【実施例】
【0144】
実施例
以下の実施例は別段の詳細な説明がない限り、周知、慣用の標準手法を用いて実施している。実施例は本発明の例証となるが、本発明を限定するものではない。
【0145】
実施例1:
莢膜多糖を欠くNeisseria meningitidis血清群B株の構築
プラスミドpMF121(Frosch et al., 1990)を用いて、莢膜多糖を欠くN. meningitidis血清群B株を構築した。このプラスミドは群B多糖(B PS)の生合成経路をコードする遺伝子座の上下流領域とエリスロマイシン耐性遺伝子とを含む。B PSの欠失は群B莢膜多糖の発現の消失及びgalEの活性コピーの欠失を結果的にもたらし、ひいてはガラクトース欠損LPSの合成を招いた。
【0146】
菌株の形質変換:
形質転換にはN. meningitidis B H44/76株(B:15:P.17, 16; Los 3,7,9)を選んだ。MH (Mueller-Hinton)プレート(エリスロマイシン不存)上で一晩CO
2培養後、細胞を10 mM MgCl
2 (MHプレート当たり2 mlを使用)入り液体MH中に回収し、0.1 OD (550 nm)まで希釈した。この2 ml溶液に4 μlのプラスミドpMF121ストック溶液(0.5 μg/ml)を加えてから、37℃で6時間(振とう)インキュベートした。コントロール群は同量のN. meningitidis B菌株を用いて、ただしプラスミドを添加せずに行った。インキュベーション後、培養液をそのまま1/10、1/100及び1/1000に希釈し、5、10、20、40又は80 μg-エリスロマイシン/ml含有MHプレートにまき、37℃で48時間培養した。
【0147】
コロニーブロッティング:
プレート培養により、10および20 μg-エリスロマイシン/ml含有MHプレートから20コロニーが形成され、選択されたが、プラスミドを導入しないコントロール群ではコロニーの形成はみられなかった。H44/76野生型株は特定エリスロマイシンプレート(10〜80 μg-エリスロマイシン/ml)中で増殖できなかった。翌日、目に見えるコロニーをすべてエリスロマイシン不含の新しいMHプレートに移し、増殖させた。その後、コロニーをニトロセルロースシートに転写し(コロニーブロッティング)、B多糖の有無を調べた。要するにコロニーをニトロセルロースシート上にブロットし、PBS-0.05% Tween 20で直接すすいでから、PBS-0.05% Tween 20(希釈緩衝液)中で56℃、1時間の細胞不活化処理をした。その後、室温で1時間、希釈緩衝液中に浸した。次いで、シートを再び希釈緩衝液で5分間ずつ3回洗った後、希釈緩衝液で1/3000に希釈した抗B PS 735 Mab (Boerhinger)と室温で2時間インキュベートした。新たな洗浄ステップ(3×5分間)を経てから、希釈緩衝液で500倍に薄めたビオチニル化抗マウスIg (RPN 1001; Amersham)でモノクローナル抗体を検出(室温で1時間)後に、次の(前述と同様の)洗浄ステップに移った。その後、シートを、希釈緩衝液で1/1000に希釈したストレプタビジン−ペルオキシダーゼ複合体の溶液により、室温で1時間インキュベートした。最後の(前と同じ要領による)洗浄ステップの後、レベレーション液(30 mgの4-クロロ-1-ナフトールを10 mlメタノール+40 ml PBS+30 mclのH
2O
2 37%に溶かしたもの; Merck)を用いてニトロセルロースシートを暗所で15分間インキュベートした。この反応は蒸留水洗浄ステップをもって停止させた。
【0148】
ホールセルELISA:
2つの形質転換コロニー(DとR)及び被覆細菌としての野生型株(H44/76)(20 μg-タンパク質/ml)を用いてホールセルELISAも実施し、また種々のモノクローナル抗体一組を用いてN. meningitidis株の特性を解明した。次のMabを試験した: 抗B PS Mab(735; Dr Frosch)、及びNIBSC由来の他Mab: 抗B PS (Ref 95/750)、抗P1.7 (A-PorA, Ref 4025)、抗P1.16 (A-PorA, Ref 95/720)、抗Los 3,7,9 (A-LPS, Ref 4047)、抗Los 8 (A-LPS, Ref 4048)、抗P1.2 (A-PorA, Ref 95/696)。
【0149】
マイクロタイタープレート(Maxisorp; Nunc)を組換え髄膜炎菌B細胞のPBS溶液(約20 μg/ml) 100 μlで、37℃で一晩かけて被覆した。その後、プレートを300 μlの150 mM NaCl - 0.05% Tween 20で3回洗ってから、100 μlのPBS-0.3%カゼインで覆い、振とうしながら室温で30分間インキュベートした。プレートを再び同じ要領で洗ってから、抗体とインキュベートした。モノクローナル抗体(100 μl)をPBS-0.3%カゼイン-0.05% Tween 20で種々の濃度に希釈して(
図2参照)マイクロプレート上にまき、室温で30分間振とうしながらインキュベートしてから、次の洗浄(要領は前と同じ)ステップに移った。ビオチンに結合させPBS-0.3%カゼイン-0.05% Tween 20で1/2000に希釈した100 μlウサギ由来抗マウスIg (Dakopatts E0413)をウェルに加えて、結合モノクローナル抗体を検出できるようにした。洗浄ステップ(要領は前と同じ)後、同じ作業液で1/4000に希釈したストレプタビジン−ペルオキシダーゼ複合体の溶液100 μl (Amersham PRN 1051)を用いてプレートを室温で30分間、振とうしながらインキュベートした。このインキュベーションと最終洗浄ステップの後、プレートを色原体溶液[4 mgオルトフェニルジアミン(OPD)を10 ml 0.1 Mクエン酸緩衝液pH4.5+5 μl H
2O
2に溶かしたもの] 100 μlで、15分間暗所でインキュベートする。次いで、分光光度計を用いて490/620 nmでプレートを読み取る。
【0150】
結果:
図1に示すように、エリスロマイシン含有の特定媒地上で増殖することができた20個の分離コロニーのうち、B多糖の存在が陰性を示したのは2個のコロニー(DとR)だけであった。他のコロニーのうち16個はB PSの存在が明らかに陽性であり、しかもエリスロマイシン耐性を維持していた。これは、それらがプラスミドをゲノム中に組み込んだものの、方向が間違っていたため、B PSおよびLPS遺伝子を無傷のままに保った(交差乗換えが起こらなかった)ことを示す。プレートではポジティブ及びネガティブ・コントロールも試験した。H44/76野生型NmB株はB多糖に関して明らかに陽性、髄膜炎菌A(A1)及び髄膜炎菌C(C11)株はこの抗B PS 735 Mabでは明らかに陰性との結果が出た。これらの結果は、選び出されたコロニーのうち約10%が二重乗換えによりゲノム中にプラスミドを正しく組み込んだものの、他の菌株/コロニーは単純乗換え後に収穫されたため、B PSおよびLPS遺伝子を無傷のままにし、引き続き発現させる結果になったことを示唆する。
【0151】
ホールセルELISA試験の結果(
図2及び次表)は、2つの形質転換体D及びR (コロニーD及びRに由来)が抗B PS Mab (735及び95/750)によっても、また抗Los 3,7,9 Mab及び抗Los 8 Mabによってももはや認識できなくなったことを明示している。しかし、特異的抗PorA Mabを使用すると、野生型株でも観察されるように、細胞上で抗P1.7 Mabおよび抗P1.16 Mabとの明らかな反応が見られる。非特異的抗PorA Mab (抗P1.2 Mab)では反応が観察されなかった。これらの結果からは、B多糖とLos 3,7,9およびLos 8エピトープ(LPS)は存在しなくなるものの、PorAタンパク質、特にP1.7及びP1.16エピトープは形質転換後もなお存在することが確認される。
【0152】
【表1】
【0153】
実施例2:
N. meningitidisのporA遺伝子座への組込みを狙いとした多能型遺伝子導入ベクター(pCMK系列)の構築
相同的組換えと異種DNAのN. meningitidisのporA遺伝子座への安定的組込みを可能にするプラスミドを構築した。この(遺伝子、オペロン及び/又は発現カセット)導入ベクターは組換え型の改良ブレブを産生するN. meningitidis菌株の作製に有用である。一般にかかるベクターは少なくとも次のものを含む: (1)E. coli中で複製的であるがN. meningitidis中ではそうでない(自殺プラスミド)プラスミドバックボーン、(2) porAなどのような遺伝子座への組込みを狙いとした少なくとも1つの、好ましくは2つの相同領域、(3)N. meningitidisで機能する効率的な転写シグナル(プロモーター、調節領域及びターミネーター)と翻訳シグナル(最適化リボソーム結合部位と開始コドン)、(4)マルチプルクローニング部位、及び(5)E. coli内プラスミドの維持とN. meningitidis内構成要素の選択を可能にする選択遺伝子。追加要素としては、異種DNAのN. meningitidisへの進入を容易にする取込み配列、及び二重乗換え事象の頻度を高めるためのsacB、rpsL、gltSなどのような対抗選択マーカーなどがある。
【0154】
本実施例で構築されpCMKと命名されたベクターの図解を
図3に示す。それに対応する完全なヌクレオチド配列はSEQ ID NO:1に示す。pCMKは、E. coli中で複製的でありbla遺伝子を収めている(従ってアンピシリン耐性を付与する)高コピー数プラスミドのpSL1180バックボーン(Pharmacia Biotech、スウェーデン)に由来する。pCMKはこれに加えて、相同的組換えに必要なporA上下流領域(porA5’と転写ターミネーターを収めたPorA3’)、カナマイシン耐性を付与する選択マーカー、2つの取込み配列、lacI
qを発現するE. coli宿主内では抑圧されているがN. meningitidis内では転写活性をもつporA/lacOキメラプロモーター、及びpCMKへの異種DNAの挿入に必要なマルチクローニング部位(NdeI、KpnI、NheI、PinAI及びSphIの5部位が存在)を機能的に収めている。
【0155】
