(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744400
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】画像プレート読み出し装置
(51)【国際特許分類】
G03B 42/02 20060101AFI20150618BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20150618BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
G03B42/02 Z
A61B5/00 D
A61B6/00 303K
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2009-290748(P2009-290748)
(22)【出願日】2009年12月22日
(65)【公開番号】特開2010-204638(P2010-204638A)
(43)【公開日】2010年9月16日
【審査請求日】2012年9月28日
(31)【優先権主張番号】20086241
(32)【優先日】2008年12月23日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】509353665
【氏名又は名称】パロデックス グループ オイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】ミカ キュッロネン
(72)【発明者】
【氏名】ヤリ タスキネン
【審査官】
荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−264609(JP,A)
【文献】
特開2002−156716(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/025366(WO,A1)
【文献】
特開2008−301970(JP,A)
【文献】
特開2004−283365(JP,A)
【文献】
特開平11−052503(JP,A)
【文献】
特開2005−275140(JP,A)
【文献】
特開2005−234519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 42/02
A61B 5/00
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像プレート及び/又はその画像プレート用の移送要素を受け入れる受け入れ要素を備える画像プレート読み出し装置であって、
その読み出し装置の付近において該読み出し装置から対象の異なる位置と少なくとも1つの感知要素間の異なる距離で非接触方式により該対象の動きを検出する少なくとも1つの該感知要素が、該読み出し装置と通信するように設けられており、
該感知要素は、該読み出し装置の該付近において該読み出し装置から該異なる距離で該非接触方式により該対象の該動きを検出すると、該読み出し装置へ信号を送信するような態様で、該読み出し装置とデータ通信するようにされており、
該読み出し装置は、該感知要素によって送信された信号によってトリガされると、機能を実行するようにされていることを特徴とする、画像プレート読み出し装置。
【請求項2】
該読み出し装置は、該感知要素によって送信された信号によってトリガされると、動作モードに進むようにされている、請求項1に記載の読み出し装置。
【請求項3】
該機能は、画像プレート又は移送要素に配置されている画像プレートを読み出し装置の入口に入れることを可能にするために、該読み出し装置の該入口と関連する機器を作動させること、及び/又は、画像プレート又は移送要素に配置されている画像プレートをグリッパ要素に配置することを可能にするために、該読み出し装置に包含されている該グリッパ要素を待機モードにすることを含む、請求項1又は2に記載の読み出し装置。
【請求項4】
該機能が、読み出し装置の入口から画像プレートの取り出しに供するため、該読み出し装置の該入口と関連する機器を提供状態にすることを含む、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の読み出し装置。
【請求項5】
該読み出し装置が、該感知要素によって送信された信号によってトリガされた後で、画像プレート自体又は移送要素に配置されている画像プレートを該読み出し装置の読取機ユニットによって読み取るようにするコンベヤ機構もさらに備える、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の読み出し装置。
【請求項6】
該読み出し装置が、該読み出し装置の操作者に指示を与えるガイドライン要素をさらに備え、該感知要素によって送信された信号によってトリガされた後、前記ガイドライン要素を作動させ前記ガイドライン要素にユーザ指示情報を与えるようになっている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の読み出し装置。
