【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のいくつかの態様による方法、装置、及びシステムにより、第1の骨片に埋め込まれまたはそれを固定するように構成される構造及び締結アセンブリのうち一方または両方を使用して、骨折部を治療することが可能になる。この構成は、少なくとも部分的に骨内部に埋め込むためのインプラントの形とすることができる。このようなインプラントは、横断開口を有する近位区間、及び実質的にその長さに沿った開口を備えることができる。好ましくは、インプラントは、張力に対する更なる強度及び耐性を与える形状を特徴とする、少なくとも1つの断面をその近位部分に有する。そのような形状はたとえば、(1)断面の外側部分に更なる質量を加える、及び(2)フランジがIビーム及び溝に構造的な利点を与えるやり方と同様のフランジ効果を利用するために、断面に質量を戦略的に加えたり減らしたりする。 少なくとも1つの軸に対して非対称とすることができるがそうでなくてもよいこのような断面を特徴付ける一方法は、それらが一般的に、断面の外側接線から内側接線までの線の中点である点から外側方向に延びる慣性モーメントを特徴とすることである。いくつかの構造では、その線は、横断開口の軸と同一平面上にあり、その断面と同一平面上にあり、従って、これらの平面の交線によって規定される。その線の端点は、その線と、断面の内側側部及び外側側部の接線との交点として、それぞれ規定することができる。このようなインプラントはまた一般に、遠位区間、及び近位区間と遠位区間を結合する移行区間を備える。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態による方法、装置、及びシステムによる締結アセンブリは、好ましくは、係合部材及び圧迫装置を備える。締結アセンブリは、インプラントの横断開口内に摺動関係で受けられるように為され、それによって、骨折部に圧迫力を加えるようにまたはその他何らかの所望の目的のために、横断開口に対して摺動するように為される。係合部材は、第2の骨片内にひっかかりを得る(gain purchase)ように為される。係合部材及び圧迫装置は、圧迫装置の調整により係合部材のインプラントに対する摺動を制御し、それによって第1及び第2の骨片間の動きを制御することが可能になるよう、圧迫装置をインプラントの一部及び係合部材の一部と相互作用させるように構成される。いくつかの実施形態では、圧迫装置は、埋め込まれるときに、少なくとも部分的に第2の骨片に直接接触する。
【0013】
従って、本発明の実施形態は、第1の骨部分に結合されるように為され横断開口を有する骨インプラントと、横断開口内で摺動するように為された締結アセンブリとを備える骨折部分を治療するための装置を提供する。この装置は、締結アセンブリが係合部材及び圧迫部材を備え、係合部材が第2の骨部分に係合するように為され、係合部材と圧迫部材が、圧迫部材をインプラントの一部分及び係合部材の一部分に接触及び相互作用させて第1の骨部分と第2の骨部分との間の移動を制御することを可能にするように構成されることを特徴とし、更に、圧迫部材が設置されるとき第2の骨部分と接触することを特徴とする。
【0014】
より好ましくは、本発明の実施形態は、第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが、それらの部分が互いに相対的に回転するのを妨げることを含むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0015】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが更に、骨部分が互いに圧迫力を加え合うことを含むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0016】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が、調整されると係合部材に張力を加え、それによって第1の骨部分と第2の骨部分との間に圧迫力を加えるように為されることを更に特徴とする装置を提供する。
【0017】
また好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が、少なくとも部分的に係合部材の一部分に入り込む(nested)ことを更に特徴とする装置を提供する。
【0018】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材がねじ切り部を備え、係合部材が、固定構造の横断開口内での係合部材の摺動を制御するために、圧迫部材のねじ切り部と協働するように為されたねじ切り部を備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0019】
更に好ましくは、本発明の実施形態は、前記インプラント内で受けられ、係合部材が横断開口内で摺動するのを妨げるように為された固定スクリューを更に備える装置を提供する。
