(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それぞれが少なくとも2つの周波数チャネルを有する少なくとも2つの通信リンクを提供する無線通信システムの、前記周波数チャネルを使用する周囲の1つまたは複数の送信機からの干渉の影響下にあるリンク上で受信側通信ノードと通信するように構成された通信ノードにおける方法であって、
データ転送速度の合計についての前記リンクの目標を決定するステップ(201)と、
前記リンク上の電力の合計を最小限に抑えながら前記目標に到達するように前記周波数チャネル上の電力を割り振るステップ(202)と
を含み、
前記割り振るステップ(202)は、
前記リンクの各周波数チャネル上の電力を割り振るステップ(202−1)と、
前記受信側通信ノードに、前記リンクの前記周波数チャネルを使用して、前記少なくとも2つのリンク上でデータまたは基準信号を送信するステップ(202−2)と、
前記送信されたデータまたは基準信号に基づき、前記受信側通信ノードから、前記周波数チャネルの利得対干渉比(GINR)に基づく指示を受信するステップ(202−3)と、
前記周波数チャネルの前記受信されたGINRに基づき、前記リンクについての前記データ転送速度の合計を算出するステップ(202−4)と、
前記目標が達成され、または収束メトリックが満たされたかどうか判定するステップ(202−5)と、
前記目標が達成されるまで、前記割り振るステップ、前記送信するステップ、前記受信するステップ、および前記算出するステップを反復し、更新された電力を使用するステップ(202−6)と
をさらに含む、方法。
それぞれが少なくとも2つの周波数チャネルを有し、それぞれが前記周波数チャネルを使用して受信側と通信する送信側を備えるように定義された少なくとも2つの通信リンクを提供する無線通信システムの、周囲の1つまたは複数の送信機からの干渉の影響を受ける通信ノードにおける方法であって、
送信側ノードから前記周波数チャネル上でデータまたはパイロット信号を受信するステップ(a)と、
前記受信されたデータまたはパイロット信号から前記周波数チャネルの利得対干渉比、GINR、に基づく指示を決定するステップ(b)と、
リンク上の電力の合計を最小限に抑えながらデータ転送速度の合計についての前記リンクの目標に到達するように前記周波数チャネル上の電力を割り振るために、前記送信側ノードに、前記送信側ノードにおいて使用されるべき前記決定された指示を送信するステップ(c)と
を含み、
前記リンクの各周波数チャネル上の電力を割り振るステップ(202−1)と、
前記受信側通信ノードに、前記リンクの前記周波数チャネルを使用して、前記少なくとも2つのリンク上でデータまたは基準信号を送信するステップ(202−2)と、
前記送信されたデータまたは基準信号に基づき、前記受信側通信ノードから、前記周波数チャネルの利得対干渉比(GINR)に基づく指示を受信するステップ(202−3)と、
前記周波数チャネルの前記受信されたGINRに基づき、前記リンクについての前記データ転送速度の合計を算出するステップ(202−4)と、
前記目標が達成され、または収束メトリックが満たされたかどうか判定するステップ(202−5)と、
前記目標が達成されるまで、前記割り振るステップ、前記送信するステップ、前記受信するステップ、および前記算出するステップを反復し、更新された電力を使用するステップ(202−6)と、により前記電力が割り振られる、方法。
それぞれが少なくとも2つの周波数チャネルを有し、それぞれが前記周波数チャネルを使用して受信側と通信する送信側を備えるように定義された少なくとも2つの通信リンクを提供する無線通信システムの、周囲の1つまたは複数の送信機からの干渉の影響を受ける通信ノード(410)であって、
送信側ノードから前記周波数チャネル上でデータまたはパイロット信号を受信するように動作する受信機(411)と、
前記受信されたデータまたはパイロット信号から、前記周波数チャネルの利得対干渉比、GINR、に基づく指示を決定するためのプロセッサ(412)と、
リンク上の電力の合計を最小限に抑えながらデータ転送速度の合計についての前記リンクの目標に到達するように前記周波数チャネル上の電力を割り振るために、前記送信側ノードに、前記送信側ノード(400)において使用されるべき前記決定された指示を送信するための送信機(413)とを備え、
前記リンクの各周波数チャネル上の電力を割り振るステップ(202−1)と、
