特許第5744907号(P5744907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5744907FM受信機も含む集積回路またはパッケージにおいて近距離無線通信(NFC)を行うためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744907
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】FM受信機も含む集積回路またはパッケージにおいて近距離無線通信(NFC)を行うためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/59 20060101AFI20150618BHJP
   H04B 1/10 20060101ALI20150618BHJP
   H04B 1/40 20150101ALI20150618BHJP
【FI】
   H04B1/59
   H04B1/10 N
   H04B1/40
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-545151(P2012-545151)
(86)(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公表番号】特表2013-515412(P2013-515412A)
(43)【公表日】2013年5月2日
(86)【国際出願番号】EP2010007829
(87)【国際公開番号】WO2011076385
(87)【国際公開日】20110630
【審査請求日】2013年12月20日
(31)【優先権主張番号】09368052.8
(32)【優先日】2009年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510000633
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、ソシエテ、アノニム
(73)【特許権者】
【識別番号】511151064
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、(フランス)、エスアエス
【氏名又は名称原語表記】ST−ERICSSON (FRANCE) SAS
(73)【特許権者】
【識別番号】512144737
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ST−ERICSSON B.V
(73)【特許権者】
【識別番号】512162351
【氏名又は名称】エスティー‐エリクソン、(ベルギー)
【氏名又は名称原語表記】ST−ERICSSON (BELGIUM)
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、オルサッティ
(72)【発明者】
【氏名】オンノ、クイケン
(72)【発明者】
【氏名】パブロ、イグナシオ、ヒメノ、モンヘ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、テリン
(72)【発明者】
【氏名】ローランド、ファン、デル、トゥエイン
【審査官】 佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−088756(JP,A)
【文献】 特開2009−224855(JP,A)
【文献】 特開平04−192635(JP,A)
【文献】 特開平10−051376(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0081631(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0269021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/59
H04B 1/10
H04B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のNFC機器(100)と第2のNFC機器との間で近距離無線通信(Near Field Communication[NFC])を行うためのプロセスであって、 前記第1のNFC機器(100)は、NFC送受信機(10)およびFM受信機(20)を含み、両者とも同じチップに集積化され、
前記NFC送受信機(10)は、NFC動作周波数で動作し、
前記FM受信機(20)は、FM動作周波数で動作し、
当該プロセスは、
前記第2のNFC機器を検出するための機器検出ポーリングループを実施するために前記NFC機器(100)を初期化するステップ(200)であって、前記機器検出ポーリングループは周期的に発生するアクティビティ検出期間を含む、ステップと、
前記NFC送受信機(10)内で、タイムスロットにおける前記アクティビティ検出期間のスライシングを行うステップ(250)であって、前記タイムスロットのそれぞれは、前記NFC動作周波数の高調波によって生成され、ユーザに聞き取られ得る雑音を低減するためのある所定値を下回る持続期間を有する、ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記タイムスロットが前記ポーリングループ内でランダムにスケジュールされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記FM受信機によって受信されるオーディオ信号のブランキングを行うステップ(260)を含み、
前記ブランキングは前記タイムスロットの間に発生することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記FM動作周波数を判定するステップ(210)と、
