(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネルに設置されるトンネル消火栓装置は、開放自在な消火栓扉を備えた筐体内に、ノズル付きホースとバルブ類を収納し、また、開閉自在な消火器扉を備えた消火器収納部に例えば2本の消火器を収納し、更に、通報装置扉が設けられ、ここに赤色表示灯、発信機、及び応答ランプを設けている。
【0003】
このような消火栓装置は火災を伴う車両事故の発生時に、消火栓扉を開いてノズル付きのホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを操作することで消火ポンプ設備を起動して放水を行うことができる。
【0004】
図11は従来の消火栓装置の筐体であり、
図11(A)に平面から見た断面を、
図11(B)に正面を示している。
図11において、消火栓装置の筐体100は前方に開いた箱形のユニットであり、筐体内部を隔壁102により右側のホース収納空間104とバルブ類収納空間106と、左側の消火器収納空間108とに分けている。筐体100の前面化開口部にはフランジ部110が形成され、フランジ部110の前面にゴムパッキンなどのシール部材112を介して1枚の化粧板114が配置される。
【0005】
しかしながら、このようなトンネル消火栓装置にあっては、筐体100にバルブ類、ノズル付きホース、消火器などの全ての機器を組込み配置し、更に、開閉自在な消火栓扉や消火器扉を設けていたため、装置全体として横幅が約1.8メートル、高さが約1メートル、奥行きが数十センチメートル、重量も約200〜300キログラムといった大型のユニットとなり、組立を行った工場内での移動は勿論のこと、トンネル工事現場に搬送して設置する際にも、重量物として扱わなければならないことから大変であり、組立及び設置に手間と時間がかかるという問題がある。
【0006】
また従来の消火栓装置にあっては、筐体に対し全ての機器を組み込む作業を必要とするため、異なる機器の組込み作業を同じ筐体に対し同時に行うことが困難であることから工程を分けて順次作業しており、その分、組立に手間と時間がかかる問題もある。
【0007】
そこで近年にあっては、
図12に示すように、装置筐体を2つの筐体100−1,100−2に分割した消火栓装置が提案されている。筐体100−1側にホース収納空間104とバルブ類収納空間106を配置し、筐体100−2に消火器収納空間108を配置し、架台101の上に筐体100−1,100−2を隣接配置した状態で合せ部分をボルトとナットなどにより連結固定している。
【0008】
分割した筐体100−1,100−2の連結部分を除く前面開口部にはフランジ部110−1,110−2が形成され、フランジ部110−1,110−2の前面にゴムパッキンなどのシール部材112を介して化粧板114を配置している。
【0009】
このように筐体100−1,100−2に分割したことで、各筐体100−1,100−2に対する機器の組付け作業を別々に並行して行うことを可能にして生産性を高め、また単一筐体とした場合に比べ各筐体の重量が低減し、工場段階での組立及び現場設置の作業の効率と安全性を高めることができる。
【0010】
また第1筐体と第2筐体を連結固定するため、分割している筐体の
前面が面一となるように位置決めされ、前面に対する化粧板の組付け固定を正確に行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような筐体を分割した構造の消火栓装置にあっては、筐体を分割すると各筐体の周縁にフランジを設ける必要があるが、各筐体の連結
面側のフランジ部が重複することとなり、フランジを重ねて配置すると各筐体の前面が面一とならず、どちらの筐体のフランジ面を前に重ねるか決めた上で、化粧
板を筐体へ取り付ける取付部材の寸法を設計しなければならない。
【0013】
さらに、筐体を分割したことにより、化粧
板も分割して各筐体に取り付けたほうが、化粧
板を軽量、小型化して搬送することができ、また、化粧
板や筐体が腐食したり傷ついたときに交換する際には、必要最小限の交換ですみライフサイクルコストを抑えることもできる。通常、化粧
板前面は筐体前面よりも大きく、化粧
板の周縁には筐体側に折り返し部を備えており、化粧
板の裏面に筐体前面のフランジが接触して取り付けられる。従って、分割筐体の連結側のフランジ同士が接触した状態では、分割した化粧
板を正しく
筐体に取り付けることができない。
【0014】
