(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744833
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】MIMOネットワークにおいて通信するための方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/10 20060101AFI20150618BHJP
H04B 7/04 20060101ALI20150618BHJP
H04J 99/00 20090101ALI20150618BHJP
【FI】
H04B7/10 A
H04B7/04
H04J15/00
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-500351(P2012-500351)
(86)(22)【出願日】2010年3月16日
(65)【公表番号】特表2012-521134(P2012-521134A)
(43)【公表日】2012年9月10日
(86)【国際出願番号】IB2010051128
(87)【国際公開番号】WO2010106490
(87)【国際公開日】20100923
【審査請求日】2013年3月12日
(31)【優先権主張番号】09155425.3
(32)【優先日】2009年3月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー マシュウ
(72)【発明者】
【氏名】テサノヴィク ミロス
(72)【発明者】
【氏名】モウルスレイ ティモシー
【審査官】
小池 堂夫
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/132689(WO,A1)
【文献】
特開2006−005908(JP,A)
【文献】
特開2005−057778(JP,A)
【文献】
Ericsson,Precoding Considerations in LTE MIMO Downlink,TSG-RAN WG1 #48 R1-071044,2007年 2月16日,<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48/Docs/R1-071044.zip>
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおける通信方法であって、前記ネットワークはプライマリ局及び複数のアンテナを持つ少なくとも1つのセカンダリ局を有し、当該方法は、
前記プライマリ局が、第1セカンダリ局に、前記プライマリ局からの第1後続送信から前記複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するために前記第1セカンダリ局が用いるべき第1受信結合マトリックスの指標を送信するステップを有し、
前記第1セカンダリ局は、前記プライマリ局に、第1の複数のプリコーディング・ベクトルの指標を送信し、第1プリコーディング・ベクトルの数は、前記プライマリ局から前記第1セカンダリ局への送信の望ましいランクより大きい、
方法。
【請求項2】
前記第1受信結合マトリックスはベクトルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プライマリ局が、前記プライマリ局からの前記第1後続送信に適用されるべき第1プリコーディング・マトリックスを選択し、前記第1受信結合マトリックスが、前記第1プリコーディング・マトリックスに対応する、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1プリコーディング・マトリックスがベクトルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
示される前記第1受信結合マトリックスは、他のセカンダリ局への送信からの干渉を最小化するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2セカンダリ局のための第2受信結合マトリックスを選択するステップをさらに有し、前記第1受信結合マトリックス及び前記第2受信結合マトリックスは、前記第1セカンダリ局のレートと前記第2セカンダリ局のレートの合計レートが最大化されるように選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1セカンダリ局が、それぞれの対応する受信結合ベクトルに従って、第1セットの各プリコーディング・ベクトルを導出する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記受信結合ベクトルが互いに直交する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プライマリ局が、前記第1セットの第1プリコーディング・ベクトルの組み合わせに基づいて第1送信プリコーディング・ベクトルを選択するステップ(b)をさらに有する、請求項7又は請求項8