特許第5744503号(P5744503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5744503データの受信率を改善するための受信データの補正方法及びその受信モデム回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744503
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】データの受信率を改善するための受信データの補正方法及びその受信モデム回路
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/59 20060101AFI20150618BHJP
   H04B 1/30 20060101ALI20150618BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20150618BHJP
【FI】
   H04B1/59
   H04B1/30
   H04B1/40
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2010-279419(P2010-279419)
(22)【出願日】2010年12月15日
(65)【公開番号】特開2011-176797(P2011-176797A)
(43)【公開日】2011年9月8日
【審査請求日】2013年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0016275
(32)【優先日】2010年2月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100086368
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 誠
(72)【発明者】
【氏名】成 赫 ▲ジュン▼
(72)【発明者】
【氏名】趙 鍾 弼
【審査官】 小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−260468(JP,A)
【文献】 特開平09−116576(JP,A)
【文献】 特表2009−510948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04B 1/30
H04B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信器の特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定する段階と、
前記第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に決める段階と、
受信データが前記第1状態データである場合には、前記第1データサンプルタイムオフセットを適用して前記受信データを補正し、前記受信データが第2状態データである場合には、前記第2データサンプルタイムオフセットを適用して前記受信データを補正する段階を有し、
前記第1データ状態は、論理ローデータであり、
前記第2データ状態は、論理ハイデータであることを特徴とする受信データ補正方法。
【請求項2】
前記第1データサンプルタイムオフセットの決定値は、前記第2データサンプルタイムオフセットの決定値より大きいことを特徴とする請求項1に記載の受信データ補正方法。
【請求項3】
前記第1データサンプルタイムオフセットの決定値は、前記第2データサンプルタイムオフセットの決定値より小さいことを特徴とする請求項1に記載の受信データ補正方法。
【請求項4】
前記受信器はNFC用の受信モデム回路に利用されて動作することを特徴とする請求項1に記載の受信データ補正方法。
【請求項5】
前記第1、2データサンプルタイムオフセットは、前記受信器内に備えられたカード受信部の入力オフセットの大きさによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の受信データ補正方法。
【請求項6】
前記第1、2データサンプルタイムオフセットは、前記受信器内に備えられたリーダ受信部の入力オフセットの大きさによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の受信データ補正方法。
【請求項7】
受信モデム回路に於いて、
比較器から出力された受信データを処理するカード受信部とアナログ対デジタル変換器から出力された受信データを処理するリーダ受信部を含む受信器と、
前記受信器の受信特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定し、前記第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に貯蔵するパラメータ貯蔵部と、
前記受信データが前記第1状態データとして印加される場合には、前記第1データサンプルタイムオフセットを適用して前記受信データを補正し、前記受信データが前記第2状態データとして印加される場合には、前記第2データサンプルタイムオフセットを適用して前記受信データを補正する制御処理部を備え
前記第1データ状態は、論理ローデータであり、
前記第2データ状態は、論理ハイデータであることを特徴とする受信モデム回路。
【請求項8】
前記カード受信部は、前記受信データに対するビット数を測定するためのビット測定部を備えることを特徴とする請求項に記載の受信モデム回路。
【請求項9】
