【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
[製造例1]タルトチェリー果実搾汁液の凍結乾燥物の製造
タルトチェリー果実搾汁液の調製例として、果実搾汁液凍結乾燥物の調製方法を以下に示す。なおタルトチェリー果実搾汁液の効果はその調製方法によらない。
タルトチェリー(Prunus cerasus)の果実を破砕した後、種子を除去し圧搾した。これを加熱濃縮後、ろ過をして得られたろ液をタルトチェリー果実搾汁液とした。このときのタルトチェリー果実搾汁液の乾燥固形分は67%であった。さらに果実搾汁液を凍結乾燥しタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物を得た。
[製造例2]タルトチェリー果実抽出物の製造
タルトチェリー果実抽出物の調製例として、溶媒抽出による調製方法を以下に示す。なおタルトチェリー果実抽出物の効果はその調製方法によらない。
タルトチェリー(Prunus cerasus)の果実10gを破砕し、50vol%1,3−ブチレングリコール溶液100mLを加え、室温にて3日間抽出を行った後、ろ過してタルトチェリー果実抽出物を得た。
【0020】
実施例1
<美白効果の評価>
マウス由来のB16メラノーマ培養細胞を使用し、製造例1で得られたタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物のメラニン生成抑制効果を調べた。具体的には、2枚の6穴プレートに10%FBS含有MEM培地を適量とりB16メラノーマ細胞を播種し、37℃、二酸化炭素濃度5%中にて静置した。翌日、製造例1で得られた果実搾汁液凍結乾燥物を、その最終濃度が0μg/mL(対照)、30μg/mL、100μg/mL、300μg/mLとなるように水に溶解して添加し混和した。培養5日目に培地を交換し、再度検体調製液を添加した。翌日、培地を除き、1枚のプレートについて、細胞をリン酸緩衝液にて洗浄した後回収し、B16メラノーマ培養細胞の白色化度を以下の基準にて評価した。対照には検体を添加しないものを用意した。
(判定基準)
++:コウジ酸200μg/mLを添加した試料と同程度の美白効果を示す。
+ :コウジ酸100μg/mLを添加した試料と同程度の美白効果を示す。
± :コウジ酸50μg/mLを添加した試料と同程度の美白効果を示す。
− :対照と同じ黒色を示す。
また残りの1枚のプレートについて、細胞をホルマリン固定後、1%クリスタルバイオレット溶液に添加し染色した。各検体濃度に対する細胞生育率(%)をモノセレーター(オリンパス社製)で測定した。
結果を下記表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の結果から、製造例1で調製したタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物は++という高い美白効果を示すとともに、その高い美白効果を示す濃度において細胞生育率の低下が少ないという安全性に優れた美白剤であることがわかる。
したがって、本発明のタルトチェリー果実搾汁液は美白剤として利用することができる。また、皮膚外用剤や化粧料に配合することでメラニン生成を抑制し、皮膚のシミ、ソバカスを防ぐ皮膚外用剤又は化粧料を作成することができる。
【0023】
実施例2:化粧水
(成分) (質量%)
1 グリセリン 5
2 1,3−ブチレングリコール 6.5
3 ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル
4 エタノール 12
5 乳酸 0.05
6 乳酸ナトリウム 0.1
7 アスコルビン酸グルコシド 2
8 製造例1のタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物 0.0001
9 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
10 香料 適量
11 精製水 残量
【0024】
(製造方法)
A:成分3、4及び9、10を混合溶解する。
B:成分1、2、5〜8及び11を混合溶解する。
C:AとBを混合して均一にし、化粧水を得た。
【0025】
実施例3:乳液(水中油型)
(成分) (質量%)
1 ポリオキシエチレン(10E.O.)ソルビタン 1
モノステアレート
2 ポリオキシエチレン(60E.O.)ソルビット 0.5
テトラオレエート
3 グリセリルモノステアレート 1
4 ステアリン酸 0.5
5 ベヘニルアルコール 0.5
6 スクワラン 8
7 アルブチン 3
8 エタノール 5
9 製造例2のタルトチェリー果実抽出物 0.001
10 精製水 残量
11 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
12 カルボキシビニルポリマー 0.2
13 水酸化ナトリウム 0.1
14 ヒアルロン酸 0.1
15 香料 適量
【0026】
(製造方法)
A:成分10を加熱し、70℃に保つ。
B:成分1〜6、8及び11を加熱混合し、70℃に保つ。
C:BにAを加えて混合し、均一に乳化する。
D:Cを冷却後、成分7、9、12〜15を加え、均一に混合して乳液を得た。
【0027】
実施例4:リキッドファンデーション(水中油型クリーム状)
(成分) (質量%)
