特許第5744946号(P5744946)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744946
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】くじ作製シート
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/27 20140101AFI20150618BHJP
【FI】
   B42D15/10 270
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-63947(P2013-63947)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-188722(P2014-188722A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2014年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501244200
【氏名又は名称】株式会社KALBAS
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】杉下 順子
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−043739(JP,U)
【文献】 特開昭64−036497(JP,A)
【文献】 特開昭56−080495(JP,A)
【文献】 実開平02−069369(JP,U)
【文献】 特開2007−304359(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3173784(JP,U)
【文献】 特開2004−160738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00−25/485
G09F 1/00− 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面側の全域に粘着剤層を有する外層シートと、一面側が印刷可能なくじ情報表示面とされるとともに他面側が前記粘着剤層に剥離可能に重ねられた、前記外層シートと同形同大の内層シートとからなり、
前記外層シートには複数の単位外層シートを切り出すための切り出しスリットが設けられており、
前記内層シートには複数の単位内層シートを切り離すための閉じたループ状をなすループ状スリットが前記各単位外層シートの縁部より内側の領域にそれぞれ形成されており、
前記単位外層シートを前記切り出しスリットにより切り離すことで前記単位内層シートが前記ループ状スリットにより切り離されて、前記単位内層シートの周囲に前記粘着剤層が露出されるようになっており、
切り離された前記単位外層シートおよび前記単位内層シートを二つ折りすることで前記単位内層シートの周囲に露出された前記粘着剤層を互いに重ね合わせて、前記単位内層シートの前記くじ情報表示面に印刷された情報を隠蔽可能としたことを特徴とするくじ作製シート。
【請求項2】
前記外層シートおよび前記内層シートの一方または双方に、二つ折りする際の折り目に沿う折り曲げ線が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のくじ作製シート。
【請求項3】
前記外層シートおよび前記内層シートの一方または双方に、前記ループ状スリットの内側に位置するループ状の切断可能線が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のくじ作製シート。
【請求項4】
前記外層シートには、前記内層シートに印刷された情報を透かし見ることを防止する遮蔽印刷が施されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のくじ作製シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、くじ作製シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば商業施設での売り出しやイベント、祭り等で行われるくじ引きで使用される三角くじ等のくじは、大きいシートから所定形状の用紙を切り取り、各用紙に等級、商品名、賞などをスタンプ、あるいは、手書き等で記入し、記入された内容が見えないように折り曲げて、端縁部を糊やホッチキスで留めることにより作製される。あるいは、専門の業者に発注し、全てを印刷によって製造した完成形態のものを購入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−160738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、くじを手作業で作製するのでは、大変な手間がかかり、作業効率が悪い。また、業者に発注するのは高コストとなる。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、プリンタにより簡単に多数の情報を印刷でき、切り離し作業および封印作業が容易な、くじ作製用のシートを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明のくじ作製シートは、一面側の全域に粘着剤層を有する外層シートと、一面側が印刷可能なくじ情報表示面とされるとともに他面側が前記粘着剤層に剥離可能に重ねられた、前記外層シートと同形同大の内層シートとからなり、前記外層シートには複数の単位外層シートを切り出すための切り出しスリットが設けられており、前記内層シートには複数の単位内層シートを切り離すための閉じたループ状をなすループ状スリットが前記各単位外層シートの縁部より内側の領域にそれぞれ形成されており、前記単位外層シートを前記切り出しスリットにより切り離すことで前記単位内層シートが前記ループ状スリットにより切り離されて、前記単位内層シートの周囲に前記粘着剤層が露出されるようになっており、切り離された前記単位外層シートおよび前記単位内層シートを二つ折りすることで前記単位内層シートの周囲に露出された前記粘着剤層を互いに重ね合わせて、前記単位内層シートの前記くじ情報表示面に印刷された情報を隠蔽可能としたところに特徴を有する。
