(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744984
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】視聴覚ストリームの送信方法、受信方法、送信器及び受信器
(51)【国際特許分類】
H04N 21/238 20110101AFI20150618BHJP
H04N 21/438 20110101ALI20150618BHJP
H04N 21/637 20110101ALI20150618BHJP
H04N 7/173 20110101ALI20150618BHJP
【FI】
H04N21/238
H04N21/438
H04N21/637
H04N7/173 610Z
H04N7/173 630
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-164958(P2013-164958)
(22)【出願日】2013年8月8日
(62)【分割の表示】特願2007-51482(P2007-51482)の分割
【原出願日】2007年3月1日
(65)【公開番号】特開2013-243771(P2013-243771A)
(43)【公開日】2013年12月5日
【審査請求日】2013年8月9日
(31)【優先権主張番号】0650759
(32)【優先日】2006年3月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】レミ ウーダイユ
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム リュッベルス
(72)【発明者】
【氏名】エリック ゴティエ
【審査官】
赤穂 州一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−215069(JP,A)
【文献】
特開2007−060178(JP,A)
【文献】
特開2005−130087(JP,A)
【文献】
特開2003−324711(JP,A)
【文献】
特開2003−087668(JP,A)
【文献】
特開2000−101467(JP,A)
【文献】
特開2004−320660(JP,A)
【文献】
特開2002−262190(JP,A)
【文献】
特開2004−104416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 −21/858
H04N 7/10 − 7/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向接続を使用してサーバから受信器に視聴覚ストリームを送信するために前記サーバによって実行される方法であって、
第1の視聴覚データ・チャンネルの送信に対する第1の要求を受信する工程と、
前記第1の要求の受信に応じて、前記第1の視聴覚データ・チャンネルに対応するフル品位モードで、第1の視聴覚ストリームを前記受信器に送信する工程と、
前記第1の要求の前記受信に応じた前記第1の視聴覚ストリームを送信しながら低品位モードで少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを前記サーバから前記受信器に送信する工程であって、前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームは、前記受信器に記憶された視聴覚チャンネルの順序付けされたリスト内の前記第1の視聴覚データ・チャンネルに後続又は先行する少なくとも1つの第2のチャンネルに対応し、低品位モードの前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームは、低品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルに対応する工程と、
前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの1つの送信に対する第2の要求を受信する工程であって、前記第2の要求は前記第1の要求に後続している、工程と、
前記第2の要求の前記受信に応じて第3の視聴覚ストリームを前記受信器に送信する工程であって、前記第3の視聴覚ストリームは、フル品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの1つに対応する、工程と
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の要求は、前記第1の視聴覚データ・チャンネルに後続又は先行する前記少なくとも1つの第2のチャンネルの送信を設定する旨の要求を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