【請求項7】
前記感知要素が、赤外線センサ、温度センサ、RFIDセンサ、光電セル、レーザ距離計、レーダ及び/又はカメラによって実現されている、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の読み出し装置。
【請求項8】
少なくとも1つの感知要素が、操作者が行う何らかの身ぶり若しくは動きを検出するか、又は対象が既定時間よりも長い若しくは短い期間該読み出し装置の近くに留まっていることを検出することにより、その対象を検出し該読み出し装置に信号を送信することにより、該読み出し装置、又はそれに包含されている構成要素、要素若しくは機能が作動される、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の読み出し装置。
【請求項9】
画像プレート及び/又はその画像プレート用の移送要素を読み出し装置に受け入れる方法であって、
該読み出し装置に関連して設けられている少なくとも1つの感知要素により、該読み出し装置の付近において該読み出し装置から対象の異なる位置と少なくとも1つの該感知要素間の異なる距離で非接触方式により該対象の動きを検出し、該読み出し装置の該付近において該読み出し装置から該異なる距離で該非接触方式による該対象の該動きに関連された該検出に応答して、該感知要素と該読み出し装置とを接続するデータ通信リンクにより、該感知要素から該読み出し装置へ信号を送信することと、
該感知要素によって送信された信号によってトリガされると機能を実行することと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
該読み出し装置が、該感知要素によって送信された信号によってトリガされた後、動作モードに進むようになっている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
該機能は、画像プレート又は移送要素に配置されている画像プレートを読み出し装置の入口に入れることを可能にするために、該読み出し装置の該入口と関連する機器を作動させること、及び/又は、画像プレート又は移送要素に配置されている画像プレートをグリッパ要素に配置することを可能にするために、該読み出し装置に包含されている該グリッパ要素を待機モードにすることを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
該機能が、読み出し装置の入口から画像プレートの取り出しに供するため、該読み出し装置の該入口と関連する機器を提供状態にすることを含む、請求項9ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
該読み出し装置が、該感知要素によって送信された信号によってトリガされた後で、画像プレート自体又は移送要素に配置されている画像プレートを該読み出し装置の読取機ユニットによって読み取るようにするコンベヤ機構もさらに備える、請求項9ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
該読み出し装置が、該読み出し装置の操作者に指示を与えるガイドライン要素をさらに備え、該感知要素によって送信された信号によってトリガされた後、前記ガイドライン要素を作動させ前記ガイドライン要素にユーザ指示情報を与えるようになっている、請求項9ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記感知要素が、赤外線センサ、温度センサ、RFIDセンサ、光電セル、レーザ距離計、レーダ及び/又はカメラによって実現される、請求項9ないし14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの感知要素が、操作者が行う何らかの身ぶり若しくは動きを検出するか、又は対象が既定時間よりも長い若しくは短い期間該読み出し装置の近くに留まっていることを検出することにより、その対象を検出し該読み出し装置に信号を送信することにより、該読み出し装置、又はそれに包含されている構成要素、要素若しくは機能が作動される請求項9ないし15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療の画像化過程において使用する画像プレート、並びに画像プレートと関連する機器及び設備、例えば画像プレート読取機にかかわる、衛生学の概念に関する。具体的には、本発明は、画像プレート読み出し装置を非接触方式で又は最小限の接触で操作する方法と、そのような画像プレート読み出し装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