【0007】
本発明のくじ作製シートによってくじを作製するには、次のようにする。まず、内層シートのうちのループ状スリットにより囲まれる単位内層シート内に、くじの当たり外れ、賞の種別等の情報を、プリンタによって一括に印刷する。そして、外層シートの切り出しスリットに沿って単位外層シートを他の領域から切り離す。すると、単位内層シートは、単位外層シートに積層された状態のまま内層シートのループ状スリットにより他の領域から切り離され、その周囲に単位外層シートの一面側に設けられた粘着剤層を露出させた状態となる。そこで、単位内層シートに印刷された情報が内側となるように二つに折り重ね、露出された粘着剤層を互いに貼り付ける。これにより、単位内層シートに印刷されたくじ情報は外部から見ることができなくなり、二つ折り状態のくじが得られる。
【0008】
このように本発明のくじ作製シートによれば、プリンタによってくじ情報を印刷した上で、切り出しスリットに沿って単位外層シートを切り離し、単位外層シートに積層された単位内層シートを内側にして二つ折りにするという簡単な作業によりくじを作製することができて、便利である。
【0009】
上記構成において、外層シートおよび内層シートの一方または双方に、二つ折りする際の折り目に沿う折り曲げ線を設ける構成としてもよい。このようにすると、くじを作製する際、積層状態の単位外層シートおよび単位内層シートを折り曲げ線に沿って折り曲げればよいから、位置合わせをする手間が省け、貼り合わせ作業がより容易となる。
【0010】
また、外層シートおよび内層シートの一方または双方に、ループ状スリットの内側に位置するループ状の切断可能線を設ける構成としてもよい。このようにすると、引いたくじを開封する際、くじの端を切断可能線に沿って切り取ればよいから、開封作業が容易である。
【0011】
また、外層シートに、内層シートに印刷された情報を透かし見ることを防止する遮蔽印刷を施すようにしてもよい。このような構成とすると、くじ作製シートの厚みが薄い場合であっても、シートを透かして単位内層シートに印刷した情報が読み取られることを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリンタにより簡単にくじ情報を印刷でき、切り離し作業および封印作業が容易な、くじ作製シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】くじ作製シートの外層シート側の平面図
図2】くじ作製シートの内層シート側の平面図
図3】くじ作製シートから単位外層シートを切り離した場合の外層シート側の平面図
図4】くじ作製シートから単位外層シートを切り離した場合の内層シート側の平面図
図5】単位外層シートを折り曲げる過程を示す概念図
図6】くじを開封する過程を示す概念図
図7】他の実施形態のくじ作製シートから単位外層シートを切り離した場合の内層シート側の平面図
図8】他の実施形態のくじを開封する過程を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。
【0015】
本実施形態のくじ作製シート10は、例えば定型のA4サイズ(297mm×210mm)の外層シート11と、この外層シート11の一面側に塗布された粘着剤層12と、この粘着剤層12にぴったりと重ねられた前記外層シート11と同形同大の内層シート20と、の3層構造からなる。
【0016】
外層シート11は例えば紙製であって、一方の面は例えばレーザプリンタやインクジェットプリンタ等の一般的なプリンタによって印刷可能な印刷可能面とされており、それとは反対側の面には粘着剤が全面に塗布されて、粘着剤層12が設けられている。
【0017】
一方、内層シート20も紙製であって、外層シート11と同様に、一方の面は例えばレーザプリンタやインクジェットプリンタ等の一般的なプリンタによって印刷可能なくじ情報表示面とされている。また、他方の面には例えばシリコン処理等の粘着性を低下させる処理が施されており、これにより、内層シート20は粘着剤層12から剥離可能である。
【0018】
上記外層シート11には切り出しスリット13が格子状に形成されており、図1に示すように、全体がほぼ12の領域に分割されている。詳しくは、くじ作製シート10の一対の短辺10Aに平行な5本の横切れ目13Aが、互いに70mmの間隔を隔てて平行に形成されている。また、くじ作製シート10の長辺10Bと平行な2本の縦切れ目13Bが、やはり70mmの間隔を隔てて形成され、短辺10Aに沿った方向を三等分するようになっている。これらの横切れ目13Aおよび縦切れ目13Bによって各辺70mmの同じ大きさの計12の正方形の領域が形成され、これらを単位外層シート14とよぶこととする。
【0019】
なお、切り出しスリット13(横切れ目13A,縦切れ目13B)は、くじ作製シート10の3層のうち、外層シート11および粘着剤層12を貫通するが内層シート20を貫通しないように設けられた、いわゆるハーフカットであり、例えばトムソン加工によって形成される。
【0020】
また外層シート11には、切り出しスリット13の内側に位置して、切り出しスリット13に沿った略正方形状のミシン目15(切断可能線の一例)が設けられている。このミシン目15は、単位外層シート14がその対角線に沿って2つ折りにされた際に、その半分ずつがぴったり重なり合うように設けられている。また、ミシン目15は、正方形の角部が丸くなるように設けられており、切断時の作業が行い易いようになっている。このミシン目15は、外層シート11および粘着剤層12を貫通するが内層シート20を貫通しないように設けられている。
さらに外層シート11の印刷可能面には、内層シート20に印刷される情報を透かし見ることを防止するための地紋(図示せず)が予め印刷されている。
【0021】
