると、当該演奏に伴い入力される利用者の歌唱音声信号又は楽器演奏音声信号と、所定の採点リファレンスデータとに基づいて、利用者ID毎にテンポ毎の採点値を算出して記録し、
前記補助テンポ出力基準値設定手段は、利用者ID毎に算出されたテンポ毎の採点値をテンポ順に並べ、隣り合う採点値の差が最も大きい二つのテンポのうち、遅い方のテンポを当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定し、
前記補助テンポ出力手段は、任意の利用者の指示により変更された前記演奏テンポが、当該利用者の利用者IDに対して設定された前記補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に、前記補助テンポを出力する、
ことを特徴とするカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カラオケ楽曲が演奏されている際に、演奏テンポを極端に遅くすると、当該カラオケ楽曲の演奏テンポが解らなくなってしまい、歌唱練習や楽器演奏練習を行うことができなくなるおそれがある。すなわち、演奏テンポを遅くした場合、例えば、ガイドメロディにおいて1つの音が発せられてから次の音が発せられるまでの時間間隔が長くなりすぎてしまい、利用者がカラオケ楽曲の演奏テンポを把握できなくなることがある。従来のテンポ変更機能では、ただ単にガイドメロディ等の演奏テンポを遅くしたり速くしたりできるだけで、演奏テンポを遅くした場合に利用者がカラオケ楽曲の演奏テンポを把握できるようにすることまで考慮されていなかった。
【0006】
また、カラオケ楽曲の演奏テンポを把握できなくなる限界値は、利用者の年齢やリズム感等により、利用者毎に異なるため、一律に限界値を設定することは合理的でない。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、利用者の所望に応じてカラオケ演奏のテンポを遅くした場合であっても、利用者毎に当該カラオケ演奏のテンポを的確に把握することが可能なカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明のカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システムは、カラオケ楽曲の演奏テンポを変更可能であり、演奏テンポを遅くした場合に、利用者が当該カラオケ楽曲の演奏テンポを把握できるようにしたシステムであって、利用者ID取得手段と、演奏テンポ変更手段と、楽曲データベースと、入力音声採点手段と、補助テンポ出力基準値設定手段と、補助テンポ出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0009】
利用者ID取得手段は、システムログインした利用者の利用者IDを取得するための手段である。演奏テンポ変更手段は、任意のカラオケ楽曲を演奏する際に、各利用者の指示に基づいて、その演奏テンポを変更するための手段である。楽曲データベースは、カラオケ楽曲毎に少なくとも演奏制御データを含む楽曲データを格納したデータベースであり、演奏制御データには、当該カラオケ楽曲の基準テンポを補完して、利用者に対して当該基準テンポを把握させるための補助テンポが含まれている。
【0010】
入力音声採点手段は、任意の楽曲が演奏されると、当該演奏に伴い入力される利用者の歌唱音声信号又は楽器演奏音声信号と、所定の採点リファレンスデータとに基づいて、利用者ID毎にテンポ毎の採点値を算出して記録するための手段である。入力音声採点手段における採点結果は、利用者別採点値データベースとしてHDD等に格納してもよいし、テンポラリデータとしてRAM等に記憶してもよい。
【0011】
補助テンポ出力基準値設定手段は、利用者ID毎に算出されたテンポ毎の採点値をテンポ順に並べ、隣り合う採点値の差が最も大きい二つのテンポのうち、遅い方のテンポを当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定するための手段である。補助テンポ出力手段は、任意の利用者の指示により変更された演奏テンポが、当該利用者の利用者IDに対して設定された補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に、補助テンポを出力するための手段である。
【0012】
また、上述した構成に加えて、利用者の指示に応じて基準値設定モードが選択された場合に、補助テンポ出力基準値設定手段において、当該利用者の補助テンポ出力基準値を設定する基準値設定モード移行手段をさらに備えることが可能である。
【0013】
このような構成からなるカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システムでは、演奏テンポ変更手段の機能により、利用者の指示に基づいて、カラオケ楽曲の演奏テンポを速くしたり、遅くしたりすることができる。また、楽曲データベースには、カラオケ楽曲毎に少なくとも演奏制御データを含む楽曲データが格納されており、演奏制御データには、利用者に対して当該カラオケ楽曲の基準テンポを補完して、当該基準テンポを把握させるための補助テンポが含まれている。
【0014】
