特許第5744421号(P5744421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5744421ハイブリッドレンダリング装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744421
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】ハイブリッドレンダリング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/06 20110101AFI20150618BHJP
   G06T 15/55 20110101ALI20150618BHJP
【FI】
   G06T15/06
   G06T15/55
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-132166(P2010-132166)
(22)【出願日】2010年6月9日
(65)【公開番号】特開2010-287235(P2010-287235A)
(43)【公開日】2010年12月24日
【審査請求日】2013年4月25日
(31)【優先権主張番号】10-2009-0051283
(32)【優先日】2009年6月10日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】安 民 修
(72)【発明者】
【氏名】高 永 仁
(72)【発明者】
【氏名】河 仁 友
(72)【発明者】
【氏名】安 廷 桓
【審査官】 松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2007/0035545(US,A1)
【文献】 特表平10−511485(JP,A)
【文献】 特表2009−505184(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0256112(US,A1)
【文献】 特開平04−195478(JP,A)
【文献】 SLUSALLEK, P. et al.,Composite lighting simulations with lighting networks,IEEE Computer Graphics and Applications,1998年 4月,Volume 18, Issue 2,pp. 22-31
【文献】 LONGHURST, P. et al.,A GPU based saliency map for high-fidelity selective rendering,AFRIGRAPH '06 Proceedings of the 4th international conference on Computer graphics, virtual reality, visualisation and interaction in Africa,ACM,2006年,Pages 21-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/00 −19/20
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元(3D)レンダリングを行うためのレンダリング方式を選択する判断部と、
第1レンダリング方式によって直接光を表し、前記3Dレンダリングを行う第1レンダリング部と、
第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行う第2レンダリング部であって、場面を構成する物体の表面からパッチ(patch)またはサンプルポイント(sample point)を抽出し、前記パッチおよび前記サンプルポイント間の相互作用をシミュレーションする、第2レンダリング部と、
第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行う第3レンダリング部と、
を含み、前記判断部は、
前記第1レンダリング方式、前記第2レンダリング方式、および前記第3レンダリング方式のうちの少なくとも1つのレンダリング方式を選択するレンダリング方式選択部と、
ラジオシティレンダリングのためのパッチおよびサンプルポイントの大きさと個数を調整する第1媒介変数調整部と、
レイトレーシングのためのマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整する第2媒介変数調整部と、
を含み、
前記第2媒介変数調整部は、
前記レイトレーシングのためのマスクのピクセル値を決めるマスク生成調整部を含み、前記マスク生成調整部は、光線を生成するための領域のピクセル値を第1設定値に設定し、光線を生成しない領域のピクセル値を第2設定値に設定することを特徴とするハイブリッドレンダリング装置。
【請求項2】
前記判断部は、レンダリング対象の特性を考慮してレンダリング方式を選択することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項3】
前記判断部は、ハードウェア性能を考慮してレンダリング方式を選択することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項4】
前記第1レンダリング方式は、ベクトルデータをピクセルパターンイメージに変換してレンダリングするラスタライゼーションレンダリング方式であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項5】
