特許第5744774号(P5744774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744774
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出容器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20150618BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   B05B11/00 102E
   B65D83/00 K
   B05B11/00 102C
   B05B11/00 102G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-44666(P2012-44666)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180230(P2013-180230A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−206746(JP,A)
【文献】 特開2010−274963(JP,A)
【文献】 米国特許第4345718(US,A)
【文献】 特開2000−229255(JP,A)
【文献】 実開昭57−123662(JP,U)
【文献】 特開平11−042451(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0008415(US,A1)
【文献】 特開2009−273964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 11/00
B65D 83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口筒部を有して内容液が充填される容器本体と、ピストンを内蔵するシリンダを有して口筒部上端との間が環状のシール部材を介して封止されるボディと、当該ボディに回動可能に支持されるレバーとを備え、当該レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによってピストンを往復運動させ、容器本体の内容液をボディの内側に形成した通路を通してシリンダに吸引するとともに外界に噴出させるトリガー式液体噴出容器であって、
前記ボディに、切り離しによって口筒部の上端開口部を通して容器本体内を外界に通じさせる貫通孔を形成する封止栓を設けるとともに、シール部材の内周縁を前記上端開口部の内側に延在させて変形及び復元の可能な弾性片を形成し、当該弾性片で前記貫通孔を開放可能に閉じる一方、
前記通路に、シリンダに生じた負圧によって前記通路から離間して容器本体からの内容液を導入する第1の環状舌片と、シリンダから圧送された内容液の圧力によって前記通路から離間して当該内容液を外界に排出する第2の環状舌片とが一体に設けられた複合弾性弁を配置したことを特徴とするトリガー式液体噴出容器。
【請求項2】
請求項1において、前記通路とシリンダとの間に肉抜き空間を形成する仕切壁を設け、当該仕切壁に、第1の環状舌片を接触させたことを特徴とするトリガー式液体噴出容器。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記ボディに、当該ボディを口筒部に装着する装着筒を一体に設けたことを特徴とするトリガー式液体噴出容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、前記ボディに吸入パイプを固定するパイプホルダを、前記複合弾性弁を抜け止め保持する抜け止め保持部材として一体に設けたことを特徴とするトリガー式液体噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって内容物を外界に噴出させるトリガー式液体噴出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のトリガー式液体噴出容器には、内容液が噴射されるに従い、容器本体内の圧力が低下することを考慮して、容器本体の口筒部上端との間が環状のシール部材を介して封止されるボディに、容器本体内を外界に通じさせる貫通孔を形成することで、容器本体内と外界との空気置換を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−205045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうしたトリガー式液体噴出容器は、その空気置換が貫通孔を通して行われるため、容器本体内が常時外界に開放されていることになる。従って、従来のトリガー式液体噴出容器は、内容液を吸入・加圧・圧送するための内圧(蓄圧)の確保に改善の余地がある。