送信器であって、
双方向接続を使用してネットワークを介して視聴覚ストリームを送信する手段と、
第1の視聴覚チャンネルを受信器に送信することを求める前記受信器から発信された第1の要求を受信する手段であって、要求を受信すると、前記第1の視聴覚チャンネルに対応するフル品位モードで第1の視聴覚ストリームを前記受信器に送信するよう前記送信する手段の起動を引き起こす手段と、
前記受信器からの要求による前記第1の視聴覚ストリームを送信しながら低品位モードで少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを前記受信器に送信する手段であって、前記第1の要求を受信する手段によって起動され、前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームそれぞれは、前記受信器に記憶された視聴覚チャンネルの順序付けされたリスト内の前記第1の視聴覚チャンネルに後続又は先行する第2のチャンネルの視聴覚データを送信し、低品位モードにおける前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームは、低品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルに対応する、手段と、
第3の視聴覚ストリームを送信する手段であって、前記第3の視聴覚ストリームは、前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの何れかの視聴のための第2の要求を受信した場合にフル品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの1つに対応し、前記第2の要求は前記第1の要求に後続している、手段と
を有する送信器。
【請求項4】
受信器であって、
双方向接続を使用してネットワークを介して視聴覚ストリームを受信する手段と、
第1の視聴覚チャンネルの視聴のための第1のコマンドの入力に応じて、第1の視聴覚チャンネルに対応するフル品位モードでの第1の視聴覚ストリームの送信に対する第1の要求を送信する手段と、
少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを低品位モードでサーバが送信することを要求する手段であって、前記第2の視聴覚ストリームは、前記受信器に記憶された順序付けされたリスト内の前記第1の視聴覚チャンネルに後続又は先行する少なくとも1つの第2のチャンネルに対応する視聴覚ストリームのうちの何れかであり、低品位モードにおける前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームは、低品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルに対応している、手段と、
フル品位モードで前記第1の視聴覚ストリームを受信しながら低品位モードで前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを受信する手段と、
前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの何れかの視聴のための第2のコマンドの入力により、フル品位モードにおける第3の視聴覚ストリームを要求する手段であって、前記第2のコマンドは前記第1のコマンドに後続し、前記第3の視聴覚ストリームは、フル品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの1つに対応する、手段と、
前記第3の視聴覚ストリームを受信する手段と、
前記第3の視聴覚ストリームを表示する手段と
を備える受信器。
【請求項5】
視聴覚チャンネルのリストを入力する手段を更に備える、請求項4記載の受信器。
【請求項6】
前記受信器は、前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームから抽出された視覚コンテンツを示すモザイク画像を生成する手段を備える、請求項4又は5に記載の受信器。
【請求項7】
前記第1の視聴覚チャンネルを表示手段がフル品位モードで表示する、請求項4乃至6のうちの何れか一項に記載の受信器。
【請求項8】
双方向接続を使用して受信器がサーバから視聴覚ストリームを受信するために前記受信器によって実行される方法であって、
双方向接続を使用してネットワークを介して視聴覚ストリームを受信する工程と、
