【文献】
Y.Li,et al.,International Journal of Pharmaceutics,2004,269,pp61−70
【文献】
A.Khan,et al.,Journal of Drug Targeting,2004,12(6),pp393−404
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ステップ(a)またはステップ(b)の混合物に、非イオン性ポリマー溶液を加えるステップをさらに含み、該非イオン性ポリマー溶液が、ポリエチレングリコール、または、ポリエチレングリコール(PEG)とポリビニルピロリドン(PVP)との混合物である、請求項8に記載の方法。
前記ステップ(b)におけるインキュベーション温度が、25℃〜90℃であり、そして/または該ステップ(b)におけるインキュベーション時間が、1分〜1時間である、請求項8または9に記載の方法。
前記方法が、実質的に球状の微小粒子を含むミクロスフィア集団および/または少なくとも55重量%の核酸を含む微小粒子を生成する、請求項8〜10のいずれか一つに記載の方法。
前記標的粘膜が、頬粘膜、食道粘膜、胃粘膜、腸粘膜、嗅粘膜、口腔粘膜、気管支粘膜、子宮粘膜、および子宮内膜からなる群より選択される、請求項19に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本明細書に上述されるように、米国特許出願公開第20060018971号に開示されるもの等のポリマーポリカチオンと組み合わせた核酸の微小粒子は、水不溶性であり、湿潤または水性の標的位置への送達に適さない。これらの微小粒子におけるポリマーポリカチオンの含量は、微小粒子の6重量%以上(例えば6〜12%)の範囲であり、中の核酸の負荷量を潜在的に減少させる。本開示は、(例えば、乾燥粉末および/または定量製剤の経口または経鼻吸入により)肺の表面等の、湿潤または水性の標的位置に核酸分子を送達するために使用できる、核酸微小粒子組成物を提供する。これらの組成物は、標的位置で速やかに溶解し、標的位置で、微小粒子組成物に含まれる核酸分子を放出する。非ポリマーカチオンは、ポリマーポリカチオンよりサイズが小さく、一定の場合には、ポリマーポリカチオンのモノマー単位よりも小さい。このような小さな非ポリマーカチオンの使用により、最終微小粒子中にはるかに少ない重量(典型的に6%未満、より典型的には、2〜3%から5%のオーダー)のカチオンを含む微小粒子を形成できる。これにより、同一量(重量)の微小粒子において、より高い負荷量の核酸を送達しうる。
【0060】
一般に、本開示の核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、小干渉RNA)は、一つ以上の可溶化非ポリマーカチオン(例えばBa
2+、Ca
2+、Mg
2+、Sr
2+、Zn
2+、Na
+、K
+、Li
+、Cu
2+、Fe
2+、Mn
2+、Fe
3+、Al
3+)および一つ以上の可溶化非イオン性ポリマー(例えばポリエチレングリコール(PEG)および/またはポリビニルピロリドン(PVP))の存在下で、単相の液体媒質(例えば水性バッファー等の水性媒質)において、完全に溶解されないとしても(反応混合物が明らかに霞み、または曇っている)、ほとんど溶解された(反応混合物が透明である)。可溶化された核酸分子が凝集し、非ポリマーカチオンと共凝固して、濁った懸濁可能な分散の形で典型的に観察される核酸微小粒子を形成するように、溶解された核酸の溶解性が調節された(例えば、反応溶液を冷却し、核酸および/または非イオン性ポリマーおよび/または非ポリマーカチオンの濃度を増加させ、および/または、反応溶液に対する圧力を増減することにより)。核酸微小粒子形成に続いて、さらなる処理(例えば遠心分離、洗浄および/または凍結乾燥)が行われて、核酸微小粒子が反応媒質およびその中の可溶化成分(例えばPEGおよび/またはPVP等の非イオン性ポリマー)から分離された。得られた(乾燥粉末の形等の)核酸微小粒子が、特徴づけされた(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)およびTSI Aerosizerを用いた空気力学的飛行時間型測定により粒径分布が決定され、Next Generation Impactor(NGI)およびCyclohaler乾燥粉末吸入デバイスを用いて空気力学的特性がin vitroで決定され、微小粒子中の核酸の完全性が、分解の逆相(RP)HPLCにより決定された)。
【0061】
驚くべきことに、核酸微小粒子が、0.5〜5μmの間の範囲の任意の一つ以上の直径を有し、および/または実質的に球状であるように調製されうること、および水および/または生理的媒質に易溶であることが分かった。SEMおよびAerosizerデータの両方に基づいて、PROMAXX核酸微小粒子の粒径分布が、肺の任意の一つ以上のエリアおよび呼吸器系の他のエリアへの局所送達に適切であると決定された。NGIにより測定されたある例の空気力学的特性のin vitro評価の結果、空気動力学的質量中央直径は、例えば3.0μm;幾何学的標準偏差は、例えば1.5μm;放出用量は、例えば73%、微粉画分(<8ミクロン)は、例えば82%であったが、これに限定されなかった。データは、これらの微小粒子が、肺粘膜沈着(例えば肺への局所送達)に理想的であることを示唆した。RP−HPLCデータは、微小粒子作製後の核酸の有意な変化を示さなかった。さらに、核酸微小粒子形成の方法は、核酸微小粒子に組み込まれた核酸の分解またはそれらの間の凝集をもたらさなかった。
【0062】
したがって本開示は、実質的に球状であるということを特徴とする核酸微小粒子を提供する。SEMを用いて微小粒子が視覚化されると、一態様では、核酸微小粒子は、実質的に非多孔性であり、円滑な表面を有するように見える。そのようなものとして、これらの微小粒子は、限られた空間により多くの核酸分子を包み、比較的低い負荷量を有する多孔性の微小粒子よりも、核酸の送達をより効率的で有効にする。また、本明細書に開示される核酸微小粒子の低い多孔率により、それらの表面積が最小化され、中の核酸分子の大部分を分解の要素への曝露から効果的に遮蔽し、中の核酸を、多孔質の微小粒子中のものよりも、保存時に安定化する。さらに、本開示の核酸微小粒子の別の特徴は、微小粒子が、一態様では45重量%を上回り、他の態様では60重量%を上回る典型的な核酸負荷量と、1〜3%以上の非ポリマーカチオン含量とを有し、賦形剤の様々なマトリックス(例えば脂質、非核酸ポリマー、界面活性剤、炭水化物)を有する他の微小粒子に見られるような、材料のマトリックスの空間を残さないことである。実際、本開示の微小粒子は、二次、三次、および四次構造が、主に非ポリマーカチオンと組み合わせた核酸分子による。そのようなものとして、本開示の例示的微小粒子は、核酸以外の非カチオン構造成分を実質的に含まず、例えば脂質、糖類、ヒドロゲル材料および界面活性剤を実質的に含まないものとして説明されうる。微小粒子のカチオン成分は、例えば単価カチオン、二価カチオン、三価カチオン、他の多価非ポリマーカチオン、一価、二価またはそれ以上の結合価の有機非ポリマーカチオン、およびその二つ以上の組み合わせ等の、一つ以上の非ポリマーカチオンからなり、これには、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、血清イオン、マンガンイオン、銅イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、t−アルキルアンモニウムイオン、ジアルキルアンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン等が含まれるがこれに限定されない。遊離塩基性アミノ酸等のカチオンモノマー(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン、シトルリンおよびその光学異性体および立体異性体)が、非ポリマーカチオンのクラスに含まれる。非ポリマーカチオンは、反応溶液中の任意の非核酸成分と水不溶性沈殿物を形成しない、水可溶性水酸化物および塩類の形で提供され、塩類のアニオンには、一価アニオン、二価アニオン、三価アニオン、他の多価非ポリマーアニオン、一価、二価またはそれ以上の結合価の有機非ポリマーカチオン、およびその二つ以上の組み合わせ(例えば塩化物、アセテート、カルボナート、トリクロロカルボナート、クエン酸塩、しかしこれに限定されない)が含まれる。本明細書において用いられる非ポリマーカチオンは、カチオン脂質、カチオン性タンパク質、およびカチオン性ペプチドを特に除外する。カチオン性界面活性剤およびホスホリピド、ならびにnが4より大きい(CH
2)
nの部分を有するカチオン性分子も、非ポリマーカチオンという用語から除外される。
【0063】
核酸微小粒子は、水および/または生理的媒質(例えば生食水、PBSバッファー、血清)に易溶である。例えば、核酸微小粒子は、脱イオン水中の溶解性が、20℃〜40℃の範囲の温度、例えば25℃または37℃等で、0.1重量%以上、例えば0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上等である。本開示の任意の所与の核酸微小粒子組成物では、幾何学的粒径分布および/または空気力学的粒径分布は、独立して、または、同時にモノモーダル、バイモーダル、またはポリモーダルでありうる。
【0064】
ある場合(例えば肺感染)に望ましいように、所与の組成物が肺の一つ以上の所定のエリア(例えば肺深部)または全エリアに到達するためには、例えば異なる幾何学粒径分布および/または異なる空気力学的粒径分布を有する核酸微小粒子の二つ以上の群を混合することにより、組成物が多分散粒径分布を有することが考えられる。幾何学粒径分布および/または空気力学的粒径分布の非限定的な例には、0.1ミクロン、0.5ミクロン、1ミクロン、1.5ミクロン、2ミクロン、2.5ミクロン、3ミクロン、3.5ミクロン、4ミクロン、4.5ミクロン、5ミクロン、10ミクロン等の、任意の値の間の一つ、二つ、またはそれ以上の範囲およびそのサブ範囲に分布するものが含まれる。したがって、1.5ミクロン〜3ミクロン、1.5ミクロン〜5ミクロン、または1.5ミクロン〜8ミクロンの範囲の粒径分布を有する、所与の組成物が調製されうると考えられる。
【0065】
これらの核酸微小粒子の調製のための方法、材料およびプロセス、および、このような核酸微小粒子を含む貯蔵および最終用途のための組成物が、以下に詳述される。
【0066】
本明細書に特に断りがない限り、本開示において用いられる科学的および専門的用語は、従来技術において当業者により一般に理解され、使用される意義を有する。文脈により要求されない限り、単数形は同じものの複数形を含み、複数形は単数形を含むものとする。特に、本明細書および請求項に使用されるところの、単数形「a」および「an」は、文脈が逆を明示しない限り、単数形を含む。したがって、例えば、特定の微小粒子への言及は、当業者知られるその等価物を含む、一つのそのような微小粒子または複数のそのような微小粒子への言及である。また、本明細書および請求項に使用されるところの、「少なくとも一つ」および「一つ以上」という用語は、同じ意義を有し、一つ、二つ、三つまたはそれ以上を含む。以下の用語は、特に断りがない限り、本開示の文脈で用いられる場合には、以下の意義を有するものとする。
【0067】
操作例以外においては、または、特に指定がなければ、材料の量、時間、温度、反応条件、分量比、分子量の値(数平均分子量M
n、または、重量平均分子量M
w)および本明細書に開示される他のもの等の、全ての数値的範囲、量、値、および比率は、全ての場合において、「約」という用語により修飾されるものと理解されねばならない。したがって、逆の明示がない限り、本開示および添付の請求の範囲に記載される数値的パラメータは、所望どおりに変動しうる近似値である。少なくとも、各数値的パラメータは、少なくとも報告される有効数字の数を考慮し、通常の概数技術をあてはめることにより、解釈されねばならない。
【0068】
本開示の広い範囲を記載する数値的範囲およびパラメータは、近似値であるが、具体例に記載される数値は、できる限り正確に報告される。しかし、任意の数値は、本来的に、それらの各テスト測定に見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含む。さらに、様々な範囲の数値的範囲が本明細書に記載される場合には、詳述された値を含むこれらの値の任意の組み合わせが使用されうるものと考えられる。
【0069】
「から形成される」および「で形成される」は、他の構成要素を含みうる。そのようなものとして、詳述される成分のリスト「から形成される」または「で形成される」組成物は、少なくともこれらの詳述された成分を含む組成物であり、組成物の調製の間に他の詳述されていない成分をさらに含みうる。
【0070】
「等」に先行し、「例えば」に続くものを含む、本明細書に提供される例は、本開示およびその実施形態の様々な態様の例示にとどまり、これに特に限定されないと考えられる。当技術分野の技術者に公知および/または利用可能な任意の適切な等価物、代替物、およびその変更(材料、物質、構造、組成物、製剤、手段、方法、条件等含む)が、本明細書に開示されるものの代わりに、またはこれと組み合わせて、使用または実施でき、本開示の範囲内であると考えられる。
【0071】
A.核酸微小粒子
「微小粒子」とは、固体の(実質的に固体または半固体を含むが、ゲル、液体および気体を除外)、1mm未満、例えば200ミクロン以下、または100ミクロン以下、または10ミクロン以下等の平均幾何学的粒径(直径と呼ばれる場合もある)を有する、微粒子をさす。一例においては、粒径は、0.01ミクロン以上、例えば0.1ミクロン以上、または0.5ミクロン以上、または0.5ミクロン〜5ミクロンである。平均幾何学的粒径は、動的光散乱法(光相関分光法、レーザー回折、低角レーザー光散乱(LALLS)、多角度レーザー光散乱(MALLS)等)、光遮蔽法(Coulter分析法等)、または他の方法(レオロジー、光学または電子顕微鏡法等)により測定されうる。肺送達のための微小粒子は、飛行時間測定、Andersen Cascade Impactor測定、またはNext Generation Impactor測定により決定される空気力学的粒径を有する。微小粒子は、球状形を有し(ミクロスフィアと呼ばれる場合もある)、および/またはカプセル化されうる(マイクロカプセルと呼ばれる場合もある)。ある微小粒子は、一つ以上の内部空隙および/または空洞を有しうる。他の微小粒子は、このような空隙または空洞を含まないものでありうる。微小粒子は、多孔性または非多孔性多孔性であればよく、選択的に円滑な表面を有する。非多孔性微小粒子は、限られた空間により多くの核酸分子を詰め込み、比較的低い負荷量を有する多孔性微小粒子よりも、核酸の送達をより効率的で有効にする。非多孔性微小粒子は、表面積が最小限であり、中の活性薬剤の大部分を分解因子への曝露から効果的に遮蔽し、中の活性薬剤を、多孔性微小粒子中のものよりも保存時に安定させる。微小粒子は、部分的または全体的に、本明細書に開示される活性薬剤、担体、ポリマー、安定化剤、および/または錯化剤等の、一つ以上の非限定的材料から形成されうる。微小粒子は不溶性水でありうるが、ある場合(例えば湿潤または水性の標的位置への送達)には、実質的に水溶性であるのが好ましい。「核酸微小粒子」という用語は、非核酸材料(例えば賦形剤、合成ポリマー、タンパク質)のマトリックスまたはスキャッフォードまたはネットワーク等の非核酸担体構造、非核酸材料(例えば無機化合物、合成基質)のコア、および非核酸材料(例えば脂質、合成ポリマー)のシェルまたは壁、またはエンベロープを含まず、二次、三次、および四次構造が主にカチオンと選択的に組み合わせられた核酸分子による、微小粒子をさす。
【0072】
「球状」とは、少なくとも「実質的に球状である」幾何学的形状をさす。「実質的に球状」とは、幾何中心を通る任意の横断面における最長の長さ(すなわち周辺上の二点の間の長さであり、形状の幾何中心を通る長さ)の、最短の長さに対する比が、約1.5以下、好ましくは約1.33以下、より好ましくは1.25以下であることを意味する。球状には、左右対称を必要としない。さらに、微小粒子は、表面テクスチャー(微小粒子の全体の大きさと比較して規模の小さな、連続または不連続なライン、島、格子、ギザ部、チャネル開口、突出部)を有して、なお球状でありうる。球状の微小粒子においては、その間の表面接触が最小化され、これにより、微小粒子の有害な集塊が最小化される。これと比較して、結晶または剥片である微小粒子は、典型的に、比較的大きな平坦表面で、イオンおよび/または非イオン性相互作用による有意な集塊を示す。
【0073】
実質的に球状の微小粒子においては、表面接触が最小化され、これにより、貯蔵および/または最終用途の際の微小粒子の有害な集塊が最小化される。これと比較して、ほとんどの結晶または剥片は、平坦表面を有し、これにより、イオンおよび/または非イオン性相互作用による集塊が生じうる表面接触面積が大きくなる。
【0074】
一例においては、核酸微小粒子は、単分散の粒径分布を有する。比較的大きな微小粒子と小さな微小粒子の両方がある、広い粒径分布を有する微小粒子では、小さな微小粒子が、大きな微小粒子の間の隙間を充填し、これにより、集塊のための大きな接触面が生じうる。本明細書に開示される球状核酸微小粒子では、その単分散の粒径分布により、接触集塊の機会が最小限になる。「単分散の粒径分布」とは、90パーセンタイル(すなわち、微小粒子の最も大きな10%の平均粒径)の体積直径の、10パーセンタイル(すなわち、微小粒子の最も小さな10%の平均粒径)の体積直径に対する比が、5以下、例えば3以下、2以下、または1.5〜1等である、微小粒子粒径分布をさす。「多分散の粒径分布」とは、上記の直径比が、5より大きい、例えば8以上、または10以上等であるものをいう。
【0075】
幾何学的標準偏差(GSD)を用いて、微小粒子粒径分布を特徴づけすることもできる。2.5以下、例えば1.8以下等のGSD値が、単分散の粒径分布を示す。GSDの計算は、当業者に公知である。
【0076】
本開示の一例では、微小粒子中の核酸は、半結晶または非結晶、例えば非晶質である。
【0077】
典型的には、本開示のプロセスにより作られる核酸微小粒子は、実質的に非多孔性であり、核酸分子間の圧縮ならびに核酸と非ポリマーカチオンとの間の圧縮を含む、核酸の凝集の結果としての密度を有する。一例においては、核酸微小粒子は、0.5g/cm
3より大きい密度、例えば0.75g/cm
3より大きい、0.85g/cm
3より大きい、または1g/cm
3より大きい密度を有する。密度の範囲には、0.5〜2g/cm
3、0.75〜1.75g/cm
3、および0.85g/cm
3〜1.5g/cm
3が含まれる。
【0078】
本開示の核酸微小粒子は、典型的に、核酸の含量が高い。一例においては、核酸微小粒子は、他の多くの微小粒子中に存在する、有意な量の増量剤または他の賦形剤(非ポリマーカチオン以外の)を含まない。しかし、増量剤または賦形剤が、本明細書に開示される核酸微小粒子中に含まれてもよい。別の例では、核酸は、微小粒子の60%〜100重量%を構成し、以下の値以上であり、または、かかる任意の二つの値の間の範囲でありうる:65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および97%。様々な実施形態では、本明細書に記載のアンチセンス核酸および他の阻害核酸、特にコレステロール等の疎水性部分を含むように修飾され、または修飾されていないsiRNAを含む微小粒子は、微小粒子の50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99重量%を構成する。
【0079】
本開示のさらなる態様は、微小粒子からの放出時に、中に取り込まれた核酸が、同じ核酸の全てではないにしてもほとんどの(例えば70%〜100%)生化学的完全性、および生物活性を、可溶化形態で保持することである。
【0080】
本発明の様々な態様においては、微小粒子は、マトリックスおよび/またはコアを含まず、または基本的に含まない。本発明の別の態様では、微小粒子は、マトリックス、コアおよび/またはエンベロープを含まず、または基本的に含まない。本明細書で用いられるところの「マトリックス」、「コア」および「エンベロープ」は、典型的に不活性であり、したがって微小粒子中の活性薬剤(単数または複数)と異なる微小粒子の構造成分をさし、それぞれが、活性薬剤(単数または複数)の放出制御を可能にするように設計されうる。「マトリックス」は、一般に、活性薬剤が全体的に組み入れられるフィラメント、ポリマー等を含む交差または多孔性のフレームワークである。一実施形態においては、マトリックスは、基本的に単一のステップにおいて形成される、薬物および担体の組み合わせである。担体は、多くの場合には、PLA、PGA、およびPLGA等のポリマー担体であり、ポリマー担体の全体に活性薬剤が組み入れられる。活性薬剤は、担体の全体に薬物の連続した多孔ネットワークを形成でき、そこから活性薬剤が放出される。一部の低分子量薬剤は、実際、ポリマー構造から時間とともに拡散しうる。微小粒子「コア」は、多くの場合には金属、セラミックおよび/またはポリマーの、実質的に高密度の構造成分を含むことが従来技術で周知であり、その周りに活性薬剤がロードされる。「コア」は、非多孔性、実質的に非多孔性、または多孔性でありうる。実質的に非多孔性の「コア」は、「マトリックス」に見られるものよりも程度は低いものの、活性薬剤を高密度の構造に入り込ませる、多孔性の特性も有しうる。「エンベロープ」は典型的に、基本的に全ての活性薬剤を覆う外部微小粒子構造であり、多くの場合には、共有結合されたポリマーサブユニットおよび/または非共有結合の、すなわちイオンまたは疎水性相互作用で結合されたサブユニットを含む。「エンベロープ」は非多孔性であるが、活性薬剤が一度に、または時間とともに放出されうる程度に分解可能であり得、または、活性薬剤が時間とともに放出されうる程度に多孔性でありうる。したがって、本明細書で用いられるところの「非核酸マトリックス、コアまたはエンベロープ」は、核酸でない微小粒子の構造成分をさす。エンベロープの一つのタイプでは、マイクロカプセルは、浸透性、半浸透性(semipermaeable)、または不浸透性コーティング層で覆われる、活性薬剤を含む構造である。薬物放出は、一般に構造がポリマー性であるコーティングを通してのみ生じうる。