【0005】
加えて、トリガー式の噴出器は部品点数が多く、組立工程も増えることから、結果的に、製品コストが上昇するという問題もある。
【0006】
本発明の目的とするところは、容器本体とボディとの間の密閉性を適宜確保することで、良好な内容液の取り出しを可能にしつつ、省パーツ化の図られた新規なトリガー式液体噴出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、口筒部を有して内容液が充填される容器本体と、ピストンを内蔵するシリンダを有して口筒部上端との間が環状のシール部材を介して封止されるボディと、当該ボディに回動可能に支持されるレバーとを備え、当該レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによってピストンを往復運動させ、容器本体の内容液をボディの内側に形成した通路を通してシリンダに吸引するとともに外界に噴出させるトリガー式液体噴出容器であって、
前記ボディに、切り離しによって口筒部の上端開口部を通して容器本体内を外界に通じさせる貫通孔を形成する封止栓を設けるとともに、シール部材の内周縁を前記上端開口部の内側に延在させて変形及び復元の可能な弾性片を形成し、当該弾性片で前記貫通孔を開放可能に閉じる一方、
前記通路に、シリンダに生じた負圧によって前記通路から離間して容器本体からの内容液を導入する第1の環状舌片と、シリンダから圧送された内容液の圧力によって前記通路から離間して当該内容液を外界に排出する第2の環状舌片とが一体に設けられた複合弾性弁を配置したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、前記通路とシリンダとの間に肉抜き空間を形成する仕切壁を設け、当該仕切壁に、前記第1の環状舌片を接触させることができる。
【0009】
また、前記ボディに、当該ボディを口筒部に装着する装着筒を一体に設けることができる。更に、前記ボディに吸入パイプを固定するパイプホルダを、前記複合弾性弁を抜け止め保持する抜け止め保持部材として一体に設けることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボディに形成した貫通孔は、封止栓で封止されていることから、流通段階などの未使用においては、容器本体内が外界に開放されることがない。また、使用開始時においては、ボディから封止栓を取り除くことで、ボディに貫通孔を形成することができる。しかも、シール部材の内周縁を口筒部上端の開口部の内側に延在させて弾性片を形成し、当該弾性片で貫通孔を開放可能に閉じているので、封止栓を取り除いただけでは、依然として、容器本体内が外界に開放されることがない。
【0011】
これに対し、レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって内容液を噴出させるのに伴い、容器本体内の圧力が低下すれば、その負圧によって、シール部材の内周縁で構成された環状の弾性片が変形して貫通孔を開くことで、容器本体内と外界との空気置換を行うことができる。しかも、容器本体内と外界との空気置換によって、容器本体内の圧力が上昇すれば、弾性片が復元して貫通孔を閉じることで、再び、容器本体内が外界に開放されることがない。
【0012】
また、本発明は、ボディの内側に形成された通路に、2つの環状舌片を一体に有する複合弾性弁を配置し、第1の環状舌片では、シリンダに生じた負圧によって前記通路から離間して容器本体からの内容液を導入する一方、第2の環状舌片では、シリンダから圧送された内容液の圧力によって前記通路から離間して当該内容液を外界に排出する。これにより、第1通路内に吸入弁と排出弁とを個別に配置することなく、シリンダに吸引された内容液をピストンとの間で適宜、蓄圧して噴出させることができる。
【0013】
従って、本発明によれば、容器本体とボディとの間の密閉性を適宜確保することで、良好な内容液の取り出しを可能にしつつ、省パーツ化を図ることができる。
【0014】
特に、前記通路とシリンダとの間に設けた仕切壁に肉抜き空間を形成すれば、ボディを射出成形等しても、仕切壁が極度に厚くなったり、仕切壁の内周面に「ひけ」等を生じにくい。従って、仕切壁2hに肉抜き空間を形成して、当該仕切壁に、第1の環状舌片を接触させれば、第1の環状舌片での密封性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明である、トリガー式液体噴出容器の一形態である、トリガー式噴霧容器を示す要部断面図である。