医療の画像化過程において今日採用されている画像化の媒体は、在来のフィルム、再利用可能な画像プレート、又はX線放射監視用の無線又は有線センサを含む。フィルムが使用される場合、フィルムは、例えば可視光からフィルムを保護する別個のカセット内に収容されており、このカセットは、X線撮影中に患者及び患者の体液と接触する可能性がある。同様に、画像プレートはX線撮影中に保護装置内で遮蔽されており、X線画像は、撮像する対象、例えば患者又は患者の一部、をX線放射源と保護装置内に入っている画像プレートとの間に配置することによって取り込まれる。したがって、画像プレート保護装置は、患者及び患者の体液と接触する可能性が画像化過程中にあり、これは例えば口腔内X線撮影等で、この間、保護装置によって遮蔽されている画像プレートは患者の口内にある。
【0003】
前述の画像化の媒体のいずれを採用しようとも、患者及び/又は医療従事者から生ずる病原菌保菌体が、該画像化の媒体によって他の患者及び/又は医療従事者に移動する可能性があるというリスクが常に存在する。画像プレートの場合、例えば第1のリスクは、早くも画像プレートのパッケージ段階で現れ、この場合、画像プレートは例えば保護用厚紙等に挿入され、次いで、遮蔽装置、例えば密封可能な衛生遮蔽バッグ、に入った保護用厚紙等に収容されたまま、X線撮影中に例えば患者と接触することになる。該パッケージ過程では、画像プレートは、保護装置に挿入される前に、例えば梱包する人が、例えば画像プレートを床に落とすか又は画像プレートに素手若しくは汚れた手袋で触れることによって汚染される可能性がある。
【0004】
他のリスク要因は、保護装置、例えば遮蔽バッグ、の液密性が不十分であることを含み、それによって、例えば口腔内X線撮影において、患者の体液が遮蔽バッグ内に入り込み、遮蔽バッグに入っている画像プレートに至り、汚染する可能性がある。非耐性遮蔽バッグに伴う他のリスクは、遮蔽バッグ内にある可能性がある病原菌保菌体が、X線撮影中に遮蔽バッグ内から患者の口内へ移動する可能性があるということである。
【0005】
さらに他のリスクは、例えば看護師により患者の口内から遮蔽バッグが取り出され、この看護師が次いでこの同じ機器を他の対象、例えば読み出し装置又は構造体又はさらには他の遮蔽バッグと接触させることにより、病原菌保菌体が看護師から他の保護装置へ、また非耐性遮蔽バッグの場合には画像プレートにまで及ぶ可能性があるということである。
【0006】
病原菌保菌体が、画像プレートから画像プレートの近傍にある機器、例えば読み出し装置のコンベヤ機構、受け入れ要素もしくは移送要素、又は画像プレートの出口へ、又は読み出し画像プレートが該読み出し装置から戻されるトレーへ、そしてさらにはそれによって他の画像プレート又は同様に取り扱う人若しくは要素まで及ぶという、またさらなるリスクが存在する。
【0007】
例えばこれに関連する口腔内画像プレートと、機器と、設備の衛生状態を改善するための、いくつかの解決策が既知である。
【0008】
例えば、特許文献1は、2つの遮蔽バックによって口腔内画像プレートを保護するための1つの解決策を開示しており、この場合、画像プレートはまず一端が開状態の内側遮蔽バッグに挿入され、この内側遮蔽バッグが次いで外側遮蔽バッグに挿入され、該外側遮蔽バッグは、内側バッグと共に、患者の唾液が読み取り装置まで進むことを防ぐこと、及び患者を画像プレートの表面上に付着している可能性がある病原菌保菌体から保護することを意図するものである。画像プレートは、まず厚紙カバー内に入れてから外側遮蔽バッグに入れることができる。
【0009】
さらに、公開されている特許文献2も、また、封筒タイプの容器によって画像プレートを保護するための解決策を開示しており、この場合、画像プレートは、X線による撮影中に封筒タイプの容器の第1の端から容器に挿入され、X線による撮影の後には該容器の第2の端から取り出される。
【0010】
しかし、上記解決策は、例えば遮蔽バッグを開くプロセスは、遮蔽バッグの引裂きを制御することができないといういくつかの問題を伴う。これは、遮蔽バッグを開くプロセスにおいて、遮蔽バッグ内にある画像プレートが、例えば床又は他の何らかの汚染表面上に、落下することによって、病原菌保菌体が画像プレートと接触してしまう可能性があるという危険を伴う。特許文献2に記載されている封筒タイプの容器は、その内部の、画像プレートを容器に挿入する場所が、その抜き出す場所と同じではないため、その構造及び製造の観点から極めて複雑である。そのような容器は、画像プレートを挿入するか又は抜き出すための複数の開口を含むため、極めて漏れが生じやすい。
【0011】
