(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態である極低温冷凍機1を示し、
図2はこの極低温冷凍機1を用いた本発明の一実施形態であるクライオポンプ2を示している。本実施形態では、極低温冷凍機1としてギフォード・マクマホン(Gifford-McMahon)タイプの2段式冷凍機を例に挙げて説明するものとする(以下、GM冷凍機1という)。
【0017】
GM冷凍機1は、圧縮機10、第1段目シリンダー11、第2段目シリンダー12、第1段目ディスプレーサ13、第2段目ディスプレーサ14、クランク機構15、冷媒ガス流路16、蓄冷材17,18、第1段目冷却ステージ19、第2段目冷却ステージ20、第1膨張室21、第2膨張室22等を有している。
【0018】
圧縮機10は、冷媒ガスであるヘリウムガスを圧縮し、高圧ヘリウムガスを生成する。生成された高圧の冷媒ガスは、吸気弁V1及び冷媒ガス流路16を介して第1段目シリンダー11内に供給される。また、第1段目シリンダー11から排出された低圧の冷媒ガスは、冷媒ガス流路16及び排気弁V2を介して圧縮機10に回収される。
【0019】
第1段目シリンダー11の下部には、第2段目シリンダー12が結合されている。第1段目シリンダー11、第2段目シリンダー12内には、相互に連結された第1段目ディスプレーサ13、第2段目ディスプレーサ14が収容されている。
【0020】
第1段目シリンダー11からは駆動軸Shが上方に延在し、駆動用モータMに結合したクランク機構15と結合している。クランク機構15は、モータMの回転をディスプレーサ13,14の直線往復移動に変換する機構であり、例えばスコッチヨーク機構を用いることができる。また後述する再生処理を行うため、モータMは正逆反転可能なモータが選定されている。
【0021】
第1段目ディスプレーサ13は、第1段目シリンダー11内に往復動可能に収納されている。この第1段目シリンダー11と第1段目ディスプレーサ13の下端部には、第1膨張室21が形成される。
【0022】
また、第1段目ディスプレーサ13の内部には、第1膨張室21に冷媒ガスを供給及び排出するための中空空間(冷媒ガス流路)23が形成されている。この中空空間23内には、蓄冷材17が収容されている。蓄冷材17は、第1膨張室21から冷媒ガスを排出する際に、排出した冷媒ガスと接触して冷却される(蓄冷が行われる)。
【0023】
第2段目ディスプレーサ14は、第2段目シリンダー12内に往復動可能に収納されている。この第2段目シリンダー12と第2段目ディスプレーサ14の下端部には、第2膨張室22が形成される。
【0024】
また、第2段目ディスプレーサ14の内部には、第2膨張室22に冷媒ガスを供給及び排出するための中空空間(冷媒ガス流路)24が形成されている。この中空空間24内には、蓄冷材18が収容されている。蓄冷材18は、第2膨張室22から冷媒ガスを排出する際に、排出した冷媒ガスと接触して冷却される(蓄冷が行われる)。
【0025】
この第2段目ディスプレーサ14は、ディスプレーサ筒14Aと、このディスプレーサ筒14Aの外周に配設された樹脂膜14Bとにより構成されている。なお、説明の便宜上、このディスプレーサ筒14A及び樹脂膜14Bの詳細については、後述するものとする。
【0026】
第1段目冷却ステージ19は、第1段目シリンダー11の下端(低温端)に位置する第1膨張室21を囲むように配設されている。また、第2段目冷却ステージ20は、第2段目シリンダー12の下端(低温端)に位置する第2膨張室22を囲むように配設されている。
【0027】
前記した吸気弁V1及び排気弁V2の駆動は、モータMにより駆動される図示しないロータリバルブにより制御されている。ロータリバルブは、吸気弁V1及び排気弁V2の開閉と、各ディスプレーサ13,14の往復駆動とが所定の位相差を有するよう駆動制御する。この位相差により、第1膨張室21及び第2膨張室22内において冷媒ガスが膨張し寒冷が発生する。