前記受信側通信ノードに、前記リンクの前記周波数チャネルを使用して、前記少なくとも2つのリンク上でデータまたは基準信号を送信するステップ(202−2)と、
前記送信されたデータまたは基準信号に基づき、前記受信側通信ノードから、前記周波数チャネルの利得対干渉比(GINR)に基づく指示を受信するステップ(202−3)と、
前記周波数チャネルの前記受信されたGINRに基づき、前記リンクについての前記データ転送速度の合計を算出するステップ(202−4)と、
前記目標が達成され、または収束メトリックが満たされたかどうか判定するステップ(202−5)と、
前記目標が達成されるまで、前記割り振るステップ、前記送信するステップ、前記受信するステップ、および前記算出するステップを反復し、更新された電力を使用するステップ(202−6)と、により前記電力が割り振られる、
通信ノード(410)。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて所望の通信品質を保証するために、多くの場合、電力・速度制御が配備される。ある種類の電力・速度制御は、搬送波対干渉雑音比(CINR:Carrier−to−Interference−Noise−Ratio)を、ユーザごとのCINR目標に(または全ユーザについて等しいCINR目標に)合わせて調整することにより、ユーザごとにある固定された速度が達成されるようにすることを目指す。この手法をCINR平衡化という(Nが省かれ、CIR平衡化と呼ばれることもある)。ユーザという用語は、リンクおよびTX−RX対という用語と区別なく使用されることに留意されたい。
【0003】
いくつかの分散CINR平衡化方式が開発されている。S.A.Grandhi,R.Vijayan,and D.J.Goodman,「Distributed power control in cellular radio systems,」IEEE Trans.Commun.,pt.1,vol.42,no.2−4,pp.226−228,1994では、分散電力制御(DPC:Distributed Power Control)アルゴリズムが紹介された。リンクuについての第mの反復電力値P
u(m)、CINR Γ
u(m)および目標CINR Γ
uTargetに基づき、リンクuについての新しい電力値が次式として計算され得る。
(1)の形について直観的に認められるのは、CINRについて、すべての干渉が一定に保たれる場合、CINRは、それ自体のリンクの送信電力において線形であることである。したがって、何らかの要因でCINRを増加させることが求められる場合には、所望のCINRと現在のCINRとの比率を用いて電力を増加させる必要がある。
【0004】
CINR平衡化の考え方が発展したのは、狭帯域システムにおける音声サービスのためであった。
【0005】
しかし、今日のシステムは、多くの場合、広帯域型のものである。そのより広い帯域幅を扱うためには、より広い帯域は、典型的には、情報を転送するための複数のより小さい帯域幅に分割される。これが当てはまる典型的なシナリオがOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiplex access:直交周波数分割多重アクセス)である。
【0006】
別のシナリオは、コグニティブ無線システムにおける、スペクトルの広範囲に隔たった部分にあってさえも可能な、複数の帯域の使用とすることができるはずである。
【0007】
CINR平衡化は、副搬送波といった各スペクトルリソース上で使用することもできるはずであるが、この手法は、異なるスペクトルリソースが、多くの場合、独立に減衰すること、および利得対雑音比の劣る副搬送波ではなく利得対雑音比の良好な副搬送波に電力を再割り振りした方が賢明なはずであることを考慮せず、これを活用しない。
【0008】
また、著しく異なる周波数帯域上の帯域を使用するコグニティブ無線(または他の任意のシステム)の場合には、各帯域の平均伝搬損および干渉状況も著しく異なり、データ転送速度に関してなど、電力が最も奏功する帯域に電力を再割り振りすることが道理にかなう場合もある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の好ましい実施形態が示される添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書に示す実施形態だけに限定されるものと解釈すべきではない。そうではなく、これらの実施形態は、本開示が詳細で完全なものであり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供するものである。図面において、同類の参照符号は同類の要素を指し示す。
