【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によればこの課題は本発明の第1の態様により、第1のパネル状要素と第2のパネル状要素とから成る系において赤外反射コーティングが第1のパネル状要素と第2のパネル状要素との間に挿入され、詳しくは第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が一つの複合材を形成し、その際、前記パネル間の空間が固形もしくは液状の充填材で埋められていることによって解決される。つまり充填材は、例えば断熱ガラス複合材の場合のような、ガス状ではない。
【0022】
このような複合材によって、780nm〜2000nmの赤外線域での著しく高い反射率を示す、例えば透明な金属層、殊に銀層、を基礎とする赤外反射コーティング、いわゆるLow−Eコーティングを使用できることが可能になる。
【0023】
赤外反射コーティングが該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されかつこれにより保護されることによって、高効率だが腐食しやすい銀の単層もしくは多層を赤外反射コーティングとして使用し、そして化学的及び機械的な攻撃、特に酸化に対して保護することが可能である。
【0024】
銀層を基礎とするこのような、高反射の赤外コーティングはいわゆる「ソフト・コーティング(Soft−Coatings)」と呼ばれ、例えばきわめて詳細に非特許文献1、p.167−171に記載されている。この出版物の開示内容は本願にきわめて広範囲にともに受け入れられる。該第1のパネル状要素と該第2のパネル状要素の間に挿入されたコーティングの腐食傾向を最小にするために、好ましくは第1のパネル状要素及び/又は第2のパネル状要素の縁部は赤外反射コーティングを有していないことが定められている。特に有利であるのは、赤外反射コーティングが780nm〜2500nmの波長域での著しく高い反射率を有する場合である。理想的なケースでは反射率は780nm〜2500nmの範囲内の波長に対して100%である。
【0025】
温度T
STRAHLER=5762Kを有するプランク放射体によって太陽から放射される光線、つまり太陽光のスペクトル、が近似される場合には、波長<350nmの紫外分を無視すれば可視波長域350nm〜780nmにおける太陽光のエネルギーないしは強度の約55%であり、赤外波長域780nm〜2500nmにおけるエネルギーの約45%であることが導き出されうる。波長域780nm〜2500nmでの反射率100%である理想赤外線鏡であれば、したがって太陽光の45%、つまり赤外の一部が反射される。
【0026】
赤外線についてのコーティングの反射率の品質を示すために、本願では赤外域日射反射率が定義される。赤外域日射反射率は、温度5762Kを有するプランク放射体についての太陽光の近似スペクトルの相対強度で畳み込まれた波長域780nm〜2500nmでの赤外コーティングのスペクトル反射率であると本願で定義される。このように定義された赤外域日射反射率が従来技術によるフィルム、つまり例えば積層複合材中のXIRフィルムについては約40%であるのに対して、本発明による赤外コーティングを含む系は45%〜95%、特に50%〜80%の範囲内の赤外域日射反射率が特徴である。
【0027】
2枚のパネル間に挿入された固形ないしは液状の充填材として好ましくはポリマー材料、硬化無機材料、例えば注型用樹脂又はフィルム、例えばPCBフィルム、PVBフィルム、EVAフィルム、が使用される。
【0028】
前記フィルムは本発明による赤外線反射コーティングに加えてさらに別のコーティング、例えばフィルム上に施与されたさらなるLow−E層を含んでもよい。
【0029】
前記赤外線高反射率コーティングは前記パネル状要素の一つもしくは二つに施与されてもよいし、これらパネル間に挿入積層された前記フィルムに施与されてもよい。
例えばポリマー材料、PCBフィルム、PVBフィルム又はEVAフィルムを用いての前記複合材の製造のために、これらポリマー材料ないしはフィルムは加圧により液状化もしくは軟化され、これを用いて第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が接着されることにより複合材が得られる。これにより、前記高反射率の赤外コーティングを直接接着するのに有利である。