第1の視聴覚チャンネルの視聴のための第1のコマンドの入力に応じて第1の視聴覚チャンネルに対応するフル品位モードで第1の視聴覚ストリームを送信することを求める第1の要求を送信する工程と、
少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを低品位モードで前記サーバが送信することを要求する工程であって、前記第2の視聴覚ストリームは、前記受信器に記憶された順序付けされたリスト内の前記第1の視聴覚チャンネルに後続又は先行する少なくとも1つの第2のチャンネルに対応する視聴覚ストリームのうちの1つであり、低品位モードにおける前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームは、低品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルに対応している、工程と、
フル品位モードで前記第1の視聴覚ストリームを受信しながら低品位モードで前記少なくとも1つの第2の視聴覚ストリームを受信する工程と、
前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの何れかの視聴のための第2のコマンドの入力により、フル品位モードにおける第3の視聴覚ストリームを要求する工程であって、前記第2のコマンドは前記第1のコマンドに後続し、前記第3の視聴覚ストリームは、フル品位モードで送信される前記少なくとも1つの第2のチャンネルのうちの1つに対応する、工程と
を含む方法。
【請求項9】
前記第1の要求は、前記第1の視聴覚チャンネルに後続又は先行する前記少なくとも1つの第2のチャンネルの送信を設定する旨の要求を含む、請求項8記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによって制御される装置と、サーバとの間で視聴覚ストリームを送信する方法、ユーザ・インタフェースが備えられた、この方法を実施するマルチメディア受信器、及び視聴覚ストリームを送信する送信器に関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル・テレビジョン・システムでは、視聴可能なチャンネルの数は、非常に大きくなる。数百のチャンネルを、ユーザが視聴可能にすることが可能である。ユーザは、電子番組ガイド(EPG)を用いてチャンネルを選択するか、又は、その受信器に接続されたリモコン上の「番組+」ボタン又は「番組−」ボタンを押し、通常「ザッピング」と呼ばれているやり方でナビゲートすることによって一チャンネルから別のチャンネルに切り替えることも可能である。最初の場合には、EPGは、いくつかの数のチャンネル上(通常、16のチャンネル上)で送信される番組のビデオを示す、画像のモザイクから成り得る。前述の画像は小さい。よって、前述の画像それぞれを表示するための視聴覚データには、高い精度は何ら必要ない。このため、ビデオを送信するストリームは、低分解能モードにあり得る。低分解能ストリーム、又は削減されたストリームは、通常のストリームよりもずっと低い帯域幅を有するストリームである。ザッピングの場合には、受信器は、順序付けられたチャンネル・リストを有する。通常、送信ネットワークは、チャンネルに番号、及び、ユーザが後続又は先行チャンネルに飛ぶ際にナビゲーション・プログラムが従う順序が割り当てられる。ユーザは、ネットワークによって提供されるチャンネルから特定のチャンネルを選択することによってお気に入りリストを作成することも可能であり、ユーザは次いで、1つのチャンネルから別のチャンネルにザッピングすることによって自らのリスト内をナビゲートする。
【0003】
ユーザの装置には、通信ネットワークからのデータ・ストリームDを受信する装置も備えられている。通信は、「マルチキャスト」モード(文字通り、「ポイント・ツー・マルチポイント」モード)、又は、「ユニキャスト」モード(文字通り、「ポイント・ツー・ポイント」モード)で行われる。後者の場合、装置は、視聴覚データ・パケットを受信するために双方向通信手段(好ましくは、高速(例えば、IP DSL回線(DSLは「ディジタル加入者回線」の略)))を有する。装置は、判定されたチャンネルを受信する旨の要求をネットワークのサーバにアドレス指定し、マルチキャストの場合、ルータは、種々の要求を受信し、これを処理する。
【0004】
ザッピングしている際には、装置によって送信された番組の画像は、順次画面上に現れる。全ての場合において、切り替え時間は特に、
クライアントとネットワーク・ルータとの間の、コマンドの送信時間、
ストリームを設定する時間、
IPパケット管理バッファの容量(その到着のばらつきを吸収するため)、
ビデオ処理バッファの容量、及び、
