(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745062
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】電気モータ交換
(51)【国際特許分類】
B63H 21/17 20060101AFI20150618BHJP
B63H 23/12 20060101ALI20150618BHJP
B63B 19/12 20060101ALI20150618BHJP
B63B 27/10 20060101ALI20150618BHJP
B63B 35/00 20060101ALI20150618BHJP
B63J 99/00 20090101ALI20150618BHJP
B63H 23/24 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
B63H21/17
B63H23/12
B63B19/12 C
B63B27/10 A
B63B35/00 T
B63J99/00 A
B63H23/24
【請求項の数】21
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-528616(P2013-528616)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-542115(P2013-542115A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】EP2011065628
(87)【国際公開番号】WO2012034938
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2013年5月9日
(31)【優先権主張番号】102010040907.3
(32)【優先日】2010年9月16日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512197272
【氏名又は名称】ヴォッベン プロパティーズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】WOBBEN PROPERTIES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(72)【発明者】
【氏名】ローデン、ロルフ
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
豪国特許出願公告第0000758503(AU,B2)
【文献】
特開平07−010071(JP,A)
【文献】
特開平07−010072(JP,A)
【文献】
特開2008−024187(JP,A)
【文献】
特開2005−354861(JP,A)
【文献】
特表2008−543641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 1/00 − 25/52
B63B 1/00 − 69/00
B63J 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのクレーン(3)を有する船舶(1)であって、
推進ユニット(50)と、船舶駆動用の少なくとも第1および第2電気モータ(8,9)と、前記第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方の駆動力を前記推進ユニットに伝達するユニットと、を備えた船舶駆動装置(7)を有し、
前記第1および第2電気モータ(8,9)は選択的に又は共通に作動可能であり、前記第1および第2電気モータ(8,9)に、少なくとも一つの電流コンバータ(15, 16)が接続され、前記少なくとも一つの電流コンバータ(15, 16)は、前記第1および第2電気モータ(8,9)から離間して配置され、
前記第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方を吊り上げるため、少なくとも一つの前記クレーン(3)が、少なくとも一つの閉止可能な開口を通じて導入されて、前記第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方と係合可能であり、
貨物船である、
ことを特徴とする船舶。
【請求項2】
前記少なくとも一つの閉止可能な開口(5)は、ハッチカバー、又は、脱着可能な床パネル、又は、脱着可能な中間デッキとして設けられた要素、又は、ハッチカバー(複数)の組み合わせ、及び/又は、中間デッキ(72, 82)によって、閉止可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
ハッチカバー、床パネル、及び/又は、中間デッキ(72, 82)は、前記クレーン(3)と係合する吊り点(73)を有する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記少なくとも一つの閉止可能な開口(5)は、前記クレーン(3)によって開閉されることを特徴とする請求項1に記載の船舶。
【請求項5】
前記クレーン(3)は、少なくとも一つの前記第1および第2電気モータ(8,9)を前記船舶(1)内で又は船舶外に移動可能に、および前記船舶(1)内の又は船舶外のプラットホーム上で吊り上げ可能に、設けられる、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の船舶。
【請求項6】
前記第1および第2電気モータ(8,9)は吊り点(26, 27)を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の船舶。
【請求項7】
前記第1および第2電気モータ(8,9)は解除可能な結合(35, 36, 37, 38)によって前記船舶に固定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の船舶。
【請求項8】
