特許第5744906号(P5744906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

5744906試料分析用の一体型ヒンジ式カートリッジ・ハウジング
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744906
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】試料分析用の一体型ヒンジ式カートリッジ・ハウジング
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/02 20060101AFI20150618BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   G01N35/02 A
   G01N37/00 101
【請求項の数】12
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-544906(P2012-544906)
(86)(22)【出願日】2010年12月17日
(65)【公表番号】特表2013-515239(P2013-515239A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】US2010061070
(87)【国際公開番号】WO2011075663
(87)【国際公開日】20110623
【審査請求日】2013年12月17日
(31)【優先権主張番号】61/288,189
(32)【優先日】2009年12月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508012840
【氏名又は名称】アボット ポイント オブ ケア インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓
(74)【代理人】
【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100089897
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 正
(74)【代理人】
【識別番号】100123180
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 克則
(72)【発明者】
【氏名】ドイル、ケヴィン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンズ、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウィザーズ、ミック
(72)【発明者】
【氏名】クーパー、エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル、ジョン オーキー
【審査官】 ▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−519304(JP,A)
【文献】 特開2006−010704(JP,A)
【文献】 特開2009−121985(JP,A)
【文献】 特表2002−514755(JP,A)
【文献】 特公平08−020398(JP,B2)
【文献】 特表2001−512826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−37/00
B01J 19/00
B81B 1/00− 7/04
B81C 1/00−99/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
Thomson Innovation
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試料の分析物又は特性を測定することが可能なカートリッジを形成するカートリッジ・ハウジングにおいて、該カートリッジ・ハウジングが、
第1の実質的に剛性の領域と、
第2の実質的に可撓性の領域と、
ヒンジ領域と、
センサを収容する少なくとも1つのセンサ用凹部と
を備え、前記センサの少なくとも一部分を覆う導管を有するカートリッジを形成するために、前記ヒンジ領域を中心として折り畳み可能になっており、
前記カートリッジは、前記ヒンジ領域により区分された上部部分及び下部部分を有する非折り畳み位置を有し、前記上部部分は、前記導管の上部部分を形成し、前記下部部分は、前記導管の下部部分を形成し、前記導管は、前記ヒンジ領域を中心として前記ハウジングを折り畳んだ際に形成されるようになっている、カートリッジ・ハウジング。
【請求項2】
前記実質的に剛性の領域又は前記実質的に可撓性の領域の少なくとも一方が、単体の連続領域である、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項3】
前記実質的に剛性の領域又は前記実質的に可撓性の領域の少なくとも一方が、複数の非連続領域を備える、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項4】
前記センサ用凹部は、前記実質的に可撓性の領域の一部分に位置する、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項5】
前記センサ用凹部は、前記センサの外周部に沿って液密密閉を形成する前記実質的に可撓性の領域の一部分に位置する、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項6】
前記センサ用凹部は、前記実質的に剛性の領域の一部分に位置する、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項7】
前記センサ用凹部は、前記実質的に剛性の領域の一部分に位置し、前記センサは、接着テープにより形成された液密密閉によって前記センサ用凹部に固定される、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項8】
前記センサ用凹部は、前記実質的に剛性の領域の一部分に位置し、前記センサは、液密密閉により固定され、前記液密密閉は、膠剤、成形可能樹脂からなる外周部、又は誘電体グリースのなかの少なくとも1つにより形成される、請求項1に記載のカートリッジ・ハウジング。
【請求項9】
液体試料の分析物又は特性を測定するための検査カートリッジを作製する方法であって、
(a)第1の実質的に剛性の領域及び第2の実質的に可撓性の領域を備えるハウジングを成形するステップであって、前記ハウジングは、ヒンジ領域により区分された上部部分及び下部部分を備え、前記上部部分は、前記導管の上部部分を形成し、前記下部部分は、前記導管の下部部分を形成し、前記実質的に可撓性の領域は、少なくとも1つのセンサ用凹部を有する、ステップと、
(b)前記センサ用凹部にセンサを挿入するステップと、
(c)前記ヒンジ領域において前記ハウジングを折り畳むステップと、
(d)閉位置において前記ハウジングを密閉するステップであって、このステップにより前記カートリッジおよび、前記センサの少なくとも一部分を覆う導管を形成する、ステップと
を含む、方法。
【請求項10】
(a)流体試料を受けるための試料入口孔を有するハウジングと、
(b)前記試料入口孔とキャピラリ・ストップとの間に配設され、前記試料入口孔と前記キャピラリ・ストップとの間に測定試料を形成するための保持チャンバであって、前記キャピラリ・ストップは、対向し合うハウジング部分及び前記対向し合うハウジング部分同士の間に配設された実質的に可撓性の部分から形成されて、液密の態様で前記対向し合うハウジング部分を密閉するようになっている、保持チャンバと、
(c)前記キャピラリ・ストップとセンサとの間に配設され、前記キャピラリ・ストップから前記センサに前記測定試料送るように構成された導管と
を備える試料分析用カートリッジであって、
前記試料分析用カートリッジは、前記ヒンジ領域により区分された上部部分及び下部部分を有する非折り畳み位置を有し、前記上部部分は、前記導管の上部部分を形成し、前記下部部分は、前記導管の下部部分を形成し、前記導管は、前記ヒンジ領域を中心として前記ハウジングを折り畳んだ際に形成されるようになっている、試料分析用カートリッジ。
【請求項11】
液体試料の分析物又は特性を測定することが可能なカートリッジであって、
(a)前記液体試料を受ける試料入口孔と、
(b)導管の上部部分を形成する上部ハウジング部分と、
(c)前記導管の下部部分を形成する下部ハウジング部分であって、前記上部部分及び前記下部部分は、1つ又は複数の対合要素により共に密閉されて、前記導管を形成し、前記上部部分又は前記下部部分の少なくとも一方が、前記導管の対向し合う部分同士を密閉するための可撓性密閉リッジを備え、前記上部部分と前記下部部分はヒンジ領域により接続され、前記カートリッジは、前記ヒンジ領域により区分された前記上部ハウジング部分及び前記下部ハウジング部分を有する非折り畳み位置を有する、下部ハウジング部分と、
(d)前記液体試料の前記分析物又は前記特性を検出するためのセンサと
を備える、カートリッジ。
【請求項12】
カートリッジを形成するための方法であって、
(a)実質的に剛性の領域、実質的に可撓性の領域、及びヒンジを備える、成形ハウジングを準備するステップと、