またさらに、引用した公開特許の双方において提示されている解決策は、双方に、折り曲げ可能なフラップによって作られる折り曲げられた継目に流れを可能ならしめる通路が残っており、これによって液体が流れて画像プレートの挿入のための開口と接触し、それゆえさらに容器の内部及び画像プレートと接触することが可能となるため、耐性があるとはいえない。さらに、例えば特許文献2に提示されている封筒タイプの容器には、フラップが折り曲げられて閉じられているため鋭い角部が残っている。まず第1に、そのような鋭い角部は患者の口内では不快に感じられ、その上、鋭い角部によって患者の粘膜が傷つけられ、それによって患者の体への又は患者の体からの病原菌保菌体の移転を容易にする可能性もあるため、衛生上のリスクも存在する。
【0012】
汚染された口腔内画像プレートを洗浄するためのいくつかの解決策もまた既知である。例えば特許文献3は、消毒に関する解決策を開示しており、この場合、画像プレート読み出し装置は、熱処理、紫外線照射、薬品又はガス処理によって消毒を行う特別な消毒ユニットを備える。
【0013】
しかし、特許文献3に提示されている解決策における問題は、装置が、画像プレート読み出し装置内にその時点で入っている画像プレートを専ら消毒することである。従来の画像プレートが例えば紫外線照射によって消毒される場合、画像プレートはその後、再利用前に消去処理(erasing procedure)又は少なくとも黒化処理(dark treatment)に付されなければならず、これは、少なくとも1つの作業をプロセスに加えることによる時間及び資源を要し、第2に、画像プレートは直ちに再利用できない。さらに、強力な紫外線照射は画像プレートに有害であり、その耐用年数を短縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】フィンランド公開特許第92633号明細書
【特許文献2】米国特許第6,315,444号明細書
【特許文献3】米国公開特許出願第2007/0086911号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来技術に関連する欠点をなくすことが本発明の目的である。実施の一態様によると、本発明は、医療の画像化過程において使用される画像プレート、並びに画像プレートに伴う機器及び設備、例えば画像プレート読取機、の衛生状態を改善し、それによって、X線撮影に関連する媒体、並びに/又は、患者及び/若しくは医療従事人員の中でも医療従事者によって病原菌保菌体が拡がることを最小限に抑えることを追求するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、請求項1に記載の画像プレート読み出し装置と、請求項9に記載の、そのような読み出し装置を操作するための方法とによって達成される。
【0017】
本発明の画像プレート読み出し装置は、読み出し装置にかかる請求項1に提示されていることを特徴とする。
【0018】
さらに、画像プレート読み出し装置を操作するための本発明の方法は、方法にかかる請求項9に提示されていることを特徴とする。
【0019】
本明細書に示されている概念は、例えば以下の意味で使用される。
【0020】
「検出の対象(object of detection)」とは、例えば、読み出し装置の操作者、画像プレート、画像プレートと関連する保護装置、移送要素、又は上記のいずれかと関連する識別子、例えばRFID識別子若しくはバーコードである。操作者に関して検出することができるものは、例えば読み出し装置付近への操作者の近接、又は例えば操作者が行う身ぶり若しくは動き、文章を簡単にするためにこれらの身ぶりに続いて使用される言葉である。身ぶりは例えば、感知要素によって検出される、指が空中に描く円、線又は他の何らかの形態であり得る。読み出し装置は、検出された身ぶりに基づいて、特定の機能、例えば設備の洗浄又は画像プレートの受け入れ及び読み取りを実行するようになっている。
【0021】
「感知要素」は、読み出し装置と関連して設定され、読み出し装置とデータ通信するように設定される要素であり、これは検出される対象を感知する。感知要素は、例えば赤外線センサ、温度センサ、RFIDセンサ、光電セル、レーザ距離計、容量センサ及び/又は抵抗センサによって実現することができる。実施の一態様によると、感知要素はまた、検出される対象が例えば操作者である場合、身ぶり及び/又は動きの検出を可能にするレーダ又はカメラであり得る。さらに、感知要素は、その対象が読み出し装置付近において時間を、例えばいくらかの特定の既定時間よりも長い時間を、費やしているか否かを検出するように適合することができる。感知要素は、以前にその近傍における対象を検出した時から既定の期間以内にその対象が読み出し装置の近傍に戻るか否かを検出するように更に適合することができる。他方で、感知要素は、例えばその近傍の対象を検出した後のいくらかの特定の既定期間以内にその対象の何らかの特定の身ぶり及び/又は動きを検出するように適合することができる。感知要素は、例えばスイッチである、機械的要素とする又はこれと関連することができ、例えば読み出し装置の入口で、アダプタ内にあるか又はアダプタとすぐそばに近接している、例えばカセット又は移送要素を機械的に検出するようになっている。
【0022】