補助テンポを出力するための補助テンポ出力基準値は、利用者毎に設定される。すなわち、利用者ID取得手段の機能により、システムログインした利用者の利用者IDを取得して、任意の楽曲が演奏されると、入力音声採点手段の機能により、当該演奏に伴い入力される利用者の歌唱音声信号又は楽器演奏音声信号と、所定の採点リファレンスデータとに基づいて、利用者ID毎にテンポ毎の採点値を算出して記録する。この際、例えば、利用者別採点値データベースが作成される。また、基準値設定モード移行手段を備えることにより、利用者の指示に応じて基準値設定モードが選択された場合に、補助テンポ出力基準値設定手段において、当該利用者の補助テンポ出力基準値を設定してもよい。
【0015】
補助テンポ出力基準値設定手段では、利用者ID毎に、カラオケ演奏のテンポを的確に把握することが可能な補助テンポ出力基準値を設定する。すなわち、補助テンポ出力基準値設定手段の機能により、利用者別採点値の記録に基づいて、利用者ID毎に、テンポ順に採点値を並べる。そして、隣り合う採点値の差が最も大きい二つのテンポのうち、遅い方のテンポを当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定する。
【0016】
利用者により演奏テンポが変更され、当該利用者の利用者IDに対して設定された補助テンポ出力基準値よりも遅くなると、補助テンポ出力手段の機能により、当該カラオケ楽曲の演奏制御データに含まれる補助テンポを出力する。
【0017】
補助テンポは、例えば、演奏テンポ音の発生タイミングや、演奏テンポに合わせた光の点滅タイミングを指示するデータからなり、出力された補助テンポに基づいて、スピーカから補助テンポ音を発生したり、表示装置の表示画面に補助テンポ表示を行ったりする。補助テンポの表示は、例えば、テンポ識別記号の点滅等により行われる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システムによれば、各利用者がカラオケ演奏のテンポを把握できなくなる補助テンポ出力基準値を、利用者毎に設定し、カラオケ演奏のテンポが各利用者の補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に補助テンポを出力する。これにより、各利用者は、自らのリズム感等に応じて、当該カラオケ楽曲の演奏テンポを的確に把握することできる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明のカラオケ演奏のテンポ変更時における補助テンポ出力システム(以下、補助テンポ出力システムと略記する)の実施形態について説明する。
図1〜
図5は本発明の実施形態に係る補助テンポ出力システムを示すもので、
図1は補助テンポ出力システムを適用したカラオケ演奏装置の構成を示すブロック図、
図2は補助テンポの一例を示す説明図、
図3は補助テンポ出力基準値を設定する手順を示す説明図、
図4は補助テンポ出力基準値データベースの説明図、
図5は補助テンポの表示例を示す説明図ある。
【0021】
<補助テンポ出力システムの概要>
本発明の実施形態に係る補助テンポ出力システムは、カラオケ楽曲の演奏テンポを変更可能であり、演奏テンポを遅くした場合に、各利用者のリズム感等に応じて、当該カラオケ楽曲の演奏テンポを把握できるようにしたシステムであって、カラオケ演奏装置10に組み込まれて使用される。この補助テンポ出力システムは、
図1に示すように、利用者ID取得手段12f、演奏テンポ変更手段32、楽曲データベース24a、入力音声採点手段27、補助テンポ出力基準値設定手段28、補助テンポ出力手段33により構成される。また、本発明の実施形態に係る補助テンポ出力システムは、基準値設定モード移行手段12eを備えることが可能である。なお、以下に説明する実施形態において、各手段は、カラオケ本体11またはカラオケリモコン装置12の機能手段として構成されている。
【0022】
また、以下の説明において、プログラムとは、RAM等に記憶され、CPU等のハードウェアで実行されることにより、その機能を発揮するソフトウェアだけではなく、同等の機能を発揮することが可能な論理回路も含む概念である。
【0023】
<カラオケ演奏装置>
本発明の実施形態に係る補助テンポ出力システムを適用するカラオケ演奏装置10は、
図1に示すように、カラオケ本体11、カラオケリモコン装置12、スピーカ13、マイクロホン14、表示装置15、ミキシングアンプ16を備えている。
【0024】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置12は、
図1に示すように、カラオケ本体11の送受信手段25との間で有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置12は、楽曲検索手段12aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース12b、ユーザインタフェース機能を有する入出力表示部12c、演奏テンポ変更指示手段12dとして機能するプログラム、基準値設定モード移行手段12eとして機能するプログラム、利用者ID取得手段12fとして機能する電子機器及びプログラム、カラオケ本体11との間でデータの送受信を行うためのプログラム及び電子機器(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置12に付帯するスイッチ類や、入出力表示部12cに表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作、演奏テンポの変更指示等が行われる。
【0025】
<利用者ID取得手段>