次のイントラ符号化画像のためのウェイトを必要とする復号化の再同期化
によって変わってくる。
【0005】
このことが理由で、チャンネルを切り替える際、画面上の画像はフリーズし、場合によっては黒色画面が現れる。1つの解決策は、チャンネル全てを送信することを伴い、装置は、サーバに要求を何ら送信することなく単純な切り替えのみを行う。しかし、ADSL型のアクセスの場合、利用可能な帯域幅によって、複数の視聴覚ストリームが並列に、永久的に送られることが可能でなく、受信装置上の復号化リソースによって、通常、復号化処理を並列に乗算することも可能でない。したがって、この解決策は満足なものでない。
【0006】
トムソン社によって出願された特許文献1には、「通常の」ストリームのビット・レートを削減する方法が開示されている。チャンネルを切り替える旨の要求に後続して、復号器は、新たなチャンネルをフル品位モードで受信し、この同じチャンネルを低分解能モードで受信する旨をサーバに要求する。通常のストリーム、及びザッピングに予約されたストリームは、1つの同じチャンネルに多重化される。低分解能チャンネルは、ほぼ直ちに送信可能であり、したがって、ザッピング時間が削減されるが、ゼロには削減されない。実際には、所望のチャンネルの画像が、復号器が要求をサーバに送信した後に現れ、サーバは、これに劣化ストリームを送出する。
【0007】
OPIEによって出願された特許文献2には、複数の復号器にストリームを送信するサーバが開示されている。ユーザは、自らの復号器上で1つのチャンネルから別のチャンネルへの切り替えを指令する。サーバは、要求に応じて、ユニキャスト・ストリームにおいて少なくとも1つの画像Iを送出する。送信サーバ上の符号器は、通常のオーディオ/ビデオ・ストリームCONVIDを生成する。別のストリーム(FILLVID)は、黒色画像を、真の画像によって置き換えるために生成される。FILLVID画像ストリームによって、ザッピングの際に、よりすばやく切り替えることが可能になる。しかし、前述のストリームは、常に送信される。それによって、前述のチャンネルをユーザが選択しない場合、帯域幅が不必要に占められる。
【特許文献1】国際公開第2005/112465号パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/020995号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/196211号明細書
【特許文献4】国際公開第01/74063号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、使用帯域幅を最適にする一方で、ザッピングの際のチャンネル切り替え時間を削減するという前述の課題に対する新たな解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、サーバから装置に視聴覚ストリームを送信する方法であって、装置上で第1の視聴覚データ・チャンネルを視聴するためにコマンドを入力する工程と、第1のコマンドの入力に応じて、この第1のチャンネルに対応する第1のストリームをフル品位モードで装置に送信する工程とを備える方法において、
やはりコマンドの入力に応じて少なくとも1つの第2のストリームをサーバから装置に送信する第2の工程を備え、この第2のストリームは、第1のストリームよりも小さな帯域幅を有しており、第2のチャンネルの視聴覚データを送信し、この第2のチャンネルを、第1のコマンドに後続して第2のコマンドを入力することによって、フル品位におけるストリームによって受信することができることを特徴とする方法である。
【0010】
このようにして、本発明によって、ユーザがコマンドを用いて、差し迫って選択することが可能な、チャンネル上の低分解能ストリームの利用可能性を利用することが可能である。低分解能ストリームを受信する装置はよって、チャンネルを切り替える旨の、差し迫ったコマンドを予期し得る。
【0011】
改良策によれば、本発明は、削減された帯域幅を有する第2のストリームによって受信される第2のチャンネルを表示する第1の工程を引き起こす第2のコマンドを入力する工程と、この第2のチャンネルに対応する第3のストリームをフル品位モードで装置に送信する工程とを備え、第3のストリームの受信は、フル品位モードにおける第2のチャンネルの表示を引き起こす。このようにして、ユーザは、チャンネルの切り替えを要求すると、低分解能ストリームから抽出された画像を直ちにみる。次いで、フル品位ストリームが正しく受信された場合、表示は、フル品位ストリームに切り替わる。
【0012】
