(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5744985
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】抗菌剤
(51)【国際特許分類】
A61K 36/07 20060101AFI20150618BHJP
A61K 8/97 20060101ALI20150618BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20150618BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20150618BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
A61K35/84 A
A61K8/97
A61Q11/00
A61P1/02
A61P31/04
【請求項の数】1
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-169750(P2013-169750)
(22)【出願日】2013年8月19日
(62)【分割の表示】特願2011-211692(P2011-211692)の分割
【原出願日】2005年6月27日
(65)【公開番号】特開2013-237699(P2013-237699A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2013年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】307013857
【氏名又は名称】株式会社ロッテ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(74)【代理人】
【識別番号】100173587
【弁理士】
【氏名又は名称】西口 克
(74)【代理人】
【識別番号】100173602
【弁理士】
【氏名又は名称】赤津 悌二
(74)【代理人】
【識別番号】100183139
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 稜
(72)【発明者】
【氏名】関谷 敦
(72)【発明者】
【氏名】根田 仁
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 敦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 さとみ
(72)【発明者】
【氏名】志村 進
【審査官】
鈴木 理文
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−069961(JP,A)
【文献】
特開平06−256378(JP,A)
【文献】
特開2000−247900(JP,A)
【文献】
特開平05−192034(JP,A)
【文献】
特開2002−173441(JP,A)
【文献】
特開平03−119974(JP,A)
【文献】
特開平09−019269(JP,A)
【文献】
特開平09−019270(JP,A)
【文献】
特開2004−277414(JP,A)
【文献】
特開平07−008214(JP,A)
【文献】
特開2005−089423(JP,A)
【文献】
特開2005−029493(JP,A)
【文献】
特開平10−033648(JP,A)
【文献】
特開2004−051603(JP,A)
【文献】
特開平11−021218(JP,A)
【文献】
特開2004−107231(JP,A)
【文献】
特開2000−060485(JP,A)
【文献】
Giorn. Batt. Virol. Immunol.,1981年,Vol.74 No.1-2,pp.267-274
【文献】
Int. J. Med. Mushrooms,2002年,Vol.4,pp.127-132
【文献】
Phytopathology,2002年,Vol.92 No.6 suppl.,p.151
【文献】
J. Agric Food Chem.,1997年,Vol.45,pp.4049-4052
【文献】
日本農芸化学大会講演要旨集,2004年,Vol.2004,p.284 右上
【文献】
日本農芸化学大会講演要旨集,2004年,Vol.2004,p.284 右上の次
【文献】
Phytochemistry,1993年,Vol.34 No.5,pp.1445-1446
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/07
A61K 8/97
A61P 1/02
A61P 31/04
A61Q 11/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナメコ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物を有効成分とする、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌剤、
ヒラタケ菌糸体の水抽出物を有効成分とする、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)あるいはポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌剤、