前記第1および第2電気モータ(8,9)はレールシステム(41)上に設けられ、前記船舶の内部で移動可能となることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一に記載の船舶。
【請求項9】
前記駆動力を伝達する前記ユニットはシャフト(11)であり、
少なくとも前記第1および第2電気モータ(8,9)および前記推進ユニット(50)が前記シャフト(11)上に設けられる、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一に記載の船舶。
【請求項10】
カップリング(12,13)が、前記シャフト(11)上で、少なくとも前記第1および第2電気モータ(8,9)の間及び/又はいずれかの前記第1および第2電気モータ(8,9)と、前記推進ユニット(50)との間に、設けられることを特徴とする請求項9に記載の船舶。
【請求項11】
前記第1および第2電気モータ(8,9)は、リング状のモータであって、内側に設けられた回転するロータと、半径方向外周側に設けられたステータリングと、を備える、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一に記載の船舶。
【請求項12】
前記第1および第2電気モータ(8,9)は、同様の構成を有する、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一に記載の船舶。
【請求項13】
前記第1および第2電気モータ(8,9)は、冷却装置(19, 20)を有する、ことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一に記載の船舶。
【請求項14】
前記電流コンバータ(15,16)は、冷却装置(31,33)を有する、ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一に記載の船舶。
【請求項15】
前記冷却装置 (19,20および31,33)は、空冷、及び/又は、水冷であることを特徴とする請求項13又は14記載の船舶。
【請求項16】
船舶(1)を駆動するため周辺装置と共に前記船舶(1)内に設けられ、推進ユニット(50)に接続され、解除可能な結合(35, 36, 37, 38)によって前記船舶(1)に固定された第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方の交換方法であって、
前記船舶(1)は、少なくとも一つの閉止可能な開口(5)と、少なくとも一つのクレーン(3)と、を備え、さらに、推進ユニット(50)と、前記第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方の駆動力を前記推進ユニットに伝達するユニットと、を備えた船舶駆動装置(7)を有し、
前記第1および第2電気モータ(8,9)は選択的に又は共通に作動可能であり、前記第1および第2電気モータ(8,9)に、少なくとも一つの電流コンバータ(15, 16)が接続され、前記少なくとも一つの電流コンバータ(15, 16)は、前記第1および第2電気モータ(8,9)から離間して配置される、貨物船であり、
(a)前記第1および第2電気モータ(8,9)の一方と、前記推進ユニット(50)および前記第1および第2電気モータ(8,9)の他方との結合を解除する工程と、
(b)前記第1および第2電気モータ(8,9)の一方と、前記周辺装置との結合を解除する工程と、
(c)前記第1および第2電気モータ(8,9)の一方の前記船舶(1)に対する前記解除可能な結合(35, 36, 37, 38)を解除する工程と、
(d)前記船舶(1)の前記少なくとも一つの閉止可能な開口(5)を開放する工程と、
(e)前記クレーン(3)を導入して少なくとも一つの結合解除および接続解除された前記第1および第2電気モータ(8,9)の一方と係合させる工程と、および
(f)前記クレーン(3)を用いて、前記前記第1および第2電気モータ(8,9)の一方を吊り出しないし移送する工程と、
を含む、ことを特徴とする船舶モータの交換方法。
【請求項17】
前記工程(a)〜(d)が入れ替えられた順序で実行される、ことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記クレーン(3)を用いて、前記第1および第2電気モータ(8,9)の少なくとも一方を吊り入れないし搬出する工程が追加されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも一つの閉止可能な開口(5)を閉止する工程が追加されることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
風力発電装置の発電機の使用であって、前記発電機は、請求項1〜15のいずれか一に記載の船舶(1)内に設けられた前記第1および第2電気モータ(8,9)として、又は、請求項16〜19のいずれか一に記載の方法における前記第1および第2電気モータ(8,9)として、モータ駆動される、ことを特徴とする風力発電装置の発電機の使用。
【請求項21】
複数の風力発電装置の同様の構造を有する複数の発電機が使用されることを特徴とする請求項20の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの船舶駆動用モータと、少なくとも一つのクレーンと、を備える船舶に関する。
【0002】
本発明は、さらに、推進ユニットと、少なくとも第1および第2電気モータと、電気モータの駆動力を推進ユニットに伝達するユニットを有し、電気モータが選択的又は結合されて作動される、船舶を駆動するための船舶駆動装置(ないしシステム)に関する。
【0003】
本発明は、さらに、船舶を駆動するため、船舶内に周辺装置と共に配置され、推進ユニットに結合され、船舶が少なくとも一つの開口および少なくとも一つのクレーンを有する、船舶モータの交換方法に関する。
【背景技術】
【0004】