前記リーダ受信部は、前記受信データに対するビット数を測定するためのビット測定部を備えることを特徴とする請求項に記載の受信モデム回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線データ通信に係り、さらに詳しくは、データの受信率を改善するための受信データの補正方法及びその受信モデム回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カードとリーダとの間には、NFC(Near Field Commuication)が行なわれる。斯かるカードは非接触式の電子決済のために、例えば、携帯電話のようなマルチメディア機器に内蔵される。
【0003】
NFCのプロトコルは様々である。NFCプロトコルは基本的にISO14443TYPEA及びTYPEBのリーダと、TYPEA及びTYPEBのカードを支援する。また、NFCプロトコルはISO18092のイニシエータとターゲットを支援し、ISO15693のリーダを支援する。
【0004】
様々なNFCプロトコルのもとで、伝送データはそれぞれ決められたコーディング方式でソースコーディングされた後に伝送チャンネルを通じて伝送され、リーダやカードの受信器は様々な種類の伝送信号を受信データとして受信する。例えば、ISO14443TYPEAのカードの場合、ミラーコーディング信号が受信データとして受信される。また、TYPEAのリーダの場合、マンチェスタ・コーディング又はBSPKコーディングが行なわれた後サブキャリア周波数からサブキャリア負荷変調された信号が受信される。また、TYPEBのカードの場合、NRZコーディング信号が受信され、TYPEBのリーダの場合、BPSKコーディングされた後サブキャリア周波数からサブキャリア負荷変調された信号が受信される。そして、ISO18092のイニシエータとターゲットの場合、マンチェスタ・コーディング信号が受信データとして受信され、ISO15693のリーダの場合、ミラーコーディングされた後サブキャリア周波数からサブキャリア負荷変調された信号が受信される。受信データの通信速度は26kbps乃至847kbpsの分布範囲を有する。
【0005】
NFCのマルチプロトコルを支援するリーダやカードが高い受信性能を有するためにはデータ受信エラー率が低下しなければならない。しかし、受信側からの受信特性によって受信データのハイ又はローレベルの区間が変化するのでデータ受信エラーが頻繁に発生する。
従って、受信モデム回路のデータ受信エラーを減少又は最小化して受信性能を高める技術が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第10−2008−0022590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術的課題は、受信モデム回路のデータ受信エラーを減少又は最小化する方法を提供することである。
本発明が解決しようとする異なる技術的課題は、データの受信率を改善するための受信データの補正方法及びその受信モデム回路を提供することである。
【0008】
本発明が解決しようとするまた異なる技術的課題は、受信器の特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定して受信データを補正することができる受信データの補正方法及びその受信モデム回路を提供することである。
本発明が解決しようとするまた異なる技術的課題は、マルチNFCプロトコルを支援する受信装置の受信動作パフォーマンスを改善することができる方法及び受信モデム回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一実施形態による受信データ補正方法は、受信器の特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定する段階と;
第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に決める段階と;
受信データが第1状態データである場合には、第1データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正し、受信データが第2状態データである場合には、第2データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正する段階とを含む。
【0010】
本発明の実施形態において、第1データサンプルタイムオフセットの決定値は第2データサンプルタイムオフセットの決定値より大きいか小さく、プログラム可能なように変更できる。
本発明の実施形態において、受信器は、NAFC用の受信モデム回路に利用されて動作し、第1、2データサンプルタイムオフセットは、受信器内に備えるカード受信部やリーダ受信部の入力オフセットの大きさによって決定される。
【0011】
本発明の異なる実施形態による受信モデム回路は、
比較器から出力された受信データを処理するカード受信部とアナログ対デジタル変換器から出力された受信データを処理するリーダ受信部とを含む受信器と;
受信器の受信特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定し、第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に貯蔵するパラメータ貯蔵部と;
受信データが第1状態データとして印加される場合には、第1データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正し、受信データが第2状態データとして印加される場合には、第2データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正する制御処理部とを備える。
【0012】