【0028】
次に、上記構成とされたGM冷凍機1の動作について説明する。
【0029】
ロータリバルブは、各ディスプレーサ13,14が下死点(各膨張室21,22の容積が最小となる位置)に至る近傍において吸気弁V1を開弁する。この際、排気弁V2は閉弁した状態を維持している。
【0030】
これにより、圧縮機10で圧縮された高圧の冷媒ガスは、冷媒ガス流路16を介して第1段目シリンダー11内に供給される。そして、第1段目ディスプレーサ13の上部に形成された冷媒ガス流路23a、蓄冷材17が収容された中空空間23、第1段目ディスプレーサ13の下部に形成された冷媒ガス流路23bを通り、第1膨張室21内に供給される。
【0031】
第1膨張室21に供給された高圧ヘリウムガスは、更に第2段目ディスプレーサ14の上部に形成された冷媒ガス流路24a、蓄冷材18が収容された中空空間24、第2段目ディスプレーサ14の下部に形成された冷媒ガス流路24bを通り、第2膨張室22に供給される。
【0032】
この間、クランク機構15により各ディスプレーサ13,14は上動を行う。そして、ディスプレーサ13,14が上死点近傍の所定位置まで移動すると、ロータリバルブは吸気弁V1を閉じて冷媒ガスの供給を停止すると共に、排気弁V2を開く。これにより、第1及び第2膨張室21,22内の高圧の冷媒ガスは瞬間的に膨張し、各膨張室21,22内で寒冷が発生する。
【0033】
各ディスプレーサ13,14は、上死点を過ぎると下方に向けた移動を開始する。これに伴い、第2膨張室22で膨張した冷媒ガスは、冷媒ガス流路24bを介して中空空間24に流入する。中空空間24に流入した冷媒ガスは、蓄冷材18を冷却しつつ進行し、冷媒ガス流路24aを介して第1膨張室21に流入する。
【0034】
また、第1膨張室21に流入した冷媒ガスは、第1膨張室21で膨張した冷媒ガスと共に、冷媒ガス流路23bを介して中空空間23に流入する。中空空間23に流入した冷媒ガスは、蓄冷材17を冷却しつつ進行し、冷媒ガス流路23a,16及び排気弁V2を介してガス圧縮機6に回収される。そして、ディスプレーサ13,14が下死点近傍の所定位置に達した時点で排気弁V2は閉じられ、冷媒ガスの回収(吸入)処理は停止される。
【0035】
以上のサイクルを繰り返し行うことにより、本実施形態に係るGM冷凍機1では、第1膨張室21で80〜100K程度の寒冷を発生することができ、第2膨張室22で10〜30K程度の極低温を発生させることができる。
【0036】
ここで
図1及び
図3を参照し、本発明の一実施形態である第2段目ディスプレーサ14の詳細な構成について説明する。
【0037】
なお、
図3は第2段目ディスプレーサ14の基本構成を示す図であり、図示及び説明の便宜上、その長さは実際の第2段目ディスプレーサ14よりも短く図示しており、また中空空間24も貫通孔として示している。
【0038】
本実施形態に係る第2段目ディスプレーサ14は、ディスプレーサ筒14Aと樹脂膜14Bとにより構成されている。各図において、上側が高温側Hであり、下側が低温側Lとなる。
【0039】
ディスプレーサ筒14Aは、ステンレスにより構成されている。また、樹脂膜14Bは、フッ素樹脂等により構成されている。樹脂膜14Bは、第2段目シリンダー12と第2段目ディスプレーサ14との間のシール性を向上させるため、ディスプレーサ筒14Aの外周面に配設(コーティング)されている。
【0040】
本実施形態では、樹脂膜14Bは第2段目ディスプレーサ14の低温側Lから高温側Hまでの全領域にわたり形成されている。また、樹脂膜14Bの厚さは、低温側の厚さ(以下、低温側樹脂膜厚さRLという)に対し、高温側の厚さ(以下、高温側樹脂膜厚さRHという)が薄くなるよう構成されている(RL>RH)。特に、本実施形態に係る樹脂膜14Bは、低温側Lから高温側Hに向けて樹脂膜14Bの厚さは連続的に薄くなっており、高温端(上端)においてはその厚さが略ゼロとなっている(RH≒0)。