利用者ID取得手段12fは、システムログインした利用者の利用者IDを取得するための電子機器及びプログラムからなる。すなわち、利用者は、利用者IDを記憶したIDカード40やスマートフォン等を持参し、利用者ID取得手段12fの一部として機能するカードリーダや画像読取装置等により利用者IDを読み取らせると、当該利用者IDが取り込まれる。
【0026】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段12aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース12bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース12bは、カラオケ演奏装置10で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲など、種々の属性情報がこれに含まれている。楽曲検索手段12aにより楽曲検索を行うと、例えば、カラオケリモコン装置12の入出力表示部12cに、検索結果が一覧表示される。
【0027】
<入出力表示部>
入出力表示部12cは、例えば、タッチセンサを備えた液晶表示装置を備えており、表示画面に種々のアイコン表示等が行われ、アイコン表示等をタッチペンによりタッチすることにより、楽曲の検索、選曲予約、音程キーの変更、演奏テンポの変更、基準値設定モードの設定等、種々の操作を行うことができる。
【0028】
<演奏テンポ変更指示手段>
演奏テンポ変更指示手段12dは、現在演奏中のカラオケ楽曲の演奏テンポの変更を指示するためのプログラムからなる。この演奏テンポ変更指示手段12dは、利用者が入出力表示部12cに表示される演奏テンポ変更指示ボタン等のアイコンを操作すると、演奏テンポ変更信号をカラオケ本体11に送信する。そして、カラオケ本体11では、演奏テンポ変更手段32の機能により、現在演奏中のカラオケ楽曲の演奏テンポを速くしたり、遅くしたりする。なお、演奏テンポ変更指示手段12dは、カラオケリモコン装置12ではなくカラオケ本体11に設けてもよいし、カラオケリモコン装置12及びカラオケ本体11の双方に設けてもよい。
【0029】
<基準値設定モード移行手段>
基準値設定モード移行手段12eは、利用者の指示に応じて基準値設定モードが選択された場合に、補助テンポ出力基準値設定手段28において、当該利用者の補助テンポ出力基準値を設定するためのプログラムからなる。この基準値設定モード移行手段12eは、利用者が入出力表示部12cに表示される基準値設定モード移行指示ボタン等のアイコンを操作すると、基準値設定モード移行信号をカラオケ本体11に送信する。そして、カラオケ本体11では、補助テンポ出力基準値設定手段28の機能により、当該利用者の補助テンポ出力基準値を設定する。なお、基準値設定モード移行手段12eは、カラオケリモコン装置12ではなくカラオケ本体11に設けてもよいし、カラオケリモコン装置12及びカラオケ本体11の双方に設けてもよい。
【0030】
<マイクロホン>
マイクロホン14は、歌唱音声や楽器演奏音の入力を行うための装置である。マイクロホン14から入力された歌唱音声信号(楽器演奏音信号)は、ミキシングアンプ16により、音楽再生制御手段29から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ13へ出力される。また、マイクロホン14からの音声入力信号(歌唱音声又は楽器演奏音の入力信号)は、A/Dコンバータ30によりデジタル変換して、入力音声採点手段27における歌唱採点及び演奏採点等に使用される。なお、利用者が楽器を演奏する場合に、当該楽器の演奏音をマイクロホン14から入力するのではなく、音源入力端子に楽器を接続して、当該音源入力端子から演奏音を入力してもよい。
【0031】
<表示装置>
表示装置15は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。本実施形態では、表示装置15の表示画面に、補助テンポを表示するようになっている。
【0032】
<カラオケ本体>
カラオケ本体11は、中央制御手段21、ROM22、RAM23、HDD24、送受信手段25、予約管理手段26、入力音声採点手段27、補助テンポ出力基準値設定手段28、音楽再生制御手段29、A/Dコンバータ30、映像再生制御手段31、演奏テンポ変更手段32、補助テンポ出力手段33を備えている。
【0033】
<中央制御手段>
中央制御手段21は、カラオケ本体11を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM22等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0034】
<ROM/RAM>
ROM22は、カラオケ本体11を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM23は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM23を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM23を構成してもよい。本実施形態では、RAM23に、予約待ち行列23aが記憶されるようになっている。なお、予約待ち行列23aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成されたデータテーブルであり、選曲者の利用者ID等の識別データが紐付けられている。