前記FM動作周波数を前記NFC動作周波数の高調波と比較するステップ(220)と、
前記FM動作周波数が前記NFC動作周波数の1つの高調波に近いときに、前記アクティビティ検出期間の前記スライシング動作を有効化するステップ(240)と、を含むことを特徴とする請求項1または2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記所定値が10ミリ秒に設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のNFC機器がイニシエータモードまたはターゲットモードに設定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記機器検出ポーリングループが、検出形式A、検出形式B、検出形式F−212、検出形式F−424、検出15693という種類の形式を検出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
同じチップに集積化されるNFC送受信機(10)およびFM受信機(20)を含み、前記NFC送受信機(10)はNFC動作周波数で動作し、前記FM受信機(20)はFM動作周波数で動作する、近距離無線通信(NFC)機器であって、
周期的なアクティビティ検出期間に基づいて、第2のNFC機器を検出するための機器検出ポーリングループを初期化するための手段と、
ある所定値を下回る持続期間を有するタイムスロットにおける前記アクティビティ検出期間をスライスするための手段(30、40)と、を備え、
それによって、前記NFC動作周波数の高調波によって生成される雑音が前記FM受信機において低減される、NFC機器。
【請求項9】
前記ポーリングループ内で前記タイムスロットをランダムにスケジュールするための手段をさらに含む請求項8に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項10】
前記タイムスロットの間に前記FM受信機によって受信されるオーディオ信号をブランキングするための手段(50)をさらに含む請求項8または9に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項11】
前記FM受信機によって使用される前記FM動作周波数を前記NFC動作周波数の高調波と比較し、前記比較に続いてさらに、前記ブランキングするための手段(50)を有効化するための制御部(30)をさらに含む請求項10に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項12】
前記所定値が10ミリ秒に設定されていることを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項13】
検出形式A、検出形式B、検出形式F−212、検出形式F−424、検出15693という種類の形式を検出するように構成されていることを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項14】
前記FM受信機と前記NFC送受信機との前記集積化がシステム・オン・チップ(SOC)またはシステム・イン・パッケージ(SIP)集積化であることを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【請求項15】
前記ポーリングループがソフトウェアで構成されていることを特徴とする請求項8から14のいずれか一項に記載の近距離無線通信(NFC)機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信の分野に関し、より詳細には、FM受信機を含む第1のNFC機器と第2のNFC機器との間で近距離無線通信(Near Field Communication[NFC])を行うためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信(NFC)は、互いから約10cm以内の間隔をおいた機器において適用される高周波数無線通信の方法である。NFC技術は集積回路カード(スマートカード)のインターフェースと読取り装置とを組み合わせて単一機器にするISO/IEC14443近接カード規格(無線周波数識別[RFID]非接触型カード)の拡張である。
【0003】
具体的には、NFC通信は、2台のNFC互換機器の間で、特にイニシエータ機器(initiator device)とターゲット機器(target device)との間で行われる。イニシエータ機器はデータ伝送のビット速度を選択し、ターゲット機器との通信を初期設定する。
【0004】
さらにNFC技術は後述する能動または受動通信モードで動作することができ、すべてのNFC機器はどちらの通信モードもサポートするものと想定される。
【0005】
分析的には、いわゆる受動モードにおいて、イニシエータ機器はキャリア場(field)を提供し、ターゲット機器はこの場を変調することによって応答する。受動モードでは、宛先側は、イニシエータ側の電磁場から動作電力を得、ターゲット機器の受信機は、ポーリングされる(polled)ときにその存在を認めさえすればよい。
【0006】
他方、能動モードでは、イニシエータ機器もターゲット機器も、独自の場を発生させることによって通信する。このモードでは、どちらの機器も通常は電源を必要とする。
【0007】
どちらもNFC対応であるイニシエータ機器とターゲット機器との間で上記のNFC通信を確立するためには、機器検出ポーリングループが適用される。機器検出ポーリングループは、イニシエータ機器がターゲット機器を検出するのに使用することもでき、ターゲット機器が外部のイニシエータ機器によって検出されるために使用することもできる。