別の改良策によれば、第1の表示工程は、削減された帯域幅を有するチャンネルから抽出された画像をアニメ化する工程を備える。このようにして、低分解能ストリームとフル品位ストリームとの間の遷移は、ユーザにとって、驚くべき度合いが低下する。改良策では、アニメ化する工程は、フル品位ストリームによって送信される画像の表示で終わる。それによって、遷移の知覚が更に低下する。
【0013】
別の改良策によれば、装置は、フル品位モードであっても、帯域幅が削減されていても、サーバによって送信されるチャンネル全てによって送信される画像から成るモザイク画像を表示することが可能である。ユーザは、よって、ザッピング・コマンドの複数の選択肢を有し得るものであり、毎回、コマンドを入力することによって、新たに選択されたチャンネルの画像を直ちにみることが可能である。
【0014】
改良策によれば、帯域幅が削減されたチャンネルが、モザイク画像を送信するチャンネルから抽出される。このようにして、本発明は、既存のモザイク・ストリームを用いて、そこから、帯域幅が削減されたストリームを抽出する。改良策によれば、装置は、お気に入りチャンネル・リストを作成することが可能である。他のチャンネルは、お気に入りリスト内をナビゲートすることにより、第2のユーザ・コマンドによって直ちにアクセス可能である。よって、各装置がカスタマイズされ、サーバが、チャンネル切り替えコマンドの予期に寄与する。改良策によれば、装置はフル品位モードにおいてチャンネルを表示し、識別子は第2のストリームを識別する。
【0015】
本発明の別の対象は、ネットワークを介して視聴覚ストリームを送信する手段と、判定されたストリームをフル品位モードにおいて装置に送信するための送信手段の起動を引き起こす、判定されたストリームの送信のための、装置から発信される要求を受信する手段とを備える送信器である。送信器は、帯域幅が削減された少なくとも1つの第2のストリームを上記装置に送信する手段を備える。送信手段はやはり、要求を受信する手段によって起動される。第2のストリームは、判定されたストリームをみる際に装置上に入力されるコマンドによってアクセス可能である。
【0016】
本発明の別の対象は、ネットワークによって送信される視聴覚ストリームを受信する手段と、受信されたストリームを表示する手段と、ユーザによって選択されるフル品位モードにおけるストリームの送信に対する要求を送信する手段とを備える受信器である。受信器は、帯域幅が削減された少なくとも1つの第2のストリームを受信する手段、並びに、新たなストリームの送信、及び帯域幅が削減されて受信される第2のストリームのコンテンツの表示に対する要求の送信を引き起こす、ストリームを切り替える旨のコマンドを入力する手段も備える。フル品位モードにおける受信が設定されると、新たなストリームがその場合、表示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を実施する視聴覚受信器の構成図である。
【
図2】本発明による、サーバの種々の構成要素を示す図である。
【
図3a】視聴覚受信器とサーバとの間の種々の対話工程を示す図である。
【
図3b】視聴覚受信器とサーバとの間の種々の対話工程を示す図である。
【
図3c】視聴覚受信器とサーバとの間の種々の対話工程を示す図である。
【
図3d】視聴覚受信器とサーバとの間の種々の対話工程を示す図である。
【
図4a】本発明を実施する画面表示を表す図である。
【
図4b】本発明を実施する画面表示を表す図である。
【
図4c】本発明を実施する画面表示を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明は、以下の、例証として表す例示的な実施例の説明の意味合いにおける更なる詳細によって明らかになるであろう。
【実施例】
【0019】
表示装置2に接続された視聴覚受信器1の動作は、まず
図1を用いて説明する。受信器は、プログラム・メモリ(ROM)及び作業メモリ(RAM)4にリンクされた中央処理装置3と、ネットワーク6との双方向通信のためのインタフェース5とを備える。特定の実施例によれば、装置は、グラフィック画面を備えたコンピュータである。ネットワークは通常、インターネットであるが、本発明は、視聴覚ストリームの受信を可能にする何れかのネットワークに関する。フル品位モードにおいてストリーム全てを送信する可能性がないほどに、十分であるが、比較的制限されていなければならない。好ましい例示的な実施例によれば、ネットワークはADSL技術を用いる。受信器は、リモコン8からの信号を受信するための赤外線信号受信器7と、テレビジョン画面2に送出される視聴覚信号を生成するオーディオ/ビデオ復号化ロジック10とを更に備える。リモコン8は、方向ボタン↑、↓、→、←、並びに、P+、P−及びOKのボタンを備える。これらの用途は、本明細書で後述する。