エンジン又は電気モータによる船舶の駆動は、様々な形態があることが知られている。貨物船は、一般的に、大容量のディーゼルアセンブリを用いている。小型船舶又は帆船では、電気モータが駆動に用いられていることが同様に知られている。いわゆるディーゼル−電気駆動も知られており、電気モータは駆動力を提供し、電気モータの操作のための電気エネルギは、ディーゼルアセンブリによってコンバートされる。
【0005】
電気モータによるそのような駆動は、例えば、DE 10 2008 018 420 A1に開示されている。この文献は、船舶のスクリュ状の推進ユニットを駆動する駆動シャフトと、推進ユニットを駆動する第1および第2電気モータと、を有する船舶用駆動装置を開示している。二つのモータは、駆動シャフトに直列に接続され、モータに電流を供給する電流コンバータが第1モータのハウジング内に設けられている。一つのモータは特に、港内の航行用に設計され、第2モータは高速航行用に適化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】DE 10 2008 018 420 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数のモータのうち一つのモータが故障した場合、船舶は、第2モータによって航行し続けることができる。その航行モードには適化していないモータによって、ボーダーライン上の航行を継続しなければならない場合は、次善である。
【0008】
また、問題は、そのようなモータのメンテナンスおよび修理を含んでいる。それらは、駆動用であるため、通常、船舶においてメンテナンスおよび修理される。これは、船舶を港に停泊させねばならないこと、メンテナンス又は修理期間は完全に使用不可であることを意味している。これは、高コストレベルを引き起こし、特に、貨物船の場合には、メンテナンスおよび修理費用だけでなく、港に係留する費用を発生させ、また、船舶を使用できないことによって生じるコストを考慮しなければならない。メンテナンス又は修理は、モータ周囲の空間が一般的に非常に狭いという事実によって、さらに困難となっている。船舶のエンジンルームは、明るさの条件がまた適当ではない。
【0009】
船舶モータの大修理を実行しなければならない場合、それらはまた部分的に交換される。このため、モータは、一般的に、船舶から外される。それは、非常に時間とコストがかかる工事である。
【0010】
よって、本発明の目的は、簡単に安価にメンテナンスおよび修理されるモータを有する船舶を提供することである。別の目的は、エネルギの節約と、船舶の信頼性駆動の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書の導入部で述べた船舶において、本発明は、モータを吊るため、少なくとも一つのクレーンが、少なくとも一つの閉止可能な開口を通じて、少なくとも一つのモータと係合するよう導入可能であることによって(第1の視点、請求項1)、上記目的を達成する。
即ち、第1の視点によれば
、少なくとも一つのクレーン
を有する船舶であって、推進ユニットと、
船舶駆動用の少なくとも第1および第2電気モータと、前記
第1および第2電気モータの
少なくとも一方の駆動力を前記推進ユニットに伝達するユニットと、を備えた船舶駆動装置を有し、前記
第1および第2電気モータは選択的に又は共通に作動可能であり、前記
第1および第2電気モータに、少なくとも一つの電流コンバータが接続され、前記
少なくとも一つの電流コンバータは、前記
第1および第2電気モータから離間して配置され、前記
第1および第2電気モータ
の少なくとも一方を吊り上げるため、少なくとも一つの前記クレーンが、少なくとも一つの閉止可能な開口を通じて導入されて、
前記第1および第2電気モータの少なくとも
一方と係合可能であり、貨物船である、船舶が提供される。
第2の視点において、船舶を駆動するため周辺装置と共に前記船舶内に設けられ、推進ユニットに接続され、解除可能な結合によって前記船舶に固定された
第1および第2電気モータの
少なくとも一方の交換方法であって、前記船舶は、少なくとも一つの閉止可能な開口と、少なくとも一つのクレーンと、を備え、さらに、推進ユニットと
、前記
第1および第2電気モータの
少なくとも一方の駆動力を前記推進ユニットに伝達するユニットと、を備えた船舶駆動装置を有し、前記
第1および第2電気モータ(8,9)は選択的に又は共通に作動可能であり、前記
第1および第2電気モータに、少なくとも一つの電流コンバータが接続され、前記
少なくとも一つの電流コンバータは、前記
第1および第2電気モータから離間して配置される、貨物船であり、(a
)前記
第1および第2電気モータ
の一方と、前記推進ユニットおよび
前記第1および第2電気モータの他方との結合を解除する工程と、(b)
前記第1および第2電気モータの一方と、前記周辺装置との結合を解除する工程と、(c)
前記第1および第2電気モータの一方の前記船舶に対する前記解除可能な結合を解除する工程と、(d)前記船舶の前記
少なくとも一つの閉止可能な開口を開放する工程と、(e)前記クレーンを導入して少なくとも一つの結合解除および接続解除された
前記第1および第2電気モータの一方と係合させる工程と、および(f)前記クレーンを用いて、前記
前記第1および第2電気モータの一方を吊り出しないし移送する工程と、を含む、船舶モータの交換方法が提供される。
第3の視点において、風力発電装置の発電機の使用であって、前記発電機は、第1の視点のいずれか一に記載の船舶内に設けられた前記モータとして、又は、第2の視点のいずれか一に記載の方法における前記モータとして、モータ駆動される、ことを特徴とする風力発電装置の発電機の使用が提供される。
なお、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は、専ら理解を助けるためであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)第1の視点のとおり。
(形態2)好ましい形態として、前記
少なくとも一つの閉止可能な開口は、ハッチカバー、又は、脱着可能な床パネル、又は、脱着可能な中間デッキとして設けられた要素、又は、ハッチカバー(複数)の組み合わせ、及び/又は、中間デッキによって、閉止可能である。