(b)前記ヒンジにて前記ハウジングを折り畳んで、流体チャネルの上部部分を形成する上部ハウジング部分と前記流体チャネルの下部部分を形成する下部ハウジング部分とから前記流体チャネルを形成するステップであって、前記カートリッジは、前記ヒンジにより区分された前記上部ハウジング部分及び前記下部ハウジング部分を有する非折り畳み位置を有し、前記実質的に可撓性の領域の少なくとも一部分が、チャネル・シールを形成する、ステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用デバイスに関するものである。
【0002】
具体的には、本発明は、様々な医学的分析及び医学的検査のなかでも特に分析対象物の含有量又は濃度を判定するために、免疫測定法を含む様々な分析技術により医学的分析を行うための一体型ヒンジ式カートリッジに係るものである。
【背景技術】
【0003】
従来、医学的評価及び医学的診断を目的とする血液又は他の体液の検査の実施は、十分な設備が整った大型の中央検査室が独占する領域であった。このような実験室は、多量の流体試料の効率的、確実、且つ正確な検査の実施が可能であるが、即時の医療判断を可能にするために迅速に結果を出力することはできない。一般的には、医師は、試料を収集し、それらの試料を検査室に送り、試料の処理を待ち、そして結果の通知を待たなければならない。病院の場合でも、患者のベッドサイドから病院の検査室に試料を移動させることにより、著しい遅延が生じる。この問題は、検査室の作業負荷及び処理能力が変動すること、並びにデータの編集及び通信によってさらに悪化する。
【0004】
ポイント・オブ・ケア(臨床現場即時検査)血液検査システムの導入により、医師は、診療所でも、病院の救急治療室でも、又は患者のベッドサイドにおいても、患者の診察中に即座に血液検査結果を得ることが可能となった。ポイント・オブ・ケア分析デバイスが有効なものとなるためには、このデバイスは、比較的熟練度の低い専門家による多様な検査についても、誤差のない実施を可能にするものでなければならない。最適な効力を得るために、リアルタイム・システムは、最小限の操作スキルを要しつつ、最大限の検査速度、適切な精度及びシステム信頼性、並びに費用対効果の高い作動を実現する。
【0005】
注目すべきポイント・オブ・ケア・システム(The i−STAT(登録商標)System、Abbott Point of Care Inc.社、米国ニュージャージー州Princeton在)が、米国特許第5,096,669号に開示されている。これは、血液又は他の流体に関する様々な測定を実施するために手持ち式分析器と組合せて作動する使い捨てデバイスを備える。図1に再現するこの使い捨てデバイスは、試料の収集及び保持、センサ較正、並びに測定を含む、複数の機能を果たすように構成される。作動時には、この使い捨てデバイスは、手持ち式読取器又は手持ち式計器に挿入される。この手持ち式読取器又は手持ち式計器は、センサとの電気的接続を行い、オペレータの介入を伴わずに測定シーケンスを自動的に制御する。使い捨てデバイスは、上側部材90及び下側部材12を備え、これらの中に、電気接点を有する複数のセンサ66及びセンサ標準化流体又はセンサ較正流体を収容するポーチ60が設置される。センサは、流体試料中の特定の化学種の濃度に基づき電気信号を生成する。両面接着シート74が、上側部材90と下側部材12との間に配置されて、それらを共に接合し、デバイス内のいくつかの内腔部及び導管を形成及び密閉する。
【0006】
米国特許第5,096,669号の開示によれば、内腔部18は、デバイスの中央に位置して、較正流体を収容する密閉ポーチ60を有する。第1の導管24は、この内腔部18からセンサ66の方に続く。第2の導管92は、試料を受けるための孔を一方の端部に有し、このチューブの他方の端部は、キャピラリ・ブレーク(capillary break)96にて終端する。第3の導管94は、キャピラリ・ブレーク96からセンサ66を横断して、シンクの役割を果たす第2の内腔部20へ続く。第1の導管24は、キャピラリ・ブレーク96の後及びセンサ66の前において第3の導管94に合流する。第3の内腔部22は、気嚢として機能する。この気嚢が作動すると、空気が、第4の導管(米国特許第5,096,669号の図2を参照)の下流に、及び第2の導管92内に押し込まれる。
【0007】
作動時に、流体試料は、第2の導管の一方の端部の孔を試料と接触状態に置くことにより、毛細管現象によって第2の導管92内に引き込まれる。試料が第2の導管に充填された後に、孔は密閉される。次いで、較正流体を収容するポーチ60が、穿刺され、較正流体が、内腔部から第1の導管24を通り第3の導管94まで、センサ66を横断して流れるが、この時に、センサ較正が実施される。次に、気嚢が、計器により作動されて、第4の導管の下流に第2の導管92の一方の端部へ空気を追いやり、これにより、試料が、この導管の他方の端部から出て、キャピラリ・ブレーク96を通過し、第3の導管94内に及びセンサ66を横断して追いやられ、センサ66において測定が実施される。これが実施されると、較正流体が、第3の導管94から第2の内腔部20内に送られ、内腔部20に保持される。測定が実施された後では、使い捨てデバイスは廃棄することが可能である。
【0008】
手持ち式読取器は、使い捨てデバイスを受けるための開口を備える。使い捨てデバイスが、読取器内に挿入された後に、読取器は、使い捨てデバイス上の電気接点に係合し、ポーチを裂開し、センサを較正し、気嚢を作動させてセンサを横断するように流体試料を追いやり、センサにより生成される電気信号を記録し、検査対象の化学種の濃度を算出し、その情報を表示する。この工程が完了すると、ユーザは読取器からデバイスを取り外し、デバイスは単に処分される。そして、読取器は、別の測定を実施可能な状態となり、その測定は、別の使い捨てデバイスを挿入することにより開始される。同様の計器フォーマットを用いた免疫測定法及び凝血測定の実施を可能にする代替的なカートリッジ流体システムが、共有の米国特許第7,419,821号、米国特許第6,750,053号、及び米国特許第5,447,440号において説明されており、これらも全て、参照によりその全体として本明細書に援用される点に留意されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,096,669号明細書
【特許文献2】米国特許第7,419,821号明細書
【特許文献3】米国特許第6,750,053号明細書
【特許文献4】米国特許第5,447,440号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の米国特許第5,096,669号の発明の使用は、ポイント・オブ・ケア医療環境において特に有利であるが、製造、組立、及び使用がさらに簡単な使い捨て血液検査デバイスが依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、一具体例においては、液体試料の分析物又は特性を測定するための、例えば単回使用用使い捨てカートリッジなどのカートリッジであって、第1の実質的に剛性の領域及び第2の実質的に可撓性の領域を有する成形ハウジングを備えるカートリッジを対象とする。さらに、このハウジングは、ヒンジ領域及び1つ又は複数のセンサを収容する少なくとも1つのセンサ用凹部を有する。デバイスの組立においては、ハウジングは、ヒンジ領域にて折り畳まれて、センサの少なくとも一部分を覆う導管、及び任意にカートリッジの他のパーツ中の他の導管を有するカートリッジを形成する。
【0012】
別の具体例においては、本発明は、第1の実質的に剛性の領域及び第2の実質的に可撓性の領域を備えるハウジングを成形するステップにより、液体試料の分析物又は特性を測定するための検査カートリッジを作製する方法に関する。ハウジングはヒンジ領域を有し、実質的に可撓性の領域が少なくとも1つのセンサ用凹部を有する。このステップの後には、凹部にセンサを挿入するステップと、ヒンジ領域にてハウジングを折り畳んでハウジングを向い合せ密閉することにより、カートリッジを密閉し、センサの少なくとも一部分を覆う導管を形成するステップとが続く。
【0013】
別の具体例においては、本発明は、液体試料の分析物又は特性を測定することが可能なカートリッジを形成するためのカートリッジ・ハウジングに関する。このカートリッジ・ハウジングは、第1の実質的に剛性の領域と、第2の実質的に可撓性の領域と、ヒンジ領域と、センサを収容する少なくとも1つのセンサ用凹部とを備え、ヒンジ領域を中心として折り畳み可能であることにより、センサの少なくとも一部分を覆う導管を有するカートリッジを形成する。
【0014】
別の具体例においては、本発明は、液体試料の分析物又は特性を測定するための検査カートリッジの作製方法に関する。この方法は、(a)第1の実質的に剛性の領域及び第2の実質的に可撓性の領域を備えるハウジングを成形、例えば射出成形するステップであって、ハウジングがヒンジ領域を有し、実質的に可撓性の領域が少なくとも1つのセンサ用凹部を有する、ステップと、(b)センサ用凹部にセンサを挿入するステップと、(c)ヒンジ領域にてハウジングを折り畳むステップと、(d)閉位置においてハウジングを密閉するステップであって、この密閉ステップによりカートリッジを形成し、カートリッジがセンサの少なくとも一部分を覆う導管を備える、ステップとを含む。好ましくは、実質的に剛性の領域は、第1の射出成形ステップにおいて形成され、実質的に可撓性の領域は、第2の射出成形ステップにおいて形成される。好ましくは、この方法は、ステップ(c)の前に、ハウジング内に流体を収容するポーチを挿入するステップをさらに含む。
【0015】