1 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合(注1) 0.5
2 トリエタノールアミン 1.5
3 精製水 残量
4 グリセリン 5
5 パラオキシ安息香酸エチル 0.1
6 1,3ブチレングリコール 5
7 水素添加大豆リン脂質 0.5
8 酸化チタン 5
9 ベンガラ 0.1
10 黄酸化鉄 1
11 黒酸化鉄 0.05
12 ステアリン酸 0.9
13 モノステアリン酸グリセリン 0.3
14 セトステアリルアルコール 0.4
15 モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
16 トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
17 パラメトキシケイ皮酸2―エチルヘキシル 5
18 製造例1のタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物 0.001
19 香料 0.02
(注1)ペミュレンTR−2(NOVEON社製)
【0028】
(製造方法)
A:成分6〜11を分散する。
B:Aに成分12〜17を加え70℃で均一に混合する。
C:成分1〜5を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加え乳化し、室温まで冷却する。
E:Dに成分18、19を添加し均一に混合して水中油型クリーム状リキッドファンデーションを得た。
【0029】
実施例5:日焼け止め化粧料(油中水型クリーム状)
(成分) (質量%)
1 モノラウリン酸ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 0.2
2 ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
3 精製水 残量
4 ジプロピレングリコール 10
5 硫酸マグネシウム 0.5
6 アスコルビン酸グルコシド 2
7 シリコーン化合物(注2) 3
8 デカメチルシクロペンタシロキサン 20
9 イソノナン酸イソトリデシル 5
10 パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 8
11 製造例2のタルトチェリー果実抽出物 0.001
12 ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
(注2)KF−6028(信越化学工業社製)
【0030】
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に分散する。
B:成分7〜12を均一に分散する。
C:Bを攪拌しながら徐々にAを加えて乳化し、油中水型クリーム状日焼け止め化粧料を得た。
【0031】
実施例6:軟膏剤
(成分) (質量%)
1 ステアリン酸 18
2 セタノール 4
3 酢酸DL−α―トコフェロール(注3) 0.2
4 パラオキシ安息香酸メチル 0.1
5 製造例1のタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物 0.1
6 トリエタノールアミン 2
7 グリセリン 5
8 精製水 残量
(注3)エーザイ社製
【0032】
(製造方法)
A.成分6〜8を加熱混合し、75℃に保つ。
B.成分1〜5を加熱混合し、75℃に保つ。
C.AにBを徐々に加え、これを冷却しながら混合し、軟膏剤を得た。
【0033】
実施例7:ローション剤
(成分) (質量%)
1 ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン 1.2
モノラウリン酸エステル
2 エタノール 8
3 パラオキシ安息香酸メチル 0.2
4 製造例2のタルトチェリー果実抽出物 0.1
5 1,3−ブチレングリコール 6.5
6 グリセリン 20
7 アラントイン(注4) 0.2
8 精製水 残量
(注4)メルク社製
【0034】
(製造方法)
A.成分1〜4を混合溶解する。
B.成分5〜8を混合溶解する。
C.AとBを混合して均一にし、ローション剤を得た。
【0035】
実施例8:パック化粧料
(成分) (質量%)
1 ポリビニルアルコール 15
2 グリセリン 10
3 ポリオキシエチレンメチルグルコシド 3
4 トリオクタン酸グリセリル 5
5 グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
6 ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム 1
7 エタノール 20
8 カオリン 2
9 酸化チタン 2
10 乳酸(50%水溶液) 0.5
11 乳酸ナトリウム(50%水溶液) 0.5
12 防腐剤 適量
13 香料 適量
14 製造例1のタルトチェリー果実搾汁液凍結乾燥物 0.1
15 精製水 残量
【0036】
(製造方法)
A.成分1〜6及び15を70℃で加熱混合し、室温まで冷却する。
B.Aに成分7〜14を添加混合してパック化粧料を得た。
【0037】
上記各実施例で調製した化粧水、乳液、リキッドファンデーション、日焼け止め化粧料、軟膏剤、ローション剤、パック化粧料は、いずれも美白効果に優れ、これを皮膚に適用することにより、シミ、ソバカスを防ぐなど優れた効果を発揮するものであり、沈殿物等の発生もなく、安定性も良好で感触の優れたものである。