【0020】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、横断開口が非対称断面を有し、係合部材部分の少なくとも一部分を受けるように為された第1の部分と、圧迫部材部分の少なくとも一部分を受けるように為された第2の部分とを備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0021】
また好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントが少なくとも1つの軸に関する断面が非対称である近位区間を備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0022】
従って、本発明の実施形態は、第1の骨部分と結合されるように為され横断開口を有する骨インプラントと、横断開口内で受けられるように為された締結アセンブリとを備える骨折部を治療するための装置を提供する。この装置は、締結アセンブリが、インプラントの横断開口内で摺動し第2の骨部分に係合するように為された係合部材を備え、係合部材が、圧迫部材と協働するように為された協働構造を備え、圧迫部材が、インプラントの横断開口内で受けられるように為され、かつ、係合部材の横断開口での回転を妨げ、係合部材の横断開口内での摺動を制御するように、係合部材と接触及び協働するように為されることを特徴とし、更に、圧迫部材が、設置されるときに、係合部材に対して第2の骨部分が回転するのを係合部材と共に妨げるために第2の骨部分に接触し、かつ、インプラントに対して係合部材が回転するのを妨げ従って第1の骨部分に対して第2の骨部分が回転するのを妨げるように係合部材と協働することを特徴とする。
【0023】
より好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が、調整されると係合部材に張力を加え、それによって第1の骨部分と第2の骨部分との間に圧迫力を加えるように為されることを更に特徴とする装置を提供する。
【0024】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が少なくとも部分的に係合部材の一部分に入り込むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0025】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材がねじ切り部を備え、係合部材が、固定構造の横断開口内での係合部材の摺動を制御するために、圧迫部材のねじ切り部と協働するように為されたねじ切り部を備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0026】
より好ましくは、本発明の実施形態は、前記インプラント内で受けられ、係合部材が横断開口内で摺動するのを妨げるように為された固定スクリューを更に備える装置を提供する。
【0027】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、横断開口が非対称断面を有し、係合部材部分の少なくとも一部分を受けるように為された第1の部分と、圧迫部材部分の少なくとも一部分を受けるように為された第2の部分とを備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0028】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントが、少なくとも1つの軸に関する断面が非対称である近位区間を備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0029】
従って、本発明の実施形態は、骨の髄管内に挿入するように為された細長い遠位区間と、遠位区間と近位区間との間に形状付けされた結合部を形成する移行区間とを備え、近位区間が骨に係合するように為された構造を受けるように為された横断開口を有する、骨折部を治療するための装置を提供する。この装置は、近位区間が、外側側面、内側側面、及び、装置の長さ方向に対してほぼ直角に向いた少なくとも1つの断面を有することを特徴とし、この断面は、外側側面の接線との交点から内側側面の接線との交点へと断面内で延びる線の中点から、外側側面に向かって延びる慣性モーメントを特徴とする。
【0030】
より好ましくは、本発明の実施形態は、装置の長手軸とほぼ平行に延びる横断開口を更に備える装置を提供する。
【0031】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、少なくとも1つの軸に関して断面が非対称であることを更に特徴とする装置を提供する。
【0032】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、骨折部が修復される骨の内部に、装置が完全に嵌るように為されたことを更に特徴とする装置を提供する。
【0033】
また好ましくは、本発明の実施形態は、外側側面の表面の少なくとも一部が実質的に平坦であることを更に特徴とする装置を提供する。
【0034】