別の具体例においては、本発明は、(a)流体試料を受けるための試料入口孔を有するハウジングと、(b)試料入口孔とキャピラリ・ストップ(capillary stop)との間に配設され、それらの間において測定試料を形成するための保持チャンバであって、キャピラリ・ストップが、対向し合うハウジング部分及び対向し合うハウジング部分同士の間に配設された実質的に可撓性の部分から形成されて、液密の態様で、対向し合うハウジング部分を密閉する、保持チャンバと、(c)キャピラリ・ストップとセンサとの間に配設され、キャピラリ・ストップからセンサに測定試料を送るように構成された導管とを備える、試料分析用カートリッジに関する。任意には、保持チャンバは、試料入口孔からキャピラリ・ストップへと遠位方向に縮小する横断面面積を有する傾斜領域を有する。この傾斜領域は、例えば、保持チャンバの長さの少なくとも20パーセント、少なくとも50パーセント、又は少なくとも75パーセントにわたり延在してもよい。傾斜領域は、好ましくは、保持チャンバの上部表面又は下部表面の少なくとも一方の上に傾斜要素を備え、保持チャンバの側壁部は、好ましくは、キャピラリ・ストップにて狭まる。一態様においては、ハウジングは、保持チャンバの上部部分を形成する上部ハウジング部分と、保持チャンバンの下部部分を形成する下部ハウジング部分と備え、上部部分及び下部部分は、1つ又は複数の対合要素により共に密閉固定されて、保持チャンバを形成する。
【0016】
別の具体例においては、本発明は、液体試料の分析物又は特性を測定することが可能なカートリッジであって、(a)液体試料を受けるための試料入口孔と、(b)導管の上部部分を画成する上部ハウジング部分と、(c)導管の下部部分を画成する下部ハウジング部分であって、上部部分及び下部部分が1つ又は複数の対合要素により共に密閉されて導管を形成し、上部部分又は下部部分の少なくとも一方が導管の対向し合う部分同士を密閉するための可撓性密閉リッジを備える、下部ハウジング部分と、(d)液体試料の分析物又は特性を検出するためのセンサとを備える、カートリッジに関する。
【0017】
別の具体例においては、本発明は、実質的に剛性の領域(ヒンジの両側の)、実質的に可撓性の領域、及びヒンジを備える成形ハウジングであって、ヒンジにて折り畳み可能であることにより流体チャネルを形成し、実質的に可撓性の領域の少なくとも一部分がチャネル・シールを形成し、任意には液密密閉又は気密密閉を形成する、成形ハウジングである。したがって、別の実施例においては、本発明は、実質的に剛性の領域、実質的に可撓性の領域、及びヒンジを備える成形ハウジングを備えるカートリッジであって、ハウジングがヒンジを中心として折り畳まれて流体チャネルを形成し、実質的に可撓性の領域の少なくとも一部分がチャネル・シールを形成する、カートリッジに関する。さらに別の実施例においては、本発明は、カートリッジを形成するための方法に関し、(a)実質的に剛性の領域、実質的に可撓性の領域、及びヒンジを備える、成形ハウジングを用意するステップと、(b)ヒンジにてハウジングを折り畳んで流体チャネルを形成するステップであって、実質的に可撓性の領域の少なくとも一部分がチャネル・シールを形成する、ステップとを含む。好ましくは、このハウジングは、ツーショット成形ハウジングである。任意には、実質的に剛性の領域の少なくとも一部分が、光学的に透過性である。流体チャネルの少なくとも一部分が、キュベットを形成してもよい。任意には、流体チャネルは、光学分析用の試薬を有する。
【0018】
好ましくは、各具体例において、カートリッジは、上部部分及び下部部分を備える非折り畳み部分を有し、上部部分及び下部部分は、ヒンジ領域により連結される。好ましくは、上部部分は、導管の上部部分を形成し、下部部分は、導管の下部部分を形成し、導管は、ヒンジ領域を中心としてハウジングを折り畳んだ際に形成される。実質的に剛性の領域又は実質的に可撓性の領域の少なくとも一方が、単体連続領域又は複数の非連続領域を備えてもよい。
【0019】
センサ用凹部は、実質的に可撓性の領域の一部分に、及び/又は実質的に剛性の領域の一部分に位置してもよい。例えば、センサ用凹部は、実質的に可撓性の領域の及び/又はセンサの外周部に沿って液密密閉を形成する実質的に剛性の領域の一部分に位置してもよい。密閉は、例えば、膠剤、エポキシなどの成形可能樹脂からなる外周部、又は誘電体グリースのなかの少なくとも1つにより形成されてもよい。一態様においては、センサ用凹部は、複数の分析物用の複数のセンサを備えるセンサ配列を収容する。好ましくは、センサは、電気化学センサ、電流滴定センサ、伝導滴定センサ、電圧滴定センサ、光学センサ、吸光度センサ、蛍光センサ、冷光センサ、圧電センサ、表面音響波センサ、及び表面プラズモン共鳴センサからなる群より選択される。
【0020】
好ましい態様においては、実質的に剛性の領域は、PETG、ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン、トパーズ、アクリルポリマー、PMMA、及びそれらの組合せからなる群より選択される材料を含む。好ましくは、実質的に可撓性の領域は、熱可塑性エラストマーを、より好ましくはASTM D638により規定される100%歪みで0.1〜6MPaの弾性率を有する射出成形可能な熱可塑性エラストマーを含む。
【0021】
好ましくは、ハウジング及びカートリッジのヒンジ領域は、実質的に剛性の領域からなる部分及び実質的に可撓性の領域からなる部分を含む。一態様においては、ヒンジ領域は、ヒンジ領域軸線を有し、センサは、センサ用凹部軸線を有し、ヒンジ領域軸線は、センサ用凹部軸線に対して実質的に平行である。別の実施例においては、ヒンジ領域は、ヒンジ領域軸線を有し、センサ用凹部は、センサ用凹部軸線を有し、ヒンジ領域軸線は、センサ用凹部軸線に対して実質的に直角である。
【0022】
好ましくは、ハウジングは、ヒンジ領域の一方又は両方の側に1つ又は複数の対合要素を備え、折り畳むことにより、対合要素同士が固定的な態様で係合して、導管を形成する。対向し合う対合要素は、例えば、熱間ステーキング(かしめ)、冷間ステーキング、又はスナップ・クロージャにより対合可能であってもよい。さらに、又は代替的には、これらの対合要素同士は膠剤により固定されて導管を形成してもよい。別の態様においては、ハウジングは、ヒンジ領域の一方又は両方の側に1つ又は複数の溶接領域を備え、折り畳むことにより溶接領域同士が係合し、それによって、溶接領域同士は、固定態様で共に溶接されて導管を形成し得るように構成される。溶接は、超音波溶接、レーザ溶接、及び熱溶接からなる群より選択されてもよい。
【0023】
好ましい一態様においては、カートリッジは、例えば較正流体、洗浄流体、又は反応物質などの流体を収容するポーチをさらに備え、ポーチは、導管と流体連通状態にある。また、好ましくは、カートリッジは、導管に連結された空気ポンプを備える。このポンプは、ハウジングの実質的に可撓性の領域の一部分により形成された変位可能膜を備えてもよい。
【0024】
好ましくは、実質的に可撓性の領域の一部分が、導管の位置を規定するガスケットを形成する。例えば、実質的に可撓性の領域の一部分が、導管の形状(ジオメトリ)及び寸法を規定するガスケットを形成してもよい。好ましくは、ガスケットは、規格対応の密閉リッジをさらに備える。さらに、好ましくは、実質的に可撓性の領域の一部分が、人間工学的な親指用凹み部(ウェル)を形成する。
【0025】
好ましくは、カートリッジ内の導管は、密閉可能な試料入口ポート、試料保持チャンバ、感知領域、及び廃物チャンバを備える。任意には、試料保持チャンバの一部分の断面積が、試料入口ポートに対して遠位方向に向かって縮小する。一態様においては、導管は、密閉可能な試料入口ポートをさらに備え、実質的に剛性の領域の一部分が、密閉部材を形成し、実質的に可撓性の領域の一部分が、試料入口ポートの周囲に外周部密閉部を形成し、密閉部材は、外周部密閉部と係合可能である。任意には、導管は、密閉可能な試料入口ポート及び通気孔をさらに備える。
【0026】
本発明は、添付の非限定的な図面を考慮することによりさらに良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】米国特許第5,096,669号に開示される使い捨てデバイスの分解図。
図2】本発明の一実施例による使い捨て感知デバイス及び読取器の等角図。
図3A】本発明の一実施例による、折り畳まれる前の開状態におけるカートリッジの上面図。
図3B】本発明の一実施例による、折り畳まれる前の開状態におけるカートリッジの底面図。
図4】本発明の一実施例による閉位置におけるカートリッジの斜視図。
図5】本発明の一実施例による種々の構成段階におけるカートリッジの斜視図。
図6A】ヒンジ領域を中心として折り畳まれた後の閉位置におけるカートリッジを密閉するために使用し得る1つの選択肢としてのクロージャ機構を示す図。
図6B】ヒンジ領域を中心として折り畳まれた後の閉状態におけるカートリッジを密閉するために使用し得る別の選択肢としてのクロージャ機構を示す図。
図6C】ヒンジ領域を中心として折り畳まれた後の閉状態におけるカートリッジを密閉するために使用し得る別の選択肢としてのクロージャ機構を示す図。
図7】本発明の一態様によるキャピラリ・ストップ領域の拡大斜視図。
図8】本発明の一実施例によるカートリッジの試料入口孔及び保持チャンバ領域の拡大斜視図。
図9】長手方向側部の一方に配設されたヒンジを中心として折り畳み可能なカートリッジの代替の一実施例を示す図。
図10A】本発明の一実施例による、折り畳まれる前の開位置におけるカートリッジの上方斜視図。