ヤマブシタケ子実体の50%エタノール水溶液による抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌剤、
ヤマブシタケ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物を有効成分とする、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌剤、
ニオウシメジ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物を有効成分とする、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌剤、
マゴジャクシ菌糸体の水抽出物を有効成分とする、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌剤、又は、
マゴジャクシ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物を有効成分とする、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔疾患である虫歯(う蝕)の原因菌とされるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)や、歯周病の原因菌とされるアクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(Fusobacterium nucleatum)、炎症性起因菌である溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の増殖を抑制す
る担子菌類由来の抽出物を有効成分とする抗菌
剤に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内には数百種類もの細菌が存在し、デンタルプラーク、歯肉溝、唾液などでそれぞれ特有の細菌叢を形成して生息し、う蝕や歯周病の原因に密接に関わっている。
【0003】
強いう蝕原性を有するミュータンスレンサ球菌(Streptococcus mutans、Streptococcus sobrinus)は飲食物中のスクロースから粘着性のある多糖を合成する。その多糖の中では、ミュータンスレンサ球菌をはじめ種々の細菌が繁殖し、デンタルプラークを形成する。また、ミュータンスレンサ球菌は、種々の糖から乳酸などの有機酸を生成し、デンタルプラーク中に滞留させるので、歯のエナメル質を侵し虫歯を誘発する。歯肉縁上プラーク細菌であるレンサ球菌に次いで数の多いのが放線菌(アクチノマイセス(Actinomyces))を中心としたグラム陽性桿菌ある。アクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)はデンタルプラークの構成細菌であると同時に歯石形成に関与しており、根面う蝕、特に深部象牙質う蝕病巣から高い割合で検出される。また、アクチノマイセス・ビスコサス細胞壁成分が主に免疫病理学的傷害作用を起こし、それらが人の歯肉縁に関与していると考えられている。従って、う蝕、歯石の発生を予防するためには、上記したミュータンスレンサ球菌、アクチノマイセス・ビスコサスの増殖を抑制することが最も効果的な方法である。
【0004】
歯周病は、口臭(悪臭)、歯肉の腫れ/痛みを発生させ、更に悪化すると、歯根膜疾患、歯肉ポケットの発生及び歯槽骨の減損を生じ、歯の動揺/脱落を発生させる。歯周病は、デンタルプラークや歯石を放置しておくことにより発生する。上記プラーク内では健康歯肉の局所細菌叢に比べ成人性歯周炎の病原菌として知られているフゾバクテリウム・ヌクレイタム(Fusobacterium nucleatum)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)等の偏性嫌気性菌の割合が高くなる。またこれらの細菌は口臭の原因物質であるメチルメルカプタンを産生する原因菌であることが知られている。従って、歯周病の発生及び口臭の発生
を予防するためには、歯周病菌の増殖を抑制することが最も効果的な方法である。
【0005】
連鎖球菌感染症は炎症性起因菌である溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)が咽頭に進入し発育することにより発症する真皮の瀰漫性炎症であり、乳幼児、高齢者、又は抵抗力の低下した人に多くみられる疾患である。発熱、咽頭炎、扁桃炎、苺舌と菌が産出する外毒素による赤い発疹を認めるものを猩紅熱と呼ぶ。
【0006】
ブドウ球菌は、鼻腔、皮膚、口腔、消化管などに広く分布する化膿性疾患の主な病原菌である。特に病原性の強いものが黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)であり、その生産する腸管毒による食中毒の原因菌ともなる。口腔内においては、う蝕の進行した感染根管や根端病変からの分離率が高い。さらに、顎骨の骨髄炎、耳下腺炎などを起こすことがある。
【0007】
さらに近年、口腔細菌が肺炎や心血管系の疾患など多くの全身疾患にも関連されていることが示唆されており(例えば非特許文献1参照)、そのため全身の健康のためにもオーラルケアの必要性が強調されるようになってきた。
【0008】
ここで、上記のような口腔内疾患及び連鎖球菌感染症、黄色ブドウ球菌に対する従来の治療法について、以下説明する。