【0008】
より詳細には、機器検出ポーリングループの間には、周期的スキャン検出プロセスが行われる。周期的スキャン検出では、イニシエータ機器またはターゲット機器のどちらにもなり得る外部機器の様々なデータ形式を検出する。
【0009】
今日、無線接続市場の傾向は、複数の接続コアを単一チップに集積化(integrate)することである。具体的にいうと、3G世代では、全地球測位システム(Global Positioning System[GPS])、ブルートゥース(Bluetooth[BT])、およびFMの各コアがただ1つのチップにおいて集積化される。とはいえ、次世代チップはさらに多くのNFC接続コアを集積化することが期待される。
【0010】
しかし、上記のNFCコア統合は、チップに集積化されるNFCコアとFMコアとの近接性のために、NFC通信の品質の著しい低下を引き起こす。
【0011】
上記2つのコアの近接性により、FMコアがNFC周波数の高調波であるチャネルまたは周波数(以後FM動作周波数を意図する)に同調されるときには、NFCコア動作周波数(13.56MHz)の高調波とFM放送帯の周波数との間に干渉効果が生じる結果になる。具体的には、干渉に対する最も大きな影響は、NFC周波数で動作する機器検出ポーリングループの永続的な機能からもたらされる。
【0012】
よって、NFC互換機器間のNFC通信を改善し、単一チップにおけるFMコアとNFCコアとの集積化の結果としてもたらされる干渉効果、特に、同調されたFMコア周波数がNFCコア動作周波数の高調波に整合するときに生じる干渉効果を低減することが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の一目的は、FM受信機を含む第1のNFC機器と第2のNFC機器との間で近距離無線通信(NFC)を行うためのプロセスを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、NFC機器に含まれる単一チップにおけるFM受信機とNFC送受信機との集積化の結果としてもたらされる干渉効果を低減するためのプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記およびその他の目的は、第1のNFC機器と第2のNFC機器との間で近距離無線通信(NFC)を行うためのプロセスによって達成される。第1のNFC機器は、同じチップに集積化されているNFC送受信機とFM受信機とを含む。
【0016】
プロセスは、
第2のNFC機器を検出するための機器検出ポーリングループを実施するためにNFC機器を初期設定するステップであって、前記機器検出ポーリングループは周期的に発生するアクティビティ検出期間を含む、ステップと、
上記NFC送受信機内で、小さいタイムスロットにおける前記アクティビティ検出期間のスライシングを行うステップであって、前記タイムスロットのそれぞれは、NFC動作周波数の高調波によって生成され、ユーザに聞き取られるおそれのある雑音を低減するために、ある所定値を下回る持続期間を有する、ステップと、を伴う。
【0017】
一実施形態において、タイムスロットはポーリングループ内でランダムにスケジュールされる。
【0018】
好ましくは、プロセスは、上記FM受信機によって受信されるオーディオ信号のブランキングをさらに行い、上記ブランキングは上記タイムスロットの間に行われる。
【0019】
一実施形態においては、FM受信機のFM動作周波数が判定され、FM受信機のFM動作周波数は、NFC通信のすべての可能な高調波と比較される。その比較に基づき、プロセスは、FM動作周波数がNFC動作周波数に近すぎるときにユーザに聞き取られる雑音を低減するためにスライシング動作を有効化する。
【0020】
好ましくは、所定の値は10ミリ秒に設定される。
【0021】
また本発明は、FM受信機と集積化されたNFC送受信機を含むNFC機器も提供する。
【0022】
NFC機器は、
周期的なアクティビティ検出期間に基づいて第2のNFC機器を検出するための機器検出ポーリングループを初期設定するための手段と、
ある所定の値を下回る持続期間を有するタイムスロットにおいて上記アクティビティ検出期間をスライスするための手段と
を備え、それによって、NFC動作周波数の高調波によって生成される雑音がFM受信機において低減される。
【0023】
好ましくは、NFC機器は、ポーリングループ内で上記タイムスロットをランダムにスケジュールするための手段を含む。
【0024】
一実施形態において、NFC機器は、上記タイムスロットの間に上記FM受信機によって受信されるFMオーディオ信号のスイッチを切るためのFMブランキング回路をさらに含む。
【0025】
好ましくは、NFC機器は制御部を含み、制御部は、例えば容易なソフトウェア構成を可能にする中央処理装置(CPU)などとすることができ、上記FM受信機によって使用されるFM動作周波数をNFC動作周波数の高調波と比較し、上記比較に続いてさらに、FMオーディオ信号のブランキングの制御も行う。
【0026】
好ましくは、タイムスロットは、FM受信機のユーザへの可聴効果を最小化するために10ミリ秒を下回る持続期間を有するように設定される。
【0027】
本発明は、システム・オン・チップ(System on Chip[SOC])またはシステム・イン・パッケージ(System in Package[SIP])構成のどちらかにおけるNFC機器とFM受信機との集積化を達成するように適合される。
【0028】
本発明の1つまたは複数の実施形態の他の特徴は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読めば最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態による近距離無線通信(NFC)機器を示す図である。