図2】同形態に係る封止栓を取り除いた状態の要部を図1のA方向から矢視する要部矢視図である。
図3】同形態に係るポンプユニットを、レバー、付勢部材及びポンプ本体に分解して示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一形態である、トリガー式噴霧容器を詳細に説明する。
【0017】
符号1は、例えば、口筒部1aを有し整髪料等を内容液として充填する合成樹脂製の容器本体である。口筒部1aには、肩部1bを介して胴部1cが一体に繋がる。口筒部1aの上端1eには、内容液の充填空間S1に通じる開口部A1が形成されている。
【0018】
符号Pは、開口部A1を通して充填空間S1の内容液を噴霧させるためのポンプユニットである。ポンプユニットPは、口筒部1aに固定されるボディ2を有する。ボディ2は、本体(以下、「ボディ本体」)2aを有し、このボディ本体2aに、内容液を吸引、加圧、圧送するためのシリンダ2bが一体に設けられている。シリンダ2bは、ボディ本体2aの内側に形成された第1通路r1に対して貫通孔A2を通して繋がる。また、シリンダ2bの内側には、ピストン3が配置されている。ピストン3は、シリンダ2bとの間にポンプ室S2を形成する。
【0019】
更に、ボディ本体2aには、シリンダ2bの上方に間隔を置いて延長流路部2cが一体に設けられている。延長流路部2cには、第1通路r1に通じる第2通路r2が形成されている。また、延長流路部2cには、支持盤2dが一体に垂下する。
【0020】
延長流路部2cの先端には、ノズル4が固定されている。ノズル4は、ノズル本体4aとヒンジキャップ4bを有する。ノズル本体4aの先端には、内容液を噴出させるための噴出口A3が形成されている。ノズル本体4aの先端内側には、内容液を噴霧させるための噴霧エレメント5が設けられている。ノズル本体4aは、延長流路部2cと共に、第1流路r1を外界に通じさせる第2通路r2を形成する。
【0021】
符号6は、ボディ2に回動可能に支持されるレバーである。本形態では、レバー6は、支持盤2dに設けた軸部2sを介して回動可能に支持されている。ピストン3は、レバー4の牽曳及び復帰の繰り返しによって動作する。ピストン3は、シリンダ2b内に摺動可能に保持されるピストン本体3aと、このピストン本体3aに一体に繋がるフック部3bを有する。ピストン3は、フック部3bによって、レバー6に設けた軸部6sに対して回転可能に支持されている。
【0022】
ボディ2とレバー6との間には、レバー6の牽曳に対する復元力を与える付勢部材7が配置されている。付勢部材7は、ボディ2に固定される固定ブロック部7aを有し、この固定ブロック部7aと一体に繋がる2つの弾性アーム片7bによってレバー6を牽曳可能な初期位置に付勢する。
【0023】
一方、符号8は、第1通路r1に配置された複合弾性弁である。複合弾性弁8は、吸入パイプ9を固定するパイプホルダ10によって、ボディ2に対して抜け止め保持されている。パイプホルダ10は、例えば、ボディ本体2aに対して凹凸嵌合等の方法により固定される。
【0024】
複合弾性弁8は、変形及び復元の可能な合成樹脂からなる。複合弾性弁8は、第1通路r1の入り側(吸入側)内周面に固定される固定部8aを有する。固定部8aは、第1通路r1の内周面に嵌合させることができる。但し、複合弾性弁8は、上述のとおり、パイプホルダ10によって抜け止め保持されている。このため、固定部8aは、必ずしも第1通路r1の内周面に嵌合させることはない。
【0025】
固定部8aには、第1通路r1に沿って延在する本体部8bが一体に設けられている。本体部8bは、その外径寸法が固定部8aよりも小さい。このため、第1通路r1は、本体部8bとの間に形成された環状の隙間として構成される。
【0026】
また、本体部8bの内側には、固定部8aとともに、第1通路r1に沿って延在する凹部8nが形成されている。凹部8nは、吸入パイプ9の内部通路r3及びパイプホルダ10の内部通路r4を通して充填空間S1に通じる。また、本体部8bには、固定部8aとの近傍に、凹部8nを外界に通じさせる貫通孔A4が形成されている。これにより、充填空間S1は、貫通孔A4を通して第1通路r1に通じる。
【0027】
更に、本体部8bには、第1通路r1に沿って間隔を置いて、第1の環状舌片8cと、第2の環状舌片8dとが一体に設けられている。
【0028】