本発明は、筐体を分割して連結状態で配置する装置の場合において、各筐体周縁のフランジが干渉せずに連結でき、また化粧枠を各筐体に確実に取り付けることができる消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置に於いて、
前面開口部を有し、ノズル付きホースを含む消火栓に必要な機器及び部材を組み付ける第1筐体と、
前面開口部
を有し、通報装置に必要な機器及び部材を組み付けると共に消火器を収納する、前記第1筐体より重量の軽い第2筐体と、
を備え、
第1筐体及び第2筐体は、双方の前面開口部が面一となるように側面同士を連結固定して架台に設置し、
第2筐体は、架台に設置された状態で第1筐体と第2筐体との連結固定を解除して、架台の前方に引き出し可能な構造とし、
前記第1筐体
は、第2筐体を引き出した後に、上面に設けた吊り輪により架台から取り外し可能な構造としたことを特徴とする。
【0016】
ここで、吊り輪を第1筐体の上面の両側の2箇所に設ける。
【0017】
また、
消火栓装置は、第2筐体の前面開口部が第1筐体の前面開口部と面一となるように、第2筐体の側面を第1筐体の側面に連結固定する筐体連結部を設け、
筐体連結部は、第1筐体及び第2筐体を架台に設置した状態で連結固定が解除可能な構造とする。
【0018】
また、第1筐体は
、前面開口部の全周縁の外側にフランジ部を形成し、
第2筐体は
、前面開口部の全周縁の外側に形成したフランジ部が第1筐体のフランジ部と面一となるように第1筐体の側面に連結固定され、
第1筐体は、前面開口部の第2筐体との連結面側コーナー部を連結面から遠ざける方向に窪ませて、連結面側のフランジ部を第2筐体のフランジ部に干渉しない連結面の内側に配置し、第1筐体と第2筐体の連結固定を解除した状態で、2筐体を前方に引き出し可能な構造とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、第1筐体の前面開口部の連結側コーナー部を連結位置から遠ざける方向に窪ませてフランジ部を連結位置の内側に配置した構造とすることで、第1筐体及び第2筐体の前面開口部の周縁にフランジ部を独立して形成した状態で第1筐体と第2筐体を横並びに連結することができ、これによって連結部分でフランジ部が干渉することなく独立して横並びに配置することができる。
【0020】
また本発明によれば、分割した筐体前面に化粧板が着脱自在な取付構造により固定配置されているため、トンネル設置状態で腐食などにより片方の化粧板を交換したい場合には、設置現場において分割した化粧板を取り外して交換することができ、化粧板及び筐体を含む消火栓装置全体を交換する必要がないため、交換作業が容易であり、筐体側の機器はそのまま残すので省資源にも繋がる。
【0021】
また、分割した化粧板を筐体から取り外すことができると、分割した筐体の前面に開閉自在に設けている消火栓扉又は消火器扉も必要に応じて交換することができ、化粧板に加えトンネル内に露出している消火栓扉及び消火器扉についても腐食などの損傷に対し同様に設置場所で交換することができる。
【0022】
また、第1筐体側の窪み部に、連結側の第2筐体のフランジ部を収納するようにしたことで、第1筐体を外すことなく第2筐体の交換を容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は本発明の消火栓装置を示した正面図である。
図1において、消火栓装置10は、消火栓側の第1筐体12−1と消火器側の第2筐体12−2に分割した構造であり、前面に分割した第1化粧板14−1と第2化粧板14−2を各々装着しており、第1筐体12−1と第2筐体12−2に対し必要な機器及び部材を組付けた後に連結固定部15で固定し、更に前面開口部に第1化粧板14−1と第2化粧板14−2を取り付けた状態とし、この状態でトンネル現場に搬入して架台11上に設置している。
【0025】
第1化粧板14−1には扉開口部16が設けられ、第2化粧板14−2には扉開口部17が設けられている。第1筐体12−1側の扉開口部16は上下に2分割され、下側扉開口部に消火栓扉18を配置し、上側扉開口部に保守扉22を配置しており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。
【0026】
消火栓扉18は、扉開口部16に対し下側の軸となるヒンジ21を中心に下向きに開閉自在に設けられており、マグネットと受け板を用いた下扉ロック機構56により閉止位置に閉じている。消火栓扉18は、ハンドル20を手前に引いて下扉ロック機構56の磁気吸着によるロックを外すことで前方に開閉することができる。