図10B】本発明の一実施例による、折り畳まれる前の開位置におけるカートリッジの下方斜視図。
図11】任意構成要素である電極ガスケット層を示す、本発明の一実施例によるカートリッジの斜視図。
図12図11の任意構成要素であるガスケット層を備える折り畳み可能なカートリッジの分解図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
折り畳み可能な免疫測定用カートリッジ
図2を参照すると、本発明のシステム100は、内蔵型使い捨て感知デバイスすなわちカートリッジ101と、読取器すなわち計器102とを備える。測定すべき流体試料は、デバイス中の試料入口孔すなわちポート103内に引き込まれ、デバイスは、スロット開口104を通して読取器内に挿入される。読取器により行われる測定は、ディスプレイ105に、又はコンピュータポート109へと繋がる読取器108上のポートを経由してプリンタ若しくはデータ管理システム107などの他の出力デバイスに出力される。送信は、Wifi、Bluetooth(登録商標)リンク、及び赤外線等々によるものが可能である。センサが、電気機械的作動原理に基づくものである場合には、カートリッジ101内のセンサ110は、電気コネクタ111を介して計器102との間に電気的接触を形成する点に留意されたい。例えば、コネクタは、参照により本明細書にその全体として援用され共有される米国特許第4,954,087号に開示されている設計のものであってもよい。また、計器102は、やはり参照により本明細書にその全体として援用され共有される米国特許第5,821,399号に開示される、自動流体流補償を行うための1つの方法をカートリッジ101に備えてもよい。
【0029】
本発明は、両面接着剤により共に保持された2つの別個のプラスチック・パーツ(ベース及びカバー)に基づく血液検査用カートリッジの改良版として見なすことが最も適している。例えば、米国特許第5,096,669号及び米国特許第7,419,821号を参照されたい。これらは共に、参照により本明細書にその全体として援用される。しかし、米国特許第5,096,669号及び米国特許第7,419,821号の特許開示において説明されるデバイスとは対照的に、本発明は、好ましくはツーショット成形工程で形成された、2つの異なる材料から作製された単体のヒンジ式プラスチック・パーツを有するデバイスに基づく。この単体のヒンジ式プラスチック・パーツは、そのヒンジ領域を中心として折り畳まれ、閉位置において接合されることで、両面接着層を必要とせずにカートリッジを形成する。
【0030】
先行技術を上回るこのアプローチの基本的利点は、このアプローチにより、2つの別個のパーツを個別に成形し、製造におけるその後のある時点においてそれらを接合する必要性が回避される点である。さらに、デバイスが、例えば年間数百万個の規模などで大量製造される場合には、典型的には2つ、4つ、8つ等々の複数の型空洞部が各パーツについて使用されるのが普通である。機械加工時に、又は使用の最中の摩耗に伴って、これらの表向きは同一である型空洞部同士の間に微細な相違が生じるおそれがある。さらに、パーツが型から放出される際に引き起こされる若干の収縮により、型同士の間に相違が生じる場合がある。その結果として、パーツは、微細な相違を有する場合があるが、これは、製造公差許容量全体に含まれるようなものでなければならない。本発明による折り畳み可能なカートリッジのコンセプトを用いることにより、ベース構成要素及びカバー構成要素の両方を同時に且つ同一条件下において一体的に形成することが可能となることによって、これらの問題が改善される。さらに、このアプローチにより、以下において図6A図6Cを参照として説明するような爪/穴特徴(prong and hole feature)などの自動位置合わせ特徴を備えることが可能となり、それにより全体的な製造工程の歩留まりの改善が可能となる。
【0031】
図3A及び図10Aに示すように、カートリッジ・ハウジング200は、ヒンジ領域203及びセンサを収容する少なくとも1つのセンサ用凹部204を有する。このハウジングは、ヒンジ領域にて折り畳まれると、導管207がセンサの少なくとも一部分を横切る状態で、図4に示すように閉位置においてカートリッジ206を形成する。米国特許第5,096,669号の特許のコンセプトを上回る基本的利点は、本設計により、別個の接着ガスケットによってカートリッジの2つの半部同士を装着する必要性がなくなる点であるが、いくつかの実施例においては、ガスケット、任意には接着ガスケットを本発明のヒンジ式カートリッジと共に使用し得る点を理解されたい。この場合には、成形された実質的に可撓性の領域又は部分は、好ましくは、ハウジングの相補的な実質的に剛性の領域又は部分を覆った場合に1つ又は複数の導管を形成するガスケットとしての役割を効果的に果たすことが可能となる。さらなる利点は、いくつかの実施例においては、本発明により、構成要素、すなわち米国特許第5,096,669号に記載の接着テープが部分的に又は完全に排除されることによって、製造が大幅に簡素化される点である。
【0032】
カートリッジのハウジングは、好ましくは、例えば図5の機械208によってなど、図示のように射出成形される。好ましくは、カートリッジ・ハウジングは、射出成形され、実質的に剛性の領域201は、第1の射出成型ステップにおいて形成され、実質的に可撓性の領域202は、さらなる射出成型ステップにおいて形成される。図3図5に示すように、実質的に剛性の領域は、好ましくは、単体の連続領域であるが、この成形工程により、複数の非連続的な実質的に剛性の領域を形成することが可能である。実質的に可撓性の領域は、好ましくは、複数の非連続領域のセットである。例えば、センサの周囲、すなわちセンサ用凹部の実質的に可撓性の領域は、ヒンジ又は試料入口ポートにおいて実質的に可撓性の領域から区分及び区別されてもよい。或いは、実質的に可撓性の領域は、単体の連続領域を備えてもよい。
【0033】
全体的な寸法に関して、図3A及び図10Aに示す成形パーツの好ましい実施例は、約10.0cm×3.0cm×0.2mmであり、図4に示すように折り畳まれることにより、約5.0cm×3.0cm×0.4cmの寸法のカートリッジを形成する。範囲に関しては、このデバイスは、任意には、例えば5〜15cmなど1〜50cmの長さ、例えば1〜6cmなど0.5〜15cmの幅、及び例えば0.1〜1cmなど0.1〜2cmの厚さを有する。
【0034】
好ましい一実施例においては、カートリッジ・ハウジングが、実質的に可撓性の領域の一部分にセンサ用凹部204を備える。その理由は、好ましくは、センサ用凹部204内に配設されるセンサ(好ましくは約0.3×0.4cmのサイズの)が、比較的脆性のシリコン・ウェーハ基板上に作製されるからである。したがって、実質的に可撓性のセンサ用凹部204を設けることにより、組立の際にセンサにクラックが発生することを防ぐ適切な支持を与えることができる。例えばプラスチック基板上に作製されたものなど、他の非シリコン系センサを用いてもよいが、この好ましい実施例は、米国特許第5,200,051号、米国特許第5,514,253号、及び米国特許第6,030,827号に記載されるタイプのセンサを使用する点に留意されたい。なお、これらの特許文献の全体が、参照により本明細書に援用される。最善なものとしては、センサ用凹部204は、実質的に可撓性であることに加えて、センサ外周部に沿って液密密閉を形成するように選択され、それにより、完全に組み立てられたカートリッジにおいてセンサを覆う導管から液体が漏出するのを確実に防ぐ。
【0035】
代替的な一実施例においては、センサ用凹部204は、実質的に剛性の領域の一部分に形成することが可能である。この態様においては、液密密閉は、局所的接着テープ、若しくは好ましくは熱可塑性エラストマー(TPE)から形成されたガスケット材料によって、又は代替的には、膠剤のビード、例えばエポキシなどの成形可能樹脂からなる外周部、誘電体グリース、若しくは実質的に可撓性の材料から形成された外縁リッジによって、任意に形成されてもよい。好ましい一実施例においては、TPEガスケットが使用される。TPEガスケットは、折り畳み可能なカートリッジのカバーとベースとの間の実質的に全ての領域を覆ってもよく、又は図11及び図12に示すようにチップの上及びチップ同士の間に局所的に位置してもよい。ガスケットは、接着表面を有しても有さなくてもよく、その両面に接着表面を有してもよく、すなわち両面接着層を形成してもよい。
【0036】
本発明は、センサを備えるカートリッジに関して主に説明されるが、実質的に剛性の材料及び実質的に可撓性の材料の組合せに基づく折り畳み式ハウジングを使用するこの方法は、診断デバイス及びモニタリング・デバイスに対してさらに広範に適用可能である。例えば、分析反応により生じる光が、読取器デバイス内に含まれる検出器に到達するのを可能にするように、実質的に剛性の領域中の1つ又は複数の部分が、光学的透過性プラスチックから作製されてもよい。或いは、実質的に剛性の領域の対向し合う部分が、チャネル内に「キュベット」を形成してもよく、この場合には、読取器は、このキュベットにおいて1つ又は複数の波長により吸光度を測定する。キュベットの高さ(又は経路長)、及びデバイス間におけるその再現可能性は、繰返し可能な成形工程、既定の高さのステーキング部材の使用、及び実質的に可撓性の材料の変形能の度合いによって制御し得る点に留意されたい。例えば、2つの実質的に剛性の領域同士が、折り畳みの際に当接し合い、実質的に可撓性の材料のある隣接し合う部分同士が密閉を形成する状態においてステーキングを施されてもよい。光学分析には、例えば、グルコース及びクレアチニンなどの代謝産物分析、トロポニン及びBNPなどの免疫測定法、並びにDNA、ssDNA、mRNAなどのヌクレオチド分析などが含まれ得る。光学分析原理には、蛍光、冷光、吸光、及び放射が含まれ得る。