【0081】
B.適切な核酸分子
「核酸」は、ヌクレオチドを含むが、それ自体はヌクレオチドモノマーでない分子をさす。核酸は、一本鎖、二本鎖、または複数鎖であり得、修飾または非修飾ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドまたはその様々な混合物および組み合わせを含みうる。核酸は、塩基、糖および/または骨格(例えばリン酸基)で修飾されうる。非限定的な骨格修飾には、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、5’−チオリン酸およびメチルホスホネートが含まれる。非限定的な糖修飾には、デオキシリボース、アラビノおよびフルオロアラビノが含まれる。これらの修飾が、単独で、または、同じタイプまたは異なるタイプの二つ以上の組み合わせで存在しうる。当業者には当然のことながら、以上は非限定的な例であり、核酸の活性を支える核酸のリン酸、糖および塩基化学の任意の組み合わせが、本開示の範囲内である。
【0082】
本開示の核酸微小粒子は、このような核酸を肺組織等の湿潤または水性の標的位置に送達する必要または要請がある限り、任意の長さ、配列、一次および二次構造(例えば一本鎖、二本鎖、三重鎖)、起源(例えば天然、合成、半合成、組み換え、原核生物、真核生物、外因性、内在性)、修飾、誘導、および操作の、一つ、二つまたはそれ以上の核酸をパッケージするのに適切である。本明細書に詳述されるものの他に、適切な核酸の非限定的な例には、DNA分子(例えばプラスミド、染色体DNA)、アンチセンスDNA分子、合成アンチセンス分子、RNA分子(例えばロックド核酸(LNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、モノシストロニックmRNA、ポリシストロニックmRNA、アンチセンスmRNA、運搬RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、非コードRNA(ncRNA)、RNA遺伝子、低分子RNA(sRNA)、非メッセンジャーRNA(nmRNA)、低分子非メッセンジャーRNA(snmRNA)、機能的RNA(fRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、核小体低分子RNA(snoRNA)、Cajal体特異的低分子RNA(scaRNA)、tmRNA、触媒RNA、リボザイム、RNアーゼP RNA、第IおよびIIイントロン、ニューロスポラVS RNA、リードザイム、ヘアピン型リボザイム、ハンマーヘッド型リボザイム、デルタ型肝炎ウィルスリボザイム、テトラヒメナリボザイム、二本鎖RNA(dsRNA)、オーバーハングを伴う、または伴わない一次および二次低分子干渉RNA(siRNA)、pre−siRNA、サイレンシングRNA、マイクロRNA(miRNA)、一次マイクロRNA(pri−miRNA)、pre−miRNA、内因性siRNA、Piwi相互作用性RNA、低分子活性化RNA(saRNA)、ガイドRNA(gRNA)、遠心性RNA(eRNA)、プロモータRNA(pRNA)、二重鎖アンチジーンRNA(agRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、ヘアピンRNA、)、イノザイム、G−切断剤、アンバーザイム、チンザイム、DNAザイム、アンチセンス核酸分子、2,5−Aキメラ、デコイ(転写因子デコイを含む)、CpGオリゴヌクレオチド、アプタマー、アンタゴマー、ペプチド核酸(PNA)分子、他のDNAおよび/またはRNA模倣物、そのような分子を一つ、二つ、またはそれ以上含む複合体(例えば三重鎖オリゴヌクレオチド、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC))、タンパク質またはペプチドまたは補助因子との複合体(例えばシグナル認識粒子RNA(SRP)、低分子リボ核タンパク(snRNP)、核小体低分子リボ核タンパク質(snoRNP)、miRNPs)、このような分子を一つ、二つ、またはそれ以上含むコンストラクト、二つ以上のこのような分子の配列を含む単一の大きな分子、その修飾および誘導(例えば置換等の塩基修飾、デオキシリボース、アラビノおよびフルオロアラビノ等の糖修飾、コレステロール結合、PEG化、光化学的修飾、PNA、ホスホロチオエート化、ホスホロアミド化、ホスホロジエステル化、ホスホロジチオエート化、5’−チオリン酸化およびメチルホスホネート化等の骨格修飾、2−O−アルキル−RNA、LNA、細胞浸透ペプチドによるペプチド結合、光化学的脱保護および加水分解等のin vivo核酸修飾)、ならびに、米国特許第5,334,711号、第5,627,053号、第5,672,695号、第5,716,824号、第5,898,221号、第6,001,311号、第6,107,094号、第6,506,559号、第6,573,099号、第7,056,704号および第7,078,196号、米国特許出願公開第20060234973号、第20060240556号、第20060241075号、および第20060264396号、米国特許出願第09/301511号、第60/082,404号、欧州特許第1,144,623号、および国際公開第89/02439号、第91/03162号、第92/07065号、第93/15187号、第93/23569号、第95/06731号、第95/11910号、第97/26270号、第98/13526号、第98/28317号、第99/54459号、第2006/105361号、第2006/110688号、第2006/110813号、第2006/123800号、第2006/126600号、第2006/128141号および第2006/128739号に明示または黙示的に開示されるものが含まれ、それらの開示は、全体として本明細書に組み込まれる。
【0083】
一例においては、微小粒子に取り込まれて放出可能な、少なくとも一つの核酸(例えば二つ以上の異なる核酸)が、RNAにより媒介される遺伝子発現(例えばタンパク質産生)の調節のためである。遺伝子発現のRNA媒介性の調節の非限定的な例には、転写および/または転写後レベルでの、外因的および/または内因的に誘導された減少および/またはサイレンシング等のRNA媒介性干渉(RNAi)、外因的および/または内因的な転写および/または転写後レベルでのRNA媒介性遺伝子活性化(RNAa)が含まれる。別の例では、微小粒子から放出される一つの核酸は、一つの特定の遺伝子発現(例えば単一のタンパク質標的)の一つの特定の調節または二つ以上の異なる調節と相関する。別の例では、微小粒子から放出される一つの核酸は、二つ以上のそれぞれ異なる遺伝子発現(例えば異なるタンパク質標的)の同一の調節または二つ以上のそれぞれ異なる調節と相関する。別の例では、同じ微小粒子または同じ組成の二つ以上のそれぞれ異なる微小粒子から放出される二つ以上の異なる核酸が、同一の遺伝子発現(例えば同一のタンパク質標的)またはそれぞれ異なる遺伝子発現(例えば異なるタンパク質標的)の同一の調節またはそれぞれ異なる調節と相関する。そのようなものとして、本開示の核酸微小粒子は、製剤において優れた可転性および大きな自由度を提供する。
【0084】
「抑制」または「ダウンレギュレート」は、遺伝子の発現、または、一つ以上のタンパク質サブユニットをコードするRNAまたは同等のRNAのレベル、または一つ以上のタンパク質サブユニットの活性が、本開示の核酸分子の非存在下で観察されるものより下に減少することを意味する。一例においては、酵素核酸分子による抑制は、標的RNA上の同じ部位に結合できるが、そのRNAを切断できない、酵素的に不活性または弱められた分子の存在下で観察されるレベルよりも低いのが好ましい。別の例では、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる抑制は、例えばスクランブル配列またはミスマッチ伴うオリゴヌクレオチドの存在下で観察されるレベルよりも低いのが好ましい。別の例では、本開示の核酸分子による抑制は、核酸分子の存在下で、その非存在下よりも大きい。
【0085】
「アップレギュレート」は、遺伝子の発現、または、一つ以上のタンパク質サブユニットをコードするRNAまたは同等のRNAのレベル、または一つ以上のタンパク質サブユニットの活性が、本開示の核酸分子の非存在下で観察されるよりも大きいことを意味する。例えば、遺伝子発現の非存在または低レベルにより引き起こされ、または悪化する病的状態を治療、防止、改善、または調節するために、遺伝子の発現が増加されうる。
【0086】
「調節する」とは、遺伝子の発現、または、一つ以上のタンパク質サブユニットをコードするRNAまたは同等のRNAのレベル、または一つ以上のタンパク質サブユニット(単数または複数)の活性が、発現、レベル、または活性が、本開示の核酸分子の非存在下で観察されるよりも大きいか、または小さいように、アップレギュレートまたはダウンレギュレートされることを意味する。
【0087】
「酵素的核酸分子」とは、特定の遺伝子標的に対する基質−結合領域において相補性を有し、標的RNAを特異的に切断するために活性である酵素活性も有する、核酸分子をいう。酵素的核酸分子は、典型的に、分子間でRNAを切断し、これにより標的RNA分子を不活性化できる。これらの相補領域が、標的RNAに対する酵素核酸分子の十分なハイブリダイゼーションを可能にし、したがって切断を可能にする。100%の相補性が好ましいが、50%〜75%程度の低い相補性も、本開示において有用でありうる。酵素的核酸という用語には、リボザイム、触媒的RNA、酵素的RNA、触媒的DNA、アプタザイムまたはアプタマー結合リボザイム、制御可能リボザイム、触媒的オリゴヌクレオチド、ヌクレオザイム、DNAザイム、RNA酵素、エンドリボヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、ミニザイム、リードザイム、オリゴザイムおよびDNA酵素が含まれるがこれに限定されない。
【0088】
酵素的RNAのいくつかの種類が、現在知られている。各々が、生理学的条件下で、RNAホスホジエステル結合のトランスでの加水分解を触媒できる(したがって、他のRNA分子を切断できる)。一般に、酵素的核酸は、最初に標的RNAに結合することにより作用する。そのような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素的部分に近接して保持された、酵素的核酸の標的結合部分により生じる。したがって、酵素的核酸は、まず標的RNAを認識してから、相補的塩基対形成によりこれに結合し、いったん正しい部位に結合したら、酵素的に作用して標的RNAを切断する。そのような標的RNAの戦略的切断は、コードされるタンパク質の合成を誘導するその能力を破壊する。酵素的核酸は、そのRNA標的に結合し切断した後、そのRNAから解放されて別の標的を探し、繰り返し新たな標的に結合し、切断しうる。したがって、単一つ酵素分子が、標的RNAの多くの分子を切断できる。さらに酵素的核酸は、遺伝子発現の高度に特異的な阻害剤であり、阻害の特異性は、標的RNAに対する結合の塩基対形成メカニズムだけでなく、標的RNA切断のメカニズムにも依存する。切断の部位の近くの一つのミスマッチまたは塩基置換が、酵素的核酸の触媒活性を完全に排除しうる。
【0089】
酵素的核酸分子の「酵素的部分」または「触媒ドメイン」は、核酸基質の切断に必須の、酵素的核酸分子の部分/領域をさす。
【0090】
「基質結合アーム」または「基質結合ドメイン」は、例えば相補性(すなわち、塩基対を形成する能力)により、その基質の一部分と相互作用しうる、酵素的核酸の部分/領域をさす。そのような相補性は100%であるのが好ましいが、所望の場合にはそれ未満でありうる(例えば、14中10程度が塩基対を形成しうる)。これらのアームは、相補的塩基対形成相互作用により酵素的核酸と標的RNAを結びつけるための配列を酵素的核酸内に含む。本開示の酵素的核酸は、連続または非連続的な、種々の長さでありうる結合アームを有しうる。結合アーム(単数または複数)の長さは、三ヌクレオチド以上であり、標的RNAと安定に相互作用するのに十分な長さであるのが好ましく;好ましくは12〜100ヌクレオチド;より好ましくは14〜24ヌクレオチドの長さである。二つの結合アームが選択される場合には、結合アームの長さが対称(すなわち、各結合アームが同じ長さ;例えば五および五ヌクレオチド、六および六ヌクレオチド、または七および七ヌクレオチド長)、または非対称(すなわち、結合アームが異なる長さ;例えば六および三ヌクレオチド;三および六ヌクレオチド長;四および五ヌクレオチド長;四および六ヌクレオチド長;四および七ヌクレオチド長;等)であるようなデザインである。
【0091】
「イノザイム」または「NCH」モチーフまたはコンフィギュレーションは、Nはヌクレオチドであり、Cはシチジンであり、Hはアデノシン、ウリジンまたはシチジンであり、「/」は切断部位を表す切断トリプレットNCH/を有するRNA基質を切断するエンドヌクレアーゼ活性を有する、酵素的核酸分子をさす。HはXと互換可能に使用される。イノザイムは、Nはヌクレオチドであり、Cはシチジンであり、「/」は切断部位を表す切断トリプレットNCN/を有するRNA基質を切断するエンドヌクレアーゼ活性も有しうる。
【0092】
「G切断剤」モチーフまたはコンフィギュレーションは、Nはヌクレオチドであり、Yはウリジンまたはシチジンであり、「/」は切断部位を表す切断トリプレットNYN/を有するRNA基質を切断するエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素的核酸分子をさす。G切断剤は化学的に修飾されうる。
【0093】
「アンバーザイム」モチーフまたはコンフィギュレーションは、Nはヌクレオチドであり、Gはグアノシンであり、「/」は切断部位を表す切断トリプレットNG/Nを有するRNA基質を切断するエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素的核酸分子をさす。アンバーザイムは、置換により化学的に修飾して、ヌクレアーゼ安定性を高めうる。さらに、異なるヌクレオシドおよび/または非ヌクレオシドリンカーを用いて、図に示される5’−gaaa−3’ループを置換しうる。アンバーザイムは、活性のためにそれ自体の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的な例である。
【0094】
「チンザイム」モチーフまたはコンフィギュレーションは、Yはウリジンまたはシチジンであり、Gはグアノシンであり、/は切断部位を表すYG/Yを含むがこれに限定されない切断トリプレットを有する、RNA基質を切断するエンドヌクレアーゼ活性を有する酵素的核酸分子をさす。チンザイムは、化学的に修飾されて、2’−O−メチルグアノシンヌクレオチドのグアノシンヌクレオチドによる置換を含む置換により、ヌクレアーゼ安定性が高められうる。さらに、異なるヌクレオチドおよび/または非ヌクレオチドリンカーを用いて、5’−gaaa−2’ループを置換しうる。チンザイムは、活性のためにそれ自体の核酸配列中にリボヌクレオチド(2’−OH)基を必要としない酵素的核酸分子の非限定的な例である。
【0095】
「DNAザイム」モチーフまたはコンフィギュレーションは、活性のためにそれ自体の核酸配列中に2’−OH基の存在を必要としない酵素的核酸分子をさす。特定の例においては、酵素的核酸分子は、2’−OH基を伴う一つ以上のヌクレオチドを含む、結合したリンカー(単数または複数)または他の結合または連合した基、部分、または鎖を有しうる。DNAザイムは、化学的に合成され、一本鎖DNAベクターまたはその同等物によりin vivoで外因的に発現されうる。
【0096】
「十分な長さ」は、予測される条件下で意図した機能を提供するのに十分に大きな、3ヌクレオチド以上のオリゴヌクレオチドをさす。例えば、酵素的核酸の結合アームでは、「十分な長さ」とは、結合アーム配列が、予測される結合条件下で標的部位に安定な結合を提供するのに十分に長いことを意味する。結合アームは、核酸分子の有用なターンオーバーを妨害するほど長くないのが好ましい。
【0097】
「安定に相互作用する」は、意図する目的(例えば、酵素による標的RNAの切断)のために十分な、オリゴヌクレオチドの標的核酸との相互作用(例えば、生理学的条件下で標的中の相補的ヌクレオチドと水素結合を形成することによる)をさす。
【0098】
「同等」または「関連」のRNAには、標的タンパク質に対する相同性(一部または完全)を有し、または、ヒト、齧歯動物、霊長類、ウサギ、ブタ、原生動物、真菌類、植物、および他の微生物および寄生虫を含む様々な生物において類似の機能をもつタンパク質をコードする、天然のRNA分子を含む。同等のRNA配列は、コード領域に加えて、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域、イントロン、イントロン−エクソン境界等の領域も含む。
【0099】
「相同性」とは、二つ以上の核酸分子のヌクレオチド配列が、部分的にまたは完全に同一であることを意味する。
【0100】
「アンチセンス核酸」は、RNA−RNAまたはRNA−DNAまたはRNA−PNA(タンパク質核酸)相互作用により標的RNAに結合し、標的RNAの活性を変化させる非酵素的核酸分子をさす。典型的には、アンチセンス分子は、アンチセンス分子の一つの連続する配列に沿って標的配列に相補的である。しかし、ある例においては、アンチセンス分子は、基質分子がループを形成するように結合でき、および/またはアンチセンス分子は、アンチセンス分子がループを形成するように結合できる。したがって、アンチセンス分子は、二つ(またはそれ以上)の非連続的基質配列に相補的であり得、または、アンチセンス分子の二つ(またはそれ以上)の非連続的配列部分が、標的配列に相補的であり得、またはその両方でありうる。さらに、アンチセンスDNAを用いて、DNA−RNA相互作用により核酸をターゲティングし、これによりRNaseHを活性化させ、これが、二重鎖中の標的核酸を消化しうる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAのRNAseH切断を活性化しうる、一つ以上のRNAseH活性化領域を含みうる。アンチセンスDNAは、化学的に合成され、または、一本鎖DNA発現ベクターまたはその同等物を用いて発現されうる。
【0101】
「RNaseH活性化領域」は、標的RNAに結合して、細胞性RNaseH酵素により認識される非共有結合性複合体を形成できる、核酸分子の領域(一般に4〜25ヌクレオチド以上の長さ、好ましくは5〜11ヌクレオチドの長さのもの)をさす。RNaseH酵素は、核酸分子−標的RNA複合体に結合し、標的RNA配列を切断する。RNaseH活性化領域は、例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオエート(ヌクレオチドの少なくとも四つがホスホロチオエート化される、例えばヌクレオチドの4〜11がホスホロチオエート化されるもの等);ホスホロジチオエート、5’−チオリン酸、またはメチルホスホネート骨格化学またはこれらの組み合わせを含む。さらに、RNaseH活性化領域は、種々の糖化学も含みうる。例えば、RNaseH活性化領域は、デオキシリボース、アラビノ、フルオロアラビノまたはその組み合わせ、ヌクレオチド糖化学を含みうる。
【0102】
「2−5Aキメラ」とは、オリゴヌクレオチド、例えば、5’−リン酸化2’−5’−結合アデニレート残基を含む、アンチセンス核酸分子または酵素的核酸分子を意味する。これらのキメラは、配列特異的様式で標的RNAに結合し、細胞性2−5A−依存性リボヌクレアーゼを活性化し、それが標的RNAを切断する。
【0103】
「トリプレックス形成オリゴヌクレオチド」または「トリプレックスオリゴヌクレオチド」は、二本鎖DNAに配列特異的様式で結合し、三重鎖らせんを形成できるオリゴヌクレオチドをさす。そのような三重らせん構造の形成が、標的遺伝子の転写を阻害することが示されている。
【0104】
「二本鎖RNA」または「dsRNA」は、RNA干渉が可能な二本鎖RNA分子「RNAi」をさし、短鎖干渉RNA(siRNA)を含むがこれに限定されない。dsRNAは、典型的に、遺伝子の対応するメッセンジャーRNA転写産物を分解する細胞性酵素を活性化できる所定の遺伝子配列に適合する。これらのdsRNAsを用いて、遺伝子発現を阻害できる。
【0105】
「遺伝子」とは、RNAをコードする核酸、例えばポリペプチドをコードする構造遺伝子を含むがこれに限定されない、核酸をさす。
【0106】
「相補性」とは、伝統的なワトソン−クリックまたは他の非伝統的なタイプのいずれかにより、別のRNA配列と水素結合(単数または複数)を形成する、核酸の能力をさす。本開示の核酸分子に関して、核酸分子とその標的または相補的配列との結合自由エネルギーは、核酸の関連する機能、例えば酵素的核酸切断、アンチセンスまたは三重らせん阻害が進行するのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの決定は、当技術分野において周知である。相補性のパーセンテージは、第二核酸配列と水素結合を形成(例えばワトソン−クリック塩基対形成)しうる核酸分子中の連続する残基のパーセンテージを示す(例えば10中5、6、7、8、9、10は、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相補性である)。「完全に相補的」とは、核酸配列の連続する残基の全てが、第二核酸配列中の同じ数の連続する残基と水素結合することを意味する。
【0107】
「RNA」は、少なくとも一つのリボヌクレオチド残基を含むが、それ自体はリボヌクレオチドでない分子を意味する。「リボヌクレオチド」または「2’−OH」は、β−D−リボフラノース部分の2’位にヒドロキシル基を伴うヌクレオチドをさす。
【0108】