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(b)が、プリコーディング・ベクトルの第2セットの第2プリコーディング・ベクトルの組み合わせに基づいて第2送信プリコーディング・ベクトルを選択し、前記第2セットは第2セカンダリ局によって示され、前記第1送信プリコーディング・ベクトル及び前記第2送信プリコーディング・ベクトルは、前記第1セカンダリ局のレートと前記第2セカンダリ局のレートの合計レートが最大化されるように選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1送信プリコーディング・ベクトル及び前記第2送信プリコーディング・ベクトルが実質的に直交する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
プライマリ局と通信するための通信手段を有するセカンダリ局であって、
前記プライマリ局からの第1後続送信から複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するために前記セカンダリ局が用いるべき第1受信結合マトリックスの指標を前記プライマリ局から受信するための前記複数のアンテナを含むアンテナ・アレイ、及び、前記第1受信結合マトリックスに従って前記アンテナ・アレイを制御するための制御手段、を有し、
前記プライマリ局に、第1の複数のプリコーディング・ベクトルの指標を送信し、第1プリコーディング・ベクトルの数は、前記プライマリ局から当該セカンダリ局への送信の望ましいランクより大きい、セカンダリ局。
【請求項13】
少なくとも1つのセカンダリ局と通信するための手段を有するプライマリ局であって、
第1セカンダリ局に、前記プライマリ局からの第1後続送信から複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するために前記第1セカンダリ局が用いるべき第1受信結合マトリックスの指標を送信するための送信機を有し、前記第1セカンダリ局から、第1の複数のプリコーディング・ベクトルの指標を受信し、第1プリコーディング・ベクトルの数は、前記プライマリ局から前記第1セカンダリ局への送信の望ましいランクより大きい、プライマリ局。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークにおいて通信するための方法に関する。より具体的には、本発明は、MIMO(Multiple Input Multiple Output)モードにおいてプライマリ局と1つ以上のセカンダリ局との間で通信するための方法に関する。本発明は、そのような方法を実施することが可能なプライマリ局又はセカンダリ局にも関する。
【0002】
本発明は、例えば、全ての無線通信ネットワークにとって、そして以下に記載の例において、UMTS又はUMTS LTEのようなモバイル通信ネットワークにとって、重要である。
【背景技術】
【0003】
通信ネットワークにおいて、達成可能な通信のスループットを増加させるために、MIMO (Multiple Input, Multiple Output)が提案されている。MIMOは、通信性能を改善するために、送信機及び受信機の両方において複数のアンテナの使用を伴う。それは、実際に、より高いスペクトル効率(帯域幅の更なるビット/秒/Hz)及びリンク信頼性によって、追加的な帯域幅又は伝送パワーを伴わずにデータ・スループットの有意な増加を提供する。
【0004】
本発明の例示的な実施の形態において、モバイル通信ネットワークは、複数のプライマリ局アンテナ及び複数のセカンダリ局アンテナを用いることにより、MIMOストリームによって少なくとも1つのセカンダリ局(モバイル局、又はユーザ機器若しくはUE)と通信することができるプライマリ局(ベース局、又はNodeB若しくはeNodeB)を有する。ストリームを形成するために、セカンダリ局は、プライマリ局にCSI(チャネル状態情報)フィードバックを送信することによって、チャネルの状態に関係がある情報をプライマリ局に供給する。そのようなCSIは、プライマリ局によって送信される対応する空間的に分離可能なデータ・ストリームの達成可能なデータ速度を最大にするために用いられる最適な又は少なくとも好ましいプリコーディング・ベクトルを示す。このプリコーディング・ベクトルは、セカンダリ局アンテナに向けてデータ・ストリームを導くために伝送の間にプライマリ局の各々のアンテナ・ポートに適用される1セットの複素数値であることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、プライマリ局は、異なるセカンダリ局の方へデータ・ストリームを導くために、他のプリコーディング・ベクトルを選択することもできる。第1セカンダリ局がその受信アンテナで受信される信号に適用するための適切な受信結合重みを選択しない場合、それは他のセカンダリ局に導かれるデータ・ストリームから有害な干渉を被る場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した問題を軽減するネットワークにおいて通信するための方法を提案することが本発明の目的である。