【0009】
虫歯、歯周病などの口腔病原菌に対する治療用薬剤としては、これらの病原菌の生育を抑制するような殺菌剤又は抗菌性物質の応用が試みられてきた。例えば、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、ポピドンヨード等の殺菌剤やペニシリン類、セフェム類、ニューキノン類、マクロライド系等の抗菌性物質が従来使われてきた。(例えば非特許文献1、2参照)溶血性連鎖球菌症も同様にペニシリン、エリスロマイシン、クリンダマイシン等の抗菌性物質が治療に使用されている。メチシリン、セフェム耐性等の多剤耐性が問題となっている黄色ブドウ球菌で、最も信頼されている抗菌性物質がバンコマイシンである。
【0010】
しかしながら、これら抗生物質は、作用が強力であるが、副作用が強く、更にこれらの抗生物質に対する耐性菌が出現する可能性も指摘されており、長期にわたっての使用は困難とされている。他の殺菌剤も抗菌スペクトルがかなり広いことから、高濃度で使用すれば、口腔内の正常細菌叢を乱して、菌交代症などを引き起こす可能性がある一方、低濃度の使用では、病原菌に対する充分な実行が得られないという問題点があった。(例えば非特許文献2、3)
【0011】
このような観点から、日常的に使用出来る抗菌性物質として、比較的作用の温和な植物抽出物や香料成分の応用が種々検討されてきている。食品又は天然物由来の成分で虫歯及び歯周病などの口腔内疾患に効果を有する物として緑茶抽出物(カテキン類)(例えば特許文献1、2、非特許文献4、5参照)、決明子抽出物、車前子抽出物(例えば特許文献3参照)、ハトムギエキス(例えば特許文献4参照)、キンマエキス(例えば特許文献5参照)が知られている。
【0012】
しかし、緑茶由来カテキン類は高価なので、虫歯菌、歯周病菌の増殖阻害有効量のカテキン類を食品に添加して安価に供給することは困難であった。またカテキン類は特有の不快な苦味を有し、ヒトの嗜好性を低下させるので、虫歯菌、歯周病菌の増殖阻害有効量のカテキン類を添加して嗜好性に優れる食品を供給するのは困難であった。
【0013】
さらに、カテキン類は食品中のタンパク質との結合性が高いので、虫歯菌、歯周病菌の増殖阻害に対して有効量のカテキン類を添加したタンパク質性の食品を与えても、ヒトの口腔内にカテキン類を残留させ、抗菌活性を発揮させるのは困難であるという問題もあった。(例えば非特許文献6)
【0014】
一方、決明子抽出物、車前子抽出物、ハトムギエキス、キンマエキス等は満足な活性を持つものが得られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】ミュータンスレンサ球菌の臨床生物学、2003年、p190−191
【非特許文献2】新口腔感染症とアレルギー、2000年、p380−382、p433−434
【非特許文献3】ポケット医薬品集、2001年、p785−790
【非特許文献4】Agric.Biol.Chem.,53巻9号、1989年、p2307−2311
【非特許文献5】Biosci.Biotech. Biochem.,60巻5号、1996年、p745−749
【非特許文献6】Crit Rev Oral Biol Med,13巻2号、2002年、p190−192
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平1−265010号公報
【特許文献2】特開平4−77424号公報
【特許文献3】特開平5−163128号公報
【特許文献4】特開平5−23153号公報
【特許文献5】特開平9−278666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記事情を鑑みなされたもので、飲食品に対しても安心して使用できる安全性の高い子嚢菌類又は担子菌類由来の抽出物を有効成分とし、口腔用組成物及び飲食品などに配合または添加して使用される抗菌剤を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、前記課題を解決するため、副作用がなく安全性が高く古来より利用されている子嚢菌類又は担子菌類に注目し、口腔疾患である虫歯(う蝕)の原因とされるストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、歯周病の原因とされるアクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)、炎症性起因菌である溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)、食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)の増殖を抑制する素材を見出すため、抗菌試験を実施した。その結果、
