(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段が、前記湯水追加処理により、前記洗浄空間に前記設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数繰り返した後において、前記エアー噛み判別処理により前記エアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して警報手段を作動させる洗浄処理用の異常警報処理を実行するように構成されている請求項1記載の食器洗浄機。
前記制御手段が、前記すすぎ処理において、前記エアー噛み判別処理及び前記湯水追加処理を実行するように構成され、かつ、前記湯水追加処理により、前記洗浄空間に前記設定追加量の湯水を追加供給することを前記洗浄処理用の設定回数よりも少ない回数に設定されたすすぎ処理用の設定回数繰り返した後において、前記エアー噛み判別処理により前記エアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して前記警報手段を作動させるすすぎ処理用の異常警報処理を実行するように構成されている請求項2記載の食器洗浄機。
前記制御手段が、前記洗浄用ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、前記直流モータに供給する駆動電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、前記エアー噛み判別処理を実行するように構成され、かつ、前記エアー噛み判別処理において、前記回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて前記判別処理用の設定駆動電圧を定めるように構成されている請求項4記載の食器洗浄機。
前記制御手段が、前記洗浄用ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、前記交流モータに供給する駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、前記エアー噛み判別処理を実行するように構成され、かつ、前記エアー噛み判別処理において、前記回転速度調整処理にて調整した駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧に基づいて前記判別処理用の設定駆動周波数および電圧を定めるように構成されている請求項6記載の食器洗浄機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食器洗浄機においては、省資源化及び省エネルギー化を図るために、洗浄処理やすすぎ処理において使用する湯水の量を少なくすることが望まれるものとなる。
しかしながら、一般には、洗浄処理やすすぎ処理において、洗浄空間に貯留する湯水の洗浄用の水位は、洗浄対象物としての食器類に卵の黄身が多く残っていて、多量の泡が発生した場合や、使用者が食器洗浄機において推奨されている洗剤とは異なる洗剤を用いて、多量の泡が発生した場合をも想定した水位となっているため、多量の泡が発生することが無い場合には、洗浄空間には余分な湯水が貯留されることになる無駄があった。
【0007】
説明を加えると、洗浄空間内に泡が発生する場合においては、発生した泡が洗浄空間内に収納されている洗浄対象物等に付着した状態になり、そして、泡の生成のためには湯水が使用されるものであるため、洗浄処理やすすぎ処理において、洗浄空間の底部に貯留される湯水の量(水位)が、泡が発生する場合において泡が発生しない場合に較べて少なくなる。
そして、多量の泡が発生する場合には、洗浄空間の底部に貯留される湯水の量(水位)が、極端に少なくなって、洗浄ポンプがエアーを吸引することになる、いわゆる、エアー噛みが発生する虞がある。
【0008】
このようなエアー噛みが発生すると、湯水を洗浄ノズルより適正通り噴出できないものとなる不都合や、洗浄ポンプがエアー噛みのために大きな騒音を発生する不都合が生じる虞があるため、一般には、洗浄処理やすすぎ処理において、洗浄空間に貯留する湯水の洗浄用の水位は、多量の泡が発生した場合をも想定した水位となっているため、多量の泡が発生することが無い場合には、洗浄空間には余分な湯水が貯留されることになる無駄があった。
【0009】
ちなみに、洗浄ポンプのエアー噛みの発生は、一般には、洗浄処理において発生するものであり、洗浄処理の後のすすぎ処理においては発生しないものであるが、極めて泡が発生し易い洗剤を用いた場合等においては、洗浄処理の後のすすぎ処理においても泡の発生が生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを的確に検出して、そのエアー噛みの発生を適切に解消させることにより、洗浄処理やすすぎ処理において使用する湯水の量を減少させることができる食器洗浄機を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の食器洗浄機は、洗浄槽の洗浄空間への湯水供給を断続する湯水断続手段と、
前記洗浄空間の底部に貯留された湯水を洗浄用ノズルに圧送する洗浄用ポンプと、
前記洗浄空間内の洗浄対象物を洗浄する洗浄処理、前記洗浄対象物をすすぐすすぎ処理、及び、前記洗浄対象物を乾燥する乾燥処理を実行する制御手段が設けられ、
前記制御手段が、
前記洗浄処理及び前記すすぎ処理において、洗浄用の水位の湯水を前記洗浄空間内に貯留した状態で前記洗浄用ポンプを作動させて洗浄及びすすぎを行うべく、前記湯水断続手段及び前記洗浄ポンプを制御するように構成されたものであって、
その第1特徴構成は、
前記制御手段が、前記洗浄処理において、前記洗浄用ポンプの作動状況に基づいて、その洗浄用ポンプにエアー噛みが発生しているか否かを判別するエアー噛み判別処理、及び、そのエアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別したときには、前記洗浄空間に湯水を追加供給すべく、前記湯水断続手段を制御する湯水追加処理を実行するように構成され
、さらに、
前記制御手段が、前記エアー噛み判別処理にて前記エアー噛みが発生していると判別したときに、前記湯水追加処理として、前記洗浄用ポンプを作動させた状態で前記洗浄空間に設定追加量の湯水を追加供給し、その設定追加量の湯水を追加供給した状態において、前記エアー噛み判別処理にて前記エアー噛みが発生していると判別したときには、前記湯水追加処理として、前記洗浄空間に前記設定追加量の湯水を追加供給することを繰り返すように構成され、さらに、
前記制御手段が、前記エアー噛み判別処理を、前記湯水追加処理を実行した後は設定経過時間が経過したときに開始する形態で、設定周期で設定時間ずつ繰り返すように構成されている点を特徴とする。
【0012】
すなわち、洗浄処理において、エアー噛み判別処理によって、洗浄ポンプにエアー噛みが発生していることが判別されると、湯水追加処理によって、洗浄空間に湯水が追加供給されることになる。
つまり、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したときには、洗浄空間に湯水が追加供給されることにより、洗浄ポンプのエアー噛みの発生が解消されることになる。
【0013】
このように、洗浄ポンプにエアー噛みが発生しても、洗浄空間に湯水を追加供給することにより、洗浄ポンプのエアー噛みの発生が適切に解消できるものであるから、洗浄用の水位としては、多量の泡が発生することが無い場合を想定した水位としておき、多量の泡が発生することにより洗浄ポンプにエアー噛みが発生した場合には、洗浄空間に湯水を追加供給して、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を解消させるようにすることにより、省資源化及び省エネルギー化を図るために、洗浄処理やすすぎ処理において使用する湯水の量を減少させることができるものとなる。
【0014】
そして、エアー噛み判別処理は、洗浄ポンプにエアー噛みが発生すると、負荷の変動により洗浄ポンプの作動状況が変動することに鑑みて、洗浄用ポンプの作動状況に基づいて、その洗浄用ポンプにエアー噛みが発生しているか否かを判別するものであるから、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを的確に検出することができる。
【0015】
つまり、例えば、洗浄槽の洗浄空間に貯留される湯水の水位を検出する水位検出センサを用いて、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を検出することが考えられる。
説明を加えると、水位検出センサは、一般に、洗浄空間に連通する水位検出用の貯留槽内に貯留される湯水に浮上して昇降するフロート、及び、そのフロートが洗浄用の水位に対応する昇降位置であることを検出する位置検出センサを設けて、洗浄用の水位であることを検出するように構成されるものであるが、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを判別するために、フロートの昇降位置を無段階や多段階に検出するように構成して、洗浄槽内の洗浄空間の底部に存在する湯水の水位の変動に基づいて、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを判別することが考えられる。
【0016】
しかしながら、この場合、フロートの昇降位置を無段階や多段階に検出するための位置検出センサを装備しなければならないことに起因して、水位検出センサの構成が煩雑になる不利があるばかりでなく、洗浄槽内の洗浄空間の底部に存在する湯水の水位は、エアー噛みの発生以外の諸々の要因によっても変動することが考えられるため、湯水の水位によっては、エアー噛みの発生を的確に検出し難いものである。
