(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に、印刷版を処理する熱現像システム20を示す。印刷版は、限定されないが、凸版印刷プレートおよびフレキソ印刷プレート等のレリーフプレート、プラスチックフィルム、ゴム等のシート材料ならびに半剛性基材および非剛性基材を含む、種々の印刷版のうちの任意のものであり得る。フレキソ印刷プレートが、本発明の方法およびシステムで使用される好ましい印刷版であるが、他の印刷版を使用することも可能である。
【0023】
本明細書で開示する発明を、印刷版が回転可能装置の周囲に固定される任意のシステムで使用することができる。本明細書では回転ドラムという用語を、周囲に印刷版が固定される任意の回転可能装置を包含するように用いる。たとえば、本明細書に開示する発明を、熱プロセッサ、印刷機、他のタイプの印刷機および他の同様の装置で使用することができる。本明細書に開示する発明は、印刷版の長さが変化する場合に特に有用である。この理由で、本明細書に開示する発明は、版が平坦面に配置される場合に応用されることがさらに企図されている。さらに、本発明は、表面コーティング、グリットブラスト加工等の表面洗浄、表面彫刻および感光ウェブを含む他の分野でも応用される。本明細書に開示する発明を用いることができるタイプの装置の例示的な実施形態を
図1に示す。しかしながら、この熱現像システム20は、例として開示するものである。
【0024】
図1は、熱現像システム20の第1の実施形態を示し、そこでは、システムは、レリーフ印刷版として使用されるのに好適な感光性印刷エレメントを処理する熱プロセッサである。熱現像システム20は、他の機械とともに使用されて、完成した印刷版を形成する。熱現像システム20での処理の前に、印刷版22はまず、印刷版22の露出部分を光重合性層の重合を通して硬化させかつ不溶性にする化学線に露光される。印刷版22は、前方部24、後方部26および外面28を備えている。像様露光の後、印刷に好適なレリーフ面を形成するために、印刷版の未硬化部分(すなわち未露光部分)を除去しなければならない。未硬化部分を、溶剤を用いて未露光部分を洗い流すことにより除去することができるが、この洗浄プロセスには実質的な乾燥時間が必要である。熱処理は、溶剤の使用と印刷版を乾燥させるための関連する時間とを回避する。したがって、
図1に示す熱処理は好ましい方法である。
【0025】
熱現像システム20は、1つまたは複数の方法で印刷版22を加熱することにより、フレキソ印刷プレートまたは印刷版22から未露光ポリマーを除去し、それにより、印刷版22の未露光部分を液化する。そして、印刷版22に不織ウェブ32等の現像媒体を接触させることにより、印刷版22の未露光部を含む溶融ポリマーを吸収する。そして、ウェブは印刷版22から離れるように巻き取られ(より詳細に後述する)、それにより印刷版から未露光材料を除去する。印刷版22から未露光部分が除去されると、印刷版22は熱現像システム20から除去され、使用の用意ができる。
【0026】
図示する実施形態では、熱現像システム20は、好ましくはウェブサブシステム34、箔サブシステム36、廃棄物サブシステム38および印刷版サブシステム40を有している。サブシステムの各々については後により詳細に説明する。本発明の新規の部分は、印刷版サブシステム40の新たな特徴に関する。
【0027】
ウェブサブシステム34は、現像媒体のウェブ32、好ましくは吸収材不織ウェブを、熱現像システム20を通して連続的に供給する。ウェブ32を、印刷版の未露光部分を印刷版から転写することができる、任意の不織材料または織物材料から構成され得ることが理解されよう。ウェブの目的は、熱処理中に印刷版22に接触し、印刷版の溶融した未露光部分を除去することである。ウェブサブシステム36は、好ましくは、供給ロール42とローラ42、44、46、48および50とを有している。吸収材ウェブ32は、供給ロール42から引き出され、ロール44、46、48および50間の蛇行経路を通過する。さらに後述するように、その後、ウェブ32は圧力ローラ52の上に案内され、そこで、箔サブシステム36から供給される箔54と嵌合し、印刷版サブシステム40のドラム56に巻き付けられた印刷版22と接触する。
【0028】
箔サブシステム36は、好ましくは、印刷版22と嵌合するPET箔を供給する。箔54の目的は、印刷版22の溶融した非重合部分と、現像プロセス中に放出される他の揮発性物質から、熱現像システム20の部分を保護することである。ウェブ32は、印刷版22の溶融部分の大部分を吸収するが、溶融材料は、箔54がない場合、ウェブ32に浸透し、圧力ローラ52および廃棄物サブシステム38内の他のローラ上に沈着物を形成する。箔54は、これら沈着物の形成を防止し、さらに、熱現像システム20の一部の上に揮発性物質が凝縮するのを防止する。箔54は任意の好適な材料であり得るが、最も好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)箔である。図示する好ましい実施形態では、箔サブシステム36は供給ロール48とローラ60、62および64とを有している。箔54は、供給ロール58から引き出され、ロール60、62および64の間の蛇行経路を通過する。そして、箔54は圧力ローラ52の上に案内され、そこで、吸収材ウェブ32と嵌合することにより、印刷版22に押圧されているウェブ32に押圧される。
【0029】
廃棄物サブシステム38は、使用済みウェブ32および箔54を収集するためのものである。廃棄物サブシステム38は、好ましくは、ローラ66、68、70、72、74および76を有している。ローラ66、68、70、72、74及び76は巻取ローラであり、印刷版サブシステムにおいて互いに押圧された後のウェブおよび箔に対する蛇行経路を提供する。ローラ76は廃棄物巻取ローラであり、その周囲においてウェブ32および箔54が収集される。
【0030】
ロール44、46、48、50、66、68、70、72、74のうちの1つまたは複数は巻取ロール76とともに、ウェブ32を駆動することができる。ロール60、62、64、66、68、70、72、74のうちの1つまたは複数は巻取ロール76とともに箔54を駆動することができる。ロール44、46、48、50、60、62、64、66、68、70、72、74のうちの1つあるいは複数、またはさらには供給ロール42および58は、ウェブ32および箔54の張力をその搬送経路において維持する制動機構を有することができる。ブレーキは、本技術分野において既知であるタイプの電子ブレーキであり得る。さらに、ローラならびにウェブおよび箔の経路の数を例として示すが、いかなる数のローラおよび経路を使用することも可能である。
【0031】
印刷版サブシステム40は、好ましくは、ドラム56、冷却システム78、外部ヒータ80、圧力ローラ52、赤外線ヒータ82、アーム84およびニップ86を有している。ドラム56は、熱現像プロセス中の印刷版2に対する付着点である。ドラム56についてはまた、印刷版固定および張力付与サブシステム100、220に関連してより詳細に説明する。ドラム56を用いて、印刷版22をウェブ32に対して回転させ、それにより、未露光溶融ポリマーを除去することができる。ドラム56は、略円筒形状を有し、表面88を備えている。ドラム56は、端部90および92(
図10に示す)をさらに備えている。ドラム56は、回転するために固定支持枠(図示せず)に取り付けられている。この実施形態では、ドラム56は、矢印56aによって示すように左回り方向に回転する。当業者には、熱現像システム20を、ドラム56が右回り方向に回転するように構成することができることが明らかとなろう。ドラム56は、非可撓性または実質的に非可撓性であり、それにより、熱現像プロセス中に形状が大幅に変化しない。
【0032】
好ましい実施形態では、ドラム56は冷却システム78をさらに備えている。冷却システム78は、好ましくは水冷システムであり、そこでは、ドラム56と接触している間の印刷版22の裏側または支持体の温度を維持するように、冷却水がドラム内で循環する。一実施形態では、印刷版の支持体は、印刷版用の支持体のガラス転移温度未満の温度、すなわち130F°未満で維持される。これにより、支持体が歪むことがなく、印刷版22がその形状を保持することが確実になる。(特許文献4)に開示されているように、ドラムは、感光性印刷版22およびドラム56の表面に空気流を向けるブロワ(図示せず)等、別の冷却手段によって冷却されることも可能である。
【0033】
別法として、ドラム56にドラムヒータ(図示せず)を備えてもよい。ドラムヒータ(図示せず)を用いて、熱現像中に周囲環境とは無関係に、感光性印刷版22を安定した開始温度で維持することができ、それにより、印刷版の未現像部分が溶融状態であり、ウェブ32によって吸収され得ない。ドラムヒータ(図示せず)は、巻線ブランケット等の電気加熱ブランケットであってもよい。しかしながら、ヒータの電力容量が、ドラム56の外面88の適切に一定の選択された表面温度を維持するのに十分である限り、ドラム56を加熱するいかなる手段も許容可能である。ドラムを加熱する手段は、ドラム56を、印刷版22の外面28を加熱することができる温度まで加熱することができる。水等の加熱流体をドラム56の表面の下で循環させることにより印刷版22を加熱してもよいことも企図されている。