【0030】
耐食性に関して特に好ましいのは、第1のパネル状要素及び第2のパネル状要素の縁部がシール材を有する場合である。これに使用することができる可能なシール材は例えば、気体透過性がわずかであることに優れているブチルゴムである。代替的なシール方法は、またもや気体透過性がわずかであるプラスチックで接着された環状のアルミニウム箔によるシールである。
【0031】
例えば非特許文献1、p.155−200ないしはp.219−228に記載された、銀層を基礎とする上記Low−Eコーティングのほかに著しく良好な伝導率を有する他の層を使用することもできる。これの例は金層もしくはアルミニウム層である。
【0032】
第1及び/又は第2のパネル状要素の縁部は、施与されたLow−E層が複合材の側からは腐食しないように形成されていることが好ましい。有効な手段として例えばエッジデリーションを使用してよく、このエッジデリーションの場合にはLow−E層が縁部までは続いておらず、したがって積層物が縁部にて上下のガラス間で直接密封されることができる。
【0033】
好ましくはパネルの少なくとも5mmが、赤外反射コーティングが途切れているかないしは赤外反射コーティングがない縁部として形成されている。縁部の最大境界は、合わせガラス板の観察者にとっての可視域が妨げられないよう選択される。
【0034】
とりわけディスプレイ分野、即ち表示装置にガラスが使用される場合の、コントラスト及びこれに伴い表示品質を高めるために、第1及び/又は第2のパネル状要素に反射防止膜が備えられていることが定められている。
【0035】
少なくとも1つの反射防止膜を本装置に備えることによってとりわけパネル状要素の可視波長域380nm〜800nmにおける反射は顕著に縮小され、したがってコントラストは反射防止膜なしの装置に比して顕著に高められる。好ましくは反射率R
visは反射防止膜によって、反射防止膜が備えられていないパネル状要素に比して10%〜4%減少される。反射防止膜なしのパネル状要素の反射率R
visが例えば8%である場合には、反射防止膜によって反射率R
visは0.1%〜6%、特に0.2%〜4%、に減少されることができる。前記反射率R
visとは、視感度で畳み込まれた標準光D65(人工昼光)での反射率のことである。個々の波長についての反射が例えば2%より大きくてよいにもかかわらず、標準光D65について1%以下の値R
visが得られることができる。
【0036】
45%〜95%、特に50%〜80%、の範囲内の高い赤外反射及びとりわけ赤外域日射反射率を二つのパネル状要素とこれらの間に挿入された固形及び液状の充填材とから成る系全体について達成するために、高い赤外反射を達成するための少なくとも1つの銀層から成るLow−Eコーティング系は調整される。このために、反射防止作用が固形もしくは液状の充填材、とりわけ、例えばPVBフィルムの、積層フィルム、の屈折率に適合されているように、前記銀を取り囲む層が調整される。例えばこのような屈折率への適合は陰極スパッタによって達成することができる。例えば、陰極スパッタは、このような適合を実施できるようにする多数の酸化物物質を有する。Low−Eコーティングのベースとして例えば、上記調整に従って改質された、即ち固形もしくは液状の充填材、とりわけフィルム、の屈折率に適合された、ARCON社(独Bucha、Feuchtwangen)により製造される日射遮蔽層Sunbelt Platinを使用してよい。
【0037】
とりわけ、好ましくは酸化物層もしくは酸化物伝導層を含む適合層の挿入によって、本装置の反射率R
visが<2%、特に<1%、であることが可能である。
【0038】
前記複合材の表面での反射が減少することによって次のことがもたらされる、つまり反射防止膜によってならびに複合材の内部ではLow−E層と場合によっては適合層によってコントラストが反射防止膜が備えられていない要素に比して顕著に高められる。反射防止膜として好ましくは干渉被膜系が使用される。このような系の場合には反射防止膜の境界面で光が反射される。それどころか、境界面で反射された波は干渉によって位相ならびに振幅の条件が満たされた場合に完全に消滅することができる。
【0039】