【0017】
また、洗浄ポンプにエアー噛みが発生した場合における騒音をマイクロフォンにて検出し、かつ、そのマイクロフォンの受信信号の周波数解析を行うことにより、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを判別することが考えられる。
しかしながら、この場合、エアー噛みの判別のために、特別なセンサ類を新たに装備しなければならない不利があるばかりでなく、周波数解析を行うようにしても、エアー噛みが発生していないのに発生しているとの誤認識を起こす虞がある等により、エアー噛みの発生を的確に検出し難いものである。
【0020】
また、エアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別されると、洗浄空間に設定追加量の湯水が追加供給されることになり、そして、その設定追加量の湯水を追加供給した状態において、エアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別されと、
洗浄用ポンプを作動させた状態で洗浄空間に設定追加量の湯水を追加供給することが繰り返されることになる。
【0021】
このように、洗浄ポンプにエアー噛みが発生した場合には、設定追加量の湯水を追加供給することを、エアー噛みの発生が解消されるまで繰り返すものであるから、必要以上に多量の湯水を追加供給することを抑制しながら、エアー噛みの発生を適切に解消できるものとなる。
【0022】
つまり、洗浄ポンプにエアー噛みが発生したときに、一度に多量の湯水を追加供給するのではなく、設定追加量としての少量の湯水を追加供給して、その湯水の追加供給によってエアー噛みが解消する否かを確認しながら、湯水の追加供給を行うものであるから、エアー噛みを解消するのに必要となる湯水量以上の多量の湯水を追加供給することを抑制できる。
【0025】
また、エアー噛み判別処理が、設定周期で設定時間ずつ繰り返されることになり、このエアー噛み判別処理にて洗浄ポンプのエアー噛みの発生が判別されたときには、設定追加量の湯水が供給される湯水追加処理が実行されることになる。
そして、エアー噛み判別処理を実行する設定周期が、湯水追加処理が実行されたときには、設定経過時間が経過したときに開始されるように定められる。
【0026】
このように、エアー噛み判別処理が、設定周期で設定時間ずつ繰り返されることになるから、運転開始直後等において一時的に生じるエアー噛みの発生により、設定追加量の湯水供給を短時間で繰り返すことを抑制することができる。
つまり、エアー噛み判別処理を連続的に行うと、運転開始直後等において一時的にエアー噛みの発生が生じると、そのエアー噛みの発生に応じて、設定追加量の湯水供給を繰り返して、必要以上の湯水を供給する虞があるが、エアー噛み判別処理が、設定周期で設定時間ずつ繰り返されるため、一時的なエアー噛みの発生により、多量の湯水を供給することが回避されることになる。
【0027】
また、エアー噛み判別処理が、設定周期で設定時間ずつ繰り返されることに加えて、エアー噛み判別処理が、湯水追加処理を実行した後は設定経過時間が経過したときに開始されるものとなるから、湯水追加処理にて設定追加量の湯水が供給されてから設定経過時間が経過した後における洗浄ポンプの作動状況に基づいてエアー噛みが判別されるため、設定追加量の湯水を供給することにより、エアー噛みの発生が解消した状態であるか否かについて、適切に判別できるものとなる。
【0028】
つまり、湯水追加処理にて設定追加量の湯水を供給すると、その直後は、供給された湯水は洗浄空間の底部に流動することになり、その後、洗浄ポンプにて洗浄ノズルにて圧送されるため、湯水追加処理にて設定追加量の湯水を供給する結果が安定的な状態として得られるまでには、時間が掛かるものとなるから、その時間を見込んで設定経過時間を定めておくことにより、湯水追加処理にて設定追加量の湯水を供給することにより、エアー噛みの発生が解消した状態であるか否かについて、適切に判別できるものとなる。
【0029】
要するに、本発明の第
1特徴構成によれば、
洗浄ポンプにエアー噛みが発生したことを的確に検出して、そのエアー噛みの発生を適切に解消させることにより、洗浄処理やすすぎ処理において使用する湯水の量を減少させることができ、さらに、必要以上に多量の湯水を追加供給することを抑制しながら、エアー噛みの発生を適切に解消でき、さらに、一時的なエアー噛みの発生により多量の湯水を供給することを回避でき、しかも、設定追加量の湯水を供給することにより、エアー噛みの発生が解消したか否かについて適切に判別できる食器洗浄機を提供できる。
【0030】
本発明の第
2特徴構成は、上記第
1特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記湯水追加処理により、前記洗浄空間に前記設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数繰り返した後において、前記エアー噛み判別処理により前記エアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して警報手段を作動させる洗浄処理用の異常警報処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0031】
すなわち、設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数繰り返した後において、エアー噛み判別処理によりエアー噛みが発生したことが判別されると、異常警報処理が実行されて、運転が停止されかつ警報手段が作動されることになる。
【0032】
つまり、極端に泡が発生し易い洗剤が使用される等により、設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数繰り返しても、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できないときには、湯水の追加供給により、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できない状態であるとして、運転を停止し、且つ、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できない異常状態であることを使用者に認識させるために、警報手段を作動させることになる。
【0033】
ちなみに、警報手段の作動により、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できない異常状態であることを認識した使用者は、洗浄槽内の洗浄対象物を取り出して、その洗浄対象物に付着している洗剤を洗い流すことや洗浄対象物を手拭処理することを行うことになる。
そして、洗浄槽を正常な状態に戻すために、洗浄槽の内面等に付着している洗剤を拭き取ること等を行うことになり、また、必要に応じて、洗剤を使用しないで、洗浄処理やすすぎ処理を行って、洗浄槽の内面等に付着している洗剤を除去することになる。
【0034】
要するに、本発明の第
2特徴構成によれば、上記した第
1特徴構成による作用効果に加えて、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できない異常状態であることを使用者に認識させて、その後の処置を行わせることができる食器洗浄機を提供できる。
【0035】
本発明の第
3特徴構成は、上記第
2特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記すすぎ処理において、前記エアー噛み判別処理及び前記湯水追加処理を実行するように構成され、かつ、前記湯水追加処理により、前記洗浄空間に前記設定追加量の湯水を追加供給することを前記洗浄処理用の設定回数よりも少ない回数に設定されたすすぎ処理用の設定回数繰り返した後において、前記エアー噛み判別処理により前記エアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して前記警報手段を作動させるすすぎ処理用の異常警報処理を実行するように構成されている点を特徴とする。
【0036】
すなわち、すすぎ処理においても、洗浄処理と同様に、エアー噛み判別処理及び湯水追加処理が実行されて、すすぎ処理において洗浄ポンプのエアー噛みが発生した場合には、そのエアー噛みが解消されることになる。
つまり、洗浄ポンプのエアー噛みの発生は、一般には、洗浄処理において発生するものであり、洗浄処理の後のすすぎ処理においては発生しないものであるが、極めて泡が発生し易い洗剤を用いた場合等においては、洗浄槽の内部に残存している洗剤のために、洗浄処理の後のすすぎ処理においても泡の発生が生じる可能性があるが、すすぎ処理において洗浄ポンプのエアー噛みが発生した場合には、そのエアー噛みが解消されることになる。
【0037】
また、設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数よりも少ない回数に設定されたすすぎ処理用の設定回数繰り返した後において、エアー噛み判別処理によりエアー噛みが発生したことが判別されると、異常警報処理が実行されて、運転が停止されかつ警報手段が作動されることになる。
【0038】
つまり、極端に泡が発生し易い洗剤が使用される等により、設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数よりも少ない回数に設定されたすすぎ処理用の設定回数繰り返しても、洗浄ポンプのエアー噛みを解消できないときには、適正なすすぎ処理を行えない異常状態であるとして、運転を停止し、且つ、適正なすすぎ処理を行えない異常状態であることを使用者に認識させるために、警報手段を作動させることになる。