より好ましくは、本発明の実施形態は、少なくとも一部分が第1の骨部分に埋め込まれるように為されることを更に特徴とし、横断開口内で摺動するように為された締結アセンブリを更に備え、締結アセンブリが係合部材及び圧迫部材を備え、係合部材は第2の骨部分に係合するように為され、係合部材及び圧迫部材は、圧迫部材がインプラントの一部及び係合部材の一部と相互作用して第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが可能になるように構成されることを更に特徴とし、圧迫部材が埋め込まれたときに第2の骨部分と接触することを更に特徴とする装置を提供する。
【0035】
従って、本発明の実施形態は、骨の髄管に挿入するように為された細長い遠位区間と、遠位区間と近位区間との間に形状付けされた結合部を形成する移行区間とを備え、近位区間が骨に係合するように為された構造を受けるように為された横断開口を有する、大腿骨骨折を治療するための釘を提供する。この釘は、近位区間が、外側側面、内側側面、及び、装置の長さ方向に対してほぼ直角に向いた少なくとも1つの断面を有し、断面形状が非円形であり、内側−外側軸を備え、内側−外側軸に関して断面が対称であり、内側−外側軸に沿った断面の長さ寸法が内側−外側軸と垂直な軸に沿った断面のいかなる長さ寸法よりも大きいことを特徴とする。
【0036】
従って、本発明の実施形態は、細長い遠位区間と、遠位区間と近位区間との間に形状付けされた結合部を形成する移行区間とを備え、近位区間が第1の骨部分に結合されるように為され、長手軸を有する横断開口を有するインプラント、骨折部を治療するための装置を提供する。この装置は、近位区間が、外側側面、内側側面、及びインプラントの長さに対してほぼ直角に向けられた少なくとも1つの断面を有し、この断面が、横断開口軸と同一平面上にあり外側側面の接線との交点から内側側面の接線との交点へと延びる線の中点から外側側面へと延びる慣性モーメントにより特徴付けられることを特徴とする。この装置は、係合部材及び圧迫部材を有する締結アセンブリを更に備え、締結アセンブリが横断開口内で摺動するように為され、係合部材が第2の骨部分に係合するように為され、圧迫部材と係合部材は、圧迫部材がインプラントの一部分及び係合部材の一部分と相互作用して第1の骨部分と第2の骨部分との間での移動を制御することが可能になるように構成され、圧迫部材が設置されるときに第2の骨部分に接触することを更に特徴とする。
【0037】
より好ましくは、本発明の実施形態は、第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが、それらの部分同士の相対的な回転を妨げることを含むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0038】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが更に、それらの骨部分が互いに圧迫力を加え合うことを更に含むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0039】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が、調整されると係合部材に張力を加え、それにより第1の骨部分と第2の骨部分との間に圧迫力が加えるように為されたことを更に特徴とする装置を提供する。
【0040】
また好ましくは、本発明の実施形態は、圧迫部材が少なくとも部分的に係合部材の一部分に入り込むことを更に特徴とする装置を提供する。
【0041】
より好ましくは、本発明の実施形態は圧迫部材がねじ切り部を備え、係合部材が、インプラント横断開口内での係合部材の摺動を制御するために、圧迫部材のねじ切り部と協働するように為されたねじ切り部を備えることを更に特徴とする装置を提供する。
【0042】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、前記インプラント内で受けられ、係合部材が横断開口内で摺動するのを妨げるように為された固定スクリューを更に備える装置を提供する。
【0043】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントの長手軸と平行に延びる横断開口を更に備える装置を提供する。
【0044】
また好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントの断面が、その断面の少なくとも1つの軸に関して非対称であることを更に特徴とする装置を提供する。
【0045】
より好ましくは、本発明の実施形態は、骨折部が修復される骨内部に、装置が完全に嵌るように為されることを更に特徴とする装置を提供する。
【0046】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、外側側面の表面の少なくとも一部分が実質的に平坦であることを更に特徴とする装置を提供する。
【0047】