【0027】
消火栓扉18の上には上向きに開閉する保守扉22が設けられており、マグネットと受け板を用いた上扉ロック機構54により閉止位置に閉じられており、点検時に消火栓扉18を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。また、第1筐体12−1の上部両側には装置を吊り下げるための吊り輪25が取り付けられている。
【0028】
第2筐体12−2側の扉開口部17の右側には通報装置扉24が設けられ、ここに赤色表示灯26、発信機28及び応答ランプ30を設けており、また通報装置扉24の内側には
図2に示すように電話ジャック31を設けている。
【0029】
赤色表示灯26は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機28を押して押し釦スイッチをオンすると、発信信号が監視室の火災受信機に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が火災受信機から送られて、応答ランプ30を点灯するようにしている。
【0030】
扉開口部17の左側には消火器扉32が設けられ、消火器扉32に対応した第2筐体12−2の内部を消火器収納空間とし、例えば2本の消火器37を収納している。消火器扉32にはハンドル34が設けられ、ハンドル34を手前に引くとラッチが外れ、消火器扉32は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉34の下側には覗き窓35が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0031】
図2は
図1について、第2筐体12−2側の消火器扉32を開き、第1筐体12−1側については消火栓扉18を外し、保守扉22は上向きに開いてステー27で支持した状態で内部構造を示した正面図である。なお、保守扉22は、消火栓装置の保守以外には通常閉じられており、消火作業時も閉められたままで消火栓扉18のみ開放される。
【0032】
図2において、第1筐体12−1の左側にはホース収納空間36が形成され、右側にバルブ類収納空間38を形成している。ホース収納空間36には、ホースバケット構造が設けられる。ホースバケット構造にはフレームパイプを屈曲して水平方向で上下に配置したフレーム部分を持つバケットフレーム40が配置され、内部にホース収納空間を形成している。
【0033】
バケットフレーム40の中央から右側にオフセットした位置、即ち扉開口部16の左右方向における略中央となる位置に、U字形パイプフレームを固定することで縦方向に2本のホースガイド42が位置してホース取出口45を仕切り形成している。更に、ホース取出口45の下側には、前方に張出し形成された張出ホースガイド47を設けている。
【0034】
ホース取出口45を仕切り形成するホースガイド42及び張出ホースガイド47は、ホース44を引き出す際に内巻きしているホース44が崩れたり、扉開口部16に擦れてホース44が損傷したり折れたりすることを防ぎ、更に開放している消火栓扉18の右端又は左端にホース44が引っかかって引き出せなくなることを防ぐ。
【0035】
特に、張出ホースガイド47はホース44を左方向に引き出す際のホースの急激な折れ曲がりを緩和して滑らかな引き出しを可能とする。
【0036】
バケットフレーム40及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間36にはホース44が内巻きして収納されている。ここで、右側のバルブ類収納空間38の下部にはホース接続口46が配置されており、ホース接続口46にホース44の1次側を接続した後、ホース44をホース収納空間36に巻き込むことになるが、この場合のホース44の巻き込みは、扉開口部16から見て右巻きとなるようにホース44を巻き込んでいる。
【0037】
即ち、ホース接続口46に接続したホース44は、まず第1筐体12−1の下側内壁に沿うようにホース収納空間36方向に向かい、ホース収納空間36の下側から巻き込まれ、第1筐体左側面内面を伝って筐体上方に向かい、その後に、右回りに収納空間内に巻き込まれ、最後にノズル48を装着したホース先端をバケットフレーム40の中央から右側にオフセットして扉開口部16の中央付近に取り付けられたホースガイド42で形成されたホース取出口45から取り出し、上側のバケットフレーム40の右端に固定しているノズルホルダー50にノズル48を