【0035】
<HDD>
HDD24は、大容量記憶装置として機能する装置であり、楽曲データベース24a、映像データベース24b、利用者別採点値データベース24c、補助テンポ出力基準値データベース24dが格納されている。なお、HDD24に替えて、あるいはHDD24と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0036】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース24aは、演奏制御データ(MIDI規格データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成したデータベースである。演奏制御データは、各楽曲の演奏を制御するためのデジタルデータであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース24bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応した背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0037】
また、本実施形態の演奏制御データには、当該カラオケ楽曲の基準テンポを補完して、利用者に対して当該基準テンポを把握させるための補助テンポが含まれている。この補助テンポは、例えば、
図2に示すように、一の基準テンポと次の基準テンポとの中間に挿入したテンポである。
【0038】
<利用者別採点値データベース>
利用者別採点値データベース24cは、
図3に示すように、入力音声採点手段27における歌唱音声又は楽器演奏音の採点値を利用者IDに紐付けして格納したデータベースである。この利用者別採点値データベース24cに格納された利用者別の採点値に基づいて、補助テンポ出力基準値設定手段28において補助テンポ出力基準値の設定が行われる。なお、利用者別採点値データベース24cを作成せずに、利用者別の採点値をRAM23等に一時的に記憶してもよい。
【0039】
<補助テンポ出力基準値データベース>
補助テンポ出力基準値データベース24dは、
図4に示すように、補助テンポ出力手段33における補助テンポの出力に使用される基準値を利用者IDに紐付けして格納したデータベースである。そして、補助テンポ出力手段33の機能では、補助テンポ出力基準値データベース24dを参照して、利用者により変更された演奏テンポが、当該利用者の利用者IDに紐付けられた補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に、補助テンポを出力する。
【0040】
<送受信手段>
送受信手段25は、カラオケ本体11とカラオケリモコン装置12との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体11とカラオケリモコン装置12との間でデータの送受信が行われる。
【0041】
<予約管理手段>
予約管理手段26は、利用者により楽曲検索手段12aの機能を用いて選曲された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列23aを生成し、この予約待ち行列23aをRAM23に格納して管理するためのプログラムからなる。
【0042】
<入力音声採点手段>
入力音声採点手段27は、任意の楽曲が演奏されると、当該演奏に伴い入力される利用者の歌唱音声信号又は楽器演奏音声信号と、所定の採点リファレンスデータとに基づいて、利用者ID毎にテンポ毎の採点値を算出して記録するためのプログラムからなる。この入力音声採点手段27は、従来からカラオケ演奏装置10が備えている歌唱採点機能を用いることができる。
【0043】
すなわち、入力音声採点手段27は、利用者が任意のカラオケ楽曲を歌唱した際に、マイクロホン14より入力された当該利用者の音声信号から抽出した歌唱評価データと、当該カラオケ楽曲の歌唱採点リファレンスデータとに基づいて、歌唱の巧拙を採点する。また、入力音声採点手段27は、利用者が任意のカラオケ楽曲を演奏した際に、マイクロホン14より入力され、あるいは音源入力端子を介して入力された当該利用者による演奏音声信号から抽出した演奏評価データと、当該カラオケ楽曲の演奏採点リファレンスデータとに基づいて、楽器演奏の巧拙を採点する。なお、本実施形態では、入力音声採点手段27の機能により、利用者別採点値データベース24cが作成される。
【0044】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段29は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース24aから抽出された演奏制御データに基づいて、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ16に出力するための電子回路である。上述したように、ミキシングアンプ16は、マイクロホン14から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段29から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ13より出力させるための装置である。