pCMKは次のようにして構築した。次表に掲げるオリゴヌクレオチドを使用してporA5’及びPorA3’組換え誘発領域、porA/lacOプロモーターをPCR増幅し、pTOPOにクローニングし、配列決定をした。これらのDNA断片をpTOPOから順次切り出し、pSL1180にリクローニングした。pUC4K (PharmaciaBiotech、スウェーデン) からカナマイシン耐性カセットを切り出し、porA5’領域とporA/lacOプロモーターの間に導入した。
【0156】
【表2】
【0157】
実施例3:
莢膜多糖と大免疫支配抗原PorAの両方を欠くN. meningitidis血清群B株の構築
外膜ブレブの抗原含量の調節はそのワクチン、診断又は治療用途におけるその安全性と有効性を高めるうえで有利であろう。自己免疫を誘発する危険を無くするにはN. meningitidis血清群B株莢膜多糖などのような成分を除去するべきであろう(実施例1を参照)。同様に、菌株特異的な抗菌性抗体を誘発するものの交差防御を付与しないPorAなどのような大外膜抗原の免疫支配は抑圧するのが有利である。こうしたアプローチを容易にするために、pCMK(+)ベクターを用いて、莢膜多糖と免疫支配的なPorA外膜タンパク質抗原の両方を欠くN. meningitidis血清群B株を構築することにした。この目的のために、相同的組換えにより実施例1で述べたH44/76 cps-株にporA遺伝子の欠失を導入した。
【0158】
前述と同様の要領で、H44/76 cps-株をコンピテントにし、2 μgのスーパーコイルpCMK(+)プラスミドDNAで形質転換した。形質転換混合液の画分(100 μl)を、カナマイシン(200 μg/ml)含有MHプレートに塗り広げ37℃で24〜48時間培養した。カナマイシン耐性コロニーを選び出し、MH-Kn上に再び塗り広げ、37℃でさらに24時間増殖させた。その段階で細菌培地の半分を使用してグリセロールストック(15% v/v)を調製し−70℃で冷凍保存した。別の画分(推定細菌数10
8)を15 μlの蒸留水に再懸濁させ、10分間煮沸し、PCRスクリーニング用の鋳型として使用した。2つのporA内側プライマーPPA1及びPPA2を合成し、サプライヤー(HiFi DNA Polymerase, Boehringer Mannheim GmbH)指定の条件による煮沸溶菌上でのPCR増幅に用いた。使用したサーマルサイクリングは次のとおり: 25サイクル(94℃1分、52℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。pCMK DNAと染色体porA遺伝子座との二重乗換えは#1及び#2アニーリングに必要とされる領域を欠失させるため、1170 bp PCR増幅断片を欠くクローンをporA欠失変異体として選んだ。これらのPCR結果は、対応する細菌タンパク質抽出物中のPorAの存在を並行的に分析することによりさらに確認した。その目的のために、もう1つの分取量の細菌(推定5.10
8個)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液(SDS 5%、グリセロール30%、β-メルカプトエタノール15%、ブロモフェノールブルー0.3 mg/ml、Tris-HCl 250 mM pH6.8)に再懸濁させ、煮沸(100℃)/冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。次いでゲルをCoomassieブリリアントブルーR250で染色し、またはニトロセルロースフィルターに転写し、Maniatis et al.に記載してある要領により抗PorAモノクローナル抗体で検査した。
図4に示すようにCoomassie染色、免疫ブロット染色のどちらでも、porA DNA陰性クローンは検出可能量のPorAを産生しないことが確認された。この結果から、pCMKベクターは機能すること、これを使用すればporA遺伝子に狙いどおりDNAを挿入し、同時にPorA外膜タンパク質抗原が産生されないようにしうることが確認される。
【0159】
実施例4:
機能的porA及びcps遺伝子を欠く組換えN. meningitidis血清群B株で実現されるブレブ中NspA外膜タンパク質産生の上方調節
ブレブ小胞の防御抗原濃度を高めれば、外膜タンパク質系ワクチンの有効性と適用範囲を拡大するのに有利である。そこで、機能的porA及びcps遺伝子を欠く組換えN. meningitidis株をつくり、外膜タンパク質NspAの発現レベルが上方調節されるようにした。その目的のために、N01-full-NdeI及びNdeI-3’オリゴヌクレオチドプライマー(実施例2の表を参照)を用いてNspAをコードする遺伝子をPCR増幅した。PCR増幅に用いた条件はサプライヤー(HiFi DNA Polymerase, Boehringer Mannheim GmbH)の指定に従った。サーマルサイクリングは次のとおりとした: 25サイクル(94℃1分、52℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。対応するアンプリコンはNdeIで消化し、pCMK(+)導入ベクターのNdeI制限部位に挿入した。挿入方向をチェックし、pCMK(+)-NspAと命名された組換えプラスミドをQIAGEN Maxiprepキットで大量精製し、この材料2 μgを用いて機能的cps遺伝子を欠く組換えN. meningitidis血清群B株(実施例1で説明した菌株)を形質転換させた。pCMK (+)-NspAベクターと染色体porA遺伝子座の間の二重乗換えに由来する形質転換体のスクリーニングには、実施例3で説明したPCRとウェスタンブロット法の組合せを用いた。
【0160】
分取量の細菌(約5.10
8個に対応)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。次いでゲルをCoomassieブリリアントブルーR250で染色し、またはニトロセルロースフィルターに転写し、抗NspAポリクローナル血清で検査した。Coomassie染色(データ非表示)、免疫ブロット染色(
図4参照)のどちらでも、porA DNA陰性クローンは検出可能量のPorAを産生しないことが確認された。NspAの発現はNmB [cps-、porA-]かNmB [cps-、porA-、Nspa+]に由来するホールセル溶菌(WCBL) 又は外膜ブレブ調製品で調べた。Coomassie染色法では差が観察されなかったが、抗NspAポリクローナル血清を用いた免疫ブロット法ではWCBLと外膜ブレブ調製品のどちらでも(内在NspAレベル比で) NspA発現の3〜5倍増を検出した(
図5参照)。この結果から、pCMK(+)-NspAベクターは機能すること、これを使用すればNspAなどのような外膜タンパク質の発現を上方調節し、同時にPorA外膜タンパク質抗原が産生されないようにしうることが確認される。
【0161】
実施例5:
機能的cps遺伝子を欠くがPorAを発現する組換えN. meningitidis血清群B株で実現されるブレブ中D15/Omp85外膜タンパク質抗原産生の上方調節
地理的に孤立したある種の地域(キューバなど)の住民は、大体1又は少数の外膜タンパク質血清型に属する限られた数のN. meningitidis分離株に感染する。PorAは防御的、菌株特異的抗菌性抗体を誘発する大外膜タンパク質抗原であるため、少数のporA血清型をワクチンに使用してワクチン防御を付与することが可能になる。その場合は、外膜ブレブにPorAが存在するほうが有利であり、組換え改良ブレブのワクチン効能を高めることになろう。しかし、そうしたPorA含有ワクチンは他の交差反応性OMPたとえばomp85/D15などの含量を高めることでさらにいっそうの改善を図ることができる。
【0162】
以下の実施例ではpCMK(+)ベクターを使用して、機能的cps遺伝子を欠くがPorAを発現する菌株におけるOmp85/D15外膜タンパク質抗原の発現を上方調節する。その目的のために、D15-NdeI及びD15-NotIオリゴヌクレオチドプライマーを用いてOmp85/D15をコードする遺伝子をPCR増幅した。PCR増幅に用いた条件はサプライヤー(HiFi DNA Polymerase, Boehringer Mannheim GmbH)指定に従った。サーマルサイクリングは次のとおりとした: 25サイクル(94℃1分、52℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。対応するアンプリコンはメーカーの説明書に従ってpTOPOクローニングベクターに挿入し、また確認のための配列決定を行った。このOmp85/D15 DNA断片をpTOPOから制限酵素NdeI/NsiIを用いて切り出し、pCMK(+)導入ベクターの対応する制限部位にクローニングした。これによって得られた組換えプラスミドpCMK(+)-D15をQIAGEN Maxiprepキットで大量精製し、この材料2 μgを用いて機能的cps遺伝子を欠く組換えN. meningitidis血清群B株(実施例1で説明した菌株)を形質転換させた。porAの発現を保つようにするために、(Omp85/D15か又はporAでの)単一乗換えに由来する形質転換体を、PCRとウェスタンブロット法の組合せによってスクリーニングした。porA特異的PCR及びウェスタンブロット法で陽性と判明したカナマイシン耐性クローンをグリセロールストックとして−70℃で保存し、さらなる研究に使用した。
【0163】
分取量の細菌(約5.10
8個に対応)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。次いでゲルをCoomassieブリリアントブルーR250で染色し、またはニトロセルロースフィルターに転写し、抗porAモノクローナル抗体で検査した。
図6に示すように、Coomassie染色、免疫ブロット染色のどちらでも、porA DNA陽性クローンはPorAを産生することが確認された。
【0164】
D15の発現はNmB [cps-、porA-]かNmB [cps-、porA+、D15+]に由来する外膜ブレブ調製品で調べた。Coomassie染色法では(内在D15レベル比で)D15発現の著増を検出した(
図6参照)。この結果から、pCMK(+)-D15ベクターは機能すること、これを使用すればD15などのような外膜タンパク質の発現を上方調節しうるうえに、大PorA外膜タンパク質抗原の産生を廃止せずに済むことが確認される。
【0165】
実施例6:
多能型プロモーター導入ベクターの構築
