【実施例】
【0077】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。また、実施例中に特に断りが無い限り、部は質量部を示す。なお、合成例中のエポキシ当量は、JIS K7236:2001に記載の方法で測定した。
【0078】
合成例1−1:エポキシカルボキシレート化合物(A)の合成
エポキシ樹脂(a)としてフェノールビフェニルメチル型エポキシ樹脂である日本化薬製NC−3000H(エポキシ価288g/eq、式(1)でm=0、n=2.1)144g、エチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)としてアクリル酸(略称AA、分子量72)を36g、触媒としてトリフェニルホスフィン1.5g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート100gを加え、100℃で24時間反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(A)を得た。
【0079】
合成例1−2:エポキシカルボキシレート化合物(A)の合成
エポキシ樹脂(a)としてフェノールビフェニルメチル型エポキシ樹脂である日本化薬製NC−3100(エポキシ価254g/eq、式(1)でm=0、n=1.4)127gエチレン性不飽和基含有モノカルボン酸(b)としてアクリル酸(略称AA、分子量72)を36g、触媒としてトリフェニルホスフィン1.5g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート165gを加え、100℃で24時間反応させ、エポキシカルボキシレート化合物(A)を得た。
【0080】
合成例2−1、2−2:(ポリ)カルボン酸化合物(B)の合成
合成例1−1において得られたエポキシカルボキシレート化合物(A)に多塩基酸無水物(c)としてテトラヒドロ無水フタル酸を表1中に記載の量を加え、固形分が70重量%となるように溶剤としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを添加し、100℃にて10時間加熱して付加反応させ、(ポリ)カルボン酸化合物(B)を得た。
【0081】
【表1】
【0082】
合成例3:多官能ウレタン(メタ)アクリレート(E)の合成
乾燥容器中にペンタエリスリトールトリアクリレート1020部、ジラウリン酸ジ−n−ブチルスズ0.6部、メトキノン0.6部を入れ、80℃まで過熱撹拌した。これにイソホロンジイソシアネート(略称:IPDI)177.8部を1時間かけて滴下し、1〜2時間撹拌後のイソシアネート値は0.3以下となり反応がほぼ定量的に終了した事を示し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート(E)を得た。
【0083】
合成例4:(メタ)アクリレート化合物(F)((RS)−1,1’−ビ−2−ナフトールジエトキシジアクリレート)の合成
撹拌装置、還流管、温度計をつけたフラスコの中に、(RS)−1,1’−ビ−2−ナフトールを286.3g(1.0mol)、炭酸エチレンを264.2g(3.0mol)、炭酸カリウムを41.5g(0.3mol)、トルエン2000mlを仕込み、110℃で12時間反応させた。
反応後、得られた反応液を水洗、1%NaOH水溶液で洗浄し、次いで洗浄水が中性になるまで水洗を行った。水洗後の溶液をロータリーエバポレーターを用いて減圧下に溶媒を留去し、(RS)−1,1’−ビ−2−ナフトールのエチレンオキサイド2mol反応物300.0gを得た。
続いて、撹拌装置、還流管、温度計及び水分離機をつけたフラスコ中に、(RS)−1,1’−ビ−2−ナフトールのエチレンオキサイド2mol反応物187.2g(0.5mol)、アクリル酸86.5g(2.4mol)、パラトルエンスルホン酸0.95g、ハイドロキノン0.87g、トルエン917.4g、シクロヘキサン393.2g仕込み、反応温度95〜105℃で生成水を溶媒と共沸留去しながら反応させた。反応後、25%NaOH水溶液で中和した後、15質量%食塩水200gで3回洗浄した。溶媒を減圧留去して淡黄色固体の下記構造式の生成物337.8gを得た。
【0084】
【化2】
【0085】
合成例4の化合物の物性を以下に示す。
液屈折率(D線、25℃)1.62
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)、ppm:
4.00−4.30ppm=8H、5.60−5.90ppm=4H、6.05−6.15ppm=2H、7.05−7.50ppm=8H、7.80−8.00ppm=4H
【0086】
合成例5:(メタ)アクリレート化合物(F)(N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバゾール)の合成
オートクレーブ中に、カルバゾールを167.2g(1.0mol)、トルエンを114.5g、水酸化カリウムを0.5g仕込み、窒素置換を行なった後、エチレンオキサイド48.5g(1.1mol)を120℃〜140℃、反応圧0.2MPa以下の範囲で滴下し、6時間反応させた。反応後、減圧下で未反応のエチレンオキサイド、トルエンを留去し、得られたN−(2−ヒドロキシエチル)カルバゾール105.6g(0.5mol)、アクリル酸54.1g(0.7mol)、パラトルエンスルホン酸1.44g、ハイドロキノン0.54g、トルエン517.6g、シクロヘキサン221.8gを仕込み、反応温度95〜105℃で生成水を溶媒と共沸留去しながら反応させた。反応後、25%NaOH水溶液で中和した後、15質量%食塩水200gで3回洗浄した。溶媒を減圧留去して淡黄色固体の下記構造式(3)の生成物130.0gを得た。
【0087】
【化3】
【0088】
合成例5の化合物の物性を以下に示す。
液屈折率(D線、25℃)1.61
1H−NMR(CDCl
3、300MHz)、ppm:
4.48−4.60ppm=4H、5.70−5.80ppm=1H、5.90−6.05ppm=1H、6.20−6.30ppm=1H、7.10−7.55ppm=6H、8.05−8.15ppm=2H
【0089】
以下の実施例に示すような組成(数値は質量部を示す)にて本発明の樹脂組成物を得て、次いで活性エネルギー線を照射し硬化物を得た。また、樹脂組成物及び硬化膜についての評価方法及び評価基準は以下の通り行った。
【0090】
(1)粘度:E型粘度計(TV−200:東機産業(株)製)を用い、25℃にて測定した。
(2)離型性:硬化した樹脂を金型より離型させるときの難易度を測定した。難易度は下記のように分類した。
○・・・・金型からの離型が良好である。
△・・・・離型がやや困難あるいは離型時に剥離音がある。
×・・・・離型が困難あるいは型残りがある。
(3)型再現性:硬化した紫外線硬化性樹脂層の表面形状と金型の表面形状を観察した。
○・・・・再現性良好である。
×・・・・再現性が不良である。
【0091】
(4)密着性:基材上に樹脂組成物を膜厚約50μm程度に塗布し、次いで高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)で1000mJ/cm
2の照射を行い硬化させたテストピースを作製し、JIS K5600−5−6に準じて密着性評価を行った。
評価結果は0〜2を○(良)とし、3〜5を×(不良)とした。
【0092】
(5)屈折率(25℃):硬化した紫外線硬化性樹脂層の屈折率(25℃)をアッベ屈折率計(DR−M2:(株)アタゴ製)で測定した。