右横向きに着脱自在に保持している。
【0038】
ノズル48は放水部48aとハンドル48bから構成されており、ノズルホルダー50に対し放水部48aの横向きに保持した状態で、ハンドル48bは放水部48aの下側に位置して消火栓扉18の開放による下側扉開口部の中央方向に向くように保持されている。
【0039】
第1筐体12−1に設けたホース収納空間36の右側に配置したバルブ類収納空間38には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口からホース接続口46に至る配管系統に、給水弁51、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、安全弁及びメンテナンス装置を設けている。
【0040】
このうち消火栓弁に設けた消火栓弁開閉レバー64に対応して銘板66が設けられており、銘板66の裏側に消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、安全弁が配置されている。
【0041】
ここで、上側のバケットフレーム40の右端に取り付けたノズルホルダー50に装着されたノズル48は、バルブ類収納空間38の前面側に配置された消火栓弁開閉レバー64付近に配置され、ノズル48を取り出して消火栓弁を開くという相互に関連した操作を行い易くしている。
【0042】
第2筐体12−2側については、ヒンジ33により消火器扉32を左側に開いた内部の消火器収納空間39には2本の消火器37が収納されている。消火器37は消火器扉32を閉じた状態で覗き窓35を通して2本の消火器37が視認できるように収納されている。この消火器収納空間39には消火器が周囲のされていない状態を外部に表示するための消火器表示機構が設けられる。
【0043】
図3は、
図1について内部構造を示した平面図である。
図3において、第1筐体12−1と第2筐体12−2は連結部15においてボルトにより固定されている。第1筐体12−1のホース収納空間36には平面から見て横L字形にバケットフレーム40が配置され、筐体内壁との間に形成したホース収納空間36にホース44を右巻きにより内巻き状態で収納している。
【0044】
上下2段に配置したバケットフレーム40に
図2のように一対のホースガイド42を固定して仕切り形成したホース取出口45の下側には、張出ホースガイド47が設けられており、張出ホースガイド47はその内側にホース44の外径に略相当する幅の張出スペースを確保している。勿論、張出ホースガイド47の張出し量は、消火栓扉18を閉鎖したときに当らない位置となるように前方に張り出しており、ホース1本が少なくとも入る幅を有するとよりよい。
【0045】
更に、バケットフレーム40における前面右端にはノズルホルダー50が取り付けられ、ノズルを横向きに着脱自在に保持できるようにしている。第2筐体12−2側の消火器収納空間39には、2本の消火器37が収納されている。
【0046】
図4は
図1について消火栓装置の外観を示した平面図であり、第1筐体12−1は前方に開口した箱形のユニットであり、第2筐体12−2も同様に前方に開口した箱形のユニットであり、連結部15で固定している。
【0047】
ここで、第2筐体12−2は連結部15の連結面は奥行き方向にフラットな面に形成されているが、第1筐体12−1は連結部15の連結面における前方開口コーナー部が、連結部15から遠ざかる方向となるように矩形に窪ませた矩形窪み部72を形成している。
【0048】
第1筐体12−1の前面開口部の周縁にはフランジ部76−1が張出し形成され、また第2筐体12−2の前面開口部の周縁にもフランジ部76−2が張出し形成され、フランジ部76−1,76−2の各々に、後の説明で明らかにするゴムパッキンなどのシール部材を介して第1化粧板14−1と第2化粧板14−2の各々が取り付け固定されている。
【0049】
第1筐体12−1は連結部15の前方コーナー部に矩形窪み部72を形成し、フランジ部76−1の左端を連結部15に対し右側にしてあり、第1筐体12−1と第2筐体12−2を横に並べた状態で連結部15で固定しても、両者のフランジ部76−1,76−2は矩形窪み部72の前方に干渉することなく配置することができる。各化粧板14−1、14−2の周縁は筐体側へ折り返されて、化粧板の強度が確保されている。そして各化粧板14−1、14−2の高さ及び横幅の寸法は、対応する筐体のフランジ76−1、76−2の高さ及び横幅の寸法よりも大きく設計されており、各フランジ76−1、76−2は、対応する化粧