ナメコ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物が、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌活性、ヒラタケ菌糸体の水抽出物が、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)あるいはポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌活性、ヤマブシタケ子実体の50%エタノール水溶液による抽出物が、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌活性、ヤマブシタケ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物が、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌活性、ニオウシメジ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物が、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌活性、マゴジャクシ菌糸体の水抽出物が、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)に対する抗菌活性、又は、マゴジャクシ菌糸体の50%エタノール水溶液による抽出物が、ストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)あるいはストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)に対する抗菌活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
即ち、本発明は、上記
の担子菌の抽出物を有効成分とする抗菌
剤に関するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の抗菌剤は
、担子菌類由来の抽出物を有効成分とし、口腔疾患である虫歯(う蝕)の原因菌とされるストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)、歯周病の原因菌とされるとされるアクチノマイセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(Fusobacterium nucleatum)、炎症性起因菌である溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)の増殖を抑制する効果を有する。
【0021】
発明品の原料となる子嚢菌類及び/又は担子菌類はナメコ、キクラゲ、ヤマブシタケ、ブクリョウはじめとして、いずれも生薬、食品として古くより用いられているものであり、これらの抽出物及びそれを配合した口腔用組成物並びに飲食品の安全性については全く問題がない。
【0022】
本発明の抗菌剤は、自然界に豊富に存在する子嚢菌類及び担子菌類によるものであり、子実体のみでなく菌糸体の利用により安価に大量生産することが可能である。
【0023】
また、本発明の
抗菌剤を含む口腔用組成物及び飲食品は、緑茶抽出物等を配合した従来品と比べて本発明の抗菌剤の添加による風味の変化は認められず、よって、ヒトの嗜好性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
子嚢菌又は担子菌は、生のまま、乾燥したものといずれの形態であっても本発明に利用できる。また、菌糸体、子実体(きのこ)どちらか一方、または両方を使用することができる。
【0025】
上記子嚢菌及び担子菌原料から抽出物を得るためには、あらかじめ、適当な粉砕手段で粉砕すると良い。粉砕物から本発明の抽出物を得る方法については特に限定しないが、水、メタノール、エタノール並びにn−プロパノール等の低級アルコール、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン、エーテル等の有機溶剤の1種または2種以上の混合溶媒を加え、従来行われている抽出方法によって、本発明の子嚢菌及び担子菌抽出物を得ることができる。しかし、本発明はヒトに、または食物として用いるものであることを考慮すると、抽出溶剤としては安全性の面から水とエタノールとの組み合わせを用いるのが好ましい。
【0026】
抽出条件としては高温、室温、低温のいずれかの温度で抽出することができるが、50〜90℃で1〜5時間程度または室温で24時間程度が好ましい。抽出液は濾過し、抽出溶剤を留去したあと、減圧下において濃縮または凍結乾燥したものを使用することができる。また、これらの抽出物を有機溶剤、カラムクロマトグラフィ等により分画精製したものも使用することができる。
【0027】
また、本発明の抗菌剤を、練り歯磨き、粉歯磨き、液状歯磨、洗口剤、義歯洗浄剤、うがい薬、歯肉マッサージクリームなどの口腔用組成物に配合してもよい。
【0028】
また本発明の抗菌剤は、安全性が高いことから、食品素材として飲食品に用いる場合、菓子類(ガム、キャンディ、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(醤油、味噌等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)に配合することができる。また、インスタント食品に添加してもよい。
【0029】
上記のような日常使用する口腔用組成物や日常的に摂取する飲食品に、本発明による安全性の高い抗菌剤を配合することで、抗菌剤を日常的に摂取することが可能となり、虫歯、歯周病等の予防が容易且つ気軽に実行可能となる。また、口腔用組成物や飲食品に抗菌剤を配合することで、抗菌剤の口中での滞在時間が長くなり、抗菌剤が口腔中に広く行き渡る等の更なる効果が付加されるため特に好ましい。具体的には、ガムやキャラメルやグミやキャンディや練り歯磨きや粉歯磨きや歯肉マッサージクリームに抗菌剤を配合することで抗菌剤の口中での滞在時間が長くなり非常に好ましい。また更に飲料や液状歯磨や洗口剤やうがい薬に抗菌剤を配合することで、抗菌剤が口腔中全体(歯の隙間等)に隈なく行き渡るため非常に好ましい。