【0037】
図3A及び図10Aを参照すると、ヒンジ領域203が、ハウジングの実質的に剛性の領域からなる部分及び実質的に可撓性の領域からなる部分を備えることが分かる。203A及び203Bをそれぞれ参照されたい。この材料組合せアプローチは、ヒンジ領域203に対してある度合いの剛性及び可撓性をもたらすという利点を有する。この組合せの意義は、ヒンジは、ハウジングの他の機能的要素に対して望ましくない応力を加えることなく、約180度にわたって容易に曲がるようになることである。好ましくは、ヒンジ領域の実質的に剛性の領域は、これら2つの対向し合う半部がヒンジ領域を中心として回転される際に、実質的に剛性の材料が破断するか又は他の態様で故障することのないように十分な薄さを有する。図3A及び図10Aから分かるように、ヒンジ領域の各側のハウジングは、2つの相補的なカートリッジ半部を備え、これらの半部は、共に折り畳まれて当接し、2つの半分の2つの相補的内側表面を装着させることが可能である。好ましくは、ヒンジ領域203は、閉位置にある場合に、センサ用凹部204の対向側に位置する点に留意されたい。さらに、好ましくは、ヒンジ領域203は、ヒンジ領域軸235を有し、センサ用凹部204は、センサ用凹部軸線236を有する。好ましくは、ヒンジ領域軸線235は、図3A及び図10Aに示すように、センサ用凹部軸線236に対して実質的に平行である。この場合に、「軸線」という用語は、構成要素の主要長手方向を貫通する仮想線を指す。図9に示す別の実施例においては、ヒンジ領域軸線337は、センサ用凹部204のセンサ用凹部軸線336に対して実質的に直角に配向される。当然ながら、他の配向のこれらの軸もまた可能である。この選択は、主に、他の製造上の問題、例えば型の充填及びセンサの挿入などにより左右されることとなる。
【0038】
2つの半部の内側表面を共に装着するために、好ましくは、ハウジングは、ヒンジ領域の片側又は両側の上に1つ又は複数の対合要素209A(雄)209B(雌)を備え、これにより、これらの2つの半部の折り畳みによって、これらの対合要素が固定的に係合する。或いは、対称的に整合されたパーツを使用してもよい。好ましくは、対合要素の対合により、例えば導管207などのカートリッジの1つ又は複数の導管の対向し合う半部同士が、流体的に密閉され、それにより、その1つ又は複数の導管を通過する流体が、閉じ込められ、導管の経路に沿って流れる。好ましい一実施例においては、カートリッジは、試料入口孔から始まり、試料入口孔とキャピラリ・ストップとの間に測定試料を形成するための試料保持チャンバを有する、一次導管を備える。また、この導管は、1つ又は複数のセンサを備え、試料を分析するための、感知領域を備える。任意には、この導管は、廃物チャンバをさらに備える。
【0039】
対合要素同士を共に接合させ得る形態は、幅広く多様であり得る。図6Aに示す好ましい一実施例においては、各対合要素が、爪401と、対応する位置合わせ穴402とを備える。好ましくは、各位置合わせ穴402は、カートリッジ・ハウジングを閉じた際に、すなわちヒンジ領域203を中心として2つの半部を折り畳んだ際に、爪が、穴に挿入されるように、爪401に位置合わせされる。所望の設計に応じて、各爪/位置合わせ穴の対は、緩く嵌合してもよく(例えば爪が後にリベットとして固定される場合)、又は締り嵌めを形成してもよい。爪は、デバイスの例えば上部部分又は下部部分などのいずれの側に位置してもよい。カートリッジ・ハウジングの一方の側の爪401が、カートリッジ・ハウジングの対向側の対応する位置合わせ穴402内に挿入されると、これらの対合要素は、アンビル211A及びリベット・ピン211Bを用いて共に接合され得る。好ましくは、リベット・ピン211Bは、図6Aに示すように凹状ヘッドを備え、爪401を変形させてリベットを形成し、2つの半部を相互に固定させることが可能である。リベット・ピン211Bは、例えば爪401を形成する組成物の少なくともたわみ温度などまで、加熱されてもよい。好ましい一態様においては、自動折り畳み機をアンビル211Aとして機能するように使用することにより、加熱されたリベット・ピン211Bに伝達されるべき力を印加する。これにより、爪401の端部が軟化及び変形して、図示するように湾曲状外方輪郭を有するリベットを形成する。
【0040】
或いは、リベット・ピン211Aは、機械加工された冷間ステーキング部材を備えてもよい。この要素は、圧力下において、しかし加熱を要さずに(又は加圧によりもたらされる最低限の加熱を伴いつつ)、対合要素209Aを変形させる。この冷間ステーキング工程は、加熱が省かれることを除けば、211の熱間ステーキング工程と実質的に同一である。この態様においては、任意には、アンビル211A又はリベット・ピン211Bのいずれかが、リベット工程で固定されている。
【0041】
好ましくは、ステーキング部材は、例えばエラストマーなどの実質的に可撓性の材料を、カートリッジ本体全体にわたり均一に圧縮し、それにより全体にわたって均一な密閉部を形成し、1つ又は複数の液密導管を形成する。これを実現するために、理想的には、ステーキング・ペグ同士は、密閉領域に実質的に均一な張力をもたらすように離間される。所望の流体導管の形状(ジオメトリ)に対応するために、有限要素解析を利用して、ステーキング・ペグの個数及びそれらの位置を決定してもよい。この解析により、実質的に可撓性の材料の圧縮によって生じる剛性ポリマーの歪みが予測される。実質的に剛性の材料の歪みは、適切な密閉部の形成を確保するために、実質的に可撓性の材料の意図される圧縮量を下回るべきである。実質的に可撓性の材料の高さ及び断面は、実質的に剛性の材料の歪みを補償して所望の密閉を維持するために、局所的に変更することが可能である。好ましくは、カートリッジの実質的に可撓性の材料の圧縮量は、例えば約25〜254μm(約0.001〜0.010インチ)など、12μm〜1270μm(0.0005〜0.050インチ)であり、又は好ましくは約127μm(約0.005インチ)である。例えば約127μm(約0.005インチ)などの所望の量を下回る圧縮量を確保するために、ステーキング・ペグ及びボスの設計にハードストップ(hardstop)を含めてもよい。
【0042】
別の態様においては、対合要素は、超音波溶接により接合されてもよい。例えば、ハウジングが、ヒンジ領域の片側又は両側に1つ又は複数の溶接領域を備えてもよく、そのことにより、折り畳むことによって相補的な溶接領域同士が係合する。すなわち、折り畳むことにより、溶接領域同士が係合し、それによって、溶接領域は、導管を形成するような固定態様で共に溶接され得るように構成される。次いで、係合された相補的な溶接領域同士が、溶接ステップにおいて互いに溶接されて、それらが共に固定され得る。各リベット・ピン211Bが、例えば、超音波ホーンを備えてもよい。この態様では、好ましくは、アンビル211Aは、折り畳まれたカートリッジがアンビル211Aと超音波ホーン211Bとの間に位置した状態で、並びに爪401及び穴402に隣接した位置において、超音波ホーン211B(リベット・ピン)と整列される。超音波ホーンにより超音波エネルギーを印加することにより、対応する爪が変形され、それにより、2つの半部を共に固定するためのリベットが形成される。
【0043】
図6Bに示される別の実施例においては、ホーン及びアンビルは、折り畳み位置にある際に、第1のハウジング・ピース403及び第2のハウジング・ピース404を整列させる。2つのハウジング・ピースの間には、接合ボンド405が位置するが、これは、図示のように、第1のハウジング・ピース403のプラスチック立設隆起部からなる小さな領域である。超音波エネルギーの印加により、図示のように溶接部406が得られる。様々な任意の実施例として、溶接は、超音波溶接、レーザ溶接、又は熱溶接を含んでもよい。
【0044】
図6Cは、スナップ・クロージャであり、ハウジングの一方の側(上部又は下部)が、1つ又は複数のフック407を備え、このフック407は、図示のように開位置から閉位置へと変化する際に、折り畳んだ際にハウジングの他方の側(下部又は上部)の上の対応するフック穴408に整列し貫通し、それにより、相互固定される。任意には、TPE材料409が、図示のように、フック穴408の内方表面を囲んでもよく、それにより、追加的な密閉機能をもたらす。さらに、又は代替的に、エラストマーTPE材料が、1つ又は複数のフック407を囲んでもよい。
【0045】
別の実施例においては、ハウジングは、ヒンジ領域の各側に1つ又は複数の膠着可能な対合要素を備える。対合要素の一方又は両方の半部に膠剤が塗布された後に、折り畳むことにより、対合要素同士が、固定的な態様で係合する。上述のように、この実施例は、所望の導管網を有するカートリッジを形成する。
【0046】