(形態3)好ましい形態として、ハッチカバー、床パネル、及び/又は、中間デッキは、前記クレーンと係合する吊り点を有する。
(形態4)好ましい形態として、
少なくとも一つの閉止可能
な開口は、前記クレーンによって開閉される。
(形態5)好ましい形態として、前記クレーンは、少なくとも一つの前記
第1および第2電気モータ
を前記船舶内で又は船舶外
に移動可能に、および、前記船舶内の又は船舶外のプラットホーム上で吊り上げ可能に、設けられる。
(形態6)好ましい形態として、前記
第1および第2電気モータは吊り点を有する。
(形態7)好ましい形態として、前記モータは解除可能な結合によって前記船舶に固定される。
(形態8)好ましい形態として、前記
第1および第2電気モータはレールシステム上に設けられ、前記船舶の内部で移動可能となる
。
(形態
9)好ましい形態として、前記駆動力を伝達する前記ユニットはシャフトであり、少なくとも
前記第1および第2電気モータおよび前記推進ユニットが前記シャフト上に設けられる。
(形態
10)好ましい形態として、カップリングが、前記シャフト上で、少なくとも前記第1および第2電気モータの間及び/又はいずれかの前記
第1および第2電気モータと、前記推進ユニットとの間に、設けられる。
(形態
11)好ましい形態として、前記第1および第2電気モータは、リング状のモータであって、内側に設けられた回転するロータと、半径方向外周側に設けられたステータリングと、備える。
(形態
12)好ましい形態として、前記第1および第2電気モータは
、同様の構成を有する。
(形態
13)好ましい形態として、前記第1および第2電気モータは、冷却装置を有する。
(形態
14)好ましい形態として、前記電流コンバータは、冷却装置を有する。
(形態
15)好ましい形態として、前記冷却装置は、空冷、及び/又は、水冷である。
(形態
16)第
2の視点のとおり。
(形態
17)好ましい形態として、
前記工程(a)〜(d)が入れ替えられた順序で実行される。
(形態
18)好ましい形態として、前記クレーンを用いて、前記
第1および第2電気モータ
の少なくとも一方を吊り入れないし搬出する工程が追加される。
(形態
19)好ましい形態として、前記閉止可能な開口を閉止する工程が追加される。
(形態20)第3の視点のとおり。
(形態
21)好ましい形態として、複数の風力発電装置
の同様の構造を有する複数の発電機が使用される。
本発明による船舶によれば、モータを、船舶自体のクレーンによって、閉止可能な開口を通じて船舶外に吊り出すことができる。これは、メンテナンス又は修理がもはやエンジンルーム内で行う必要がないこと、および、港や岸壁クレーンの使用がもはや不必要であること、を意味している。本発明によれば、クレーンによって、故障した又は要メンテナンスなモータを吊り上げ、例えば、船舶のデッキに持ち上げて置き、そこで、それをメンテナンス又は修理することができる。デッキは、メインデッキ、露天デッキ、又は、全ての中間デッキでもよい。船舶が別のデッキを有している場合には、それらもまた用語“デッキ”の範疇である。また、モータを船舶内の特別な修理室又は貯蔵室に移送することも可能である。またさらに有利には、故障又は要メンテナンスなモータを、新しいものに迅速に交換でき、船舶は、短い停泊後、すぐに、航海を継続することができる。電気モータが入手できない場合には、ディーゼルエンジンを投入してもよい。複数のモータを用いることにより与えられる一つの利点は、一つのモータが不完全であっても、船舶は運航ができないようにはならないということである。船舶は、第2、第3などのモータによって、動かされ続けることができる。
【0013】
クレーンは、船舶に搭載される全種類の船舶クレーンを含む。一般的に、そのようなクレーンは、アーム又はレバーおよび対象物(品物)を吊り上げ又は保持する装置を有する。この装置は、例えば、フックまたは複数のフックの組み合わせとすることができる。特に、そのような装置は、大容量又はかさばる荷物を吊り上げるため常用されている、クレーン横行吊りビーム(Traverse)でありうる。クレーンを導入してモータと係合させるという語句は、主として、吊り上げ又は保持する装置がモータと係合されることを意味している。本発明によれば、クレーン、開口およびモータは、それぞれの構造様式、サイズおよび設置状況が依存して、互い関連して設けられ、それによって、モータを吊り出すことができる。
【0014】
また、本明細書の導入部で述べた船舶で、本発明の目的は、各電気モータが少なくとも一つの好ましくは複数の電流コンバータ(ないし整流器Stromrichter)に接続され、電流コンバータは電気モータと離間して配置されることによって(第2の視点、請求項9)、達成される。
【0015】
本発明による船舶駆動は、メンテナンス又は修理および特にモータの除去又は交換を非常に楽にする。モータを選択的に作動させるので、またモータの一つを操作することができる。好ましくは、モータは常時作動され、ドライブトレーン中の推進ユニットと近接して配置される。複数モータを互いに空間的近傍に配置することは、その交換をさらに容易にする。本発明によればその際、各モータには、少なくとも一つの好ましくは複数の電流コンバータが特に配属(割当)され、モータから離間して配置される。ここで、あらゆる種類の電流コンバータ、例えば、インバータ又はDC−ACインバータを、電流コンバータとして用いることができる。また、風力発電装置の運転から知られている、インバータを使用することも好ましい。各デザイン形状に応じて、それらは互いに置換して用いることができる。ここで、離間して配置されるとは、電流コンバータが、モータ又はモータハウジングの一部ではなく、にもかかわらずそれに電気的に接続されていることを意味している。各モータが少なくとも一つの好ましくは複数の電流コンバータを有するということの利点は、複数のモータおよび複数の電流コンバータが互いに独立して運転されるということである。もし、一又は複数の電流コンバータが故障しても、航行は、別のコンバータによって継続することができる。電流コンバータが離間して配置されることの利点は、モータを取り外したときに、船舶内で電流コンバータを修理できるという点である。これは、故障モータ又は要メンテナンスなモータを新しいものに交換したとき、特に有利である。