本発明の実施形態において、カード受信部やリーダ受信部は受信データに対するビット数を測定するためのビット測定部をそれぞれ具備し、第1、2データサンプルタイムオフセットの決定値はプログラム可能なように初期にセッティングされる。
本発明の実施形態において、第1データサンプルタイムオフセットの決定値は、第2データサンプルタイムオフセットの決定値以上である。
【0013】
本発明の実施形態において、第1データサンプルタイムオフセットの決定値は、第2データサンプルタイムオフセットの決定値以下である。
本発明の実施形態において、第1、2データサンプルタイムオフセットはカード受信部とリーダ受信部の入力オフセットの大きさによって互いに独立的に決められる。
本発明のまた異なる実施形態によると、受信データ補正方法は、
【0014】
受信器の特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定した後、第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的にセッティングする段階と;
印加される受信データに対して第1、2状態データ別に第1、2データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正する段階とを含む。
【0015】
本発明の実施形態において、受信データが第1状態データである場合の補正は、受信データのビット数にX(Xは2以上の自然数)ビットを加算して行なわれる。
本発明の実施形態において、受信データが第2状態データである場合の補正は、受信データのビット数を加減しなくてそのままカウントして行なわれる。
本発明の実施形態において、受信データが第2状態データである場合の補正は、受信データのビット数にX(Xは2以上の自然数)ビットを加算して行なわれる。
【0016】
本発明の実施形態において、受信データが第1状態データである場合の補正は、受信データのビット数を加減しなくてそのままカウントして行なわれる。
本発明の実施形態において、第1、2データサンプルタイムオフセットのセッティングは受信器のテストの際に予め行なわれて貯蔵される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態又は装置の構成によると、受信データを補正する際に受信器別に第1、2データサンプルタイムオフセットを区別して適用するので、データ受信エラー率が低くなってデータ受信性能が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による受信モデム回路のブロック図。
図2図1の回路に受信される信号波形の例示図。
図3図1の回路から同じオフセットの適用の際、カード受信データの受信エラーの発生例を示すタイミング図。
図4図1の回路から同じオフセットの適用の際、リーダ受信データの受信エラーの発生例を示すタイミング図。
図5図1の回路から差動入力オフセットの適用の際、カード受信データの受信エラーの減少例を示すタイミング図。
図6図1の回路から差動入力オフセットの適用の際、リーダ受信データの受信エラーの減少例を示すタイミング図。
図7図1の回路により実行される受信データの補正に対する制御を示すフローチャート。
図8図1を搭載したNFCが可能であるマルチメディア機器の装置ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述した本発明の目的、異なる目的、特徴及び長所等は添付された図面と、下記の好ましい実施形態を通じて容易に理解できるだろう。しかし、本発明はここで説明している実施形態に限定されず、異なる形態で具体化することができる。むしろ、ここで紹介されている実施形態は、理解の便宜を提供し、開示された内容がより徹底かつ完全になるように、そして、当業者に本発明の思想を十分に伝えるためのものである。
【0020】
本明細書において、ある素子又はライン等が該素子ブロックに連結されるものと言及された場合、これは直接連結だけではなくある異なる素子を通じて該素子ブロックに間接連結される意味も含む。
また、各図面から提示される同一又は類似な参照符号は同一又は類似な構成要素を示す。一部図面における、素子及びライン等の連結関係は技術内容の効果的な説明のためのものであり、他の素子又は回路ブロック等がさらに備えられても良い。
【0021】
ここで説明され、例示される各実施形態は、それの相補的な実施形態も含む。
先ず、図1は本発明の実施形態による受信モデム回路のブロック図である。
図面を参照すると、受信モデム回路は、様々なNFCプロトコルを受信するためにTYPEAアナログ部110とTYPEBアナログ部120とを含む第1アナログ処理部100、Iチャンネルアナログ部160とQチャンネルアナログ部170とを含む第2アナログ処理部150、第1、2、3デジタル回路部210、220、230と制御処理部及び貯蔵部250とを含むデジタル処理部200を有する。
【0022】
第1アナログ処理部100はバッテリオフモードでも動作することができるアナログ信号処理部であり、第2アナログ処理部150はバッテリオンモードで動作することができるアナログ信号処理部である。例えば、Iチャンネルアナログ部160はミキサー161、フィルタ162、オートゲインコントロール部(AGC)163、アナログ対デジタルコンバータ(ADC)164及び比較器(COM)165からなる。
【0023】