受信器は、データを画面上に表示する回路11(多くの場合、OSD(画面上表示)回路と呼ばれている)も備える。OSD回路11はテキスト及びグラフィックスの生成器である。それによって、メニュー又はピクトグラム(例えば、視聴されているチャンネルに対応する数字)の画面上の表示が可能になるか、又は、2つ以上の視聴覚コンテンツの混合が可能になる。OSD回路は、中央処理装置3と、メモリ4に常駐している、「ザッパー」と呼ばれるプログラムとによって制御される。ザッパーは通常、リードオンリー・メモリに入力されるプログラム・モジュール、及びランダムアクセス・メモリに記憶されるパラメータから成る。ザッパーは、例えば、ASICタイプのカスタム回路の形態でも実施可能である。この回路には、セキュリティ機能を備えることが可能である。これによって、支払いの対象の送信をユーザが視聴することにした際に支払いを行うことができる。
【0020】
受信器は視聴覚送信識別データを、戻りチャンネル6から、又は送信ネットワークから受信する。このデータは、視聴可能なアイテム(例えば、タイトル)、又はトレーラの画像を備える。EPGと、自らのリモコンのボタンとを用いれば、ユーザは、1つ又は複数の送信を選択してそれを受信する。
【0021】
ストリームを送信する送信器は好ましい実施例によれば、
図2に表すDSLAMサーバ20である。DSLAMサーバ20は、中央処理装置2.1、プログラム・メモリ2.2、符号化ロジック2.3、及び、前述の受信器との、ネットワーク6を介した複数の双方向リンク2.4を設定する通信インタフェースを備える。DSLAMサーバ20は、番組の束のチャンネル全てを送信器から受信する。ユーザの要求で、DSLAMはその受信器に、所望の番組を標準品位ストリームすなわちSDストリームにおいて送信する。ネットワーク終端は、低分解能ストリームを生成し、これをDSLAMの符号化ロジック2.3に送信する。この削減されたストリームは、特に番組ガイドに用いることが可能である。現在の傾向は、提示される番組のサムネイル表示をユーザ相互作用において備えることである(ザッピング・パネルの場合、これは、フル画面ビデオの表示と並列である)。
【0022】
削減されたサイズのストリーム(通常、16分の1の画像、QCIFとも呼ばれている)の送信を、帯域幅内のストリームに加えて処理することが可能である。フル品位ストリームを、削減されたストリームと並列にリアルタイムで復号化することは、許容可能である。
【0023】
本発明の種々の構成要素を説明した後、次に、それらがいかにして協調するかを続いて説明する。
【0024】
ユーザとサーバとの間の種々の対話は、4つの図(
図3a、
図3b、
図3c及び
図3d)によって図示する種々の工程によって示す。
【0025】
図3aによって示す工程3.1では、ユーザは自らのリモコンにチャンネル番号を入力しており、要求がDSLAM20に送信されている。次いで、通信が設定され、選択されたチャンネルの視聴覚コンテンツが送信される。
図3bに示す工程3.2では、受信器1は、背景タスクとしてザッパーを実行し始める。ザッパーは、受信されているチャンネル1を識別し、ユーザが自らのリモコン8のP+又はP-のボタンを押した場合に直ちにアクセス可能な番組を推定する。通常、ザッピング順序はストリームの番号により、番組送信器によって規定される。よって、次のザッピング・コマンドがチャンネル2を選択することを予期することが可能である。このようにして、サーバは、チャンネル切り替え要求を受信すると、送信しなければならない、削減されたストリームのチャンネルを推定する。変形は、ユーザが、お気に入りリストを規定し、リモコン8上のP+ボタン、P-ボタンを用いてこのリスト内をナビゲートすることを有する。ザッパーは、要求されたフル品位ストリームと、要求されたものに、先行する番組及び/又は後続する番組の、削減されたストリームとを設定する旨の要求をDSLAM20に送信する。受信器1は次いで、ユーザによって選択されたチャンネルのフル品位ストリームF1と、少なくとも、削減されたストリームF’2(場合によっては、F’3、F’4等)を受信する。表示はリアルタイムであり、直ちにデータの同期化が完了する。
【0026】