【0007】
異なるエンティティへの送信間の干渉が低減されて、又は、セカンダリ局において過大な計算パワーを必要とせずにMIMOが用いられることを可能にする改善された通信方法を提案することが他の本発明の目的である。
【0008】
この目的のために、本発明の態様によれば、ネットワークにおいて通信するための方法が提案され、前記ネットワークは、プライマリ局及び複数のアンテナを持つ少なくとも1つのセカンダリ局を有し、当該方法は、プライマリ局が、プライマリ局からの第1後続送信から前記複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するために第1セカンダリ局が用いるべき第1受信結合マトリックスの指標を第1セカンダリ局に送信する。
【0009】
その結果として、セカンダリ局は、以降の送信の受信に適した受信ベクトル又はマトリックスを用いることができる。実際、送信は(セカンダリ局によって計算されたプリコーディング・ベクトルに関して)好ましいものと異なる可能性があり、これは、セカンダリ局にとって最適な受信マトリックスの計算を回避する。さらに、例えばセカンダリ局が送信の第1フレームの間に、失われるフレームの原因となるおそれがある次善のマトリックスを試みる必要がない場合、遅延が低減されることができる。
【0010】
本発明の他の態様によれば、セカンダリ局が提案され、当該セカンダリ局はプライマリ局と通信するための通信手段を有し、当該セカンダリ局は、複数のアンテナを含むアンテナ・アレイを有し、プライマリ局からの第1後続送信から前記複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するためにセカンダリ局が使用すべき第1受信結合マトリックスの指標をプライマリ局から受信するための手段、及び、第1受信結合マトリックスに従ってアンテナ・アレイを制御する制御手段をさらに有する。
【0011】
本発明の更に別の態様によれば、プライマリ局が提案され、当該プライマリ局は複数のアンテナを持つ少なくとも1つのセカンダリ局と通信するための手段を有し、当該プライマリ局は、プライマリ局からの第1後続送信から前記複数のアンテナにおいて受信される信号を結合するために前記少なくとも1つのセカンダリ局が用いるべき第1受信結合マトリックスの指標を前記少なくとも1つのセカンダリ局に送信するための送信機を有する。
【0012】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下で説明される実施の形態から明らかであり、それらを参照して説明される。
【0013】
本発明は、添付の図面を参照してさらに詳細に一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】1つのセカンダリ局のレートを最大化するビーム成形スキームによるネットワークのブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態によるネットワークのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、プライマリ局及びプライマリ局と通信する複数のセカンダリ局を持つ通信ネットワークに関する。そのようなネットワークは、例えば
図1及び2に示され、プライマリ局又は基地局100は、複数のセカンダリ局101, 102, 103及び104と無線で通信する。本発明の図示された例において、セカンダリ局101-104は、モバイル局又はUMTSネットワークのユーザ機器である。
【0016】
本発明の第1の実施の形態によれば、プライマリ局100は、プライマリ局100がMIMOビーム成形のようなビーム成形を実行できるように、複数のアンテナを有するアンテナ・アレイ及び複素利得アンプを有する。一般的に、プライマリ局は、4つのアンテナを有する。LTEの最も高度なバージョンでは、プライマリ局は、8、16個のアンテナ又はさらに多くのアンテナを有する場合がある。同様に、セカンダリ局101-104は、複数のアンテナ(例えば最初のLTEリリースに準拠するUEでは2つのアンテナ)を有する。最近のリリースでは、セカンダリ局は、4つ又は8つの、あるいはさらに多くのアンテナを持つ場合がある。アンテナ・アレイのおかげで、プライマリ局100は、
図1に描かれるビーム150及び151のように、データ・ストリームのビームを形成することができる。ビームを形成してMIMO通信を確立するために、プリコーディング・ベクトルの生成が必須であり、この生成は、チャネルの状態に関する情報並びにセカンダリ局側及びプライマリ局側の両方における計算を必要とする。
【0017】