「マイクロRNA」または「miRNA」は、mRNA切断、翻訳抑制/阻害または異質染色性サイレンシングにより標的メッセンジャーRNAの発現を調節する、低分子二重鎖RNAをさす。一例においては、マイクロRNAは、miRNA分子のセンス鎖またはセンス領域とアンチセンス鎖またはアンチセンス領域との間、またはmiRNAのアンチセンス鎖またはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に、部分的相補性(すなわち100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的相補性は、二重鎖核酸分子内の様々なミスマッチまたは非塩基対ヌクレオチド(例えば1、2、3、4、5またはそれ以上のミスマッチまたは非塩基対ヌクレオチド、例えばヌクレオチドバルジ等)、miRNAのセンス鎖またはセンス領域とアンチセンス鎖またはアンチセンス領域との間、または、miRNAのアンチセンス鎖またはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間に生じるバルジ、ループ、またはオーバーハングを生じる構造を含みうる。
【0109】
「デコイ」とは、所定のリガンドに優先的に結合するようにデザインされた核酸分子、例えばRNAまたはDNA、またはアプタマーをさす。このような結合は、標的分子の阻害または活性化をもたらしうる。デコイまたはアプタマーは、特異的リガンドの結合につき天然の結合標的と競合しうる。
【0110】
「アプタマー」または「核酸アプタマー」は、標的分子に特異的に結合する核酸分子をさし、核酸分子は、その自然の状態で標的分子により認識される配列と異なる配列を有する。あるいは、アプタマーは、自然には核酸に結合しない標的分子と結合する核酸分子でありうる。標的分子は、樹脂、代謝物、ヌクレオシド、ヌクレオチド、薬物、毒素、遷移状態類似体、ペプチド、脂質、タンパク質、アミノ酸、核酸分子、ホルモン、炭水化物、レセプター、細胞、ウィルス、細菌等を含むがこれに限定されない、任意の天然または合成の分子でありうる。例えば、アプタマーを用いてタンパク質のリガンド結合ドメインと結合させ、これにより、天然に生じるリガンドとタンパク質との相互作用を防止しうる。同様に、本発明の核酸分子は、タンパク質に結合し、したがって活性を阻害しうる。
【0111】
遺伝子発現を調節(例えばアップレギュレートまたはダウンレギュレート)する、本開示の酵素的核酸分子、アンチセンス核酸分子、二本鎖RNA分子、または他の核酸分子は、閉塞性肺疾患等、呼吸器系に関するもの(例えば、気腫、気管支炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、綿工場熱、細気管支炎、石綿肺、線維症、嚢胞性線維症、サルコイドーシス、肺胞損傷、胸水等の拘束性肺疾患、過敏性肺臓炎、肋膜炎、肺癌、インフルエンザ、上気道感染症、下気道感染または肺炎、結核等の伝染性肺疾患、肺水腫、肺動脈塞栓症、肺高血圧症、および呼吸器腫瘍等の肺血管疾患)、慢性関節リウマチ、再狭窄、喘息、クローン病、色素失調症、糖尿病、肥満、自己免疫性疾患、狼瘡、多発性硬化症、移植片/移植片拒絶、遺伝子治療適応、虚血/再かん流損傷(CNSおよび心筋)、糸球体腎炎、敗血症、アレルギー性気道炎症、炎症性腸疾患等、炎症に関連するもの、および感染、ならびに、乳腺、肺、前立腺、結直腸、脳、食道、膀胱、膵臓、頸部、頭頸部および卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、および多剤耐性癌を含むがこれに限定されない様々な癌を含むがこれに限定されない、様々な疾患および状態を治療するための、治療的アプローチである。
【0112】
一例においては、本開示の微小粒子組成物において使用される核酸分子は、5−100または長さの10−100のヌクレオチドの長さ等の、各3−100ヌクレオチドの長さの、一つ、二つ、またはそれ以上のヌクレオチド配列を含む。本開示の例示的な酵素的核酸分子は、15−45、20−40または25−40のヌクレオチドの長さ等の、12−50ヌクレオチドの長さ、例えば34、36または38ヌクレオチドの長さである。本開示の例示的なDNAザイムは、15−40、20−35、または25−35ヌクレオチドの長さ等の、12−40ヌクレオチドの長さ、例えば29、30、31、または32ヌクレオチドの長さである。本開示の例示的なアンチセンス分子は、15−75、20−50または20−35のヌクレオチドの長さ等の、12−100ヌクレオチドの長さ、例えば21、25、26、27、または28ヌクレオチドの長さである。本開示の例示的なトリプレックス形成オリゴヌクレオチド分子は、10−30または12−25ヌクレオチドの長さ等の、8−40ヌクレオチドの長さ、例えば18、19、20、または21ヌクレオチドの長さである。当業者には当然のことながら、核酸分子が、その標的と相互作用し、および/または本明細書に予定される反応を触媒するために十分な長さおよび適切なコンフォメーションであれば足りる。本開示の核酸分子の長さは、明示された一般的な限度の範囲内に限定されない。
【0113】
本開示は、例えば、本開示の一つまたはいくつかの核酸分子により、疾患または条件の特異的治療が提供できるように、所望の標的のRNAに対する高い特異性を有する、核酸ベースの遺伝子調節剤のクラスを提供する。このような核酸分子は、本明細書に開示の微小粒子において、必要な特定の組織または細胞に、外因的に送達されうる。あるいは、核酸分子(例えばリボザイムおよびアンチセンス)は、本明細書に開示される微小粒子において特定の組織または細胞に送達されるDNAおよび/またはRNAベクターから発現されうる。
【0114】
「細胞」は、その通常の生物学的意味で用いられ、多細胞生物全体をさすものではない。細胞は、例えばin vitro、例えば細胞培養にあり、または、例えば鳥類、植物およびヒト、ウシ、ヒツジ、類人猿、サル、ブタ、イヌおよびネコ等の哺乳類を含む、多細胞生物中に存在しうる。細胞は、原核生物(例えば細菌細胞)または真核生物(例えば哺乳類または植物細胞)でありうる。
【0115】
「高度に保存された配列領域」とは、一つの世代と他の世代で、または一つの生物学的システムと他の生物学的システムで有意に相違しない、標的遺伝子中の一つ以上の領域のヌクレオチド配列をさす。
【0116】
本開示の微小粒子組成物において使用される核酸は、複数の核酸を連結するヌクレオチドリンカーを含みうる。リンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、26、30またはそれ以上等の、2ヌクレオチド以上の長さ、または、かかる任意の値の間の範囲でありうる。ヌクレオチドは、内部に塩基対を形成して、2つ以上の塩基対を形成しうる。ヌクレオチドリンカーは、ATPアプタマー等、核酸アプタマーでありうる。
【0117】
さらに別の例では、代替的または追加的に、配列Xは、非ヌクレオチドリンカーでありうる。非ヌクレオチドには、無塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、またはポリ炭化水素化合物が含まれうる。「非ヌクレオチド」は、糖および/またはリン酸置換のいずれかを含めて、一つ以上のヌクレオチドユニットの代わりに核酸鎖中に導入でき、残りの塩基がその活性を有しうる、任意の基または化合物をさらに意味する。基または化合物は、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミン等、一般に認識されるヌクレオチド塩基を含まない点で、無塩基でありうる。
【0118】
本開示の別の例においては、標的RNA分子と相互作用する核酸分子(例えば酵素的核酸分子またはアンチセンス分子)は、DNAまたはRNAベクターに挿入される転写ユニットから発現される。組換えベクターは、DNAプラスミドまたはウィルスベクターを含むがこれに限定されない。ウィルスベクターを発現する酵素的核酸分子またはアンチセンスは、アデノ関連ウィルス、レトロウィルス、アデノウィルス、またはアルファウィルスに基づいて構築されうるがこれに限定されない。酵素的核酸分子またはアンチセンスを発現しうる組換えベクターを、本明細書に記載の微小粒子により、湿潤または水性の標的位置に送達し、標的細胞にとどまらせうる。あるいは、核酸分子の一時的発現を提供するウィルスベクターが使用されうる。そのようなベクターの微小粒子が、必要に応じて繰り返し投与されうる。投与は、局所的または全身的に、例えば肺投与により、静脈内または筋肉内投与により、患者または対象から外植された標的細胞に対して投与した後、患者または対象に導入することにより、または、所望の標的細胞への導入を可能とする他の任意の手段により行われうる。アンチセンスDNAは、一本鎖DNA細胞内発現ベクターを用いて発現されうる。
【0119】
「ベクター」は、所望の核酸を、より大きな分子またはコンストラクトに取り込むために用いられる、任意の核酸および/またはウィルスに基づく技術をさす。
【0120】
「対象」または「患者」とは、哺乳類等の脊椎動物を含む動物、好ましくはヒトをさす。
【0121】
「対象の領域」とは、対象の局所的な内部または外部エリアまたは部分(例えば臓器)、または、対象全体のエリアまたは部分の集まり(例えばリンパ球)をさす。このような領域の非限定的な例には、肺領域(例えば、肺、肺胞、胃腸内領域(例えば食道、胃、小大腸および直腸により画定される領域)、心血管領域(例えば心筋組織)、腎臓領域(例えば腎臓、腹大動脈および直接腎臓につながっている血管系により画定される領域)、血管系(すなわち血管、例えば動脈、静脈、毛細血管等)、循環系、健常または罹患組織、良性または悪性(例えば腫瘍またはガン)組織、リンパ球、レセプター、臓器等、ならびに、画像診断領域、活性薬剤が投与される領域および/または活性薬剤により治療される領域、活性薬剤の送達の標的となる領域、および高温領域が含まれる。
【0122】
「組織」は一般に、一つ以上の特定の機能に特化され、これを行うことが可能な、個々の細胞または複数または凝集細胞をさす。非限定的な組織例には、膜状組織(例えば内皮、上皮)、血液、薄膜、結合組織(例えば間質組織)、臓器(例えば心筋組織、心筋細胞、心筋細胞(cardiomyocites))、異常細胞(単数または複数)(例えば腫瘍)が含まれる。
【0123】
「増強された活性」とは、細胞および/またはin vivoで測定される活性をさし、活性は、本開示の核酸分子の活性および安定性の両方の反映である。本発明においては、これらの特性の産物が、微小粒子ベースでない製剤と比較して、in vivoで増加されうる。場合によっては、核酸分子の活性または安定性が減少されうる(すなわち十倍未満)が、放出核酸分子の全体的な活性はin vivoで増強される。
【0124】
本開示の核酸分子を、独立して、または他の薬剤と組み合わせ、または併せて用いて、本明細書に記載の疾患または状態を治療しうる。
【0125】
さらなる例においては、記載される核酸微小粒子を、他の公知の治療と組み合わせて用いて、本明細書に記載される状態または疾患を治療しうる。例えば、記載の微小粒子を、一つ以上の公知の治療剤と組み合わせて用いて、乳腺、肺、前立腺、結腸直腸、脳、食道、膀胱、膵臓、頸部、頭頸部、および卵巣癌、黒色腫、リンパ腫、神経膠腫、多種薬剤耐性癌、慢性関節リウマチ、再狭窄、喘息、クローン病、糖尿病、色素失調症、肥満、自己免疫性疾患、狼瘡、多発性硬化症、移植/移植片拒絶、遺伝子治療処置、虚血/再かん流損傷(CNSおよび心筋)、糸球体腎炎、敗血症、アレルギー性気道炎症、炎症性腸疾患、感染、および任意の他のガン疾患または炎症性疾患または状態を治療(例えばその進行または維持が可能な遺伝子の発現をダウンレギュレートまたは阻害)しうる。
【0126】
100ヌクレオチドを上回る長さの核酸の合成は、自動化された方法を用いては困難であり得、そのような分子の治療費は高額となりうる。本開示においては、小核酸モチーフ(「小とは、約100ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは約80ヌクレオチド未満の長さ、より好ましくは約50ヌクレオチド未満の長さの核酸モチーフをさす;例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ハンマーヘッドまたはNCHリボザイム)が外因性送達のために用いられるのが好ましい。これらの分子の単純な構造が、RNA構造の標的領域に侵入する核酸の能力を増加させる。本開示の例示的な分子は、化学的に合成され、他は同様に合成されうる。
【0127】
オリゴヌクレオチド(例えばアンチセンス、GeneBlocs)は、例えば、国際公開第99/54459号、米国特許第6,001,311号、ならびに参照により本明細書に組み込まれる他の参考文献に記載される、公知技術のプロトコルを用いて合成される。
【0128】
血清リボヌクレアーゼによるその分解を防止する修飾(塩基、糖および/またはリン酸)を伴う核酸分子を化学的に合成することにより、それらの能力が増加しうる。細胞におけるその効力を増強する修飾、オリゴヌクレオチド合成時間を短縮し、化学的必要を減少させる、核酸分子からの塩基の除去が、ある例に限っては望ましい。
【0129】
そのヌクレアーゼ安定性および効力の有意な増強を伴って、核酸分子に導入されうる、糖、塩基およびリン酸修飾を説明するいくつかの例が、従来技術においてある。例えば、ヌクレアーゼ耐性基、例えば2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−H、ヌクレオチド塩基修飾による修飾により、オリゴヌクレオチドが修飾されて、安定性が増強され、および/または生物活性が増強される。核酸分子の糖修飾は、従来技術において広く説明されている。本明細書に組み込まれるある参考文献は、糖、塩基および/またはリン酸塩修飾等を核酸分子に、その活性を阻害せずに組み込む位置を決定する、一般的な方法および戦略を説明する。このような教示から、本開示の核酸分子を修飾するために、類似の修飾が本明細書に説明されるように使用されうる。
【0130】
ホスホロチオエート、ホスホロチオエート、および/または5’−メチルホスホネート結合によるオリゴヌクレオチドヌクレオチド間結合の化学修飾が安定性を改善する一方、これらの修飾は毒性を引き起こしうる場合があまりに多い。したがって、核酸分子を設計するときには、これらのヌクレオチド間結合の量を最小限にすべきである。これらの結合の濃度の減少は、毒性を低下させ、その結果、これらの分子の効力増加と、より高い特異度がもたらされるはずである。
【0131】
活性を維持または増強する化学修飾を有する核酸分子が、提供される。このような核酸は一般に、非修飾核酸よりもヌクレアーゼに対して耐性が高いともいえる。したがって、細胞および/またはin vivoにおいて、活性が有意に低下しない。外因的に送達される治療的核酸分子は、標的RNAの翻訳が有害なタンパク質のレベルを減少させるのに十分長く阻害されるまで、細胞中で最適に安定している。この期間は、病態によって何時間から何日まで変動する。核酸分子は、有効な細胞内治療剤として機能するために、ヌクレアーゼに耐性であるのが好ましい。RNAおよびDNAの化学合成の改善により、本明細書に説明されるように、ヌクレオチド修飾を導入してそのヌクレアーゼ安定性を増強することにより核酸分子を修飾する能力が拡大されている。
【0132】
核酸ベースの分子の使用は、組み合わせ療法(例えば異なる遺伝子を標的とする複数のアンチセンスまたは酵素的核酸分子、公知の小型分子状阻害剤と連結された核酸分子、または分子(異なるモチーフを含む)および/または他の化学的または生物学的分子の組み合わせによる間欠的治療)の可能性をもたらすことにより、疾患進行のより良い治療につながりうる。核酸分子による対象の治療には、異なるタイプの核酸分子の組み合わせも含みうる。
【0133】
別の態様において、核酸分子は、5’および/または3’−キャップ構造を含む。「キャップ構造」は、オリゴヌクレオチドのいずれかの末端に組み込まれている化学修飾をさす。これらの末端修飾は、核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞中の送達および/または局在化を助けうる。キャップは、5’−末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在し、または両末端に存在しうる。非限定的な例においては、5’−キャップは、逆方向無塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3−逆方向ヌクレオチド部分;3’−3−逆方向無塩基部分;3’−2−逆方向ヌクレオチド部分;3’−2−逆方向無塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸;3’−ホスホロアミデート;ヘキシルリン酸;アミノヘキシルリン酸;3’−リン酸;3’−ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または架橋または非架橋ホスホネート部分を含む。
【0134】
別の例においては、3’−キャップは、例えば、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸;1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸、3−アミノプロピルリン酸;6−アミノヘキシルリン酸;1,2−アミノドデシルリン酸;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5−無水ヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−逆転ヌクレオチド部分;5’−5’−逆転無塩基部分;5’−ホスホロアミダート;5’−ホスホロチオエート;1,4−ブタンジオールリン酸;5’−アミノ;架橋および/または非架橋5’−ホスホロアミダート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオアート、架橋または非架橋メチルホスホネート、および5’−メルカプト部分を含む。
【0135】
「ヌクレオチド」とは、リン酸化糖とのN−グリコシド結合における複素環式の窒素性塩基をいう。ヌクレオチドは、従来技術において、天然の塩基(標準)および当技術分野で公知の修飾塩基を含むものと認識される。このような塩基は一般に、ヌクレオチド糖部分の1’位にある。ヌクレオチドは一般に、塩基、糖およびリン酸基を含む。ヌクレオチドは、糖、リン酸および/または塩基部分で修飾され、または修飾されなくてよい(ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチド等とも互換可能に称される。核酸に導入されうる、化学修飾された、および他の天然の核酸塩基の、いくつかの非限定的な例には、例えばイノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、偽ウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えばリボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば5−ブロモウリジン)、または6−アザピリミジンまたは6−アルキルピリミジン(例えば6−メチルウリジン)、プロピン、キュエソシン(quesosine)、2−チオウリジン、4−チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4−アセチルチジン、5−(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5’−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ−D−ガラクトシルキオシン、1−メチルアデノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、3−メチルシチジン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メチルカルボニネチルウリジン(methylcarbonyhnethyluridine)、5−メチルオキシウリジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、ベータ−D−マンノシルキュエオシン、ウリジン−5−オキシ酢酸、2−チオシチジン、スレオニン誘導体等が含まれる。「修飾塩基」は、1’位のアデニン、グアニン、シトシンおよびウラシル以外のヌクレオチド塩基またはその等価物をさす。そのような塩基は、任意の位置、例えば酵素的核酸分子の触媒コア中および/または核酸分子の基質結合領域において、用いられうる。
【0136】
「ヌクレオシド」とは、糖とのN−グリコシド結合における複素環式の窒素性塩基をさす。ヌクレオシドは、従来技術において、天然の塩基(標準)および当技術分野で公知の修飾塩基を含むものと認識される。そのような塩基は一般に、ヌクレオシド糖残基の1’位にある。ヌクレオシドは一般に、塩基および糖基を含む。ヌクレオシドは、糖、および/または塩基部分で修飾され、または修飾されなくてよい(ヌクレオシド類似体、修飾ヌクレオシド、非天然ヌクレオシド、非標準ヌクレオシド等とも互換可能に称される)。
【0137】
一例においては、本開示は、一つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、モルホリノ、アミダートカルバメート、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール、および/またはアルキルシリル、置換を含むリン酸骨格修飾を伴う、修飾酵素的核酸分子を特徴とする。
【0138】
核酸(例えばアンチセンスおよびリボザイム)構造に対する様々な修飾が行われて、これらの分子の有用性が増強されうる。例えば、このような修飾は、貯蔵期限、in vitro半減期、安定性、および、例えば細胞膜浸透の増強、標的細胞を認識し結合する能力の付与を含む、このようなオリゴヌクレオチドの標的部位への導入の容易性を増強しうる。
【0139】