図3Aに戻り参照すると、好ましい一実施例においては、カートリッジは、流体を収容する密閉ポーチ215Aをさらに備える(図10Aには図示しない)。一般的には、ポーチ215A内の流体の組成物は、水、較正流体、試薬流体、制御流体、洗浄流体、及びそれらの組合せからなる群より選択されてもよい。図示するように、ポーチ215Aは、凹状領域215B内に配設され、任意には導管207を介して、センサ領域204に続く導管210と流体連通状態にある。ポーチは、米国特許第5,096,669号、又はより好ましくは米国特許出願第12/211,095号に記載されている設計からなるものであってもよい。これらの文献は共に、参照によりその全体として本明細書に援用される。好ましくは、凹状領域215Bは、例えば読取器又は計器102(図2)によってなどポーチに対して力が印加された際にポーチ215Aを裂開するように構成されたスパイク205を備える。ポーチが裂開されると、このシステムは、ポーチから導管210内に流体内容物を送るように構成される。導管210内への、並びにセンサ領域204への及び/又は導管207内への流体の移動は、例えば導管207に連結された空気ポンプなどのポンプによって実行されてもよい。好ましくは、空気ポンプは、ハウジングの実質的に可撓性の領域216からなる一部分により形成された変位自在膜を備える。図3A及び図10Aに示す実施例においては、実質的に可撓性の領域216を反復的に押圧すると、デバイスが、導管230及び207を介したポンプ作動を行い、それにより、裂開されたポーチ215Aからの流体が、導管210を通り、導管207内へ及びセンサ領域204を越えて流れる。
【0047】
このカートリッジは、カートリッジの上部及び/又は下部の上に、ユーザによる充填の際に滑りを防ぐための1つ又は複数の構成物を備えてもよい。これらの構成物は、実質的に剛性の材料又は実質的に可撓性の材料から作製することが可能であり、或いは、それらの両材料から形成することが可能である。これらの構成物は、例えば、リブ、スタッド、又はテクスチャード表面を備えることが可能である。これらの構成物は、下面の上に局所的に(例えば親指グリップの下に)集中して位置することが可能であり、又は下面全体にわたり離間して位置することが可能である。図4に示すように、好ましい一実施例においては、実質的に可撓性の領域の一部分が、人間工学的な親指用凹み部223を形成する。この親指用凹み部は、例えば試料充填ステップの際のデバイスの保持及び読取計器へのカートリッジの係合などの、ユーザによるデバイスの取扱いを補助する。
【0048】
図3A及び図10Aに示すように、好ましい一実施例においては、カートリッジは、密閉可能な試料入口ポート224、試料入口ポートを閉じるための閉鎖可能な密閉部材225、試料保持チャンバ226、感知領域227、及び廃物チャンバ228を備える。好ましくは、試料保持チャンバ226の一部分の断面積は、図9で傾斜路229により示すように、試料入口ポート224に対して遠位方向に向かって縮小する。
【0049】
密閉可能な試料入口ポート224に関しては、実質的に剛性の領域の一部分が、密閉部材225を形成し、実質的に可撓性の領域の一部分が、外周部密閉部231を形成し、それにより、密閉部材は、ヒンジ335を中心として回転し、閉位置にある場合には外周部密閉部に係合し、したがって気密密閉部を形成することが可能となる。或いは、外周部密閉部は、例えばTPE on TPEなどの2つの可撓性材料の接触により形成されてもよい。また、任意には、密閉可能な試料入口ポートは、図3B及び図10Bに示す通気孔232を備える。別の実施例においては、密閉部材は、係属中の米国特許出願第20050054078号に記載されているような摺動可能なクロージャ要素を備えてもよい。この文献の全体が、参照により本明細書に援用される。
【0050】
図3B及び図10Bに示すカートリッジの他の構成物としては、ポーチ領域を覆って位置決めされる実質的に可撓性の領域233の一部分が含まれる。図示のように、領域233は、人により圧力を加えられるべきではないことをユーザに示唆するための一般的記号による説明を含んでもよい。図示するように、この記号は、エンボス加工された円に横棒を加えたものからなり、力を印加し、下方に位置するポーチ215Aを破裂させるための、計器102(図2)のアクチュエータ構成物に対応し得る表面を形成する。実質的に可撓性の領域233のプラスチックの厚さは、最も好ましくは約400μmであり、好ましくは約200〜約800μmである。基本的に、領域233は、容易に撓曲するのに十分な薄さではあるが、物理的完全性を維持し、裂けることのないように十分な厚さのものであるべきである。
【0051】
カートリッジに使用されるセンサに関しては、好ましくは、センサ用凹部204が、複数の異なる分析物(又は血液検査)用の複数のセンサから概ね構成されるセンサ配列を備える。したがって、カートリッジは、少なくとも1つのセンサをそれぞれが有する複数のセンサ用凹部を有してもよい。例えば、図8は、3つのセンサ・チップ205A、205B、及び205Cをそれぞれ収容する3つのセンサ用凹部204A、204B、及び204Cを示す。図示する実施例においては、第1のチップが4つのセンサを、第2のチップが3つのセンサを、及び第3のチップが2つのセンサを有するため、センサ配列は、9つの種々のセンサを備える。
【0052】
センサが応答する分析物/特性は、概してpH、pCO、pO、グルコース、乳酸塩、クレアチニン、尿素、ナトリウム、カリウム、塩化物、カルシウム、マグネシウム、リン酸塩、ヘマトクリット値、PT、APTT、ACT(c)、ACT(k)、D−dimer、PSA、CKMB、BNP、及びTnI等々、並びにそれらの組合せの中から選択されてもよい。好ましくは、分析物は、全血である液体試料が検査されるが、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、及びそれらの変更された形態を含む他の試料を使用することも可能である。変更には、希釈、濃縮、及び抗凝固薬などの試薬の添加等々が含まれ得る。試料のタイプに関わらず、試料は、デバイスの試料入口ポートから収容することが可能である。
【0053】
様々なカートリッジ・タイプにおける様々な組合せに応じて、様々な検査がユーザに提供され得るため、これらの検査の外部表示を与えることが望ましい場合がある。例えば3つの検査pH、pCO、及びpOが、単一のカートリッジにおいて組み合わされてもよい。これらの検査は、血液ガス組成を判定するために医師により利用され、このタイプのカートリッジは、一般的にはG3+と呼ばれる。ユーザによる認識を容易にするために、任意には、この呼称が、例えば親指用凹み部223の領域のプラスチック上などの、カートリッジの実質的に剛性の領域又は実質的に可撓性の領域にエンボス加工されてもよい(成形中又は成形後に)。この任意の製品識別ラベルは、浮き出し印刷又はエンボス加工をされてもよく、又はされなくてもよい。例えば、他の実施例においては、ステッカが、所望の識別を可能にするためにカートリッジに貼付されてもよい。他の態様においては、熱転写印刷、パッド印刷、又はインクジェット印刷が、これを目的として利用される。任意には、明らかに他の呼称又は記号が、他の検査の組合せに対して使用され、カートリッジの外部上の異なる位置に配置されてもよい。また、例えばG3+については赤、及び別のタイプについては別の色など、種々の色の可撓性プラスチック部分を用いてもよい点に留意されたい。或いは、試料が例えばVacutainer(商標)デバイス内などに引き込まれる際に、血液試料に添加されるある特定の抗凝固薬を血液試料が含んでいることが必要となるカートリッジについて、色を異なる様式で用いてもよい。これらの通常使用される血液収集デバイスは、抗凝固薬のタイプを示唆するために種々の色のプラスチック上部を用いる。例えば、リチウムヘパリンについては緑色上部のコード、カリウムEDTAについては紫色上部のコードなどといった具合である。したがって、紫色上部のチューブ内に収集された試料を必要とするBNP検査が、紫色の可撓性成形部分を有するカートリッジであってもよい。同様に、緑の組合せが、TnI検査にとっては適切なものとなる。かかる組合せは、不適切な抗凝固薬を含む試料収集物に関するユーザによる誤りの可能性を低減させる。
【0054】
カートリッジは、例えば米国特許第7,263,501号に記載されている工程によってなど、臨床現場の在庫管理システムによって管理することができる点に留意されたい。該文献は、共有され、参照によりその全体として本明細書に援用される。
【0055】
一般的に、本発明のカートリッジは、センサ信号を読み込む可搬式計器と組み合わせて使用される単回使用用使い捨てデバイスを備える。好ましくは、センサは、超微細加工されるか、又は少なくとも大量に再現可能な態様で製造される。センサの基本作動原理には、例えば、電気機械、電流滴定、伝導滴定、電圧滴定、光学、吸光度、蛍光、冷光、圧電、表面音響波、及び表面プラズモン共鳴などが含まれ得る。
【0056】
また、本発明は、デバイスのコンセプトに加えて、液体試料中の分析物を測定するための検査カートリッジの作製方法を含む。これは、第1の実質的に剛性の領域及び第2の実質的に可撓性の領域を備え、対向し合う表面を区分するヒンジ領域を備え、ヒンジ領域を中心として折り畳まれた場合に1つ又は複数の導管を形成するハウジングを成形することを伴う。ツーショット成形工程の際に、可撓性材料又は剛性材料が、少なくとも1つのセンサ用凹部を形成する。成形されたハウジングが、型から外されると、センサが、上述のように、例えば較正ポーチ及び任意のガスケットなどの他の任意の要素と共にこの凹部に挿入される。その後、ヒンジ領域にてハウジングを折り畳むことにより、ハウジングを向い合せ、共に密閉する。この密閉工程により、導管がセンサの少なくとも一部分を覆う状態でカートリッジが形成され、したがって、例えば血液などの流体試料、又は例えば較正流体若しくは洗浄流体などの他の流体が、1つ又は複数の導管を通り、及びセンサと接触状態で移動することが可能となる。
【0057】