例えば、LTE規格の最初のリリースにおいて、MU-MIMOにおけるダウンリンク送信を受信するように構成されるセカンダリ局は、(一般的には、プリコードされていない共通基準信号(CRS)を用いて)ダウンリンク・チャネルの測定を行い、プライマリ局(eNodeB)にチャネル状態情報(CSI)フィードバックを送信する。これは、ダウンリンク送信のために用いられるべき好ましいプリコーディング・ベクトル(PMI:プリコーディング・マトリックス・インジケータ)、並びに、対応する変調及び符号化スキームを示す関連するCQI (Channel Quality Information)値を示す。この例では、ダウンリンク送信はコードブックに基づき、送信のために使用されるプリコーディング・ベクトルは限りあるセットから選択されることを意味する。セカンダリ局が共通基準信号(CRS)の対応する線形組み合わせとして位相基準を導き出すことができるように、選択されたプリコーディング・ベクトルがセカンダリ局に通知される。
【0018】
1つの受信アンテナをもつセカンダリ局は、より良好な質の送信又は最も信頼性が高い通信を可能にする1つの好ましいプリコーディング・ベクトル、例えば、そのアンテナにおいて信号対干渉比SINRを最大にするベクトルのインデックスをフィードバックする。これは、送信ビーム成形ベクトルの予め定められたコードブック又は直接チャネル・ベクトル量子化(CVQ)に基づくことができる。セカンダリ局が2つの(又はさらに多くの)受信アンテナを持つ場合、状況はより複雑であり、利用されるアプローチは、量子化されたCSIフィードバックのために利用可能なコードブックのサイズによって決まる。そのようなセカンダリ局で実行されることができることは、全チャネル・マトリックス(又は少なくともその量子化されたバージョン)をフィードバックすることである。しかしながら、これは有意な信号オーバーヘッド及びリソースを必要とする。
【0019】
ランク2送信の場合には、好ましいプリコーディング・マトリックスをフィードバックすることが可能である。しかしながらこれは、セカンダリ局がランク1送信を優先するか又はランク1送信のみをサポートするMIMOモードに設定される場合、あるいは、プライマリ局がランク1送信のみを予定している場合には、適切でない。
【0020】
ランク1送信に対して、比較的小さいフィードバック・コードブックの場合、コードブック中の送信ビーム成形ベクトルごとにSINRを最大にする受信結合ベクトルを導き出すことによって、2つの受信アンテナをもつセカンダリ局が1つの好ましいプリコーディング・ベクトルを決定することが可能である。この1つの好ましいプリコーディング・ベクトルは、一般的に、MMSE(最小平均平方推定)受信結合ベクトルであることができる。UEは、最大SINRを最大にする送信ビーム成形ベクトルを報告することができる。
【0021】
1つのセカンダリ局に対する1つのストリームについて、このアプローチは以下のように表現されることができる。
【0022】
1. 受信信号は、y=Hgx + nで与えられる。
yは受信信号(Nx1ベクトル)である。
xは送信信号(1x1ベクトル)である。
gはプリコーディング・ベクトル(Mx1)である。
Hはチャネル・マトリックス(NxM)である。
nは各々の受信アンテナにおけるノイズ(Nx1ベクトル)である。便宜上、ノイズ変動が等しいようにHは正規化されることができる。
MはeNBの送信アンテナの数である。
NはUEの受信アンテナの数である。
【0023】
2. サイズCのコードブック中の可能なgごとに、
が、誤差
を最小化するように、受信アンテナ重みベクトルw(1xN)を計算する。すなわち、
【0024】
3. wの対応するMMSE解を計算した後にSINRを最大にするgを報告する。これは、1つの受信アンテナのためのgを報告することに等しく、gは、wHによって与えられる事実上の1xM送信チャネルのための受信SINRを最大にするように選ばれる。
【0025】
4. eNBスケジューラは、直交するg(又は少なくとも低い相互相関を有するg)を報告するUEのペアを選択する。
【0026】
チャネル・ベクトル量子化(CVQ)に基づくフィードバックの場合には、同様のアプローチは、フィードバックに対して1つの好ましいプリコーディング・ベクトルをもたらすことができる。しかしながら、これは、プライマリ局送信機におけるゼロ・フォーシング・ビーム成形の仮定に依存し、結果として生じるSINRの近似に依存する。
【0027】
上記のアプローチの主な欠点は、それらがUEのそれぞれのペアリングを可能にするwを選択することによって、より高い合計レートが達成されることができるが、それは個々のUEのSINRを最大化するわけではないので、MIMOスキームによるセルにおいて、及びMU-MIMOの例において、合計レートを必ずしも最大にするというわけではないことである。
【0028】
これは、プライマリ局100からセカンダリ局101へと導かれるビーム151を有する
図1で説明されることができる。このビーム151がセカンダリ局101のSINRを最大にするものであるとしても、それはセカンダリ局102に対して重大な干渉を引き起こす。このセカンダリ局102は、それに向かってまっすぐに導かれるビーム151のために、高いSINRで通信することができない。
【0029】
さらに、いくつかの場合では、セカンダリ局が、SINRを最適化する1つの重みベクトルwを計算することができず、したがって、1つの好ましい送信プリコーディング・ベクトルをフィードバックすることができない。そのような場合として、