このような反射防止膜は例えば、Schott AG社の製品AMIRAN、CONTURAN又はMIROGARDで実現されている。広帯域の反射防止のための干渉被膜系に関して特許文献8も参照され、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに受け入れられる。
【0040】
光学的に可視のスペクトル域380nm〜780nmでの反射R
visの減少のほかに反射防止膜によって好ましくは10%までの透過率の増大を達成することもできる。
【0041】
反射防止膜は好ましくは第1及び/又は第2のパネル状要素の外向きの側面、即ち外気に向けられた側面に備えられる。反射防止膜として、種々の方法によって製造された層が使用される。このような層はゾル−ゲル法、スパッター法、エッチング法又はCVD法で製造することができる。詳しくは反射防止膜は次の施与方法の一つで施与することができる:
a)反射防止膜を液体法(Flussigtechnologie)を用いて施与し、その際、液体法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をゾル−ゲル法を用いて施与する;
反射防止膜を干渉単層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉多層としてゾル−ゲル法から製造する;
反射防止膜を干渉三層としてゾル−ゲル法から製造し、その際、第1層は屈折率1.6〜1.8を有し、第2層は屈折率1.9〜2.5を有し、そして第3層の屈折率は1.4〜1.55である。
b)反射防止膜を高真空法を用いて製造し、その際、高真空法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜を高真空法を用いて多層の干渉被膜系として製造する;
反射防止膜を高真空法を用いて単層系として製造する;
反射防止膜を高真空下でのスパッター法から製造する;
反射防止膜を高真空下での蒸着法から製造する。
c)反射防止膜をCVD法を用いて製造し、その際、CVD法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をオンラインCVD法から製造する;
反射防止膜をオフラインCVD法から製造する;
d)反射防止膜をエッチング法を用いて製造し、その際、エッチング法を用いて施与された層は次の方法の一つを用いて提供される:
反射防止膜をエッチング法を用いて多孔層として製造する;
反射防止膜をエッチング法を用いて光拡散表面として製造する。
【0042】
使用としては、一方で高い赤外反射率を示すことに特に優れている本発明にとって表示装置、とりわけ屋外領域での表示装置、及びここでは好ましくは液晶表示装置、の分野への使用が考慮の対象となる。反射防止膜が使用される場合には高いコントラスト、例えば40〜80の範囲内であるコントラスト、を達成することができ、これに制限されない。とりわけ表示装置のためのパネルの、装置のほかに本発明はディスプレイないしはディスプレイ装置及びアタッチメントパネルを備えた表示装置をも提供し、この場合、アタッチメントパネルはこれらに挟まれた赤外反射コーティングを伴う2枚のパネル状要素を含む本発明による装置として形成されている。表示装置として殊に液晶表示装置ならびに有機LED表示装置もしくはLED表示装置が考慮の対象となる。
【0043】
表示装置への使用のほかに額縁用ガラスとしての使用も可能である。
【0044】
本発明によれば冒頭に記載の課題は本発明の第2の態様により、少なくとも1つの第1のパネル状要素と少なくとも1つの偏光フィルタから成る表示要素のための装置が提供されることによって解決される。この場合には偏光フィルタは、表示装置の放射された偏光が本装置によってわずかにしか減衰されないように施与される。このことは本発明によれば、本装置の偏光フィルタの透過方向が、偏光フィルタが表示装置から放射された光の最大限の部分を透過するよう配向されることによって達成される。このことによって表示装置の有効信号が70%より大きな、特に80%より大きな、高い割合で本装置を透過されるが、同時に、偏光フィルタの透過方向に対して直交する振動面を有する太陽光が減衰される。ディスプレイの表示の良好な可読性にとって、本装置を通しての表示装置の放射光の透過率は50%以上、特に70%以上、であることが好ましい。