【0018】
さらに、当業者は、本明細書で説明する手段および機能が、プログラム式マイクロプロセッサまたは汎用コンピュータと併せて機能するソフトウェアを使用して、かつ/または特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して実施されてもよいことも理解するであろう。また、本発明は主に方法および装置として説明されるが、本発明は、コンピュータプログラム製品としても、コンピュータプロセッサと、本明細書で開示する機能を果たし得る1つまたは複数のプログラムで符号化される、プロセッサに結合されたメモリとを備えるシステムとしても実施され得ることも理解されるであろう。
【0019】
図1aおよび1bに、本発明の実施形態が実施され得る無線通信システムを示す。このシナリオでは、基地局が送信側ユニットであり、移動端末が受信側ユニットである。しかし、本発明の実施形態は、移動端末が送信側ユニットであり、基地局が受信側ユニットであるときにも適用できる。ここで、LTE(Long Term Evolution:ロング・ターム・エボルーション)システムといったセルラシステムで例示する無線通信システムは、コアネットワーク(図示せず)に接続される、eNodeBと呼ばれる無線基地局100を備え、eNodeB同士も相互接続され得る。各eNodeB101は、アンテナ105と関連付けられた送受信機104を有し、eNodeBは、送受信機106とアンテナ107とを備える移動端末102と無線で通信する。本発明は、無線通信システムにおける送信側ユニットを有する通信ノードを対象とする。これは送信側ユニットであるが、送信機と受信機の両方を備える。送信することは、データの送信の方向を指す。送信側ノードの受信機は、測定情報といった制御情報を受信する。
【0020】
図1bには、U個のリンク、すなわち、U個の送信側TXとU個の受信側RXとが示されている。各リンクはk個のチャネル(周波数帯域/副搬送波)を有し、各チャネルは、伝搬路利得G
uu(k)を有する電力P
u(k)、で送信される。さらに、各受信側は、伝搬路利得G
uj(k)(j≠u)を有する同じリンクに属さない送信機からの干渉を受ける。加えて、各受信機は、内部および外部の雑音W
uも受ける。
【0021】
主として考慮されるネットワークトポロジはセルラシステムであるが、本発明はそれだけに限定されないことに留意すべきである。実際、本発明は、複数の同時の潜在的干渉源となる伝送が発生する任意の無線マルチキャリア/帯域システムに適用され得る。
【0022】
本発明は、マルチキャリアシステムのための電力割振りにかかわるものである。したがって、本発明の実施形態では、異なるスペクトルリソース/帯域/副搬送波上で使用される電力が、各ユーザが目標合計速度、すなわち、1つまたは複数のリンク(搬送波)上の利用可能なチャネル上の速度の合計を満たすように調整される。したがって、この目標合計速度は、リンク特有のものとすることもでき、一部または全部のリンクについて同様とすることもできる。このようにして、複数の帯域および/または副搬送波の態様を組み込んだ電力・速度制御が実現される。
【0023】
これが
図1cに示されている。
図1cには、2個のリンク、すなわち、2個の送信側TXと2個の受信側RXとを備えるシステム120が示されている。各リンクは2個のチャネル(帯域/副搬送波)を有し、各チャネルは、利得G
uu(k)を有する電力P
u(k)で送信される。さらに、各受信側は、同じリンクに属さない送信機から、伝搬路利得G
uj(k)(j≠u)を有する、送信側から受信側uへの干渉を受ける。加えて、各受信側は、内部および外部の雑音W
u(k)も被る。
【0024】
リンク1は、グラフ130で表すように、チャネル1、CH1、上で送信電力P
1(1)を、チャネル2、CH2、上でP
1(2)を使用する。それぞれ、140および150で表すグラフに示すように、リンク1のCH1上のCINRはΓ
1(1)であり、リンク1のCH2上のCINRはΓ
1(2)であり、リンク1のCH1上のデータ転送速度は、R