i) フィードバック・コードブックが大きく、それぞれの最適化及びSINR計算の数が極端に負担になる場合。
ii) セカンダリ局が、送信プリコーディング・ベクトルを知らない場合。例えば、
a. 位相基準がCRS及び実際に用いられたプリコーディング・ベクトルのインジケータの代わりにプリコードされた基準信号によって与えられるプライマリ局における送信ビーム成形。この場合、利用可能な送信プリコーディング・ベクトルが事実上無数に存在し、その各々に対して、セカンダリ局は最適な重みベクトルwを導き出さなければならない。
b. ゼロ・フォーシング送信ビーム成形の仮定が必ずしも有効であるとは限らない場合、チャネル・ベクトル量子化に基づくフィードバック。
【0030】
さらに、いくつかの場合、セカンダリ局が、SINRを最適化する1つのwを計算することができない。所与の望ましい送信に対して、セカンダリ局は、他のユーザからの送信について知らず(すなわち、他のユーザに対する送信のためにプライマリ局によって選択されたgを知らず)、したがって、他のユーザへの送信からの干渉の影響を最小化するための最適なw値を計算する上で問題がある。
【0031】
本発明の実施の形態によれば、セカンダリ局に、それが用いるベき受信ベクトルwの値を通知することが提案される。これは、他のユーザのためのプリコーディング(g値)をセカンダリ局に通知する必要性を回避する。それはさらに、最適ではない可能性があるwの値をセカンダリ局が計算/推定する必要性を回避する。他のユーザからの干渉がなければ、wの最適な値はgから導き出されることができることに留意する必要がある。
【0032】
本発明の変形例によれば、eNodeBのようなプライマリ局は、セカンダリ局に、それがそのN個の受信アンテナからの信号を組み合わせるために用いるべき受信ビーム成形ベクトルwの指標を通知する。これは、他のユーザへの送信からの干渉を最小化するように設計されている。さらにwとして通知される最適なアンテナ結合重みによって、復調位相基準は、専用の基準信号から導き出されることができる。
【0033】
本発明の実施の形態において、プライマリ局は、プライマリ局自体によって計算されるプリコーディング・ベクトルに基づく最適な受信ベクトルwを送信する。実際、本発明のこの実施例は、上で特定された場合に対して、大きい又は無限の数のwが考えうることに基づく。これは、wを変化させることによって、基地局が、必ずしも任意の個々のセカンダリ局のレートを最大化するわけではないが、合計レートを最大化するセカンダリ局のペアを選択することができることを意味する。
【0034】
本発明の第1の実施の形態のこの例示的な変形例は、
図2に表され、プライマリ局100はビーム151を、セカンダリ局102がそれによって妨害されないように、導くことができる。ビーム151がセカンダリ局101に最も高い可能なSINR値を提供しない場合であっても、セカンダリ局102が他のセカンダリ局(すなわち101)に専用のビーム151によって干渉されないので、全てのセカンダリ局に対して達成可能な合計レートは、より良好なはずである。
【0035】
これを達成するために、本発明の第1の実施の形態によって、セカンダリ局が、1セットの好ましいプリコーディング・ベクトルをプライマリ局にフィードバックすることが提案され、プリコーディング・ベクトルの数は、送信のランクより大きい。そして、プライマリ局は、受信されたプリコーディング・ベクトルを組み合わせることによって、プリコーディング・ベクトルを計算する。プライマリ局は、送信の好ましいランクを最初に決定することができ、あらかじめセカンダリ局を構成することができる。そしてこれは、プライマリ局にフィードバックされる必要がある必要なプリコーディング・ベクトルの数をセカンダリ局が知ることを可能にする。それはさらに、計算パワーに関してプライマリ局よりさらに制限される場合があるセカンダリ局における計算必要量を低減することを可能にする。
【0036】
しかしながら、チャネルの最適な使用を可能にするように、チャネルの状態に応じて送信の好ましいランクをセカンダリ局に決定させることが可能である。そのような場合、セカンダリ局は、送信の好ましいランクをプライマリ局に通知する。
【0037】
第1の実施の形態の変形例によれば、LTEネットワーク内のセカンダリ局又はUEにおける2つの受信アンテナの場合に適用されるとき、ランク1送信が好ましい場合でも、各々のUEは2つのプリコーディング・ベクトルg、g
1及びg
2をフィードバックする。各々のプリコーディング・ベクトルgは、プライマリ局及びセカンダリ局の両方に知られているか又はおそらく先験的に知られている関係を持つ2つの好ましくは直交する受信ベクトルw
1及びw
2を選択することによって、上記のように計算されることができる。
【0038】
有利な実施の形態によれば、第1の受信ベクトルw
1は、上述のようなコードブックに基づくフィードバック・アプローチのためのレートを最大にするように計算される。wのこの値を用いて計算される対応するCQI値もフィードバックされ、それは、いかなる他のセカンダリ局も同時の送信に対してスケジューリングされずに終わった場合のための十分な情報を与える。そして第2ベクトルw