第1デジタル回路部210は判定部211、サンプラー212、213、ビット測定部214、スタートサーチャ215、及びオートサーチャ216を含む。第2デジタル回路部220は16又は8タップフィルタ221、222、ピークディテクタ223、ビット測定部224、スタートサーチャ225、及びオートサーチャ226を含む。第3デジタル回路部230は16又は8タップフィルタ231、232、ピークディテクタ233、ビット測定部234、スタートサーチャ235、及びオートサーチャ236を含む。第1デジタル回路部210は比較器165から出力された受信データを処理するカード受信部として機能し、第2、3デジタル回路部220、230はアナログ対デジタルコンバータ(ADC)164、174から出力された受信データを処理するリーダ受信部として機能する。
【0024】
スタートサーチャ215、225、235は一般モードである場合に、イネーブルされてプロトコルに合うスタートパターンを探す機能を担う。オートサーチャ216、226、236はオートモードである場合に、イネーブルされてオートパターンを探す機能を担う。
制御処理部及び貯蔵部250はデータを貯蔵するための貯蔵領域を有し、ビット測定部を制御し、受信データをデコードし、予め設定されたプログラムによって設定されたプロトコルによるモデム動作を全般的に制御する。
【0025】
図2図1の回路に受信される信号波形の例示図である。図2を参照すると、TYPEBカードの場合の、図1のアンテナに受信される信号波形が示されている。図面において、横軸は時間を示し、縦軸は信号の振幅を示す。受信される信号波形に応じて、アンテナのマッチングと通信距離によってライジングスロープとフォーリンスロープが変化し、信号の振幅も変化する。しかし、図1の比較器165のバイアスレベルは一定に固定されている。従って、比較器165から出力されるデータはハイ又はローレベルの区間から変化して、図3の3C波形のタイム区間T10、T12から分かるように受信エラーが発生する。
【0026】
図3図1の回路から同じオフセットを適用の際、カード受信データの受信エラーの発生例を示すタイミング図である。TYPEBカードの場合に、図3の3A波形のタイム区間T2のようなハイ及びロー論理を有する受信データRX_DATAがエラー無しに正常に受信される場合には、図3の3B波形のようにハイ又はローレベルの区間内で遷移は生じない。しかし、アンテナのマッチングと通信距離によってライジングスロープとフォーリンスロープとが変化し、信号の振幅も変化する場合には、3C波形のタイム区間T10、T12から示すようにレベル遷移が存在して、受信エラーが発生する。
【0027】
同様に、TYPEBリーダの場合にも図4の4C波形のように受信エラーが発生する。具体的に、図1のADC164に印加されるノードND2の受信データが入力レベルで飽和される場合に、同様にハイ又はローレベルの区間が変わる。従って、斯かる場合にも、データ受信エラーが発生する。
【0028】
図4図1の回路から同じオフセットの適用の際、リーダ受信データの受信エラーの発生例を示すタイミング図である。TYPEBリーダの場合、図4の4A波形の一部タイム区間のようなハイ及びロー論理を有する受信データRX_DATAがエラー無しに正常に受信される場合には、図1のADC164のノードND2には図4の4B波形のように入力レベル領域PA1内でハイ又はローを有する受信データが供給される。しかし、受信特性によって歪曲される場合には、4C波形のように入力レベル領域PA2を外れて遷移される受信データが存在するので受信エラーが発生する。
【0029】
従って、本発明の実施形態は、図3の3C波形の受信エラーの問題を解決するために図5の5G波形のように受信データに対する補正を行なう。具体的に、受信データが論理ローデータを意味する第1状態データである場合には、第1データサンプルタイムオフセット(X=8)が対応する受信データのビット数に加算される。受信データが論理ハイデータを意味する第2状態データである場合には、第2データサンプルタイムオフセット(Y=0)が対応する受信データのビット数に加算される。ここで、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値は、受信モデム回路毎に受信特性がそれぞれ異なるのでそれぞれ異なるように設定される。
【0030】
受信モデム回路の初期セッティングの際に、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値が一応貯蔵され、一定時間が経た後特定の時点からまた受信特性が測定される場合に、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値は更新される。このように、本発明の実施形態においては、受信モデム回路のローデータ受信特性が相対的にハイデータ受信特性に比べて悪いと、ローレベルとして受信される受信データに対しては、例えば、元の受信データビット数に8ビット(第1データサンプルタイムオフセットの例に対応)を加える補正を行なう。一方、ハイレベルとして受信される受信データに対しては、例えば、元の受信データビット数に0ビット(第2データサンプルタイムオフセットの例に対応)を加える補正を行なう。従って、データ受信エラー率が減少して受信性能が改善される。
【0031】
第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの値を決定するために、図1の回路を通じて受信器の特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定する動作が受信モデム回路の初期セッティングの際に行なわれる。このテスト動作が行なわれた後、制御処理部及び貯蔵部250はビット測定部214、224、234を制御して補正された受信データを得る。受信データが第1状態データである場合に、ビット測定部214、224、234では受信データのカウント値に第1データサンプルタイムオフセットの決定値が加算された出力値が示される。受信データが第2状態データである場合に、ビット測定部214、224、234では受信データのカウント値に第2データサンプルタイムオフセットの決定値が加算された出力値が示される。ここで、ビット測定部214がイネーブル状態にある場合、ビット測定部224、234はディスエーブル状態になる。