図3cによって示す工程3.3では、ユーザは、自らのリモコン8上のP+ボタンを押す。ザッパーは、現在送信されているチャンネルF1に続くチャンネルF2を受信する旨の要求をDSLAMに送信する。同時に、ザッパーは、表示する対象のデータの抽出をストリームF1から、削減されたストリームF2に切り替える、データは、表示手段2上のビデオ再生、及びオーディオ信号の送信のためのオーディオ/ビデオ復号化ロジック10に送出される。このようにして、ザッピング・コマンドは直ちに、所望の番組が現れることをもたらす。ザッパーが、削減されたストリームを用いる限り、再生は、並の品質の再生になるが、ユーザが動作をたどるには十分な品質の再生になる。削減されたストリームは、例えば、小型アニメ化画像(すなわち「サムネイル(imagette)」がモザイク画像内に組み入れられるよう表示されることが企図されている場合、ザッパーは、小型アニメ化画像を拡大し、これをフル画面で表示する。ストリームF2が画像に達し、それによって、それに同調させることが可能になると、表示は、削減されたストリームからフル品位ストリームに切り替わる。
【0027】
図3dによって示す工程3.4では、DSLAMはフル品位ストリームF2を介して所望の番組を送信する。受信器は、フル品位ストリームからデータを抽出し、更に、表示手段2、及びオーディオ信号の送信のためにオーディオ/ビデオ復号化ロジック10にこれを送出する。この時点から、ユーザは、最適な再生品質で所望のチャンネルを受信する。DVB_IP標準は、RTP信号及びRTSP信号を用いて複数のストリーム間の同期化を管理することを推奨する。受信器1は、これらの信号を用いて、削減されたストリームF’iと、対応するフル品位ストリームFiとの間の遷移、及び逆の遷移に対する同期化を確実にする。更に、リモコン8上のP+ボタン又はP-ボタンを用いてザッピング・コマンドを入力することにより、ユーザによって選択される確率が最大の、新たな番組の、削減されたストリームを設定する旨の要求をDSLAMに送信する。
【0028】
受信器は、ユーザがチャンネルを切り替えた場合、対応する、削減されたストリームが既に接続されているような位置を採用するために、ユーザが要求しないストリームを要求する。種々の既知の予期ヒューリスティックをここで利用可能である。
【0029】
改良策によれば、新たなチャンネルがザッピング・コマンドによって選択された後、ザッパーによって識別される後続ストリーム及び先行ストリームのレファレンスが、画面の最下部にあるパネルに現れる。このパネルは数秒後に消える。このようにして、これらのチャンネルをザッピング・コマンドによって直ちに視聴することが可能であることをユーザは分かっている。
【0030】
前述の記載では、本発明は、ユーザが、コマンドを入力することによってチャンネル間をナビゲートする際のザッピングの意味合いで説明している。本発明は、この意味合いに限定されない。他のイベントが、ユーザの挙動を予期する要求を引き起こすことが可能である。例えば、現在送信されている番組が、他のチャンネル上で同時に送信されている他の番組について触れている場合、受信器1は、ユーザが選択し得る場合に前述の番組を送信するチャンネルの、削減されたストリームをそれに送信する。別のイベントは、おそらく新たなコマンドを入力するためにユーザが手に取った旨を受信器に通知する、リモコン8上のセンサを操って、ユーザがリモコンを捕らえることである。受信器1は、ザッピング・リスト内の現在のものに後続する番組及び先行する番組のストリームをそれに送信する旨をDSLAMに要求することによって、ザッピング・コマンドを予期する。
【0031】
単純な実施例によれば、ザッパーは、削減された1つのストリームのみを要求する。このストリームは、同じ最後のザッピング・コマンドによってユーザにより選択されたチャンネルに対応するものである。現在の番組をアクセスするためにユーザがP+を押した場合、DSLAMに要求されるのは、後続チャンネルの、削減されたストリームである。現在の番組をアクセスするためにユーザがP-を押した場合、DSLAMに要求されるのは、先行チャンネルの、削減されたストリームである。帯域幅がより集約されたモードでは、P+コマンドによって、又はP-コマンドによってアクセス可能な2つのチャンネルに対応する、削減された2つのストリームをサーバに要求する。
【0032】
別の実施例によれば、サーバは、サーバ上の、削減されたストリームを集約することによって構成されるモザイク画像を伝送するストリームを送信する。受信器は、ザッピング・コマンドによって要求されたチャンネルの画像をモザイク画像から抽出する。ザッピング・コマンドに後続して、この画像は拡大され、フル画面で現れる。この実施例の利点は、サーバがモザイク・ストリームを常に送信するので、サーバに対する特定の要求が何ら必要でないことである。実施例の変形によれば、サーバはモザイク・ストリームを送信しない。よって、削減された8つのストリームを受信する旨を要求するのはザッパーである。4つのストリームが、1回、2回、3回及び4回「P+」ボタンを押すことによってアクセス可能なチャンネルに対応し、4つのストリームが、1回、2回、3回及び4回「P-」ボタンを押すことによってアクセス可能なチャンネルに対応する。