2は、(他のセカンダリ局の最適なスケジューリングのための十分な情報を与える)w
1の直交ベクトルとして選ばれることができ、第2のCQI値はwのこの値に対して計算されて、同様にフィードバックされる。セカンダリ局はさらに、対応するg値、g
1及びg
2をフィードバックする。
【0039】
セカンダリ局の2つの受信アンテナのために、適切な実施の形態は、例えば、wベクトルw
1=[1 1]及びw
2=[1-1]、又は受信アンテナ選択に対応して[0 1]及び[1 0]を用いることができる。
【0040】
本発明のこの例示的な実施の形態は、N個の受信アンテナをもつセカンダリ局に拡張されることができることに留意する必要があり、その場合、wは1xN次元のベクトルである。そのような場合、セカンダリ局は、最大でN個のwベクトルに対応する好ましいプリコーディング・ベクトル・フィードバックを送信することができる。例えば、N=4の場合、セカンダリ局は、w
1, w
2, w
3及びw
4に対応する4つの好ましいプリコーディング・ベクトルをフィードバックすることができる。
【0041】
上記の例の変形例によれば、セカンダリ局は、N個未満のwに対応する減少した量のフィードバックを送信することができる。そのような場合(例えば2つのwのために)、その特定のwの選択は、プライマリ局にフィードバックされる情報を最大にするために、受信アンテナ間の相関を考慮することができる。
【0042】
例えば、w
1がレートを最大にするために選択される場合、w
2、w
3及びw
4を生成するための可能な乗数は、[1 1 -1 -1], [1 -1 1 -1]及び[1 -1 -1 1]であることができる。アンテナが距離間隔(したがって相関)の順にインデックス付けされると仮定して、w
2を用いることは、w
3又はw
4より好ましい可能性がある(すなわちそれはeNodeBにより多くの情報を与える)。
【0043】
したがって、本発明の更なる態様として、(プライマリ局はセカンダリ局におけるアンテナ・インデックスと物理的アンテナとの間の関係を知る必要がないので)セカンダリ局がアンテナ間の相関に従って第2のwを選択する。
【0044】
他の実施の形態において、セカンダリ局は、最も高いSINRを持つnのwを選択してフィードバックする(n<N)。
【0045】
更なる実施例として、w
1が[1 1 1 1]として選択される場合、w
2、w
3及びw
4のための考えられる値は、[1 1 -1 -1], [1 -1 1 -1]及び[1 -1 -1 1]であることができる。
【0046】
N=2である実施の形態において、プライマリ局スケジューラは、g
Aを直交させるg
1及びg
2の線形組み合わせとしてユーザAのための任意のg
A、並びにユーザBのための同様に導き出されるg
Bを、自由に選択する。これは、N>2に拡張されることができ、セカンダリ局は2つの(又はより多くの)gの値を報告し、eNBは、報告された値の線形組み合わせであるプリコーディングを適用する。
【0047】
セカンダリ局がwのN個の値に対応するgのN個の値を報告する場合、これは、eNBに完全なチャネル・マトリックスに関するいくつかの情報を提供する。しかしながら、これは、受信アンテナの配列を特定する必要がなく、チャネル表現の同等の精度(すなわち、コードブック・サイズCNの1回のサーチと比較して、コードブック・サイズCのN回のサーチ)に対して計算量がより少なくなるので、既知の方法に対する幾つかの利点を有する。
【0048】
別の態様では、本発明は、好ましいプリコーディング・ベクトル及びチャネルの情報の他のソースとともに、例えばTDDシステムにおける相互性によって、用いられることができる。
【0049】
本発明はさらに、ランク>1の送信に適用可能であり、eNBはベクトルの代わりに受信処理マトリックスの指標をUEに通知する。
【0050】
好ましい実施の形態では、受信ビーム成形ベクトルwは、送信された信号の復調においてセカンダリ局によって用いられる。他の実施例において、wは、プライマリ局への報告のためのCQIの値を計算するために、セカンダリ局によって用いられる。
【0051】
本発明の変形例において、プライマリ局は、ユーザ機器(User Equipment)のような移動端末であり、プライマリ局は、eNodeBのような基地局である。
【0052】
本発明は、UMTS LTE及びUMTS LTE-Advancedのようなモバイル遠距離通信システムに適用可能であるが、いくつかの変形例では、リソースの割り当てが動的に又は少なくとも半持続的に行われる任意の通信システムにも適用可能である。
【0053】
本明細書及び請求の範囲において、単数で表された要素は、そのような要素が複数存在することを除外しない。さらに、「有する」や「含む」などの用語は、挙げられたもの以外の要素又はステップの存在を除外しない。
【0054】
請求項中の括弧間に参照符号が含まれることは、理解を助けることを目的としており、制限するものであることは意図されない。
【0055】
本開示を読むことから、他の変形例は当業者にとって明らかである。そのような変形例は、無線通信の技術において既に知られた他の特徴を含むことができる。