【0039】
ちなみに、警報手段の作動により、適正なすすぎ処理を行えない異常状態であることを認識した使用者は、洗浄槽内の洗浄対象物を取り出して、その洗浄対象物に付着している洗剤を洗い流すことや洗浄対象物を手拭処理することを行うことになる。
そして、洗浄槽を正常な状態に戻すために、洗浄槽の内面等に付着している洗剤を拭き取ること等を行うことになり、また、必要に応じて、洗剤を使用しないで、洗浄処理やすすぎ処理を行って、洗浄槽の内面等に付着している洗剤を除去することになる。
【0040】
要するに、本発明の第
3特徴構成によれば、上記した第
2特徴構成による作用効果に加えて、すすぎ処理を適正通りに行うことができない異常状態であることを使用者に認識させて、その後の処置を行わせることができる食器洗浄機を提供できる。
【0041】
本発明の第
4特徴構成は、上記第1〜第
3特徴構成のいずれかに加えて、
前記洗浄用ポンプが、直流モータにて駆動されるものであり、
前記制御手段が、前記エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を前記直流モータに供給して前記洗浄用ポンプを作動させている状態において、前記洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、前記エアー噛みが発生していると判別するように構成されている点を特徴とする。
【0042】
すなわち、洗浄用ポンプが、直流モータにて駆動されるものであり、直流モータは、その回転速度とトルクとを駆動電圧の調整によって簡単に制御できるものであるため、洗浄ポンプを目標回転速度にて作動させる等、目標作動状態で作動させるように制御することを、簡単な制御構成にて良好に行えるものとなる。
【0043】
また、エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を直流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するものであるから、直流モータの特性を利用してエアー噛みの発生を的確に判別することができる。
【0044】
つまり、直流モータは、一定の駆動電圧が供給されているときに、負荷が変動すると、その回転速度が負荷の大きさに比例して変動するものであるから、エアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を直流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプにエアー噛みが発生すると、負荷の変動により、直流モータの回転速度、つまり、洗浄ポンプの回転速度が変動するものとなるため、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動することをもって、エアー噛みの発生を的確に検出できるのである。
【0045】
要するに、本発明の第
4特徴構成によれば、第1〜第
3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、洗浄ポンプを目標作動状態に制御することを簡単な制御構成にて良好に行え、しかも、エアー噛みの発生を的確に検出できる食器洗浄機を提供できる。
【0046】
本発明の第
5特徴構成は、上記第
4特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記洗浄用ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、前記直流モータに供給する駆動電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、前記エアー噛み判別処理を実行するように構成され、かつ、前記エアー噛み判別処理において、前記回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて前記判別処理用の設定駆動電圧を定めるように構成されている点を特徴とする。
【0047】
すなわち、回転速度調整処理によって、洗浄用ポンプの回転速度が目標回転速度になるように、洗浄用ポンプに供給する駆動電圧が調整され、その回転速度調整処理が実行された後に、エアー噛み判別処理が実行されることになる。
そして、そのエアー噛み判別処理において、回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて判別処理用の設定駆動電圧が定められて、洗浄ポンプのエアー噛みの発生が判別されることになる。
【0048】
このように、回転速度調整処理を実行し、その後において、回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて判別処理用の設定駆動電圧を定めて、エアー噛み判別処理を実行するものであるから、洗浄槽の底部に貯留した湯水を洗浄ノズルに圧送するのに適した回転速度にて洗浄ポンプを駆動するようにしながら、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を適切に判別することができる。
【0049】
要するに、本発明の第
5特徴構成によれば、上記第
4特徴構成による作用効果に加えて、湯水を洗浄ノズルに圧送するのに適した回転速度にて洗浄ポンプを駆動するようにしながら、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を適切に判別することができる食器洗浄機を提供できる。
【0050】
本発明の第
6特徴構成は、上記第1〜第
3特徴構成のいずれかに加えて、
前記洗浄用ポンプが、交流モータにて駆動されるものであり、
前記制御手段が、前記エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動周波数および設定電圧を前記交流モータに供給して前記洗浄用ポンプを作動させている状態において、前記洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、前記エアー噛みが発生していると判別するように構成されている点を特徴とする。
【0051】
すなわち、洗浄用ポンプが、簡単な構造に構成しやすいかご型誘導モータなどの、交流モータにて駆動されるものであり、交流モータは、その回転速度とトルクとを駆動周波数や駆動電圧の調整によって簡単に制御できるものであるため、洗浄ポンプを目標回転速度にて作動させる等、目標作動状態で作動させるように制御することを、簡単な制御構成にて良好に行えるものとなる。
【0052】
また、エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動周波数および設定電圧を交流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するものであるから、交流モータの特性を利用してエアー噛みの発生を的確に判別することができる。
【0053】
つまり、交流モータは、一定の駆動周波数および電圧が供給されているときに、負荷が変動すると、その回転速度が負荷の大きさに比例して変動するものであるから、エアー噛み判別処理用の設定駆動周波数および設定電圧を交流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプにエアー噛みが発生すると、負荷の変動により、交流モータの回転速度、つまり、洗浄ポンプの回転速度が変動するものとなるため、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動することをもって、エアー噛みの発生を的確に検出できるのである。
【0054】
要するに、本発明の第
6特徴構成によれば、第1〜第
3特徴構成のいずれかによる作用効果に加えて、洗浄ポンプを目標作動状態に制御することを簡単な制御構成にて良好に行え、しかも、エアー噛みの発生を的確に検出できる食器洗浄機を提供できる。
【0055】
本発明の第
7特徴構成は、上記第
6特徴構成に加えて、
前記制御手段が、前記洗浄用ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段の検出情報に基づいて、前記洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、前記交流モータに供給する駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、前記エアー噛み判別処理を実行するように構成され、かつ、前記エアー噛み判別処理において、前記回転速度調整処理にて調整した駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧に基づいて前記判別処理用の設定駆動周波数および電圧を定めるように構成されている点を特徴とする。
【0056】
すなわち、回転速度調整処理によって、洗浄用ポンプの回転速度が目標回転速度になるように、洗浄用ポンプに供給する駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧が調整され、その回転速度調整処理が実行された後に、エアー噛み判別処理が実行されることになる。
そして、そのエアー噛み判別処理において、回転速度調整処理にて調整した駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧に基づいて判別処理用の設定駆動周波数および電圧が定められて、洗浄ポンプのエアー噛みの発生が判別されることになる。
【0057】