【0030】
本発明の
抗菌剤を含む口腔用組成物における上記抗菌剤の配合量は、使用形態あるいは使用目的によって適宜選定することができるが、対象となる細菌の生育を阻止又は抑制できる量の抗菌剤を含むことが必要である。基本的には、後述する細菌に対する最小阻止濃度(MIC)を基準にして、最小阻止濃度の1〜10000倍程度の濃度になるよう配合することが望ましく、より具体的には、通常、組成物全体の質量に対して0.001〜5%(質量%、以下同様)、好ましくは0.01%〜5%、より好ましくは0.05%〜2%程度の配合量が望ましい。
【0031】
本発明品の原料となる子嚢菌類及び担子菌類はアミガサタケ、ナメコ、ヤマブシタケ、ブクリョウをはじめとして、いずれも生薬、食品として古くより用いられているものであり、これらの抽出物及びこれを配合した口腔用組成物並びに飲食品の安全性については全く問題ない。
【0032】
以下、試験例を挙げて本発明品を更に詳細に説明するが、それらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【0033】
本試験は本発明の子嚢菌類及び担子菌類の抽出物の虫歯(う蝕)の原因とされる菌、歯周病に関与するとされる菌、溶血性連鎖球菌、病原性ブドウ球菌に対する増殖抑制効果を調べるために、次に示す試験方法(供試試料、供試菌株、使用培地、試験法)により実施した。
【0034】
1)供試試料
以下の方法で作製した子嚢菌又は担子菌抽出物を単独で、またウスヒラタケ及びハナビラタケ菌糸体50%エタノール抽出物を混合して使用した。
【0035】
ヤマブシタケ子実体の凍結乾燥粉末30gに50%エタノール600mlを加え、還流冷却器をつけて、90℃で1時間還流しながら抽出した。得られた抽出液をろ別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物を12.0g得た。
【0036】
同様にして、キクラゲ、ブナシメジ及び対照例として緑茶について、50%エタノールを用いて抽出し、抽出液を濃縮または凍結乾燥することにより抽出物を調製した。抽出物の収率を表1に示した。
【0037】
キクラゲ菌糸体の凍結乾燥燥粉末1gに水50mlを加え、室温で24時間振とうしながら抽出した。得られた抽出液をろ別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物を0.12g得た。
【0038】
同様にして子嚢菌及び担子菌菌糸体93種の凍結乾燥粉末について、水を用いて抽出し、抽出液を濃縮または凍結乾燥することにより抽出物を調製した。抽出物の収率を表1に示した。
【0039】
キクラゲ菌糸体の凍結乾燥燥粉末1gに50%エタノール50mlを加え、室温で24時間振とうしながら抽出した。得られた抽出液をろ別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することによりそれぞれ抽出物を0.12g得た。
【0040】
同様にして子嚢菌及び担子菌菌糸体93種の凍結乾燥粉末について、50%エタノールを用いて抽出し、抽出液を濃縮または凍結乾燥することにより抽出物を調製した。抽出物の収率を表1に示した。
【0041】
ヤマブシタケ菌糸体の凍結乾燥粉末1gに100%アセトン50mlを加え、還流冷却器をつけて、1時間還流しながら抽出した。得られた抽出物をろ別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物を0.29g得た。
【0042】
同様にしてウスヒラタケについて100%アセトンを用いて抽出し、抽出液を濃縮または凍結乾燥することにより抽出物を調製した。各抽出物の収率を表2に示した。
【0043】
ヤマブシタケ菌糸体の凍結乾燥粉末1gに100%ヘキサン50mlを加え、還流冷却器をつけて、1時間還流しながら抽出する。得られた抽出物をろ別し、溶媒を除去した後、凍結乾燥することにより抽出物を0.05g得た。
【0044】
同様にしてウスヒラタケについて100%ヘキサンを用いて抽出し、抽出液を濃縮または凍結乾燥することにより抽出物を調製した。各抽出物の収率を表2に示した。
【0049】
2)供試菌株
虫歯の原因とされる菌としてストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(S.sobrinus)。歯周病に関与する菌としてアクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)。溶血性連鎖球菌(ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes))。黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus))。
【0050】
3)使用培地および前培養条件