1(1)であり、リンク1のCH2上のデータ転送速度は、R
1(2)である。その場合、チャネル1およびチャネル2に及ぶデータ転送速度の合計は、本発明の実施形態に従い、160で表すグラフに示すように算出される。リンク2についての対応するパラメータは、170〜200で表す各グラフに示されている。
【0025】
さらに、周囲の送信機からの干渉の影響を受ける受信側ノードと無線で通信する無線通信システムの通信ノードにおける方法が提供される。無線通信システムは、それぞれが少なくとも2つの周波数チャネルを有する少なくとも2つの通信リンクを提供し、各リンクは、上記周波数チャネルを使用して受信側と通信する送信側を備えるように定義される。
図2の流れ図に示すように、
201.プロセッサは、データ転送速度の合計についてのリンクの目標を決定する。
202.送信電力割振り器は、リンク上の電力の合計を最小限に抑えながら上記目標に到達するように周波数チャネル上の電力を割り振る。
【0026】
一実施形態によれば、リンク合計電力は、TX−RX対ごとの所望のリンク合計速度を目標としながらの反復的な分散型の解決法により最小化される。リンク合計電力を最小限に抑えることにより、各ユーザは、不良なチャネルと比べて良好なチャネルに大部分の電力を日和見的に(opportunistically)割り振り、不良なチャネルにはゼロ電力が割り振られない場合さえもあり得る。良好なチャネルとは高い利得対雑音比を有するチャネルであり、不良なチャネルとは低い利得対干渉雑音比(GINR)を有するチャネルである。低い利得対干渉雑音比を有する搬送波には、電力が全く割り振られない場合もあり、スケジュールされないのと同じことになる。チャネル割振り問題への従来からの手法である、組み合わせ的に非常に複雑な問題を解くのではなく、本発明者らは、ほんの数回の反復だけで最適なチャネル割振りを見出す。
【0027】
したがって、割振りステップ202は、一実施形態によれば、さらに以下のステップを含む。
【0028】
電力割振り器は、上記リンク上の各周波数チャネル上の電力を割り振る202−1。送信機は、受信側ノードに、リンクの周波数チャネルを使用して、少なくとも2つのリンク上でデータまたは基準信号を送信し202−2、受信機は、送信されたデータまたは基準信号に基づき、受信側ノードから、周波数チャネルの利得対干渉比(GINR)に基づく指示を受信する202−3。さらに、計算器は、周波数チャネルの受信されたGINRに基づいてデータ転送速度の合計を算出し202−4、上記目標が達成され、または収束メトリックが満たされたかどうか判定する202−5。これらのステップは、上記目標が達成されるまで、または収束メトリックが満たされる場合に反復される。反復ごとに、割り振られる電力は、目標または収束メトリックが少数回の反復で満たされるように更新される202−6。したがって、目標または収束メトリックが満たされると、割り振られた電力が送信に使用される202−7。これについて以下でさらに説明する。
【0029】
このアルゴリズムは、他の電力・速度目標、アルゴリズムおよび手段と一緒に使用されてもよい。例えば、別の電力・速度制御の方法がユーザごとの合計速度上限を超えないように使用されてもよい。これは、提案のアルゴリズムによって決定される送信電力を、ユーザごとに合計速度限界を超えないような電力レベルに下方制御することによって実現され得る。
【0030】
次に、
図1bおよび1cを見て、送信側基地局と受信側モバイルを有するセルラシステムが考察されている本発明の実施形態をさらに説明する。当然ながら、本発明の実施形態は、ユーザ端末から基地局へのアップリンク伝送でも適用できる。
図1bには、
図1aのシステムのモデルが示されている。送信側u(この場合には基地局u)は、電力P
u(k)を用いて、チャネルG
uu(k)上のチャネルkで、受信側u(この場合にはユーザ端末u)に送信する。送信側uの送信は、チャネル利得G
ju(k)によりユーザjにおいて干渉を引き起こす。
【0031】
この動作を、分散型動作の見地から説明する。とはいえ、完全な利得行列が各送信側または中央ノードにおいて知られている場合には、以下に示すのと同じ原理を適用して電力、速度、およびチャネル割振りを計算することもできる。
【0032】
一実施形態による方法が、送信側301および受信側302の見地で、