原理: 本アプローチの原理は
図7に図解してあり、7つの必須ステップに要約することができる。以下では、NspA及びD15/Omp85の発現を上方調節するためのベクターの構築を例にして、これらのステップのうちのいくつかを説明する。
【0166】
NspA遺伝子の発現を上方調節するためのベクター:
ステップ1 N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、NspA遺伝子の上流に位置するDNA領域(997bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:2)。この配列を使用してPNS1及びPNS2という2つのオリゴヌクレオチドプライマー(実施例2の表を参照)を設計し、合成した。これらのプライマーを用いて、H44/76株から抽出したゲノムDNAのPCR増幅を行った。
【0167】
ステップ2 対応するアンプリコンをWizard PCRキット(Promega、米国)でクリーンアップし、制限酵素EcoRI/XbaIにより24時間かけて、サプライヤー指定(Boehringer Mannheim、ドイツ)の条件に従って消化した。対応するDNA断片をゲル精製し、pUC18クローニングベクターの対応部位に挿入した。
【0168】
ステップ3 組換えプラスミドを大量に調製し、その分取量を逆PCR増幅用の鋳型として使用した。逆PCRはPNS4及びPNS5オリゴヌクレオチドを用いて、次のサーマルサイクリング条件で行った: 25サイクル(94℃1分、50℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。NspA上流領域の挿入部に欠失をもつ線状pUC18ベクターが得られた。
【0169】
D15/omp85遺伝子の発現を上方調節するためのベクター:
ステップ1 N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、
D15/omp85遺伝子の上流に位置するDNA領域(1000bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:3)。この配列を使用してPromD15-51X及びPromD15-S2という2つのオリゴヌクレオチドプライマー(実施例2の表を参照)を設計し、合成した。これらのプライマーを用いて、H44/76株から抽出したゲノムDNAのPCR増幅を行った。
【0170】
ステップ2 対応するアンプリコンをWizard PCRキット(Promega、米国)でクリーンアップし、制限酵素EcoRI/XbaIにより24時間かけて、サプライヤー指定(Boehringer Mannheim、ドイツ)の条件に従って消化した。対応するDNA断片をゲル精製し、pUC18クローニングベクターの対応部位に挿入した。
【0171】
ステップ3 組換えプラスミドを大量に調製し、その分取量を逆PCR増幅用の鋳型として使用した。逆PCRはPromD15-51X及びPromD15-S2オリゴヌクレオチドを用いて、次のサーマルサイクリング条件で行った: 25サイクル(94℃1分、50℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。D15/omp85上流領域の挿入部に欠失をもつ線状pUC18ベクターが得られた。
【0172】
実施例7:
組換えブレブ製造のための発酵法
以下の実施例では、莢膜多糖又は莢膜多糖とPorAとを欠く組換えブレブを製造するための方法について説明する。かかる方法は広範囲のN. meningitidis組換え株に使用されるであろうし、また広範囲の生産規模に適応できよう。
【0173】
培地: N. meningitidis血清群B株を固形培地(FNE 004 AA、FNE 010 AA)又は液体培地(FNE 008 AA)で増殖させた。これらの髄膜炎菌増殖用新培地は好都合にも動物性成分をまったく含まず、また本発明のさらなる態様とみなされる。
【0174】
【表3】
【0175】
cps-組換えブレブ産生N. meningitidis血清群Bのフラスコ培養:
これは固形培地上での予備培養とそれに続く液体培養の2ステップで実施した。
固形予備培養 ガラス瓶入りの菌液をフリーザー(−80℃)から取り出し、室温に解凍して、0.1 mLをFNE004AA(前掲表を参照)15 mL入りペトリ皿に塗り広げた。ペトリ皿を37℃で18±2時間培養した。表面培養菌をエリスロマイシン15 mg/L添加FNE008AA(前掲表を参照) 8 mLに再懸濁させた。
フラスコ培養 固形培養した再懸濁菌2 mLを、エリスロマイシン15 mg/L添加FNE008AAを400 mL入れた2リットル・フラスコに加えた。フラスコを振とう機(200 rpm)に載せ、37℃で16±2時間培養した。細胞は5000 g、4℃、15分の遠心で培養液から分離した。
【0176】
cps-組換えブレブ産生N. meningitidis血清群Bのバッチ式培養:
これは固形培地上での予備培養、液体培養及びバッチ式培養の3ステップで実施した。
固形予備培養 ガラス瓶入りの菌液をフリーザー(−80℃)から取り出し、室温に解凍して、0.1 mLをFNE004AA(前掲表を参照)15 mL入りペトリ皿に塗り広げた。ペトリ皿を37℃で18±2時間培養した。表面培養菌をエリスロマイシン15 mg/L添加FNE008AA(前掲表を参照) 8 mLに再懸濁させた。
液体培養 固形培養した再懸濁菌2 mLを、エリスロマイシン15 mg/L添加FNE008AAを400 mL入れた2リットル・フラスコに加えた。フラスコを振とう機(200 rpm)に載せ、37℃で16±2時間培養した。フラスコの内容物は20リットル・ファーメンターへの接種に用いた。
ファーメンターによるバッチ式培養 接種材料(400 mL)を、15 mg/Lエリスロマイシン添加FNE008AAを10 L入れた滅菌処理済みの20リットル・ファーメンター(総容積)に加えた。pHは NaOH (25% w/v)とH
3PO
4 (25% v/v)の自動添加により7.0に調節、維持した。温度は37℃に調節した。通気量は20 L-air毎分に維持し、また溶存酸素量は撹拌速度の調節により飽和濃度の20%に維持した。ファーメンター内の過圧は300 g/cm
2に維持した。9±1時間後、培養液は定常期に移った。5000 g、4℃、15分の遠心で細胞を培養液から分離した。
【0177】
cps-、porA-組換えブレブ産生N. meningitidis血清群Bのフラスコ培養:
これは固形培地上での予備培養とそれに続く液体培養の2ステップで実施した。
固形予備培養 ガラス瓶入りの菌液をフリーザー(−80℃)から取り出し、室温に解凍して、0.1 mLをFNE010AA(前掲表を参照)15 mL入りペトリ皿に塗り広げた。ペトリ皿を37℃で18±2時間培養した。表面培養菌をカナマイシン200 mg/L添加FNE008AA(前掲表を参照) 8 mLに再懸濁させた。
フラスコ培養 固形培養した再懸濁菌2 mLを、カナマイシン200 mg/L添加FNE008AAを400 mL入れた2リットル・フラスコに加えた。フラスコを振とう機(200 rpm)に載せ、37℃で16±2時間培養した。細胞は5000 g、4℃、15分の遠心で培養液から分離した。
【0178】
実施例8:
莢膜多糖を欠く髄膜炎菌由来ブレブの分離精製
組換えブレブを次のようにして精製した。10 mM EDTAと0.5%デオキシコール酸ナトリウム(DOC)を含む0.1M Tris-Cl緩衝液(pH 8.6) 211 ml中に細胞ペースト(42 g)を懸濁させた。緩衝液/バイオマス比は5/1(v/w)であった。バイオマスを室温で30分間の磁気撹拌により抽出した。次いで、全抽出物を20,000 g、30分、4℃ (JA-20ローター、Beckman J2-HS遠心機で13,000 rpm) で遠心分離した。ペレットを廃棄し、上清を125,000 g、2時間、4℃(50.2Tiローター、Beckman L8-70M超遠心機で40,000 rpm)で超遠心分離した。上清を廃棄し、ペレットを2 mM EDTA、1.2% DOC及び20%スクロースを含む50 mM Tris-Cl緩衝液(pH 8.6) 25 ml中に静かに懸濁させた。2回目の超遠心ステップ(125,000 g、2時間、4℃)後、小胞を3%スクロース44 ml中に静かに懸濁させ、4℃で保存した。ブレブの分離精製に使用した溶液はすべて0.01%のチオメルサレートを含んでいた。
図8に示すように、この方法ではPorAやPorBなどのような外膜タンパク質を高濃縮したタンパク質調製品が得られる。
【0179】
実施例9:
抗原遺伝子発現の上方調節に好適な細菌プロモーターの同定
強い細菌プロモーター要素の使用は、外膜タンパク質をコードする遺伝子の上方調節を実現するうえで不可欠である。それとの関連では、porAプロモーターの使用によるN. meningitidis nspA、hsf及びomp85遺伝子の上方調節により、対応するHspA、Hsf及びOmp85タンパク質に富む組換えブレブの分離を可能にすることをすでに証明した。種々のレベルの上方調節の実現、潜在的なporA相変異の克服及び/又は条件に応じた遺伝子の発現(Fe調節を受けるプロモーター)には、porAプロモーターとは別のプロモーターが有効であろう。ここでは、細菌に高レベルの発現を付与しそうな強いプロモーター要素の正確な転写開始部位の特定を可能にする方法について説明する。プロモーター調節要素は一般に+1部位の上流200 bp以内、及び下流50 bp以内に包摂されるため(Collado-Vides J, Magasanik B, Gralla JD, 1991, Microbiol Rev 55(3): 371-94)、そうした実験の結果は強いプロモーター活性を帯びる約250 bpのDNA断片の同定を可能にする。大外膜タンパク質たとえばN. meningitidis PorA、PorB及びRmp、H. influenzae P1、P2、P5及びP6、M. catarrhalis OmpCD、OmpE、それにこれらの細菌の若干の細胞質及び/又はFe調節型タンパク質などは強いプロモーター要素をもつ。この一般的な方法論の妥当性を確認するものとして、5’ RACE (rapid amplification of cDNA elements)を用いて強いN. meningitidis porA及びporBプロモーターの転写開始部位をマッピングした。