板の周縁より内側に位置して、化粧
板が筐体に取り付けられる。従って、連結部15付近の各フランジ間の距離は、化粧板14−1、14−2の両方の周縁の折り返し部が入る距離となっている。
【0050】
図5は
図1の消火栓装置について分割した筐体を取り出して示した正面図である。架台11上に横に並べて配置された第1筐体12−1と第2筐体12−2は、箱形ユニットの前方にそれぞれ前面開口部78−1,78−2を形成しており、前面開口部78−1,78−2の周縁にはフランジ部76−1,76−2が張出し形成され、フランジ部76−1,76−2の前面の左右及び上部にはリボン状のゴムパッキンなどを使用したシール部材80−1,80−2が貼り付けられている。
【0051】
第1筐体12−1の前面開口部78−1は、左側のコーナー部に形成した矩形窪み部72により連結位置から右側にオフセットされており、このため第2筐体12−2の連結側のフランジ部76−2に対し第1筐体12−1のフランジ部76−1は間を置いて干渉することなく配置されている。
【0052】
また第1筐体12−1と第2筐体12−2の前面開口部78−1,78−2の内側の4箇所には、
図1に示した第1化粧板14−1と第2化粧板14−2を取り付け固定するためのボルト86が頭部を外に向けて配置されている。
【0053】
図6は本実施形態における分割した筐体の連結構造を示した説明図である。
図6において、第1筐体12−1の連結面74−1の側面の4箇所にはネジ穴82が設けられ、これに相対した第2筐体12−2の連結面74−2の側面の4箇所には通し穴84が形成され、通し穴84を貫通してボルト88をネジ穴82にねじ込むことで、第1筐体12−1と第2筐体12−2を連結固定する。
【0054】
図7は
図6における筐体連結部分を取り出して平面断面で示した説明図であり、第1筐体12−1の連結面に設けたナットを使用したネジ穴82に対し、第2筐体12−2の通し穴84を介してボルト88をねじ込んで連結固定する。各筐体を連結固定すると、第2筐体12−2の連結面74−2側のフランジ部76−2は、第1筐体12−1の矩形窪み部72の前方に位置する。
【0055】
図8は筐体を連結固定した後の化粧板の取り付けを示した説明図である。
図8において、第1筐体12−1と第2筐体12−2を横に並べて連結部15で連結固定して一体化したならば、それぞれの前面のフランジ部76−1,76−2に対し第1化粧板14−1と第2化粧板12−2を取付部材
85により面一となるように、且つ化粧板の対向する各側面がほぼ接触するぐらいに接近するように取り付け固定する。化粧板14−1、14−2の各側面は第1筐体12−1の矩形窪み部72の前方に位置する。
【0056】
図9は
図8における内部に機器を組み付けた後に行う化粧板と筐体の取付構造を取り出して示した説明図である。
図9において、第1筐体12−1側のフレーム92にはネジ穴90が設けられ、ネジ穴90に相対した第1化粧板14−1の裏面側には、側面から見てコ字型に屈曲形成された取付部材85が固定され、取付部材85の張出し平面部にはダルマ穴94が形成されている。
【0057】
フレーム92に対する第1化粧板14−1の取付けは、まずフレーム92のネジ穴90にボルト86をねじ込んでボルト頭部を突出させ、この状態でボルト86のボルト頭部にダルマ穴94の大径部を位置させて嵌め入れ、嵌め入れた状態で第1化粧板14−1を下側に下ろすと、ボルト86のネジ部にダルマ穴94の小径の長穴部分が入り込み、ボルト86の頭部を抜け止めした状態でフレーム92の前面に吊り下げ状態で支持する。
【0058】
この状態でボルト86を取付部材85の第1化粧板14−1の裏面側となる隙間部分に工具を入れてねじ込むことで、取付部材85を筐体側のフレーム92に締付け固定することができる。
【0059】
図9に示すダルマ穴94を用いた第1化粧板14−1の取付構造は、
図8における第1化粧板14−1の上側の2箇所の取付部材85について行えば良く、下側の取付部材85についてはダルマ穴としても良いし、ボルト86の通し穴としても良い。このような取付構造は第2筐体12−2と第2化粧板14−2についても同じである。
【0060】
このような筐体側に対する化粧板14の取付け構造により第1筐体12−1と第2筐体12−2を連結固定し、且つそれぞれの内部に機器を組み付けた後に、最終的に化粧板14を取り付けることができる。