上記したストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(S.sobrinus)およびストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)はブレインハートインヒュージョン(BHI)液体培地に摂取し、37℃で24時間培養し前培養液とした。アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)はイーストエキストラクト(0.3g)、トリプチケースソイブロス(3g)、ヘミン(0.5mg)、メナジオン(0.05mg)を水へ添加し100mlに調製した液体培地に摂取し、37℃で24〜48時間嫌気的に培養し前培養液とした。スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)はニュートリエントブロス(0.8g)、イーストエキストラクト(0.5g)、グルコース(0.1g)を混合し調製した液体培地に摂取し、37℃で24時間培養し前培養液とした。
【0051】
4)試験法
上記供試試料1.6mgを2%エタノール溶液1mlに溶解し子嚢菌および担子菌抽出液として96穴マイクロプレート上に2連で100μl添加した。なお2種類の供試試料を用いる時は各0.8mg(合計1.6mg)を2%エタノール溶液1mlに溶解し96穴マイクロプレート上に2連で100μl添加した。2%エタノール溶液を用いて順次希釈することにより、96穴マイクロプレートに2倍希釈系列を作成した。調製した各ウェルに2倍濃度培地で希釈した各菌体を100μl添加し37℃で24〜48時間、虫歯の原因菌とされるストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリナス(S.sobrinus)、溶血性連鎖球菌(ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes))、黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)は好気条件で、歯周病に関与する菌アクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)は嫌気条件で静地培養した。子嚢菌および担子菌抽出物最終濃度は800μg/ml、400μg/ml、200μg/ml、100μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/ml、6.25μg/ml、3.13μg/ml、1.56μg/ml、0.78μg/mlとした。各ウェルの濁度から最小発育阻止濃度(以下、MICと略称する)を測定した。
(1)試験結果
子実体の50%エタノール抽出物を用いた結果を表3に、菌糸体の水抽出物を用いた結果を表4に、菌糸体の50%エタノール抽出物を用いた結果を表5に、菌糸体の100%アセトン抽出物を用いた結果を表6に、菌糸体の100%へキサン抽出物を用いた結果を表7に、2種類の菌糸体の50%エタノール抽出物を混合して用いた結果を表8に示した。
【0061】
(2)評価結果
1.担子菌及び子嚢菌の溶媒抽出物は口腔内う蝕に関与するとされている細菌又は/及び歯周病に関与するとされている細菌又は/及び黄色ブドウ球菌又は/及び溶血性連鎖球菌に対して抗菌性を示す事が明らかとなった。
【0062】
2.溶媒の種類については、低極性溶媒(例えば50%エタノール、アセトン、ヘキサン)を用いて抽出したサンプルの方が抗菌性に優れていることが明らかとなった。
【0063】
3.2種類以上の菌糸体抽出物を混合して用いることにより1種類だけで用いた時より抗菌活性の対象となる細菌数の増加が認められ、混合使用の効果が確かめられた。
【0064】
4.抗菌性が認められている緑茶抽出物及び市販品緑茶抽出物と比較して担子菌、及び子嚢菌抽出物は抗菌活性に優れていることが認められた。
【0065】
以上の試験結果により、本発明品である上記担子菌及び子嚢菌より得られた抽出物は、口腔疾患である虫歯(う蝕)の原因とされるストレプトコッカス・ミュータンス(S.mutans)、ストレプトコッカス・ソブリヌス(S.sobrinus)、歯周病の原因とされるとされるアクチノマイセス・ビスコサス(A.viscosus)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)、フゾバクテリウム・ヌクレイタム(F.nucleatum)、炎症性起因菌である溶血性連鎖球菌のストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)、食中毒の原因菌である黄色ブドウ球菌スタフィロコッカス・アウレウス(S.aureus)の増殖抑制活性を持つことが今回初めて明らかとなった。
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明品を更に詳細に説明するが、それらによって本発明品の範囲を制限するものではない。
【実施例1】
【0067】
ヤマブシタケ子実体50%エタノール抽出物を用い、以下の処方にて、錠剤を調製した。
【0068】
D−マンニトール 44.0部
乳糖 40.0部
結晶セルロース 10.0部
ヒドロキシプロピルセルロース 5.0部
ヤマブシタケ子実体50%エタノール抽出物 1.0部
100.0
【実施例2】
【0069】
ヤマブシタケ菌糸体100%アセトン抽出物を用い、以下の処方にて、トローチ剤を調製した。
【0070】
ブドウ糖 72.3部
乳糖 19.0部
アラビアゴム 6.0部
香料 1.0部