【0041】
また、ディスプレーサ筒14Aの厚さは、低温側の厚さ(以下、低温側ディスプレーサ厚さDLという)に対し、高温側の厚さ(以下、高温側ディスプレーサ厚さDHという)が厚くなるよう構成されている(DL<DH)。そして、ディスプレーサ筒14Aと樹脂膜14Bを合わせた全体的な第2段目ディスプレーサ14の直径Lは、低温側Lから高温側Hまで同一の直径とされている。
【0042】
次に、上記構成とされた第2段目ディスプレーサ14を有したGM冷凍機1を用いたクライオポンプ2について説明する。
【0043】
クライオポンプ2は、図示しない処理チャンバ(例えば、半導体製造装置の処理チャンバ)に取り付けられ、この処理チャンバ内を真空とするものである。このクライオポンプ2は、GM冷凍機1、シールド29、クライオパネル30、ルーバ32、及び真空容器33等を有している。
【0044】
GM冷凍機1の各シリンダー11,12、シールド29、及びクライオパネル30等は、真空容器33の内部に配設される。この真空容器33は、前記した処理チャンバに取り付けられるものである。また本実施形態に係るクライオポンプ2では、GM冷凍機1は真空容器33に対して横置きで配設されている。
【0045】
また、GM冷凍機1のモータMは、正方向回転及び逆方向回転が可能なモータである。この可逆モータMは図示しないコントローラに接続され、このコントローラの指示に従い真空処理時には正方向回転を行い、再生時において逆方向回転を行うよう構成されている。
【0046】
また、シールド29は、GM冷凍機1の第1段目シリンダー11の外周に配設された第1段目冷却ステージ19に接続されている。シールド29は、外部の輻射熱がクライオパネル30に熱伝導するのを防止する機能を奏する。
【0047】
このシールド29には、ルーバ32が設けられている。ルーバ32は、カップ形状(有底状)とされたシールド29の上部を覆うように配設されている。このルーバ32は、真空容器33の上部開口に近接して配設されている。
【0048】
クライオパネル30は、GM冷凍機1の第2段目シリンダー12の外周に配設された第2段目冷却ステージ20に接続されている。このクライオパネル30は、その内周面に活性炭31が配設されている。
【0049】
上記構成とされたクライオポンプ2において真空処理を行う場合には、GM冷凍機1のモータMを正方向回転に回転させる。モータMが正方向回転することによりGM冷凍機1は冷却モードとなり、圧縮機3から第1段膨張室及び第2段膨張室に供給された冷媒ガスは、各ディスプレーサ13,14の移動に伴い断熱膨張し寒冷を発生させる。
【0050】
これにより、第1段目冷却ステージ19は例えば80〜100K(シールド29は100K以下)に冷却され、第2段冷凍ステージ8は例えば5〜20K(クライオパネル30は20K以下)に冷却される。
【0051】
この状態のクライオポンプ2に、処理チャンバ内の各種ガスが進入すると、二酸化炭素は主にルーバ32及びシールド29で凝縮され、アルゴンや窒素は主にクライオパネル30で凝縮され、更に水素,ネオン,ヘリウム等は主に活性炭31に吸着される。これにより、処理チャンバは排気されて高真空を実現できる。なお、以下の説明において、シールド29,クライオパネル30等に凝縮或いは吸着された導入ガスを固体状ガスというものとする。
【0052】
ところで、上記のように処理チャンバ内から排気された導入ガスは、シールド29,クライオパネル30,活性炭31等に凝縮或いは吸着される。このシールド29及びクライオパネル30等に凝縮等された固体状ガス21の量が増えてくると、クライオポンプ2の排気性能が低下する。このため、クライオポンプ2に凝縮等された固体状ガスを真空容器33から排出する再生処理が必要となる。
