【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明は、異物を伴うガスを浄化するためのろ過装置、ならびに異物を伴うガスをろ過するための対応する方法を提案し、異物を含有する未処理ガス流が供給され得る未処置または未処理ガス側に少なくとも1つのろ過面を有する少なくとも1つのろ過ユニットが提供されていることを含み、ろ過助剤を未処理ガス流および/または未処理ガス側のろ過面に供給できる。未処理ガス側のろ過面に付着されたろ過助剤および/または異物を除去できる。それに加えて、除去されたろ過助剤および/または異物をろ過ユニットの周囲にろ過煙霧として少なくとも部分的に保持することができ、および/または未処理ガス側のろ過面に再付着させることができるように搬送流体流を生成することができる流動床装置が提供される。用語「ろ過煙霧」は、浮遊粒子の直径の制限を暗示することなく、搬送流体流中の固体および/または液体浮遊粒子の混合物を指定するためにかなり一般的な形において本明細書で使用される。粒子が重力のために煙霧層から除去される前、どのサイズまで成長し得るかは、主に搬送流体流の特性に依存している。搬送流体流の適切な調整により、100μmを超える直径の粒子を浮遊させ続けることが容易に可能である。
【0009】
ろ過面に付着している物質を、一般に周期的に実施される浄化プロセスにおいてろ過面から再び分離できるという意味で、ろ過面を浄化することができる。時間間隔は一般に、ろ過面の目詰まりを考慮して選択され、ろ過ステージを横切る所定の圧力損失を超えないように選択される。
【0010】
ろ過助剤(そのようなろ過助剤の例は岩粉(沈泥サイズの粉砕された岩)または他の鉱物の微粉である)の添加により、ろ過助剤とそれに付着した異物とで構成された凝集体の形成がもたらされる。そのような凝集体は純粋な異物よりはるかに粘着性で劣り、その結果、そのような凝集体は純粋な異物よりかなり容易にろ過面から分離する。従って乾燥フィルタを採用するろ過装置の効果的な使用が、湿潤または乾燥式の塗装またはワニス塗布設備の排気のような、粘着性異物を含有する排気の浄化にも首尾よく可能である。
【0011】
異物とろ過助剤の十分な凝集が十分に速く生じるために、比較的大量のろ過助剤を添加することが得策である。これはさらに、ろ過面全体がろ過助剤の層で、ことによるとろ過助剤に付着した異物で、短時間の内にコーティングされ、従ってろ過面を保護することを保証する。しかしながら、この方法は、添加されたろ過助剤のより少ない割合のみが一回の浄化サイクル内で凝集体を形成したことを意味する。勿論、可能な限り効果的に補助物質を使用するための、すなわち、添加された全てのろ過助剤を、ろ過助剤と付着した異物との凝集体へ転換し得るための努力は続けられている。これにより、フィルタの浄化の際に結果として生じるろ過助剤と異物との混合物を、可能な限りの変形が、すなわち異物によるろ過助剤の被覆が生じるまで、繰り返し再使用するという考えが考案された。
【0012】
しかしながら、未処理ガスまたはろ過面の浄化運転で除去された物質の供給を更新することは問題があることが分かった。何故なら、ろ過面から除去され床にあるいは別個の容器に収集される物質は、再び分離することが困難なケーキ状構造を形成することが多いからである。物質が再びろ過面に付着する程度に物質を攪拌する目的で、床に収集された物質に加圧空気を吹き込むことさえ、部分的に満足のいく結果しか得られない。従って本発明はこれまでで完全に新規な手法を提案する。浄化運転においてろ過面から除去された物質を途中で捕捉し、容器にあるいは未処理ガス空間の床に収集する代わりに、この物質は可能な限りろ過面の近くに維持される。これにより、一方でこの物質が未処理ガス流との接触を迅速に再形成すること、および他方でろ過面と接触したままであることが可能になる。このように、さらなる凝集体を形成すること、あるいは追加的な異物もしくは他の凝集体を付着することにより既に存在する凝集体をさらに成長させることが可能である。さらに、取り除かれた物質を迅速にろ過面に再付着すること、ひいては保護コーティングを提供することも可能である。記載した方法は、実際には連続的に実行することができる。ろ過面を浄化しかつ新たにコーティングする目的で装置を停止することは、もはや必須ではない。
【0013】