【0180】
5’ RACEの原理は次のとおりである: 1) QIAGEN “RNeasy” Kitの使用による全長RNAの抽出。DNase処理とそれに続くQIAGEN精製法によるゲノムDNAの除去; 2) porA特異的3’末端プライマー(porA3と命名)によるmRNA逆転写。予想cDNAサイズ: 307 nt. アルカリ加水分解によるRNAの除去; 3) T4 RNAリガーゼの使用による1本鎖DNAオリゴアンカー(DT88と命名)のcDNA 3’末端への結合。予想サイズ: 335 nt. hemi-nested PCR(とホットスタートPCRと)の組合せを用いるアンカー結合cDNAの増幅; 4) 5’プライマーとしての相補的配列アンカープライマー(DT89と命名)及び3’末端RTプライマーporA3の内側プライマーである3’末端プライマー(p1-2と命名)の使用によるアンカー結合cDNAの増幅。予想サイズ: 292 bp; 5) 5’末端プライマーとしてのDT89及び3’末端プライマーとしてのp1-1(p1-2の内側プライマー)の使用による以前のPCR産物の増幅。予想サイズ: 211 bp; 及び6) p1-1プライマーによる配列決定(予想サイズが計算できるのは、porA転写開始部位が“ATG”翻訳開始部位の59 nt前と判明しているからである)。
【0181】
実験方法
全長RNAはN. meningitidis B cps- porA+株細胞約10
9個から抽出した。適正な光学密度(OD
600=1)の培養液1 mlの抽出はQIAGEN “RNeasy"キットを用いて、メーカーの説明書に従って行った。30 μlの溶出RNAに10UのRNase-free DNase (Roche Diagnostic, ドイツ/マンハイム)を添加することにより染色体DNAを除去し、37℃で15分間インキュベートした。このDNA不含RNAを同じQIAGENキットにより、説明書に従って精製した。
【0182】
逆転写反応はプライマーporA3と200UのSUPERSCRIPTII逆転写酵素(Life Technologies)を用いて行った。このRT反応には50 μlの反応液(5 μlの2 mM dNTP、20 pmolのporA3プライマー、5 μlの10X SUPERSCRIPTII緩衝液、9 μlの25 mM MgCl
2、4 μlの0.1 M DTT、40Uの組換えリボヌクレアーゼインヒビター及び1 μgの全長RNAを含む)を使用した。porA3プライマーの段階的アニーリング (70℃2分間、65℃1分間、60℃1分間、55℃1分間、50℃1分間、45℃1分間)の後にSUPERSCRIPTIIを添加した。RT反応は42℃で30分間行い、次に5サイクル(50℃1分間、53℃1分間、56℃1分間)の処理でRNAの二次構造を安定させた。2つの平行反応を、1つの反応はネガティブ・コントロールとして逆転写酵素抜きで、実施した。
【0183】
1 μlの0.5 M EDTAとそれに続く12.5 μlの0.2 M NaOHの添加によるアルカリ加水分解でRNAを除去してから、68℃で5分間インキュベートした。12.5 μlの1 M Tris-HCl (pH 7.4)を加えて反応液を中和し、20 μgのグリコーゲン(Roche Molecular Biochemicals、ドイツ/マンハイム)、5 μlの3 M酢酸ナトリウム及び60 μlのイソプロパノールを加えて沈殿させた。両試料を20 μlの10:1 TE (10 mM Tris-HCl, pH 7.4; 1 mM EDTA, pH 8)に懸濁させた。
【0184】
T4 RNAリガーゼを、5’リン酸化し3’末端ddCTPでブロッックしたアンカーオリゴヌクレオチドDT88 (次表を参照)の結合に使用した。2つの平行結合反応を一晩、室温で行ったが、それぞれの反応液は1.3 μlの10X RNAリガーゼ緩衝液(Roche Molecular Biochemicals)、0.4 μMのDT88、10 μlのcDNA又はRTコントロール試料、及び3UのT4 RNAリガーゼを含んでいた。ネガティブ・コントロールとしてもう1組の結合反応を、T4 RNAリガーゼを使用せずに行った。得られた結合反応混合液は精製せずにそのまま次のPCRに使用した。
【0185】
アンカー結合cDNAはhemi-nested PCRとホットスタートPCRの組合せを用いて増幅し、特異性と産物収量の向上を図った。4つの第1次PCRをRT/リガーゼ反応混合液とコントロールを対象に30 μlの反応液中で行ったが、各PCR反応液は3 μlの10X Taq Platinium緩衝液、3 μlの25 mM MgCl2、1 μlの10 mM dNTP、10 pmolの各プライマー、及び1 μlの対応するRNA結合反応混合液を含んでいた。PCRはTaq Platinium (Life Technologies) DNAポリメラーゼ(2U添加)を使用してホットスタートさせた。この最初のアンカー結合PCR (LA-PCR)にはアンカー特異的プライマーDT89と転写産物特異的プライマーp1-2 (次表参照。これは3’末端RTプライマーporA3の内側プライマーである)をそれぞれ10 pmol使用した。PCRの実施には、95℃5分間の初期処理(DNAポリメラーゼの活性化)ステップ、それに続く10サイクル(95℃10秒間、70℃1分間)(サイクルごとに1℃ずつ引き下げる)と15サイクル(95℃10秒間、60℃1分間)を用いた。第2次のhemi-nested LA-PCRは前と同じ条件の下で、DT89プライマーと内側p1-2プライマーのほかに、10 pmolのp1-1(次表参照)と1 μlの第1次PCR産物も加えて実施した。増幅産物はQIAGEN “QIAquick" PCR精製キットを用いて、メーカーの説明書に従って精製処理し、次の配列決定にまわした。
【0186】
10 pmolプライマーp1-1使用のRACE PCR産物の配列決定にはCEQ
TM Dye Terminator Cycle Sequencingキット(Beckman、フランス)を用いた。配列決定反応は添付説明書に従って実施し、配列決定用産物の解析はCeq2000 DNA Analysis System (Beckman-Coulter)によって行った。
【0187】
【表4】
【0188】
N. meningitidis porAプロモーターに関する結果
前述の5’RACE法を用いてN. meningitidis血清群B (H44/76株) porA-mRNAの転写開始部位をATG開始コドンの59 bp上流にマップした。この結果はプライマー伸長法で実施され、van der Ende et al (1995)により発表されたマッピングを確認するものである。この結果はporA ATGの−9〜−259に当たるヌクレオチドを含むDNA断片がN. meningitidisで、またおそらくは他の細菌株たとえばHaemophilus、Moraxella、Pseudomonasなどでも、強い遺伝子を促すのに好適であることを裏付ける。
【0189】
N. meningitidis porBプロモーターに関する結果
同じ実験方法をN. meningitidis血清群B (H44/76株) porBの転写開始部位マッピングにも適用した。次表に掲げるプライマーは、3’末端RTプライマー(porB3)、porB3の内側プライマーである転写産物特異的プライマー(porB2)、及びporB2の内側プライマーである転写産物特異的プライマー(porB1)である。porB3、porB2及びporB1はそれぞれATG開始部位の265 bp、195 bp及び150 bp下流に位置する。
【0190】
【表5】
【0191】
porB1及びDT89プライマーを用いて5’-RACEマッピングを実施して〜200 bpのPCRアンプリコンを得た。porB1はporB AGT開始コドンの150 bp下流に位置するため、この結果は転写開始部位がporB ATGの約50 bp (+/-30 bp)上流に位置することを裏付けている。
【0192】
転写開始に対応する正確なヌクレオチドは目下DNA配列決定法による決定を進めている。以上のPCR結果はporA ATGの−1〜−250に当たるヌクレオチドを含むDNA断片がN. meningitidisで、またおそらくは他の細菌株たとえばHaemophilus、Moraxella、Pseudomonasなどでも、強い遺伝子を促すのに好適であることを裏付ける。
【0193】
実施例10:
プロモーターの置換によるN. meningitidis血清群B Omp85遺伝子発現の上方調節
本実施例の狙いはD15/Omp85遺伝子の内在プロモーター領域を強いporAプロモーターで置換して、D15/Omp85抗原の産生が上方調節されるようにすることにある。その目的のために、E. coliクローニング技術を用いてプロモーター置換用プラスミドを構築した。N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、D15/omp85遺伝子の上流に位置するDNA領域(1000 bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:3)。本実施例の主要ステップは
図9に図解してある。要するに、D15/omp85遺伝子の開始コドン(ATG)から−48〜−983のヌクレオチドを含むDNA断片(1000 bp)を、オリゴヌクレオチド
ProD15-51X (5’-GGG CG
A ATT CGC GGC CGC CGT CAA CGG CAC ACC GTT G-3’)及び
ProD15-52 (5’-GC
T CTA GAG CGG AAT GCG GTT TCA GAC G-3’)を用いて増幅した。これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ制限部位EcoRI及びXbaIを含でいる(下線部)。この断片を制限酵素で切断し、同じ酵素で切断してあるpUC18プラスミドに挿入した。得られたコンストラクトに、(pGPS2ドナープラスミド使用の) Genome Primingシステム(New England Biolabs 、米国マサチューセッツ州)を使用してin vitro突然変異を誘発させた。ミニトランスポゾン(Tn7に由来し、クロラムフェニコール耐性遺伝子を収めてある)が挿入されているクローンを選別した。EcoRIの401 bp下流のD15/Omp85 5’隣接領域にトランスポゾンが挿入されているクローンを単離し、さらなる研究に使用した。このプラスミドをサークルPCR突然変異誘発[Jones & Winistofer (1992), Biotechniques 12: 528-534]にかけた。その目的は(i)上記の転位法で生成された反復DNA配列を欠失させ、(ii)形質転換に必要とされる髄膜炎菌取込み配列を挿入し、また(iii)異種DNA要素たとえばプロモーターなどのクローニングを可能にする適当な制限部位を挿入することにあった。サークルPCR法はオリゴヌクレオチド