(6)ガラス転移温度(Tg):硬化した紫外線硬化性樹脂層のTg点を粘弾性測定システム(DMS−6000:セイコー電子工業(株)製)において、引っ張りモード、周波数1Hzにて測定した。
【0093】
(7)耐擦傷性:プリズムシートの上にガラス棒を当て、プリズム形状に対して横方向に引きずった時の、傷のつき方を観察し、評価した。
◎・・・・傷がつかず、プリズムシートとして使用できる状態
○・・・・わずかに傷がつくが、性能に問題がない状態
×・・・・傷がつき、プリズムシートとして使用できない状態
【0094】
実施例1
成分(A)として、合成例1−1で得た化合物22.5部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート67.5部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート8部、成分(F)として1,4−ブタンジオールジアクリレート2部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1756mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.606であり、ガラス転移温度(Tg)は57℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0095】
実施例2
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物25部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート25部、フェノキシエチルアクリレート20部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート10部、成分(F)としてビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート20部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1675mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.589であり、ガラス転移温度(Tg)は59℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0096】
実施例3
成分(B)として、合成例2−2で得た化合物10部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート62部及びフェノキシエチルアクリレート10部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)としてペンタエリスリトールトリアクリレート3部、成分(F)としてビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート15部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は511mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.595であり、ガラス転移温度(Tg)は44℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0097】
実施例4
成分(A)として、合成例1−1で得た化合物9部、成分(B)として、合成例2−2で得た化合物10部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート51部及びフェノキシエチルアクリレート15部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)として合成例3で得た多官能ウレタン(メタ)アクリレート3部、成分(F)としてビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート17部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1123mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.594であり、ガラス転移温度(Tg)は48℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0098】
実施例5
成分(A)として、合成例1−2で得た化合物20部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート31部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.01部、成分(E)としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート18部、成分(F)としてビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート20部、アクリロイルモルフォリン7部及びKAYARAD EF−053(日本化薬(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:180〜194)のエポキシアクリレート)4部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は2354mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.582であり、ガラス転移温度(Tg)は73℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0099】
実施例6
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物12.5部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート12.5部、o−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート(n=1.5)51部、フェノキシジエチレングリコールアクリレート4部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン5部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(F)としてBPE−10(第一工業製薬製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)20部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は568mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.587であり、ガラス転移温度(Tg)は25℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:◎であった。
【0100】
実施例7