「M」(「モザイク」の略)ボタンを押すことによって、ザッパーは、削減された8つのストリームによって送信されるビデオ、及びフル品位モードにおいて受信されるストリームを示す。好ましくは、ストリームのビデオ画像は、9つの画像のモザイクの中央にフル品位モードで受信される。このようにして、モザイク画像は非常に短い時間に現れる。ストリームが既に利用可能であるからである。モザイク画像は、9以外の数(例えば、16個又は25個の)の画像を備え得る。モザイク・モードでは、「P+」又は「P-」を押すことによって、ユーザは、フル品位モードにおいて受信されたチャンネルを切り替える。装置は、新たなチャンネルを削減モードにおいて受信する旨を要求する要求をサーバに送信する。当初、モザイクは、8個の画像を表示し、次いで、削減された新たなストリーム・チャンネルに対応する9番目の画像を表示する。前述の遅延表示によって、1つのモザイク画像から別のモザイク画像(特に、新たなチャンネルの画像)への切り替えをユーザがよりうまく区別することが可能になる。
【0033】
削減されたストリームは、通常の画像よりも低い品位の画像を表示するのに用いるストリームである。削減されたストリームは、フル品位系列よりも高速ザッピングを好む短いGOP形式を有し得る(この画像サイズ上の画像Iのオーバヘッドはフル品位モードにおけるオーバヘッドよりも少ない)。
【0034】
図4a、
図4b及び
図4cは、ザッピング・コマンドの前に表示された画像及びザッピング・コマンドの後に表示される画像に対する変更を示す。
図4aは、フル品位ストリームから抽出された画像を示す。ユーザは、次のチャンネルに切り替える旨のコマンドを起動させる。ザッパーは、削減されたストリームから画像が抽出され、
図4bの画面表示が次いで現れる。表示される画像は、並の品質の画像である。特定の時間後、受信器は、フル品位ストリームを設定し、
図4cに表す画像(最適な品質の画像)を表示する。
【0035】
図4において分かるように、ザッピング・コマンドの直後、削減されたストリームから得られる画像は、フル品位モードにおける画像に対して劣化している。改良によって、ユーザの眼に対して、この劣化を一時的にマスクすることが可能である。実際には、削減されたストリームとフル品位ストリームとの間の視覚的な遷移は比較的顕著であり、このことはユーザを驚かせ得る。第1の手法は、画面領域全てを包含するために「ズーム効果」を与えて当初の小型アニメ化画像を順次拡大することによって、劣化画像を表示することから成る。前述のアニメ化は、フル品位ストリームに同調させるのに必要な時間と同様な時間であり得る時間を要する。視覚的には、サイズが変動する画像において、分解能の問題は、より目立たない。画像は、当初小さいので、削減されたストリームから抽出されることはよって、大きくマスクされる。別の手法は、アニメーションを作成することから成る。削減されたストリームから抽出された画像は画面部分として、場合によっては左に、場合によっては右に現れる。別の手法は、回転し、拡大する立方体の2つの側面上に、削減されたストリームから抽出された画像を提示することから成る。回転の終わりに、側面は画面全体を占めており、この時点で、フル品位ストリームへの切り替えが行われる。別の手法は、フェードイン、フェードアウト、又は何れかの他のアニメ化を作成することから成る。この目的は、ユーザの注目を当初の画像の品質からそらすことである。全ての場合、アニメーションは、フル品位ストリームの設定に要する時間、持続する。フル品位ストリームが設定されると、このストリームから抽出されたフル品位画像が表示される。効果的には、この時間は、先行する切り替え時に測定された最長時間に相当する。
【0036】
ユーザの眼から遷移をマスクする別のやり方は、フィルタを合わせることから成る。通常、受信器は、削減されたストリームから得られる拡大画像と、フル品位画像との間の重み付け平均を算出する。重み付けは、少なくともフル品位ストリームの設定に必要な時間を含む時間内に(100%,0%)から(0%、100%)まで変動する。効果的には、フィルタリング・ステップの時間は、ストリーム設定の時間をかなり超える。これによって、フル品位データを最終的に用い、よって、100%フル品位の画像を達成することが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 受信器
2 画面
3 中央処理装置
4 プログラム・メモリ
5 双方向ネットワーク・インタフェース
6 双方向ネットワーク
7 リモコン・インタフェース
8 リモコン
10 オーディオ/ビデオ・インタフェース
20 送信器
2.1 中央処理装置
2.2 プログラム・メモリ
2.3 データベース
2.4 双方向インタフェース