【0053】
ここで、クライオポンプ2における再生方法について説明する。
【0054】
再生は、クライオポンプ2の温度を上げて凝縮又は吸着された固体状ガスを気化させ、これを放出することにより行う。この再生方法としては種々あるが、その内の一つとしてモータMを冷却処理時の回転方向(正方向回転)に対し逆方向に回転させることにより、GM冷凍機1の温度を上昇させる方法がある(この方法による温度上昇を逆転昇温という)。
【0055】
この逆転昇温では、ディスプレーサ13,14を駆動するモータMの回転を冷却処理時の逆方向とすることにより、GM冷凍機1の冷却サイクルを反転させ、これにより各ステージ19,20の温度を上昇させる。各ステージ19,20が昇温されることにより、これに接続されたシールド29及びクライオパネル30も昇温し、よってシールド29,クライオパネル30等に凝縮或いは吸着した固体状ガスを気化させることができる。
【0056】
ところで、モータMを逆回転させることにより逆転昇温処理を行うと、第1段目のシリンダー11及びディスプレーサ13は、室温程度まで上昇する。第2段目ディスプレーサ14の高温側Hは、第1段目ディスプレーサ13と接続されている。このため、逆転昇温時においては、第2段目ディスプレーサ14の高温側Hの温度も室温程度まで上昇してしまう。
【0057】
ディスプレーサ筒14Aを構成するステンレスの線膨張係数が10.4×10
-6/℃〜17.3×10
-6/℃であるのに対し、樹脂膜14Bを構成するフッ素樹脂の線膨張係数は5×10
-5/℃〜12×10
-5/℃と大きい。
【0058】
従って、従来のようにディスプレーサ筒に樹脂膜を均一の厚さでコーティングした第2段目ディスプレーサでは、特に高温側Hにおいて樹脂膜の剥がれ等が発生するおそれがあることは前述したとおりである。
【0059】
これに対して本実施形態に係る第2段目ディスプレーサ14は、
図3を用いて説明したように、ディスプレーサ筒14Aの外周面に配設(コーティング)された樹脂膜14Bの厚さが、低温側樹脂膜厚さRLに対して高温側樹脂膜厚さRHが薄くなるよう設定されている(RL>RH)。これにより、温度が室温より20℃程度高い温度まで上昇する第2段目ディスプレーサ14の高温側Hは、樹脂膜14Bに対して膨張量が少ないディスプレーサ筒14Aが主に存在する構成となる。このため、高温側Hにおいて、第2段目ディスプレーサ14の熱膨張を抑制することができる。
【0060】
一方、第2段目ディスプレーサ14の低温側Lは、樹脂膜14Bが主に存在する構成となる。逆転昇温時においても、低温側Lは室温まで温度上昇することはなく、高温側Hに対して低い温度を維持する。このため、低温側Lにおいて樹脂膜14Bが第2段目シリンダー12と接触するほど膨張するようなことはない。
【0061】
更に、第2段目ディスプレーサ14の低温側樹脂膜厚さRLが大きいことにより、低温側Lでは樹脂膜14Bがディスプレーサ筒14Aから剥がれることを確実に防止することができる。
【0062】
よって、本実施形態に係るGM冷凍機1,クライオポンプ2、及び第2段目ディスプレーサ14によれば、第2段目シリンダー12と第2段目ディスプレーサ14との接触を防止でき、モータMにモータスリップが発生することを防止することができる。また、樹脂膜14Bがディスプレーサ筒14Aから剥がれることもないため、GM冷凍機1,クライオポンプ2、及び第2段目ディスプレーサ14の信頼性を高めることができる。
【0063】
次に、上記したディスプレーサ筒14Aの変形例について説明する。
【0064】
図4乃至
図6は、ディスプレーサ筒14Aの第1乃至第3変形例を示している。なお、
図4乃至
図6において、
図1乃至
図3に示した構成と対応する構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