【0034】
図示する好ましい実施形態では、ドラムの外面88の温度は約50〜150°F(10〜65.6℃)、好ましくは75〜95°F(23.9〜35℃)である。これらのパラメータは例示的なものであり、それらパラメータを、特定の用途に適合するように調整することができる。正常な動作環境が、一定温度であるように注意深く制御される場合、ヒータをオフにするか、または装置から省略することができる。
【0035】
一実施形態では、印刷版サブシステム40は、外部ヒータ80をさらに備えている。外部ヒータ80は、ドラム56に隣接して位置し、図示する実施形態では、ブロワが印刷版22の外面28に向けられている、スロット噴流強制空気ヒータである。外部ヒータ80は、印刷版22の表面28の温度を、印刷版22の未露出部分を溶融させるかまたは軟化させるのに十分な温度まで上昇させ、層の一部を液化する。液体状態では、印刷版22の未硬化部分をウェブ32によって吸収することができる。空気ヒータ80は、加熱空気を印刷版22の外面28上に送風することにより機能する。図示する実施形態では、外部ヒータ80は、印刷版22を加熱するように空気圧で配置される。
【0036】
代替実施形態(図示せず)では、外部ヒータ80は、複数の管状赤外線加熱バルブを備えることができ、それらは、それらに電気接続を提供する端部支持体に取り付けられている。この代替実施形態は、赤外線を感光性印刷版22の外面28に向かって集束させかつ向けるように作用する、バルブの側面に隣接して位置する反射板をさらに備えている。別の代替実施形態(図示せず)では、外部ヒータ80は、反射板とともに端部支持体に取り付けられた1つの管状赤外線加熱バルブを使用する。
【0037】
印刷版サブシステム40は、印刷版22を加熱する別の手段として圧力ローラ52を有することができる。圧力ローラ52は、印刷版22の外面28の温度を維持するかまたはさらに上昇させ、それにより印刷版の未現像部分がウェブ32と接触する時に液体状態であることを確実にする。圧力ローラ52を、赤外線ヒータ(複数可)等の放射ヒータ82によって加熱することができる。圧力ローラ52を、カートリッジヒータ等の他の加熱手段によって加熱することができる。圧力ローラ52は、印刷版22を支持するドラム56に隣接して配置される。圧力ローラ52もまたヒータ80に隣接している。
【0038】
圧力ローラ52はまた、ウェブ32および箔54を印刷版22の外面28に接触させる手段としても作用する。ウェブ32および箔54がそれぞれウェブサブシステム34および箔サブシステム36を通過した後、ウェブ32および箔54は、蛇行経路に沿って圧力ローラ52の周囲を通過することによって接合する。ウェブ32および箔54が圧力ローラ52を通過する際、ウェブ32は、印刷版22の外面28に対して押圧され、それにより印刷版22の溶融した未露光部分を吸収する。
【0039】
印刷版サブシステム40は、ドラム56と圧力ローラ52との間の相対運動手段を提供するアーム84をさらに備えている。アーム84は、感光性印刷版22および現像媒体のウェブ32を互いに接触させることができるように機能する。相対移動を提供する手段を、たとえば圧力ローラ52(および/またはドラム56)を、圧力ローラ52を移動させる2位置空気圧ロール装填シリンダ(複数可)83に取り付けられたアーム84上に取り付けることによって達成することができる。代替実施形態では、圧力ローラ52の相対移動を、ステッピングモータまたはサーボモータによって駆動することができる。ドラム56、圧力ローラ52およびヒータ80における加熱エレメントを制御する目的で温度を監視するために、熱現像システム20を通して温度センサを取り付けることも可能である。
【0040】
ニップ86、すなわち圧力ローラ52とドラム56との間の間隔は、圧力ローラ52がこの実施形態の場合は係合位置にある時、好ましくはゼロセンチメートルである。処理中に版22の外面28のニップ86に実質的に一様の圧力が加えられるように間隔を設定することが望ましい。吸収材ウェブを強制的に感光性印刷版22に密接に接触させるように圧力が加えられる。ニップ86を、任意の特定の用途に適合するように異なるパラメータに調整することができることが理解されよう。
【0041】
第1加熱手段として作用しているヒータ80と、第2加熱手段として作用している圧力ローラ52とは、独立してまたは任意の組合せで、感光性印刷版22の外面28を、組成物層の一部、すなわち未露光部分を液化するのに十分な温度まで加熱することができる。印刷版22を加熱する追加のかつ別の方法が可能であり、本システムおよび方法に含めることは、当業者の技能の範囲内にある。冷却システム78は、印刷版が熱処理中にその形状を保持することを確実にするように、印刷版22の裏側面、たとえば支持体を冷却するように機能する。
【0042】
感光性印刷版22を熱現像するプロセス用の装置の動作を、
図1を参照して説明する。熱現像システム20は、ドラム56が静止し送りトレー96に隣接している定位置にある。ドラム56には、支持部材98が先に取り付けられている。別法として、ドラム56は、支持部材98がドラム56と一体的であるように構成されている。支持部材98は、外側表面88を有している。操作者は、送りトレー96に感光性印刷版22を配置する。そして、操作者は、印刷版22の前方部24をドラム56上に係合させる(後により詳細に説明する)。ヒータ80および/または任意のドラムヒータ(図示せず)を用いてドラム56を予熱してもよい。冷却システム78を用いてドラム56を冷却してもよい。圧力ローラ52用のカートリッジヒータ(図示せず)を用いて圧力ローラが予熱される。ドラム56は回転を開始し、感光性印刷版22を、支持部材98に隣接するように支持する。印刷版22がヒータ80に達する前にヒータ80を予熱してもよく、その後、印刷版22上の組成物層を溶融させ、軟化させまたは液化するために所望の温度に達する動作設定に切り替えてもよい。印刷版22の前方部24が、圧力ローラ52がドラム56と接触する位置を通過した後、空気圧ロール装填シリンダ(複数可)83が圧力ローラ52に取り付けられたアーム84を移動させ、それにより、吸収材ウェブ32および箔54を印刷版22に接するように支持する。感光性印刷版組成物層は、最も好ましくは、現像媒体と接触している間に40〜230℃(104〜392°F)まで加熱される。(これらのパラメータは例示的なものである。)現像ウェブ32は、印刷版22の外面28に接触し、組成物層の未露光部分からポリマーの液化部分を吸収し、フレキソ印刷版として使用されるのに好適なレリーフパターン又は表面を形成する。未硬化領域において溶融している印刷版22と、現像媒体32のある程度密接した接触を維持することにより、印刷版22から現像ウェブ32への未硬化感光性材料の転写が行われる。依然として加熱状態である間に、現像ウェブ32は硬化した印刷版22から分離され、それによりレリーフ構造が現れる。
【0043】
印刷版22の後方部が、圧力ローラ/ドラム接触箇所、すなわちニップ86を通過する際、ヒータ80は冷却するかまたはオフとなってもよく、空気圧ロール装填シリンダ83は圧力ローラ52を後退させ、ウェブ32および箔54の移動は停止する。ドラム56は、印刷版22の前方部24を定位置に戻すことにより、加熱および接触の次のサイクルを開始することができる。外面28を液化し溶融部分を現像媒体に接触させるように印刷版22を加熱するステップのサイクルを、未硬化材料を適切に除去し十分なレリーフ深さを形成するために必要な回数繰り返すことができる。しかしながら、好適なシステム性能に対してサイクルの数を最小限にすることが望ましく、通常、光重合性印刷版は、5〜15サイクル熱処理される。現像材料の組成物層への密接な接触(未硬化部分が溶融しているか液化している間)を、層および現像材料を互いに押圧することによって維持することができる。
【0044】
本発明の新規な特徴は、アクチュエータサブシステム160および印刷版張力付与サブシステム220を有する印刷版固定サブシステム100と、印刷版除去サブシステム230とに関し、それらすべてを、プロセッサ20において、プロセッサ20の動作中、印刷版を回転ドラム20の周囲に固定し、印刷版に対する張力を維持するために使用することができる。本発明の新規な特徴を、熱プロセッサ20に関して説明するが、本明細書に開示する発明を、回転ドラムの周囲で固定されかつ/または引っ張られなければならない印刷版を用いる任意の機械で使用することができることが理解されよう。印刷版固定サブシステム100およびその動作について最初に説明し、それに続いて、張力付与サブシステム220の構造および動作について説明する。
【0045】
印刷版固定サブシステム
図2〜