このように、回転速度調整処理を実行し、その後において、回転速度調整処理にて調整した駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧に基づいて判別処理用の設定駆動周波数および電圧を定めて、エアー噛み判別処理を実行するものであるから、洗浄槽の底部に貯留した湯水を洗浄ノズルに圧送するのに適した回転速度にて洗浄ポンプを駆動するようにしながら、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を適切に判別することができる。
【0058】
要するに、本発明の第
7特徴構成によれば、上記第
6特徴構成による作用効果に加えて、湯水を洗浄ノズルに圧送するのに適した回転速度にて洗浄ポンプを駆動するようにしながら、洗浄ポンプのエアー噛みの発生を適切に判別することができる食器洗浄機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0060】
〔実施形態〕
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図4に示すように、前面部が開口された本体ケース部としての本体部1が設けられ、平面視形状が四角状の洗浄槽Dを備えた引出し部2が、本体部1に対して、水平方向に沿って引出し及び収納自在に設けられて、食器洗浄機の一例としての引出し式の食器洗浄機が構成されている。
尚、例示はしないが、引出し部2を本体部1に対して移動自在に支持するスライド式レール機構が設けられており、引出し部2が、その大部分を本体部1の外方に露出させる状態に引き出すことができるように構成されている。
【0061】
そして、引出し部2を本体部1に収納した状態において洗浄槽Dの上面部を閉塞する内蓋部3が、引出し部2を本体部1から引き出した状態では洗浄槽Dの上面部を開口するように、引出し部2の引き出し及び収納に伴って自動的に開閉される形態で設けられており、洗浄槽Dの内部空間にて、開閉自在な洗浄空間Qが構成されている。
尚、
図2に示すように、本体部1の底部には、漏水受止め用のドレンパン14が配備されており、例示はしないが、このドレンパン14にて受止め回収された水の存否を検出する漏水センサが装備されることになる。
【0062】
引出し部2の前面部には、本体部1の前面部の開口を開閉する扉体Aが設けられ、その扉体Aには、引出し部2を本体部1から引き出すときや収納するときに把持するための把持部Bが設けられている。尚、詳述はしないが、把持部Bの内方側箇所には、引出し部2を本体部1に収納するに伴って本体部1の係止部Paに係合する係合手段Pが設けられており、この係合手段Pが係止部Paに係合することにより、引出し部2を本体部1に収納した状態に保持するようになっている。そして、係合手段Pは、引出し部2を本体部1から引き出すときに把持部Bを支持する手指にて、係合を解除する解除状態に操作できるようになっている。
また、扉体Aには、運転のための各種操作を行う操作部SSが設けられている。
【0063】
図2及び
図5に示すように、上水道等の給水源に接続された給水路4A、その給水路4Aから分岐される洗浄槽用分岐路4B、及び、給水路4Aから分岐される除湿用分岐路4Cが設けられている。
洗浄槽用分岐路4Bは、洗浄槽Dの洗浄空間Q内に洗浄及びすすぎのための湯水を供給する給水口5に接続され、除湿用分岐路4Cは、洗浄槽Dの前側壁部Dfに装備される後述の除湿部Gに接続されている。
【0064】
そして、給水路4Aを開閉する第1開閉弁V1と、洗浄槽用分岐路4Bを開閉する第2開閉弁V2と、除湿用分岐路4Cに装備されて、第1開閉弁V1及び前記第2開閉弁の開き状態において、その除湿用分岐路4Cを通流する湯水の通流量が洗浄槽用分岐路4Bを通流する湯水の通流量よりも少なくなるように制限する定流量弁V3とが設けられ、第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、及び、定流量弁V3から、給水口5への湯水供給の断続と前記除湿部Gへの湯水供給の断続とを行う湯水断続手段Eが構成されている。
【0065】
つまり、洗浄空間Qに湯水を供給するときには、第1開閉弁V1、及び、第2開閉弁V2が開かれることになり、除湿部Gだけに湯水を供給するときには、第1開閉弁V1が開かれ、第2開閉弁V2が閉じられることになる。
尚、第1開閉弁V1には、洗浄槽用分岐路4Bを通流する湯水の通流量を、除湿用分岐路4Cを通流する湯水の通流量(例えば、200ml/分)よりも十分に大きい通流量ではあるものの、過大な通流量なることを抑制すべく制限する定流量弁V4が、一体的に組み込まれる状態で装備されている。
【0066】
また、第1開閉弁V1、第2開閉弁V2、及び、定流量弁V3が、本体部1の背部側箇所に配設され、洗浄槽用分岐路4Bにおける第2開閉弁V2と給水口5とを接続する部分が、可撓性ホースR1にて構成され、除湿用分岐路4Cにおける定流量弁V3と除湿部Gとを接続する部分が、可撓性ホースR2にて構成されている。
【0067】
引出し部2における洗浄槽Dの底部下方には、正転で洗浄用ポンプとして機能し、逆転で排水用ポンプとして機能する兼用ポンプ6が設けられ、洗浄槽Dの洗浄空間Qの内部には、洗浄用ノズル8や加熱手段としての電気式の加熱ヒータ9などが配置され、さらに、食器などの洗浄対象物を収納載置する洗浄かご10が、洗浄槽Dの内部に着脱自在に装着されている。
【0068】
兼用ポンプ6は、洗浄槽Dの底部に形成した水貯留用凹部Sに、吸引管11にて接続され、かつ、排水管12が接続されている。
つまり、兼用ポンプ6は、正転状態においては、洗浄空間Qの底部に貯留した湯水を洗浄用ノズル8に圧送して、洗浄ノズル8から湯水を噴出させることになり、また、逆転状態においては、排水管12を通して、洗浄空間Q内に貯留されている湯水を外部に排出することになる。
【0069】
また、
図5に示すように、水貯留用凹部Sには、連通路としての案内管13を介して水位検出手段としての水位センサJが接続されている。
この水位センサJは、後述の如く、洗浄槽Dの洗浄空間Q内に貯留される湯水の水位が洗浄用の水位(以下、洗浄用水位と呼称する)であること、洗浄槽Dの洗浄空間Q内に貯留される湯水の水位が、洗浄空間Qから大部分の湯水を排出した状態に相当して、加熱ヒータ9が露出する程度に低い湯水排出水位(低水位)であること、及び、洗浄槽D内に貯留される湯水が洗浄用水位より設定量高い異常水位であることを検出するように構成されている。
【0070】
図2、
図3及び
図5に示すように、洗浄槽Dにおける洗浄空間Qを形成する4つの側壁部のうちの、機体前面側、つまり引出し部前面側に相当する前側壁部Dfには、乾燥ユニットKが取り付けられている。
つまり、前側壁部Dfには、
図6にも示すように、乾燥ユニットKからの空気を洗浄空間Qに供給する空気供給口21、及び、乾燥ユニットKが洗浄空間Q内の空気を吸引する空気吸引口22が、洗浄空間Qの下位側に相当する箇所でかつ左右両側に離れた位置に形成されている。具体的には、空気供給口21及び空気吸引口22は、洗浄かご10よりも下方側でかつ上述の水貯留用凹部Sよりも上方側に位置するように形成され、そして、本実施形態においては、空気供給口21を右側に、且つ、空気吸引口22を左側に位置させている。
【0071】
乾燥ユニットKは、洗浄槽Dの前側壁部Dfに止着されるケーシング20の内部に、空気吸引口22と空気供給口21とに亘る通風経路Fを通して洗浄空間Qの空気を循環させる通風手段としての循環ファン23、及び、通風経路Fを通して循環される空気を除湿する上述の除湿部Gを備えて構成されている。
通風経路Fは、空気吸引口22から上方側に伸びる上昇経路部分f1とその上昇経路部分f1の上端部から空気供給口21に向けて下方側に伸びる下降経路部分f2とからなる逆U字状に形成されており、上昇経路部分f1に、除湿部Gが配設され、下降経路部分f2に、循環ファン23が配設されている。
【0072】
除湿部Gは、複数枚の伝熱板24を板厚方向に沿って間隔を隔てて並置して、それら伝熱板24に向けて除湿用の湯水を噴出ノズル25から噴出することによって、複数枚の伝熱板24の間を通して上方に向けて流動する空気を、伝熱板24の表面を流下する除湿用水との接触及び伝熱板24の間を流下する除湿用水との接触により冷却することにより、空気中の水分を凝縮させて除湿するように構成されている。
尚、噴出ノズル25から噴出された除湿用の湯水及び凝縮された湯水は、空気吸引口22を通して洗浄槽Dの洗浄空間Q内に流動して水貯留用凹部Sに貯留されることになる。
【0073】
そして、電気式の加熱ヒータ9を加熱作用させた状態で、循環ファン23を通風作動させ且つ噴出ノズル25から除湿用の湯水を噴出させることにより、洗浄空間Qから吸引した空気を除湿部Gにて除湿したのち、乾燥用の空気として洗浄空間Qに供給し、その供給された空気を電気式の加熱ヒータ9にて加熱することにより、洗浄空間Q内の洗浄対象物を乾燥する乾燥運転を行えるように構成されている。
【0074】
また、電気式の加熱ヒータ9を停止させた状態で、循環ファン23の通風作動及び噴出ノズル25からの除湿用の湯水の噴出作動を行わせることにより、洗浄空間Qから吸引した空気中の臭気成分を除湿部Gにて除湿用水に吸収させたのち、洗浄空間Qに供給することにより、洗浄空間Qを消臭する消臭運転を行えるように構成されている。
【0075】
乾燥運転における空気の流れについて説明を加えると、
図6に示すように、洗浄槽Dの前側壁部Dfに形成した空気供給口21から洗浄空間Qに供給される空気は、主たる流れとして、上昇しながら後側壁部に向けて流動し、その後、前側壁部Dfにおける下方側で且つ空気供給口21とは左右方向で離れた位置に形成した空気吸引口22に向けて下方側に移動しながら流動して、空気吸引口22から排出される形態で流れることになり、洗浄槽内における空気吸引口22が位置する側の下方側の部分にも、空気が流動し易いものとなるのである。
したがって、洗浄槽内の洗浄対象物の全体に空気を通流させて、洗浄対象物を効率良く乾燥することにより、乾燥時間の短縮化を図ることができるものとなる。