TnRD15-KpnI/XbaI+US (5’-CGC C
GG TAC CTC TAG AGC CGT CTG AAC CAC TCG TGG ACA ACC C-3’)及び
TnR03Cam (KpnI) (5’-CGC C
GG TAC CGC CGC TAA CTA TAA CGG TC-3’)を使用して実施した。これらのオリゴヌクレオチドは取込み配列と下線を付した適当な制限部位(KpnIとXbaI)を含んでいる。得られたPCR断片はゲル精製後、Asp718(KpnIのアイソシゾマー)で切断し、184 bp DNA断片に結合させた。このDNA断片はporAプロモーターを含み、KpnI制限部位を収めたオリゴヌクレオチド
PorA-01(5’-CGC C
GG TAC CGA GGT CTG CGC TTG AAT TGT G-3’)及び
PorA-02(5’-CGC C
GG TAC CTC TAG ACA TCG GGC AAA CAC CCG-3’)使用のPCR法で生成させている。正しい方向に挿入された(転写がEcoRI→XbaI方向に進行する)porAプロモーターをもつ組換えクローンを選別し、莢膜多糖と大外膜タンパク質のうちの1つ(PorA)を欠くN. meningitidis血清群B株(cps-、porA-)の形質転換に使用した。二重乗換え事象に由来する組換えN. meningitidisクローン[オリゴヌクレオチド
Cam-05 (5’-GTA CTG CGA TGA GTG GCA GG-3’)及び
proD15-52の使用によるPCRスクリーニングで選別]を5 μg/mlのクロラムフェニコール含有GC培地上で選別し、D15/Omp85の発現を分析した。
図10に示すように、プロモーターの置換によりNm株の全タンパク質抽出物中のD15/Omp85産生は親株(cps-)に比して著しく増加した。この結果は同じ株から調製した外膜ブレブの分析でも観察された(
図17参照)。これらの結果は内在D15プロモーターが強いporAプロモーターへと置換されたことに起因させることができる。さらに、意外なことに、porAプロモーターを開始コドンの約400 bp上流に導入すると約100 bp上流に導入した場合と比べて約50倍も発現が強まることも判明した。結局これらの実験結果は、このプロモーター置換戦略が有効であり、外膜ブレブ中の内在性外膜タンパク質の合成を上方調節することを可能にすることを裏付けている。
【0194】
地理的に孤立したある種の地域(キューバなど)の住民は、大体1又は少数の外膜タンパク質血清型に属する限られた数のN. meningitidis分離株に感染する。PorAは防御的、菌株特異的抗菌性抗体を誘発する大外膜タンパク質抗原であるため、少数のporA血清型をワクチンに使用してワクチン防御を付与することが可能になる。そのうえ、PorAはいくつかの他外膜タンパク質と相互作用し、又はそれらのタンパク質を安定化させる可能性もある。その場合は、外膜ブレブにPorAが存在するほうが有利であり、組換え改良ブレブのワクチン効能を高めることになろう。
【0195】
こうした理由から、機能的cps遺伝子を欠くがPorAを発現するN. meningitidis血清群B株のD15/Omp85外膜タンパク質の発現を上方調節するのが望ましいであろう。QIAGEN Genomic Tips 100-Gキットを用いて組換えN. meningitidis血清群B cps-、porA-、D15/Omp85+株からゲノムDNAを抽出した。この試料のうち10 μgを直線状にし、古典的な形質転換プロトコールによるN. meningitidis血清群B cps-の形質転換に用いた。組換え菌は5 μg/mlのクロラムフェニコール含有GC培地上で得た。
【0196】
D15遺伝子の上流での二重乗換えに由来する組込みを、前述の要領によるPCR法でスクリーニングした。染色体では至る所で相同的組換えが起こりうるので、組換え菌株におけるporA遺伝子座の完全性を調節するために第2次PCRスクリーニングを実施した。この目的のために、PCRスクリーニング実験には内側porAプライマー
PPA1 (5’-GCG GCC GTT GCC GAT GTC AGC C-3’)及び
PPA2 (5’-GGC ATA GCT GAT GCG TGG AAC TGC-3’)を用いた。1170 bp断片の増幅により、組換え細菌中にporA遺伝子が存在することが確認される。
【0197】
組換え細菌(約5.10
8個に対応)は50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離することができる。次いでゲルをCoomassieブリリアントブルーR250で染色し、またはニトロセルロースフィルターに転写して、抗porAモノクローナル抗体で、又はウサギ抗D15/Omp85ポリクローナル抗体で検査することができる。同じ菌株に由来する外膜ブレブの分析も同様にして行うことができる。
【0198】
実施例11:
機能的cps遺伝子を欠くがPorAを発現する組換えN. meningitidis血清群B株でのHsfタンパク質抗原発現の上方調節
前述のように国によっては、外膜ブレブ中のPorAの存在は有利であり、組換え型の改良ブレブのワクチン効能を高めうる場合もある。以下の実施例では、改良型pCMK(+)ベクターを使用して、機能的csp遺伝子を欠くがPorAを発現する菌株においてHsfタンパク質抗原の発現を上方調節する。原pCMK(+)ベクターは、lacI
qを発現するE. coliでは抑制されるがN. meningitidisでは転写活性をもつキメラporA/lacOプロモーターを収めている。改良型pCMK(+)ベクターでは本来のporAプロモーターを用いてhsf遺伝子の転写を促進させる。Hsfをコードこの遺伝子を、次表に掲げるHSF 01-NdeI及びHSF 02-NheIオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR増幅した。HSF 01-NdeIプライマーの配列ゆえに、発現するHsfタンパク質は5’末端に2つのメチオニン残基を含むであろう。PCR増幅に用いた条件はサプライヤー(HiFi DNA Polymerase, Boehringer Mannheim GmbH)の指定に従った。サーマルサイクリングは次のとおりとした: 25サイクル(94℃1分、48℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。対応するアンプリコンはpCMK(+)導入ベクターの対応する制限部位に挿入した。pCMK(+)-Hsfと命名されたこの組換えプラスミドでは、キメラporA/lacOプロモーターに存在したlacOを組換えPCR法で欠失させてある(
図12参照)。pCMK(+)-Hsfを鋳型として次の2つのDNA断片をPCR増幅した:
−
断片1。これはporA 5’組換え誘発領域、カナマイシン耐性遺伝子及びporAプロモーターを収めている。使用したオリゴヌクレオチドプライマーRP1 (SacII)及びRP2は次表に示す。RP1プライマーはlacオペレーターのすぐ上流の配列と相同的である。
−
断片2。これはporA遺伝子由来のShine-Dalgarno配列、hsf遺伝子及びporA 3’組換え誘発領域を収めている。使用したオリゴヌクレオチドプライマーRP3及びRP4(ApaI)は次表に示す。RP3プライマーはlacオペレーターのすぐ下流の配列と相同的である。
【0199】
断片1の3’末端と断片2の5’末端は48塩基重複している。各PCR産物(1及び2) 500 ngを使用して、RP1とRP4をプライマーとする最終PCRを実施した。得られた最終アンプリコンをSacIIとApaIで切断したpSL1180ベクターにサブクローニングした。改良型プラスミドpCMK(+)-HsfはQIAGEN Maxiprepキットで大量精製し、この材料2 μgを用いて機能的cps遺伝子を欠く組換えN. meningitidis血清群B株(実施例1で説明した菌株)を形質転換させた。porAの発現を保持するために、単一乗換えに由来する組込みを、PCR/ウェスタンブロット混合スクリーニング法で選別した。porA特異的PCR及びウェスタンブロット法で陽性と判明したカナマイシン耐性クローンをグリセロールストックとして−70℃で保存し、後の研究に使用した。分取量の細菌(約5.10
8個に対応)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。Hsfの発現はNmB [Cps-、PorA+]かNmB [Cps-、PorA+、Hsf+]に由来するホールセル溶菌(WCBL)で調べた。Coomassie染色法によりHsf発現の(内在Hsfレベル比での)著増が検出された (
図13参照)。この結果から、pCMK(+)-Hsfベクターは機能すること、これを使用すれば外膜タンパク質の発現を上方調節し、同時にPorA大外膜タンパク質抗原が産生されないようにしうることが確認される。
【0200】
【表6】
【0201】
実施例12:
機能的cps遺伝子を欠くがPorAを発現する組換えN. meningitidis血清群B株でのグリーン蛍光タンパク質の発現
以下の実施例では、pCMKベクターを用いてN. meningitidisにおける細胞質異種タンパク質の発現を調べる。pKen-Gfpmut2プラスミドからGFK-Asn-mut2及びGFP-Speプライマー(実施例11の表を参照)を用いてグリーン蛍光タンパク質を増幅した。AnsIはNdeIと相補的な付着末端を与え、またSpeIはNheIと相補的な付着末端を与える。PCR増幅に用いた条件はサプライヤー(HiFi DNA Polymerase, Boehringer Mannheim GmbH)の指定に従った。サーマルサイクリングは次のとおりとした: 25サイクル(94℃1分、48℃1分、72℃3分)及び1サイクル(72℃10分、4℃回収まで)。次いで、対応するアンプリコンをNdeI及びNheI制限酵素で切断済みのpCMK(+)導入ベクターに挿入した。pCMK(+)-GFPと命名されたこの組換えプラスミドでは、キメラporA/lacOプロモーターに存在したlacOを組換えPCR法で欠失させてある。pCMK(+)-GFPを鋳型として次の2つのDNA断片をPCR増幅した:
−
断片1。これはporA 5’組換え誘発領域、カナマイシン耐性遺伝子及びporAプロモーターを収めている。使用したオリゴヌクレオチドプライマーRP1 (SacII)及びRP2は実施例11の表に示すとおりである。RP1プライマーはlacオペレーターのすぐ上流の配列と相同的である。
−
断片2。これはporA遺伝子由来のShine-Dalgarno配列、gfp遺伝子及びporA 3’組換え誘発領域を収めている。使用したオリゴヌクレオチドプライマーRP3及びRP4(ApaI)は実施例11の表に示すとおりである。RP3プライマーはlacオペレーターのすぐ下流の配列と相同的である。
【0202】
断片1の3’末端と断片2の5’末端は48塩基重複している。各PCR産物(1及び2) 500 ngを使用して、RP1とRP4をプライマーとする最終PCRを実施した。このPCR断片20 μgを用いて機能的cps遺伝子を欠くN. meningitidis血清群B株を形質転換させた。
【0203】
線状DNAによる形質転換は環状DNAプラスミドによるよりも低効率であるが、得られた組換え体はどれも二重乗換えを起こしていた(PCR/ウェスタンブロット混合スクリーニング法で確認)。カナマイシン耐性クローンをグリセロールストックとして−70℃で保存し、後の研究に使用した。分取量の細菌(約5.10
8個に対応)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。
【0204】
GFPの発現はNmB [Cps-、PorA+]かNmB [Cps-、PorA-、GFP+]に由来するホールセル溶菌(WCBL)で調べた。Coomassie染色法により、受容N. meningitidis菌株には見られないGFP発現が検出された (
図14参照)。
【0205】
実施例13:
プロモーターの置換によるN. meningitidis血清群B NspA遺伝子発現の上方調節
本実施例の狙いはNspA遺伝子の内在プロモーター領域を強いporAプロモーターで置換して、NspA抗原の産生が上方調節されるようにすることにある。その目的のために、E. coliクローニング技術を用いてプロモーター置換用プラスミドを構築した。N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、NspA遺伝子の上流に位置するDNA領域(924 bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:7)。NspA遺伝子の開始コドン(ATG)から−115〜−790のヌクレオチドを含むDNA断片(675 bp)を、オリゴヌクレオチド
PNS1’ (5’-CCG CG
A ATT CGA CGA AGC CGC CCT CGA C-3’)及び
PNS2 (5’-CG
T CTA GAC GTA GCG GTA TCC GGC TGC -3’)を用いてPCR増幅した。これらのオリゴヌクレオチドはそれぞれ制限部位EcoRI及びXbaIを含む(下線部)。このPCR断片を制限酵素EcoRI及びXbaIで切断し、pUC18プラスミドに挿入した。このプラスミドをサークルPCR突然変異誘発 [Jones & Winistofer (1992), Biotechniques 12: 528- 534]にかけて、形質転換に必要とされる髄膜炎菌取込み配列及び適当な制限部位を挿入しCmR/PorAプロモーターカセットのクローニングができるようにした。サークルPCR法はオリゴヌクレオチド
BAD01-2 (5’-GGC G
CC CGG GCT CGA GCT TAT CGA TGG AAA ACG CAG C-3’)及び
BAD02-2 (5’-GGC G
CC CGG GCT CGA GTT CAG ACG GCG CGC TTA TAT AGT GGA TTA AC-3’)を使用して実施した。これらのオリゴヌクレオチドは取込み配列と下線を付した適当な制限部位(XmaIとXhoI)を含んでいる。得られたPCR断片はゲル精製後、XhoIで切断した。このCmR/PorAプロモーターカセットは前述のpUC D15/Omp85プラスミドから増幅させた。増幅に使用したプライマーは、下線で示した適当な制限部位(XmaI、XbaI、SpeI及びXhoI)を含むオリゴヌクレオチド
BAD 15-2(5’-GGC G
CC CGG GCT CGA GTC TAG ACA TCG GGC AAA CAC CCG-3’)及び
BAD 03-2(5’-GGC G
CC CGG GCT CGA GC
A CTA GTA TTA CCC TGT TAT CCC-3’)である。得られたPCR断片は部分消化し、対応する酵素で切断しておいたサークルプラスミドに挿入した。この組換えプラスミド10 μgを線状にし、莢膜多糖と大外膜タンパク質のうちの1つ(PorA)を欠くN. meningitidis血清群B株(cps-、porA-)の形質転換に使用した。二重乗換え事象に由来する組換えN. meningitidisクローン[オリゴヌクレオチド
BAD 25 (5’-GAG CGA AGC CGT CGA ACG C-3’)及び
BAD08 (5’-CTT AAG CGT CGG ACA TTT CC-3’)の使用によるPCRスクリーニングで選別]を5 μg/mlのクロラムフェニコール含有GC培地上で選別し、NspAの発現を分析した。組換え細菌(約5.10
8個に対応)を50 μlのPAGE-SDS緩衝液に再懸濁させ、冷凍(−20℃)/煮沸(100℃)を3回繰り返し、12.5%ゲルPAGE-SDS電気泳動で分離した。次いでゲルをCoomassieブリリアントブルーR250で染色し、またはニトロセルロースフィルターに転写して、抗PorAモノクローナル抗体で、又は抗NspAポリクローナル抗体で、検査することができる (
図17参照)。意外なことに、Omp85の場合と同様にプロモーターを開始コドンの約400 bp上流に導入すると約100 bp上流に導入した場合と比べて約50倍も発現が強まることも判明した。
【0206】
同じ組換えpUCプラスミドは、機能的cps遺伝子を欠くがPorAをなお発現するN. meningitidis血清群B株におけるNspA発現の上方調節にも使用できる。
【0207】
実施例14:
プロモーターの置換によるN. meningitidis血清群B pldA(omplA)遺伝子発現の上方調節
本実施例の狙いはpldA(omplA)遺伝子の内在プロモーター領域を強いporAプロモーターで置換して、PldA (OmplA1)抗原の産生が上方調節されるようにすることにある。その目的のために、E. coliクローニング技術を用いてプロモーター置換用プラスミドを構築した。N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、pldA遺伝子の上流に位置するDNA領域(373 bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:18)。このDNAは推定rpsT遺伝子をコードする配列を含んでいる。rpsTの終止コドンはpldA ATGの169 bp上流に位置する。この潜在的に重要な遺伝子の破壊を防ぐために、pldA ATGのすぐ上流にCmR/PorAプロモーターカセットを挿入することにした。その目的のために、rpsT遺伝子、169 bp遺伝子間配列及びpldA遺伝子の最初の499ヌクレオチドに対応する992 bpのDNA断片を、N. meningitidis血清群BゲノムDNAから、取込み配列(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
PLA1 Amo5 (5’-
GCC GTC TGA ATT TAA AAT TGC GCG TTT ACA G-3’)及び
PLA1 Amo3 (5’-GTA GTC TAG A
TT CAG ACG GCG CAA TTT GGT TTC CGC AC-3’)を用いてPCR増幅した。PLA1 Amo3はXbaI制限部位をも含んでいる。このPCR断片をHigh Pure Kit (Roche、ドイツ/マンハイム)でクリーニングし、pGemTベクター(Promega、米国)に直接クローニングした。このプラスミドをサークルPCR突然変異誘発 [Jones & Winistofer (1992)]にかけて、適当な制限部位を挿入しCmR/PorAプロモーターカセットのクローニングができるようにした。サークルPCR法はオリゴヌクレオチド
CIRC1-Bgl (5’-CCT
AGA TCT CTC CGC CCC CCA TTG TCG-3’)及び
CIRC1-XH-RBS/2 (5’-CCG
CTC GAG TAC AAA AGG AAG CCG ATA TGA ATA TAC GGA ATA TGC G-3’)か又は
CIRC2-XHO/2 (5’-CCG
CTC GAG ATG AAT ATA CGG AAT-3’)を使用して実施した。これらのオリゴヌクレオチドは下線を付した適当な制限部位(BglIIとXhoI)を含んでいる。このCmR/PorAプロモーターカセットは前述のpUC D15/Omp85プラスミドから増幅させた。増幅に使用したプライマーは、下線で示した適当な制限部位(BglIIとXhoI)を含むオリゴヌクレオチド
BAD 20 (5’-TCC CCC GGG
AGA TCT CAC TAG TAT TAC CCT GTT ATC CC-3’)及び
CM-PORA-3 (5’-CCG
CTC GAG ATA AAA ACC TAA AAA CAT CGG GC-3’)である。このPCR断片は、プライマーCIRC1-Bgl及びCIRC1-XH-RBS/2で得られたサークルPCRプラスミドにクローニングした。このプラスミドはmeningitidis血清群B [cps-]及び[cps-、porA-]株の形質転換に使用することができる。pldAの上流領域での二重乗換えによる組込みは、pldA ATGのすぐ上流へのporAプロモーターの挿入を誘導することになろう。
【0208】