【0032】
また、ビット測定部224、234がイネーブル状態に転換されるとビット測定部214がディスエーブル状態になる。
また、本発明の実施形態においては、図4の4C波形の受信エラーの問題を解決するために図6の6G波形のように受信データに対する補正を行なう。具体的に、受信データが入力領域PA11を外れて入力され、第1状態データ(論理ローデータ)である場合には、第1データサンプルタイムオフセット(X=8)が対応する受信データのビット数に加算される。
【0033】
受信データが第2状態データ(論理ハイデータ)である場合には、第2データサンプルタイムオフセット(Y=0)が対応する受信データのビット数に加算される。6Gのタイム区間T60で受信されるデータは第1状態データ(論理ローデータ)であるので、これはタイム区間T61で第1データサンプルタイムオフセット(X=8)値と合わせられて20+8=28に補正される。また、6Gのタイム区間T61で受信されるデータは第2状態データ(論理ハイデータ)であるので、これはタイム区間T62で第2データサンプルタイムオフセット(Y=0)値と合わせられて12+0=12に補正される。このように、受信データに対する補正は受信データが受信された後、次の区間で行なわれる。
同様に、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値は受信モデム回路毎に受信特性がそれぞれ異なるのでそれぞれ異なるように設定される。
【0034】
本発明の実施形態においては、受信モデム回路のローデータ受信特性が相対的にハイデータ受信特性に比べて悪い場合に、ローレベルとして受信される受信データに対しては、例えば、元の受信データビット数に8ビット(第1データサンプルタイムオフセットの例に対応)を加算する補正が行なわれるが、受信モデム回路のハイデータ受信特性が相対的にローデータ受信特性に比べて悪い場合には、ハイレベルとして受信される受信データに対して8ビットが加算される。
【0035】
図5図1の回路から差動入力オフセットの適用の際、カード受信データの受信エラーの減少例を示すタイミング図であり、図6図1の回路から作動入力オフセットの適用の際、リーダ受信データの受信エラーの減少例を示すタイミング図である。
【0036】
図5において、5A波形のタイム区間T2のようなハイ及びロー論理を有する受信データRX_DATAがエラー無しに正常に受信される場合には、図5の5B波形のようにハイ又はローレベルの区間内で遷移は生じない。しかし、アンテナのマッチングと通信距離によってライジングスロープとフォーリンスロープが変化し、信号の振幅も変化する場合には、5E波形のタイム区間T50、T52から分かる様にレベル遷移が存在する。このような場合、5C波形のようなクロックを使用して5D波形のようなカウント出力を得ると、データビットに対する受信エラーが発生する。
【0037】
即ち、5D波形の場合には、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値が同じく4に設定され、ハイ又はローデータに同じく4が加えられる。ここで、受信データのビット値の判定の際に下位3ビット或いは2ビットは無視する。例えば、受信データから8をカウントしてサンプルタイムオフセット4を加えると12になるが、これは二進数“1100”に表現される。ここで、下位3ビット“100”を捨てると結局最終判定データとして“1”が残る。結局、5D波形のようなカウント出力は、受信モデム回路のデータ受信特性が考慮されていない状態で得られたものであるので、受信エラー率が高くて受信性能が落ちる。
【0038】
しかし、ハイ又はローデータ別に作動入力オフセットを反映した5G波形のようなカウント出力を補正された受信データとして得ると、受信エラー率が相対的に低くなって受信パフォーマンスが改善される。
【0039】
図6において、6A波形のタイム区間T5のようなハイ及びロー論理を有する受信データRX_DATAが入力レベル領域PA10内でエラー無しに正常に受信される場合には、図6B波形のようになる。しかし、図1のADC164に印加されるノードND2の受信データが入力レベルで飽和される場合には、6E波形から示すように入力レベル領域PA11を外れる遷移が存在する。このような場合、5C波形のようなクロックを使用して6D波形のようなカウント出力を得ると、受信エラーが発生する。
【0040】
即ち、6D波形の場合には、第1、2データサンプルタイムオフセットX、Yの決定値が同じく4に設定され、ハイ又はローデータに同じく4が加えられる。結局、6D波形のようなカウント出力は、受信モデム回路のデータ受信特性が考慮されていない状態で得られたものであるので高い受信性能を期待するのは難しい。しかし、既記のようにハイ又はローデータ別に作動入力オフセットを反映した6G波形のようなカウント出力を補正された受信データとして得ると、受信エラー率が相対的に低くなって受信モデム回路の受信パフォーマンスが改善される。
【0041】
図7図1の回路により実行される受信データの補正に対する制御を示すフローチャートである。図7の制御フローは図1の制御処理部及び貯蔵部250がビット測定部214、224、234を制御することによって行なわれる。
図7の制御フローは、図1のような受信器の受信特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定し、第1、2データサンプルタイムオフセットを貯蔵した後に実行される。このために、制御処理部及び貯蔵部250は第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に貯蔵するパラメータ貯蔵部として機能を担う。