これらの分子の使用は、組み合わせ療法(例えば異なる遺伝子を標的とする複数の酵素的核酸分子、公知の小型分子状阻害剤と連結された酵素的核酸分子、または酵素的核酸分子(異なる酵素的核酸モチーフを含む)および/または他の化学的または生物学的分子の組み合わせによる間欠的治療)の可能性をもたらすことにより、疾患進行のより良い治療につながりうる。核酸分子による対象の治療には、異なるタイプの核酸分子の組み合わせも含みうる。疾患の症状を軽減するための、一つ以上の標的に対する酵素的核酸分子(異なる酵素的核酸分子のモチーフを含む)、アンチセンスおよび/または25Aキメラ分子の混合物を含む療法が、考案されうる。
【0140】
上記したように、本発明の一実施形態は、核酸が、脂肪親和性(または疎水性)部分に結合される、修飾核酸を含むミクロスフィアである。脂肪親和性部分に対するsiRNAの結合は、従来技術において周知であり(例えば、米国特許出願公開第20070298445号、第20070082845号、米国特許第5,138,045号、第5,218,105号および第5,459,255号、および米国特許出願公開第20070072904号を参照)、そのようにして結合されたsiRNAの結合特性が特徴づけされている。例えば、幾つかは高密度リポタンパク質粒子と連合する、コレステロール、ステアロイル、ドコサニル、オレイルリトコール酸、リトコール酸またはラウリン酸に対するsiRNA結合、ならびに、リポタンパク質に結合しないが、血清アルブミンと連合し、または結合していない形でとどまる、ラウロイル、ミリストイルおよびパルミトイルsiRNAの等、短または中鎖脂肪酸に結合されたsiRNAを説明する、Wolfram,等、Nature Biotechnology(2007)25:1149−1157(2007年9月16日オンライン公開)を参照。Wolfram等は、コレステロールがsiRNAをリポタンパク質粒子に結合するその能力においてユニークでないことも開示する。長鎖脂肪酸および胆汁酸等の他の高脂肪親和性の結合体も、リポタンパク質に対する結合および細胞へのsiRNA取込みの媒介において有効である。リポタンパク質粒子に対する脂肪酸結合siRNAの親和性を決定する重要な因子は、親油性の主な決定要素である、アルキル鎖の長さである。一連の脂肪酸siRNA結合体においては、ドコサニル(C22)およびステアロイル(C18)結合体が、HDLに対するより強力な結合を示し、in vivoで効率的に遺伝子発現を封じるが、ラウロイル(C12)およびミリストイル(C14)結合体および他の中および小鎖脂肪酸は、リポタンパク質粒子と弱い相互作用を有する。他の態様では、Skobridis等、ARKIVOC(2005)(vi)459−469が、脂肪親和性デンドリマー構築ブロックを説明し、それらをオリゴヌクレオチドに組み込んだ。
【0141】
米国特許出願公開第20060008822号および第20070275465号は、リガンドをdsRNAに結合させることにより、その細胞吸収を増強しうることを開示する。例えば、コレステロールが、様々なアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合されて、それらの非結合アナログと比較して実質的に活性の化合物を生じている。M.Manoharan Antisense & Nucleic Acid Drug Development 2002,12,103を参照。オリゴヌクレオチドに結合されている他の脂肪親和性化合物には、1−ピレン酪酸、1,3−ビス−O−ヘキサデシル)グリセロール、およびメントールが含まれる。出願は、他の脂肪親和性部分、例えばポリエチレングリコール化脂肪グリセリド、ポリエチレングリコール、完全または部分的に水素化された様々な植物油から得られるもの等の、飽和および単不飽和ポリエチレングリコール化脂肪酸グリセリド等を、さらに開示する。このような油類は、トリ−、ジ−およびモノ−脂肪酸グリセリドおよび対応する脂肪酸のジ−およびモノ−ポリエチレングリコールエステルからなるのが好都合であり、特に好ましい脂肪酸組成には、カプリン酸4−10、カプリン酸3−9、ラウリン酸40−50、ミリスチン酸14−24、パルミチン酸4−14およびステアリン酸5−15%が含まれる。さらに他の有用な部分は、部分エステル化ソルビタンおよび/またはソルビトールと、飽和または単不飽和脂肪酸(SPAN−series)または対応するエトキシル化アナログ(TWEEN−series)、ならびに市販の部分、例えばGelucire−series、Labrafil、Labrasol、またはLauroglycol(いずれもGattefosse Corporation,Saint Priest,Franceにより製造販売される)、PEG−モノ−オレイン酸、PEG−ジ−オレイン酸、PEG−モノ−ラウリン酸およびジ−ラウリン酸、Lecithin、Polysorbate80等(USAおよび世界中の多数の会社により製造販売される)を含むものと説明される。
【0142】
米国特許出願公開第20050186591号、第20050288244号、第20070213292号、第20070275914号、第20060035254号および第20070161595号は、コレステロール、脂質、オレイル、レチニル、コレステロール残基、コール酸、アダマンタン酢酸、1−ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3−Bis−O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3−プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3−(オレオイル)リトコール酸、O3−(オレオイル)コレン酸、ジメトキシトリチルまたはフェノキサジンを含むものとして、脂肪親和性部分を記載する。
【0143】
米国特許出願公開第20060008822号は、コレステロールが、様々なアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合されて、それらの非結合アナログと比較して実質的に活性の化合物をもたらしていることを開示する。M.Manoharan Antisense & Nucleic Acid Drug Development 2002,12,103を参照。オリゴヌクレオチドに結合されている他の脂肪親和性化合物には、1−ピレン酪酸、1,3−ビス−O−(ヘキサデシル)グリセロール、およびメントールが含まれる。
【0144】
米国特許出願公開第20080039415号、第20070004667号および第20080039414号は、飽和または不飽和の直鎖、分枝鎖、または環式アルキル基、コレステロール、またはその誘導体を含むものとして、追加的な親油基を開示する。さらに他の脂肪親和性部分には、脂肪酸およびその誘導体が含まれ、これには直鎖、分枝鎖、飽和および不飽和脂肪酸、カロチノイド、テルペン、胆汁酸、およびステロイドが含まれ、これには、コレステロール、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンA、葉酸、カチオン染料、例えばCy3、およびその誘導体またはアナログが含まれる。
【0145】
米国特許出願公開第20070026079号は、鼻粘液への化合物の送達を増強でき、脂肪酸(例えばパルミチン酸)、ガングリオシド(例えばGM−I)、ホスホリピド(例えばホスファチジルセリン)、および乳化剤(例えばポリソルベート80)、デオキシコール酸ナトリウム等の胆汁酸塩、および、例えばTween(商標)等のポリソルベート80、Triton(商標)X−100等のオクトキシノール、およびナトリウムタウロ−24,25−ジヒドロフシデート(STDHF)を含む界面活性剤様物質を含む、親油性物質を開示する。
【0146】
本発明の他の様々な態様およびこれらの態様を作製する方法が、米国特許出願公開第20040198640号、第20070173476号、第20050107325号、第20050119214号、第20040110296号、第20040249178号、第20050058982号、第20040171033号、および第20050119470号に記載される。
【0147】
上記の各特許および出願公開の開示は、その中に記載される脂肪親和性部分および核酸に対する脂肪親和性部分の付着に関して、参照により本明細書に組み込まれる。
【0148】
C.微小粒子を作る方法
一例においては、非ポリマーカチオン水溶液と核酸水溶液を混合し、核酸の溶解性を減少させて微小粒子を形成することにより、微小粒子が形成される。別の例においては、核酸および非ポリマーカチオンに加えて、反応溶液は、一つ以上の水性または水混和性非イオン性ポリマーをさらに含む。一般に、このようなプロセスは、材料(例えば核酸、非ポリマーカチオンおよび非イオン性ポリマー)を、例えば、様々な溶液を十分な温度(例えば37℃〜95℃の範囲)に十分な時間(例えば1分〜24時間)加熱することにより、可溶化するステップを伴う。本明細書で使用されるところの、「水溶液」は、溶媒としての水またはバッファー単独、または、エタノール、DMSO、アセトン、N−メチルピロリドンおよび2−ピロリドン等の一つ以上の水混和性溶媒と混合された水またはバッファーの溶液をさすが、好ましい水溶液は、検出可能な有機溶媒を含まない。
【0149】
本開示は、産生方法および使用方法、および限定されるものではないがアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはsiRNA分子等の核酸の微小粒子の組成物に関する。産生方法によれば、核酸(例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA分子またはその二つ以上の組み合わせ)が、一つ以上の可溶化非ポリマーカチオンと一つ以上の可溶化非イオン性ポリマーを含む単相反応溶液において可溶化される。溶媒は、水性または水混和性溶媒(例えば水、バッファー)である。そして、反応溶液が、活性薬剤の相転移温度より下に冷却され(凍結を伴わずに)、これにより、核酸分子および非ポリマーカチオンが、ともに液−固相分離を経て、可溶化非イオン性ポリマーと核酸微小粒子に組み込まれない他成分とを含む連続相に懸濁された分散相を構成する球状微小粒子を形成する。
【0150】
連続相:核酸の微小粒子を調製する本開示の方法は、一つ以上の核酸、一つ以上の非ポリマーカチオン、および一つ以上の非イオン性ポリマーがいずれも単一の連続相において実質的に可溶化される、反応混合物を提供するステップで始まる。反応混合物の単一の連続相は、水溶媒と、選択的に、水混和性有機溶媒または水混和性有機溶媒の混合物またはその組み合わせを含む、水溶液である。水溶媒は、水、塩溶液(例えば通常の生食水)、緩衝溶液、緩衝食塩水等でありうる。
【0151】
適切な水混和性有機溶媒は、Nメチル−2−ピロリドン(Nメチル−2−ピロリドン)、2−ピロリドン(2−ピロリドン)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、酢酸、乳酸、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、3−ペンタノール、n−プロパノール、ベンジルアルコール、グリセロール、テトラヒドロフラン(THF)、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG−4、PEG−8、PEG−9、PEG−12、PEG−14、PEG−16、PEG−120、PEG−75、PEG−150、ポリエチレングリコールエステル、PEG−4ジラウレート、PEG−20ジラウレート、PEG−6イソステアレート、PEG−8パルミトステアレート、PEG−150パルミトステアレート、ポリエチレングリコールソルビタン、PEG−20ソルビタンイソステアレート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、PEG−3ジメチルエーテル、PEG−4ジメチルエーテル、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリプロピレンアルギナート、PPG−10ブタンジオール、PPG−10メチルグルコースエーテル、PPG−20メチルグルコースエーテル、PPG−15ステアリルエーテル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、プロピレングリコールラウレート、およびグリコフロール(テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル)、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンまたはその組み合わせを含むアルカンを含むがこれに限定されない。
【0152】
単一の連続相(すなわち反応溶液)は、核酸、非ポリマーカチオンの塩類または水酸化物、および非イオン性ポリマーを、任意の適切な順序で(例えば一度に、または順番に)単一の水溶媒に溶解することにより、または、同じまたは異なる水性溶媒中のこれらの成分の一つまたは二つの別々の溶液を提供してから、これらの別々の溶液を任意の適切な順序で(例えば一度に、または順番に)合わせることにより、調製されうる。温度の上昇(例えば加熱)、圧力の減少、および/またはpHの調節等、様々な成分の溶媒化を促進する物理的手段が、成分が悪影響(例えば核酸活性の減少、分子の劣化または分解または架橋)を受けないという条件で、反応溶液および/または別個の溶液の形成において選択的に行使される。一例においては、核酸溶液がまず、非イオン性ポリマー溶液と合わせられてから、その混合物が、非ポリマーカチオン溶液と合わせられる。別の例では、非ポリマーカチオン溶液がまず、非イオン性ポリマー溶液と合わせられてから、その混合物が、核酸溶液と合わせられる。別の例では、核酸溶液がまず、非ポリマーカチオン溶液と合わせられてから、その混合物が、非イオン性ポリマー溶液と合わせられる。別の例では、様々な成分の濃縮ストック溶液が別々に調製され、ストック溶液のアリコートが適切な希釈剤と共に使用されて、反応溶液が提供される。別々の溶液の組み合わせから生じた反応混合物は、明らかに、相分離が見られない(例えばかすみ、乳状色、曇り、沈殿、結晶化、エマルション、油−水分離)単相の溶液、または一定の相分離を有する分散である。別の例では、反応混合物が平衡に達するのを許容するために十分なインキュベーション時間(例えば1時間以下等、数分〜数時間)を選択的に行った後に、別々の溶液が通常の操作条件下で(例えば周囲温度で、大気圧下で、連続的な振動を伴って、または伴わずに)組み合わせられると、明らかに透明な反応溶液が形成される。選択的インキュベーションは、別々の溶液が合わせられるときと同じ条件等の、通常の操作条件下で行われうる。別の例では、分散としての反応混合物が、例えば所定の別の温度への加熱または冷却、ならびに希釈等の他の溶解手段等、一つ以上の手段により、明らかに透明になる。反応混合物が、微小粒子の形成前に明らかに透明である必要はないが、明らかに透明な反応混合物は、後に形成される微小粒子の特性(例えば粒径分布、空気力学的および幾何学的粒径、粒子形態、粒子均一性)の、より大きな程度の制御を可能とする。別の例では、別々の溶液が、共通の所定温度または異なる所定温度で予熱され、任意の適切な順序で合わせられ(選択的に予熱温度で)、合わせた後に、予熱温度より高い、または低い別の温度に、選択的に加熱または冷却される。
【0153】
非イオン性ポリマー。本開示の非イオン性ポリマーは、反応溶液からの核酸の液−固相分離を増強および/または誘導する働きをし、核酸分子は、非ポリマーカチオンと凝集して、固体または半固体になり、非イオン性ポリマーが溶解されてとどまる水溶媒に懸濁可能に分散した不連続相として微小粒子を形成する。非イオン性ポリマーは、反応溶液が相分離条件にされたときに、核酸の溶解性を減少させる。好適な非イオン性ポリマーには、反応溶液の水および/または水溶媒に可溶性または混和性のポリマーまたはポリマーの混合物が含まれるがこれに限定されない。好適な非イオン性ポリマーの例には、直鎖または分枝鎖非イオン性ポリマーが含まれる。
【0154】
水溶性および/または水混和性の非イオン性ポリマーには、単独またはその二つ以上の組み合わせ(例えば任意の二つのポリマー間の重量比1:1〜99:1の範囲)で使用される、炭水化物ベースの非イオン性ポリマー、非イオン性両親媒性ポリマー、非イオン性ポリ脂肪族アルコール類、非イオン性ポリ(ビニル)ポリマー、非イオン性ポリエステル(例えば非イオン性ポリアクリル酸、非イオン性ポリ有機酸)、非イオン性ポリアミノ酸、非イオン性コポリマーおよび非イオン性ブロックコポリマー(例えばPluronics F127またはF68等のポロクサマー)、非イオン性ターポリマー、非イオン性ポリエーテル、天然に存在する非イオン性ポリマー、非イオン性ポリイミド、非イオン性シクロ−ポリマーおよび非イオン性ポリアルデヒドが含まれる。
【0155】
好ましい非イオン性ポリマーは、核酸微小粒子の意図された投与経路の医薬品添加物として許容可能なものである。これらには、PEG3350、PEG8000、PEG10000、PEG20000等、1kD〜1,000kDの分子量のポリエチレングリコール(PEG)、Pluronics F127またはPluronics F68、ポリビニルピロリドン(PVP)等、1kD以上の分子量のポロクサマー、およびその組み合わせ(例えば、PEGおよびPVPの1:1混合物)が含まれる。
【0156】
液−固相分離。反応溶液中の核酸の液−固相分離は、温度変更、圧力変更、pH変更、溶液のイオン強度の変更、その中の一つ以上の溶質の濃度の変更、溶液のモル浸透圧濃度の変更、これらの組み合わせ等、公知技術の任意の方法により誘導されうる。
【0157】
本開示の一例においては、相転移は、反応溶液全体を凍結することなく、反応溶液の温度を、反応溶液において可溶化される核酸の相転移温度未満に下げることにより達成される、温度誘導性相変化である。
【0158】
冷却プロセスにおいては、所望の大きさおよび形の微小粒子を得るために、冷却速度が制御される。例えば、他が全て等しい場合に、冷却速度が、微小粒子の幾何学的大きさと逆相関すると考えられることが分かった。すなわち、速度が遅いほど大きな微小粒子が形成され、速度が速いほど小さな微小粒子が形成されると考えられる。肺内等の湿潤または水性の標的位置への送達では、冷却速度は、0.01℃/分またはそれより速く、例えば、以下の値以上であり、またはかかる値のいずれか二つの間の範囲である:0.05℃/分、0.1℃/分、0.5℃/分、1℃/分、3℃/分、5℃/分、10℃/分、20℃/分、50℃/分、100℃/分、200℃/分、500℃/分、600℃/分。温度変化の速度は、一定または線形の速度、非線形の速度、断続的、またはプログラムされた速度(複数の相サイクルを有する)でありうる。
【0159】
核酸微小粒子は、後述するように、洗浄により反応溶液から分離されうる。
【0160】
本開示は、溶質(例えば核酸、非ポリマーカチオン、非イオン性ポリマー)の濃度、温度、圧力、pH、イオン強度、モル浸透圧濃度等、または反応溶液のこれらのパラメータの任意の組み合わせを調節することで、非イオン性ポリマーおよび溶媒が相転移しない一方で核酸分子が溶媒和状態から凝集した固体状態に移る相転移を制御(誘導または終了)または調節(例えば増強、促進、抑制)することを予定する。凝固点が比較的高い、または凝固点が相転移温度を上回る反応溶液では、反応溶液の凝固点を低下させて、反応溶液を凍結することなく核酸の相転移を可能とするため、反応溶液は、プロピレングリコール、スクロース、エチレングリコール、アルコール(例えばエタノール、メタノール)等の一つ以上の凝固点低下薬剤、または凝固点低下薬剤の混合物を含みうる。プロセスは、反応溶液の温度が、その凝固点下に下げられるようにも行われうる。
【0161】
微小粒子の分離および洗浄。本開示の一例においては、反応溶液中に懸濁して分散された、新たに形成された核酸微小粒子を含む分散は、それ自体で最終用途に適する。別の例では、核酸微小粒子が、それらを反応溶液から分離することにより採取される。さらに別の例では、分離の方法は、核酸微小粒子を濃縮するステップと、微小粒子に組み込まれない成分(例えば非イオン性ポリマー、余剰試薬)が可溶である非溶媒液体媒質でそれらを洗浄するステップを伴う。微小粒子を濃縮する非限定的な方法には、遠心分離、透析、およびダイアフィルトレーションが含まれる。洗浄の非限定的な方法には、ダイアフィルトレーション、透析、遠心洗浄が含まれる。液体洗浄媒質は、水溶媒質または有機溶媒でありうる。水溶解度の低い微小粒子では、液体洗浄媒質は、水溶媒質、または本明細書に開示の非ポリマーカチオン(例えば二価カチオン)等の微小粒子の水溶解度を減少させる薬剤を含む水溶媒質でありうる。水溶解度の高い活性薬剤では、硫酸アンモニウム等の一つ以上の溶解性減少剤を含む有機溶媒または水性溶媒が使用されうる。
【0162】
液体洗浄媒質としての用途の適切な有機溶媒の例には、連続相のために適切なものとして上に指定された有機溶媒、より好ましくは、メチレンクロリド、クロロホルム、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ペンタン等が含まれる。
【0163】
これらの溶媒のいずれかの混合物の、洗浄媒質としての使用も予定される。一つの好ましいブレンドは、メチレンクロリドまたはメチレンクロリドおよびアセトンの1:1混合物である。液体媒質が、例えば凍結乾燥、蒸発または乾燥等による除去の簡単のため、低い沸点を有することが好ましい。
【0164】
液体洗浄媒質は、液体炭酸等の超臨界溶液または超臨界点付近の流体でもありうる。超臨界溶液は、非イオン性ポリマーの適切な溶媒でありうるが、核酸微小粒子には非溶媒である。超臨界溶液は、それ自体で、または共溶媒とともに使用できる。以下の超臨界溶液が使用できる:液体CO
2、エタン、またはキセノン。共溶媒候補は、アセトニトリル、ジクロロメタン、エタノール、メタノール、水、または2−プロパノールでありうる。
【0165】
液体洗浄媒質は、微小粒子のための一つ以上の溶解性減少剤をさらに含みうる。微小粒子の収率を最大化するために、微小粒子の液体洗浄媒質中の溶解性が最小限となることが最も望ましい。本開示の核酸微小粒子では、溶解性減少剤は、本明細書に開示の任意の非ポリマーカチオンであればよく、Zn
2+、Ca
2+、Ba
2+、Mg
2+、Cu
2+、Fe