図2】プロセスの一実施形態を示す図である。
図3】機器検出ポーリングループのスキャンプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下で説明する発明はNFC互換機器において実施される。当業者には公知であるように、携帯電話、ターンスタイル、パーキングメータ、チェックアウトキャッシュレジスタまたは「POS(point−of−sale)」装置、ATM、家屋および車庫のドア、パーソナルコンピュータ、ポスター、道路標識、バスの停留所、ローカルPOI(point of interest)(NFC可読タグを備えるもののみ)、製品包装などを含む広範な機器および機械がNFC互換機器になる可能性が高い。
【0031】
第1のNFC機器は、広範なNFC機器、特に、(スマートカードとも呼ばれる集積回路カードに関連する)既存のISO/IEC14443規格に準拠した第2の機器および読取り装置と通信することができる。この技術は、ISO/IEC18092、ECMA−340(欧州の情報および通信システムを標準化するための協会)、ならびにETSI102.190(欧州電気通信標準化機構[European Telecommunications Standards Institute])において標準化されている。この技術は、毎秒106kbps、212kbps、および424kbpsのデータ転送を用いて、世界的に利用可能であるとともに規制外である13.56MHzのRF帯域内で動作する。
【0032】
しかし、以下で説明するプロセスは、広範な既存の形式または将来の形式に適合させることができる。
【0033】
NFC設計者の一般的傾向は、それらのNFC機能を、例えば、一般に普及しているFM受信機などといった他の回路と集積化することである。
【0034】
そのような状況において、前述の周波数を使用すると、FMオーディオ回路にとって重大な干渉源になるおそれがあるのは明らかである。
【0035】
図1は、NFC送受信機10を備えるNFC機器100のアーキテクチャを示しており、NFC送受信機10は、FM受信機20と同じチップ内に集積化されている。同じチップへの集積化は、(システム・オン・チップ、SOCの呼称で呼ばれる)単一のダイ内での集積化と、システム・イン・パッケージ(SIP)と呼ばれる、同じパッケージにおける2つの別個のダイの集積化との両方の状況を含み得ることを理解すべきである。
【0036】
一実施形態において、NFC送受信機10は、その動作周波数(13.56MHz)でデータを搬送するRF信号を送受信することができ、FM受信機20は、87.5MHzから108.0MHzまでの間で変化するその動作周波数で変調されたオーディオ信号を搬送するFM信号を受信する。
【0037】
FM動作周波数が、NFC送受信機10の動作周波数の第6高調波と第8高調波との間の周波数に同調されているときに、干渉効果が生じ得ることがわかる。
【0038】
またNFC機器100は制御部30を含む。この制御部30は、以下で説明するプロセスを実行するとともに、制御リード31〜34によってNFC機器100の様々な構成要素を制御するのに必要とされる一連の制御信号も提供する。
【0039】
また本発明のNFC機器100は、NFCループタイマ40と、FMブランク回路と、50とを含む。NFCループタイマ40は、制御リード42を介してNFC送受信機10を制御する。FMブランク回路50は、FM受信機20と接続されており、やはりリード41を介してNFCループタイマ40から制御信号を受信する。さらに、NFC機器100は増幅器60も含む。
【0040】
制御部30、NFCループタイマ40、およびFMブランク回路50は、FMオーディオ信号の受信を改善するために協働することを示す。
【0041】
これは、それぞれが第2のNFC機器によって適用され得る1つの特定のデータ形式に対応する、好ましくは10ミリ秒未満の、図3に示すようなより小さいスライスまたはタイムスロットTS1、TS2、TS3またはTS4などにおけるNFCアクティビティ検出期間をスライスし、それらのタイムスロットをNFCループタイマ40によってNFCのスキャンまたはポーリングループ内でスケジュールし、また、それらのタイムスロットの間にオーディオ信号のスイッチを切るようにFMブランク回路を制御することによって、達成される。スライスまたはタイムスロットは、例えば、RF搬送波信号を開始し、対応するセットアップ時間の間待機し、特定のデータ形式のうちの1つに従ってRF搬送波信号を変調し、対応する応答時間の間待機し、RF搬送波信号を停止することによって構築することができる。
【0042】
好ましくは、スライシングプロセスは制御部30により制御される。制御部30は、FM受信機によって使用されているアクティブなFM周波数と、NFC動作周波数の存在し得る高調波と、の比較によって、NFCアクティビティ検出期間のスライシングが適切であるか否か判定する。
【0043】
また、一実施形態において、NFCループタイマ40は、異なるNFCアクティビティ検出に割り当てられるタイムスロットのランダムなスケジューリングを行う。
【0044】
図2に関して、次に、NFC機器100と別のNFC互換機器との間で近距離無線通信(NFC)を行うためのプロセスの好ましい実施形態を説明する。NFC機器100は、NFC送受信機10とFM受信機20の両方を備える。FM送受信機10はNFC周波数で動作し、FM受信機20はFM周波数で動作する。
【0045】
FM受信機もNFC送受信機も単一チップに集積化されており、よって、FM受信機のFM動作周波数がNFC動作周波数の高調波に整合する周波数に同調されている場合には干渉が発生するおそれがある。この干渉は、第1のNFC機器と第2のNFC機器とが至近距離(10センチメートル前後)内に置かれるときにおこる上記のNFC通信を著しく損なう。