【0042】
図7のS70段階で、受信データが第2状態データであるか否かを判定する。即ち、図5の5E波形のタイム区間T51のようにハイからローに遷移するネガティブエッジが検出されたり、図6の6E波形のタイム区間T61のようにゼロクロスが検出されると、受信データは第2状態データ、すなわち、論理ハイデータとして判定される。従って、S70段階で、受信データが第2状態データに判定されると、S71段階が実行される。S71段階は、受信データのサンプルカウントSC値とH(ハイ)オフセットを加える補正段階である。
【0043】
図5及び図6の場合、第2データサンプルタイムオフセットの決定値Yは0であるので、実際には受信データのサンプルカウント値がそのまま出力されるのと同じである。S75段階は、出力されるビット数とビット値を判定する段階である。ここで、1サンプルカウント区間から出力されるビット数が4ビットである場合に、下位3ビットは捨てられる。また、出力されるビット数が3ビットである場合に、下位2ビットは捨てられる。結局、最終的に受信データ数と状態値を得るために下位ビットが捨てられるが、これはオーバーサンプリングされた数をシフトすることによって実現できる。
【0044】
一方、S70段階で、受信データが第2状態データではないと、S72段階が実行される。即ち、図5の5E波形のタイム区間T50のようにローからハイに遷移するポジティブエッジが検出されたり、図6の6E波形のタイム区間T60のようにゼロクロスが検出されると、受信データは第1状態データ、すなわち、論理ローデータに判定される。従って、S72段階で、受信データが第1状態データに判定されると、S74段階が実行される。S74段階は、受信データのサンプルカウントSC値とL(ロー)オフセットを加える補正段階である。
【0045】
図5及び図6の場合に、第1データサンプルタイムオフセットの決定値Xは8であるので、受信データのサンプルカウント値に8が加算されて出力される。S74段階が終了すると、S75段階を通じて出力されるビット数とビット値が決定される。
このように、受信データが第1状態データとして印加される場合には、第1データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正し、受信データが第2状態データとして印加される場合には、第2データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正すれば、データ受信エラー率が低くなる。
【0046】
図8図1を搭載したNFCが可能であるマルチメディア機器の装置ブロック図である。図面を参照すると、例えば携帯電話のようなマルチメディア機器はRF通信部110、図1のデジタル処理部200を含むモデム220、予め設定されたアルゴリズムによってマルチメディア機能の制御に関連されたメインプログラムを実行する制御部300、プログラム及び種々のデータを貯蔵するメモリ310、SWP400、及びUSIM500を含む。
【0047】
SWP400(Single Wire Protocol)はUSIM500(Universal Subscriber Identity Module)がマルチメディア機器に搭載された場合、USIM500の加入者情報を制御部300に伝送するインターフェーシングを担う。
【0048】
モデム220は図1のデジタル処理部200のようなハードウェアブロックを有するので、受信器と、パラメータ貯蔵部と、制御処理部とを内部回路ブロックとして含む。ここで、受信器は比較器から出力された受信データを処理するカード受信部とアナログ対デジタル変換器から出力された受信データを処理するリーダ受信部とを含む。パラメータ貯蔵部は、受信器の受信特性による受信特性オフセットを第1、2状態データ別に測定し、第1、2状態データに対応する第1、2データサンプルタイムオフセットをそれぞれ独立的に貯蔵する。制御処理部は、図7のような制御を行なうために、受信データが第1状態データとして印加される場合には、第1データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正し、受信データが第2状態データとして印加される場合には、第2データサンプルタイムオフセットを適用して受信データを補正する。
【0049】
従って、受信器別にそれぞれ異なる第1、2データサンプルタイムオフセットを適用するので、図8のマルチメディア機器は高いデータの受信率を有する。
上述したように、本発明の実施形態によると、受信データを補正する際に、受信器別に区別して第1、2データサンプルタイムオフセットを適用するので、データ受信エラー率が低くなってデータ受信性能が改善される。
【0050】
本発明の実施形態では、NFC受信器に関して主に説明しているが、これに限定されず、異なる通信システムにも本発明の実施形態を拡張して適用することができるだろう。
また、本発明の技術的思想の範囲内で本発明を様々に変形又は変更することができるのは本発明が属する分野の当業者には明らかである。例えば、本発明の技術的思想を外れないで、データサンプルタイムオフセットを受信オーバーサンプリングされるデータのビット数によって可変的に適用したり、受信器の機能ブロック配置及び細部構成を様々に変形又は変更できるだろう。
【符号の説明】
【0051】
100 第1アナログ処理部
110 RF通信部
150 第2アナログ処理部
200 デジタル処理部
214、224、234 ビット測定部
300 制御部
310 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8