流動床の助力により、ろ過面から分離された物質を保持できることが分かった。物質は、搬送流体流によって「浮遊」状態に保持される流動床中の煙霧層を形成する。渦流床として知られる構成で動作する「流動床」において、一般に直接上向きである、すなわち重力に対抗する搬送流体の流れは、異物、ろ過助剤およびそれらで形成される凝集体から形成される固相の個々の粒子間を流れ、個々の粒子が流動した状態に保持されるように、言わば「浮遊」されるように、個々の粒子と協働する。この流動床装置は、異物、ろ過助剤およびそれらによって形成された凝集体から形成された固相が、未処理ガスに伴われた追加の異物と最適な接触を確立できるように、ひいては非常に効率的にさらなる凝集体を形成するように、あるいは既に形成されている凝集体をさらに成長させるように、調整することができる。流動化された固相がろ過面の近くに保持される時、浄化運転の後短時間のうちにろ過面を保護層で再び首尾よくコーティングすることがさらに可能である。
【0014】
搬送流体の流れを手段として、ろ過助剤と異物との凝集体が流動した形態で搬送され得るために有することが許容される最大質量密度を調整することができる。凝集体はこの限界質量密度を超えた時、徐々にさらに落下し、最終的に流動床から完全に脱落する。追加の異物を付着させるためのおよびろ過面をコーティングするためのさらなる使用がもはや望まれない既に飽和した凝集体は、従って、脱落によりろ過装置から上手く除去することができる。使用済みの凝集体が流動床から脱落する範囲で、未使用のろ過助剤を連続的に添加することができる。従って、使用済みろ過助剤を交換するためにろ過装置を停止する必要はない。
【0015】
運転中、流動床装置は、ろ過助剤、異物、およびろ過助剤とそれに付着した異物との凝集体のろ過煙霧層を形成すると好ましい。ろ過煙霧層は、ろ過ユニットの底側の高さあるいはそれをわずかに下回る高さの下限から、ろ過ユニットの上側の高さあるいはそれをわずかに上回る高さもしくはそれをさらに上回る上限まで、垂直方向に延在する。一例において、ろ過煙霧層は、ろ過ユニットの底側を最大90cm、好ましくは最大60cm、最も好ましくは最大50cm下回って延在することができる。
【0016】
搬送流体として、具体的にはろ過ユニットの未処理ガス側に存在する搬送ガス(例えば空気)を使用することができる。搬送流体は未処理ガス流自体を含んでもよく、最も簡単な場合、未処理ガス流を形成するガスによって構成することができる。そのような場合、流動床装置は、未処理ガス側で、具体的にはろ過煙霧層の、上方へ向けられた、好ましくは乱れた流れを生成し得る渦流装置を含むと好ましい。渦流装置は、どんな形であれ未処理ガス流に存在する渦を形成する傾向を強めて、ろ過煙霧層の中に流動床が形成されるようにし、ろ過煙霧層はろ過煙霧がこの層に安定的に保持され続けるようにするが、それにもかかわらず、凝集を促すことができるように、およびろ過面に保護コーティングを効果的に形成するように、良好な混合がろ過煙霧層内に発生する。
【0017】
流動床装置は好ましくは搬送流体導入装置をさらに含むことができ、搬送流体導入装置により搬送流体によってろ過ユニットの未処理ガス側に影響を及ぼすことができる。搬送流体は、未処理ガス流に加えて、搬送流体流を形成することができる。さらに、導入された搬送流体の渦流を引き起こすように搬送流体導入装置を設計することもできる。さらに、上方へ向けられた搬送流体流がもたらされるような方法で搬送流体を導入することが得策である。渦流/搬送流体導入装置によって生成された搬送流体流を使用する利点は、搬送流体流を、例えば渦流および/または搬送流体導入装置の対応する設計および/または制御により、所定の限界密度より重い粒子をもはや浮遊した状態に保持せず、ろ過煙霧層から脱落させるように調整できることにある。
【0018】
渦流および/または搬送流体導入装置は、例えばろ過ユニットの下に配置され、少なくとも1つの、好ましくはいくつかのノズルを含むノズル装置が設けられた環状導管を含んでもよい。運転中、搬送流体流がノズル装置の下流に形成され、ろ過ユニットに向けられ、重力に対抗して移動するように、運転中、環状導管は搬送流体により作用されてもよい。代替手段として、ろ過ユニットの下に、流動化用開口部(例えば溝穴)を備えた流動化用床面または基礎部材があってもよい。この流動化用床面は、搬送流体が流動化用開口部を流れ、流動化用床面の下流でろ過ユニットに向けられ重力に対抗して移動する搬送流体流を形成するように、底側から搬送流体がかかる。
【0019】
渦流および/または搬送流体導入装置は、連続的に運転する手段として提供することができる。搬送流体導入装置が十分な強さの搬送流体流を生成する時、搬送流体流の強度は概ね未処理ガス流から独立して設定することができる。
【0020】