2+、Fe
3+等が含まれるがこれに限定されない。
【0166】
液体洗浄媒質は、微小粒子の、および/またはその中の核酸分子の安定性の増加、微小粒子からの核酸の放出制御、または核酸の前述の生体組織および細胞との相互作用(例えば浸透)の改変等の追加的な特性を、核酸または微小粒子に取り込みうる、一つ以上の添加物も含みうる。
【0167】
水性ベースのプロセス。別の例では、反応溶液は、水性または水混和性溶媒を含む水溶液系のものである。適切な水混和性溶媒の例には、連続相につき上記したものが含まれるがこれに限定されない。水性ベースのプロセスを使用する一つの利点は、溶液が緩衝されうること、および例えば核酸分子を保護するために生化学的安定化を提供する、添加物を含みうることである。
【0168】
以下の表は、カルシウムカチオンが例示的な非ポリマーカチオンとして使用される、例示的な核酸微小粒子製剤をリストする。反応溶液中の対応する最終塩(非ポリマーカチオンの)濃度、[核酸]:[非ポリマーカチオン]のモル比、微小粒子の平均直径、微小粒子の10%のカットオフ直径(すなわち微小粒子の10%がこの値以下の直径を有し、微小粒子の90%がこの値より大きい直径を有する)、微小粒子の50%のカットオフ直径、および微小粒子の95%のカットオフ直径もリストされる。:
【0169】
【表1】
上記のデータから、0.333Mおよび0.667Mのカルシウム塩濃度から、同様の大きさの微小粒子が生じ、1Mおよび1.25Mの塩濃度から比較的小さな微小粒子が生じることが分かった。これらおよび関連データは、後で詳細される。これらのデータは、Ca
2+等の非ポリマーカチオンの使用により、肺送達用に制御可能なサイズ範囲で容易に調製されうる核酸微小粒子の形成が可能となることを示す。
【0170】
脂肪親和性部分を含むように修飾された核酸を含むミクロスフィアを含む、本発明の具体的実施形態においては、一つ以上の修飾核酸の水溶液と一つ以上のポリマーの溶液および一つ以上のカチオンとの混合物を、加熱を伴ってインキュベートするステップと、混合物を冷却してミクロスフィアを形成するステップを含む、そのようなミクロスフィアを作製する方法が提供される。様々な態様においては、水溶液中に修飾核酸を溶解する第一ステップと、ポリマー/カチオン溶液を調製するステップと、修飾核酸溶液とポリマー/カチオン溶液とを混合するステップと、修飾核酸、ポリマーおよびカチオンの混合物を、高温で指定時間インキュベートするステップと、指定速度で混合物を冷却して、ミクロスフィアを形成するステップを含む方法。ある態様においては、得られるミクロスフィアは固体、球状および/または単分散であり、または、実質的に固体、球状、および/または単分散している。
【0171】
提供される方法の様々な態様においては、ミクロスフィアの生産において利用されるポリマーは、直鎖ポリマー(例えばポリエチレングリコール、ポリリジン、デキストラン等)、分枝鎖ポリマー(例えば、1981年9月15日発行の、Denkenwalter等に対する米国特許第4,289,872号;1993年7月20日に発行の、Tam等に対する米国特許第5,229,490号;1993年10月28日公開の、Frechet等による国際公開第93/21259号を参照);脂質;コレステロール基(ステロイド等);または炭水化物またはオリゴ糖の一つ以上である。他の可能な担体には、米国特許第4,640,835号、第4,496,689号、第4,301,144号、第4,670,417号、第4,791,192号および第4,179,337号に記載されるポリオキシエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール等の一つ以上の水溶性ポリマー結合が含まれる。公知技術のさらに他の有用なポリマーには、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物ベースのポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えばグリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびにこれらのポリマーの混合物および本明細書に記載の他のポリマーが含まれる。提供される方法における「一つ以上の」ポリマーの使用は、方法にポリマーの混合物が含まれうることを示すことが意図される。
【0172】
様々な態様においては、方法で使用される、修飾核酸と組み合わせられた、ポリマーまたはポリマーの組み合わせの最終濃度は、約5%重量/体積(w/v)、5.1%w/v、5.2%w/v、5.3%w/v、5.4%w/v、5.5%w/v、5.6%w/v、5.7%w/v、5.8%w/v、5.9%w/v、6%w/v、6.1%w/v、6.2%w/v、6.3%w/v、6.4%w/v、6.5%w/v、6.6%w/v、6.7%w/v、6.8%w/v、6.9%w/v、7%w/v、7.1%w/v、7.2%w/v、7.3%w/v、7.4%w/v、7.5%w/v、7.6%w/v、7.7%w/v、7.8%w/v、7.9%w/v、8%w/v、8.1%w/v、8.2%w/v、8.3%w/v、8.4%w/v、8.5%w/v、8.6%w/v、8.7%w/v、8.8%w/v、8.9%w/v、9%w/v、9.1%w/v、9.2%w/v、9.3%w/v、9.4%w/v、9.5%w/v、9.6%w/v、9.7%w/v、9.8%w/v、9.9%w/v、10%w/v、10.1%w/v、10.2%w/v、10.3%w/v、10.4%w/v、10.5%w/v、10.6%w/v、10.7%w/v、10.8%w/v、10.9%w/v、11%w/v、11.1%w/v、11.2%w/v、11.3%w/v、11.4%w/v、11.5%w/v、11.6%w/v、11.7%w/v、11.8%w/v、11.9%w/v、12%w/v、12.1%w/v、12.2%w/v、12.3%w/v、12.4%w/v、12.5%w/v、12.6%w/v、12.7%w/v、12.8%w/v、12.9%w/v、13%w/v、13.1%w/v、13.2%w/v、13.3%w/v、13.4%w/v、13.5%w/v、13.6%w/v、13.7%w/v、13.8%w/v、13.9%w/v、14%w/v、14.1%w/v、14.2%w/v、14.3%w/v、14.4%w/v、14.5%w/v、14.6%w/v、14.7%w/v、14.8%w/v、14.9%w/v、15%w/v、15.1%w/v、15.2%w/v、15.3%w/v、15.4%w/v、15.5%w/v、15.6%w/v、15.7%w/v、15.8%w/v、15.9%w/v、16%w/v、16.1%w/v、16.2%w/v、16.3%w/v、16.4%w/v、16.5%w/v、16.6%w/v、16.7%w/v、16.8%w/v、16.9%w/v、17%w/v、17.1%w/v、17.2%w/v、17.3%w/v、17.4%w/v、17.5%w/v、17.6%w/v、17.7%w/v、17.8%w/v、17.9%w/v、18%w/v、18.1%w/v、18.2%w/v、18.3%w/v、18.4%w/v、18.5%w/v、18.6%w/v、18.7%w/v、18.8%w/v、18.9%w/v、19%w/v、19.1%w/v、19.2%w/v、19.3%w/v、19.4%w/v、19.5%w/v、19.6%w/v、19.7%w/v、19.8%w/v、19.9%w/v、20%w/v、20.1%w/v、20.2%w/v、20.3%w/v、20.4%w/v、20.5%w/v、20.6%w/v、20.7%w/v、20.8%w/v、20.9%w/v、21%w/v、21.1%w/v、21.2%w/v、21.3%w/v、21.4%w/v、21.5%w/v、21.6%w/v、21.7%w/v、21.8%w/v、21.9%w/v、22%w/v、22.1%w/v、22.2%w/v、22.3%w/v、22.4%w/v、22.5%w/v、22.6%w/v、22.7%w/v、22.8%w/v、22.9%w/v、23%w/v、23.1%w/v、23.2%w/v、23.3%w/v、23.4%w/v、23.5%w/v、23.6%w/v、23.7%w/v、23.8%w/v、23.9%w/v、24%w/v、24.1%w/v、24.2%w/v、24.3%w/v、24.4%w/v、24.5%w/v、24.6%w/v、24.7%w/v、24.8%w/v、24.9%w/v、25%w/v、25.1%w/v、25.2%w/v、25.3%w/v、25.4%w/v、25.5%w/v、25.6%w/v、25.7%w/v、25.8%w/v、25.9%w/v、26%w/v、26.1%w/v、26.2%w/v、26.3%w/v、26.4%w/v、26.5%w/v、26.6%w/v、26.7%w/v、26.8%w/v、26.9%w/v、27%w/v、27.1%w/v、27.2%w/v、27.3%w/v、27.4%w/v、27.5%w/v、27.6%w/v、27.7%w/v、27.8%w/v、27.9%w/v、28%w/v、28.1%w/v、28.2%w/v、28.3%w/v、28.4%w/v、28.5%w/v、28.6%w/v、28.7%w/v、28.8%w/v、28.9%w/v、29%w/v、29.1%w/v、29.2%w/v、29.3%w/v、29.4%w/v、29.5%w/v、29.6%w/v、29.7%w/v、29.8%w/v、29.9%w/v、30%w/v、30.1%w/v、30.2%w/v、30.3%w/v、30.4%w/v、30.5%w/v、30.6%w/v、30.7%w/v、30.8%w/v、30.9%w/v、31%w/v、31.1%w/v、31.2%w/v、31.3%w/v、31.4%w/v、31.5%w/v、31.6%w/v、31.7%w/v、31.8%w/v、31.9%w/v、32%w/v、32.1%w/v、32.2%w/v、32.3%w/v、32.4%w/v、32.5%w/v、32.6%w/v、32.7%w/v、32.8%w/v、32.9%w/v、33%w/v、33.1%w/v、33.2%w/v、33.3%w/v、33.4%w/v、33.5%w/v、33.6%w/v、33.7%w/v、33.8%w/v、33.9%w/v、34%w/v、34.1%w/v、34.2%w/v、34.3%w/v、34.4%w/v、34.5%w/v、34.6%w/v、34.7%w/v、34.8%w/v、34.9%w/v、35%w/v、またはそれ以上である。
【0173】
修飾核酸上に含まれるミクロスフィアを調製する方法においては、利用されるカチオンは、一態様では、本明細書に記載および/または従来技術で周知の多価カチオンであり、方法において、多価カチオンが、約1:1、2:1、3:1、4:1;5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1;11:1、12:1、13:1、14:1;15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1;21:1、22:1、23:1、24:1;25:1、26:1、27:1、28:1、29:1、30:1;31:1、32:1、33:1、34:1;35:1、36:1、37:1、38:1、39:1、40:1;41:1、42:1、43:1、44:1;45:1、46:1、47:1、48:1、49:1、50:1;51:1、52:1、53:1、54:1;55:1、56:1、57:1、58:1、59:1、60:1;61:1、62:1、63:1、64:1;65:1、66:1、67:1、68:1、69:1、70:1;71:1、72:1、73:1、74:1;75:1、76:1、77:1、78:1、79:1、80:1;81:1、82:1、83:1、84:1;85:1、86:1、87:1、88:1、89:1、90:1;91:1、92:1、93:1、94:1;95:1、96:1、97:1、98:1、99:1、100:1;101:1、102:1、103:1、104:1;105:1、106:1、107:1、108:1、109:1、110;110:1;111:1、112:1、113:1、114:1;115:1、116:1、117:1、118:119:1、120:1;121:1、122:1、123:1、124:1;125:1、126:1、127:1、128:1、129:1、130:1;131:1、132:1、133:1、134:1;135:1、136:1、137:1、138:1、139:1、140:1;141:1、142:1、143:1、144:1;145:1、146:1、147:1、148:1、149:1、150:1;151:1、152:1、153:1、154:1;155:1、156:1、157:1、158:1、159:1、160:1;161:1、162:1、163:1、164:1;165:1、166:1、167:1、168:1、169:1、170:1;171:1、172:1、173:1、174:1;175:1、176:1、177:1、178:1、179:1、180:1;181:1、182:1、183:1、184:1;185:1、186:1、187:1、188:1、189:1、190:1;191:1、192:1、193:1、194:1;195:1、196:1、197:1、198:1、199:1、200:1;201:1、202:1、203:1、204:1;205:1、206:1、207:1、208:1、209:1、210:1;211:1、212:1、213:1、214:1;215:1、216:1、217:1、218:1、219:1、220:1;221:1、222:1、223:1、224:1;225:1、226:1、227:1、228:1、229:1、230:1;231:1、232:1、233:1、234:1;235:1、236:1、237:1、238:1、239:1、240:1;241:1、242:1、243:1、244:1;245:1、246:1、247:1、248:1、249:1、250:1;251:1、252:1、253:1、254:1;255:1、256:1、257:1、258:1、259:1、260:1;261:1、262:1、263:1、264:1;265:1、266:1、267:1、268:1、269:1、270:1;271:1、272:1、273:1、274:1;275:1、276:1、277:1、278:1、279:1、280:1;281:1、282:1、283:1、284:1;285:1、286:1、287:1、288:1、289:1、290:1;291:1、292:1、293:1、294:1;295:1、296:1、297:1、298:1、299:1、300:1;301:1、302:1、303:1、304:1;305:1、306:1、307:1、308:1、309:1、310:1;311:1、312:1、313:1、314:1;315:1、316:1、317:1、318:1、319:1、320:1;321:1、322:1、323:1、324:1;325:1、326:1、327:1、328:1、329:1、330:1;331:1、332:1、333:1、334:1;335:1、336:1、337:1、338:1、339:1、340:1;341:1、342:1、343:1、344:1;345:1、346:1、347:1、348:1、349:1、350:1;351:1、352:1、353:1、354:1;355:1、356:1、357:1、358:1、359:1、360:1;361:1、362:1、363:1、364:1;365:1、366:1、367:1、368:1、369:1、370:1;371:1、372:1、373:1、374:1;375:1、376:1、377:1、378:1、379:1、380:1;381:1、382:1、383:1、384:1;385:1、386:1、387:1、388:1、389:1、390:1;391:1、392:1、393:1、394:1;395:1、396:1、397:1、398:1、399:1、400:1;401:1、402:1、403:1、404:1;405:1、406:1、407:1、408:1、409:1、410:1;411:1、412:1、413:1、414:1;415:1、416:1、417:1、418:1、419:1、420:1;421:1、422:1、423:1、424:1;425:1、426:1、427:1、428:1、429:1、430:1;431:1、432:1、433:1、434:1;435:1、436:1、437:1、438:1、439:1、440:1;441:1、442:1、443:1、444:1;445:1、446:1、447:1、448:1、449:1、450:1;451:1、452:1、453:1、454:1;455:1、456:1、457:1、458:1、459:1、460:1;461:1、462:1、463:1、464:1;465:1、466:1、467:1、468:1、469:1、470:1;471:1、472:1、473:1、474:1;475:1、476:1、477:1、478:1、479:1、480:1;481:1、482:1、483:1、484:1;485:1、486:1、487:1、488:1、489:1、490:1;491:1、492:1、493:1、494:1;495:1、496:1、497:1、498:1、499:1、500:1、1;550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1;850:1、900:1、950:1、1000:1;1100:1、1200:1、1300:1、1400:1、1500:1、1600:1;1700:1、1800:1、1900:1、2000:1;2100:1、2200:1、2300:1、2400:1、2500:1、2600:1;2700:1、2800:1、2900:1、3000:1;3100:1、3200:1、3300:1、3400:1、3500:1、3600:1;3700:1、3800:1、3900:1、4000:1;4100:1、4200:1、4300:1、4400:1、4500:1、4600:1;4700:1、4800:1、4900:1、5000:1;5100:1、5200:1、5300:1、5400:1、5500:1、5600:1;5700:1、5800:1、5900:1、6000:1;6100:1、6200:1、6300:1、6400:1、6500:1、6600:1;6700:1、6800:1、6900:1、7000:1;7100:1、7200:1、7300:1、7400:1、7500:1、7600:1;7700:1、7800:1、7900:1、8000:1;8100:1、8200:1、8300:1、8400:1、8500:1、8600:1;8700:1、8800:1、8900:1、9000:1;9100:1、9200:1、9300:1、9400:1、9500:1、9600:1;9700:1、9800:1、9900:1、10000:1;またはそれ以上のカチオン:核酸のモル比で、修飾核酸(単数または複数)と混合される。
【0174】
ポリカチオン、水溶性ポリマーおよび核酸の混合物中のポリカチオン濃度約5mM〜1M超、または約10mM〜約20mM、〜約25nM、または〜約35mM。ならびにこれらの範囲内の全ての濃度。より詳しくは、最終ポリカチオン濃度は、約5mM、約10mM、約15mM約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80、約85mM、約90mM、約95mM、約100mM、105mM、約110mM、約115mM約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140、約145mM、約150mM、約155mM約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180、約185mM、約190mM、約195mM約200mM、205mM、約210mM、約215mM約220mM、約225mM、約230mM、約235mM、約240、約245mM、約250mM、約255mM約260mM、約265mM、約270mM、約275mM、約280、約285mM、約290mM、約295mM約300mM、約305mM、約310mM、約315mM約320mM、約325mM、約330mM、約335mM、約340、約345mM、約350mM、約355mM約360mM、約365mM、約370mM、約375mM、約380、約385mM、約390mM、約395mM、約400mM、約405mM、約410mM、約415mM約420mM、約425mM、約430mM、約435mM、約440、約445mM、約450mM、約455mM、約460mM、約465mM、約470mM、約475mM、約480、約485mM、約490mM、約495mM、約500mM、505mM、約510mM、約515mM約520mM、約525mM、約530mM、約535mM、約540、約545mM、約550mM、約555mM、約560mM、約565mM、約570mM、約575mM、約580、約585mM、約590mM、約595mM、約600mM、605mM、約610mM、約615mM約620mM、約625mM、約630mM、約635mM、約640、約645mM、約650mM、約655mM約660mM、約665mM、約670mM、約675mM、約680、約685mM、約690mM、約695mM、約700mM、約705mM、約710mM、約715mM約720mM、約725mM、約730mM、約735mM、約740、約745mM、約750mM、約755mM約760mM、約765mM、約770mM、約775mM、約780、約785mM、約790mM、約795mM、約800mM、約805mM、約810mM、約815mM約820mM、約825mM、約830mM、約835mM、約840、約845mM、約850mM、約855mM約860mM、約865mM、約870mM、約875mM、約880、約885mM、約890mM、約895mM、約900mM、約905mM、約910mM、約915mM約920mM、約925mM、約930mM、約935mM、約940、約945mM、約950mM、約955mM約960mM、約965mM、約970mM、約975mM、約980、約985mM、約990mM、約995mM、約1M、約1.1M、約1.2M、約1.3M、約1.4M、約1.5M、約1.6M、約1.7M、約1.8M、約1.9M、約2.0M、約2.1M、約2.2M、約2.3M、約2.4M、約2.5M、約2.6M、約2.7M、約2.8M、約2.9M、約3.0Mまたは3M以上でありうる。