プロモーターを置換したD15/Omp85過剰発現型の組換えN. meningitidis血清群B株[cps-、porA-、D15/Omp85+]のゲノムDNAからもう1つのカセットを増幅した。このカセットはcmR遺伝子、porAプロモーター、及びD15/Omp85遺伝子の5’隣接領域に対応する400 bpを収める。この配列はNeisseriaにおけるD15/ Omp85発現の上方調節に有効であることが立証済みであり、他Neisseria抗原の発現の上方調節も試験されることになろう。増幅に使用されたプライマーは
BAD 20及びXhoI制限部位(下線部)を含む
CM-PORA-D15/3 (5’-CGG
CTC GAG TGT GAG TTC CTT GTG GTG C-3’)であった。このPCR断片を、プライマーCIRC1-Bgl及びCIRC2-XHO/2で得られたサークルPCRプラスミドにクローニングした。このプラスミドはN. meningitidis血清群B [cps-]及び[cps-、porA-] 株の形質転換に使用されることになろう。pldAの上流領域における二重乗換えによる組込みはpldA ATGの400 bp上流へのporAプロモーターの挿入を誘導しよう。
【0209】
実施例15:
プロモーターの置換によるN. meningitidis血清群B tbpA遺伝子発現の上方調節
本実施例の狙いはtbpA遺伝子の内在プロモーター領域を強いporAプロモーターで置換して、TbpA抗原の産生が上方調節されるようにすることにある。その目的のために、E. coliクローニング技術を用いてプロモーター置換用プラスミドを構築した。N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、tbpA遺伝子の上流に位置するDNA領域(731 bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:17)。このDNAはTbpB抗原をコードする配列を含んでいる。これらの遺伝子は1つのオペロンに編成されている。tbpB遺伝子は削除され、CmR/porAプロモーターカセットへと置換されることになろう。その目的のために、tbpB遺伝子の509 bp 5’隣接領域、2139 bp tbpBコード配列、87 bp遺伝子間配列及びtbpAコード配列の最初の483ヌクレオチドに対応する3218 bpのDNA断片を、N. meningitidis血清群BゲノムDNAから、取込み配列とNheI及びHindIII 制限部位(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
BAD16 (5’-GGC CTA
GCT AGC CGT CTG AAG CGA TTA GAG TTT CAA AAT TTA TTC-3’)及び
BAD17 (5’-GGC C
AA GCT TCA GAC CGC GTT CGA AGT TTG AGC CTT TGC-3’)を用いてPCR増幅した。このPCR断片をHigh Pure Kit (Roche、ドイツ/マンハイム)でクリーニングし、pGemTベクター(Promega、米国)に直接クローニングした。このプラスミドをサークルPCR突然変異誘発 [Jones & Winistofer (1992)]にかけ、(i) 適当な制限部位を挿入しCmR/PorAプロモーターカセットのクローニングができるようにし、また(ii) tbpBの5’隣接配列のうちの209 bpとtbpBコード配列を削除するようにした。サークルPCR法は、適当な制限部位XmaI、BglII及びXhoI(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
BAD 18 (5’-TCC
CCC GGG A
AG ATC TGG ACG AAA AAT CTC AAG AAA CCG-3’)及び
BAD 19 (5’-GGA
AGA TCT CCG
CTC GAG CAA ATT TAC AAA AGG AAG CCG ATA TGC AAC AGC AAC ATT TGT TCC G-3’)を使用して実施した。このCmR/PorAプロモーターカセットを前述のpUC D15/Omp85プラスミドから増幅させた。増幅に使用したプライマーは、適当な制限部位XmaI、SpeI、BglII及びXhoI(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
BAD 21 (5’-GGA
AGA TCT CCG
CTC GAG ACT TCG GGC AAA CAC CCG-3’) 及び
BAD 20 (5’-TCC
CCC GGG AGA TCT C
AC TAG TAT TAC CCT GTT ATC CC-3’)である。このPCR断片はサークルPCRプラスミドにクローニングした。このプラスミドはmeningitidis血清群B [cps-]及び[cps-、porA-]株の形質転換に使用されよう。tbpAの上流領域での二重乗換えによる組込みは、tbpA ATGのすぐ上流へのporAプロモーターの挿入を誘導することになろう。
【0210】
実施例16:
プロモーターの置換によるN. meningitidis血清群B pilQ遺伝子発現の上方調節
本実施例の狙いはpilQ遺伝子の内在プロモーター領域を強いporAプロモーターで置換して、PilQ抗原の産生が上方調節されるようにすることにある。その目的のために、E. coliクローニング技術を用いてプロモーター置換用プラスミドを構築した。N. meningitidis株ATCC 13090の未解明ゲノムDNA配列を収めた民間のIncyte PathoSeqデータベースから、pilQ遺伝子の上流に位置するDNA領域(772 bp)を見つけ出した(SEQ ID NO:12)。このDNAはTbpB抗原をコードする配列を含んでいる。ピリンはこの細菌の必須要素であるため、pilQ遺伝子は破壊を防ぎたいオペロンの一部である。pldA遺伝子発現の上方調節に関して述べたのと同じ方式によって、pilQ遺伝子の上流にCmR/porAプロモーターカセットを導入した。その目的のために、pilQコード配列の3’側部分、18 bpの遺伝子間配列、及びpilQ遺伝子の最初の392ヌクレオチドに対応する866 bpのDNA断片を、N. meningitidis血清群BゲノムDNAから、取込み配列と制限部位(NheI及びHindIII 、下線部)とを含むオリゴヌクレオチド
PQ-rec5-Nhe (5’-CTA
GCT AGC GCC GTC TGA ACG ACG CGA AGC CAA AGC -3’)及び
PQ-rec3-Hin (5’-GCC
AAG CTT TTC AGA CGG CAC GGT ATC GTC CGA TTC G-3’)を用いてPCR増幅した。このPCR断片をpGemTベクター(Promega、米国)に直接クローニングした。このプラスミドをサークルPCR突然変異誘発 [Jones & Winistofer (1992)]にかけて、適当な制限部位を挿入しCmR/PorAプロモーターカセットのクローニングができるようにした。サークルPCR法は、適当な制限部位BglII及びXhoI(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
CIRC1-PQ-Bgl (5’-GGA
AGA TCT AAT GGA GTA ATC CTC TTC TTA -3’)及び
CIRC1-PQ-XHO (5’-CCG
CTC GAG TAC AAA AGG AAG CCG ATA TGA TTA CCA AAC TGA CAA AAA TC -3’)か又は
CIRC2-PQ-X (5’-CCG
CTC GAG ATG AAT ACC AAA CTG ACA AAA ATC-3’)を使用して実施した。このCmR/PorAプロモーターカセットを前述のpUC D15/Omp85プラスミドから増幅させた。増幅に使用したプライマーは、適当な制限部位BglII及びXhoI(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
BAD 20 (5’-TCC CCC GGG
AGA TCT CAC TAG TAT TAC CCT GTT ATC CC-3’) 及び
CM-PORA-3 (5’-CCG
CTC GAG ATA AAA ACC TAA AAA CAT CGG GCA AAC ACC C-3’)である。このPCR断片は、プライマーCIRC1-PQ-Blg及びCIRC1-PQ-XHOの使用によって得られたサークルPCRプラスミドにクローニングした。このプラスミドはmeningitidis血清群B [cps-]及び[cps-、porA-]株の形質転換に使用することができる。pilQの上流領域での二重乗換えによる組込みは、pilQ ATGのすぐ上流へのporAプロモーターの挿入を誘導することになろう。
【0211】
プロモーターを置換したD15/Omp85過剰発現型の組換えN. meningitidis血清群B株[cps-、porA-、D15/Omp85+]のゲノムDNAからもう1つのカセットを増幅した。このカセットはcmR遺伝子、porAプロモーター、及びD15/Omp85遺伝子の5’隣接領域に対応する400 bpを収める。この配列はNeisseriaにおけるD15/ Omp85発現の上方調節に有効であることが立証済みであり、他Neisseria抗原の発現の上方調節も試験されることになろう。増幅に使用されたプライマーは
BAD 20及びXhoI制限部位(下線部)を含む
CM-PORA-D153 (5’-GGG
CTC GAG TGT CAG TTC CTT GTG GTG C-3’)であった。このPCR断片を、プライマーCIRC1-PQ-Bgl及びCIRC2-PQ-Xで得られたサークルPCRプラスミドにクローニングした。このプラスミドはN. meningitidis血清群B [cps-]及び[cps-、porA-] 株の形質転換に使用することができる。pilQの上流領域における二重乗換えによる組込みはpilQ ATGの400 bp上流へのporAプロモーターの挿入を誘導しよう。
【0212】
実施例17:
N. meningitidis染色体に「クリーンな」、無傷の突然変異を導入するためのkanR/sacBカセットの構築