前記第2レンダリング方式は、光源、物体間の光、および拡散光のうちの少なくとも1つを考慮してレンダリングするラジオシティレンダリング方式であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項6】
前記第3レンダリング方式は、光線が物体の表面から反射する経路を追跡してレンダリングするレイトレーシングレンダリング方式であることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項7】
前記第2媒介変数調整部は
記光の反射回数および前記光の屈折回数のうちの少なくとも1つを調整する反射回数調整部をさらに含むことを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング装置。
【請求項8】
ハイブリッドレンダリング装置が実行するハイブリッドレンダリング方法であって、
3次元(3D)レンダリングを行うためのレンダリング方式を選択するステップと、
第1レンダリング方式によって直接光を表現して前記3Dレンダリングを行うステップと、
第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行うステップであって、場面を構成する物体の表面からパッチ(patch)またはサンプルポイント(sample point)を抽出し、前記パッチおよび前記サンプルポイント間の相互作用をシミュレーションする、ステップと、
第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行うステップと、
を含み、前記選択するステップは、
前記第1レンダリング方式、前記第2レンダリング方式、および前記第3レンダリング方式のうちの少なくとも1つのレンダリング方式を選択するステップと、
ラジオシティレンダリングのためのパッチおよびサンプルポイントの大きさと個数を調整するステップと、
レイトレーシングのためのマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整するステップと、
を含み、
前記マスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整するステップは、前記レイトレーシングのためのマスクのピクセル値を決定して前記マスクを生成するステップを含み、
前記マスクを生成するステップは、
光線を生成するための領域のピクセル値を第1設定値に設定するステップと、
光線を生成しない領域のピクセル値を第2設定値に設定するステップと、
を含むことを特徴とするハイブリッドレンダリング方法。
【請求項9】
前記選択するステップは、レンダリング対象の特性を考慮してレンダリング方式を選択することを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項10】
前記選択するステップは、ハードウェア性能を考慮してレンダリング方式を選択することを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項11】
前記第1レンダリング方式は、ベクトルデータをピクセルパターンイメージに変換してレンダリングするラスタライゼーションレンダリング方式であることを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項12】
前記第2レンダリング方式は、光源、物体間の光、および拡散光のうちの少なくとも1つを考慮してレンダリングするラジオシティレンダリング方式であることを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項13】
前記第3レンダリング方式は、光線が物体の表面から反射する経路を追跡してレンダリングするレイトレーシングレンダリング方式であることを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項14】
前記マスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整するステップは、
前記光の反射回数および前記光の屈折回数のうちの少なくとも1つを調整するステップと、
さらに含むことを特徴とする請求項に記載のハイブリッドレンダリング方法。
【請求項15】
コンピュータに請求項〜請求項14のいずれか一項の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レンダリング対象の材質、ハードウェア性能などによってレンダリング方法を選択的に適用するハイブリッドレンダリング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レンダリングは、コンピュータグラフィックス分野において最も基本となるものであって、このための様々な方式が提案されている。最も広く用いているラスタライゼーション(rasterization)方式は、コンピュータグラフィックスのハードウェアの性能を最も多く活用しているが、直接光のみの表現が可能である。