さらに、完成したカートリッジは、ユーザによる試料入口ポートの開閉動作により、後の作動のためのエネルギーが保存又は生成され得るようにするための構成物を備えることも可能である。例えば、試料入口ポートの開閉動作により、試料流体又は較正流体を、1つ又は複数の導管の中の所望の位置へと押し込むことができる。
【0058】
実質的に剛性の領域及び実質的に可撓性の領域
本発明の好ましい一実施例が、図3に(折り畳まれていない開形態で)図示される。液体試料中の分析物(又は試料の特性)を測定することが好ましくは可能である検査カートリッジは、実質的に剛性の材料から形成された第1の実質的に剛性の領域201と、実質的に可撓性の材料から形成された第2の実質的に可撓性の領域202とを有する、被成形ハウジング200を備える。
【0059】
本明細書においては、「実質的に剛性」及び「実質的に可撓性」という用語は、相互に相対的なものであり、実質的に剛性の領域又は材料は、実質的に可撓性の領域又は材料に比べてより硬く、より低い弾性を呈する。いくつかの例示的な実施例においては、実質的に剛性の領域又は材料は、実質的に可撓性の領域又は材料の硬さよりも、例えば少なくとも50%を上回るか又は少なくとも100%を上回るなど、少なくとも25%を上回る絶対硬さを有する。本明細書においては、「硬さ」は、Shore A/D Durometer、Rockwell硬さ試験機、又は他の押込み硬さ検出器のいずれにより判定されるかに関わらず、押込み硬さを指す。弾性に関しては、好ましくは、実質的に剛性の領域又は材料は、実質的に可撓性の領域又は材料のヤング率よりも、少なくとも10倍大きい、少なくとも100倍大きい、又は少なくとも1000倍大きいヤング率を有する。
【0060】
実質的に剛性の領域は、実質的に剛性の材料から形成され、好ましくは射出成形可能なプラスチックから成形される。実質的に剛性の領域は、例えばPETから、より好ましくはPETG(Eastman Chemical社又はSK Chemicals社)などの射出成形が可能なPETコポリマーから成形されてもよい。或いは、実質的に剛性の領域は、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)、ポリカーボネート(芳香族ポリカーボネート又は脂肪族ポリカーボネートのいずれか、及び好ましくはビスフェノールA誘導ポリカーボネート)、又はそれらの混合物から形成されてもよい。また、同様のポリスチレン、トパーズ、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリルポリマーを使用することが可能である。
【0061】
実質的に剛性の材料の特定の特性は様々であってもよいが、好ましい実施例においては、実質的に剛性の材料は、例えば少なくとも80ショアD又は少なくとも90ショアDなど、少なくとも50ショアDのショアD硬さを有する。ロックウェルR硬さに関しては、好ましくは、実質的に剛性の材料は、例えば約50〜130、90〜120、又は100〜110など、少なくとも50、少なくとも80、又は少なくとも100の硬さを有する。好ましくは、実質的に剛性の材料は、例えば1.0〜1.5、又は1.2〜1.3など、約1.0を上回る比重を有する。上記に示唆するように、好ましくは、実質的に剛性の材料は、特に実質的に可撓性の材料と比べると、実質的に非弾性である。実質的に剛性の材料は、任意には、例えば少なくとも2500MPa又は少なくとも2800MPaなど、少なくとも2000MPaのヤング率を有する。値域の観点からは、実質的に剛性の材料は、任意には、例えば2000〜3300MPa又は2800〜3100MPaなど、1500〜3500MPaのヤング率を有する。
【0062】
実質的に可撓性の領域は、実質的に可撓性の材料から形成され、好ましくは、射出成形可能な熱可塑性エラストマーから成形される。この射出成形可能な熱可塑性エラストマーの実例には、様々なゴム、Mediprene(商標)、Thermolast K(商標)、及びそれらの混合物が含まれる。Mediprene(商標)(例えばMediprene(商標)A2 500450M)は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン(SEBS)ゴム、パラフィン系オイル、及びポリプロピレンから形成された、射出成形可能なVTC熱可塑性エラストマー(TPE)である。本発明において任意に使用される他の実質的に可撓性の材料には、ニトリルブタジエン(NBR)、水素化NBR、クロロプレン、エチレンプロピレンゴム、フルオロシリコーン、パーフロロエラストマー、シリコーン、フルオロカーボン、又はポリアクリレートの中の1つ又は複数が含まれる。実質的に可撓性の材料が、ゴムである場合には、このゴムは、好ましくは、USP Class VIに合格した一連のゴムから選択され、パラフィン系オイルは、好ましくは軽質流動パラフィンに関する欧州薬局方に準拠した薬用ホワイト・オイルであり、ポリプロピレンは、USP Class VIに合格した医療グレードのものである。Thermolast K(商標)TPEは、やはり射出成形可能なものであり、水和スチレンブロックコポリマーを基礎とする。Thermolast K TPEもまた、USP Class VI認定を受けたものであり、例えばABS及びPCなどの多数の材料と組み合わせて使用し得る。
【0063】
実質的に可撓性の材料の特定の特性は、様々であってもよいが、例示的な実施例においては、実質的に可撓性の材料は、ASTM D2240(4mm)により規定される30〜90ショアAの範囲のショアA硬さを有する(例えば40〜60ショアA又は40〜50ショアAなど)。このASTM D2240の全てが、参照により本明細書に援用される。好ましくは、実質的に可撓性の材料は、例えば約0.5〜3MPa又は1〜2MPaなどの、ASTM D638により規定される100%歪みにおける弾性率を、及び、例えば1〜5MPa又は1〜3MPaなど、0.2〜8MPaの300%歪みにおける弾性率を有する。このASTM D638の全てが、参照により本明細書に援用される。好ましくは、実質的に可撓性の材料は、例えば0.8〜1.2又は0.9〜1.1など、約0.7〜1.2の、ASTM D792により規定される比重を有する。このASTM D792の全てが、参照により本明細書に援用される。
【0064】
理想的には、実質的に可撓性の領域を形成するために使用される材料は、実質的に剛性の材料に対して良好な接着性を示す。好ましくは、これら2つの材料は、Renault D41 1916基準にしたがって判定されるように、50mmにおいて、例えば少なくとも6N/mm又は少なくとも8N/mmなど、少なくとも4N/mmの剥離力を示す。このRenault D41 1916基準の全てが、参照により本明細書に援用される。値域に関しては、好ましくは、これらの材料は、50mmにおいて、例えば6N/mm〜10N/mm又は8N/mm〜10N/mmなど、4N/mm〜20N/mmの剥離力を示す。Renault D41基準においては、130×20×2mmの実質的に可撓性の材料サンプルが、130×22×2mmの実質的に剛性の材料サンプルに接着される。引張試験機が、実質的に可撓性の材料の短い(20mm)縁部に取り付けられたクランプに固定され、次いで、この実質的に可撓性の材料が、可撓性クランプに固定された下方の実質的に剛性の材料から引き剥がされる。実質的に可撓性の材料が、実質的に剛性の材料から50mmだけ引き剥がされるまで、漸増的な力が、引張試験機に加えられる。
【0065】
キャピラリ・ストップ
図7は、本発明の好ましい一実施例による、図3Aで網線領域234により示されたキャピラリ・ストップ領域の拡大図を示す。実質的に可撓性の領域217及び218の一部分が、導管207の2つの壁部を形成する。さらに、実質的に剛性の領域219の一部分が、導管207の少なくとも1つの壁部を形成する。好ましい一実施例においては、閉じられ密閉される位置にある場合に、実質的に可撓性の領域217及び218は、ガスケットを形成し、このガスケットが、導管221の位置を実質に決定及び規定する。図8に関しては、ハウジングの他方の半部上の相補部分(図示せず)が、折り畳まれて、実質的に可撓性の領域217及び218の露出表面に接触し、それにより下方の空間を閉鎖して導管を形成する。これに関連して、ガスケットは、導管の形状及び寸法を規定する。断面積は、導管に沿って変化してもよいが、概して約0.1〜約10mmの範囲であり、典型的にはセンサ領域207の上方の導管207の領域においては約1mm×2mmであることに留意されたい。また、ガスケットは、作動中の導管からの流体の漏出を防ぐ、すなわち導管を液密に確保するのを支援する、規格対応の密閉リッジ222Aをさらに備える点に留意されたい。各側において狭まる222Aの部分(図7のリッジ222Bを参照)が、キャピラリ・ストップを、すなわち、カートリッジが血液試料を摂取された際に血液試料などの試料が停止する導管中の箇所を形成する点に留意されたい。また、明確に画定されたこのストップにより、規定された量の試料のその後の測定が可能となる。さらに、高所剛性部分238が、隣接する剛性部分から若干高い位置に位置する。これが、キャピラリ・ストップの断面積を狭めるようにも機能する。キャピラリ・ストップを越えて血液を移動させるためには、気嚢216(図3A及び図10A)からの空気の変位が必要であり、この気嚢216は、計器102(図2)によって作動される。これらの要素の組合せにより、試料は、分析サイクルの最中に較正流体から隔離された状態に維持される。
【0066】
カートリッジの製造