本実施例の狙いは、N. meningitidis染色体組換えの陽性スクリーニング用選択マーカー(すなわちkanR遺伝子)と組み換え後に染色体からカセットを削除するための対抗選択マーカー(すなわちsacB遺伝子)とを収めた多能型DNAカセットを構築することである。この方法では、相同的組換え時に導入される異種DNAはすべてNeisseria染色体から除去されることになろう。
【0213】
独自のプロモーターの支配下に発現するneoR遺伝子とsacB遺伝子とを含むDNA断片を、pIB 279プラスミド[Blomfield IC, Vaughn V, Rest RF, Eisenstein BI (1991), Mol Microbiol 5: 1447-57]のBamHI制限酵素による切断で得た。受容ベクターは前述のプラスミドpCMKに由来した。pCMKのkanR遺伝子を酵素NruI及びEcoRVによる切断で削除した。このプラスミドをpCMKsと命名した。neoR/sacBカセットをpCMKsの、BamHI切断末端と相補的なBglII制限部位に挿入した。
【0214】
このプラスミドを入れたE. coliは2%スクロースの存在下では培地中で増殖することができないので、sacBプロモーターの機能性が確認される。このプラスミドは、N. meningitidis血清群B染色体中のporA遺伝子座へのカセットの挿入を可能にする組換え誘発領域を含んでいる。組換えNeisseriaは200 μg/mlカナマイシン含有GC寒天プレート上で得られた。あいにく、2%スクロース含有GC寒天プレート上では増殖に差が観察されず、N. meningitidisではsacBプロモーターは機能しなかった。
【0215】
kanRプロモーターの支配を受けるようにしたsacB遺伝子を収めた新しいカセットを構築した。プラスミドpUC4K (Amersham Pharmacia Biotech、米国)を鋳型として使用し、NcoI及びXbaI制限部位(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
CIRC-Kan-Nco (5’-CAT G
CC ATG GTT AGA AAA ACT CAT CGA GCA TC-3’)及び
CIRC-Kan-Xba (5’-CTA G
TC TAG ATC AGA ATT GGT TAA TTG GTT G-3’)をプライマーとしてサークルPCR法を実施した。得られたPCR断片はゲル精製し、NcoIで切断し、pIB279プラスミドからのPCRで生成したsacB遺伝子に結合した。このPCRにはNcoI制限部位(下線部)とRBS(太字)とを含むオリゴヌクレオチド
SAC/NCO/NEW5 (5’-CAT G
CC ATG GGA GGA TGA ACG ATG AAC ATC AAA AAG TTT GCA A-3’)及びNcoI制限部位(下線部)を含むオリゴヌクレオチド
SAC/NCO/NEW3 (5’-GAT C
CC ATG GTT ATT TGT TAA CTG TTA ATT GTC-3’)を使用した。組換えE. coliクローンは2%スクロース含有寒天プレート上でそのスクロース感受性を試験することができる。この新しいkanR/sacBカセットはpCMKsにサブクローニングすることができるし、またN. meningitidis血清群B cps-株の形質転換に使用することができる。Neisseriaでは獲得されたスクロース感受性が確認されることになろう。pMCKsプラスミドは組換えkanR/sacB Neisseriaに導入して、その染色体porA遺伝子座に挿入されたカセットを完全に削除するために使用することができる。クリーンな組換えNeisseriaが2%スクロース含有GC寒天プレート上で得られよう。
【0216】
実施例18:
N. meningitidis染色体の相同的組換えを可能にする小組換え誘発配列(43bp)の使用
本実施例の狙いはNeisseria染色体の挿入、修飾又は欠失の促進を目的とした小組換え誘発配列(43bp)の使用である。この実施例の成果は、E. coliの相同配列のサブクローニングステップの省略という点で将来の作業を大いにやり易くしよう(43 bpの組換え誘発配列はPCRプライマーに容易に付加することができる)。NmB porA遺伝子の5’隣接配列に対して相同的な43 bp(太字)と取込み配列(下線部)とを含むオリゴヌクレオチド
Kan-PorA-5 (5’-
GCC GTC TGA ACC CGT CAT TCC CGC GCA GGC GGG AAT CCA GTC CGT TCA GTT TCG GGA AAG CCA CGT TGT GTC-3’)及びNmB porA遺伝子の3’隣接配列に対して相同的な43 bp(太字)と取込み配列(下線部)とを含むオリゴヌクレオチド
Kan-PorA-3 (5’-
TTC AGA CGG CGC AGC AGG AAT TTA TCG GAA ATA ACT GAA ACC GAA CAG ACT AGG CTG AGG TCT GCC TCG-3’)を使用してプラスミドpUC4KからkanR遺伝子をPCR増幅した。得られた1300 bpのDNA断片をpGemTベクター(Promega、米国)にクローニングした。このプラスミドはN. meningitidis血清群B cps-株の形質転換に使用することができる。組換えNeisseiraは200 μg/mlカナマイシン含有GCプレート上で得られよう。porA遺伝子座での二重乗換えに由来する組込みは、前述のようなPPA1及びPPA2プライマー使用のPCR法でスクリーニングすることになろう。
【0217】
実施例19:
野生型及び組換えN. meningitidisブレブ接種マウスの能動防御
Al(OH)
3に吸着させた種々のOMV 5 μgを0日目、14日目、28日目の3回にわたり動物に(IP経路で)接種した。28日目(第2回接種の14日後)と35日目(第3回接種の7日後)に採血し、また35日目に(IP経路で)病原体を投与した。病原体投与量は20 x LD50 (〜10
7 CFU/マウス)であった。病原体投与後7日間について死亡率をモニターした。
【0218】
投与したOMVは次のとおりであった。
【0219】
群1: Cps-、PorA+ ブレブ
群2: Cps-、PorA- ブレブ
群3: Cps-、PorA-、NspA+ ブレブ
群4: Cps-、PorA-、Omp85+ ブレブ
群5: Cps-、PorA-、Hsf+ ブレブ
図15はSDS-PAGEで分析したこれらのOMVのパターンを示す(Coomassie染色)。
【0220】
病原体投与の24時間後には、ネガティブ・コントロール群(Al(OH)
3だけを接種)は100% (8/8)死亡したが、5種類のOMVを接種したマウス群はなお生存していた(7~8/8のマウスが生き残った)。病原体投与後7日間には病状もモニターしたが、NspA過剰発現ブレブを接種したマウスは他群よりも症状が軽いように見受けられた。PorA+ブレブ中のPorAの存在は同種菌株による感染に対し幅広い防御を与えそうである。ただし、PorA-上方調節ブレブによって誘発される防御は、少なくともある程度までは、NspA、Omp85またはHsf含量の増加にも負うようである。
【0221】
実施例20:
ホールセル及び特異的ELISA法で測定した組換えブレブの免疫原性
MenB細胞表面に存在する抗原に対する抗体の認識能力を測定するために、(テトラサイクリン不活化細胞を使用して)ホールセルELISA法で(実施例19に由来する)マウス血清プールを検査し、力価を中間力価で表示した。どの種類のブレブ抗体も高いホールセルAb力価を誘発するが、ネガティブ・コントロール群は明らかに陰性であった。
【0222】
【表7】
【0223】
組換えHSFタンパク質に対する特異的Ab応答を調べた。マイクロプレートに1 μg/mlの完全長HSF分子を塗った。
【0224】
図16に掲げた結果は、(精製した組換えHSFをプレートに使用した場合)HSF過剰発現OMVをマウスの免疫に使用したときに高い特異的HSF応答が現れたことを示している。HSF過剰発現ブレブは十分なレベルの特異抗体を誘発する。
【0225】
【表8】
【0226】
【表9】
【0227】
【表10】
【0228】
【表11】
【0229】
【表12】
【0230】
【表13】
【0231】
【表14】
【0232】
【表15】
【0233】
【表16】
【0234】
【表17】
【0235】
【表18】
【0236】
【表19】
【0237】
【表20】
【0238】
【表21】
【0239】
【表22】
【0240】
【表23】
【0241】
【表24】
【0242】
【表25】
【0243】
【表26】
【0244】
【表27】
【0245】
【表28】
【0246】
【表29】
【0247】
【表30】
【0248】
【表31】
【0249】
【表32】
【0250】
【表33】
【0251】
【表34】
【0252】
【表35】
【0253】
【表36】
【0254】
【表37】
【0255】
【表38】
【0256】
【表39】
【0257】
【表40】
【0258】
【表41】
【0259】
【表42】
【0260】
【表43】
【0261】
【表44】
【0262】
【表45】
【0263】
【表46】
【0264】
【表47】
【0265】
【表48】
【0266】
【表49】
【0267】
【表50】
【0268】
【表51】
【0269】
【表52】
【0270】
【表53】
【0271】
【表54】
【0272】
【表55】
【0273】
【表56】
【0274】
【表57】
【0275】
【表58】
【0276】
【表59】
【0277】
【表60】
【0278】
【表61】
【0279】
【表62】
【0280】
【表63】
【0281】
【表64】
【0282】
【表65】
【0283】
【表66】
【0284】
【表67】
【0285】
【表68】
【0286】
【表69】
【0287】
【表70】
【0288】
【表71】
【0289】
【表72】
【0290】
【表73】
【0291】
【表74】
【0292】
【表75】
【0293】
【表76】
【0294】
【表77】
【0295】
【表78】
【0296】
【表79】
【0297】
【表80】
【0298】
【表81】
【0299】
【表82】
【0300】
【表83】
【0301】
【表84】
【0302】
【表85】
【0303】
【表86】
【0304】
【表87】
【0305】
【表88】
【0306】
【表89】