【0045】
本装置と表示装置の間に隙間が形成され、この隙間はガス状媒体で充填されている。ガス状媒体は空気もしくは窒素でもよいし、希ガス、例えばヘリウムもしくはアルゴン、でもよい。隙間を形成する本発明による装置と表示装置間の距離は1〜500mm、特に5〜100mm、の範囲内である。
【0046】
このような構造によって、ここでは波長380nm〜780nmのスペクトル域として定義される、偏光された可視光線が表示装置から70%より大きな、特に80%より大きな高い透過率で本装置を通して観察者に到達することが可能となり、その一方で光線の可視波長域での偏光されていない太陽光の一部は約50%しか表示装置に到達しない。
【0047】
加えて、このスペクトル分をも抑制するために、この構造の場合には当然のことながら日射の赤外分、赤外波長域780nm〜2500nm、における透過率を減少させるための上記の解決の全て使用することができる。とりわけ、本発明の第1の態様により記載された本装置を通して表示装置までの太陽光の赤外分の透過率を減少させるための措置を使用することができる。
【0048】
本発明の第2の態様により課題を解決するために、標準として本明細書で示した表示装置に使用される偏光フィルタが使用される。本発明による表示装置は液晶ディスプレイ、液晶画面、液晶表示装置又はTFTディスプレイとも呼ばれ、これらの場合には光はバックライト及び偏光フィルタを用いて得られ、そして、さらなる前面の偏光フィルタと組み合わされた液晶エレメントによる偏光方向の回転によって輝度変化に変換される。上記実施形態によって偏光を放射する他の全ての表示システムもまた改善することができる。
【0049】
本発明の代替的な実施形態の場合には表示装置は、本装置の偏光フィルタが同時に表示装置の前方のフィルタとして使用することができるよう変更することができる。この場合にも表示装置における液晶の加熱を減少させるために、本装置と表示装置との間の距離、特に液晶を含む範囲の距離が必要である。
【0050】
偏光フィルタは、一定に配向された光ないしは光波のみを通す偏光フィルタ又は偏光子である。偏光フィルタはいくつかの種々の技術により実現することができる。最も知られた技術は、ポリビニルアルコールから成る層を有し、適当な粒子、例えば二色性色素、著しく微細な炭素糸又は拡散導入されたヨウ素が混入されているフィルムの延伸によって作業が行なわれる。一方向でのフィルムの塑性伸びによって分子が引き方向に沿って平行に配向される。これら分子は配向後に貫通する光を著しく異方性をもって吸収する。偏光フィルタを通過する非偏光が振動面ではほぼ吸収されないのに対して、とりわけ、これに対して垂直の直交する振動面はほぼ完全に吸収される。当業者には、本発明による装置への適用には、偏光フィルタが少なくとも日射の可視域で透過への顕著な偏光の作用を示す限り、全ての入手しうる偏光フィルタを使用することもできることが公知である。これを凌駕して光の赤外分にも影響を及ぼす偏光フィルタの場合には有利な作用が改めて増幅される。偏光子は多くの企業によって提供されている。例として本明細書では、偏光フィルタを提供し、さらに偏光子の作動方式についての技術的情報もインターネットで提供しているマインツのITOS社を挙げる。
【0051】
温度T
STRAHLER=5762Kを有するプランク放射体によって太陽から放射される光線、つまり太陽光のスペクトル、が近似される場合には、波長<380nmの紫外分を無視すれば可視波長域380nm〜780nmにおける太陽光の強度の約55%であり、赤外波長域780nm〜2500nmでの約45%であることが導き出されうる。本明細書に記載した偏光子が使用される場合にはスペクトルの可視分のうち(つまりスペクトル強度の約55%)光線の半分が偏光子で吸収されることが可能であり(つまり主として偏光フィルタの配向に対して直交する光線)、そして表示装置の加熱にはもはや寄与しない。したがって、回避しうるこの割合はエネルギーの約27%、即ち上記スペクトル強度の半分55%である。
【0052】
上記偏光フィルタはディスプレイ産業用に大量に製造されている。その際、表示装置のフロントガラスパネルに直に固定するために、通常、偏光フィルタには粘着性層が備えられている。偏光子の前面には任意で、前面での妨げになる反射を最小限にしかつ明るい環境でのコントラスト増大に寄与する反射防止膜がさらに備えられてよい。