これまでは、ペン、歯ブラシ、及び自動車部品などのプラスチック物体を製造するために、ツーショット射出成型が利用されてきた。特筆すべきものとしては、この技術は、コンピュータのキーボード(米国特許第4,460,534号を参照)、並びに例えば米国特許第6,296,796号及び米国特許第4,444,711号などの他の部材に適用されてきた。米国特許第4,444,711号は、ゴム部分及び非ゴム部分を用いたパーツの成形に対応する。米国特許第7,213,720号は、ヒンジ部分にて折り畳むことによりデバイスが形成される、2つの異なるプラスチックを使用するツーショット成形工程を開示しているが、そのコンセプトは、感湿アイテムのパッケージング用のデバイスにのみ適用されてきた。関連する米国特許第7,537,137号及び係属中のWO2008030920をさらに参照されたい。米国特許出願第20080110894号は、センサ・ストリップを積層するためのバイアルとしての役割を果たすヒンジを有するツーショット成形デバイスについて記載しており、WO2007072009は、同様ではあるが、RFIDタグを有するコンテナに対応するものである。最後に、米国特許第5,597,532号は、例えば分離層が金属塩で処理される場合になど、赤血球を排除する血液分離層を有する折り畳まれた検査ストリップについて記載している。
【0067】
本発明によるカートリッジを製造するための好ましい一実施例は、カートリッジ・ハウジングのツーショット成形を伴う。第1のステップにおいて、ハウジングの実質的に剛性の部分が、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)などの実質的に剛性の材料を用いて第1の型空洞部中に射出成形される。次いで、このパーツが、好ましくは自動的に、第1の型空洞部から取り外され、実質的に可撓性の材料の所望の位置に対応する空部を有する第2の型空洞部内に挿入される。密閉されると、例えば熱可塑性のMediprene(商標)などの実質的に可撓性の材料が、射出成形されて、完成したハウジングを形成することができる。当業者には理解されるであろうが、好ましくは、例えば実質的に剛性の材料及び実質的に可撓性の材料などの射出成形される材料は、クラックの発生を回避するために実質的に水分を含まない。好ましい一実施例においては、第1の射出/放出ステップ及び第2の射出/放出ステップのサイクル時間は、両ステップについて約5秒のオーダである。第1のショット及び第2のショット実際の型設計は、例えば図3A及び図10Aの個々の図において示すようなパーツなどに一致する。また、好ましい型寸法も、図3A及び図10Aに関して上述した形状から推定される。
【0068】
好ましい1つの成形工程は、リフト&ターン、ロータリー、コア・バック・シーケンス、又はオーバーモールディングと当技術において呼ばれるものである。好ましい一実施例においては、リフト&ターンタイプの型は、2つの別個の空洞部を備える。第1のセットは、第1のショットにおいて実質的に剛性の領域を形成し、その後、これが、取り外され、回転され、第2の空洞部内に挿入され、この第2の空洞部により、第2のショットで実質的に可撓性の領域が形成される。各空洞部は、1つ又は複数のプラスチック射出ゲートを備える。成形は、クランプ力及び型のサイズに対する適切なトン数のプレスにおいて完了する。この一般的なタイプの成形プレス機は、とりわけNestal社、Engles社、Roboshot社により製造される。
【0069】
本発明は、ツーショット成形に限定されない。例えば、3つの異なる材料を単体パーツへと成形することが可能なスリーショット成形を利用してもよい。具体的には、可撓性領域の2つの別個の領域が、例えば有用性を補助するために異なる色で成形され得る。或いは、第3のショットが、乾燥性プラスチック材料をハウジングへと成形させることができる。いくつかのセンサが感湿性であることにより、カートリッジ内に乾燥剤を直接含めることが望ましい場合がある。複数の空洞部を使用することが可能であることは明らかであるが、コスト及び製造の簡易性の両面から、可能な場合には最小限の個別の成形ステップを利用することが要求される。
【0070】
好ましい1つの自動工程においては、カートリッジ組立システムが、入来してくる未実装のカートリッジ・ハウジングを自動主要搬送機(ムーバ)上に配置するように配向する。この搬送機は、組立工程の間、ハウジングを移動させる。第1の位置においては、センサ・チップが、チップ・ワッフル・トレイ又はウェーハ・フィルム・フレームから取り上げられ、カートリッジ・ハウジング内のチップ用凹み部(ウェル)に配向及び配置され得る。第2の位置においては、ハウジングを移動させる前に、損傷に関する検査が、高機能自動視覚システムにより完了されてもよい。次のステップにおいては、カートリッジ・ハウジングが、較正パック・ステーションに移動され、この構成パック・ステーションが、バルク・フィーダから構成パックを取り上げ、それをカートリッジ・ハウジング内に挿入してもよい。次のステーションにおいては、ハウジングは、ヒンジ領域にて自動的に折り畳まれ、位置合わせピンが、熱間ステーキング又は冷間ステーキングを施されて、ハウジングの2つの半部を共に固定し、したがって半部同士の間に導管を形成するような位置へと、位置合わせピンを変形させる。図6A図6Cを参照として上述するような他の固定手段を使用してもよい。好ましくは、最終ステップにおいて、完成したカートリッジは検査され、その後、自動パッケージング・ユニットに送るために連続送りベルト・コンベヤの上に配置される。
【0071】
好ましい一実施例においては、主要搬送機は、各ステーションが独立的にしかし一斉に作動しつつある状態において、複数のパーツをライン内で同時に搬送する。好ましくは、システム全体が、約0.5〜3.0秒ごとに約1つの完成したカートリッジを提供する速度で作動する。この主要搬送機は、例えば、開ループ制御若しくは閉ループ制御を有するコンベヤ、リニア・モータ、インデックス・コンベヤ、或いは同様のデバイスであってもよい。
【0072】
好ましくは、センサ・チップは、関節ロボットアーム又は精密XYZガントリのいずれかにより、取り上げられ、ハウジング内の定位置に配置される。或いは、チップ用凹み部へのチップの位置決めは、視覚支援されるか、又は視覚に頼らない自動配置により実施されてもよい。チップ用凹み部にチップを圧縮嵌めすることにより、すなわち、チップを受けるプラスチック・ハウジングの実質的に可撓性の部分が若干変形することにより、好ましくは、配置機構は、チップの挿入前に実質的に可撓性の材料を変形させるための拡開装置を備える。このステップの後に、ライン走査インライン・カメラ又はエリア走査インライン・カメラが、自動挿入により生じた異常又は損傷に関してチップを検査する。欠陥が検出された場合には、問題のあるハウジングは、組立ラインから自動的に外され、再加工可能材料又はスクラップのいずれかに割り振られる。
【0073】
密閉ポーチ(較正パック)挿入モジュールに関して、密閉ポーチのバルク送給及び配向は、好ましくは振動タイプのシステムによるものであるが、代替的には遠心力タイプ、ラダー・タイプ、又はウォータフォール・タイプのシステムに基づいてもよい。密閉ポーチがベース内の密閉ポーチ凹状領域内に配置されると、移動を防ぐためにこのポーチも定位置にステーキング又はピン固定される。
【0074】
上述のように、先行技術を上回る本発明の1つの利点は、好ましく接着テープの介在を伴わずに、上部ハウジング部分及び下部ハウジング部分を単体の構成要素へと合併させる点である。これにより、複数のベースと共に複数のカバーを使用する組合せの多様性、及び製造の際に生じる位置合わせの問題が回避される。
【0075】
本発明においては、一体成形された位置合わせ爪により、カバー/ベース間の位置合わせが改善されると共に、また冷間ステーキング、加熱ステーキング、スエージ加工、超音波溶接、又はレーザ溶接などの方法によりベースを密閉するのに必要なクランプ力がもたらされる。また、これらの位置合わせ爪は、上述のように、自動位置合わせスナップ嵌めを組み込むように変更することが可能である。好ましい一製造工程においては、カートリッジのカバー半部が折り畳まれて、位置合わせ爪をそれらの各位置合わせ穴に係合させ、冷間ステーキングにより位置合わせ爪の端部が変形されて、カバー半部及びベース半部を共に効果的にクランプ固定する。任意には、しかし好適さにおいて劣るが、接着剤又は例えばエポキシなどの成形可能樹脂が使用される。
【0076】
ステーキング工程の後に、カートリッジは、好ましくはPETG、ポリスチレン、又はフォイル層を有するプラスチック・ラミネートなどの熱軽軽可能材料から形成されポーチである撥水性コンテナの中にパッケージングされてもよい。次いで、この一次パッケージは、箱詰め及びオーバーパッキングのために、二次パッケージング・ユニット内に送られてもよい。
【0077】
本明細書において説明及び開示する本発明は、先行のデバイスに比べて多数の利点を有する。これらの利点には、使用の容易さ、及び全てではないにしても殆どの製造ステップの自動化が含まれるが、それらに限定されない。様々な好ましい実施例に関連して本発明を説明したが、本発明の趣旨から逸脱することなく、様々な変形、代替、省略、及び変更を成し得ることが、当業者には理解されよう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されるように意図される。
図1
図2
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10B
図11
図12
図3A
図6C
図10A