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.7部
ヤマブシタケ菌糸体100%アセトン抽出物 1.0部
100.0
【実施例3】
【0071】
ヤマブシタケ菌糸体100%ヘキサン抽出物を用い、以下の処方にて、含嗽剤を調製した。
【0072】
エタノール 2.0 部
香料 1.0 部
サッカリン 0.05部
塩酸クロルヘキシジン 0.01部
ヤマブシタケ菌糸体100%ヘキサン抽出物 0.5 部
水 96.44部
100.0
【実施例4】
【0073】
ヤマブシタケ菌糸体50%エタノール抽出物を用い、以下の処方にて、練り歯磨を調製した。
【0074】
炭酸カルシウム 50.0 部
グリセリン 20.0 部
カルボオキシメチルセルロース 2.0 部
ラウリル硫酸ナトリウム 2.0 部
香料 1.0 部
サッカリン 0.1 部
ヤマブシタケ菌糸体50%エタノール抽出物 1.0 部
クロルヘキシジン 0.01部
水 23.9 部
100.0
【実施例5】
【0075】
ヤマブシタケ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、チューインガムを調製した。
【0076】
ガムベース 20.0部
砂糖 55.0部
グルコース 15.0部
水飴 9.0部
香料 0.5部
ヤマブシタケ菌糸体水抽出物 0.5部
100.0
【実施例6】
【0077】
アミガサタケ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、キャンディを調製した。
【0078】
砂糖 50.0部
水飴 34.0部
香料 0.5部
アミガサタケ菌糸体水抽出物 0.5部
水 15.0部
100.0
【実施例7】
【0079】
キクラゲ菌糸体50%エタノール抽出物抽出物を用い、以下の処方にて、錠菓を調製した。
【0080】
砂糖 76.4部
グルコース 19.0部
ショ糖脂肪酸エステル 0.2部
香料 0.2部
キクラゲ菌糸体50%エタノール抽出物 0.1部
水 4.1部
100.0
【実施例8】
【0081】
ブナシメジ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、グミゼリーを調製した。
【0082】
ゼラチン 60.0 部
水飴 23.0 部
砂糖 8.5 部
植物油脂 4.5 部
マンニトール 2.95部
レモン果汁 1.0 部
ブナシメジ菌糸体水抽出物 0.05部
100.0
【実施例9】
【0083】
ナメコ菌糸体50%エタノール抽出物を用い、以下の処方にて、チョコレートを調製した。
【0084】
粉糖 40.8部
カカオビター 20.0部
全脂粉乳 20.0部
カカオバター 17.0部
マンニトール 1.0部
ナメコ菌糸体50%エタノール抽出物 1.0部
香料 0.2部
100.0
【実施例10】
【0085】
アミガサタケ菌糸体50%エタノール抽出物を用い、以下の処方にて、ビスケットを調製した。
【0086】
薄力1級 25.59部
中力1級 22.22部
精白糖 4.8 部
食塩 0.73部
ブドウ糖 0.78部
パームショートニング 11.78部
炭酸水素ナトリウム 0.17部
重亜硫酸ナトリウム 0.16部
米分 1.45部
全脂粉乳 1.16部
代用粉乳 0.29部
アミガサタケ菌糸体50%エタノール抽出物 0.5 部
水 残
100.0
【実施例11】
【0087】
ヤマブシタケ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、アイスクリームを調製した。
【0088】
脱脂粉乳 50.0部
生クリーム 25.0部
砂糖 10.0部
卵黄 10.0部
ヤマブシタケ菌糸体水抽出物 1.0部
香料 0.1部
水 残
100.0
【実施例12】
【0089】
ブクリョウ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、シャーベットを調製した。
【0090】
オレンジ果汁 25.0部
砂糖 25.0部
卵白 10.0部
ブクリョウ菌糸体水抽出物 2.0部
水 38.0部
100.0
【実施例13】
【0091】
ブナシメジ子実体水抽出物を用い、以下の処方にて、飲料を調製した。
【0092】
オレンジ果汁 30.0 部
異性化糖 15.24部
クエン酸 0.1 部
ビタミンC 0.04部
香料 0.1 部
ブナシメジ子実体水抽出物 1.0 部
水 残
100.0
【実施例14】
【0093】
アミガサタケ菌糸体水抽出物を用い、以下の処方にて、スープを調製した。
【0094】
牛乳 60.00部
たまねぎ 20.00部
にんじん 10.00部
野菜ブイヨン 1.00部
バター 0.10部
コショウ 0.05部
塩 0.05部
アミガサタケ菌糸体水抽出物 1.0 部
水 残
100.0
【実施例15】
【0095】
ウスヒラタケ菌糸体水抽出物とハナビラタケ菌糸体水抽出物の混合物を用い、以下の処方にて、ジャムを調製した。
【0096】
果肉 4.0部
砂糖 65.0部
清澄果汁 25.0部
クエン酸 0.5部
ウスヒラタケ菌糸体水抽出物と
ハナビラタケ菌糸体水抽出物の混合物 2.0部
水 残
100.0
【0097】
尚、何れの実施例にて得られた本発明の口腔用組成物及び飲食品も本発明の抗菌剤の添加による風味の変化は認められず、その結果、緑茶抽出物等を配合した従来品と比べて、本発明によれば、ヒトの嗜好性に優れた製品の供給が可能となった。