【0076】
図5に示すように、引出し部2には、運転を制御する制御手段としての制御部Hが装備されている。
そして、この制御部Hが、
図14に示すように、操作部SSにて入力される指令に基づいて、兼用ポンプ6を駆動する直流モータ6a、電気式の加熱ヒータ9、循環ファン23、及び、湯水断続手段Eにおける電磁式の第1及び第2開閉弁V1、V2の作動を制御して、洗浄空間Qの洗浄対象物を洗浄する洗浄処理としての洗浄運転、洗浄空間Qの洗浄対象物のすすぎ処理としてのすすぎ運転、洗浄空間Qに貯留された湯水を排水する排水処理としての排水運転、電気式の加熱ヒータ9を加熱作用させた状態で、循環ファン23の通風作動及び噴出ノズル25からの除湿用の湯水の噴出作動を行わせる乾燥処理としての乾燥運転、及び、電気式の加熱ヒータ9を停止させた状態で、循環ファン23の通風作動及び噴出ノズル25からの除湿用の湯水の噴出作動を行わせる消臭処理としての消臭運転を行うように構成されている。
【0077】
図14において、6Aは、兼用ポンプ6を駆動する直流モータ6aに印加する駆動電圧を調整する直流モータ駆動回路であり、直流モータ6aの駆動電圧を、制御部Hから指令される指令電圧に調整するように構成されている。
又、L1は、操作部SSに設けた警報ランプ、L2は、操作部SSに内蔵した警報ブザー、L3は、操作部SSに設けた表示部であり、これら警報ランプL1、警報ブザーL2、及び、表示部L3にて、異常が発生したときに警報作動する警報手段Lが構成されることになる。ちなみに、表示部L3には、発生した異常の内容に対応するコードが表示されることになる。
尚、
図14において、Nは、引出し部2が本体部1の収納位置に収納されたことを検出する収納スイッチ、9Aは、加熱ヒータ9の駆動回路、23Aは、循環ファン23の駆動電圧を調整する駆動ファン駆動回路である。
【0078】
次に、制御部Hが実行する運転について説明を加える
尚、操作部SSにより、洗浄運転、すすぎ運転、乾燥運転、消臭運転の順に運転させる連続運転コースや、乾燥運転のみ運転させる乾燥のみコースなど各種の運転コースを選択できるように構成され、さらに、連続運転コースとして、標準運転コース、念入り運転コース、スピーディ運転コース、快速運転コースを選択できるように構成されているが、本実施形態においては、連続コースの標準運転コースについてのみ説明する。
【0079】
図16のフローチャートに基づいて、制御部Hの制御作動について説明する。
先ず、収納スイッチNにより、引出し部2が本体部1の収納位置に収納されていることが検出され(#1)、操作部SSの電源スイッチがON操作され(#2)、運転コースの選択が行われ(#3)、操作部SSのスタートスイッチがON操作されると(#4)、選択された運転コースが実行されることになる。
【0080】
以下、連続コースの標準運転コースが選択されて、操作部SSのスタートスイッチがON操作された場合であるとして、説明を続ける。
操作部SSスタートスイッチがON操作された後は、先ず、洗浄運転(#5)、その洗浄運転後の排水運転(#6)が実行され、次に、すすぎ運転(#7)、そのすすぎ運転後の排水運転(#8)が実行される。そして、すぎ運転が2回終了したか否かが判別されて(#9)、2回終了していない場合には、すすぎ運転(#7)、そのすすぎ運転後の排水運転(#8)が再び実行される。
【0081】
#9にて、すぎ運転が2回終了したと判別された場合には、加熱すすぎ運転(#10)、その加熱すすぎ運転後の排水運転(#11)が実行され、引き続き、乾燥運転(#12)、消臭運転(#13)が順次実行される。
【0082】
洗浄運転は、先ず、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を開弁して、給水路4A及び洗浄槽用分岐路4Bを通して給水口5から洗浄空間Q内に湯水を供給することに加えて、除湿用分岐路4Cを通して除湿部Gに湯水を供給して、その除湿部Gから空気吸引口22を通して洗浄空間Q内に湯水を供給する。そして、洗浄空間Qの水位が洗浄用水位に達したことが水位センサJにて検出されると、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を閉じて、洗浄空間Qへの湯水の供給を停止する。
【0083】
その後、兼用ポンプ6を正転作動させ且つ加熱ヒータ9を作動させて、洗浄水を洗浄ノズル8から洗浄対象物に向けて噴出する洗浄動作を、洗浄運転用設定時間が経過するまで行うことになる。
尚、使用者が操作部SSのスタートスイッチをON操作する前に洗浄用洗剤を洗浄槽D内に投入しておくことにより、洗剤を用いた洗浄を行うことができる。
【0084】
洗浄運転後の排水運転は、兼用排水ポンプ6を逆転作動させ、洗浄槽D内の洗浄水を排水する排水動作を、水位センサJにて上述の湯水排出水位に達したことが検出された後、設定時間(例えば、20秒)が経過するまで行うことになる。
【0085】
すすぎ運転は、上述の洗浄運転と同様に、洗浄空間Qに湯水を供給して、水位センサJにて洗浄用水位が検出されると、湯水の供給を停止することになる。
その後、兼用ポンプ6および加熱ヒータ9を作動させて、加熱ヒータ9にて加熱されたすすぎ水により洗浄対象物のすすぎを設定時間が経過するまで行うことになる。
【0086】
すすぎ運転後の排水運転は、洗浄運転後の排水運転と同様に、兼用ポンプ6を逆転作動させて、洗浄槽D内の洗浄水(すすぎ水)を排水する排水動作を、水位センサJにて上述した湯水排出水位に達したことが検出された後、設定時間(例えば、20秒)が経過するまで行うことになる。
【0087】
加熱すすぎ動作は、上述の洗浄運転と同様に、洗浄空間Qに湯水を供給して、水位センサJにて洗浄用水位が検出されると、湯水の供給を停止することになる。
その後、兼用ポンプ6および加熱ヒータ9を作動させて、加熱ヒータ9にて加熱されたすすぎ水により洗浄対象物のすすぎを行うことになり、そして、図外の温度センサにより、すすぎ水の温度が仕上げ用設定温度(例えば、67℃)になると、加熱すすぎ動作を終了することになる。
【0088】
加熱すすぎ運転後の排水運転は、洗浄運転後の排水運転と同様に、兼用ポンプ6を逆転作動させて、洗浄槽D内の洗浄水(すすぎ水)を排水する排水動作を、水位センサJにて上述した湯水排出水位に達したことが検出された後、設定時間(例えば、20秒)が経過するまで行うことになる。
【0089】
乾燥運転は、電気式の加熱ヒータ9を加熱作用させた状態で、循環ファン23の通風作動及び噴出ノズル25からの除湿用の湯水の噴出作動を行わせることになり、その状態を乾燥用設定時間(例えば、25分)が経過するまで継続させる。
そして、乾燥運転中において、水位センサJにて上述した湯水排出水位であることが検出されると、兼用ポンプ6を逆転作動させて排水する排水動作を、水位センサJにて上述した湯水排出水位に達したことが検出された後、設定時間(例えば、20秒)が経過するまで行うことになる。
【0090】
消臭運転は、電気式の加熱ヒータ9を停止させた状態で、循環ファン23の通風作動及び噴出ノズル25の除湿用水の噴出作動を行わせることになり、その状態を消臭用設定時間が経過するまで行う。
そして、消臭運転中において、水位センサJにて上述した湯水排出水位であることが検出されると、兼用ポンプ6を逆転作動させて排水する排水動作を、水位センサJにて上述した湯水排出水位に達したことが検出された後、設定時間(例えば、20秒)が経過するまで行うことになる。
【0091】
尚、
図16のフローチャートには例示しないが、制御部Hは、給水路4A、洗浄槽用分岐路4B及び除湿用分岐路4Cを通して洗浄空間Qに供給される単位時間当たりの湯水供給量よりも単位時間当たりの排水量を多くする状態で、兼用ポンプ6を排水ポンプとして作動させるように構成されるものであり、そして、洗浄運転やすすぎ運転において、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を開き状態にして湯水を洗浄槽Dの洗浄空間Qに供給しているときに、水位センサJにて異常水位が検出されたときには、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を閉じ状態にし、且つ、兼用ポンプ6を排水のために作動させる漏水防止運転処理を実行するように構成されている。
【0092】
そして、制御部Hは、漏水防止運転処理を実行しているときに、水位センサJにて上述した洗浄用水位より低い水位であることが検出されると、兼用ポンプ6を停止させて漏水防止運転処理を停止するように構成されている。
ちなみに、水位センサJにて洗浄用水位より低い水位であることが検出されるときとは、水位センサJが洗浄用水位を検出している状態から洗浄用水位を検出しない状態に変化したときである。
【0093】
また、本実施形態においては、制御部Hが、洗浄処理としての洗浄運転において、エアー噛み判別処理及び湯水追加処理を実行するように構成されており、以下、それについて説明する。
エアー噛み判別処理は、兼用用ポンプ6の作動状況に基づいて、その兼用ポンプ6にエアー噛みが発生しているか否かを判別する処理である。
湯水追加処理は、エアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別したときに、洗浄空間Qに湯水を追加供給すべく、湯水断続手段Eを制御する処理である。
【0094】
図15のタイムチャートに基づいて説明を加えると、制御部Hは、洗浄運転において兼用ポンプ6を正転作動させるときには、先ず、予め設定されている初期電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令し、その後、2分40秒が経過すると、兼用ポンプ6の回転速度を検出する回転速度検出手段としての回転速度センサM(