【0045】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段31は、カラオケ楽曲の演奏中に、映像データベース24bから抽出した背景映像データと、楽曲データベース24aに含まれる歌詞描出データ(歌詞テロップデータ)とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置15に出力するためのプログラムからなる。
【0046】
<補助テンポ出力基準値設定手段>
補助テンポ出力基準値設定手段28は、利用者ID毎に算出されたテンポ毎の採点値をテンポ順に並べ、隣り合う採点値の差が最も大きい二つのテンポのうち、遅い方のテンポを当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定するためのプログラムからなる。設定された補助テンポ出力基準値は、利用者IDに紐付けされて、補助テンポ出力基準値データベース24dが作成される(
図4参照)。
【0047】
具体的には、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、利用者ID毎に算出されたテンポ毎の採点値に基づいて、当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値を設定する。
図3(a)及び(b)に示す例では、テンポが速い順に、「80」、「65」、「55」、「40」と並んでおり、採点値はそれぞれ「90」、「70」、「60」、「50」となっている。したがって、第1番目と第2番目のテンポにおける採点値差は「20点」、第2番目と第3番目のテンポにおける採点値差は「10点」、第3番目と第4番目のテンポにおける採点値差は「10点」となる。ここで、
図3(a)に示すように、採点値差が最も大きいのは、第1番目と第2番目のテンポ間の「20点」であるため、両テンポのうちで遅い方のテンポである「65」を当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定する。
【0048】
なお、
図3(a)及び
図3(b)に示す例では、隣り合うテンポの差が一律ではない。すなわち、第1番目と第2番目のテンポ差は「15」、第2番目と第3番目のテンポ差は「10」、第3番目と第4番目のテンポ差は「15」である。そこで、
図3(b)に示すように、採点値差に対するテンポ差の比に基づいて、補助テンポ出力基準値を設定してもよい。
【0049】
すなわち、
図3(b)に示すように、第1番目と第2番目のテンポにおける採点値差とテンポ差の比は「20/15(約1.33)」、第2番目と第3番目の採点値差とテンポ差の比は「10/10(1.0)」、第3番目と第4番目の採点値差とテンポ差の比は「10/15(約0.67)」となる。ここで、採点値差とテンポ差の比が最も大きいのは、第1番目と第2番目のテンポ間の「20/15(約1.33)」であるため、両テンポの中で遅い方のテンポである「65」を当該利用者IDに対する補助テンポ出力基準値として設定する。
【0050】
<演奏テンポ変更手段>
演奏テンポ変更手段32は、任意のカラオケ楽曲を演奏する際に、利用者の指示に基づいてその演奏テンポを変更するためのプログラムからなる。すなわち、演奏テンポ変更手段32は、演奏テンポ変更指示手段12dからの演奏テンポ変更信号を受信すると、当該信号に基づいて、演奏テンポを遅らせたり、速めたりする。
【0051】
<補助テンポ出力手段>
補助テンポ出力手段33は、任意の利用者の指示により変更された演奏テンポが、当該利用者の利用者IDに対して設定された補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に、補助テンポを出力するためのプログラムからなる。すなわち、補助テンポ出力手段33は、補助テンポ出力基準値データベース24dを参照して、現在演奏されているカラオケ楽曲(予約楽曲)を予約した利用者の利用者IDに基づいて、当該利用者IDに紐付けられた補助テンポ出力基準値と、現在の演奏テンポとを比較して、現在の演奏テンポが、当該利用者の補助テンポ出力基準値よりも遅くなった場合に、補助テンポを出力する。なお、現在演奏されているカラオケ楽曲(予約楽曲)を予約した利用者の利用者IDは、予約待ち行列23aを参照することにより把握することができる。
【0052】
補助テンポ出力手段33が出力した補助テンポは、例えば、音楽再生制御手段29の機能により、演奏音声信号と共にミキシングアンプ16に入力され、スピーカ13から補助テンポ音として発生する。また、補助テンポ出力手段33が出力した補助テンポは、例えば、映像再生制御手段31の機能により、カラオケ楽曲の演奏データと共に表示装置15に入力され、表示装置15の表示画面に補助テンポ表示が行われる。すなわち、補助テンポが出力されると、例えば、
図5に示すように、表示装置15の表示画面において、利用者が認識できるように、テンポ記号を点滅させて、演奏データに含まれるテンポと、生成した補助テンポとを表示する。なお、補助テンポ音の発生及び補助テンポ表示の双方を行ってもよいし、いずれか一方のみを行ってもよい。
【0053】
<他の実施形態>
本発明の補助テンポ出力システム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。さらに、カラオケ演奏装置10を単体で動作させるのではなく、ホスト装置にネットワーク接続したカラオケ演奏装置10として動作させてもよい。この場合には、利用者毎の補助テンポ出力基準値をホスト装置で管理することができる。