図7に示す好ましい実施形態では、印刷版固定サブシステム100は、ドラム56、ヘッドピンバー102、回転可能部材104、スタンパバー106、レイダウンロール108、110および作動サブシステム160を有している。印刷版サブシステム40に関して上述したように、ドラム56が、熱現像プロセス中の印刷版22に対する付着点である。ドラム56はまた、ウェブ32に対して印刷版22を回転させるようにも用いられ、それにより、未露光溶融ポリマーを除去することができる。さらに、ドラム56は、印刷版張力付与サブシステム220に関連してさらに後述するように、印刷版22に対する張力を確保しかつ生成するように機能する。さらに、印刷版固定サブシステム100は、システムが種々の長さのプレートを受け取るのを可能にし、それは、システムを用いて、印刷版をドラムに対し円周方向の任意の2つの箇所に固定することができるためである。
【0046】
印刷版固定サブシステム100はまた、ドラム56の表面88に位置するヘッドピンバー102も有している。ヘッドピンバー102は、好ましくは印刷版22の前縁部である印刷版22の一部分を固定するように機能する。ヘッドピンバー102は、ドラム56の表面88を横切って略直線状に位置合わせされるピン112を備えている。ヘッドピンバー102は、後述する印刷版除去サブシステムに関してより詳細に説明するように、印刷版22の除去に役立つ切抜き部を有することができる。ピン112は、印刷版22の第1部分、好ましくは前方部24を貫通するように機能し、それにより、前方部24をドラム56に固定する。別法として、印刷版は予め形成された穴を有することができ、ピン112を予め形成された穴を通して打ち抜くことにより、印刷版の第1部分を固定することができる。
【0047】
ピン112は、印刷版22を貫通し、又は印刷版22の予め形成された穴に挿入されて、印刷版22の第1部分、好ましくは前方部24をドラム56に固定するように機能する。ピンを構成する材料は、貫通先端部を、印刷版を貫通するのに十分鋭利であるように維持し、かつ/またはその形状を、複数の印刷版を固定しかつ引っ張るのに用いられるように維持する限り、限定されない。一実施形態では、ピン112を、市販の硬化鋼ダウエルピンから構成してもよい。ピンに好適な他の材料には、4140または4037等、約ロックウェル54C/58Cまで硬化した材料の工具鋼タイプが含まれる。工具鋼材料は、標準規格ASME B18.8.2を満たす。ピンに対する他の好適な材料には、AISI(米国鉄鋼協会標準規格)5155または5155H、すなわち60HRC(ロックウェルスケールCでの硬度)の最小表面硬度まで焼入れされ焼き戻されたクロム鋼、およびAISI 6150または6150H、すなわち60HRCの最小表面硬度まで焼入れされ焼き戻されたクロム・バナジウム鋼が含まれる。他のタイプの比較的硬質のステンレス鋼を用いてもよい。
【0048】
ピン112は、尖った頂部を有し、処理中に印刷版22の第1部分をドラム56に対し引張り状態で確実に保持するために十分な数値で、ドラム56の幅(すなわち軸長)を横切って間隔が空けられている。一実施形態では、ピン112は、尖った頂部を有し、0.500インチ中心にドラム56の幅を横切っておよそ0.438インチ間隔が空けられている。ピンは直径が0.0625インチである。ピン112をドラムの表面88に結合するために、ドラム56は、ドラム56の幅に広がる機械加工された溝穴(図示せず)を有している。ピン112は、一続きの真鍮バー(図示せず)内に圧入され、真鍮バーは、ドラム56の溝穴内にボルト締めすることによって締結されている。当業者は、ピンを保持しているバー(図示せず)を、アルミニウムまたはアルミニウム・青銅合金を含む広範囲の半軟質材料から構成してもよいことを理解するであろう。当業者は、ピン112を、種々の技法のいかなるものによってドラム56に結合してもよいことを理解するであろう。これには、ピン112をドラム56の内側から取り付けること、またはピン112をドラムの表面に溶接することが含まれ得る。
【0049】
印刷版を確実に操作するかまたは保持するために、大部分の実施形態では、ピン112は、ドラム面の上方に、印刷版厚さを通して十分に延在する高さを有している。印刷版22がエラストマー層から構成される実施形態では、ピン112は、印刷版22の厚さがピン112の角度付き先端部の最高点またはその下方に位置するような高さである。
図2aにおいて詳細に示すように、一実施形態では、ピン112は、概して、0.250インチ厚さまでの印刷版22を操作するために、ドラム表面から上方に0.250インチ延在している。ピン112は、ドラム中心線から半径方向に延在し、通常、一方の側が約65度の先端角まで鋭利にされている(すなわち、鋭利にされた面の角度が、ピン112の軸に対して垂直な面から65度である)。当業者は、ピン112を複数の方法で成形してもよいことを理解するであろう。たとえば、ピン112は65度以外の角度を有していてもよく、鋭利にされていない最上部を含んでもよい。さらに、用途によっては、処理中に印刷版22をドラム56上に維持するように固定サブシステム100を支援するために、ピン112を、ドラム表面88に対する接線に対してわずかな角度にすることが望ましい場合もある。
【0050】
本発明の固定システム100は新規であり、ピンの第1セットおよびピンの第2セットは、印刷版の第1部分および第2部分を受け取る新規な手段をそれぞれ備えている。新規な張力付与および駆動システム等、本明細書では他の発明を開示することが理解されよう。新規な張力付与および起動サブシステムを、ピンの第1セットおよび第2セットが印刷版の第1部分および第2部分をそれぞれ受け取る第1手段および第2手段を構成する、上述した固定システムと使用することができる。しかしながら、この新規な張力付与および駆動サブシステムを、印刷版を受け取る他の第1手段および第2手段と採用することができる。たとえば、この新規な張力付与および駆動サブシステムを、前方部および後方部24をドラム56に対して固定するクランプまたは他の構造を備える、受け取る第1手段および第2手段と用いてもよい。しかしながら、ピンは、材料を貫通し、印刷版を固定するためにピンと印刷版との間の摩擦とともに印刷版に対する張力に依存する一方、クランプは、印刷版を固定するために摩擦圧縮締付力に依存するため、クランプは上述したピンとは実質的に異なるように動作することが留意されるべきである。
【0051】
印刷版固定サブシステム100は、回転可能部材104をさらに備えている。回転可能部材104は、印刷版22の前方部24をヘッドピンバー102に対して位置決めするのに役立つように機能する。回転可能部材104はまた、印刷版22の後方部14を固定し、印刷版22に対する張力を維持するようにも機能する。
【0052】
回転可能部材104は、本体114、端部116およびアーム118を備えている。本体114は、6つの側面、すなわち正面120、背面122、頂面124、底面126、左側面128および右側面130備えた略矩形形状を有している。右側面130は平坦縁132を備えている。平坦縁132は、印刷版22の前方部24の位置合せを補助することにより、印刷版22の前方部24を固定するのに役立つように機能する。
【0053】
回転可能部材104の端部116は、テールピンバー134をさらに備えている。テールピンバー134は、テールピンバー134により印刷版22の第2部分、最も好ましくは後方部26を固定するように機能する。端部116は概して5つの面、すなわち頂面136、底面138、正面140、背面142および側面144を有している。端部116は、略三角形断面を有している。端部116は、その側面144と本体114の左側面128とに沿って本体114に連結している。
【0054】
テールピンバー134は端部116に位置している。テールピンバー134はピン146を備えており、ピン146は、ヘッドピンバー102のピン112と概して平行であるように略直線状に位置合わせされる。ピン146は、端部116に固定され、ピン146の頂部は、端部116の頂面136から突出している。ピン146は、印刷版22を貫通し、印刷版22の後方部26を回転可能部材104に固定するように機能する。別法として、ピン146を、印刷版22の予め形成された穴に挿入するかまたは打ち抜くことができる。別法として、ピン146を、印刷版22の予め形成された穴に挿入するかまたは打ち抜くことができる。ピン146を、ピン112と同じ材料から構成してもよく、またはピン112に関して述べたように他の任意の好適な材料から作製してもよい。
【0055】
ピン146は、先の尖った頂部を有し、処理中に印刷版22の第2部分を引張り状態で回転可能部材104に確実に保持するのに十分な数値で、本体114の幅(すなわち軸長)を横切って間隔を空けて配置されている。一実施形態では、ピン146は、先の尖った頂部を有し、0.500インチ中心に回転可能部材104の幅を横切っておよそ0.438インチ間隔で配置されている。回転可能部材104に実際に埋め込まれる代りに、回転可能部材104は、ドラム56の幅に広がる機械加工された溝穴(図示せず)を有している。ピン146は、テールピンバー134を含む一続きの真鍮バー(図示せず)内に圧入されている。そして、真鍮バーは、回転可能部材104の溝穴内にボルト締めすることによって締結されている。上述したように、当業者は、ピンを保持しているバー(図示せず)を、アルミニウムおよびアルミニウム・青銅合金を含む広範囲の軟質材料から構成してもよいことを理解するであろう。
【0056】