図14参照)の検出情報に基づいて、兼用ポンプ6を予め設定されている目標回転速度(例えば、4100回転/分)にて駆動すべく、直流モータ6aに供給する駆動電圧を比例積分制御により求めて、その駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令する回転速度調整処理(以下、FB制御と略称)を、20秒間実行する。
【0095】
そして、FB制御を終了した後は、そのFB制御の実行中の最後に求めた駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令し、その後、2分40秒が経過すると、再びFB制御を実行することを繰り返すことになる。
つまり、FB制御が、3分周期で、20秒ずつ実行されて、そのFB制御にて求めた駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令するように構成され、FB制御が停止している間は、FB制御の実行中の最後に求めた駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令するように構成されている。
【0096】
制御部Hは、兼用ポンプ6の直流モータ6aを初期電圧にて駆動することを開始してから1分が経過すると、それから1分35秒が経過するまでの間において、エアー噛み判別処理に相当するエアー噛み検出を行い、その後、35秒が経過すると、2分25秒の間において、エアー噛み検出を行うことになり、その後は、35秒が経過すると、2分25秒の間において、エアー噛み検出を行うことを、繰り返すことになる。
【0097】
エアー噛み検出は、回転速度センサMの検出情報に基づいて、エアー噛み検出を行っている時間中において、最高回転速度と最低回転速度とを求めて、それらの差が設定回転速度以上(例えば、100回転/分以上)であるときには、エアー噛みが発生していると判別するように構成されている。
【0098】
制御部Hは、エアー噛み検出により、エアー噛みが発生していると判別すると、湯水追加処理を実行する。具体的には、第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を2.5秒開いて、設定追加量(例えば、200CC程度)の湯水を洗浄空間Qに追加供給する、追加給水を行う。
【0099】
以上の説明から明らかな如く、制御部Hは、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)にてエアー噛みが発生していると判別したときに、湯水追加処理として、洗浄空間Qに追加給水すべく、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給し、その設定追加量の湯水を追加供給した状態において、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)にてエアー噛みが発生していると判別したときには、湯水追加処理として、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給する、追加給水を繰り返すように構成されている。
【0100】
また、制御部Hは、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)を、湯水追加処理を実行した後は設定経過時間(本実施形態では32.5秒)が経過したときに開始する形態で、設定周期(本実施形態では3分)で設定時間(本実施形態では2分25秒)ずつ繰り返すように構成されている。
つまり、最初のエアー噛み検出(エアー噛み判別処理)は、上述の如く、1分35秒であるが、2回目からのエアー噛み検出(エアー噛み判別処理)は、設定周期(本実施形態では3分)で設定時間(本実施形態では2分25秒)ずつ繰り返されることになる。
【0101】
また、制御部Hが、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)として、エアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を直流モータ6aに供給して兼用ポンプ6を作動させている状態において、洗浄用ポンプ6の回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するように構成されている。
また、制御部Hが、回転速度検出センサMの検出情報に基づいて、兼用ポンプPを目標回転速度(例えば、4100回転/分)にて駆動すべく、直流モータ6aに供給する駆動電圧を調整するFB制御(回転速度調整処理)を実行した後に、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)を実行するように構成され、かつ、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)において、FB制御(回転速度調整処理)にて調整した駆動電圧に基づいて判別処理用の設定駆動電圧を定めるように構成されている。
【0102】
つまり、本実施形態においては、洗浄運転の開始直後においては、判別処理用の設定駆動電圧が、予め設定されている初期電圧として定められ、その後においては、FB制御の実行中の最後に求めた駆動電圧として定められることになる。
ちなみに、初期電圧は、FB制御の目標回転速度よりも高い回転速度となる駆動電圧に設定されており、洗浄開始直後においては、洗浄用ノズル8からの湯水の噴出圧を十分に増加させることにより、適切な洗浄を行えるように構成されている。
【0103】
さらに、本実施形態においては、制御部Hは、湯水追加処理により、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数(例えば、5回)繰り返した後において、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)によりエアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して警報手段Lを作動させる洗浄処理用の異常警報処理を実行するように構成されている。
【0104】
ちなみに、警報手段Lの作動により、兼用ポンプ6のエアー噛みを解消できない異常状態であることが報知されることになり、警報手段Lの作動により、異常状態であることを認識した使用者は、洗浄槽D内の洗浄対象物を取り出して、その洗浄対象物に付着している洗剤を洗い流すことや洗浄対象物を手拭処理することを行うことになる。
そして、洗浄槽Dを正常な状態に戻すために、洗浄槽Dの内面等に付着している洗剤を拭き取ること等を行うことになり、また、必要に応じて、洗剤を使用しないで、洗浄処理やすすぎ処理を行って、洗浄槽Dの内面等に付着している洗剤を除去することになる。
【0105】
以下、洗浄運転の制御作動について、
図17のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、湯水断続手段Eにおける第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2が開き操作されて、洗浄空間Qへの湯水の供給が開始され(#21)、水位センサJにて洗浄用水位が検出されると(#22)、湯水断続手段Eにおける第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2が閉じ操作されて、洗浄空間Qへの湯水の供給が停止される(#23)。
【0106】
次に、兼用ポンプ6の駆動処理が実行されることになる(#24)。
この兼用ポンプ6の駆動処理(#24)は、上述の如く、先ず、予め設定されている初期電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令し、その後、2分40秒が経過すると、FB制御を実行して求めた駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令し、FB制御を終了した後は、そのFB制御の実行中の最後に求めた駆動電圧を指令電圧として、直流モータ駆動回路6Aに指令し、その後、2分40秒が経過すると、再びFB制御を実行することを繰り返す処理である。
【0107】
兼用ポンプ6の駆動処理の後は、エアー噛み判定タイミングであるか否かを判定し(#25)、エアー噛み判定タイミングである場合には、回転速度センサMの検出情報に基づいて、兼用ポンプPの最高回転速度と最低回転速度を求める回転速度検出処理を実行することになる(#26)。
つまり、エアー噛み判定タイミングとは、上述の如く、兼用ポンプ6の直流モータ6aを初期電圧にて駆動することを開始した直後においては、1分が経過した時点から、1分35秒が経過するまでの間であり、その後においては、35秒が経過した時点から、2分25秒が経過するまでの間が、エアー噛み判定を行うタイミングとして、繰り返し判定されることになる。
【0108】
#25の処理や#26の処理を実行した後は、追加給水タイミングであるか否かを判別し(#27)、追加給水タイミングであると判別したときには、エアー噛みが発生しているか否かを判定する(#28)。
追加給水タイミングとは、エアー噛み判定タイミングの直後から2.5秒が経過するまでの間であり、エアー噛みが発生しているとは、回転速度検出処理にて検出した兼用ポンプPの最高回転速度と最低回転速度との差が、設定範囲以上(例えば、100回転/分以上)であるときである。
【0109】
そして、#28にて、エアー噛みが発生していると判定したときには、湯水断続手段Eにおける第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を開いて、洗浄空間Qへの湯水の供給を開始することになり(#29)、また、#25にて追加給水タイミングでないと判別したときや、#28にてエアー噛みが発生していないと判定したときには、湯水断続手段Eにおける第1開閉弁V1及び第2開閉弁V2を閉じて、洗浄空間Qへの湯水の供給を停止することになる(#30)