【0053】
本発明の第2の態様による装置はディスプレイのためのアタッチメントパネル及びフロントガラスとして種々に実現されてよい。
【0054】
最も簡単な形では上記偏光フィルタは第1のパネル状要素、好ましくは固定のガラスパネルに固定され、さらにこのようにして簡単な複合材を形成する。そのような複合材が表示装置のためのアタッチメントパネルもしくはフロントガラスとして使用されるべき場合には、偏光方向が高い透過率のために、表示要素における前面の偏光子の偏光方向に対して平行であるように、上記偏光フィルタは第1のパネル状要素に固定される。
【0055】
しかしながら、高められた機械的強度を有し、そして例えば合わせ安全ガラスとして許容されうる固定の複合材を得るために、上記偏光フィルタは第1のパネル状要素と第2のパネル状要素間に積層されてもよい。
【0056】
2枚のパネル状要素間に挿入された固形ないしは液状の充填材として好ましくはポリマー材料、硬化無機材料、例えば注型用樹脂又はフィルム、例えばPVB(ポリビニルブチラール)フィルム、EVA(エチレン酢酸ビニル)フィルム、PA(ポリアクリレート)フィルム、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)フィルム又はPUR(ポリウレタン)フィルムが使用される。
【0057】
上記ポリマー材料を用いて、偏光フィルタの本発明による挿入に加えて、赤外線を反射するコーティング又は赤外反射フィルム、例えば本発明の第1の態様により記載されたようなフィルムに施与されたさらなるLow−E層も複合材に挿入されてよい。これにより赤外域における保護作用がなお付加的に改善されることができる。Low−Eコーティングは、780nm〜2500nmの赤外線域での著しく高い反射率を示す、例えば透明な金属層、殊に銀層を基礎とする赤外反射コーティングの例である。
【0058】
例えばPVBフィルム、EVAフィルム、PAフィルム、PMMAフィルム又はPURフィルムといったポリマー材料を用いての前記複合材の製造のために、これらポリマー材料ないしはフィルムは加圧により液状化もしくは軟化され、これを用いて第1のパネル状要素と第2のパネル状要素が接着されることにより複合材が得られる。
【0059】
とりわけディスプレイ分野への本装置の使用により表示装置についてのコントラスト及びしたがって表示品質を高めるために、本発明の別の実施形態の場合には、複合材の最初及び/又は最後の表面が反射防止膜でコーティングされていることが定められている。
【0060】
反射防止膜で複合材の少なくとも1つの表面がコーティングされることによってとりわけ装置の可視波長域350nm〜780nmにおける反射は顕著に縮小され、したがってコントラストは反射防止膜なしの装置に比して顕著に高められる。このコントラストは、周辺光がアタッチメントパネルで反射された光線に対するディスプレイから放射される光の比に関する。好ましくは反射率R
visは反射防止膜によって、反射防止膜が備えられていないパネル状要素に比して4〜50倍(Faktor)減少される。反射防止膜なしのパネル状要素の反射率R
visが例えば8%である場合には、反射防止膜によって反射率R
visは0.1%〜6%、特に0.2%〜4%、に減少されることができる。前記反射率R
visとは、視感度で畳み込まれた標準光D65(人工昼光)での反射率のことである。個々の波長についての反射が例えば2%より大きくてよいにもかかわらず、標準光D65について1%以下の値R
visが得られることができる。
【0061】
前記複合材の表面での反射が減少することによって次のことがもたらされる、つまり反射防止膜によってならびに複合材の内部ではLow−E層と場合によっては適合層によってコントラストが反射防止膜が備えられていない要素に比して顕著に高められる。反射防止膜として好ましくは干渉被膜系が使用される。このような系の場合には反射防止膜の境界面で光が反射される。それどころか、境界面で反射された波は干渉によって位相ならびに振幅の条件が満たされた場合に完全に消滅することができる。
【0062】
このような反射防止膜は例えば、Schott AG社の製品AMIRAN、CONTURAN又はMIROGARDで実現されている。
【0063】