印刷版を確実に操作するかまたは保持するために、大部分の実施形態では、ピン146は、回転可能部材104の頂面136の上方に、印刷版厚さを通して十分に延在する高さを有している。印刷版22がエラストマー層から構成される実施形態では、ピン146は、印刷版22の厚さがピン146の先端部にまたはその下方に位置するような高さである。
図2aに詳細に示すように、ピン146は、概して、回転可能部材104の端部116の頂面136の上方に、印刷版22を保持するかまたは操作するのに十分な高さで延在している。一実施形態では、ピン146は、0.250インチ幅までの印刷版22を操作するために、回転可能部材104の端部116の頂面136の0.250インチ上方に延在している。一実施形態では、ピン146は、(回転可能部材102の頂面136の相対的な垂直方向に基づき)回転可能部材104から半径方向に延在しており、概して、一方の側が約65度の先端角まで鋭利にされている(すなわち、鋭利になった面の角度が、ピン146の軸に対して垂直な面から65度である)。上述したように、当業者は、ピン146を複数の方法で、ドラム56に取り付けて、位置決めし成形してもよいことを理解するであろう。これには、回転可能部材104の内側からピン146を取り付けること、またはピン146を回転可能部材104の端部116の頂面136に溶接することが含まれ得る。同様に、ピン146を、65度以外の角度で配置してもよく、ピン146は鋭利にされていない頂部を含んでいてもよい。
【0057】
回転部材104は、アーム118をさらに備えている。アーム118は、ドラム56とは無関係にかつ別個に回転可能部材104を回転させるように機能する。アーム118による回転可能部材104の回転は、印刷版22の後方部26を回転可能部材104に固定するのにさらに役立つ。アーム118は、内側部分148および外側部分150を備えている。アーム118は、ドラム56の端部90および92に隣接して位置している。外側部分150は、回転可能部材104の本体114に連結している。内側部分148は、回転可能部材104を回転可能部材軸152に連結している。回転可能部材軸152は、ドラム軸154に一致する。ドラム軸154は、ドラム56が回転する際に中心となる軸として定義される。回転可能部材104のさらなる特徴については、印刷版張力付与サブシステム220に関して後述する。
【0058】
印刷版固定サブシステム100は、スタンパバー106をさらに備えている。スタンパバー106は、ヘッドピンバー102およびテールピンバー134の上に印刷版22を押圧するように機能する。スタンパバー106は、プレート係合部156をさらに有している。プレート係合部156はスタンパ底部158を備えている。一実施形態では、スタンパ底部158は、ピン112、146の形状および間隔に対応する開口部を有する「歯状」面(図示せず)を備えている。他の実施形態は、ピン112、146の形状で切抜き部を有していてもよい。スタンパバー106は、印刷版22に係合すると、印刷版22をピン112、146の上に押圧する。スタンパバー106の印刷版22との係合により、ピン112、146は印刷版22に穴を開け、それにより、印刷版の一部がピン112、146に固定される。スタンパバー106を手動で制御してもよいが、自動で制御することが好ましい。たとえば、センサが、印刷版22の前縁24がスタンパバー106の下にある時を検知し、コントローラに信号を送信してもよく、それにより、スタンパバー106が、非打抜き位置から打抜き位置まで、および非打抜き位置に戻るように循環し移動する。打抜き位置では、スタンパバー106は、印刷版を、ピンの第1セットまたは第2セットのいずれかに押し通す。
【0059】
印刷版固定サブシステム100は、レイダウンロール108、110をさらに備えている。レイダウンロール108、110は、印刷版22を固定するプロセス中に印刷版22に係合し、印刷版22がドラム56の表面と同一平面に位置合わせされることを確実にする。図示する実施形態では、レイダウンロール108、110は、形状が略円筒状である。レイダウンロール108、110は、ドラム56上で印刷版22と接触する係合位置と、印刷版22と接触しない係合解除位置とにあり得るように、印刷版固定サブシステム100内に取り付けられている。好ましい実施形態は2つのレイダウンロール108、110を示しているが、印刷版22を固定し、引っ張り、および除去するために1つのレイダウンロールのみが必要であることが理解されよう。印刷版22の位置決めをさらに制御するために、3つ以上のレイダウンロールを用いてもよいことがさらに理解されよう。
【0060】
印刷版固定サブシステム100はドラムブレーキ216をさらに備えている。ドラムブレーキ216を
図8に示す。ドラムブレーキ216は、固定プロセス中にドラム45の動きを制限するために用いられる。ドラムブレーキ216は、好ましくはシューブレーキである。ドラムブレーキ218が、別法として、摩擦型ディスクブレーキ、歯付き滑り止め型ブレーキ、または位置合せ穴と一致するシリンダ起動位置合せピンであってもよいことが理解されよう。
【0061】
印刷版固定サブシステム100は、
図8および
図9に最もよく示すように、作動サブシステム160をさらに備えている。作動サブシステム160は、印刷版を固定するプロセス中、印刷版固定サブシステム100の他の構成要素を作動させる。作動サブシステム160はまた、張力付与サブシステム220も作動させるため、この作動サブシステム160については印刷版張力付与サブシステム220に関連してさらに詳細に後述する。
【0062】
作動サブシステム
一実施形態では、作動サブシステム160は、モータ162、モータシャフト164、アームクラッチ166、アームシャフト168、ドラムクラッチ170、ドラムシャフト172、トルク調整器または回転トルク手段174、ブレーキ216、制御システム175および後述するようなギアおよびベルトを備えている。一実施形態では、モータ162は、回転可能部材104およびドラム56の回転を駆動する。作動サブシステム160は、ドラム56および回転可能部材104を、各々別個に回転するかまたは異なる速度で回転することにより、差動トルクを生成し、ドラム56の円周方向の表面に固定して取り付けられる印刷版22に対して張力をもたらすように、選択的に回転させることができる。モータ162は、インバータグレード、A−C、3相モータを含む、任意のタイプの好適なモータであり得る。別法として、D−C永久磁石モータ、ステッピングモータまたはサーボモータを用いてもよい。明示的に示す場合を除き、本明細書で述べる実施形態は例示的なものであり、ドラム56および回転可能部材104を、互いに独立して回転することができるように作動する他の方法を用いることができる。
【0063】
モータシャフト164は、ドラムおよび回転部材の回転を駆動するために用いられるモータ162の回転出力を提供する。モータシャフト164は、アームクラッチ166およびドラムクラッチ170に連結している。アームクラッチ166およびドラムクラッチ170は、係合位置にある時、モータシャフト164がモータ162からの作動を回転可能部材104およびドラム56にそれぞれ伝達するのを可能にする。より詳細には、係合位置では、アームクラッチ166はモータシャフト164をアームシャフト168に連結し、ドラムクラッチ170はモータシャフト164をドラムシャフト172に連結する。ドラムシャフト172は、ドラム56に取り付けられており、それ自体の回転によりドラム56の回転を駆動する。
【0064】
図8、
図9および
図10に示す実施形態では、以下のように、モータシャフト164をドラムドライブシャフト172に結合することができる。モータシャフト164は、周囲にベルト176が配置されるモータドライブギア173を有することができる。ベルト176はまた、ドライブシャフト180に配置されているギア178にも連結される。ドラムクラッチ170はドライブシャフト180の端部に配置されている。ドラムクラッチ170には、スプロケット182が結合されている。スプロケット182の周囲にベルト184が配置されている。ベルト184はまた、ドラムドライブギア186の周囲にも配置されている。ベルト184を、ベルトの張力を提供する遊星ギア188の周囲に配置してもよい。
【0065】
モータ162は、ドラム56を駆動するために、モータシャフト164を回転させる。モータシャフト164の回転により、ベルト176が回転し、それによりギア178が回転する。ギア178の回転により、シャフト180が回転する。クラッチ170が係合する場合、シャフト180の回転により、スプロケット186が回転し、それがベルト184を駆動する。ベルト184の移動によりドライブギア186が回転し、それによってドラムシャフト172が回転しドラム56が回転する。この実施形態は例示的なものであり、当業者は、モータとアームとドラムとの機械的連結を構成することができ、それは依然として本発明の範囲内にある。
【0066】
アクチュエータサブシステム160は、ギア194を有するシャフト192をさらに有している。シャフト180に配置されたギア196も有している。アクチュエータサブシステム160は、シャフト192に結合されるアームクラッチ166をさらに有している。アームクラッチ166にはギア198が取り付けられている。