【0110】
その後、湯水追加処理により、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給することを実行した追加供給回数が、洗浄処理用の設定回数(例えば、5回)よりも大きいか否かを判定し(#31)、大きくない場合には、洗浄運転用設定時間が経過したか否かを判断して(#32)、経過していない場合には、#24からの処理を繰り返すことになり、また、洗浄運転用設定時間が経過している場合には、
図16のフローチャートの#6に移行することになる。
【0111】
#31にて、追加供給回数が洗浄処理用の設定回数(例えば、5回)よりも大きいと判定したときには、兼用ポンプ6や加熱ヒータ9等の作動を停止して運転を停止する運転停止の処理を実行し(#33)、次に、警報ランプL1、警報ブザーL2、及び、表示部L3を作動させる警報処理(#34)を、操作部SSに設けた電源スイッチがOFFに操作されるまで実行することになり、電源スイッチがOFFに操作されると、
図16のフローチャートの#1に移行することになる。
【0112】
加えて、本実施形態においては、制御部Hが、すすぎ処理において、洗浄処理と同様の形態で、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)及び湯水追加処理を実行するように構成され、かつ、湯水追加処理により、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給することを洗浄処理用の設定回数(例えば、5回)よりも少ない回数に設定されたすすぎ処理用の設定回数(例えば2回)繰り返した後において、エアー噛み検出(エアー噛み判別処理)によりエアー噛みが発生していると判別したときには、運転を停止して警報手段Lを作動させるすすぎ処理用の異常警報処理を実行するように構成されている。
【0113】
次に、すすぎ運転の制御作動について説明するが、このすすぎ運転の制御作動は、上記した洗浄運転の制御作動と同様の内容であるので、
図18のフローチャートに基づいて簡単に説明する。
先ず、洗浄空間Qへの湯水の供給が開始され(#41)、水位センサJにて洗浄用水位が検出されると(#42)、洗浄空間Qへの湯水の供給が停止される(#43)。
【0114】
次に、兼用ポンプ6の駆動処理が実行されることになり(#44)、兼用ポンプ6の駆動処理の後は、エアー噛み判定タイミングであるか否かを判定し(#45)、エアー噛み判定タイミングである場合には、回転速度センサMの検出情報に基づいて、兼用ポンプPの最高回転速度と最低回転速度を求める回転速度検出処理を実行する(#46)。
【0115】
#45の処理や#46の処理を実行した後は、追加給水タイミングであるか否かが判別し(#47)、追加給水タイミングであると判別したときには、エアー噛みが発生しているか否かを判定する(#48)。
そして、#48にて、エアー噛みが発生していると判定したときには、洗浄空間Qへの湯水の供給を開始することになり(#49)、また、#45にて追加給水タイミングでないと判別したときや、#48にてエアー噛みが発生していないと判定したときには、洗浄空間Qへの湯水の供給を停止することになる(#50)
【0116】
その後、湯水追加処理により、洗浄空間Qに設定追加量の湯水を追加供給することを実行した追加供給回数が、すすぎ処理用の設定回数(例えば、2回)よりも大きいか否かを判定し(#51)、大きくない場合には、すすぎ運転用設定時間が経過したか否かを判断して(#52)、経過していない場合には、#44からの処理を繰り返すことになり、また、すすぎ運転用設定時間が経過している場合には、
図16のフローチャートの#8に移行することになる。
【0117】
#51にて、追加供給回数がすすぎ処理用の設定回数(例えば、2回)よりも大きいと判定したときには、兼用ポンプ6や加熱ヒータ9等の作動を停止して運転を停止する運転停止の処理を実行し(#53)、次に、警報ランプL1、警報ブザーL2、及び、表示部L3を作動させる警報処理(#54)を、操作部SSに設けた電源スイッチがOFFに操作されるまで実行することになり、電源スイッチがOFFに操作されると、
図16のフローチャートの#1に移行することになる。
【0118】
本実施形態の食器洗浄機においては、
図4及び
図5に示すように、閉じた状態の洗浄空間Qの内部圧が機外圧となるように自動調整する圧力調整手段Wが設けられている。
すなわち、例えば、洗浄処理において、電気式の加熱ヒータ9を加熱させたときには洗浄空間Q内の温度はかなりの高温(例えば67℃)になる。その後、洗浄水が排出されて、すすぎ処理のためにすすぎ水が洗浄空間Qに供給され、そのすすぎ水が兼用ポンプ6の作動により洗浄ノズル8より噴出されることになるが、そのすすぎ水の温度は低温(例えば13〜17℃)である。このため、低温のすすぎ水が洗浄ノズル8から噴出されると、洗浄空間Q内の温度が急激に低下するものとなり、その結果、洗浄空間Q内の多量の空気が急激に収縮し、洗浄空間Qの内部圧が大きく減少しようとすることがあるが、このようなときには、圧力調整手段Wの作用によって、洗浄空間Qの内部圧が機外圧となるように自動調整されることになる。
【0119】
圧力調整手段Wは、洗浄槽Dの背壁DRに形成した連通孔32を通して、洗浄槽D内の洗浄空間Qと連通して、洗浄空間Q内の圧力を外気圧に調整するように構成されるものであるが、本実施形態においては、その詳細な構成についての説明は省略する。
尚、圧力調節手段Wには、結露水が生じることがあるが、その結露水が水位センサJを介して、洗浄槽Dに回収されるように構成されている。
【0120】
以下、水位センサJについて説明する。
図7〜
図13に示すように、洗浄槽Dの底部に案内管13にて接続されて、その洗浄槽D内の湯水が導入される水位検出用の湯水貯留槽40と、湯水貯留槽40の内部に装備されて、その湯水貯留槽40に貯留される湯水の水位に応じて昇降する水位検出用のフロート41と、フロート41の本体部41Aから上方に延びる軸部41Bを昇降自在に案内する案内部Uと、湯水貯留槽40の上端よりも上方側箇所に位置されて、フロート41の上下2つの昇降位置を検出する一対の第1水位検出部T1及び第2検出部T2とが設けられている。
【0121】
湯水貯留槽40は、横断面形状が4角形状の有底筒状に形成されるものであって、その底部には、上述した案内管13が接続される連通口として連結用筒部40Cが形成され、そして、その上部に外嵌される蓋体42にて、上方開口が覆われるようになっている。
【0122】
ちなみに、湯水貯留槽40の上端側部分は、洗浄水受け入れ部40A、及び、圧力調整手段Wからの結露水を受け止める結露水受け部40Bが、外方に突出状態で設けられ、蓋体42が、洗浄水受け入れ用の貯留部40A及び結露水受け部40Bを覆う状態に形成され、そして、蓋体42における結露水受け部40Bを覆う部分には、圧力調整手段Wとの連結用の開口部Vkが形成されている。
尚、洗浄水受け入れ部40Aの機能については後述する。
【0123】
フロート40の上下2つの昇降位置は、上述した洗浄用水位を検出するための昇降位置(
図11参照)と、上述した湯水排出水位を検出するための昇降位置(
図10参照)とであり、第1水位検出部T1が、高位側の洗浄用水位を検出する昇降位置にフロート41が位置することを検出し、第2水位検出部T2が、低位側の湯水排出水位を検出する昇降位置にフロート41が位置することを検出するように構成されている。
【0124】
第1水位検出部T1及び第2検出部T2が、フォトインタラプタ式の光センサを用いて構成され、第1水位検出部T1が、蓋体42の上部に突設した第1センサ取付け部42aに装着され、第2水位検出部T2が、蓋体42の上部に突設した第2センサ取付け部42bに装着されている。
【0125】
また、蓋体42には、上述した異常水位を検出する異常水位検出手段としての異常水位検出用の電極43が、上端側を蓋体42の上方に位置させ、且つ、下端側を湯水貯留槽40内に突出させる状態で設けられている。
つまり、異常水位検出用の電極43は、
図12に示すように、湯水貯留槽40の水位が第1水位検出部T1及び第2検出部T2のうちの高水位側の第2水位検出部T1にて検出される水位よりも設定量高くなったときに湯水貯留槽40に貯留される湯水にて導通される導通される状態で、蓋体42に装備されている。
【0126】
図7及び
図10に示すように、フロート41の軸部14Bが、フロート14が複数の昇降位置のうちの低水位側の昇降位置に位置する状態において、つまり、湯水排出水位を検出するための昇降位置に位置する状態において、その上端部を湯水貯留槽40の上端よりも下方に位置させる長さに形成されている。
また、案内部Uが、湯水貯留槽40の上端よりも下方に位置するフロート40の軸部40Bを案内すべく、湯水貯留槽40の上端よりも下方に位置して案内するように構成されている。
【0127】
そして、第1水位検出部T1及び第2検出部T2のうちの低水位側の第2検出部T2にて検出される被検出部44aを備えた揺動レバー44が、フロート41の軸部41Bの上端部に連係されて上下に揺動する状態で設けられている。
説明を加えると、揺動レバー44が、第2センサ取付け部42bに、横軸心X回りで上下揺動自在に枢支され、その横軸心Xの一端側部分が、上述の被検出部44aに形成され、横軸心Xの他端側部分が、軸部41Bとの連係部44bに形成されている。
連係部44bは、二股状に形成されて、その連係部44bに、軸部41Bの上端が係合されるように構成されている。
【0128】
つまり、
図13に示すように、軸部41Bの上端部であって、上端よりも下方側箇所には、左右一対の旗状体41aが突設され、軸部41Bの上端には、外れ止め用の突起部41bが左右一対の旗状体41aと同方向に突出する状態に形成されている。