また、ラジオシティ(radiosity)方式の場合、光の拡散およびソフトシャドー(soft shadow)等を巧みに表現するが、反射、屈折などを表現するには限界があり、レイトレーシング(ray−tracing)方式の場合、光の反射、屈折などを巧みに表現するが、光の拡散およびソフトシャドーを表現するには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した課題を克服するために本発明は、既存のレンダリング方式が有する限界を克服し、材質の特性に応じてレンダリング効率を向上し、様々なハードウェアにおいて動作可能なレンダリング装置および方法が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング装置は、3次元(3D)レンダリングを行うためのレンダリング方式を選択する判断部と、第1レンダリング方式によって直接光を表し、前記3Dレンダリングを行う第1レンダリング部と、第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行う第2レンダリング部と、第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行う第3レンダリング部と、を含んでもよい。
【0005】
このとき、前記判断部は、レンダリング対象の特性を考慮してレンダリング方式を選択してもよい。
【0006】
また、前記判断部は、ハードウェア性能を考慮してレンダリング方式を選択してもよい。
【0007】
また、前記第1レンダリング方式は、ベクトルデータをピクセルパターンイメージに変換してレンダリングするラスタライゼーションレンダリング方式であってもよい。
【0008】
また、前記第2レンダリング方式は、光源、物体間の光、および拡散光のうちの少なくとも1つを考慮してレンダリングするラジオシティレンダリング方式であってもよい。
【0009】
また、前記第3レンダリング方式は、光線(レイ)が物体の表面から反射する経路を追跡してレンダリングするレイトレーシングレンダリング方式であってもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング方法は、3次元(3D)レンダリングを行うためのレンダリング方式を選択するステップと、第1レンダリング方式によって直接光を表現して前記3Dレンダリングを行うステップと、第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行うステップと、第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して前記3Dレンダリングを行うステップと、を含んでもよい。
【0011】
このとき、前記選択するステップは、前記第1レンダリング方式、前記第2レンダリング方式、および前記第3レンダリング方式のうちの少なくとも1つのレンダリング方式を選択するステップと、ラジオシティレンダリングのためのパッチおよびサンプルポイントの大きさと個数を調整するステップと、レイトレーシングのためのマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整するステップと、を含んでもよい。
【0012】
また、前記マスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整するステップは、前記レイトレーシングのためのマスクのピクセル値を決定して前記マスクを生成するステップと、前記光の反射回数および前記光の屈折回数のうちの少なくとも1つを調整するステップと、を含んでもよい。
【0013】
また、前記マスクを生成するステップは、光線(レイ)を生成するための領域のピクセル値を第1設定値に設定するステップと、レイを生成しない領域のピクセル値を第2設定値に設定するステップと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、レンダリング対象の特性を考慮して1つ以上のレンダリング方式を選択的に適用することによって、各レンダリング方式の長所を最大に活用し、レンダリングの性能を極大化することができる。
【0015】
また、ハードウェアの性能を考慮してレンダリング方式を適用することによって、レンダリングの速度および効果を調整し、ハードウェア性能に最適化されたレンダリングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング装置を示す図である。
図2図1に示すハイブリッドレンダリング装置の判断部の構成を示す図である。
図3】本発明の他の一実施形態によってハイブリッドレンダリングを行う過程を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るラジオシティレンダリング方式を説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態に係るラスタライゼーションレンダリング方式を説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係るレイトレーシングレンダリング方式を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態によってレイトレーシングのためのマスクを生成する過程を説明するための図である。
図8】本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング方法を説明するための動作フローチャートである。
図9図8に示すレンダリング方式を選択する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
図10図9に示すマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