広帯域の反射防止のための干渉被膜系に関して特許文献8も参照され、この特許文献の開示内容がきわめて広範囲に本願にともに受け入れられる。
【0064】
光学的に可視のスペクトル域380nm〜780nmでの反射R
visの減少のほかに反射防止膜によって好ましくは10%までの透過率の増大を達成することもできる。
【0065】
反射防止膜、短くARコーティング、は好ましくは第1及び/又は第2のパネル状要素の外向きの側面、即ち外気に向けられた側面に備えられる。反射防止膜として、種々の方法によって製造された層が使用される。このような層はゾル−ゲル法、スパッター法、エッチング法又はCVD法で製造することができる。偏光フィルタ上に直にこのようなARコーティングを析出することも可能である。詳しくは反射防止膜は、液体法、高真空法、CVD法又はエッチング法を用いた前記施与方法の一つで施与することができる。
【0066】
第2の態様による本発明は、本装置を光が通過する際に偏光フィルタの偏光方向の配置に応じて光スペクトル域380nm〜780nmでの光の振動面が相応する直交の振動面に対して著しく抑制されることにとりわけ優れている。光学的に可視の波長域での工業用の偏光子によって1:1000を上回る一偏光方向での光の抑制が達成されるのが通常であるが;しかしながら、日射遮蔽作用の上記の有利な効果は光学的に可視のスペクトル域での1:5より良好な抑制度から既に達成されることができる。本装置を通しての光スペクトル域380nm〜780nmの光の透過率は本発明によれば、偏光を用いて測定された、本装置を通しての透過の、偏光フィルタの平行の偏光方向での、直交の偏光方向に対しての比は、少なくとも3:1、好ましくは5:1、特に好ましくは少なくとも10:1、である。
【0067】
反射防止膜が使用される場合には高いコントラスト、例えば40〜80の範囲内であるコントラスト、を達成することができ、これに制限されない。
【0068】
本発明に従ったこのような装置は表示装置、とりわけ屋外領域での表示装置、の分野そしてここでは好ましくは液晶表示装置、に使用されることができる。この場合には本発明による装置はアタッチメントパネルもしくはフロントガラスとして表示装置の前に配置され、その際、好ましくは本装置と表示装置の間に距離が設けられ、この距離はガス状媒体で満たされている。
【0069】
とりわけ屋外領域での適用のために本発明の第2の態様による装置は別の実施形態の場合にはエッジシール材を備えて実施されていてよく、このことには高い空気湿度に対する耐性というさらなる利点がある。偏光フィルタの耐食性に関して特に好ましいのは、複合材で第1のパネル状要素及び第2のパネル状要素の縁部がシール材を有する場合である。これに使用することができる可能なシール材は例えば、気体透過性がわずかであることに優れているブチルゴムである。代替的なシール方法は、またもや気体透過性がわずかであるプラスチックで接着された環状のアルミニウム箔によるシールである。
【0070】
第1及び/又は第2のパネル状要素の縁部は、施与された偏光フィルタ及び場合によってはさらに、施与されたLow−E層もが複合材の側からは腐食しないように形成されていることが好ましい。有効な手段として例えばエッジデリーションを使用してよく、このエッジデリーションの場合にはLow−E層及びまた偏光フィルタが縁部までは続いておらず、したがって積層物が縁部にて上下のガラス間で直接密封されることができる。
【0071】
好ましくはパネルの少なくとも5mmが、偏光フィルタ及び場合によっては赤外反射コーティングが途切れているかないしは赤外反射コーティング及び偏光フィルタがない縁部として形成されている。縁部の最大境界は、合わせガラス板の観察者にとっての可視域が妨げられないよう選択される。
【0072】
表示装置のために本発明はディスプレイないしはディスプレイ装置及びアタッチメントパネルを備えた表示装置をも提供し、この場合、本発明による装置としてのアタッチメントパネルは、施与された偏光子を備えた少なくとも1つのパネル状要素を含み、そしてディスプレイないしはディスプレイ装置とアタッチメントパネルとの間に隙間が配置されている。表示装置として殊に液晶表示装置ならびに、ディスプレイから放射された光が著しく偏光されて放射される他の表示装置が考慮の対象となる。
【0073】
次に本発明を図につき次のとおり説明する。