【0175】
修飾核酸を含むミクロスフィアを調製する方法においては、核酸核酸水溶液およびポリマー/カチオン溶液のインキュベーションは、約20℃、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、80℃、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、100℃、またはそれ以上で実行される。このインキュベーションステップは、約1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、11分、12分、13分、14分、15分、16分、17分、18分、19分、20分、21分、22分、23分、24分、25分、26分、27分、28分、29分、30分、またはそれより長い間行われる。インキュベーションステップの完了後、混合物が、約−10℃より低い最終温度に、約−10℃に、約−9℃に、約−8℃に、約−7℃に、約−6℃に、約−5℃に、約−4℃に、約−3℃に、約−2℃に、約−1℃に、約0に、約1℃に、約2℃に、約3℃に、約4℃に、約5℃に、約6℃に、約7℃に、約8℃に、約9℃に、約10℃に、またはそれより高い温度に冷却され、冷却ステップは、およその温度低下速度約0.1℃/分未満で、最大0.1℃/分、0.11℃/分;0.12℃/分、0.13℃/分、0.14℃/分、0.15℃/分、0.16℃/分;0.17℃/分、0.18℃/分、0.19℃/分、0.2℃/分、0.21℃/分;0.22℃/分、0.23℃/分、0.24℃/分、0.25℃/分、0.26℃/分;0.27℃/分、0.28℃/分、0.29℃/分、0.3℃/分、0.31℃/分;0.32℃/分、0.33℃/分、0.34℃/分、0.35℃/分、0.36℃/分;0.37℃/分、0.38℃/分、0.39℃/分、0.40℃/分、0.41℃/分;0.42℃/分、0.43℃/分、0.44℃/分、0.45℃/分、0.46℃/分;0.47℃/分、0.48℃/分、0.49℃/分、0.50℃/分、0.51℃/分;0.52℃/分、0.53℃/分、0.54℃/分、0.45℃/分、0.56℃/分;0.57℃/分、0.58℃/分、0.59℃/分、0.60℃/分、0.61℃/分;0.62℃/分、0.63℃/分、0.64℃/分、0.65℃/分、0.66℃/分;0.67℃/分、0.68℃/分、0.69℃/分、0.70℃/分、0.71℃/分;0.72℃/分、0.73℃/分、0.74℃/分、0.75℃/分、0.76℃/分;0.77℃/分、0.78℃/分、0.79℃/分、0.80℃/分、0.81℃/分;0.82℃/分、0.83℃/分、0.84℃/分、0.85℃/分、0.86℃/分;0.87℃/分、0.88℃/分、0.89℃/分、0.90℃/分、0.91℃/分;0.92℃/分、0.93℃/分、0.94℃/分、0.95℃/分、0.96℃/分;0.97℃/分、0.98℃/分、0.99℃/分、1.0℃/分、2.0℃/分、3.0℃/分、4.0℃/分、5.0℃/分、6.0℃/分、7.0℃/分、8.0℃/分、9.0℃/分10.0℃/分、11.0℃/分、12.0℃/分、13.0℃/分、14.0℃/分、15.0℃/分、16.0℃/分、17.0℃/分、18.0℃/分、19.0℃/分、20.0℃/分、21.0℃/分、22.0℃/分、23.0℃/分、24.0℃/分、25.0℃/分、26.0℃/分、27.0℃/分、28.0℃/分、29.0℃/分、30.0℃/分、31.0℃/分、32.0℃/分、33.0℃/分、34.0℃/分、35.0℃/分、36.0℃/分、37.0℃/分、38.0℃/分、39.0℃/分、40.0℃/分、41.0℃/分、42.0℃/分、43.0℃/分、44.0℃/分、45.0℃/分、46.0℃/分、47.0℃/分、48.0℃/分、49.0℃/分、50.0℃/分またはそれより速い速度で行われる。フラッシュ冷却ステップも、予定される。いかなる特定の作用メカニズムにも拘束されるものではないが、冷却ステップおよびその実施方法が、得られるミクロスフィアの大きさの決定に影響する。
【0176】
方法の冷却ステップの後、ミクロスフィアが選択的に集められ、洗浄され、再懸濁され、およびまたは、粉末に乾燥される。
【0177】
一態様では、一つ以上の修飾核酸を含む本発明のミクロスフィアは、少なくとも本明細書に記載されるミクロスフィアの部分でなく、または修飾されない同じ核酸と同程度効率的に、細胞に入り生物学的機能を行う能力を有する。別の態様においては、一つ以上の修飾核酸を含む本発明のミクロスフィアは、一態様では、本明細書に記載されるミクロスフィアの部分でなく、または修飾されない同じ核酸よりも効率的に、細胞に入り生物学的機能を行う能力を有する。
【0178】
D.微小粒子を含む医薬組成物
本明細書に記載のとおり、本開示の組成物は、肺等の湿潤または水性の標的位置への送達のために調製される。組成物は、それらが吸入可能な形態でありうるように調製される。吸入可能形態は、薬理学上許容可能な賦形剤または希釈剤を伴う、または伴わない乾燥粉末であり得、または、吸入可能形態は、定量用量の推進薬ベースの分散の形でありうる。しかし、核酸微小粒子自体は、いずれの賦形剤のマトリックスも含まず、使用時に賦形剤とより大きな粒子を形成しない。吸入可能形態は、吸入器または鼻内噴霧を用いて、経口または鼻腔内に送達されうる。したがって本開示は、患者治療のための自己投与方法を提供する。このような投与は、病院、医院で使用され、または本開示の組成物の経鼻または吸入自己投与のために、非医療関係者により病院または医院外で使用されうる。
【0179】
したがって、本開示のある態様では、本開示の組成物の患者の自己投与のためのデバイスが提供される。そのデバイスには、本開示の組成物のエアゾール製剤および薬理学上許容可能な分散剤を含む鼻吸入器が含まれ、デバイスは、治療される障害の症状を軽減または治療するために所望の用量の本開示の組成物を含むエアゾール製剤の量を分散させるために、定量式である。分散剤は、吸入剤およびスプレー組成物において一般に使われる任意の分散剤でよく、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルコール、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、またはホスホリピドベースの界面活性剤でもありうる。しかし、本開示の吸入可能デバイスが、必ずしもこのような分散剤を用なければならないわけではないことに注意されたい。
【0180】
好ましい例においては、本開示の組成物は、組成物が微粉として存在する、乾燥粉末エアゾール製剤の形態である。乾燥粉末製剤は、ラクトース、ソルビトール、スクロースおよびマンニトール等の増量剤をさらに含みうる。
【0181】
別の具体例においては、エアゾール製剤は、無菌水、生食水、緩衝食塩水およびデキストロース溶液等の薬理学上許容可能な希釈剤をさらに含む、液体エアゾール製剤でありうる。
【0182】
したがって組成物は、鼻腔内または吸入投与、または粘膜投与一般に適する製剤または医薬組成物において調製されるのが好ましい。本明細書で使用されるところの、粘膜への送達のための組成物および製剤には、頬粘膜、食道粘膜、胃粘膜、腸粘膜、嗅粘膜、口腔粘膜、気管支粘膜、子宮粘膜および子宮内膜、ならびにその悪性細胞型に、治療的、予防的または診断的に送達可能なものを含む。適切な製剤は、本開示の組成物の送達を促進するために、粘膜透過増強剤を伴って調製されうる。粘膜透過増強剤は、本開示の組成物の経粘膜透過の速度または容易性を増加させる試薬であり、胆汁酸塩、脂肪酸、界面活性剤またはアルコール等であるがこれに限定されない。特定の例においては、透過増強剤は、コール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸、グリココール酸ナトリウム、ジメチルスルホキシドまたはエタノールでありうる。
【0183】
製剤は、溶解性、薬物安定性、経鼻粘膜吸収、および他の観点から最適化されたpHで調製されてもよい。
【0184】
したがって本発明は、標的粘膜を、標的粘膜に浸透してその上または中で作用するのに有効な量の微小粒子組成物と接触させるステップを含む、本発明の治療用、予防用、または診断用微小粒子組成物を粘膜に送達する方法を提供する。
【0185】
本開示の組成物は、治療的に有効な量、すなわち、薬物の所望の活性を示すために有効な量において送達される。本開示によれば、所与の核酸の治療的に有効な量は、それが送達される標的によって決まる。送達の治療結果は、標的とされる疾患の一つ以上の症状の減少または軽減、および/またはターゲティングされる特定の核酸の発現またはターゲティングの結果発現が減少するタンパク質の活性の減少でありうる。
【0186】
本明細書で使用されるところの、「エアゾール」という用語は、空気懸濁液をさす。特に、エアゾールは、本開示の製剤の粒子化または微粒化、およびその空気懸濁液をさす。本開示によれば、エアゾール製剤は、口腔を通じた経鼻吸入または肺投与のための、本開示の微小粒子を含む製剤である。
【0187】
本明細書で使用されるところの、「吸入器」という用語は、例えば溶液、粉末等における、薬物の経鼻および肺投与の両方ためのデバイスをさす。例えば、「吸入器」という用後は、急性喘息発作のための抗ヒスタミン剤投与に使用されるような推進薬駆動吸入器、および鬱血除去薬投与に使用されるようなプラスチックスプレーボトルを含む。
【0188】
本明細書で使用されるところの「分散剤」という用語は、本開示の組成物のエアゾール化または粘膜組織におけるこれらの組成物の吸収を補助する薬剤、またはその両者をさす。しかし、本開示の微小粒子が、均一の粒径分布およびその粒径範囲により、特に良好な空気力学的特性を有することに注意されたい。特定の態様においては、分散剤は、粘膜透過増強剤でありうる。分散剤は、薬理学上許容可能であるのが好ましい。本明細書で使用されるところの、「薬理学上許容可能な」という用語は、動物への使用、特にヒトへの使用が連邦政府または州政府の規制機関により承認され、または米国薬局方または他の一般に認識される薬局方にリストされることを意味する。
【0189】
本開示の微小粒子は、凝集せず、したがって粒子の分散および「分離」を促進する薬剤を用いる必要がない。しかし、分散剤が使用される場合には、界面活性剤等がこれに含まれうる。そのような界面活性剤は、液体エアゾールを形成する溶液の微粒化により生じる送達薬剤の表面誘導凝集を減らすために従来技術において一般に用いられ、本開示の方法およびデバイスに使用されてもよい。かかる界面活性剤の例には、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤が含まれるがこれに限定されない。使用される界面活性剤の量は変動し、一般に範囲内または製剤の0.001および4重量%である。適切な界面活性剤は、公知技術であり、具体的製剤、オリゴヌクレオチドの濃度、希釈剤(液状製剤)または粉末の形態(乾燥粉末製剤)等に応じて、所望の特性を基礎として選択されうる。
【0190】
液体エアゾール製剤では、オリゴヌクレオチド微小粒子は含みうるおよび生理的に許容可能な分散剤における希釈剤。本開示の乾燥粉末エアゾール製剤は、微粉凍結乾燥形態の微小粒子と、選択的に分散剤とからなる。
【0191】
「凍結乾燥」またはフリーズドライとは、急速凍結および凍結状態での脱水による(昇華と称されることもある)、乾燥形態における微小粒子組成物の製剤をさす。凍結乾燥は、脂質の結晶化による脂質マトリックス形成が生じる温度で行われる。このプロセスは、約室温の収容容器の周囲温度で凍結産物を維持するのに十分な圧力で、減圧下で、好ましくは約500mTorr未満、より好ましくは約200mTorr未満、より好ましくは約1mTorr未満で行われうる。
【0192】
液体または乾燥粉末エアゾール製剤では、製剤が、エアゾール化された用量が実際に鼻道または肺粘膜に達することが確保されるように、エアゾール化される。本明細書において使用されるところの「エアゾール粒子」という用語は、経鼻または肺投与に適する、すなわち粘膜に達する、液体または固体粒子を表す。送達デバイスの構造、製剤中の追加的成分、および粒子特性等の他のパラメータも、考慮されなければならない。薬物の経鼻または肺投与のこれらの態様は、従来技術で周知であり、製剤の操作、エアゾール適用手段および送達デバイスの構築には、当業者によるルーチン試験で足りる。
【0193】
送達方法では、液状製剤のスプレーボトル、噴霧、微粒化またはポンプエアロゾール化、乾燥粉末製剤のエアゾール化を含むがこれに限定されない公知技術の任意のエアゾール化の形が、本開示の実行において使用されうる。
【0194】
上記のように、本開示の好ましい態様においては、エアゾール化のためのデバイスは、吸入可能乾燥粉末形態であり、他の好ましい例では、デバイスは定量吸入器である。定量吸入器は、投与ごとに可変的な用量ではなく、投与時に特定の投与量を提供する。このような定量吸入器が、液体または乾燥粉末エアゾール製剤に用いられうる。定量吸入器は、公知技術である。
【0195】
経鼻投与では、有用なデバイスは、定量噴霧器が取り付けられた小さなハードボトルである。一例においては、微小粒子溶液を一定の体積のチャンバに引き込むことにより、定用量が送達され、チャンバは、チャンバ内の液体が圧縮されたときにスプレーを形成することにより、エアゾール化する大きさの開口およびエアゾール製剤を有する。製剤を投与するために、チャンバが圧縮される。具体例では、チャンバは、ピストン仕掛けである。このようなデバイスは、市販である。
【0196】
あるいは、圧迫されたときにスプレーを形成することによりエアゾール製剤をエアゾール化するための大きさにした開口または開口部を伴う、プラスチックスクイーズボトルである。開口部は通常、ボトルの上部にあり、上部には概して、エアゾール製剤の効率的な投与のために鼻道内に部分的にフィットするようにテーパがつけられる。鼻吸入器は、投与のために測定された用量の組成物が投与されるように、定用量のエアゾール製剤を提供するのが好ましい。
【0197】
多くの場合には、肺内吸入のための液体または乾燥粉末製剤のエアゾール化は、推進薬を必要とする。推進薬は、従来技術において一般に使用される任意の推進薬でありうる。このような有用な推進薬の非限定的な具体例は、クロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドクロロフルオロカーボン(hydochlorofluorocarbon)、または炭化水素であり、トリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタン、またはその組み合わせが含まれる。
【0198】
液体エアゾール製剤および剤形も、予定される。一般に、このような剤形は、薬理学上許容可能な希釈剤中の組成物を含む。このような液体エーロゾル製剤の薬理学上許容可能な希釈剤には、無菌水、生食水、緩衝食塩水、デキストロース溶液等が含まれるがこれに限定されない。具体例では、本開示または本開示の医薬組成物において使用できる希釈剤は、一般にpH7.0〜8.0の間の範囲のリン酸緩衝食塩水または緩衝生理食塩溶液、または水である。
【0199】
さらに、この例における製剤は、pH維持、溶液安定化、または浸透圧制御のために有用な他の薬剤も含みうる。薬剤の例には、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム等の塩類、およびグルコース、ガラクトースまたはマンノース等の炭水化物が含まれるがこれに限定されない。
【0201】
本開示の核酸微小粒子は、注射可能、局所、経口、直腸、経鼻、肺、経膣、頬側、舌下、経皮、経粘膜、耳内、眼内または眼送達等の、適切な経路による対象へのin vivo送達に適する。微小粒子は、安定した液体懸濁液として送達され、または乾燥粉末等の固体剤形として調製されうる。好ましい送達経路は、肺送達であり、これには経口送達および経鼻送達が含まれる。
【0202】
この送達経路においては、微小粒子は、肺深部、上気道、または気道内の任意の場所に堆積するように、選択的に設計されうる。微小粒子は、乾燥粉末吸入器により乾燥粉末として送達され、または定用量吸入器またはネブライザーにより送達されうる。
【0203】
全身的に機能することが意図される薬物は、血流中への吸収のために利用可能な表面積が非常に大きい、肺胞に堆積されることが好ましい。薬物堆積を肺内の一定の領域にターゲティングするときには、形状および大きさ等、微小粒子の基本的な物理的特性を操作することにより、微小粒子の空気力学的直径が最適範囲に調節されうる。
【0204】
吸入される薬剤粒子の許容可能な呼吸可能画分は、多くの場合、賦形剤を粒子組成に組み込み、または薬剤粒子との混合物として製剤に加えることにより、達成される。例えば、トレハロース、ラクトースまたはマルトデキストリン等の不活性担体の大きな(30〜90μm)粒子と混合することにより、微粉化薬剤粒子(約5μm)の分散の改善がもたらされる。大きな賦形剤粒子は、粉末の流動性を改善するが、これは薬力学的効果の改善と相関する。さらなる改良においては、賦形剤が、小さな球状粒子に直接組み込まれて、エアゾール性能がもたらされるとともに、タンパク質薬物の安定性が潜在的に増強される。一般に、ラクトース、またはアルブミンおよびDL−アルファ−ホスファチジルコリンジパルミトイル(DPPC)等の肺の内因性有機分子等、吸入用としてFDAに承認済みの賦形剤が選択される。ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)等の他の賦形剤が、望ましい物理的および化学的特性の粒子を加工するために用いられている。しかし、FDAに承認された賦形剤での吸入経験の多くは、気管気管支の領域に堆積することが好ましく、肺深部にさほど浸透しない、空気力学的粒径の大きい喘息用薬物のものである。肺深部に送達される吸入タンパク質またはペプチド治療剤では、免疫応答による、または肺胞領域に送達されたときに賦形剤により引き起こされるものでありうる、炎症および刺激等の有害な長期的副作用が生じうるという懸念がある。
【0205】
肺深部に吸入された治療剤の有害な副作用の可能性を最小限にするために、送達される薬物で実質的に構成される吸入用粒子を製造することが有利でありうる。この戦略は、賦形剤への肺胞曝露を最小限にし、各用量により肺胞表面に堆積される粒子の全体的な用量を減じ、おそらくは吸入治療剤の慢性的使用の間の刺激を最小限にする。基本的に治療用、予防用、および/または診断用タンパク質、ペプチドまたは本明細書に記載の他の薬剤だけで構成される、肺深部堆積に適した空気力学的特性の小球状粒子は、肺の肺胞膜への慢性的治療または予防投与の単離研究のために、特に有用でありうる。そして、吸入による、小球状粒子の形状におけるタンパク質、ペプチドまたは他の薬剤の全身送達の効果が、関連の賦形剤により導入される複雑な因子を伴わずに研究されうる。
【0206】
吸入により肺深部に粒子を送達するために必要なのは、粒子が、0.5〜10マイクロメートルの小さな平均空気力学的直径と、狭い粒径分布を有することである。本開示は、異なる粒径範囲を有する粒子の様々なバッチの混合も予定する。本開示のプロセスは、上記の特性を伴う微小粒子の製造を可能にする。
【0207】
0.5〜3ミクロンの空気力学的直径の粒子を形成するための、二つの主なアプローチがある。第一のアプローチは、比較的大きいが、多孔性(または有孔)の微小粒子を生成することである。空気力学的直径(D
aerodynamic)と幾何学的直径(D
geometric)の関係がD
aerodynamic=粒子密度の二乗根にD
geometricを掛けたものに等しいため。質量密度が非常に低い(約0.1g/cm
3)粒子は、比較的大きな幾何学的直径(5〜10ミクロン)をもちながら、小さな空気力学的直径(0.5〜3ミクロン)有しうる。
【0208】
代替的アプローチは、比較的低い多孔率の粒子を作製することであり、本開示の場合には、粒子は、上記の範囲の密度、より一般には約1g/cm
3付近の密度を有する。したがって、このような非多孔性高密度の粒子の空気力学的直径は、その幾何学的直径に近い。
【0209】
上記の粒子形成のための本方法は、賦形剤を伴う、または伴わない、粒子形成を提供する。
【0210】
非ポリマーカチオン以外の添加物をほとんど、または全く伴わない、核酸自体からの小粒子の製造は、大きな薬物負荷量、安全性の向上、および必要吸入回数低下の選択肢を提供するため、肺送達用に優れた利点を提供する。
【実施例】
【0211】
H.実施例
以下のセクションは、本開示の核酸粒子の製剤に使用される方法および組成物の実施例を提供する。1.5ml微量遠心管チューブ、5mlガラス管、15mlポリプロピレンチューブ、10mlジャケットガラス容器、50mlジャケットガラス容器および100mlジャケットガラス容器を含む、異なる材料の様々な大きさの容器により、本明細書に開示されるプロセスのスケーラビリティが示された。
【0212】