「コンベヤ機構」は、例えば読み出し装置の読取機ユニットによって読み取られるように、読み出し装置内部に少なくとも部分的に挿入される画像プレート、又は(画像プレートを有している若しくは有していない)移送要素を搬送したり、運搬したりする機構である。
【0023】
該コンベヤ機構は、例えば、コンベヤベルト、キャリアアーム、ホルダ、ローラ及び/又はガイド等から成る機構であり得る。実施の一態様によると、該キャリアアーム又は該画像プレートホルダは、受け入れ要素として機能するグリッパ要素(把持要素)と同様とすることができ、該グリッパ要素は、画像プレート又は移送要素を受け入れるだけではなく、画像プレート又は移送要素を読み出し装置内で運ぶようにもなっている。いくつかの実施の態様では、該コンベヤ機構はまた、画像プレート又は移送要素を画像プレートの出口まで運ぶようになっており、該出口は、読み出し装置の設計に応じて、別個の出口とすることもできるし、また、入口としても機能することができるようにしてもよい。
【0024】
「受け入れ要素」は例えば、画像プレート又は画像プレート用の移送要素を読み出し装置内へ受け入れるために、読み出し装置に近接している要素である。該受け入れ要素は、例えば、コンベヤ機構と関連して設けられるアダプタであることができ、画像プレート又は種々のサイズの画像プレート用の移送要素が読み出し装置内へ搬送されることが可能とされる。受け入れ要素の作動とは、例えば、画像プレート自体を入口に又は移送要素に嵌め込まれた画像プレートを入口に配置することを可能にするための、読み出し装置の入口と関連する一連の機器を作動させることや、例えば、画像プレート又は移送要素によってその必要に応じてアダプタを調整することを含む。
【0025】
実施の一態様によると、例えばカセットのような移送要素がアダプタ内に留まり、該移送要素内にある画像用媒体が読み取りのために該アダプタから該読み出し装置に送り込まれるというような態様で、アダプタは、例えばカセットのような移送要素の必要に応じてそれ自体で適合することができ、したがってアダプタ自身とともに該アダプタ内に留まっている移送要素の一部を消毒することが可能となる。受け入れ要素の作動は、読み出し装置のグリッパ要素を待機モードへ切替えることも含むことができ、画像プレートを該グリッパ要素自身に又は移送要素に嵌め込まれた画像プレートをグリッパ要素へ配置することを可能にする。画像プレートが操作者によって取り出すことができるように読み出し装置の入口に留まるようにする提供状態に、受け入れ要素を設定することもできる。受け入れ要素はまた、作動時に開く読み出し装置の保護蓋であり得る。
【0026】
「移送要素」は、例えば口腔内X線撮影において使用される画像プレートを場所から場所へと搬送される要素である。該移送要素内の画像プレートは、読み出し装置に送り込まれ、読み出し装置のコンベヤ機構によって搬送され、さらに読み出し装置の読取要素によって読み取られ、そしてさらに読み出された画像プレート用出口まで送りこまれる。該出口は、別個の出口であるか、又は代替的には該入口と同じであり得る。該移送要素は例えば、画像用媒体と関連する画像プレート搬送体、アダプタ又はカセットであり得る。
【0027】
実施の一態様によると、対象を検出する感知要素が画像プレート読み出し装置と通信するようにして配置される。さらに、感知要素は読み出し装置とデータ通信するようにされており、それによって、感知要素は、読み出し装置に近接する対象を検出すると、読み出し装置へ信号を送信するようになっている。またさらに、読み出し装置は、感知要素が送信した信号によってトリガされた後、何らかの機能を実行するようになっており、例えば画像プレート及び/又は画像プレート用の移送要素を受け入れるための、読み出し装置によって包含されている、受け入れ要素を作動させるようになっている。
【0028】
実際には、前述のタイプの画像プレート読み出し装置には、感知要素が備え付けられ、従来技術に対して際立った利点を提供し、例えば非接触方式で又は最小限の接触で動作する装置であり、それによって、読み出し装置の操作者は、画像プレート又は移送要素を読み出し装置内へ送るプロセスにおいて読み出し装置又はその制御機器に触れる必要がない。非接触又は最小限の接触手順によって提供される利点はさらに、操作者の手に移った可能性がある病原菌保菌体が、読み出し装置の制御機器によって他のユーザへ及び、それによってさらに画像プレート、それらの保護装置及び他の患者へ拡がることを効果的に最小限に抑えることができることである。
【0029】
実施の一態様によると、読み出し装置は、非アクティブ動作モード及びアクティブ動作モードの両方を含み、それによって、感知要素が送信する信号によってトリガされると、読み出し装置は、非アクティブ動作モードからアクティブ動作モードへ移行するようになっている。非アクティブ動作モードは例えば、オフ状態、休止状態又は待機状態であり得る。オフ状態からアクティブ動作モードへ移行するために、例えば機械的スイッチである機械装置を有する監視要素を設けることができる。休止状態又は待機状態からアクティブ動作モードへ移行することを鑑みて、監視要素には、例えば非接触方式でその周囲を観察するセンサが設けられ得る。