実施形態において、ろ過装置は、ろ過ユニットの未処理ガス側に面した少なくとも1つの未処理ガス空間を画定し、未処理ガス空間に通じる少なくとも1つの未処理ガス流入開口部を有するハウジングを含むことができる。未処理ガス流は前記未処理ガス流入開口部を通って未処理ガス空間に入る。ハウジングは一般に清浄ガス空間も確定し、清浄ガス空間はろ過ユニットの清浄ガス側に面し、清浄ガス空間に通じるろ過された清浄ガス用の流出開口部を有する。
【0021】
好都合な実施形態では、未処理ガス流入開口部を、ほぼろ過ユニットの高さに、あるいはそれをわずかに下回る高さに配置できることが分かった。これは特に、下からの搬送流体流がある時、この搬送流体流はろ過ユニットの下の、中に含有された異物を伴う未処理ガス流と混合するので得策である。搬送流体流はろ過助剤も搬送するので、これはろ過助剤と異物との効果的な凝集をもたらす。
【0022】
さらなる実施形態では、ハウジングは、未処理ガス空間に通じる少なくとも1つの追加的な流入開口部を有してもよく、その開口部を通ってろ過助剤を供給することができる。供給されるろ過助剤は、純粋なろ過助剤か、もしくは少量の異物が付加されたろ過助剤であり得る。追加的な流入開口部が同じくろ過ユニットの高さにあるいはそれをわずかに下回る高さに配置されると都合がよい。流動床から放出された物質と置き換えるために、ろ過助剤をこの追加的流入開口部から、所定の間隔でまたはろ過助剤の連続流として、供給することができる。場合により要求されるろ過装置の初期コーティングも、追加的流入開口部を介して実行することができる。任意選択的に、この追加的流入開口部を、ろ過ユニットの浄化後に生じかつ流動床から分かれたわずかに異物が混入したろ過助剤を供給するために使用することもできる。流動床から分かれたろ過助剤は、異物がわずかに混入されているが、まださらに異物が付着できる低い程度だけ異物が付着または凝集したろ過助剤である。
【0023】
代替手段としてまたは追加的に、ろ過ユニット上流の未処理ガス流に開口するさらなるろ過助剤供給手段が設けられてもよい。このさらなるろ過助剤供給手段の使用により、一方で未処理ガス流に新しいろ過助剤を供給してもよいが、他方で流動床から分かれ異物がわずかに混入されたろ過助剤を供給してもよい。
【0024】
実施形態において、未処理ガス流の流入開口部は、未処理ガス流が搬送流体流と約90度の角度で合流するように配置することができる。未処理ガス流が搬送流体流とろ過ユニットの下で結合すると特に都合がよい。
【0025】
さらにろ過装置は、再使用できない粒子用の収集容器を備えてもよく、収集容器は未処理ガス側に関連付けられる。再使用できない粒子は、異物のさらなる付着がもはや効果的にできないような高い程度まで異物が被覆したまたは付加されたろ過助剤と異物との「飽和した」凝集体である。そのような飽和した凝集体は、異物単独よりおよびまた異物が付加されていないあるいはほんのわずか付加されているろ過助剤よりかなり質量高い密度を有する。搬送流体流の調整に依存して、流動床内で浮遊状態に保持され得る粒子の最大質量密度を調整することが可能である。凝集体がこの質量密度より重くなるとすぐに、凝集体はろ過煙霧層を脱落し、下の収集容器に収集され得る。収集容器は最も低い地点に廃棄開口部を有すると好ましく、廃棄開口部を介して物質を収集容器から放出することができる。これは例えば真空搬送手段を使用して実行することができる。
【0026】
収集容器は例えばろ過ユニットの下に配置されかつ実質的に漏斗状の構成を有するハウジング部分の下に配置することができる。
【0027】
使用不能になった凝集体の収集容器からの放出を促進するために、収集容器は流動化装置をさらに有してもよい。その流動化装置を介して、収集容器内の物質は、その流動性が保持されるようにガスによる作用を受けることができる。これに関して、流動化装置を、連続的にまたは収集容器に収集された物質を放出する間一時的に作動させることができる。
【0028】
収集容器はさらに連動する搬送手段を有してもよく、それを介して物質を収集容器から回収してろ過煙霧層へおよび/またはろ過ユニット上流の未処理ガス流へ供給することができる。そのような搬送手段は、特にろ過装置の再始動状態における補助であってもよく、ろ過装置の停止およびそれに伴う搬送流体流の避けられない崩壊の際にろ過煙霧層から収集容器へ落下した粒子が、ろ過装置が再始動される時、収集容器から回収され、ろ過煙霧層および未処理ガス流へ戻ることをそれぞれ可能にする。装置の停止後収集容器に存するろ過煙霧層からの物質に関して、一般にろ過助剤としてまだ使用可能である。搬送手段がなければ、この物質は廃棄しなければならないであろう。搬送手段は、例えば低圧注入器の形態の正圧で、真空搬送手段として負圧で、あるいは固体ポンプ、特に固体薄膜ポンプ式の圧力による流動化した形態において、空気圧式に作動させることができる。