【0016】
本発明の目的は、さらに、本明細書の導入部で述べた種類の方法によって達成され、下記の工程を含む:
少なくとも一つのモータと、推進ユニットおよび少なくとも一つの別のモータとの結合を解除する工程と、
少なくとも一つのモータと、周辺装置との結合を解除する工程と、
少なくとも一つのモータの船舶に対する解除可能な接続を解除する工程と、
船舶の閉止可能な開口を開ける工程と、
クレーンを導入して少なくとも一つの結合解除および接続解除されたモータと係合させる工程と、および
クレーンを用いて、前記モータを吊り出しないし移送する工程(第3の視点、請求項18)。
【0017】
モータの簡単な取り外し又は簡単な交換は、本発明の方法によって得られる利点である。個々の工程が実行される順序は、本発明にとって重要ではない。それらは、また、少なくとも部分的に同時に実行してもよい。各工程の繰り返しも可能であり、本発明に含まれる。
【0018】
本発明の目的は、また風力発電装置における発電機の使用によって達成され、発電機は、本発明による船舶内の、又は、本発明による方法における、又は、本発明による船舶駆動内の、電気モータとして、モータ駆動される(第4の視点、請求項23)。
【0019】
そのような発電機の特に有利な点は、モータ駆動力出力モードでは、比較的大きな船舶でさえ駆動する十分な能力(出力)があることである。また、本発明の目的は、そのような機械が、特に省エネルギ状態で動作することができ、又、特に低速又は低回転のため低エネルギ状態で動作できることによって、消耗が少ないことである。加えて、そのような機械から発生する騒音は、低速又は低回転のため、特に僅かであり、又、港内航行用の特別又は追加のモータを設ける必要がなくなる。
【0020】
特に好ましい船舶の実施形態において、閉止可能な開口は、ハッチカバーまたは取り外し可能な床パネル、又は脱着可能な中間デッキとして設けられた要素、又は、ハッチカバー(複数)の組み合わせ、及び/又は、中間デッキによって、閉止可能である。そのような、取り外し可能な中間デッキ又は取り外し可能な床パネルは、貨物載置面および貯蔵面としての、および、モータ用保護カバーとしての、同時利用を許容する。ハッチは、特に、メインデッキ又は露天(天候)デッキに対する開口として有利であり、例えば、水の浸入からモータを保護する。ハッチカバー、床パネル、又は、中間デッキは、モータ上方に設けられることが有利である。別の利益は、それらの一つが、他の上方に設けられることによって得られ、開放状態で、シャフト又はデッキからモータへの真っ直ぐな経路が形成され、それを通じて、クレーンをモータと係合するよう導入することができる。
【0021】
また好ましい実施形態において、ハッチカバー、床パネル、又は、中間デッキは、少なくとも一つのクレーンと係合可能な吊り点(係合部)を有する。吊り点の使用によって、上述した要素の吊り上げ及び/又は移動がさらに容易となる。
【0022】
また好ましい実施形態は、閉止可能な開口が、クレーンによって開閉できることである。これは、特に、吊り点を有するハッチカバー、床パネル、又は、中間デッキの場合に可能である。本発明の実施形態および展開態様において、クレーンは、ハッチカバー、床パネル、又は、中間デッキを吊り上げて移動させることによって、モータが接近自在に(露出)されるよう設けられる。
【0023】
別の好ましい実施形態において、クレーンは、少なくとも一つのモータを、船舶内で又は船舶外に移動、特に入れ替え可能に、および、船舶の又は船舶外のプラットホーム上で吊り上げ可能に、設けられる。かくして、モータは、エンジンルーム外でメンテナンス又は修理されることができ、別のモータに交換することもできる。
【0024】
別の好ましい実施形態において、クレーンは、少なくとも一つのモータを、船舶内で又は船舶外に移動、特に搬送可能に、および、船舶内の又は船舶外のプラットホーム上へ吊り上げ可能に、設けられる。
【0025】
別の好ましい実施形態において、モータは着脱可能な結合(手段)を介して、船舶に固定されている。「着脱可能な結合」とは、リバーシブルに解除可能なことを言う。かくてこれは、特に、所定位置に、ネジ留めないしクランプの結合によって設けられる。着脱可能な結合は、モータの取出しを容易にする。
【0026】
別の好ましい実施形態において、モータはレール上に設けられ、船舶内部を移動可能となっている。そのようなレールシステムは、例えば、閉止可能な開口を開けなくとも、モータの船舶内で交換を可能にする。これに伴って、例えば、モータの配置順序を変えることができる。レールシステムは、閉止可能な開口が、モータ直上になく、モータを最初に開口へ向かって移動させる必要がある場合に、また有利である。
【0027】
船舶駆動の好ましい実施形態において、動力伝達用のユニットはシャフトであり、少なくとも第1および第2電気モータ並びに推進ユニットが、前記シャフト上に配置される。モータは共通シャフト上にあるので、例えば伝動装置の場合の如き連結ユニット(Koppplungseinheit)は、もはや必要ではないが、モータの選択的作動のためには依然として残される。少なくとも第1および第2モータの動力を一緒に推進ユニットに導入、および、推進ユニットに伝達するための伝動装置は必要でないため、船舶駆動システムは、特に、低メンテナンスである。また、これによって、小さな装置サイズ及びより軽量化が達成される。
【0028】
また船舶駆動の好ましい実施形態において、連結ユニットないしカップリング(Kupplungen)は、シャフト上で、少なくとも前記第1および第2電気モータ及び/又はいずれかの電気モータ (8,9)と、推進ユニットとの間に、設けられる。この場合、使用しないモータは、ドライブトレーンから外すことができる。特に、好ましくは、モータが、推進ユニットに結合解除可能に接続されたシャフトの末端に設けられる。連結ユニットは、例えば、剛的なカップリング、例えば、ディスク形式のカップリングとすることができ、また、平衡カップリング、例えば、シャフトジョイントとすることもできる。有利には、船舶は、制御装置を有し、制御装置によって、カップリング(クラッチ)が遠隔操作されることができる。