図3のシーケンス図に示されている。送信側301および受信側302は、データの送信のための方向を指示するものであることに留意すべきである。というのは、送信側301も受信側302から送信される制御情報を受信するからである。一代替実施形態によれば、送信側301は基地局であり、受信側302は移動端末であり、別の代替実施形態によれば、送信側301は移動端末であり、受信側302は基地局である。
【0033】
第1のステップ201で、送信側は、合計データ転送速度目標を決定し、または合計データ転送速度目標に関して知らされる。第2のステップ202−1で、電力が、決定された合計目標データ転送速度に到達するように割り振られ、または所望の合計速度に近づく。チャネル/帯域/副搬送波についてのGINRパラメータが得られるように、データまたはパイロット信号が、割り振られた電力で受信側に送信される202−2。パイロット信号が必要とされ得る理由は、データが非ゼロの電力を有する搬送波上でのみ送信されるべきだからであり、その他のサイレントチャネルの品質が高くなったときにそれらのチャネルに電力を再割り振りするために、それらのチャネルの伝搬路利得を算出することが必要とされ得る。
【0034】
図3のステップa.で、受信側の受信モジュールにおいてデータまたはパイロット信号がしかるべく受信される。
【0035】
加えて、送信側も時々、受信側がそれ自体の送信側/受信側チャネル利得を算出するように、各チャネル上で受信側が既知の電力で、パイロット(パイロット信号、基準シンボル、チャネル推定シンボル、訓練シーケンスともいう)を送信し得る。これに加えて、受信側も、各チャネル上の干渉および雑音の合計を推定する。
【0036】
利得および各チャネル上の干渉および雑音の合計に基づき、受信側302の計算器は、GINR、または、GINRを導出するための、SINRといった別のパラメータを形成し(
図3ステップb.)、受信側302は、それらの全部または選択される一部を送信側301に送り返す(
図3ステップc.)ための送信機を備える。
【0037】
送信側は、受信機において(1つまたは複数の)GINRを受信し202−3、それらのGINRを使用して合計データ転送速度を計算し202−4、合計データ転送速度目標に到達するかどうか、または収束メトリックが満たされるかどうか判定する202−5。合計データ転送速度に到達した場合には、割り振られた電力がデータ伝送のために使用され、そうでない場合には、以下で詳細に説明するアルゴリズムに従って割り振られるべき電力が更新される202−6。
【0038】
この手順は、収束メトリックが満たされるまで反復される。収束メトリックは、目標合計速度に対する実際の合計速度の相対誤差の偏差が係数ε未満であることとすることができる。あるいは、収束メトリックは、ある反復から次の反復までの各相対電力更新または合計相対電力更新がある閾値より小であることとすることもできる。チャネル速度反復更新に基づくものなど、代替の収束尺度を想定することもできる。
【0039】
上記の例のフィードバックではGINRが使用されるが、他の同等のフィードバック尺度を考慮することもできるはずである。また、受信されたパイロット電力を送信側に送り返すことも可能である。というのは、送信側は、使用されたパイロット電力の知識に基づき、それ自体のチャネル利得を計算することができるからである。別の代替尺度は、ある程度まで、データトラフィックについて割り振られ、使用されたチャネルの受信電力の測定を利用する。
【0040】
前述のように、
図2および
図3には、固定された干渉を想定して、リンクについての合計電力を最小限に抑えながら、所望の合計データ転送速度を提供する反復アルゴリズムが示されている。一実施形態によれば、逆注水法(Reverse Waterfilling)に基づく反復アルゴリズムがこの目的で使用される。これは、電力およびデータ転送速度割振りを反復して計算するための唯一の方法ではないが、最適化しなければならない場合には、高速で常に収束する代替方法である。
【0041】
以下では、逆注水割振りを使用するときに、割り振られるべき電力がどのように更新されるかを説明する。
【0042】
初期設定段階では、注水割振りに使用されるべきラグランジュ(Lagrange)パラメータλ
uが、可能な限り最終的なラグランジュパラメータに近いものと想定され得る値に設定され得る。前のセル全体の電力更新からのλ
uが利用できる場合には、この値が使用され得る。λ
uおよびGINRに基づく(最初の反復では、まだ干渉が発生していないため、1回目は利得対雑音比だけを有し得る)。