【0030】
実施の一態様によると、受け入れ要素の作動は、読み出し装置の入口部を作動させ、例えば蓋を開放して、画像プレート自体又は移送要素に配置されている画像プレートを該入口部に挿入することを含む。受け入れ要素の作動は、また、読み出し要素に包含されているグリッパ要素(把持要素)を待機状態にして、画像プレートを該グリッパ要素自体に又は移送要素内に配置されている画像プレートをグリッパ要素に入れることを含み得る。グリッパ要素は、例えば機械的グリッパ機構や、及び/又は当業者に既知であるような磁気的なグリッパとして構成することができる。
【0031】
実施の一態様によると、受け入れ要素を提供状態にすることは、読み出され且つ/又は洗浄された画像プレートを、操作者が取り出すために、例えば特定の期間、読み出し装置の入口に入れたままにしておくことを含む。読み出し装置は、以下の1つ以上が起こる限り提供状態を実行する:対象が既定時間よりも長く読み出し装置近くに留まっている、対象が既定時間以内に読み出し装置の近くに戻る、感知装置が対象を検出した後で対象が既定時間以内に何らかの身ぶり及び/又は動きをする。読み出し装置の受け入れ要素を提供状態にするプロセスにおいて、例えば読み出し装置の近傍においてその対象が費やす時間を、様々な方法で利用することが可能である。例えば、その対象が既定時間、例えば2秒、を装置のそばで費やす場合には、画像プレートの読み取り及び洗浄を実行し、また、対象が装置のそばに例えば4秒間留まる場合には、読み取り及び洗浄、並びに受け入れ要素の提供状態への設定を実行するように決定することが可能である。読み出し装置には、例えば、画像プレートを操作者へ提供するような機能が別途規定されていない場合には、読み出し装置は、提供状態を実行するように適合することもできる。
【0032】
実施の一態様によると、コンベヤ機構も、感知検出器が送信する信号によってトリガされると作動され、画像プレートを読み出し装置内で搬送すること、例えば画像プレートを読み出し装置を通して搬送することを実行するようになっている。
【0033】
実施の一態様によると、読み出し装置は、読み出し装置の操作者に指示を与えるガイドライン要素もさらに備え、それによって、感知要素が送信した信号によってトリガされた読み出し装置が、上記ガイドライン要素を作動させ、かつ操作者に指示する情報を該ガイドライン要素に与えるようにもなっている。
【0034】
実施の一態様によると、読み出し装置又はその構成要素若しくは機能のうちの1つは、その対象が例えば少なくとも2つの別個の感知要素によって、読み出し装置の近くで検出されるまで、且つこれらの要素の両方によって信号が読み出し装置に送信されるまで、作動されない。感知要素は、例えば読み出し装置から様々な範囲において対象を感知することができ、そして対象が例えば1つの外側範囲からより近い範囲へ向かって移動する時に、外側範囲内及びより近い範囲内の両方にある対象を感知する両方の要素によって、所定の時間間隔を置きながら信号が送信される。このことから、例えば、読み出し装置の操作者である検出される対象が、読み出し装置に接近しており、作動を実行することができると結論付けることができる。上記手順が既定時間内又は既定時間後に生じる限り、特定の身ぶり、例えば、読み出し装置の感知要素の感知範囲内において或る方法で手を振ることや、対象が、例えば手が、読み出し装置の感知要素の感知範囲内において費やす特定の期間、又は特定の身ぶり及びその時点の組合せが達成されることにより、上記手順により機能の作動、例えば読み出し装置を提供状態に設定することが可能である。
【0035】
実施の一態様によると、読み出し装置又はその構成要素、要素若しくは機能のうちの1つは、対象が少なくとも1つの感知要素によって、例えば読み出し装置の近傍で、検出されるまで、且つこの感知要素によって信号が読み出し装置に送信されるまで、作動されない。感知要素は、例えば読み出し装置から様々な範囲内にある対象を感知することができ、そして対象が例えば1つの外側範囲からより近い範囲へ向かって移動するときに、外側範囲内及びより近い範囲内の両方にある対象を感知する感知要素によって、特定の時間間隔を置きながら信号が送信される。このことから、検出される対象が、例えば読み出し装置の操作者が、読み出し装置に近づいてきているとき、作動を実行することができる、というようにすることができる。さらに、例えば手順が既定時間内又は既定時間後に生じる場合、特定の身ぶり、例えば読み出し装置の感知要素の感知範囲内で或る方法で手を振ること、対象が、例えば手が、読み出し装置の感知要素の感知範囲内で費やす特定の期間、又は特定の身ぶり及びその時点の組合せによっても、機能の作動を実行することができる。
【0036】