【0029】
船舶駆動の好ましい実施態様において、電気モータは、リング状のモータであって、内側に設けられた回転するロータ(インナロータ)と、半径方向外周側に設けられたステータリング(アウタステータ)と、備える。リング状モータは、それらの構造的形状の故に、特に、船舶駆動に適している。特に、これは、それぞれの含まれるデザイン構成に従えば好ましいとしても、回転速度変換用のトランスミッション(変速機)を設けることが、必須ではなくなることを意味している。
【0030】
船舶駆動の好ましい実施形態において、電気モータ(複数)は、実質的に同一の構造(baugleich)を有している。これは、選択的な駆動の観点で有利さをもたらす。特に、モータが同一の構造を有する場合には、それらは、実質的に完全に互いに置換可能である。ここで、実質的に同一の構造という表現は、モータが全く同じなければならないということを意味していない。それ(全く同一なこと)は、ドライブトレーンにおける配置にとって既に有利ではない。むしろ、同一の構造とは、モータか実質的に同じタイプであることを意味している。それらが実質的に同じ駆動力を出力することもまた有利である。モータが電気エネルギ用に、及び/又は、さらに周辺装置に、実質的に同じように接続されることもまた有利である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、電気モータは、冷却装置を有している。そのようなモータが出力する一般的に高駆動力レベルは、温度を大きく上昇させる。温度上昇は、冷却によって減少させることができ、その結果、一方では、材料は、穏やかな注意深い取り扱いとなり、しかるに、他方では、温度上昇に伴う電気抵抗増加による出力損出を減少させる。冷却は、ここでは、様々な面で効果を発揮することができる。当業者によって導入可能な全ての冷却装置が考慮されるべきである。
【0032】
船舶駆動の好ましい実施形態において、電流コンバータは、冷却装置を有する。高レベル出力が伝達されて加熱されることがある。ここでも、また冷却装置は有用である。冷却装置は、電気モータに対して、同じである必要はない。二つの冷却装置を、異なる目的で使用することができる。それらは、また、あらゆる状態において、結合されていなければいけないというわけではない。それらは、互いに完全に独立して提供され、設置されることができる。
【0033】
船舶駆動の好ましい実施形態において、冷却装置は、空冷装置である。空冷装置の形式の冷却装置によって、水冷装置の場合に通常発生する酸化が減少する。また空冷の利点は、低メンテナンスで、故障しにくい点である。冷却装置でリークが発生した場合でも、冷却水も、冷却油、同様の冷却剤も、放出されてはならない。これに対して、空冷の場合、モータ冷却の様な態様がある。空気は、電気モータのステータ又はステータリングの周囲に流通され、又、空気は、ステータとロータ間の隙間を通過することができる。また、空気は、ロータの開口を通じて導くことができ、或いは、ステータに冷却通路を設けることもできる。これらの独立した可能なオプションは、当業者の要望に応じて、また組み合わされてもよい。また、好ましい実施形態において、冷却装置は、水冷装置の形式とされる。水は、空気に対して、より多くの熱を冷却すべき要素から奪うことができるという利点がある。この冷却方法は、電流コンバータに関連して、有利に採用される。
【0034】
船舶駆動装置の好ましい実施形態において、それは、本発明による船舶内に設けられる。そのような船舶駆動装置は、本発明による船舶がさらに有利に使用できるという有利さを意味する。
【0035】
船舶モータ交換方法の好ましい実施形態において、最初四つの工程が、交換可能な順番で実行される。最初の四つの工程は、モータを駆動装置および周辺装置から結合解除する工程と、解除可能な接続を開放する工程と、閉止可能な開口を開放する工程と、を含んでいる。これらの工程は、この順番で常に実行されなくてもよいことは、評価すべき利点である。メンテナンス、修理、又は内在する問題に応じて、及び、利用可能な労働力、その他に応じて、変更された順番で工程が実行できる点も有利である。ここで、駆動装置からの結合解除とは、モータが、もはや、ドライブトレーン(駆動系)と結合(カップル)していないことを意図して用いられている。
【0036】
方法のさらに好ましい実施形態では、方法は、追加的に、クレーンによってモータを吊り入れ又は搬入する工程を含む。そのような工程の含有は、モータ交換において有利である。また、ドライブトレーンに隣接した領域に載置されて、ドライブトレーンに移動されることになっているモータがある場合も有利である。さらに類似した工程の包含も可能である。そのステップも、また、モータ交換操作を包含する。周辺装置の吊り入れ又はそれらの搬入も、また有利に実行され、それも包含される。
【0037】
方法の好ましいさらなる実施形態では、方法は、追加的に、閉止可能な開口を閉止する工程を含む。閉止可能な開口を閉止する工程は、例えば、モータを移動した操作の後、有効である。開口の閉止は、船舶に対して、十分な再利用と、外洋での航海の継続とを可能とする。しかしながら、必要に応じて、航海は、開口を閉止しない状態でまた継続できる。
【0038】
方法の好ましい実施形態では、方法は、本発明による船舶、又は、本発明による船舶駆動装置に関連して用いられる。これは、本発明による船舶および船舶駆動装置の前述した利点が、また、有利に作用することを意味している。
【0039】
風力発電装置の発電機の、船舶におけるモータとしての使用の好ましい実施形態では、複数のそのような機械が用いられ、それらは実質的に同一の構造を有している。これは、選択的駆動の観点から別の有利さを提供する。機械が同様の構造(同種の構造)を有する場合のみ、それらは完全に互いに置換することができる。実質的に同一構造とは、ここでは、モータが完全一致していることの意味で使用されてはいない。それは、ドライブトレーンの配置によって、すでに有利ではない。むしろ、同一構造という語句は、モータが実質的に同タイプであることの意味で用いられる。それらが実質的に同じ出力を発生するならば、それも有利である。複数のモータが、電気エネルギ及び/又は別の周辺装置との接続のため、実質的に同じ接続を有しているならば、それはさらに有利である。