図4は、第1変形例である第2段目ディスプレーサ34を示している。前記した実施形態に係る第2段目ディスプレーサ14では、低温側Lから高温側Hに向けて樹脂膜14Bの厚さが連続的に薄くなるよう構成していた。
【0066】
これに対して第1変形例に係る真空容器34は、低温側Lから所定範囲にわたり同一膜圧の樹脂膜34Bを形成したことを特徴としている。この構成した場合も、低温側Lにおいては樹脂膜34Bの低温側樹脂膜厚さRLが存在し、高温側Hにおいては樹脂膜34Bは存在しない構成となっている。これに対応して、ディスプレーサ筒34Aの厚さも、低温側の厚さDLが高温側のDHに対して薄くなっている(DL<DH)。この構成した場合にも、
図1乃至
図3に示したディスプレーサ筒14Aと同様の効果を実現することができる。
【0067】
図5及び
図6は、第2及び第3変形例である第2段目ディスプレーサ35,36を示している。この各ディスプレーサ35,36は、樹脂膜35B,36Bの厚さが、低温側Lから高温側Hに向け段階的に薄くなるよう構成したことを特徴とするものである。
【0068】
図5に示す第2変形例である第2段目ディスプレーサ35は、樹脂膜35Bの厚さが2段に変化している。また、その段差の形成位置は、第2段目ディスプレーサ35の略中央位置に設定されている。
【0069】
具体的には、低温側Lにおいて樹脂膜35Bの厚さがRLであったのが、高温側Hにおいてはそれよりも薄いRHとなっている(RL>RH)。これに対応して、ディスプレーサ筒35Aの厚さも、低温側の厚さDLが高温側のDHに対して薄くなっている(DL<DH)。
【0070】
図6に示す第3変形例である第2段目ディスプレーサ36は、樹脂膜36Bの厚さが3段に変化している。また、各段差の形成位置は、略等間隔となるよう設定されている。
【0071】
具体的には、樹脂膜36Bの低温側の厚さをRL、中央部分の厚さをRM、高温側の厚さをRHとすると、RL>RM>RHとなるよう設定されている。これに対応して、ディスプレーサ筒36Aの厚さも、DL<DM<DHとなるよう設定されている。
【0072】
第2及び第3変形例のディスプレーサ35,36のように、樹脂膜35B,36Bの厚さが低温側Lから高温側Hに向け段階的に薄くなるよう構成することにより、前記した実施形態及び第1変形例の効果に加え、各段差部分においてディスプレーサ筒35A,36Aと樹脂膜35B,36Bと間で楔効果が発生するため、樹脂膜35B,36Bのディスプレーサ筒35A,36Aからの剥がれをより確実に防止することができる。
【0074】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0075】
具体的には、上記した各実施形態に係る第2段目ディスプレーサ14,34,35,36は、ディスプレーサ筒14A,34A,35A,36Aに樹脂膜14B,34B,35B,36Bのみを配設した構成とした。しかしながら、この樹脂膜14B,34B,35B,36Bに冷媒ガスが導入される溝(環状溝或いは螺旋溝等)を形成し、更に冷却効率を高めうる構成としてもよい。
【0076】
また、本実施形態では樹脂膜をディスプレーサに配設した構成を示したが、樹脂膜の形成位置はディスプレーサに限定されるものではなく、シリンダー12の内側に形成した構成としてもよい。
【0077】
また、本実施形態ではディスプレーサの外径Lが均一である構成を示したが、これに限られず、低温側に対して高温側の外径を小さくしても良い。例えば、ディスプレーサ筒の外径(厚さ)を低温側と高温側で略同一となるように形成し、樹脂膜の厚さのみ低温側よりも高温側のほうを薄くしてもよい。
【0078】
更に、上記した変形例では、樹脂膜の厚さを2段又は3段に変化させる構成を示したが、樹脂膜に形成する段差は2段,3段に限定されるものではなく、それ以上の数に設定することも可能である。