第1の環状舌片8cは、貫通孔A4と貫通孔A2との間に設けられている。第1の環状舌片8cは、本体部8bを全周に亘って取り囲む環状体としてなる。第1の環状舌片8cは、第1通路r1の出側(排出側)に向かって拡径し、その末端部8c1によって第1通路r1の内周面が密閉保持される。これにより、末端部8c1がシール部として機能する。
【0029】
これに対し、第2の環状舌片8dは、貫通孔A2と第2通路r2との間に設けられている。第1通路r1には、ボディ本体2aの天壁から第2通路r2に通じる筒状部2eが一体に垂下する。また筒状部2eの内側には、ボディ本体2aの天壁から本体8bに接触する当接ピン2pが一体に垂下する。
【0030】
第2の環状舌片8dは、筒状部2eの内側に配置される。第2の環状舌片8dは、当接ピン2pを全周に亘って取り囲む環状体としてなる。第2の環状舌片8dも、第1通路r1の出側に向かって拡径し、その末端部8d1によって筒状部2eの内周面が密閉保持される。これにより、末端部8d1がシール部として機能する。
【0031】
これにより、第1の環状舌片8cは、シリンダ2b内に負圧が生じると、その負圧によって第1通路r1から離間して容器本体1からの内容液を第1通路r1に導入する。また、第2の環状舌片8dは、シリンダ2bから圧送された内容液の圧力によって第1通路r1の筒状部2eの内周面から離間して当該内容液を第2通路r2に圧送する。
【0032】
従って、レバー6の牽曳及び復帰を繰り返せば、容器本体1の内容液をボディ2の内側に形成した第1通路r1を通してシリンダ2bに吸引するとともに第2通路r2を通して外界に噴出させることができる。
【0033】
一方、ボディ2は、ボディ本体2aに一体に繋がる肩部2fを有する。肩部2fからは、ボディ2を口筒部1aに装着するための装着部2gが一体に設けられている。装着部2gは、口筒部1aに対してねじ付けることができる。これにより、ポンプユニットPを容器本体1に対して装着することができる。
【0034】
ボディ2は、その肩部2fで、口筒部上端1eとの間に配置した環状のシール部材11を挟んで開口部A1を封止する。シール部材11は、変形及び復元の可能な弾性材料からなる。シール部材11としては、例えば、Oリング等を用いる。
【0035】
肩部2fには、口筒部上端1eに形作られた開口部A1を通して充填空間S1を外界に通じさせる貫通孔(以下、「空気置換孔」)A5が設けられている。空気置換孔A5は、肩部2fに一体に設けられた封止栓12によって密封されている。
【0036】
封止栓12は、薄肉部13を介して肩部2fに一体に設けられている。薄肉部13は、一定以上の外力が加わることで切断することできる。これにより、図1の状態から封止栓12を持って薄肉部13を切断すれば、封止栓12が肩部2fから取り外されることで、空気置換孔A5は、図2に示すように、開口部A1を通して充填空間S1を外界に開放する。
【0037】
更に、シール部材11は、図1に示すように、その内周縁11aが口部上端1eから開口部A1の内側に延在している。即ち、シール部材11の内周縁11aは、口筒部上端1eを基点に、変形及び復元の可能な環状の弾性片(弾性弁)として構成されている。これにより、弾性片11aは、口筒部上端1eを基点に、空気置換孔A5を開放可能に閉じることができる。
【0038】
本形態によれば、ボディ2に形成した空気置換孔A5は、流通段階などの未使用においては、図1に示すように、封止栓12で封止されていることから、容器本体1の充填空間S1が外界に開放されることがない。
【0039】
また、使用開始時においては、ボディ2から封止栓12をもぎり取ることで、図2に示すように、ボディ2に空気置換孔A5を形成することができる。しかも、シール部材11の内周縁を開口部A1の内側に延在させて環状の弾性弁11aを形成し、当該弾性弁11aで空気置換孔A5を開放可能に閉じているので、封止栓12を取り除いただけでは、依然として、充填空間S1が外界に開放されることがない。
【0040】
これに対し、容器本体1に装着されたポンプユニットPは、レバー6の牽曳及び復帰の繰り返しによって、ピストン3が動作することで、ポンプ室S2に吸入されて加圧された内容液は、第1通路r1及び第2通路r2を通して噴出口A3から噴霧される。このように、内容液を噴霧させるのに伴い、充填空間S1内の圧力が低下すれば、その負圧によって、シール部材11の内周縁で構成された環状の弾性片11aが破線で示すように変形して空気置換孔A5を開くことで、外界との空気置換を行うことができる。しかも、外界との空気置換によって、充填空間S1内の圧力が上昇すれば、弾性片11aが実線で示すように復元して空気置換孔A5を閉じることで、再び、充填空間S1が外界に開放されることがない。