【0040】
本発明を、後述する実施例に基づいて、添付図面の例示を参照しながら、説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明による船舶の船尾の部分破断側面図である。
【
図2】
図1中の本発明による船舶の別の斜視図である。
【実施例】
【0042】
船舶の
図1に示された船尾は、船体2と、クレーン3(
図1にのみ図示する)と、閉止可能な開口5と、船舶駆動装置7と、を備えている。図面は、船舶1の帆走航法駆動用として用いられている、マグヌスロータ10を示している。マグヌスロータは、また、フレットナーロータ又は帆走ロータとも称されている。マグヌスロータ10はそれぞれ、天候デッキ14によって区画された矩形の四つのコーナーに配置されているが、一つのクレーン3のみが、閉止可能な開口5に隣接して配置されている。
図2に示されるクレーンは、
図1中のそれよりも実質的に好ましいものである。
図2は、船舶1のブリッジ30をさらに示している。天候デッキ14は、天気の影響又は海水からの保護を提供するために透明な材料で覆われていることができる舷窓18を有している。また、三つの荷物(船倉)デッキ、すなわち、下側スペース60、第1中間デッキ70および第2中間デッキ80が図示されている。船舶は、プロペラとして示されている推進ユニット50を備えている。操舵性の改善のために、船舶1は、サイドスラスタを有することができ、好ましくは、船尾に一つ、船首に一から二つ設けられる。好ましくは、これらのサイドスラスタは、電動とされる。船室の四分の一、厨房、食料庫、食堂などは、甲板室40内に配置される。
【0043】
中間デッキ60,80は、一つの床によって、下方に向かって(上下方向に関して)区切られている。この場合、本実施形態の第1中間デッキ70の床は、可動床パネル72および静止床パネル74を有している。第2中間デッキ80の床は、三つの部分を有している:すなわち、可動床パネル82、第1の静止床パネル84、および第2の静止床パネル86である。閉止可能な開口5は、二つの可動床パネル72,82が取り外され又は移動されることによって、開放される。二つの可動床パネル72,82は、船舶駆動装置7上にそれらによって閉止される移送経路が垂直方向に形成されるよう、互いに重なった関係に配置されている。この場合、クレーン3は、閉止可能な開口5を通じて、船舶駆動装置7と係合できるよう、デッキ14上に設けられている。可動床パネル72,82が移動されない場合、それらは閉止可能な開口5を閉止し、中間デッキ70,80は、通常、貨物100の積載をすることができる。本実施例では、可動床パネル72,82は、取り外されて閉止可能な開口5を開放しなければならないだけでなく、可動床パネル72,82上に貯蔵されたいずれの貨物100もまた、閉止可能な開口5を有する部分から取り出されなければならない。このため、床パネルは、吊り点71,73を有し、クレーン3で吊り出し可能であることが、より有利である。特に、床パネルは、クレーンの横吊りビーム(Traverse)を介して、取り出し可能であると有利である。選択的な実施例(不図示)では、床パネルは閉止可能な開口25を摺動して開くよう、レールシステムを介して取り外し可能である。
【0044】
ここで、船舶駆動装置は、船体2の下側後部に配置される。本実施形態では、船舶駆動装置は、二つのモータ8,9と、合計53の電流コンバータを有する二つの電流コンバータ筐体15,16と、二つのカップリング12,13と、シャフト11と、ここではプロペラ形式(
図1〜4)の推進ユニット50と、を備えている。この場合、電流コンバータ筐体15,16の一方は、各モータ8,9に接続される。電流コンバータ15,16は、モータ8,9と離間して配置されている。これによって、電流コンバータ15,16を交換することなく、又は、モータ8,9の交換のため、同時に対応する電気コンバータ15,16を同時に交換することなく、モータ8,9を船外に吊り出すことかできる。同時に、モータ8,9は、互いに独立して作動することができる。船舶駆動装置7は船尾の後部に配置されているため、シャフト11(の長さ)を短縮することができ、完全に船内を通して延在しなくてもよい。ここで、シャフト11は、モータ8,9および推進ユニット50用の通常のシャフトから形成されている。それは、また、
図3中、中心線Rで示されている。トランスミッションが、モータ8,9と推進ユニット50の間に設けられてもよい。トランスミッションはメンテナンスの複雑化とメンテナンス費用の増加を招くことがよくあるので、ここに示される実施例が好ましい。
【0045】
カップリング12,13はそれぞれ、シャフト11上において、モータ8,9間、第2モータ8と推進ユニット50(
図1,3及び4)の間に配置されている。
図3中、二つのモータ8,9間のカップリング13には、例えば、鋼製フレックスカップリング(Stahlflex−Kupplung)のような、ねじり剛性が高い全金属製カップリングが用いられる。ここで、含まれる各設計に応じて、代替のカップリングが用いられることも同様に好ましい。シャフト11は、
図3中左方に破線で示されている。これによって、推進ユニット50が、シャフト11上において、第2モータ8の後ろに配置できることが明らかになっているが、また、ここで、第3、第4などのモータを配置することもできる。これをまた
図4に模式的に示し、第2モータ8の横に破線で示すカップリング113がそれである。
【0046】
モータ8,9、シャフト11およびカップリング13に加えて、
図3はまた、冷却装置19,20、吊り点26,27および、モータ8,9を基礎32(模式的にのみ示す)に接続する解除可能な結合35,36,37,38を示している。ここで、モータ8,9は、実質的に同一の構造で示されている。この場合、冷却装置19,20は、各モータ8,9に設けられている。冷却装置19,20は、ここでは空冷形式である。モータ8,9の上部には吸気口21,22が設けられ、下部には排気口23,24が設けられている。吸気口21,22前方の矢印は、モータ8,9を通る空気の流れを示している。冷却装置19,20は、いかような形式で接続されてもよく、又、互いに独立に設けることもできる。