本開示の例示的な核酸微小粒子は、溶解された核酸、非イオン性ポリマー、および非ポリマーカチオンを含む溶液から調製される。これらの溶質の相対濃度は、粒径、形状(例えば微小粒子がどれくらい球状であるか)、および表面の平滑性等、核酸微小粒子の一定の特性を最適化するように調節されうる。非ポリマーカチオンのモル濃度は、典型的に0.01M〜5Mの間の範囲であり、0.05M、0.1M、0.2M 0.3M、0.4M 0.5M、0.6M、0.7M、0.8M、0.9M、1M、1.1M、1.2M、1.3M、1.4M、1.5M、1.6M、1.7M、1.8M、1.9M 2M、2.1M、2.2M、2.3M、2.4M、2.5M、2.6M、2.7M、2.8M、2.9M、3M、3.1M、3.2M、3.3M、3.4M、3.5M、3.6M、3.7M、3.8M、3.9M、4M、4.1M、4.2M、4.3M、4.4M、4.5M、4.6M、4.7M、4.8M、4.9M、5M等、またはこれらの任意の二つの値の間の範囲である。非イオン性ポリマーの重量体積濃度は、典型的には5%〜50%の範囲であり、8%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%等、またはそのような任意の二つの値の間の範囲である。核酸対非ポリマーカチオンのモル比は、典型的には1:20〜1:50,000の範囲であり、1:20、1:30、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90、1:100、1:150、1:200、1:250、1:300、1:350、1:400、1:450、1:500、1:550、1:600、1:650、1:700、1:750、1:800、1:850、1:900、1:950、1:1,000、1:1,500、1:2,000、1:3,000、1:4,000、1:5,000、1:6,000、1:7,000、1:8,000、1:10,000、1:15,000、1:20,000、1:30,000、1:40,000等、またはそのような任意の二つの値の間の範囲、または本明細書記載の他の比である。
【0213】
本実施例は、本明細書に記載のように肺適用に使用できる微小粒子を調製するための、例示的方法および組成物を提供する。これらの例は、ポリマーポリカチオンを含まない微小粒子を提供する。さらに、本明細書において調製される微小粒子は、水および/または水溶液中で可溶性であり、この特徴は、肺内のエリア等の所定の部位に微小粒子が投与されたときに、微小粒子の核酸成分の迅速な放出を可能にする。微小粒子の空気力学的特徴、例えば大きさおよび直径は、例えば肺内の様々な所定エリアへの標的送達のために、操作されうる。
【0214】
本明細書において調製される微小粒子は、典型的に、低い含水率(Karl Fisherにより測定)、例えば8%未満の含水率を有するのが好ましい。さらに、微小粒子は、微小粒子組成物全体の3%以上である、非ポリマーカチオン含量(原子吸光により測定)を有する。得られる微小粒子の乾燥粉末の、核酸の開始重量に対する重量比は、約1以上である(例えばCa−アンチセンス微小粒子では、比は典型的に1.03であった)。
【0215】
(実施例1)
例示的微小粒子の製剤に使用される材料
本開示の例示的な微小粒子の製剤においては、以下の材料が使用された。例示的実施例に特定の核酸およびsiRNAsが提供されるが、他の核酸およびオリゴヌクレオチドを使用して、同様の微小粒子を調製できる。
【0216】
全ての水溶液は、オートクレーブ処理され、0.2−ミクロンフィルタにより滅菌濾過された、ヌクレアーゼフリーの、イオン除去水を使用して調製された。
【0217】
核酸溶液は、水中約15mg/mlの濃度で調製された。本明細書に記載の方法で使用される例示的アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(抗CD40、抗CD80、抗CD86)は、HPLC精製された凍結乾燥製剤において市販されている。オリゴヌクレオチド骨格においてホスホロチオエート化されたこれらのオリゴヌクレオチド、およびIntegrated DNA Technologies,(Coralville,IA)から入手可能である。
【0218】
様々なsiRNA組成物が、本明細書において調製される微小粒子に使用される。siRNA分子は、選択的に一つの鎖が蛍光染料で標識された非修飾二重鎖からなった。二重鎖は、各21マーが2−ヌクレオチド長3’−オーバーハングを有する、塩基対結合した二つの21マーRNAオリゴヌクレオチドからなる。陰性コントロールとして、SCR−027、NT−2および蛍光染料DY547で標識されたNT2が用いられ、蛍光染料DY547で標識された活性siRNA分子が、eGFPに誘導された。これらのsiRNA分子のHPLC精製および凍結乾燥製剤は、Dharmacon(Dharmacon,Lafayette,CO)から市販されている。
【0219】
水に(無水または水和物形の)非ポリマーカチオンの塩を1M〜10Mの濃度で溶解することにより、非ポリマーカチオンのストック溶液が調製された。ストック溶液のpHは、ほぼ中性〜酸性のpHに調節された(例えば3〜7.5);
非イオン性ポリマー溶液Aは、酸性pH(例えば5.6)の、0.1MのNaOAcバッファー中12.5%(w/v)PEG3350(平均MW3409D)および12.5%(w/v)PVP(平均MW40kD)からなった。
【0220】
非イオン性ポリマー溶液Bは、酸性pH(例えば5.6)の、0.1MのNaOAcバッファー中25%(w/v)PEG3350からなった。
【0221】
非イオン性ポリマー溶液Cは、pH5.6(HOAcで調節)、24%(w/v)ポロクサマー188(平均MW8400,BASFからのLutrol(登録商標)F68)からなった。
【0222】
非イオン性ポリマー溶液Dは、酸性pH(例えば5.6)の、0.167MのNaOAcバッファー中50%(w/v)PEG3350からなった。非イオン性ポリマー溶液Dを用いた反応混合物中のポリマーの最終濃度は、典型的に、0.067MのNaOAcバッファー中20%(w/v)PEG3350であった。
【0223】
(実施例2)
Ca
2+をカチオンとして調製される例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの微小粒子
以下の実施例は、本開示のCa
2+を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドベースの微小粒子の調製のための、二つの例示的プロセスを提供する。
【0224】
調製プロセス1:このプロセスにおいては、各反応混合物が非イオン性ポリマー溶液、塩溶液および核酸溶液を含む、一連の六つの反応混合物が調製された。簡単にいうと、各最終反応混合物の三分の二が溶液Aを含むように、非イオン性ポリマー溶液Aのアリコートが容器に調剤された。最終反応混合物中のCa濃度がそれぞれ0.1M、0.17M、0.33M、0.67M、1M、および1.25Mであるように、塩溶液(5M CaCl
2ストック溶液、pH5.5)および水が、非イオン性ポリマーアリコートに加えられた。アンチセンス核酸溶液のアリコートが、これらの核酸溶液のアリコートが最終反応混合物に加えられたときに、各最終反応混合物中のアンチセンス核酸の濃度が0.206mMとなるように、調製された。
【0225】
塩/ポリマー反応混合物および核酸アリコートが、予熱されてから、合わせられて最終反応混合物が形成された。最終反応混合物は、全てほぼ同じインキュベーション温度で5分間インキュベートされた。一連の反応混合物による反応が、異なる温度範囲で繰り返された(例えば60℃、65℃または70℃)。全ての反応混合物は、1.25MのCaを含む反応混合物を除き、混合時に最初に濁り、インキュベーションの終了までに明らかに透明になった(すなわち反応混合物が均質な単相の溶液であることを示す)。1.25Mおよび1MのCaを含む反応混合物は、75℃までさらに加熱されても、濁ったままだった。反応混合物が、制御された速度(0.1℃/分〜5℃/分の範囲)で、4℃に冷却された。光学顕微鏡法による視覚化により、Ca−アンチセンス微小粒子が、全ての反応混合物中において分散していた。遠心分離および上清デカンテーション/吸引により、Ca−アンチセンス微小粒子が分散から集められた。集められた微小粒子は、非イオン性ポリマーを除去するためにメチレンクロリドにより繰り返し遠心洗浄され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0226】
調製プロセス2:このプロセスにおいては、Ca−アンチセンス微小粒子が、以下の通りに調製された:それぞれが(非イオン性ポリマー溶液、塩溶液および核酸溶液を含む)最終反応混合物の全体積の2/3をなすように、非イオン性ポリマー溶液Aのアリコートが調製された。核酸アリコートと直接混合されたときに、それらが0.1M、0.3M、1M、2M、3M、および4.18Mの中間塩濃度を有するように、塩アリコートが調製された。塩アリコートおよび核酸アリコートが予熱され、合わせられて中間混合物が形成され、全てほぼ同じ温度(70℃)で30分間インキュベートされた。非イオン性ポリマーアリコートは、これも予熱されたものが、中間混合物と合わせられて反応混合物が形成され、全てほぼ同じ温度(70℃)で30分間インキュベートされた。反応混合物を−10℃の冷媒に30分間さらすことにより、反応混合物が約−10℃に冷却された。光学顕微鏡法による視覚化により、Ca−アンチセンス微小粒子が、全ての反応混合物中に分散していた。
【0227】
Ca−アンチセンス微小粒子が、遠心分離および上清デカンテーション/吸引を用いて分散から集められた。微小粒子は、4℃の1.5M CaCl
2溶液により、繰り返し遠心洗浄されてから、4℃で0.2M CaCl
2溶液により繰り返し遠心洗浄された。そして、洗浄されたCa−アンチセンス微小粒子が、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0228】
代替的洗浄プロセスにおいては、集められたCa−アンチセンス微小粒子が、4℃で50%(w/v)PEG3350溶液により、繰り返し遠心洗浄され、凍結乾燥されて、水および炭酸アンモニウムが除去された。そして、これらの凍結乾燥された製剤が、再懸濁されて、メチレンクロリド/メタノール混合物により繰り返し遠心洗浄され、その後、メチレンクロリドのみにより洗浄されて、PEGおよびPVPが除去され、再凍結乾燥されて、メチレンクロリドが除去された。
【0229】
結果
他の点では同一の条件下では、Ca−アンチセンス微小粒子の冷却速度は、微小粒子の空気力学的直径分布(0.34〜0.43の範囲)には影響することなく、微小粒子の平均空気力学的直径と相関した(
図1A〜1Eおよび
図2A−Bおよび
図11)。
図1A〜1Eおよび
図2A−Bから分かるように、Ca−アンチセンス微小粒子の直径は、冷却速度の増加と共に減少した。しかし、任意の所与の反応混合物中のCa−微小粒子の集団全体の平均直径分布は、実質的に均一にとどまった。
【0230】
空気力学的直径分布が、空気力学的直径分布の範囲の、微小粒子の平均空気力学的直径に対する比により測定され、ここで空気力学的直径分布の範囲は、粒子の95パーセンタイルに対応する空気力学的直径(すなわち粒子の95%がこの空気力学的直径以下)と、粒子の10パーセンタイルに対応する空気力学的直径(すなわち粒子の10%がこの空気力学的直径以下)との間の差である。Ca−アンチセンス微小粒子では、空気力学的直径分布は0.7未満、典型的には0.3〜0.6の範囲であった。Ca−アンチセンス微小粒子の例示的な空気力学的直径分布(10パーセンタイル1.836ミクロン、平均2.294ミクロン、95パーセンタイル2.954ミクロン)およびnext−generation impactor(NGI)特徴づけパターン(MMAD2.6ミクロン〜2.9ミクロン、GSD1.5、放出用量73%〜77%、FPF(<8ミクロン)は放出用量の78%〜82%以上)が、
図3A−Bおよび4A−Bにそれぞれ図示される。
【0231】
他の点では同一の条件下では、反応混合物中の非ポリマーカチオンの核酸に対するモル比は、所与の反応混合物において生成される微小粒子の空気力学的直径(
図5A−B)、ならびに冷却プロセスの間に微小粒子が形成する温度(
図6)と相関した。これらのデータは、1℃/分の冷却速度に対応した。特に、
図5A−Bから分かるように、非ポリマーカチオンの核酸に対するモル比が増すとともに、微小粒子の空気力学的直径は−減少した。
図6で分かるように、粒子が形成する温度は、非ポリマーカチオンの核酸に対するモル比の増加とともに上昇した。
【0232】
Ca−アンチセンス微小粒子は、1〜3ミクロンの平均空気力学的直径を有した。典型的には、任意の所与の反応物における微小粒子の少なくとも85%が、約0.8〜4ミクロンの狭い範囲に分布した。Ca−アンチセンス微小粒子の含水率は、3%〜7%の間の範囲であり、より詳しくは3.6%〜6.1%の間の含水率であった。最後に、Ca−アンチセンス微小粒子の非ポリマーカチオン含量は、微小粒子の4%以上から、典型的には、の非ポリマーカチオン含量は、4.1%〜4.3%の範囲であった。
【0233】
図12に示すように、核酸微小粒子形成のプロセスは、実施例2の核酸を分解しない。
【0234】
(実施例3)
Zn
2+をカチオンとして調製される例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの微小粒子
このプロセスにおいては、各反応混合物が非イオン性ポリマー溶液、塩溶液および核酸溶液を含む、一連の七つの反応混合物が調製された。簡単にいうと、各最終反応混合物の三分の二が溶液Aを含むように、非イオン性ポリマー溶液Aのアリコートが、容器に調剤された。アンチセンス核酸溶液のアリコートが、これらの核酸溶液のアリコートが最終反応混合物に加えられたときに各最終反応混合物中のアンチセンス核酸の濃度が0.206mMとなるように、調製された。
【0235】
4MのZnCl
2ストック溶液(pH4)を用いて、アリコートが反応混合物に加えられたときの最初の塩と核酸の混合物中のZn濃度がそれぞれ0.1M、0.33M、1M、2M、および3Mとなるように、水による希釈により、塩溶液のアリコートを調製した。
【0236】
塩アリコートおよび核酸アリコートが予熱されてから、合わせられて中間混合物が形成された。これらの中間混合物が、全てほぼ同じ温度(70℃)で30分間インキュベートされた。全ての中間混合物は、混合すると濁り、Zn濃度の増加とともに濁度が明らかに増加した。同様に予熱された非イオン性ポリマーアリコートが、中間混合物と合わせられて、最終的な組み合わせ反応混合物が形成された。最終的な組み合わせ反応混合物が、全てほぼ同じ温度(70℃)で30分間インキュベートされた。全ての最終反応混合物は混合時に濁ったままであり、目視検査により、Zn濃度の増加とともに濁度が増加するのが認められた。光学顕微鏡法による視覚化により、このプロセスに従って調製されたZn−アンチセンス微小粒子が、全ての反応混合物の全体に分散していた。反応混合物が、反応混合物を−10℃の冷媒に30分間さらすことにより、約−10℃に冷却された。冷却後、Zn−アンチセンス微小粒子が、光学顕微鏡法で再検査され、全ての反応混合物中に分散しているのが認められた。
【0237】
遠心分離および上清デカンテーション/吸引を用いて、Zn−アンチセンス微小粒子が分散から集められた。集められたZn−アンチセンス微小粒子が、4℃で、1.5MのZnCl
2溶液で繰り返し遠心洗浄された。そして、洗浄されたZn−アンチセンス微小粒子が、4℃で0.2MのZnCl
2溶液により繰り返し遠心洗浄され、最後に乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0238】
代替的洗浄方法においては、集められたZn−アンチセンス微小粒子が、4℃で50%(w/v)PEG3350溶液により繰り返し遠心洗浄され、凍結乾燥されて、水および炭酸アンモニウムが除去された。そして、凍結乾燥されたZn−アンチセンス微小粒子が再懸濁され、メチレンクロリドにより繰り返し遠心洗浄されてPEG3350が除去された後、再凍結乾燥されてメチレンクロリドが除去された。
【0239】
0.33MのZnを含む反応混合物から調製されたZn−アンチセンス微小粒子は、400nmの平均粒径を有した。これらのZn−アンチセンス微小粒子のゼータ電位は、−17mV(1mM KCl,pH=7.1,PALS Zeta Potential Analyzer ver.3.29,Brookhaven Instruments Corp.)であった。これらのZn−アンチセンス微小粒子におけるアンチセンス核酸負荷は、48%(微小粒子の重量で、ゲル電気泳動および定量化を用いて決定)であった。
【0240】
(実施例4)
Mg
2+をカチオンとして調製される例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの微小粒子
ストックZn塩溶液がMgCl
2ストック溶液(4.09M、pH4.5)で置き換えられたことを除いては、Zn−アンチセンス微小粒子の形成につき実施例3のプロセスで説明されるのと同じものを用いて、Mg−アンチセンス微小粒子が形成され、反応混合物中のMg最終濃度は、それぞれ、0.033M、0.1M、0.33M、0.67M、および1Mであった。塩溶液と核酸溶液を混合すると、0.033MのMgを含む中間反応混合物は明らかに透明であったが、全ての他の中間混合物は混合すると濁った。中間反応混合物の濁度は、Mg濃度の増加とともに増加した。中間混合物が非イオン性ポリマー溶液Aと混合されると、0.033MのMgを含む反応混合物は透明なままであり、0.1Mおよび0.33MのMgを含む反応混合物は濁ったままであり、0.67MのMgを含む反応混合物は透明になり、1MのMg含む反応混合物は、反応器の底に集塊を沈殿した。70℃での30分間の反応混合物のインキュベーションにより、全ての反応混合物が均質な単相の溶液になった。冷却すると、全ての反応混合物が濁り、0.67Mおよび1MのMgを含む反応混合物は十分な密度の組成物を有し、冷却後に微小粒子が反応混合物中に沈殿した。光学顕微鏡法での視覚化により、Mg−アンチセンス微小粒子が全ての反応混合物中に分散していた。
【0241】
遠心分離および上清デカンテーション/吸引を用いて、Mg−アンチセンス微小粒子が分散から集められ、4℃で1.5MのMgCl
2溶液により繰り返し遠心洗浄された。そして、洗浄されたMg−アンチセンス微小粒子のペレットが、4℃で0.2MのMgCl
2溶液により繰り返し遠心的に再洗浄され、最後に乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0242】
代替的洗浄方法においては、集められたMg−アンチセンス微小粒子が、4℃で50%(w/v)PEG3350溶液により繰り返し遠心洗浄され、凍結乾燥されて水および炭酸アンモニウムが除去された。そして、凍結乾燥されたMg−アンチセンス微小粒子が、メチレンクロリドにより繰り返し遠心洗浄されてPEG3350が除去され、再凍結乾燥されてメチレンクロリドが除去された。
【0243】
(実施例5)
Na
+をカチオンとして調製される例示的なアンチセンスオリゴヌクレオチドの微小粒子
Na−アンチセンス微小粒子を調製するために、Znストック塩溶液がNaClストック溶液(5.3M、pH6.7)に置き換えられたことを除いて、Zn−アンチセンス微小粒子の形成のために実施例3で先に述べたのとほぼ同じプロセスがとられた。六つの反応混合物が用いられ、反応混合物中の最終ナトリウム濃度は、それぞれ、0.033M、0.1M、0.33M、0.67M、1M、および1.47Mであった。全ての中間混合物は、1.47MのNaを含む反応混合物が濁ったのを除いて、明らかに透明だった。混合すると、全ての反応混合物が、濁った。70℃での30分間の反応混合物のインキュベーションにより、全ての反応混合物が均質な単相の溶液になった)。冷却すると、0.033M、0.1M、および0.33MのNaを含む反応混合物は透明なままであり、0.67Mおよび1MのNaを含む反応混合物は濁り、1.47MのNaを含む反応混合物は濁ったままだった。0.67Mおよび1MのNaを含む反応混合物は、周囲温度に加熱されると再び透明になったが、冷却すると再び濁り、微小粒子が可逆的に形成され、冷却および加熱のそれぞれにより変形することが示された。
【0244】
(実施例6)
Ca
2+をカチオンとして用いて調製される例示的なsiRNAの微小粒子
実施例2の核酸溶液が、本実施例では各反応混合物中のsiRNAの濃度が0.151mMであるようにsiRNA溶液に置き換えられたことを除いては、Ca−アンチセンス微小粒子を形成するために上記の実施例2において説明されるプロセス1を用いて、Ca−siRNA微小粒子を調製した。0.033M、0.1M、0.17M、0.5M、0.67M、0.74M、および1MのCa濃度をそれぞれ含む、七つの別々の反応混合物が準備された。Ca−siRNA微小粒子の実施例が、非イオン性ポリマー溶液Aを用いて、ならびに非イオン性ポリマー溶液BおよびCを用いて、調製された。反応物予熱温度は様々であった。58℃、60℃、および70℃の予熱温度で、反応物が準備された。核酸溶液および非イオン性ポリマー/塩溶液を予熱温度で混合すると、全ての反応混合物が濁り、5分のインキュベーション時間終了時に濁ったままだった。反応混合物の濁度は、反応混合物中のCa濃度の増加とともに増加した。冷却およびインキュベーションの後、分散から(遠心分離および上清デカンテーション/吸引を用いて)集められたCa−siRNA微小粒子が、4℃で適切な洗浄媒体により繰り返し遠心洗浄されて、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0245】
(実施例7)
Mg
2+をカチオンとして用いて調製される例示的なsiRNAの微小粒子
実施例6の塩ストック溶液が本実施例においてはMgCl
2ストック溶液(5M、pH5.6)で置き換えられたことを除き、Ca−siRNA微小粒子を形成するための上記の実施例6において説明されるプロセスを用いて、Mg−siRNA微小粒子が調製された。反応混合物中0.78Mおよび1.15MのMg濃度をそれぞれ含む、二つの反応混合物が準備された。核酸溶液および非イオン性ポリマー/塩溶液を予熱温度(70℃)で混合すると、全ての反応混合物は明らかに透明で(すなわち反応混合物は、均質な単相の溶液であった)、5分間のインキュベーション時間終了時に透明なままだった。冷却およびインキュベーションの後、分散から(遠心分離および上清デカンテーション/吸引を用いて)集められたMg−siRNA微小粒子が、4℃で適切な洗浄媒体により繰り返し遠心洗浄され、乾燥粉末に凍結乾燥された。非イオン性ポリマー溶液BおよびCの存在下で、1.15MのMg濃度で、Mg−siRNA微小粒子が形成した。
【0246】
(実施例8)
Mg−siRNA微小粒子
Mg−siRNA微小粒子は、上に開示される方法に従って、以下の表にリストされる製剤および反応条件で調製された。全てのsiRNAsは、Dharmaconから市販のものであった。
図7A−B、8A−B、9A−B、10A−B、および13は、これらの微小粒子のSEM画像である。