【0043】
この部分では、式(1)に対する対応する比に基づく反復更新式を導出するための第1のステップが与えられる。
【0044】
すべての干渉が固定されているものと仮定する。ユーザuについてのラグランジュパラメータλ
uが与えられる場合、副搬送波ごとの電力は、
であり、速度R
uTarget=lg
2(1+Γ
uTarget)、Γ
uTarget=C/I、C=P
u(k)、
である。
【0045】
次いで、ユーザごとの合計速度がステップ202−4で、
として計算される。式中、k’は非ゼロの正の電力を有する搬送波についてのインデックスを表す。これは、以下の形に書き換えられてもよい。
【0046】
差し当たり、少なくとも1つの帯域/搬送波が使用されるものと仮定する。アクティブな副搬送波/周波数帯域の数N
uは、式(4)が、
であるように導入され、式中、k’は、N
u個のアクティブな副搬送波についてのインデックスであり、C
uは、すべての干渉源電力が一定であると仮定される場合には、一定である。これは、反復CIR平衡化式(1)を導出する際になされたのと同じ仮定であることに注意されたい。
【0047】
C
uおよびN
uは反復mから次の反復m+1まで同じであるものと仮定すると、第mの速度式と第m+1の速度式との比は、
に従って形成される。同一の(固定と仮定される)干渉項C
uは打ち消されることがわかる。
【0048】
次に、前のラグランジュパラメータ、前に測定された速度、前のアクティブ搬送波の数、および所望の速度に基づいて、更新されたラグランジュパラメータの値が求められる。この更新されたラグランジュパラメータは、ステップ202−6で、割り振られるべき更新電力を計算するときに使用される。
上記では、1リンク当たり少なくとも1つの搬送波が使用されるものと想定した。搬送波が使用されない場合、これは、N
u(m)=0の場合である。これは望ましくない状況である。というのは、電力が割り振られていないユーザは、合計速度を満たすようにその電力を調整しないからである。この問題を軽減するために、搬送波の数は、
に従って少なくとも1つに設定される。要約すると、所望の電力およびデータ転送速度割振りを見つけるためには、以下のステップが行われる。
【0049】
初期電力が、初期値:
を使用することにより割り振られる(ステップ202−1)。
【0050】
合計データ転送速度が、
として算出される202ー4。
【0051】
目標に到達していない場合には、更新されたラグランジュパラメータを使用することにより、更新された電力が以下のように算出される。
【0053】
例えば、
などにより、十分な収束が達成されるまで反復する。
【0054】
前述のような電力を割り振るための方法は、
図4aおよび
図4bに示すような受信側ノード410との通信のために適合された送信側通信ノードにおいて実施することができる。送信側ノード400は、通信ノードが周囲の送信機からの干渉の影響を受ける無線通信システムの一部となるように構成される。送信側ノード400は、基地局でも移動局でもよい。送信側ノード400が基地局である場合、受信側ノード410は移動端末であり、送信側ノード400が移動端末である場合、受信側ノード410は基地局である。無線通信システムは、それぞれが少なくとも2つの周波数チャネルを有する少なくとも2つの通信リンクを提供し、通信ノードは、上記周波数チャネルを使用する周囲の送信機からの干渉の影響下にあるリンク上で受信側通信ノードと通信するように構成される。送信側ノードと受信側ノードとは、少なくとも2つの周波数チャネルを提供する1つのリンク上で通信することに留意すべきである。送信側ノード400は、データ転送速度の合計についてのリンクの目標を決定するように構成されたプロセッサ401と、リンク上の電力の合計を最小限に抑えながら上記目標に到達するように周波数チャネル上の電力を割り振るように構成された電力割振り器402とを備える。
【0055】