図8に最もよく示すように、ベルト200はギア198およびギア202と係合している。トルク調整器174がギア202に回転取付けされており、シャフト168に取り付けられている。シャフト168にはギア204も取り付けられており、それは、ベルト206により回転可能部材ドライブギア208に結合されており、回転可能部材ドライブギア208は、部材シャフト168および回転可能部材104に結合されている。ベルト200、206、207の各々とともに遊星ギア210を用いることにより、ベルト200、206、207に張力を提供してもよい。
【0067】
回転部材104を回転させるために、モータ162はギア173を回転させ、それによりベルト176が回転するように駆動される。ベルト176の回転によりギア178が回転し、それによりシャフト180が回転する。シャフト180の回転によりギア196が回転し、それによりギア194が回転する。ギア194の回転によりシャフト192が回転する。アームクラッチ166が係合すると、シャフト192の回転によりギア198が回転し、それによってベルト200が回転する。ベルト200の移動により、ギア202が回転し、トルク調整器174が回転する。トルク調整器174は、さらに後述するように、ギア198によって提供される回転トルクを変更して、回転可能部材104とドラム56との間に異なる回転力をもたらす。トルク調整器174の出力によってシャフト168およびギア204、205が駆動され、それによりベルト206、207が回転する。ベルト206、207の移動によりドライブギア208、209が回転し、それにより、回転可能部材104のアーム118が、回転するように、またはドラム56と回転部材104との間にトルク調整器174によって提供されるトルクの差に基づいて印刷版22に張力を提供するように駆動される。
【0068】
アームシャフト168は、モータ162から回転を回転可能部材104に伝達する。アームシャフト168は、2つの部分、すなわち第1部分212および第2部分214を備えている。第1部分212は、アームクラッチ166に連結している。第1部分212はまた、トルク調整器174にも連結している。第2部分214は、回転可能部材104を均一に作動させるように、ギア204、205において回転可能部材104のアーム118に連結している。
【0069】
トルク調整器174は、アームシャフト168の第2部分214の回転を制限することができる。本実施形態では、トルク調整器174は、
図8aに示すように、アームシャフト168の回転を空気圧式に制限する回転アクチュエータ装置である。トルク調整器174は、印刷版張力付与サブシステム220に関連して用いられる。トルク調整器174は、作動すると、アームシャフト168の相対的な回転位置を調整する。モータ162は、アームシャフト168の第1部分212の回転を駆動する。そして、トルク調整器174は、印刷版22に理想的な張力がもたらされるように、第2部分214の相対的な回転位置を調整する。
【0070】
作動サブシステム160は、ドラムブレーキ216をさらに備えている。ドラムブレーキ216は、任意に、固定プロセスのこのステップ中にドラム56の回転をさらに制限するように使用され得る。ドラムブレーキ216は、ドラムベルト184およびドラムドライブギア186と係合することにより、ドラム56の回転を最小限にする。
【0071】
好ましい実施形態では、作動サブシステム160は、回転可能部材104の意図しない動きを制御するようにドラグブレーキ(図示せず)をさらに備えることができる。別法として、回転可能部材104は平衡していてもよい。
【0072】
制御システム175は、作動サブシステム160を制御する。制御システム175は、モータ162の電源がオンとなりオフとなる時を確定する。制御システム175はさらに、クラッチ166、170が係合位置または係合解除位置にある時を制御する。制御システム175はまた、印刷版22の長さに基づいてモータ162およびクラッチ166、170を制御することも可能である。理想的な実施形態では、制御システム175はさらに、
図10に示すように、ドラム56の中心線上のスタンパバー106の近くにセンサ217を有している。センサ217を用いて、印刷版22の先頭部24および後方部26の位置を確定することができ、それにより、回転可能部材20を、ヘッドピンバー102に対して正確な角度位置に調整することができる。センサ217はまた、スタンパバー106の係合の前にピン112、146の位置を特定することも可能である。別法として、制御システム175は、印刷版22の長さの手動入力を用いて、作動システムの動きを調整してもよい。
【0073】
制御システム175を用いて、トルク調整器174を調整して、制御システム175の他の部分からの読取値に応じてトルク調整器174内の空気圧を調整することにより、印刷版22に対する張力を生成し維持することも可能である。たとえば、制御システム175は、張力センサ(図示せず)をさらに有していてもよい。印刷版22において検知される張力に基づき、制御システム175は、回転アクチュエータトルク調整器174に対する空気圧を調整して、トルク調整器の回転を必要に応じて張力を増大または低減するように変化させることができる。
【0074】
センサ217を、制御システム175が、スタンパバー106およびレイダウンローラ108、110の作動を制御するために用いてもよい。センサ217は、印刷版22の先頭部24および後方部26の位置を検知することにより、スタンパバー106およびレイダウンローラ108、110の作動をもたらすように制御システムをトリガすることができる。
【0075】
制御システム175が説明したものより多いかまたは少ない機能を有していてもよいことが理解されよう。たとえば、理想的な実施形態は、ここでは、2つのレイダウンローラを備えている。しかしながら、他の実施形態は、1つまたは3つ以上のレイダウンローラを備えていてもよい。制御システム175を、熱処理システム20の構成要素に基づき、制御システム175によってそれらのすべてまたはいくつかが自動化されるように、またはさらにはいずれも自動化されないように調整してもよい。
【0076】
印刷版張力付与サブシステム
図10は、印刷版張力付与サブシステム220を示す。印刷版張力付与サブシステム220の目的は、熱現像中に印刷版22に対する張力を維持し調整するということである。適切な張力が維持されない場合、印刷版22は、ドラム56から分離する可能性がある。これが発生すると、印刷版は、熱現像システム20の他の部分を摩擦する可能性があり、それが、印刷版22だけでなく、加熱エレメント80および52等の熱現像システム20の他の部分にも損傷をもたらす可能性がある。印刷版22に対する損傷により、最終的な印刷画像が歪む可能性がある。熱現像システム20に対する損傷自体により、機器に対し相当なダウンタイムがもたらされる可能性がある。
【0077】
図示する実施形態では、印刷版張力付与サブシステム220は、ヘッドピンバー102、回転可能部材104および作動サブシステム160を有している。張力付与サブシステムの1つの構成要素はトルク調整器である。トルク調整器または回転トルク手段は、好ましくは回転空気圧アクチュエータである。回転空気圧アクチュエータは、市販されており、たとえば、Turn−Act Inc Model 142、Series TA(品番113−1−S−2)を用いて試験が行われている。この回転空気圧アクチュエータは、1000in−lbのトルクと90度の回転とを提供する。トルク調整器は、トルク調整器への入力であるシャフト回転とトルク調整器から出力されるシャフト回転との差を変化させるように、トルク調整器内の空気圧を調整することによって作動する。たとえば、より多くのトルクが必要である場合、ギア204、最終的にはアームドライブギアを回転させるトルク調整器の出力回転は、トルク調整器に対する入力シャフトの回転より大きくなる。トルク調整器の出力速度を変更することにより、印刷版後方部に固定される回転部材に加えられるトルクは、ドラムによって印刷版前方部に加えられるトルクと異なる。前方部に加えられるトルクとは異なるトルクを後方部に加えることにより、印刷版に張力がもたらされる。印刷版22が、サイズの範囲が24インチ×30インチ〜52インチ×80インチであり、厚さ範囲が0.045インチ〜0.250インチである場合、ドラム56に取り付けられた印刷版22を維持するために、印刷版22のリニアインチあたり約5〜15ポンド、好ましくはリニアインチあたり8ポンドの張力が加えられる。
【0078】