図11図10に示すマスクを生成する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面に記載された内容を参照して本発明に係る好適な実施形態を詳細に説明する。ただ、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。各図面に提示される同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング装置を示す図である。
【0019】
図1を参照すると、ハイブリッドレンダリング装置100は、判断部110、第1レンダリング部120、第2レンダリング部130、および第3レンダリング部130を備える。
【0020】
判断部110は、3Dレンダリングを行うためのレンダリング方式を選択してもよい。このとき、判断部110は、レンダリング対象の特性を考慮してレンダリング方式を選択してもよい。例えば、レンダリング対象の材質情報を抽出し、レンダリング対象の材質が反射、屈折などが必要な材質であるか否か、光の拡散が必要な材質であるか否かなどを確認してもよい。このとき、対象物体が反射、屈折などが必要な場合には、レイトレーシングレンダリングを行うようにしてもよい。また、光の拡散が必要な場合にはラジオシティレンダリングを行うようにしてもよい。
【0021】
また、ハードウェアの性能を考慮してレンダリング方式を選択してもよい。例えば、レイトレーシングレンダリング方式である場合、ハードウェアリソースを多く用いるため、低い性能のハードウェア仕様ではレイトレーシングレンダリングを行わず、ラスタライゼーションレンダリングおよびラジオシティレンダリングのうちの少なくとも1つだけを行うようにしてもよい。ここで、判断部110は、図2を参照して以下でより詳しく説明する。
【0022】
図2は、図1に示すハイブリッドレンダリング装置の判断部の構成を示す図である。
【0023】
図2を参照すると、判断部110は、レンダリング方式選択部210、第1媒介変数調整部220、および第2媒介変数調整部230を備えてもよい。
【0024】
レンダリング方式選択部210は、第1レンダリング方式、第2レンダリング方式、および第3レンダリング方式のうちの少なくとも1つのレンダリング方式を選択してもよい。すなわち、レンダリング対象の材質、ハードウェアの性能などによって様々なレンダリング方式のうちの少なくとも1つを選択してもよい。
【0025】
第1媒介変数調整部220は、ラジオシティレンダリングのためのパッチおよびサンプルポイントの大きさと個数を調整することができる。すなわち、ハードウェア性能および入力によって、レンダリング対象の色を決めるために用いるパッチとサンプルポイントの大きさおよび数を調整することによって、レンダリングの速度および効果を調整することができる。また、パッチまたはサンプルポイント間の色を決めるために、カメラの位置と近い位置にあるパッチおよびサンプルポイントは詳しく算出し、遠方にあるパッチおよびサンプルポイントに対する算出量は減らすことによって、画質上の差のないレンダリング性能をもたらすようにしてもよい。
【0026】
第2媒介変数調整部230は、レイトレーシングのためのマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整することができる。ここで、第2媒介変数調整部230は、マスク生成調整部231および反射回数調整部232を含んでもよい。
【0027】
マスク生成調整部231は、レイトレーシングのためのマスクのピクセル値を決めることができる。ここで、マスクはレイトレーシング適用領域を示すためのものであってもよい。すなわち、すべての領域が反射、屈折などを必要とするためのものではないため、反射、屈折などが必要な領域と必要でない領域を示すマスクを生成してもよい。
【0028】
また、カメラの位置とオブジェクトとの間の距離、反射/屈折係数、そして画面上でオブジェクトが占める面積などを考慮してマスクを生成することによって、レンダリング速度を調整してもよい。
【0029】
反射回数調整部232は、光の反射回数および光の屈折回数のうちの少なくとも1つを調整することができる。すなわち、反射回数調整部232は、ハードウェア性能などを考慮して反射、屈折回数を調整することによって、レンダリング速度を調整してもよい。
【0030】
再び図1を参照すると、第1レンダリング部120は、第1レンダリング方式によって直接光を表現して3Dレンダリングを行ってもよい。ここで、第1レンダリング方式は、ベクトルデータをピクセルパターンイメージに変換してレンダリングするラスタライゼーションレンダリング方式であってもよい。このとき、ラスタライゼーションレンダリング方式は、コンピュータグラフィックスのハードウェアの性能を最も巧みに活用することができる。
【0031】
第2レンダリング部130は、第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して3Dレンダリングを行ってもよい。ここで、前記第2レンダリング方式は、光源、物体との間の光、拡散光および影のうちの少なくとも1つを考慮してレンダリングするラジオシティレンダリング方式であってもよい。このとき、ラジオシティレンダリング方式は、光の拡散およびソフトシャドーなどを巧みに表現することができる。
【0032】
第3レンダリング部130は、第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して3Dレンダリングを行ってもよい。ここで、レイが物体の表面から反射する経路を追跡してレンダリングするレイトレーシングレンダリング方式であってもよい。このとき、レイトレーシングレンダリング方式は、光の反射、屈折などを巧みに表現することができる。