図4ではまた破線によって、二つの冷却装置19,20の接続が示されている。図中右側で中断する点線は、冷却装置19,20が中央冷却装置に接続できることも示している。各々の場合、いかなる冷却装置も設けないことも、また好ましい。
【0047】
解除可能な結合(手段)35,36,37,38は、
図3中モータ8,9下部で排気口23,24の下方に設けられている。それらは、モータ8,9延長部又はモータハウジングと、基礎32との間を、螺合している。四つのねじ結合35,36,37,38しか
図3には示されていないが、モータ8,9は、複数のねじ結合又は他の解除可能な基礎32に対する結合を有することができる。延長部は、また、モータ8,9中央又は上部に配置することもでき、それらは、部分的に基礎(張出)32に導入される。また、基礎32とねじ結合35,36,37,38との間には、制振要素又は他の中間要素を設けることもできる。選択可能な実施例では(
図3中右側、モータ9の下方参照)、モータ8,9は、レールシステム41上に配置される。ここで、レールシステム41は、床34の下に設けられるよう図示されている。また、レールシステム41を、床34上、又は部分的にその中に埋め込んで、配置することもできる。また、モータ8,9にとって、それらがそのようなレールシステム41上に取り付けられる場合、ブレーキ又はロック装置を有することが好ましい。
【0048】
モータ8,9は、上部に吊り点26,27を有している。それらは、クレーンとの係合に供される。かくて、モータは、クレーン3によって吊り上げられ、移送される。ここで、モータ8,9の各重量、寸法および形状に応じて、二より多くの吊り点をまた設けることができる。吊り点26,27は、また、ここで示したものと異なる形状とすることができる。選択可能な実施例では、吊り点26,27は基礎32に結合され、モータ8,9は基礎と一緒に吊り上げ可能となる。別の選択可能な実施例では、上述のレールシステム41が基礎32上に設けられ、モータ8,9はレールシステム41上を基礎32と一緒に移動可能である。
【0049】
図3中、モータ8,9は、下部に、電流コンバータ15,16又は他の周辺装置との各接続(手段)28,29を有している。接続28,29は、モータ8,9下部に設けることが必ずしも必要ではない。また完全に異なる形状でもよい。また、各モータ8,9に一より多くの接続を設けることもできる。電流コンバータ15,16は、接続28,29を介して、モータ8,9から離間して配置することができる。電流コンバータ又は電流コンバータ筐体15,16の冷却装置31,33は、モータ8,9と同じ冷却装置19,20である必要はない。
図4中、電流コンバータ15,16の冷却装置31,33間をつなぐ破線は、モータ8,9の冷却装置19,20間の破線で示された接続と、同様の機能的関係があることを示している。
【0050】
電流コンバータ筐体15,16は、モータ8,9と共にそれぞれ互いに独立して配置されている(
図4)。ここで、それらは、点線で接続されている。それは、電流コンバータ筐体15,16は、いかなる方法で協働してもよいことを示している。この協働は、例えば共通の電源によって可能である。
【0051】
モータ8,9の一つ、例えば、第1モータ9を、例えば、必要なメンテナンス、修理、又は、別のモータとの交換のため、或いは、多くの及び様々な理由によって、取り出す必要がある場合、図示の実施例では下記の工程が実行される。第1に、モータ9が、船舶駆動装置7から取り外すことができる。このため、カップリング13の解除が必要である。加えて、接続29をモータから外す必要がある。解除可能な結合(手段)37,38も、解除される。デッキ14の開放によって、クレーン3が、第1可動床パネル82との係合のため導入可能となり、それを取り外す。貨物100を床パネル82上に貯蔵しなければならない場合、最初に、貨物は中間デッキ80の別の場所に移動すべきである。第1可動床パネル82を取り外した後、クレーン3を、開口を通じて、例えば、吊り点73を利用した第2床パネル72との係合に導入することができ、それを取り外せる。床パネルをまた取り外した後、閉止可能な開口5が開放され、クレーン3が、次に、モータ9上の吊り点27との係合に導入可能となる。そして、モータ9がクレーンによって吊り上げ可能となる。クレーン3は、モータ9を、例えば、第1中間デッキ70、第2中間デッキ80又はデッキ14又は船外の他のプラットフォーム上に移送できる。モータ9が目標地点に到達したあと、可動床72,82は、元位置にクレーン3を用いて戻され、かくして、開口5が閉止される。船舶1は、モータ9がメンテナンス、修理等されているにもかかわらず、モータ8によってその航海を継続することができる。
以上、本発明の一実施形態および実施例を説明したが、本発明は、上記した一実施形態等に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 船舶
2 船体
3 クレーン
5 閉止可能な開口
7 船舶駆動装置
8,9 モータ
8 第2モータ
9 第1モータ
10 マグヌスロータ
11 シャフト
12,13 カップリング(継ぎ手)
14 露天(天候)デッキ
15,16 電流コンバータ、電流コンバータ筐体
18 舷窓
19,20 冷却装置
21,22 吸気口
23,24 排気口
25 開口
26,27 吊り点(係合部)
28,29 接続(手段)
30 ブリッジ
31,33 冷却装置
32 基礎
34 床
35,36,37,38 解除可能な結合(手段)、ねじ結合
40 甲板室
41 レールシステム
50 推進ユニット
60 下側スペース
70 第1中間デッキ
71,73 吊り点
72 可動床パネル
74 静止床パネル
80 第2中間デッキ
82 可動床パネル
84 第1の静止床パネル
86 第2の静止床パネル
100 貨物
113 カップリング(継ぎ手)