張力を、トルク調整器における空気圧を調整することによって特定の用途に対して調整することができる。さらに、本システムは、動作中、所望の張力を維持するために、プレートに対する張力を測定することにより、空気圧を自動的に調整することができ、所望の張力を維持するように空気圧を制御するフィードバックコントローラを有することができる。一実施形態では、制御システム175は、熱処理前、熱処理中および熱処理後、トルク調整器174における空気圧を調整することができる。このように、熱処理の前に、トルク調整器174は、印刷版22に理想的な量の張力を提供する初期空気圧を有することができる。熱処理中、印刷版22は、熱が加えられると膨張する可能性がある。この理由で、回転可能部材は、ヘッドピン112からの円周方向に距離に関連してその位置を移動するかまたは調整し、所望の張力を同じ圧力で維持する。制御システム175は、トルク調整器174内の空気圧を調整して、印刷版に対する張力を増大または低減する。制御システム175は、処理中、必要に応じて空気圧を調整することができることが理解されよう。たとえば、空気圧を、処理中まったく調整しなくてもよく、またはドラム56が回転し続けるに従って数回調整してもよい。後により完全に説明するように、印刷版22における張力を、ドラム56から除去する前に低減するべきである。処理が完了した後、制御システム175は、トルク調整器174内の空気圧を調整して、トルク調整器によってもたらされた印刷版22に対する張力を除去する。最も好ましくは、制御システム175およびトルク調整器174は、必要に応じてトルク調整器における空気圧を調整することにより、印刷版に対する一定の張力を維持するように機能する。
【0079】
空気圧アクチュエータの代りに、トルク調整器を、ディスクブレーキ250の使用を採用する、第2実施形態で説明したもの等の機械装置とすることができる。さらに、所望の張力を生成し維持するために、代りに油圧装置または磁気装置を用いてもよい。トルク調整器の重要な特徴は、印刷版に対して差動トルクがもたらされるように、出力トルクを変更するというものである。
【0080】
印刷版固定システム100に関連して説明したように、ヘッドピンバー102は、印刷版22の前方部24を固定するように機能する。印刷版張力付与サブシステム220の関連では、ヘッドピンバー102は、熱処理中、印刷版22に対して適切な張力を維持することができるように、前方部24を後方部26に対して設定された角度位置で維持する。ヘッドピンバー102は、ピン112によって前方部24を固定するように機能する。ピン112は、印刷版22の前方部24を貫通する。
【0081】
印刷版張力付与サブシステム220は、回転可能部材104をさらに備えている。回転可能部材104については、印刷版固定システム110に関連してさらに上述している。回転可能部材104は、テールピンバー134およびアーム118を備えている。印刷版張力付与サブシステム220の関連では、テールピンバー134およびアーム118は、印刷版22の後方部26を、前方部24に対して固定角度位置で維持するように機能する。回転可能部材104をドラム56から係合解除することができ、それにより、回転可能部材104は、ドラム軸154と一致する回転可能部材軸152に沿って、ドラム56の回転とは無関係にドラム56を中心に回転する。
【0082】
印刷版張力付与サブシステム220は、作動サブシステム160をさらに備えている。より完全に上述したように、印刷版22をドラム56に固定するプロセス中に、熱処理システム20の構成要素を作動させることに加えて、作動サブシステム160はまた、印刷版22の処理中に印刷版に張力を供給するようにも機能する。
【0083】
印刷版除去サブシステム
現像プロセスが完了すると、印刷版22をドラムから除去しなければならない。
図11〜
図13は、印刷版除去サブシステム230とドラム56から印刷版を除去するプロセスとを示す。
【0084】
印刷版除去サブシステム230は、ストリッパプレート232、レイダウンローラ110および調整可能アーム(図示せず)を備えている。印刷版除去サブシステム230は、熱現像システム20のドラム56から印刷版22を除去するように機能する。ストリッパプレート232は、印刷版22とドラム56との間に割り込むことによって、印刷版22およびピン112、146と係合するように機能し、その際、ストリッパプレート232の歯状切抜き部246は、ピンから印刷版22を分離するようにピン112、146に位置合せされる。ストリッパプレート232は、略三角形断面を有し、概して5つの面、すなわち正面234、背面236、頂面238、底面240および端面242を有している。頂面238および底面240は、刃縁244において互いに連結している。刃縁244は、ピン112、146の位置、サイズおよび形状に対応する切抜き部246を含む。ヘッドピンバー102に関連して上述したように、ヘッドピンバー102は、刃縁244の歯状突起に対応する切抜き部を備えることができる。これら切抜き部は、刃縁244が印刷版22に係合し印刷版22とピン112、146との間に割り込むのをより容易にするためにスカラップ形状であってもよい。
【0085】
レイダウンロール110は、除去プロセス中に印刷版22に対する張力を維持するように、ドラム56および印刷版22に係合するように機能する。レイダウンロール110は、除去プロセス中に印刷版に対する張力を維持することにより、印刷版22がドラム56から落下しないようにする。
【0086】
調整可能アーム(図示せず)を用いて、ストリッパプレート232を、ドラム56から離れる係合解除位置から印刷版22に接触する係合位置まで移動することができように、作動させる。調整可能アームは、ストリッパプレート232の作動を可能にする、多位置空気圧シリンダまたはリニアアクチュエータをさらに有することができる。
【0087】
ストリッパプレート232はまた、ストリッパブレード232がその端部242を中心に回転する回転作動を可能にすることができる。このように、ストリッパプレート232の刃縁244は、印刷版22がピン112、146から分離され得るように印刷版22およびピン112、146と係合し、その後、ドラム56をから離れるように回転することができる。一実施形態では、ストリッパプレート232は、回転可能部材の本体を飛び越えるのに十分な程度、ドラム表面88から回転しまたは上昇する。他の実施形態では、ストリッパプレート232は、ドラム表面88から回転するかまたはストリッパブレード232の底部240が上昇し、ドラム56が回転する際にピン112を飛び越えるようにする。このプロセスは後述する。
【0088】
固定サブシステムの動作
固定サブシステムの動作は、
図2〜
図9を参照して最もよく理解される。
図2は、印刷版22をドラム56に取り付ける前の印刷版固定サブシステム100を示す。印刷版22の前方部24は、回転可能部材104およびドラム56に位置合わせされている。プロセスのこの時点で、ドラムクラッチ170は、モータ162からの回転をドラムシャフト172に伝達するように、モータシャフト164に係合している。さらに、アームクラッチ166は、モータ162から回転をアームシャフト168に伝達するようにモータシャフト164に係合している。プレート固定プロセス中、アームシャフト168がそれ以上まったく回転しないように、トルク調整器162は非トルク位置まで移動する。
図2に示すように、前方部24はスタンパバー106下にも位置合せされる。
図2は、ヘッドピンバー102が前方部24およびスタンパバー106と位置合せされていない状態を示す。さらに、レイダウンロール108およびレイダウンロール110は後退位置にある。圧力ローラ52およびヒータ80もまた、ドラム56から後退している。
【0089】
図3は、印刷版固定サブシステム100が印刷版22の前方部24をいかに把持するかを示す。
図3では、前方部24は、定位置において回転可能部材104の本体114の平坦縁132と同一平面にある。レイダウンロール108は、印刷版22と係合して、それに対して圧力を加え、ドラム56に対して適所に保持している。センサ217(
図1参照)は、前方部24の位置を検知し、スタンパバー106が、非打抜き位置から、印刷版22と係合してピンの第1セット112を印刷版に押し通す打抜き位置に、さらに再び非打抜き位置に戻るように循環するようにする。
図3は、スタンパバー106が、印刷版22と接触するプレート係合部156を有することを示す。この時点で、印刷版の、本実施形態では前方部である第1部分が、印刷版22を貫通しているピン112によってドラムに固定されている。
【0090】
図4は、ドラムおよびピンの第1セットに対してピンの第2セットを移動させることを含む、固定プロセスの第2ステップを示す。スタンパバー106およびレイダウンロール108が印刷版22に係合すると、回転可能部材104はモータ162によってドラム56の周囲を回転する。これを達成するために、アームクラッチ166は、係合位置まで移動し、モータ出力は、
図8および
図9を参照して上述したように、アクチュエータサブシステム160によって伝達される。一実施形態では、回転可能部材104は、印刷版22の長さにおよそ等しい円周方向距離を回転する。別法として、回転可能部材104は、印刷版22を貫通しているピンの第1セット112と第2セット146との間の望ましい距離に等しい距離を回転する。回転可能部材104を印刷版22の長さに対して配置することができるため、本システムを、ドラム56の円周より小さい任意の所望の長さの印刷版で使用することができる。このステップは、モータ162が回転部材104を回転させるがドラム56を回転させないように、ドライブクラッチ170を係合解除しアームクラッチ166を係合させることによって達成される。さらに、ドラムブレーキ216を、固定プロセスのこのステップ中に任意に使用することにより、ドラム56の回転をさらに制限してもよい。ドラムブレーキ216は、ドラムベルト184およびドラムドライブギア186と係合して、ドラム56の回転を最小限にする。そして、モータ162に電源が投入され、モータ出力は、上述したように、モータ162から係合したアームクラッチ166を通ってアームドライブギア202および回転部材104まで伝達される。