【0061】
また
図1に示した本実施形態の消火栓装置10をトンネルに設置した後、長期間の使用により腐食などが生じて交換する必要が生じた場合には、第1化粧板14−1又は第2化粧板14−2を筐体側から取り外して現場で新しい化粧板に交換することが可能である。第1化粧板14−1を交換する際には、第1筐体12−1側に設けている消火栓扉18も同時に交換することとなり、一方、第2化粧板14−2を交換する際には、第2筐体12−2側に設けている消火器扉32も同時に交換することとなる。
【0062】
図10はトンネルに設置した後に現場で第2筐体側を交換する場合の取外し方法および組付け方法を示した説明図である。消火栓装置10がトンネルの側壁に設置されると、車の進入側に設置されことが多い第2筐体12−2が腐食する可能性が第1筐体12−1よりも高い。また、第1筐体12−1は幅サイズが大きく重量も重いため、吊り輪25でつり下げが可能となっており、第1筐体を取り外す時には吊り輪25を利用して第2筐体も取り外すことも可能であるが、他方、第2筐体の交換時は第1筐体を取り外さなくても交換ができるようにしたい。従って、本実施形態は、筐体を交換する頻度と交換作業の容易さを考慮して、第2筐体12−2を優先的に交換が行いやすいように、矩形窪み部72を第1筐体側に形成し、フランジ76や化粧板14の形状を設計している。
図10において、第2筐体12−2を取り外す場合には、まず第2化粧板14−2を取り外して前面に開口し、この状態で
図6に示したように、第2筐体12−1の内部からボルト88を外し、第1筐体12−1との連結を解除する。
【0063】
続いて、第2筐体12−2内の電気機器に対する第1筐体12−1からの信号線の接続を外し、第2筐体12−2を前方に引き出す。このとき第1筐体12−1の連結面に対し第2筐体12−4の連結面はフラットであることから、トンネル壁面に窪み形成された収納部に消火栓装置が収納配置されていても、容易に外部に引き出すことができる。
【0064】
交換を必要とする新たな第2筐体12−2の組付けは、第2筐体12−2の連結面74−2を第1筐体12−1の連結面74−1に位置合せして押し込むことで、容易に連結位置に第2筐体12−2を収納することができ、この状態で
図6に示したように、第2筐体12−1の内部からボルト88を通して第1筐体12−1と連結固定し、電気機器に対する信号線の接続が完了したら、最終的に新たな第2化粧板14−2を取り付け固定して作業を完了する。
【0065】
第1筐体12−1を交換する場合は、第2筐体12−2のフランジ部76−2が第1筐体12−1の矩形窪み部72の前方に位置するため、先に第2筐体12−2を取り外すか、可能であれば横にずらして、フランジ部76−2が第1筐体に干渉しない位置にしてから第1筐体を取り外すこととなる。このように、どちらの筐体の交換を行いやすくするかを設定し、他方の筐体に矩形窪み部を形成するようにする。
【0066】
なお、上記の実施形態にあっては、第1筐体及び第2筐体のフランジ部の前面にシール部材を貼り付けた状態で第1化粧板と第2化粧板を取付固定しているが、フランジ部に対応した第1化粧板と第2化粧板の裏面にシール部材を貼り付けた状態で第1筐体と第2筐体側に取付固定するようにしても良い。
【0067】
また、上記の実施形態にあっては、第1筐体12−1における連結側の前面開口コーナー部に窪み部72を形成して連結部でのフランジ部の干渉をなくしているが、第1筐体12−1の交換優先度を高くする場合は、第2筐体12−2における連結側の前面開口コーナー部に窪み部を形成するようにしても良い。なお、両方の筐体に窪み部72を形成して各化粧板の側面折り返し部がそれぞれの窪み部に入り、各化粧板の側面が連結面の直前で対向させることも可能であるが、上記実施形態のように一方の筐体にのみ窪み部を形成するよりも筐体の製作コスト及び納期が多くかかることになり、上記実施形態の方が製作においては有利である。
【0068】
また、矩形窪み部72はフランジ部や化粧板14の側面が収納できる形状であれば、どのような形の窪み部であってもよい。
【0069】
また上記の実施形態は、筐体前面にシール部材を介して化粧板を配置しているが、必ずしもシール部材を配置する必要はなく、設置場所によってはシール部材を使用せずに、筐体前面と化粧板の間に隙間が形成されていても良い。
【0070】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。