一方、内層シート20には、図2に示すように、正方形状のループ状スリット21が複数設けられている。このループ状スリット21は、上述した単位外層シート14の内側、かつ、ミシン目15の外側に、単位外層シート14の縁部(切り出しスリット13)から等距離となる位置にそれぞれ設けられている。これらのループ状スリット21によって囲まれた計12の単位内層シート22は、ループ状スリット21により、それぞれ内層シート20の他の領域から切り離し可能とされている。
【0022】
また内層シート20には、単位内層シート22の対角線に沿って、折り曲げ線23が形成されている。この折り曲げ線23は、くじ作製シート10のひとつの側縁部から他の側縁部までつながるように連続して設けられている。
【0023】
なお、ループ状スリット21は、くじ作製シート10の3層のうち、内層シート20のみに設けられたハーフカットであり、折り曲げ線23は、内層シート20のみに設けられたミシン目である。
【0024】
本実施形態のくじ作製シート10は以上の構成であり、次にその使用方法について説明する。
【0025】
くじ作製シート10を使用する場合には、まず、ユーザが内層シート20に、くじの当たり外れ、賞の種別等のくじ情報を一括に印刷する。この時、くじ情報は通常のプリンタにより簡単に印刷することができる。また、外層シート11と内層シート20とは同形同大であって、段差のない一枚の紙として取り扱うことができるから、プリンタ印刷特性は良好である。
【0026】
印刷後、外層シート11に形成された単位外層シート14のひとつを切り出しスリット13に沿って他の領域から切り離す(図3参照)。すると、図4に示すように、切り離された単位外層シート14の内側に位置する単位内層シート22も内層シート20の他の領域から切り離されるとともに、切り離された単位内層シート22の周辺領域が粘着剤層12から剥がし取られ、単位内層シート22の周囲に粘着剤層12が露出される。
【0027】
次いで、折り曲げ線23に沿って単位内層シート22が内側となるように谷折りし、露出された粘着剤層12が互いにぴったり重なり合うように貼り合わせる(図5参照)。この時、単位内層シート22には折り曲げ線23が予め設けられているので、折り曲げ作業を容易に行うことができて、作業性に優れる。
【0028】
このようなくじ作製シート10により作製されたくじを開封する場合には、図6に示すように、外側に配された外層シート11のミシン目15に沿ってくじの端部の一部を切り取って開封する。この時、ミシン目15が設けられているので、開封作業を容易に行うことができる。
【0029】
以上のように、本実施形態のくじ作製シート10によれば、プリンタにより簡単に情報を印刷可能であり、かつ、外層シート11から切り出しスリット13に沿って単位外層シート14を切り離し、単位内層シート22を内側にして二つ折りにするだけでくじを簡単に作製することができて、便利である。
【0030】
また、二つ折りにする際には、折り曲げ線23に沿って折り曲げればよいから、位置合わせをする手間が省け、貼り合わせ作業がより容易である。
【0031】
また、外層シート11には、内層シート20のループ状スリット21の内側に位置するミシン目15が設けられており、くじを開封する際には、このミシン目15に沿って切り取ればよいから、開封作業が容易である。
【0032】
さらに、外層シート11には遮蔽印刷が施されているから、シート10を透かして単位内層シート22に印刷した情報が読み取られることを確実に防止することができる。
【0033】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0034】
(1)上記実施形態では、外層シート11に格子状に切り出しスリット13を設けて、正方形状の単位外層シート14を形成する構成としたが、単位外層シート14は上記実施形態に限るものではない。例えば、長方形の他、円形、星型、ハート形等、任意の線対称の形状とすることができる(図7参照)。
【0035】
(2)また、単位外層シート14を正方形状とする場合には、上記実施形態のように対角線に沿って二つ折りにする(三角形状とする)以外にも、対角線と直交する線に沿って二つ折りにする(長方形状とする)構成としてもよい。
【0036】
(3)あるいは、単位外層シート14をぴったり二つに折り重ねる形態ではなく、端部をあえて少しずらして折り重ねる形態としてもよい。
【0037】
(4)上記実施形態では、内層シート20に折り曲げ線23を設ける構成としたが、折り曲げ線23は必須ではない。
【0038】
(5)あるいは、外層シート11だけに折り曲げ線23を設けたり、外層シート11と内層シート20の双方に互いに重なる折り曲げ線23を設ける構成としてもよい(図7参照)。
【0039】
(6)なお、折り曲げ線23としては、ミシン目に限らず、プレスにより形成した凹条や、印刷した折り曲げ線23であってもよい。
【0040】
(7)上記実施形態では、外層シート11に切断可能線(ミシン目15)を設ける構成としたが、切断可能線15は必ずしも必要ではない。
【0041】
(8)あるいは、図7に示すように、内層シート20だけに切断可能線15を設けたり、外層シート11と内層シート20の双方に互いに重なる切断可能線15を設ける構成としてもよい。なお、内層シート20だけに切断可能線15を設ける場合には、外側からも切断位置がわかるように、外層シート11に切断可能線15に重なる切断線を印刷しておくことが好ましい。
【0042】
(9)切断可能線15は、例えば図7および図8に示すように、単位外層シート14の外形とは異なる形状(図7では略矩形、図8では円形)としてもよく、要は、切り取り易い形状であればどのような形状でもよい。
【0043】
(10)上記実施形態では、外層シート11に予め遮蔽印刷を施しておく構成としたが、遮蔽印刷は必ずしも必要でない。
【0044】
(11)外層シート11には、遮蔽印刷の他、オリジナルの模様や広告等を印刷することもできる。
【符号の説明】
【0045】
10…くじ作製シート
11…外層シート
12…粘着剤層
13…切り出しスリット
14…単位外層シート
15…ミシン目(切断可能線)
20…内層シート
21…ループ状スリット
22…単位内層シート
23…折り曲げ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8