そして、揺動レバー44の二股状の連係部44bが、外れ止め用の突起部41bと左右一対の旗状体41aの間に挿入し、且つ、軸部41の上端が、二股状の連係部44bを貫通する状態となるように構成されている。
【0129】
図11に示すように、フロート41の軸部41Bが、フロート41が複数の昇降位置のうちの高水位側の昇降位置に位置する状態において、つまり、洗浄用水位を検出する状態において、その上端部を湯水貯留槽40の上端よりも上方に位置させる長さに形成されている。
そして、上述した一対の旗状体41aのうちの1つが、第1検出部T1にて検出される被検出部と機能するように構成されている。
【0130】
案内部Uが、フロート41の昇降全範囲に亘って、軸部41Bの上端部に設けた一対の旗状体41aのうちの1つを係合する案内溝U1として構成されている。つまり、一対の旗状体41aのうち1つが、案内溝U1に係合される被案内片として機能するように構成されている。
ちなみに、案内部Uは、一対の旗状体41aのうちの第1検出部T1にて検出される被検出部と機能する旗状体41aが係合する補助案内溝U2をも備えるように構成されているが、この補助案内溝U2は、第1検出部T1の近くまでは存在するものの、被検出部と機能する旗状体41aが第1検出部T1にて検出される箇所では存在しないものであるため、フロート41の昇降全範囲に亘ってフロート41を案内するものではない。
【0131】
案内部Uについて説明を加えると、湯水貯留槽40の上方開口を覆う蓋体42が、フロート41軸部41Bの挿通箇所ほど低位となる状態で水貯留槽の上端よりも下方に突出する下向き凹入部分42A、及び、案内溝形成用の上方突出部分42Bを備える状態に形成され、案内溝U1が、蓋体42における凹入部分42A及び蓋体の上方突出部分42Bに亘る状態で形成されている。
【0132】
また、蓋体42には、補助案内溝U2を形成するための補助案内溝形成用の上方突出部分42Cを備える状態に形成され、補助案内溝U2が、蓋体42における凹入部分42A及び蓋体42の上方突出部分42Cに亘る状態で形成されている。
【0133】
上述の洗浄水受け入れ部40Aについて説明を加えると、
図5に示すように、排水運転を行うときに、排水管12を通流する湯水の一部が、分岐管12aを通して、水位センサJ側に分岐流動するように構成され、そして、分岐管12が、洗浄水受け入れ部40Aに設けた管接続部40a接続されている。
したがって、排水運転を行うときに、兼用ポンプ6にて排水される湯水の一部が洗浄水受け入れ部40Aに流動したのち、湯水貯留槽40の内部に吐出されることにより、湯水貯留槽40の壁面を洗浄できるように構成されている。
【0134】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ)上記実施形態においては、湯水断続手段が、給水路を開閉する第1開閉弁と、洗浄槽用分岐路を開閉する第2開閉弁と、除湿用分岐路に装備された定流量弁とから構成される場合を例示したが、これらの弁に加えて、除湿用分岐路を開閉する開閉弁を備えさせるようにしてもよい。
そして、除湿用分岐路を開閉する開閉弁を備えさせる場合には、給水路を開閉する第1開閉弁を省略する形態で実施してもよい。
【0135】
(ロ)上記実施形態では、洗浄槽が本体ケース部に対して水平方向に沿って引き出し及び収納自在に設けられる引き出し式の食器洗浄機を例示したが、本体ケース部に洗浄槽が収納されて、本体ケース部の前面扉が開閉されることにより、洗浄槽の洗浄空間が開閉される形態の食器洗浄機についても、本発明は適用できるものである。
【0136】
(ハ)上記実施形態では、洗浄用ポンプの作動状況に基づいて、その洗浄用ポンプにエアー噛みが発生しているか否かを判別するエアー噛み判別処理として、洗浄ポンプを駆動する直流モータにエアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別する処理を例示したが、エアー噛み判別処理の具体構成は各種変更できる。
例えば、洗浄ポンプを設定目標回転速度にて駆動すべく、直流モータに供給する駆動電圧を調整する場合において、その駆動電圧が設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するようにしてもよく、また、洗浄ポンプを設定目標回転速度にて駆動すべく、直流モータに供給する駆動電圧を調整する場合において、その駆動電流が設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するようにしてもよい。
【0137】
(ニ)上記実施形態では、エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動電圧を直流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するように構成する場合において、当初は、初期電圧を駆動し、その後においては、洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、直流モータに供給する駆動電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、エアー噛み判別処理において、回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて判別処理用の設定駆動電圧を定めるように構成する場合を例示したが、当初から、洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、直流モータに供給する駆動電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、エアー噛み判別処理において、回転速度調整処理にて調整した駆動電圧に基づいて判別処理用の設定駆動電圧を定めるように構成してもよい。
【0138】
(ホ)上記実施形態では、洗浄ポンプを直流モータにて駆動する場合を例示したが、洗浄ポンプを交流モータにて駆動するようにしてもよく、この場合、例えば、洗浄ポンプを設定目標回転速度にて駆動すべく、交流モータに供給する駆動電力を、位相制御を用いた電圧制御により調整する場合、または、インバータを用いた周波数制御や電圧制御により調整する場合において、エアー噛み判別処理用の設定駆動周波数および電圧を前記交流モータに供給して前記洗浄用ポンプを作動させている状態において、前記洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別することができる。
【0139】
すなわち、エアー噛み判別処理として、エアー噛み判別処理用の設定駆動周波数および設定電圧を前記交流モータに供給して洗浄用ポンプを作動させている状態において、洗浄ポンプの回転速度がエアー噛み判別用の設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するように構成することができる。
尚、交流モータを用いた実施形態は、上述の直流モータを用いた実施形態と同様であるので、その具体的な説明は省略する。
【0140】
また、制御手段が、洗浄用ポンプの回転速度を検出する回転速度検出手段の検出情報に基づいて、洗浄用ポンプを目標回転速度にて駆動すべく、交流モータに供給する駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧を調整する回転速度調整処理を実行した後に、エアー噛み判別処理を実行するように構成して、エアー噛み判別処理において、回転速度調整処理にて調整した駆動周波数および電圧、または、駆動周波数あるいは電圧に基づいて判別処理用の設定駆動周波数および電圧を定めるように構成することができる。
【0141】
ちなみに、洗浄ポンプを交流モータにて駆動するようにしタ場合において、エアー噛みの発生を判別する構成としては、洗浄ポンプを設定目標回転速度にて駆動すべく、交流モータに供給する駆動電力を、位相制御を用いた電圧制御により調整する場合、または、インバータを用いた周波数制御や電圧制御により調整する場合において、その駆動電力が設定範囲以上変動したときには、エアー噛みが発生していると判別するようにする構成と用いることもできる。
【0142】
(ヘ)上記実施形態では、湯水追加処理として、洗浄空間に設定追加量の湯水を追加供給し、その設定追加量の湯水を追加供給した状態において、エアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別されたときには、洗浄空間に設定追加量の湯水を追加供給することを繰り返す場合を例示したが、エアー噛み判別処理にてエアー噛みが発生していると判別されたときに、エアー噛みを回避するための十分な量に設定した湯水を、一度に供給する形態で実施してもよい。
【0143】
(ト)上記実施形態では、洗浄処理に続くすすぎ処理においても、エアー噛み判別処理や湯水追加処理を実行する場合を例示したが、すすぎ処理におけるエアー噛み判別処理や湯水追加処理を省略する形態で実施してもよい。
【0144】
(チ)上記実施形態では、洗浄空間内の空気を機内循環させながら除湿処理して乾燥処理を行う場合を例示したが、外気を洗浄空間内に供給し且つ洗浄空間内の空気を外部に排出する形態で乾燥処理を行う場合においても本願発明を適用できる。
尚、洗浄空間内の空気を機内循環させながら除湿処理して乾燥処理を行う場合においては、洗浄槽内に泡が多量に発生したときに、その泡が外部に流出することを極力抑制できるものとなるため、本発明を適用する形態としては好適である。
【0145】
(リ)本発明を実施するに、水位検出手段としては、上記実施形態に記載の水位検出センサに代えて、種々の形態のものを適用できるものである。