実施の一態様によると、操作者が行う身ぶりは、例えばパターン認識に基づいて、レーダ又はカメラによって観察され、検出された身ぶりと関連する処理が実行され、例えば、受け入れ要素を作動させる、画像プレートを読み取る、ガイドライン要素にユーザ指示情報を与えることによって例えば操作者に指示を出す、受け入れ要素を提供状態にする、又は病原菌保菌体を駆除する電磁放射及び/若しくは超音波放射を設備内の対象に向けて放出することによって設備洗浄プロセスが行われる。特定の身ぶりが特定の処理と一致させることもできる。
【0037】
実施の一態様によると、感知要素は、例えばユーザと関連する識別子に基づいて操作者を認識することもでき、それによって、読み出し装置は、この特定のユーザと関連する或る動作を実行するように適合することができる。例えば未熟な操作者を特定することが可能であり、この場合、読み出し装置はガイドライン要素により詳細な情報を与えることができる。感知要素は、採用されている画像媒体を特定し、何らかの関連する処理を行うこともでき、例えば画像媒体が口腔内画像プレートである場合にはコンベヤ機構を洗浄する。
【0038】
感知要素は、当業者に既知の任意の手段、例えば赤外線センサ、温度センサ、RFIDセンサ、光電セル、レーザ距離計、容量センサ及び/若しくは抵抗センサによって、レーダ若しくはカメラによって、又は機械装置によって実現することができる。機械装置は例えば、画像プレート又は移送要素を例えば読み出し装置の入口又はアダプタへ挿入するプロセスにおいて、画像プレートか移送要素かによって異なる状態へ切替えられる機械的スイッチであり得る。
【0039】
また、読み出し装置の衛生状態を改善するための実施の一態様によると、読み出し装置又はこれに包含されている要素の表面は、いわゆる抗菌材によってコーティングすることができることに留意するべきである。実施の一態様によると、読み出し装置の特定の部分を、抗菌材から製造することもできる。そのような抗菌材は例えば、SAME基(自己組織化単分子膜末端基)に含まれる材料であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】1つの例示的な画像プレート読み出し装置を示す。
【
図1B】1つの例示的な画像プレート読み出し装置と関連する感知構成を示す。
【
図1C】1つの例示的な画像プレート読み出し装置と関連する感知構成を示す。
【0041】
本発明の好適な実施態様は、以下において、添付の図面を参照し、若干、より詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1Aは1つの例示的な画像プレート読み出し装置100を示し、
図1Bは読み出し装置と関連する感知構成110を示し、
図1Cは読み出し装置に包含されているコンベヤ機構104a、104b、104c及び殺菌(消毒)要素102を示す。一実施形態によると、感知要素110は読み出し装置100と一体化されているが、別の実施態様によると、感知要素は読み出し装置100と連結され、読み出し装置とデータ通信をする。根本的な発明概念を変更することなく、感知要素又要素群は、読み出し装置から或る距離にあり、当業者に既知の何らかのデータ通信リンク方法、例えば有線通信又は無線通信の方法によって、読み出し装置と関連させることができることに留意されたい。
【0043】
図1Bに示される例示的な感知構成110は感知要素110a、110bを備え、これらは、制御ユニット112とデータ通信するようにされていて、例えば読み出し装置の近くの対象を検出すると、感知要素が読み出し装置の制御ユニット112へ信号を送信する。さらに、感知構成110は、例えば対象がその近くにあることを検出した後、読み出し装置100がアクティブ動作モードに切替えられた状態で、その対象が既定時間よりも長い期間、読み出し装置100の近傍に留まっているか否かを検出するようになっている。例えば、読み出し装置の操作者が、手を読み出し装置への入口106の近傍に置いたままの状態である場合には、感知構成110が制御ユニット112へ信号を送信する。また、感知構成110は、読み出し装置100の近くの対象を前回検出した後の既定期間内にその対象が読み出し装置100の近くに戻ったか否かを検出するようにしてもよい。また、感知構成110は、読み出し装置100の近くの対象を検出し、読み出し装置100がアクティブモードに進行した後で、例えば所定の既定時間フレーム以内で、その対象の何らかの特定の身ぶり及び/又は動きを検出できる。予め規定された時間条件下での状態の達成は、感知構成110及び/又は制御ユニット112によって監視される。該制御ユニット112はさらに、感知構成が送信した信号によってトリガされてから、読み出し装置及び読み出し装置と関連する要素の機能を作動させ、例えば画像プレート及び/又は移送要素を受け入れる受け入れ要素を作動させるようになっている。受け入れ要素の作動は、例えば受け入れ要素と制御ユニットとの間のデータ通信リンクによって進めることができる。