【0091】
図5は、プロセスの第3ステップを示す。回転可能部材104がドラム56の周囲を回転した後、レイダウンロール108およびスタンパバー106は、ドラム56がドラム軸154を中心に回転する前に、印刷版22から係合解除される。ヘッドピンバー102がレイダウンロール110を通過して回転した後、レイダウンロール110は、印刷版22と係合するように降下する。このように、レイダウンロール110は、印刷版22をドラム56上の適所に保持し、印刷版22の後方部26が固定される前に印刷版22に対する張力をもたらす。アームクラッチ166が係合解除され、ドライブクラッチ170が係合する。ドラムクラッチ170が係合すると、作動サブシステム160のモータ162はドラム56の左回り方向(矢印56aによって示す)の回転を駆動し、それによって、印刷版22の後方部26が定位置(打抜き位置)に近づくまで印刷版22を支持する。この時点で、印刷版を支持しているドラム56は、回転可能部材104および静止しているピンの第2セット146に対して回転する。
【0092】
図6は、印刷版固定システム100が印刷版22を把持するプロセスの次のステップを示す。レイダウンロール110が印刷版22と係合すると、回転可能部材104が回転して、テールピンバー134が、定位置においてスタンパバー106および印刷版22の後方部26と位置合せされる。これは、アームクラッチ116を係合させドラムクラッチ170を係合解除し、モータ162が回転部材104およびテールピン146を、それらがスタンパバー106の下になるまで駆動することによって達成される。テールピン146をスタンパバー106に位置合わせするように回転部材104を移動することに続き、アームクラッチ166が係合解除され、ドラムクラッチ170が係合する。そして、モータ162がドラムクラッチ170およびドラム56を駆動して回転させ、後方部26がスタンパバー106の下でありかつテールピン146の上になるように、印刷版22を引っ張る。位置合わせされると、スタンパバー106は、印刷版22と係合し、印刷版22をピン146の上に押圧する。スタンパバー106を印刷版22に係合することにより、ピン146は印刷版22の後方部26に穴を開け、それにより、印刷版の後方部26がピン146上に固定される。センサ217を用いて、スタンパバー106の下のテールピン146の位置を検知することができ、コントローラ175は、センサから位置信号を受け取り、スタンパバー106が循環するようにトリガすることができる。
【0093】
図7に示すように、印刷版22の後方部26がテールピン146に固定されると、スタンパ106およびレイダウンロール110は印刷版22から係合解除される。スタンパ106およびレイダウンロール110が係合解除されると、ドラム56が回転を開始し、上述した現像プロセスが開始することができる。
【0094】
現像プロセス中、作動サブシステム160および制御システム175は、印刷版22に対する張力を生成し維持するように機能する。
図8〜
図10に示す実施形態では、モータ162は、ドラム56および回転可能部材104を作動する。本実施形態では、モータ162は、アームクラッチ166、ドラムクラッチ170およびトルク調整器174とともに作動して、印刷版22に対する張力を維持しかつ調整する。トルク調整器174内の初期空気圧は、プレートに所望の張力を維持する。印刷版22は、熱処理中、熱が加えられると膨張する(または寸法(複数可)を変化させる)可能性があるため、制御システム175は、トルク調整器174内の空気圧を調整して、処理中の必要に応じて印刷版に対する張力を増大(または低減)する。空気圧を、処理中にまったく調整しなくてもよく、またはドラム56が回転し続けるにしたがって数回調整してもよい。トルク調整器および制御システムは、好ましくは、必要に応じて空気圧を調整することにより、印刷版に対する実質的に一様な張力を維持するように動作する。
【0095】
熱処理中、クラッチ166、170はともに係合し、モータ162は、ドラム56と回転可能部材104とをともに作動させるために用いられる。ギアドライブ180は右回り方向に回転する。ドラムクラッチ170が係合すると、ギアドライブ180の回転が、ベルトドライブ184によるドラム56の右回り回転を駆動する。クラッチ166も係合すると、ギアドライブ192もまた、ベルトドライブ200による回転可能部材104の回転を駆動する。回転可能部材104の回転は、トルク調整器174によって制御される。この実施形態では、トルク調整器174は空気圧によって制御される。トルク調整器における空気圧を変化させることにより、トルク調整器の出力は、ドラムに対してアサートされるトルクに対して調整され、それにより、回転部材に対してアサートされるトルクは、ドラムに対してアサートされるトルクと異なる。これにより、印刷版の前方部に固定されるドラムと印刷版の後方部に固定される回転部材との間にトルク差がもたらされる。このトルク差により、印刷版に対する張力がもたらされる。トルク調整器における空気圧を、動作中に印刷版に対する所望の張力を維持するように自動的に調整することができる。所望の張力は、印刷版の材料、形状および寸法によって決まる。
【0096】
熱処理の後、印刷版22を、熱プロセスシステム20から除去しなければならない。
図11は、印刷版除去プロセスの印刷版除去プロセスの第1ステップを示す。この時点で、リードピン112は、スタンパバー106およびローラ110を越えて回転する。ピン112がレイダウンロール110を越えて回転すると、レイダウンロール110は、印刷版22およびドラム56と係合するように下降する。この時点で、レイダウンロール110は、印刷版22に対する張力をもたらすように機能しており、それにより除去プロセス中に印刷版22をドラム56に取り付けられた状態で維持する。
図11に示すように、ストリッパブレード232は、刃縁244が印刷版22の前方部24およびドラム56と同一平面になるように、横方向に下降しかつ右方向に回転する。この時点で、印刷版22における張力は、トルク調整器の空気圧を除去することによって除去される。このステップでは、ストリッパブレード232が、印刷版22に対する張力に反するように作用することなくピン112から印刷版22を上昇させるだけでよいように、張力を除去しなければならない。クラッチ166、170は、モータ162の作動をドラム56および回転可能部材104に伝達するように係合位置にあり、その後、プレート除去プロセス全体の間に左回り方向に回転する。
図12に示すように、ドラム56の回転により、印刷版22がストリッパブレード232の頂面238上に押され、ストリッパブレードがピン112と印刷版22との間に押し込まれる。切抜き部246はピン112に係合し、印刷版22はその後ピン112から分離する。
【0097】
印刷版22の前方部24が分離すると、一実施形態では、ストリッパブレード232は、刃縁244を、ドラム56から離れるように左回り方向に回転させるか、またはストリッパブレード232は上昇して、切抜き246がピン112の上方にあり、ドラム56が、ピン112がストリッパブレード232に引っ掛ることなく自由に回転することができるようにする。そして、ドラムは回転して、ピン112を移動させてストリッパブレード232を越えて回転させ、ストリッパブレード232は初期位置に戻っても戻らなくてもよく、
図12に示すようにドラム56は回転を続ける。別の実施形態では、ストリッパブレード232の刃縁244は、切抜き部246がピン112と整列するように成形されかつ配置され、回転ドラム56の表面を摺動する。ドラム56が回転すると、ドラム56の周囲は、刃縁244上の歯状突起間の開口部を通るようにピン112を回転させ、
図12に示すように、ドラム56が回転を続けると、ピン112がストリッパブレード232によって捕らえられないように、ドラム56の表面上を摺動しているストリッパブレード232がピン112を飛び越えるようにする。
【0098】
図13は、ドラム56から印刷版22を除去するプロセスの最終ステップを示す。ストリッパブレード232が印刷版22の後方部26と接触するようにドラム56および回転可能部材104が回転する前に、ストリッパの縁244を、テールエンドピン146と係合するように右回り方向に回転させることができる。ストリッパ縁244は、切抜き部246がピン146に係合するようにドラム56が回転を続けるに従い、ドラム56の表面上を摺動することができる。ストリッパブレード232は、印刷版22とドラム56との間に割り込み、歯状突起をピン146間に押し込むことにより、ピン146から印刷版22を分離する。そして、ストリッパプレート232は、ドラム56から離れる方向に左回りに回転し、それにより、印刷版22をドラム56から完全に分離し、本体114を飛び越える。