従って、本発明の実施形態は、断面の少なくとも1つの軸に関して非対称な断面を有する近位区間を備え、装置を導入するために骨を下準備するように為された道具を提供する。この道具は、形状が対応し、装置の断面形状に少なくとも部分的に対応する形状に骨を形状付けするように為されたほぞ穴チゼル(mortise chisel)と、ほぞ穴チゼル内で回転し、ほぞ穴チゼルにより形状付けされた骨部分の遠位に位置する骨の髄管の部分を下準備するように為されたビットとを備えることを特徴とする。
【0048】
従って、本発明の実施形態は、骨を修復するためのシステムを提供する。このシステムは、外側側面と、内側側面と、インプラントの長さに対してほぼ直角に向けられた断面とを含み、この断面が、外側側面の接線との交点から内側側面の接線との交点へと断面内で延びる線の中点から外側側面に向かって延びる慣性モーメントを特徴とするインプラント、ならびに、形状が対応しインプラントの断面形状に少なくとも部分的に対応する形状に骨を形状付けるように為されたほぞ穴チゼルと、ほぞ穴チゼル内で回転し、ほぞ穴チゼルによって形状付けされた骨部分の遠位に位置する骨の髄管部分を下準備するように為されたビットとを有する、インプラントを導入するために骨を下準備するように為された道具を備えることを特徴とする。
【0049】
従って、本発明の実施形態は、骨を修復するためのプロセスを提供する。このプロセスは、骨折部を治療するための装置を提供することであって、この装置が、第1の骨部分に接続されるように為され横断開口を備えるインプラントと、横断開口内で摺動するように為された締結アセンブリとを備え、締結アセンブリが、係合部材及び圧迫部材を備え、係合部材と圧迫部材は、圧迫部材が装置の一部分及び係合部材の一部分と接触及び相互作用して第1の骨部分と第2の骨部分との間の動きを制御することが可能になるように構成されることを特徴とする、装置を提供することと、装置を第1の骨部分に結合することと、第1の骨部分に、位置及び向きが係合部材及び圧迫部材に対応する少なくとも1つの開口を形成することと、第2の骨部分を係合部材に係合することと、圧迫部材を第2の骨部分に接触するように挿入することと、圧迫部材を係合部材の一部分と相互作用させ、それによって第1の骨部分に対する第2の骨部分に圧迫力を加えることとを含む。
【0050】
より好ましくは、本発明の実施形態は、装置を第1の骨部分に結合することが、装置を第1の骨部分に挿入することを含むことを更に特徴とするプロセスを提供する。
【0051】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、第2の骨部分が大腿骨骨頭であることを更に特徴とするプロセスを提供する。
【0052】
更により好ましくは、本発明の実施形態は、第1の骨部分に、位置及び向きが係合部材及び圧迫部材に対応する少なくとも1つの開口を形成することが、互いに対して同軸でない開口を骨部分に形成することを含むことを更に特徴とするプロセスを提供する。
【0053】
より好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントが、断面の少なくとも1つの軸に関して非対称な断面を有する近位部分を備え、インプラントを第1の骨部分に結合することが、インプラントの近位部分の断面形状に少なくとも部分的に対応する形状に骨を形状付けるように為されたほぞ穴チゼルを備える道具を使用して、骨の内側部分を下準備することと、インプラントを道具によって形状付けられたとおりに骨に挿入することとを含むことを更に特徴とするプロセスを提供する。
【0054】
従って、本発明の実施形態は、骨を固定するためのプロセスを提供する。このプロセスは、遠位部分、及び断面の少なくとも1つの軸に関して非対称な断面を備える近位部分を備えるインプラントを提供することと、少なくとも部分的にインプラントの近位部分の断面形状に対応する形状に骨を形状付けるように為されたほぞ穴チゼル、及び骨の少なくとも一部分をインプラントの遠位部分を受けるように下準備するためのほぞ穴チゼルに対して回転するように為されたビットを備える道具を使用して内側部分を下準備することとを含み、下準備することが、ほぞ穴チゼルで骨の部分を形状付けすることを含み、更に、ビットをほぞ穴チゼルに対して回転させ、従って骨の少なくとも一部分をインプラントの遠位部分を受けるように下準備することと、インプラントを骨に挿入することとを含む、ことを特徴とする。
【0055】
より好ましくは、本発明の実施形態は、インプラントが、横断開口と、係合部材及び圧迫部材を有する締結アセンブリとを備え、締結アセンブリが、横断開口内で摺動するように為され、係合部材が大腿骨に係合するように為され、係合部材と圧迫部材は、圧迫部材がインプラントの一部及び係合部材の一部と係合及び相互作用して骨と大腿骨骨頭との間の動きが可能になるように構成されることを更に特徴とするプロセスを提供する。このプロセスは更に、係合部材及び圧迫部材に位置及び方向が対応する骨内に少なくとも1つの開口を形成することと、大腿骨骨頭を係合部材と係合させることと、圧迫部材を大腿骨骨頭に接触するように挿入することと、圧迫部材を係合部材の一部と相互作用させ、それによって骨に対応する大腿骨骨頭に圧迫力を加えることとを含む。