【0041】
また、本形態は、ボディ2の内側に形成された第1通路r1に、2つの環状舌片8c,8dを一体に有する複合弾性弁8を配置し、第1の環状舌片8cでは、シリンダ2bに生じた負圧によって第1通路r1から離間して容器本体からの内容液を導入する一方、第2の環状舌片8dでは、シリンダ2bから圧送された内容液の圧力によって第1通路r1から離間して当該内容液を外界に排出する。これにより、第1通路r1内に吸入弁と排出弁とを個別に配置することなく、シリンダ2bに吸引された内容液をピストン3との間で適宜、蓄圧して噴出させることができる。
【0042】
このように、本形態によれば、容器本体1とボディ2との間の密閉性を適宜確保することで、良好な内容液の取り出しを可能にしつつ、省パーツ化を図ることができる。また、封止栓12は、その存在の有無によって、未使用状態を確認することができる。
【0043】
ところで、本形態では、図1に示すように、第1通路r1とシリンダ2bとの間の仕切壁2hには、肉抜き空間S3が形成されている。肉抜き空間S3は、図3に示すように、ボディ本体2aとシリンダ2bとの間をシリンダ軸線に対して直交するように横方向に貫通する。本形態では、2つの連結片を介して連結されている。これにより、仕切壁2hは、第1通路側仕切壁2h1とシリンダ側仕切壁2h2とで構成されている。
【0044】
本形態では、仕切壁2hの内周面(第1通路側仕切壁2h1)に、第1の環状舌片8cを接触させている。仕切壁2hに、肉抜き空間S3を形成すれば、ボディ2を射出成形等しても、仕切壁2hが極度に厚くなったり、仕切壁2hの内周面に「ひけ」等を生じにくい。従って、仕切壁2hに肉抜き空間S3を形成すれば、第1の環状舌片8cでの密封性が高められる。
【0045】
また、本形態のように、ボディ2に、当該ボディ2を口筒部1eに装着する装着筒2gを一体に設ければ、省パーツ化に有効である。また、装着部2gを一体に設ける場合、口筒部1aとボディ2との間を効果的に密封することで、更に良好な噴出を実現できる。装着部2gは、口筒部1aに螺合させる構成のものの他、アンダーカット嵌合するもの等、口筒部1aに対する装着方法はこれに限定されるものではない。
【0046】
同様に、空気置換孔A5の封止を、シール部材11で行うことも、省パーツ化に有効である。
【0047】
なお、本形態では、封止栓12は、切断可能な連結片12aを介してボディ本体2aに一体に連結されている。この場合、封止栓12が容易にもぎ取られることがないため、誤ったもぎ取りの防止に更に有効である。また、本形態では、口筒部1aに装着するための装着部2gをボディ2と一体に設けているが、本発明に従えば、別体のリングキャップを介して連結することできる。
【0048】
上述したところは、本発明の一形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、封止栓12は、板状のものに限らず、棒状のものなど、その形状は適宜選択できる。また、噴霧エレメント5は、泡生成エレメントに置き換えることができ、或いは、エレメントを省略することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、容器本体の口筒部上端との間が環状のシール部材を介して封止されるボディを有し、当該ボディのシリンダに配置されたピストンを、レバーの牽曳及び復帰の繰り返しによって動作させ、容器本体から内容液を噴出させるトリガー式液体噴出容器であれば、内容液の成分等は問わず、様々なものに適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 容器本体
1a 口筒部
1b 肩部
1c 胴部
1e 口筒部上端
2 ボディ
2a ボディ本体
2b シリンダ
2c 延長流路部
2d 支持盤
2e 筒状部
2f 肩部
2g 装着部
2h 仕切壁
2h1 第1通路側仕切壁
2h2 シリンダ側仕切壁
3 ピストン
4 ノズル
5 噴霧エレメント
6 レバー
6s 軸部
7 付勢部材
7a 固定ブロック部
7b 弾性アーム片
8 複合弾性弁
8a 固定部
8b 本体部
8c 第1の環状舌片
8c1 末端部(シール部)
8d 第2の環状舌片
8d 末端部(シール部)
9 吸入パイプ
10 パイプホルダ
11 シール部材
11a 弾性片(シール部材内周縁)
12 封止栓
12a 連結片
13 薄肉部
P ポンプユニット
A1 開口部
A2 貫通孔
A3 噴出口
A4 貫通孔
A5 空気置換孔(貫通孔)
r1 第1通路
r2 第2通路
S1 充填空間
S2 ポンプ室
S3 肉抜き空間
図1
図2
図3