【0044】
読み出し装置の制御ユニット112は、画像プレート又は移送要素に配置されている画像プレートを入口に入れることを、例えば入口の保護蓋を開くことを可能にするために、例えば読み出し装置の入口106と関連する一連の機器を作動させる。制御ユニットは、画像プレート又は移送要素に配置されて画像プレートをグリッパ要素に配置することを可能とするために、例えば画像プレート又は移送要素を読み出し装置の内部に配置することができるような態様で、例えばグリッパ要素104cを該入口106から押すことを可能とするため、グリッパ要素104cを待機状態にする。さらに、制御ユニット112は、読み出し装置110の近くにおいて対象がとどまっていることに関するメッセージや、読み出し装置110の近くに対象が戻ったことに関するメッセージや、読み出し装置110の近くにおける対象の特定の身ぶり及び/若しくは動きに関するメッセージを受け取ると、既定時間と関連する条件が満たされたか否かに応じて、例えば関連する一連の機器を読み出し装置の入口へ持っていき提供状態とすることができ、この提供状態においては、洗浄された画像プレートが取り出されるために読み出し装置の入口106に置かれた状態とされている。従って画像プレートを読み出し装置100に挿入した操作者は、読み出し装置106に含まれ例えば収集トレーであり得るような
図1Aの読み出し装置の前方部分に見える、洗浄されたプレート用の収集トレーへ画像プレートを通すことなく、洗浄された画像プレートを入口106から直接取り出すことが可能である。洗浄された画像プレートを入口106から取り出すべきではない場合には、読み出し装置110は、例えば所定の遅延後に、又は読み出し装置110が非アクティブモードに切替わると、画像プレートを収集ユニットへ搬送するようになっている。他方で、読み出し装置110は、非アクティブモードに切替えられている間は、取り出すために、画像プレートを入口に残したままにするようにしてもよい。
【0045】
さらに、読み出し装置の制御ユニット112は、画像プレート自体又は移送要素に配置されている画像プレートを、例えば受け入れ要素内へ挿入した後、読み出し装置の読取機ユニットによって読み取られることができる位置へ運ぶコンベヤ機構104a、104bを作動させることもできる。一実施態様によると、コンベヤ機構は、例えば移送要素のみを殺菌することが望ましい一実施態様においては、画像プレートを有しない移送要素を単独でも搬送することができる。
【0046】
またさらに、読み出し装置の制御ユニット112は、読み出し装置の操作者に指示を与えるガイドライン要素114を作動させ、ガイドライン要素にユーザ指示情報を与えることもできる。
【0047】
実施の一態様によると、制御ユニット112は、少なくとも2つの感知要素110a、110bによって対象が検出されて読み出し装置へ信号が送信されるまで、読み出し装置に包含されている構成要素、ある要素又は機能を作動させない。検出要素又は感知要素110a、110bは、例えば読み出し装置へ向かう遠くからの対象の動きを異なる距離で検出されるように配置することができ、制御ユニット112は、例えば種々の感知要素が送信する信号間の時間差に基づいて、その対象が読み出し装置に接近していると結論付けることができる。
【0048】
実施の一態様によると、感知要素110a、110bは、操作者が行う身ぶり又は動きを、例えばパターン認識に基づいて、検出することができるカメラ又はレーダであり得る。この場合、制御ユニット112は、操作者が行う身ぶり又は動きを判定し、且つ検出された身ぶりと関連する処理を行い、例えば受け入れ要素を作動させるか、画像プレートを読み取るか、操作者に指示を与えるか、受け入れ要素を提供状態に設定するか、又は、例えば病原菌保菌体を駆除する電磁放射及び/若しくは超音波放射を、洗浄される対象、例えば読み出し装置のコンベヤ機構104a、104b、104c(グリッパ要素)及び/若しくは入口若しくはアダプタ106へ向けて放出する殺菌要素102を使用することによって、設備洗浄プロセスを実行するようになっている。制御ユニット112は好ましくは、読み出し装置のコンベヤ機構及び/又は殺菌要素102とデータ通信するようにされている。
【0049】
上述したものは、本発明の解決策の一部の実施形態に過ぎない。本発明の原理は、例えば実施態様の詳細及び応用分野に関して、特許請求の範囲によって規定される保護範囲内における変形形態も当然のこととして対象とされる。例えば、様々な対象及び/又は身ぶりを検出する、1つ以上のタイプの感知要素があり得る。
【0050】
また、図面に示した機器及び装置はその全ての態様において一定の縮尺である必要はなく、また例えば画像プレート及び/又は画像プレートを包囲する移送要素は、例えば
図1Cにおいてはアダプタ106が水平面内に示されているが、垂直面内にある読み出し装置にも送りこむことができることに留意されたい。