【0033】
前述のように、レンダリング対象の材質およびハードウェア性能のうちの少なくとも1つによってレンダリング方式を選択することにより、レンダリングの効率を極大化して様々なハードウェア環境においても効率的なレンダリングを行うことができる。
【0034】
図3は、本発明の他の一実施形態によってハイブリッドレンダリングを行う過程を示す図である。
【0035】
図3を参照すると、ステップ310においては、画面を構成するオブジェクトの集まりであるシーングラフと光情報を入力データとして入力されてもよい。
【0036】
ステップ320では、光の拡散、ソフトシャドー等の広域照明の効果を算出するラジオシティレンダリングを行ってもよい。ここで、ラジオシティレンダリングのためにシーンを構成する物体の表面からパッチまたはサンプルポイントを抽出し、この間の相互作用をシミュレーションすることによってこれらの色を算出してもよい。
【0037】
ステップ330においては、抽出されるパッチまたはサンプルポイントの色情報などと、カメラおよびオブジェクトの材質情報を用いて、ラスタライゼーションレンダリングを行って画面に出力するための各ピクセル値をフレームバッファに格納してもよい。
【0038】
ステップ340においては、レイトレーシングによって光の反射、屈折などの広域照明の効果を算出し、算出によって獲得される色値を用いてステップ320にて格納したフレームバッファの色値をアップデートしてもよい。
【0039】
ステップ350においては、アップデートされた値に基づいて光の反射、屈折を反映する3次元出力映像を最終的に生成してもよい。
【0040】
図4は、本発明の一実施形態に係るラジオシティレンダリング方式を説明するための図である。
【0041】
図4を参照すると、ラジオシティレンダリング方式は、光源からの光のみならずレンダリング対象との間のやり取りする光の影響、拡散光などを算出するためにすべての表面を光量の分布に応じて再び小さいパッチ410、420、430に分けたり、表面でサンプリング点を抽出して算出してもよい。すなわち、シーンを構成しているすべての表面をパッチ410、420、430に分け、光源から第1パッチ410に、第1パッチ410から第2パッチ420に、再び第3パッチ430にどれくらいの光エネルギーが伝えられるかその量を算出してもよい。
【0042】
このような場合、大きな白色壁面、赤色青色の底から構成されるシーンにラジオシティレンダリング方式を適用すれば、赤色の底から反射した拡散光の影響を受け、白色壁面が赤色に表わせる。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態に係るラスタライゼーションレンダリング方式を説明するための図である。
【0044】
図5を参照すると、三次元の位置と色を有する頂点510から多面体520を形成し、多面体をグラフィックハードウェアのフレームバッファのピクセルに変換530、540してもよい。一方、ラスタライゼーションレンダリング方式は、グラフィックハードウェアにより高速化してもよい一方、反射、屈折、また間接光などのような広域照明を表現するには困難がある。
【0045】
図6は、本発明の一実施形態に係るレイトレーシングレンダリング方式を説明するための図である。
【0046】
図6を参照すると、レイトレーシングレンダリング方式は、時点から画面上の各ピクセルの方向に光線(レイ)を発射し、見られる物体の算出および見られる点の照度を算出する方式を意味する。このとき、時点で発射された1次レイ(primary ray)610は、物体にぶつかる瞬間の影が含まれるかの有無を算出するためのシャドーレイ(shadow ray)640、反射表面の場合に反射したイメージを求めるための反射レイ630、屈折表面の場合に屈折されたイメージを求めるための屈折レイ620等を再帰的に生成してもよい。レイトレーシングレンダリング方式によって反射/屈折などのような広域照明を表すことができるが、必要な演算量が大きいためにリアルタイムレンダリングに活用することが難しい場合もある。また、光の拡散およびソフトシャドーなどを表すためには、使わなければならないレイの数が急激に増加することから、必要な演算量が大きくなる場合もある。
【0047】
図7は、本発明の一実施形態によってレイトレーシングのためのマスクを生成する過程を説明するための図である。
【0048】
図7を参照すると、マスクは画面と同じ解像度を有してもよく、レイトレーシングレンダリングが必要な領域720または必要でない領域710を表現してもよい。一例として、マスク内の特定領域の値が0でない値を有するピクセルに対してのみレイを生成し、レイトレーシングを行ってもよい。ここで、マスク生成はシーンを構成する物体の単位からなり、その物体が有している反射、屈折の係数を基準として生成してもよい。
【0049】
一例として、物体の材質の反射、屈折係数が既に設定された値を越えない場合、物体が描かれる領域にあるピクセル値を0に設定してもよい。また、物体が既定値よりも遠くにある場合、物体が描かれる領域にあるピクセル値を0に設定してもよい。また、物体が描かれる領域が既定値よりも小さい場合、物体が描かれる領域にあるピクセル値を0に設定してもよい。
【0050】
図8は、本発明の一実施形態に係るハイブリッドレンダリング方法を説明するための動作フローチャートである。
【0051】