【0099】
上述した装置および方法は、固定および張力付与システムの好ましい実施形態を表す。モータ162がドラム56および回転可能部材104の両方の回転運動を駆動する、上述した単一ドライブシステムの代りとして、モータは、ドラム56の回転を駆動するのみであってもよい。
図14に示すこの代替実施形態では、印刷版張力付与サブシステム220は、アームシャフト168の回転を制限することにより、回転可能部材104に力を加えるディスクブレーキ250を使用することによって、印刷版22に対する張力を制御することができる。この代替実施形態は、クラッチ166、170を有していない。完全に上述したように、ドラム56上のヘッドピンバー102は、印刷版22の前方部24を固定する。テールピンバー134は、後方部26を固定する。
【0100】
この実施形態では、モータ162は、ドラム56を、一連のギアを通してドラムシャフト172のモータシャフト164との係合を通して作動させるようにのみ機能する。ドラム56自体の回転は、現像プロセス中に回転可能部材104を回転させるように機能する。回転可能部材104は、印刷版22によってドラム56に取り付けられるため、ドラム56の周囲で引っ張られる。
【0101】
ディスクブレーキ250は、ドラムの回転移動と反対の力をアームシャフト168に加えることによって回転可能部材104の回転を制限し、それにより印刷版22の張力をもたらす。この力を加えることにより、ブレーキは、好ましい実施形態に関連して上述したトルク調整器174と同様に機能して、後方部26の前方部24に対する相対的な角度位置を固定する。
【0102】
熱現像プロセス中、この代替実施形態は、回転可能部材104を後に回転させるためにドラム56の回転に依存する。しかしながら、取付および除去プロセス中、回転可能部材104のさらなる作動が必要である。好ましくは、この作動は、操作者(図示せず)がハンドクランク252を回転させることにより手動で提供される。当業者は、この作動の第2手段を、限定されないが電気モータ、空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータを含む、他のタイプの作動装置によって提供してもよいということを理解するであろう。
【0103】
この作動の第2手段は、取付プロセス中に、印刷版22がヘッドピンバー102に取り付けられると、ドラム56の周囲で回転可能部材104を回転させるように提供される。この第2実施形態の好ましい方法を用いて、操作者は、テールピン146がスタンパバー106の下になるまで、ドラムの周囲で回転可能部材104を移動させるハンドクランク252を回転させる。そして、モータ162がドラム56を回転させ、その後、印刷版22の後方部26がスタンパバー106の下でありかつピン146の上になるまで、(ピン112に取り付けられている)印刷版22の前方部24を回転させる。そして、取付プロセスの残りの部分は、上述したように進行する。
【0104】
この実施形態では、除去プロセス中、作動の第2手段も必要である。この実施形態の好ましい方法を使用して、操作者は、ストリッパブレード244がピン112から印刷版22の前方部24を分離した後に、ハンドクランク252を回転させる。この回転により、回転可能部材104が前進し、上述した2ドライブシステムをまねる。
【0105】
印刷版固定および張力付与システムのいくつかの実施形態例について説明し、記載した例は、説明の目的で提供されており、本発明を限定するように解釈されるべきではない、ということが理解されるべきである。
【0106】
好ましい実施形態または好ましい方法に関連して印刷版固定および張力付与システムについて説明したが、本明細書で用いた用語は、限定の用語ではなく説明および例示の用語であることが理解される。さらに、印刷版固定および張力付与システムを、本明細書では、特定の構造、方法および実施形態に関連して説明したが、それら実施形態は、本明細書に開示した詳細に限定されるように意図されておらず、ぞれは、本発明が、本発明の範囲内にあるすべての構造、方法および要素にまで広がるためである。本明細書の教示の利益を得る当業者は、本明細書に記載する本発明に対して多数の変更を行うことができ、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく変更を行ってもよい。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 印刷版を固定するシステムであって、
回転ドラムと、
前記ドラムの表面に結合されるピンの第1セットと、
前記ドラムの表面の一部にわたって回転可能に延在する部材の上に配置されるピンの第2セットであって、前記部材が、前記ドラムと回転することができるように取り付けられる、ピンの第2セットと、
前記回転ドラムの一部にわたって配置されるバーであって、非打抜き位置から、前記バーが前記ピンの第1セット上で前記印刷版の第1部分を打ち抜く第1打抜き位置まで、および前記バーが前記ピンの第2セット上で前記印刷版の第2部分を打ち抜く第2打抜き位置まで移動可能であるバーと、
を具備するシステム。
2. 前記印刷版が前記ピンの第1セットに取り付けられた後に、前記印刷版と係合する第1レイダウンロールをさらに具備する、1.に記載のシステム。
3. 第2レイダウンロールであって、前記ピンの第1セットが前記第2レイダウンロールを通過して回転すると前記印刷版と係合する第2レイダウンロールをさらに具備する、2.に記載のシステム。
4. テールピンバーに電子的に結合されて、前記バーをシリンダの周囲で円周方向に移動させ、それによりアームが前記第1部分を取り付ける機構から前記プレートのおよその長さに配置されるようにする、プログラム可能コントローラをさらに具備する、1.に記載のシステム。
5. 前記印刷版がフレキソ印刷プレートである、1.に記載のシステム。
6. 熱プロセッサを含む、1.に記載のシステム。
7. 前記印刷版を前記ピンの第1セットから取り除く、前記ピンの第1セットの間に配置することができるフィンガを備えた、可動ストリッパバーを具備する、1.に記載のシステム。
8. 前記印刷版が前記ピンの第1セットに取り付けられた後に、前記印刷版と係合する第1レイダウンロールをさらに具備する、7.に記載のシステム。
9. 第2レイダウンルールであって、前記ピンの第1セットが前記第2レイダウンロールを通過して回転すると前記印刷版と係合する第2レイダウンロールをさらに具備する、8.に記載のシステム。
10. テールピンバーに電子的に結合されて、前記バーをシリンダの周囲で円周方向に移動させ、それによりアームが前記第1部分を取り付ける機構から前記プレートのおよその長さに配置されるようにする、プログラム可能コントローラをさらに具備する、7.に記載のシステム。
11. 前記印刷版がフレキソ印刷プレートである、7.に記載のシステム。
12. 熱プロセッサを含む、7.に記載のシステム。
13. 回転ドラムを有する装置に印刷版を固定する方法であって、
前記ドラムの表面に結合されるピンの第1セットの上に前記印刷版の第1部分を配置するステップと、
前記ピンの第1セット上で前記印刷版の前記第1部分を打ち抜くことにより、前記ドラムに前記印刷版の前記第1部分を固定するステップと、
前記ドラムと、前記ドラムの表面の一部にわたって回転可能に延在する部材に配置されたピンの第2セットとを、前記印刷版の第2部分が前記ピンの第2部分の上に配置されるまで回転させるステップと、
前記部材を、前記ドラムの表面の周囲で円周方向に回転させ、それにより、前記ピンの第1セットと前記ピンの第2セットとの間の円周方向の距離が、前記印刷版の長さにおよそ等しくなるようにするステップと、
前記ピンの第2セット上で前記印刷版の前記第2部分を打ち抜くことにより、前記印刷版の前記第2部分を前記部材に固定するステップと、
を含む方法。
14. 前記印刷版の前記第1部分が前方部を含み、前記印刷版の前記第2部分が後方部を含む、13.に記載の方法。
15. 前記印刷版が前記ピンの第1セットに取り付けられた後に、前記印刷版に第1レイダウンロールを係合させるステップをさらに含む、13.に記載の方法。
16. 前記印刷版上に第2レイダウンロールを係合させ、前記ピンの第1セットが前記第2レイダウンロールを越えて回転すると、前記第1レイダウンロールを前記印刷版から後退させるステップをさらに含む、15.に記載の方法。
17. 前記印刷版の前記第2部分を前記ピンの第2セットに取り付けた後、前記第2レイダウンロールを後退させるステップをさらに含む、16.に記載の方法。
18. 前記印刷版の前記第1部分を押圧するステップが、前記印刷版上にスタンパバーを係合させることを含む、13.に記載の方法。
19. 前記印刷版の前記第2部分を押圧するステップが、前記印刷版上にスタンパバーを係合させることを含む、13.に記載の方法。
20. 前記ピンの第1セットに隣接してフィンガを有する可動ストリッパバーを配置し、前記印刷版と前記ドラムとの間に前記フィンガを挿入するステップをさらに含む、13.に記載の方法。