図14に示すように、核酸微小粒子形成のプロセスは、実施例8の核酸を分解しない。
図15および16に示すように、実施例8の核酸微小粒子は、肺送達に適する空気力学的特性(例えば、数および体積で集団の95%が3ミクロン未満、高いFPF)を有する。
【0247】
【表2】
【0248】
【表3】
(実施例9)
Mg−siRNA微小粒子
Mg−siRNA微小粒子が、上に開示される方法に従って、NT−2siRNAを核酸として、非イオン性ポリマー溶液Dをストック溶液として用い、pH5.6、予熱温度65℃、冷却速度0.5℃/分、冷却終了温度4℃で、以下の表にリストされる異なるポリマー最終濃度および異なるカチオン最終濃度で、調製された。全ての反応から、球状核酸微小粒子の形成が生じた。
【0249】
【表4】
(実施例10)
コレステロール修飾siRNAによるミクロスフィアの産生
図17に示すようにコレステロール結合増強緑色蛍光タンパク質(eGFP,Dharmacon/Thermofisher)siRNAが溶解された、ヌクレアーゼフリー水溶液(Ambionから入手、Cat#9930の水は、脱イオン化されたヌクレアーゼフリー水であり、これをさらにオートクレーブ処理、0.2um滅菌濾過)が、37℃に加熱された。水溶性ポリエチレングリコール3500(PEG3350,Spectrum,Cat#PO125;ヌクレアーゼフリー水pH5.6中0.245M NaOAcで緩衝された46%PEGからなる溶液であり、最終製剤において12.5%PEGおよび67mM NaOAcに希釈される)、MgCl
2の水溶塩(0.2μm濾過水中100mM MgCl
2溶液(pH 5.6))、およびバッファー酢酸ナトリウム(Spectrum,Cat#S0104)が全て溶解されて含まれる、緩衝されたポリマー/カチオン溶液が、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオンおよびバッファーの最終濃度が、それぞれ0.142mM、12.5%(w/v)、25mM、および67mMとなるように、ポリマー/カチオン溶液のアリコートに混合された。反応混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAの間のモル比は、176:1であった。反応混合物は65℃でインキュベートされ、その間に混合物が透明になり、その後透明な混合物が0.8℃/分で0℃に冷却され、その間にコレステロール修飾siRNAのミクロスフィアが形成し、透明な混合物が乳白色になった。0℃での遠心分離によりミクロスフィアが集められ、冷やされた0℃の50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0250】
得られたミクロスフィアは、固体、球状であり、粒径が単分散だった。
【0251】
【表5】
(実施例11)
肺送達用の標準的ミクロスフィア製剤におけるコレステロール修飾siRNAの使用
図17に示すとおり、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝された水溶性PEG3350を含む溶液が、上記のようにMgCl
2溶液と混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートに、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオン、およびバッファーの最終濃度がそれぞれ0.142mM、16.7%または20%(w/v)、1.173M、および67mMになるように、加えられた。反応混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAの間のモル比は、8251:1であった。このカチオン濃度で、反応物は直ちに乳白色になり、65℃で5分間インキュベートされ、その間に混合物は乳白色のままであった。混合物は、0.5℃/分で0℃に冷却され、混合物は乳白色のままだった。ミクロスフィアが、遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0252】
得られたミクロスフィアは、固体、球状であり、粒径が多分散であり非球状微小粒子と混合していることが、光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡で視覚化された。
【0253】
(実施例12)
相分離制御へのカチオン濃度を低くしたミクロスフィア製剤
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。上記の水溶性PEG3500を含む溶液が、様々な濃度の多数のMgCl
2溶液と混合され、その後65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートに、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオン、およびバッファーの最終濃度がそれぞれ0.142mM、16.7%(w/v)、カチオン範囲1.173M〜0M(1.173M、587mM、293mM、147mM、73mM、25mM、および0mM)、および67mMになるように、加えられた。個々の反応混合物中の多価カチオン対コレステロール修飾siRNA間のモル比は、8251:1、4126:1、2061:1、1031:1、516:1、176:1、および0:1であった。沈殿物を形成しなかった0mMカチオン溶液を除き、全ての混合物がすぐに乳白色になり、全てが65℃で約5分間インキュベートされ、その間に混合物は乳白色のままだった。そして、全ての混合物が0℃に冷却され、0mMカチオン混合物以外は乳白色のままだった。乳白色になったこれらのプロセスの各々でミクロスフィアが形成したが、形成はCPS−様反応によらなかった。したがって、これらの条件下では、CPS−様反応にはカチオン濃度が25mMより低い必要があることが決定された。
【0254】
(実施例13)
相分離制御への追加的なカチオン濃度を低くしたミクロスフィア製剤
図17に示される、コレステロール修飾eGFPsiRNAの溶解された水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝されたPEG3500ポリマー溶液が、様々な濃度の多数のMgCl
2溶液と混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートに、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオン、およびバッファーの最終濃度がそれぞれ0.142mM、16.7%または20%(w/v)、カチオン範囲15mM〜10mM(単独20%PEG製剤で10mM、12.5mM、15mMまたは12.5mM)、および67mMになるように、加えられた。様々な混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAのモル比は、それぞれ70:1、80:1、106:1、または80:1であった。反応混合物が65℃で10分間インキュベートされ、その間に70:1および80:1比の反応物は透明なままであり、106:1比の反応物はやや曇り、80:1比の反応物は曇った。混合物は0.5℃/分で0℃に冷却され、その間にsiRNAミクロスフィアが形成して、混合物が乳白色になった。ミクロスフィアが遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0255】
光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡での視覚化により、得られたミクロスフィアは固体、球状であり、粒径が単分散であり一部の非球状微小粒子と混合していた。
【0256】
(実施例14)
ミクロスフィア製剤におけるカルシウムカチオンの使用
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムでそれぞれ緩衝された、PEG3350またはPEG3350とPVPとの組み合わせを含むポリマー溶液が、様々な濃度のCaCl
2溶液と混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液と混合された。CPS−様反応を生じた条件は、コレステロール修飾siRNAの濃度が0.142mMであり、ポリマーが16.7%または20%PEG(w/v)またはPEGとPVPとの組み合わせが各8.3%、カチオンが10mMまたは7.5mMまたは25mM、バッファーが67mMであった。反応混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAのモル比は、それぞれ70:1または50:1または176:1であった。65℃での約五分間のインキュベーションの間に、三つの反応物は全て透明なままであることが、各50ulの体積で目視により決定された。そして、各反応混合物が0℃に冷却され、冷却プロセスの間に、ミクロスフィアが明らかに相分離制御様反応により形成された。
【0257】
(実施例15)
相分離制御およびより少ない凝集を提供するためのマグネシウムによるさらなるミクロスフィア製剤
上で得られた結果から、MgCl
2製剤のポリマー含量を低くしてCPS−様反応を生じる条件を決定し、より少ない凝集を伴ってAerosizerアッセイで使用できるミクロスフィアを提供するために、小規模スクリーニング実験が行われた。
【0258】
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝されたPEG3500ポリマー溶液が、異なる量のMgCl
2を含む二つの溶液に混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートがポリマー/カチオン溶液のアリコートと、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオン、およびバッファーの最終濃度がそれぞれ0.142mM、12.5%(w/v)、20mMまたは25mM、および67mMとなるように、混合された。反応混合物中の多価カチオン対コレステロール修飾siRNAモル比は、それぞれ141:1、または176:1であった。反応混合物が65℃で10分間インキュベートされ、その間に混合物は透明なままだった。そして、混合物が0℃に冷却され、その間に、相分離制御様反応により、コレステロール修飾siRNAのミクロスフィアが形成され、混合物が乳白色になった。
【0259】
(実施例16)
ミクロスフィア特徴づけのためのスケールアップ製剤
上記の結果から、特徴づけしうるミクロスフィアを生成するCPS−様反応を生じる製剤のスクリーニングのための一連のスケールアップ実験が行われた。
【0260】
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAの水溶液が、37℃に加熱された。いずれも酢酸ナトリウムで緩衝された、PEG3350またはPEG3350とPVPとの組み合わせのいずれかを含むポリマー溶液が、MgCl
2またはCaCl
2カチオン溶液と様々な濃度で混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートと混合されて、コレステロール修飾siRNA0.142mM、PEG12.5%(w/v)、MgCl
220mMまたは25mM、およびバッファー67mMの最終濃度がそれぞれ提供された。これらの反応混合物中のMg
++カチオンとコレステロール修飾siRNAのモル比は、それぞれ141:1、または176:1であった。PEGとCaCl
2の反応では、最終濃度はsiRNA0.142mM、PEG16.7%または20%(w/v)、CaCl
210mMまたは7.5mM、およびバッファー67mMであり、反応混合物中の多価カチオン対コレステロール修飾siRNAの最終モル比は、それぞれ70:1、または53:1であった。PEG/PVPとCaCl
2の反応では、最終濃度は、siRNA0.142mM、PEGおよびPVP各8.3%(w/v)、CaCl
225mM、およびバッファー67mMであった。この反応混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAの間のモル比は、176:1であった。各反応混合物が、65℃で5分間インキュベートされ、その間にPEGおよびMgCl
2の混合物は透明なままであり、CaCl
2の混合物はやや曇った。5分のインキュベーション後、全ての混合物が0.75℃/分で0℃に冷却され、その間にミクロスフィアが形成し、透明またはやや曇った混合物が乳白色になった。ミクロスフィアが遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0261】
12.5%PEG−25mM MgCl
2、16.7%PEG/10mM CaCl
2、および20%PEG/7.5mM CaCl
2反応物から得られたミクロスフィアは、固体、球状で、粒径が単分散であり、8.3%PEG/PVP−25mM CaCl
2ミクロスフィアは固体および球状で、やや広めの粒径分布を有し、12.5%PEG/20mM MgCl
2反応物は、小さめでやや凝集したミクロスフィア生じた。得られたミクロスフィアは全て、光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡により視覚化された。
【0262】
(実施例17)
一定のポリマー濃度でのマグネシウムカチオン増加を用いたミクロスフィア形成
上記の結果から、12.5%PEG製剤に対する、MgCl
2カチオン含量の増加による効果を調べるために実験がデザインされた。
【0263】
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾siRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝されたPEG3350を含むポリマー溶液が、22.5mM〜32.5mMの範囲でMgCl
2溶液を含む溶液に混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートに、siRNA0.142mM、ポリマー12.5%(w/v)、MgCl
222.5mM、25mM、27.5mM、30mM、または32.5mM、およびバッファー67mMの最終濃度に混合された。反応混合物中の多価カチオン対コレステロール修飾siRNAのモル比はそれぞれ、158:1、176:1、193:1、211:1、および229:1であった。反応混合物が65℃で10分間インキュベートされ、混合物は透明なままだった。そして、混合物が0.75℃/分で0℃に冷却され、その間にミクロスフィア、混合物が乳白色になった。ミクロスフィアが遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0264】
22.5mM MgCl
2を含む反応物は、何らかの理由で多数のミクロスフィアが生じなかったが、これを除いては、各反応物から生じたミクロスフィアは固体、球状で、粒子が単分散していることが、光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡で視覚化された。
【0265】
(実施例18)
生物学的特徴づけ研究のための製剤の選択
上記の結果から、生物学的特徴づけ研究に用いるための一つのカチオン濃度を選択するための、様々なMgCl
2およびCaCl
2製剤を含む反復実験が行われた。
【0266】
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾siRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝されたPEG3500溶液が、特定の濃度でCaCl
2またはMgCl
2を含む溶液に混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートと、PEGとMgCl
2の反応ではsiRNA0.142mM、ポリマー12.5%(w/v)、MgCl
225mMまたは32.5mM、およびバッファー67mMの最終濃度で、混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAの最終モル比がそれぞれ176:1、または229:1で、混合された。PEGとCaCl
2の反応では、最終濃度は、siRNA0.142mM、ポリマー16.7%または12.5%(w/v)、CaCl
29mM、およびバッファー67mMであった。これらの反応混合物中の多価カチオンとコレステロール修飾siRNAのモル比は、63:1であった。各反応混合物が65℃で10分間インキュベートされ、混合物は透明なままだった。その後、混合物が0.8℃/分で−5℃に冷却され、その間にミクロスフィアが形成し、混合物が乳白色になった。ミクロスフィアが遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0267】
光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡での視覚化により、生成されたミクロスフィアは固体、球状で、粒径が単分散だった。Aerosizer分析は、この実験のCaCl
2ベースの製剤に、MgCl
2製剤と比較して多くの凝集が見られたことを示す。
【0268】
(実施例19)
生物学的特徴づけのためのミクロスフィアの産生
上記の結果から、生物学的特徴づけ研究のためのミクロスフィアを生成する方法が提供された。
【0269】
図17に示される、溶解されたコレステロール修飾eGFPsiRNAを含む水溶液が、37℃に加熱された。酢酸ナトリウムで緩衝されたPEG3500ポリマー溶液が、MgCl
2溶液と混合され、65℃に加熱された。65℃で、siRNA溶液のアリコートが、ポリマー/カチオン溶液のアリコートと、コレステロール修飾siRNA、ポリマー、カチオン、およびバッファーの最終濃度がそれぞれ0.142mM、12.5%(w/v)、25mM、および67mMに混合された。反応混合物中の多価カチオン対コレステロール修飾siRNAのモル比は、176:1であった。反応混合物が65℃で10分間インキュベートされ、混合物は透明なままだった。インキュベーション後、混合物が0.8℃/分で−5℃に冷却され、その間にミクロスフィアが形成され、混合物が乳白色になった。ミクロスフィアが遠心分離により集められ、50%2−メチル−2−プロパノールおよび50%水(w/v)の二元溶液で三回洗浄され、二元溶液中に再懸濁され、凍結され、乾燥粉末に凍結乾燥された。
【0270】
光学顕微鏡法および走査型電子顕微鏡での視覚化により、生成されたミクロスフィアは固体、球状で、粒径が単分散だった。Aerosizer分析も、肺送達に適した単分散の粒径を示した。
【0271】
(実施例20)
コレステロール修飾siRNAのin vivo送達
GFPタンパク質発現をノックダウンするミクロスフィアの有効性を決定するために、
コレステロール修飾eGFPsiRNAを含むミクロスフィアが、ヒトユビキチンC(UBC)プロモータの転写調節下でGFPを発現するように改変された改変遺伝子導入マウスにおいて用いられた。UBC−GFP発現遺伝子導入マウスは、Palliser,等、Nature(2006)439:89−94およびSwenson,等、Stem Cells(2007)25:2593−2600に記載されている。
【0272】
第一実験においては、上記の実施例19に記載のように調製された2nmolコレステロール修飾eGFPsiRNAミクロスフィアが、マウスに膣内投与され、72時間後に膣粘膜のGFP発現が評価された。2nmol用量は、ほぼ1mg/kgの投与量と同等だった。陰性コントロールはミクロスフィア懸濁バッファーであり、陽性コントロールはOligofectamine(Invitrogen)を伴うeGFPsiRNAであった。公知技術の技術を用いてGFP発現が検出され、定量された。
【0273】
結果は、陰性コントロールと比較して陽性コントロールでGFP発現が本質的に除去されていることを示した(
図18)。本実験の陽性コントロールが、コレステロール修飾siRNAではなかったことに注意されたい。結果はなお、コレステロール修飾eGFP siRNAミクロスフィア投与後のGFP発現が、陰性コントロールと比較して大幅に減少されていることを示し、コンセプトを証明した。
【0274】
関連実験において、上記の実施例19に記載のように調製されるコレステロール修飾siRNAミクロスフィアを用いた、アクチン−GFP遺伝子導入マウス(Guo,等、Transgenic Research(2007)16:829−834)におけるGFP発現のノックダウンが、用量依存的であることが示された。簡潔にいうと、0.0.5、1、2、および4nmolのsiRNAミクロスフィアが、マウスに膣内投与され、
膣粘膜のGFPタンパク質発現が評価された。コレステロール修飾GFPsiRNAの量の増加とともに、GFP発現のノックダウン増加が観察され、最大量のsiRNAでのノックダウンの程度が、等量のミクロスフィア製剤でないコレステロール修飾GFPsiRNAにより見られるものと基本的に等しいことが分かった(
図18A−F)。
【0275】
さらに別の関連実験では、2nmolのコレステロール修飾EGFPsiRNAミクロスフィアが、UBC−EGFP遺伝子導入マウスに膣内投与され、膣粘膜のGFP発現のノックダウンが、14日間の期間にわたり、1、3、5、7、および14日目に評価された。
【0276】
結果は、EGFP発現のノックダウンが、先の実験で観察された72時間を超えて持続されうることを示した。実際に、単回投与の後約5〜7日間ノックダウンが観察された。
【0277】
(実施例2
1)
コレステロール修飾siRNAのin vivo送達
上記の実施例において生成される微小粒子の核酸負荷の分析において、260nmでの吸光度測定により、CaCl
2を用いて形成されたときに、アンチセンスDNAオリゴヌクレオチドが微小粒子のおよそ65%〜約75%を構成し、MgCl
2で形成されたときに、非修飾siRNAが微小粒子のおよそ70%〜約95%を構成し、MgCl
2を用いて形成されたときに、コレステロール修飾siRNAが微小粒子のおよそ55%〜約90%を構成することが分かった。