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物5部、成分(C)としてo−フェニルフェノールモノエトキシアクリレート5部、o−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート(n=1.5)53部、フェノキシジエチレングリコールアクリレート2部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン5部及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルスルフォスフィンオキサイド1部、成分(E)としてトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート3部、成分(F)としてBPE−10(第一工業製薬製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)30部及び4−ヒドロキシブチルアクリレート2部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は314mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.576であり、ガラス転移温度(Tg)は20℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:◎であった。
【0101】
実施例8
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物15部、成分(C)としてo−フェニルフェノールポリエトキシアクリレート(n=1.5)40部及びフェノキシジエチレングリコールアクリレート5部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン5部、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(F)としてBPE−10(第一工業製薬製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)10部、合成例4で得た化合物((RS)−1,1’−ビ−2−ナフトールジエトキシジアクリレート)30部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は2834mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.604であり、ガラス転移温度(Tg)は44℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:◎であった。
【0102】
実施例9
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物15部、成分(C)としてo−フェニルフェノールエトキシアクリレート55部及びフェノキシジエチレングリコールアクリレート4部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)としてKAYARAD DPHA(日本化薬製:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)2部、成分(F)としてBPE−10(第一工業製薬製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)4部及び合成例5で得た化合物(N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバゾール)20部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1231mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.612であり、ガラス転移温度(Tg)は52℃だった。
さらに、この樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0103】
実施例10
成分(B)として、合成例2−1で得た化合物15部、成分(C)としてo−フェニルフェノールエトキシアクリレート63部、成分(D)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン3部及びジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド0.1部、成分(E)としてKAYARAD TMPTA(日本化薬製:トリメチロールプロパントリアクリレート)2部、成分(F)としてBPE−10(第一工業製薬製:ビスフェノールAポリエトキシジアクリレート)4部、A−BPEF(新中村化学工業製:ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート)12部及びテトラヒドロフルフリルアクリレート4部を60℃に混合・加温し、本発明の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は1236mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化した、膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.602であり、ガラス転移温度(Tg)は54℃だった。
さらに、得られたこの樹脂組成物をプリズムレンズ金型の上に膜厚が50μmになるように塗布し、その上に基材として易接着PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300、100μm厚)を接着させ、更にその上から高圧水銀ランプで600mJ/cm
2の照射量の紫外線を照射して硬化させた後、剥離して本発明のプリズムレンズシートを得た。
評価結果は、離型性:○、型再現性:○、密着性:○、耐擦傷性:○であった。
【0104】
比較例1
実施例2において、成分(B)の変わりに、KAYARAD EF−075(日本化薬(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:900〜1000)のエポキシアクリレート)25部を用いる以外は実施例2と同様に比較用の樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度は8420mPa・sであった。また、この樹脂組成物を高圧水銀灯(80W/cm、オゾンレス)にて600mJ/cm
2の照射を行って硬化して得られた膜厚200μmの紫外線硬化型樹脂層の屈折率(25℃)は1.585であり、ガラス転移温度(Tg)は58℃だった。
評価結果は、離型性:×、型再現性:×、密着性:○、耐擦傷性:×であった。
この結果から比較例1の組成物は本発明の組成物と同程度の屈折率を有するが、粘度が高く加工適性に劣り、離型性、型再現性に劣る。
【0105】
実施例1〜10、比較例1の評価結果から明らかなように、本発明の樹脂組成物は低粘度で、本発明の硬化物は離型性、型再現性、基材への密着性に優れ、高屈折率でガラス転移温度(Tg)が高かった。さらに、耐擦傷性にも優れていた。そのため微細構造を有する光学レンズシート、例えば、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、プリズムレンズ、マイクロレンズ等に適している。特に微細な加工が必要な用途や連続加工が必要な工程を含む製造に適している。実施例1〜10、比較例1について、表2に示した。
【0106】
【表2】