図8を参照すると、ステップ810においては3Dレンダリングを行うためのレンダリング方式を選択してもよい。一例として、レンダリング対象の特性、ハードウェア性能などによってレンダリング方式を選択してもよい。ここで、レンダリング対象の特性は、レンダリング対象が反射、屈折などを必要とするか否か、間接光の表現が必要であるか否かなどを含んでもよい。ここで、ステップ810は図9を参照して以下により詳しく説明する。
【0052】
図9は、図8に示すレンダリング方式を選択する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
【0053】
図9を参照すると、ステップ910においては第1レンダリング方式、第2レンダリング方式、および第3レンダリング方式のうちの少なくとも1つのレンダリング方式を選択してもよい。ここで、第1レンダリング方式はラスタライゼーションレンダリング方式であり、第2レンダリング方式はラジオシティレンダリング方式であり、第3レンダリング方式はレイトレーシングレンダリング方式であってもよい。
【0054】
ステップ920において、ラジオシティレンダリングのためのパッチおよびサンプルポイントの大きさと個数を調整してもよい。これによって、カメラの位置と近い位置にあるパッチおよびサンプリングポイントは詳しく算出し、遠方にあるパッチおよびサンプリングポイントは算出量を減らすことができる。
【0055】
ステップ930において、レイトレーシングのためのマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整してもよい。ここで、ステップ930は図10を参照してより詳しく説明する。
【0056】
図10は、図9に示すマスク生成、光の反射回数、および光の屈折回数を調整する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
【0057】
図10を参照すると、ステップ1010において、レイトレーシングのためのマスクのピクセル値を決定してマスクを生成してもよい。このとき、レイトレーシングを行おうとする領域のピクセル値とレイトレーシングを行わない領域のピクセル値とを区分して設定してもよい。マスクを生成する過程は図11を参照して詳細に説明する。
【0058】
図11は、図10に示すマスクを生成する過程の一実施形態を示す動作フローチャートである。
【0059】
図11を参照すると、ステップ1110においては、レイを生成するための領域のピクセル値を第1設定値に設定してもよい。このとき、第1設定値は0よりも大きい任意の値であってもよい。
【0060】
ステップ1120においては、レイを生成しない領域のピクセル値を第2設定値に設定してもよい。このとき、第2設定値は0であってもよい。
【0061】
したがって、第1設定値と第2設定値は互いに区分される値であり、レンダリングを行うとき第1設定値と第2設定値によってレイトレーシングレンダリングが必要であるか否かを確認してもよい。
【0062】
再び図10を参照すると、ステップ1020においては、光の反射回数および光の屈折回数のうちの少なくとも1つを調整してもよい。光の反射回数および光の屈折回数は、ハードウェア性能などを考慮して調整してもよく、ハードウェア性能が高いほど回数を高く設定して優れた立体効果を表現してもよい。
【0063】
再び図8を参照すると、ステップ820においては第1レンダリング方式によって直接光を表現して3Dレンダリングを行ってもよい。このとき、第1レンダリング方式は、ラスタライゼーションレンダリング方式であってもよい。
【0064】
ステップ830においては、第2レンダリング方式によって間接光および影のうちの少なくとも1つを表現して3Dレンダリングを行ってもよい。このとき、第2レンダリング方式はラジオシティレンダリング方式であってもよい。
【0065】
ステップ840においては、第3レンダリング方式によって反射光、屈折光、および回折光のうちの少なくとも1つを表現して3Dレンダリングを行ってもよい。このとき、第3レンダリング方式はレイトレーシングレンダリング方式であってもよい。
【0066】
このとき、3Dレンダリングのために第1レンダリング方式、第2レンダリング方式、および第3レンダリング方式を選択的に適用してもよい。
【0067】
本発明の実施形態は、コンピュータによりハイブリッドレンダリング方法のステップを実行するためのプログラム命令を含み、さらに当該プログラム命令を含むコンピュータ読取可能な記録媒体を含む。当該記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて含むこともでき、記録媒体およびプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読取可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。また、記録媒体は、プログラム命令、データ構造などを保存する信号を送信する搬送波を含む光または金属線、導波管などの送信媒体でもある。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行され得る高級言語コードを含む。上述したハードウェア装置は、本発明の動作を行うため1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するよう構成され、その逆も同様である。
【0068】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための形態により制限されるものではない。
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