【0046】
図2に戻って、ステップ200で、プロセスは、NFC機器100の初期化から開始することがわかる。特に、FMブランク回路50を含むFMオーディオ回路が、増幅器60を介してFMオーディオ再生できるよう、初期化される。
【0047】
加えてNFC機器100も、公知の手順に従って行われるNFC機能に関して初期化される。
【0048】
特に初期化は、NFC機器検出ポーリングループの初期化を含む。その段階の間、NFC機器は別のNFC互換機器からデータ信号を受信する。これらのデータ信号は、当業者には周知の、様々な規格の様々なプロトコルに応じた様々なデータ形式に対応する。
【0049】
一実施形態においては、NFC機器をイニシエータモードとすることができる。その場合NFC機器は、ターゲットモードであるNFC互換機器との通信を開始するために信号を送信する。
【0050】
あるいは、別の実施形態においては、NFC機器をターゲットモードとすることもできる。その場合NFC機器は、イニシエータモードにあるNFC互換機器によって送信される信号を受信する。
【0051】
図3に示すように、機器検出ポーリングループは、引き続くスキャン期間またはポーリングループの間ずっと周期的に行われる。また、異なるデータ形式(すなわち、検出形式A、検出形式B、検出形式F−212、検出形式F−424、検出15693など)は、NFC機器によって各ポーリングループの開始時のアクティビティ検出期間またはチャンクの間にも受信される。
【0052】
一実施形態において、ポーリングループは、実施されるすべてのプロトコルをサポートするように設計され、ソフトウェアで構成される。
【0053】
ステップ210で、プロセスは、続いてFM受信機によって使用されているアクティブなFM周波数の判定を行う。これは、通信チャネル(不図示)を介してFM受信機と情報を交換する制御部(CU)30によって達成される。一般には、制御部30は中央処理装置(CPU)によって実施される。中央演算装置は機器の様々な構成要素のすべてのハイレベル制御を扱い、したがって、そのような機器の様々なパラメータ(FM受信機20の場合には、ユーザによって使用されている動作周波数を含む)を完全に知っている。
【0054】
ステップ220で、プロセスは、続いてFM動作周波数とNFC動作周波数の様々な高調波との間の比較を行う。
【0055】
この比較は、CU30によって、FMオーディオ信号の汚染(pollution)の可能性が生じ得るかどうか判定するために行われる。具体的には、FMオーディオ信号は、チャネルまたはFM動作周波数とNFC動作周波数の様々な高調波との間に整合または近接性がある場合に汚染され得る。
【0056】
FM動作周波数がNFC通信のある存在し得る高調波に対応しない場合には、プロセスはステップ230に進み、そこでCU30は、NFCループタイマ40とFMブランク回路50とを、それぞれ、制御リード32と33とによって無効化する。
【0057】
この結果として、非常に限られた干渉のリスクしか生じないために、NFC送受信機10とFM受信機20とのどちらの回路も、同じチップパッケージに位置しながら独立に動作することになる。
【0058】
ステップ220の比較において整合がある場合には、プロセスはステップ240に進み、そこで制御部30は、制御リード32によってNFCループタイマ40を有効化する。
【0059】
その結果として、NFCループタイマ40は、ステップ250で、小さいタイムスロットにおけるNFCアクティビティ検出期間のスライシングを開始する。
【0060】
実際のところ、スライシングは、リード42上の適切な制御信号であって、NFC送受信機10に転送される制御信号を生成することによって、達成され、その結果として図3に示すような短いタイムスロットが生じる。タイムスロットはバーストの形をとる。
【0061】
一実施形態において、タイムスロットは、FMブランキングプロセスのユーザにとっての可聴効果を低減するよう、ランダムにスケジュールされる。
【0062】
同様に、NFCループタイマ40はリード41上の制御信号も生成する。この制御信号は、FMブランク回路50に転送されるとともに、NFCポーリングループ時にスケジュールされるタイムスロットの間にアクティブになる。
【0063】
好ましい一実施形態では、スライシングは、各タイムスロットが10ミリ秒未満になるように行われる。
【0064】
次いでプロセスはステップ260に進み、そこでCU30は、FMブランキングを有効化するように制御リード33をアクティブ化する。
【0065】
その結果として、FMブランキング回路50は、リード41上で受け取った制御信号に従ってブランキング動作を開始し、その結果オーディオ増幅器の入力において提示されている可聴FM信号のスイッチが切られることになる。
【0066】
実際のところは、そのゲート制御リードを制御リード41によって駆動させる、MOSトランジスタといったある特殊なトランジスタを利用してもよい。
【0067】
好ましい実施形態では、NFCループタイマ40によって行われるスライシングは10ミリ秒未満のアクティビティ・タイム・スロットを生成するため、対応するオーディオブランクはユーザに聞き取られない。
【0068】
制御リード33によるFMブランキング回路50のアクティブ化は任意選択であることに留意すべきである。しかし、FMブランキング回路50がアクティブ化されない場合は、FMオーディオ信号の改善は、(ブロック40によって行われる)NFCアクティビティ検出スキャンにおいて導入されるランダムな「スライシング」によってのみ達成される。
【0069】
明らかに、制御部が制御リード33をアクティブ化するときに、FMブランキング回路50は、オーディオ信号の品質を大幅に改善する。
図1
図2
図3