本発明の実施形態によれば、送信側ノードは、受信側ノード410の受信機411に、リンクの周波数チャネルを使用して少なくとも2つのリンク上でデータまたは基準信号を送信するための送信機403を備える。受信側ノード410は、データまたはパイロット信号を使用してGINRを推定するように構成されたプロセッサ412と、推定されたGINRまたは類似のパラメータを送信側ノード400に送信するための送信機とを備える。したがって、送信側ノード400は、少なくとも2つのリンクの周波数チャネルのGINRの指示を受信するための受信機404をさらに備える。さらに、送信側ノード400においては、周波数チャネルの受信されたGINRに基づいて、リンク上のデータ転送速度の合計を算出するように構成された計算器405が設けられる。計算器405は、さらに、上記目標が達成されたかどうか判定し、上記目標が達成されるまで、更新された電力を使用して電力の割振りが反復されるように制御するように構成される。
【0056】
電力の割振りには注水アルゴリズムが使用され得る。したがって、計算器405は、一実施形態によれば、さらに、uがリンクを表しmが反復を表す事前定義のラグランジュパラメータλ
u(m+1)を前提として注水割振りを使用することにより、1つのチャネルについてあるリンクu上で割り振られるべき更新電力を計算するように構成される。リンクuに割り振られるべき更新電力を計算するための使用されるべき更新されたラグランジュパラメータλ
u(m+1)は、
として計算することができ、式中、Rは、反復mにおけるリンクu上のデータ転送速度を表し、R
uTargetは上記目標であり、R
u(m)は、送信側が反復mにおいて非ゼロの送信電力を使用する周波数チャネルの数である。
【0057】
本発明の実施形態の性能を、以下に開示するシミュレーション結果で例示する。
【0058】
この部分では、(ラップアラウンドを用いて10×10の六角形セルとして配置された)100セルのシステムを考察する。チャネルkについての平均経路利得モデルは、
であり、式中、R
ijはリンクiの送信側とリンクjの受信側との距離である。瞬間経路利得は、
が与えられた場合の、平均経路利得G
ij(k)およびフェージング利得g
ij(k)に基づくものである。所望のリンクでは、i=jであり、一方、干渉源リンクでは、i≠jである。(平均経路利得がユーザについてのチャネル間で等しい場合でさえも、リンクの各チャネルは異なって減衰し、異なる瞬間経路利得を有する場合があることに留意されたい。)以下のシミュレーションでは、α=3.6と仮定する。
【0059】
以下のシミュレーションでは、さらに、ユーザごとの合計速度目標は2b/Hz/s、すなわち、R
uTarget=2b/Hz/sであるものと仮定する。
【0060】
図5に、このアルゴリズムの最後の反復におけるユーザごとの合計速度CDFを示す。明らかに、すべてのユーザがその合計速度目標に到達する。
【0061】
図6に、搬送波ごとの速度割振り対モバイルユーザから基地局までの距離を示す。
【0062】
図7に、このアルゴリズムの最後の反復におけるすべてのユーザおよび搬送波についての速度CDFを示す。リンク上のごく一部3%が最大合計速度に等しいリンク速度を使用し(すなわち、それらのユーザについてのそれ以外の3搬送波は完全にサイレントであり)、副搬送波の約42%はサイレントであり、残りの55%の副搬送波には、最大合計速度上のゼロの間の速度が割り振られていることが認められる。
【0063】
図8a〜bに、セルラシステムにおいて更新電力が適用されるときの1反復回当たりの(あらゆる副搬送波およびユーザについての)電力変動を示す。
図8aでは、すべてのチャネルが干渉なしであるものと仮定され、平均経路利得が使用されるという開始条件を前提とする。一方、
図8bでは、各ユーザが、干渉が生じない場合の、各ユーザの合計速度目標を達成するようにその電力を適応させるという開始条件を前提とする。実際の収束には3〜4反復で十分のようである。(図には示されていないが)より厳密に検査すれば、相対合計電力誤差は、1反復当たりおおよそ10dB減少する、すなわち相当に高速な収束であることが示されるはずである。
図9a〜bに、速度およびチャネル割振り(すなわち、速度0のチャネルには割り振られず、0でない速度のチャネルには割り振られる)を示す。
図9a〜bには、それぞれが4チャネル利用できる100TX−RX対が示されている。
図9aでは、ユーザチャネル間の平均利得は同一であるが、チャネルは、レイリー(Rayleigh)分布変数に従って独立に減衰する。
図9bでは、ユーザチャネル間の平均利得は、それぞれ、1倍、0.1倍、0.1倍、および0.01倍だけ異なり、各チャネルはやはり独立に減衰する(レイリー)。したがって、
図9bには、広く隔てられた帯域を使用したコグニティブ無線システムの場合のような、大幅に異なる平均経路利得を有する異なる帯域が存在する場合が示されている。