【0029】
浄化は、ろ過ユニットと連動する浄化ユニットによって実行することができる。浄化手段は、未処理ガス側のろ過ユニットに堆積した物質を除去するために、対向流原理に従いろ過ユニットに加圧空気が供給され得るように、ろ過ユニットの上に、ろ過ユニットの清浄ガス側に配置された加圧空気浄化ユニットを備えてもよい。ろ過ユニットが複数のろ過要素を有する時、ろ過要素の一部のみを交互に連続式に浄化して、その結果、浮遊され続ける必要があるろ過助剤および/または異物ができるだけ均一な量取り除かれるように、加圧空気浄化ユニットを制御することができる。
【0030】
ろ過ユニットが剛体フィルタの形態の少なくとも1つのろ過要素を有すると好ましい。
【0031】
実施形態において、ろ過要素は、好ましくは主な構成要素として焼結ポリエチレン(PE)粒子を含有する焼結材料の基体を有してもよい。基体にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子を含有する表面コーティングを提供することができる。
【0032】
代替実施形態において、PTFEのろ過膜が各PE体に積層されたPE体、特にPEチューブの構成でろ過要素を形成することができる。
【0033】
実施形態において、ハウジングは、対応する蓋によって閉鎖可能でありかつろ過要素の高さに配置された少なくとも1つの横ハウジング開口部を有してもよく、その開口部を介して、ろ過要素を上部および下部ろ過モジュールにそれぞれ挿入することができる。ハウジングは、ろ過ユニットを囲む部分において、例えば円筒状もしくは矩形構造であってもよく、その最も低い位置で収集容器に続く場合もある下部漏斗状部分と一体化してもよい。
【0034】
使用可能なろ過助剤は、具体的には岩粉(沈泥サイズの粉砕された岩)、例えば重質炭酸カルシウムおよび他の鉱物の微粉である。
【0035】
ろ過ユニットの上流に、好ましくはすすぎシステムまたは遠心式分離器を備えた、粗い混入物を予め分離する予備分離ステージをさらに配置することができる。
【0036】
また、好ましくは深層負荷フィルタ(depth-loading filter)/貯留フィルタを含む追加的なろ過ステージをろ過ユニットの下流に配置してもよい。この下流ろ過ステージを定期的に検査することによって、ろ過ユニットの故障または劣化を検出可能であり、ろ過ユニットは場合により交換され得る。下流ろ過ステージはさらに、浄化されていない排気が設備から排出し得ることを防止する。
【0037】
記載したろ過装置の好ましい使用分野は、粘着性および/またはタール状の異物を含有する排気が生成される機器および装置である。本発明による装置は、特に以下に示した種類のうちの1つの設備に設置可能であり、価値ある役務を提供する装置であることが分かっている。
− 湿潤塗装設備の空気汚染物質を取り除くための装置
− 乾燥塗装設備の空気汚染物質を取り除くための装置
− レーザービーム溶接設備または他の溶接ヒューム抽出装置の空気汚染物質を取り除くための装置
− 煙道ガス、特に燃焼プロセスで発生する煙道ガスの空気汚染物質を取り除くための装置(そのような燃焼プロセスにおいて、排ガスから汚染物質として除去する必要のある高い頻度で発現するタール状または煤状生成物がある)
− キャビティ封止設備の空気汚染物質を取り除くための装置
− 金属部品を接着結合する工場の空気汚染物質を取り除くための装置
− ガス状汚染物質と化学反応する化学吸着ろ過助剤の添加により排ガス流中のガス状汚染物質を取り除くための装置(例えば、排ガスに含有される二酸化硫黄、SO
2またはHClガスは、ろ過助剤として水酸化カルシウム、Ca(OH)
2を添加することにより乾燥フィルタに効果的に堆積させることが可能で、化学吸着は排ガスからの固体または液体煙霧の除去と同時に発生する)。
【0038】
本発明によれば、前記の装置が使用される、異物を伴うガスを浄化する方法がさらに提案される。この方法は、特に異物を含有する未処理ガス流を、未処理ガス側に少なくとも1つのろ過面を有する少なくとも1つのろ過ユニットに供給することを必要とし、ろ過助剤は未処理ガス流におよび/またはろ過面に供給される。さらに、ろ過面に付着したろ過助剤および/または異物は取り除かれ、取り除かれたろ過助剤および/または異物がろ過ユニットの周囲にろ過煙霧として少なくとも部分的に保持され、ろ過面に再付着できるように、搬送流体流が生成される。
【0039】
本発明を、図面に示される実施形態を用いて、以下でより詳細に説明する。