(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両用演算デバイスにより履歴データからユーザの運転習慣を決定する段階であって、該運転習慣は、前記ユーザが好む前進方向間隙及び前記ユーザが車線を変更するために好む側方間隙を含み、前記ユーザが好む前進方向間隙は、現在運転状態が所望運転状態を満足していない程度を表す前後方向移動性係数を決定するのに速度差と組み合わせられ、前記速度差はユーザが好む速度と現在の車両速度との関数である、段階と、
前記車両用演算デバイスによって前記ユーザが運転している車両の現在の箇所を決定する段階と、
前記車両用演算デバイスによって前記車両に対する現在運転状態を決定する段階と、
前記運転習慣および前記現在の箇所から、所望運転状態を前記車両用演算デバイスによって予測する段階と、
前記所望運転状態を前記現在運転状態と比較して、交通輻輳レベルを前記車両用演算デバイスにより決定する段階と、
前記車両用演算デバイスにより、現在の車両の箇所に侵入してくる異なる車両に、前記交通輻輳レベルを表す信号を送信する段階とを有する、
局地的な交通流を推計する方法。
前記現在運転状態を決定する段階は、現在の側方運転状態が所望の側方運転状態を満足していない程度を表す側方移動性係数を算出する段階を含む、請求項1に記載の方法。
前記現在運転状態を決定する段階は、現在の側方運転状態が所望の側方運転状態を満足していない程度を表す側方移動性係数を算出する段階を含む、請求項8に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書中に開示される実施形態は、局地的な交通流(local traffic flow)を推計するシステム、方法、および、持続的コンピュータ可読媒体を包含する。更に詳細には、幾つかの実施形態において、交通流は、掲示された制限速度に対する現在車両速度の比較により推計される。同様に、幾つかの実施形態においては、所望車両速度が決定されると共に、該速度は車両の現在速度と比較され得る。幾つかの実施形態においては、移動性係数が決定されると共に、該係数は、特定のユーザに対する所望の移動性条件と比較され得る。これらの交通流決定に基づき、上記探測用車両は道路上の他の車両と通信することで、交通輻輳を表し得る。
【0011】
次に各図を参照すると、
図1は、本明細書中に開示された実施形態に従う、局地的な交通流を決定するために使用され得る探測用車両100を概略的に示している。示された如く、探測用車両100は、一つ以上のセンサ102a、102b、102cおよび102d(その場合、センサ102dは、センサ102bに対して車両100の逆側に配置され、且つ、センサ102a〜102dは“各センサ102”と集合的に称される)、無線通信デバイス104、および、車両用演算デバイス106を含み得る。各センサ102は、レーダ・センサ、レーザ、および/または、探測用車両100の近傍における他の車両の存在を決定すべく構成された他の形式のセンサを含み得る。付加的に、各センサ102は、交通輻輳を検知すべく特に設計されたセンサを含み得るが、各センサ102はまた、駐車支援、巡航制御支援、後方視認支援などに対して使用されても良い。
【0012】
同様に、無線通信デバイス104は、ラジオ通信、移動体通信、(ラジオ通信、全地球測位通信などのための)衛星通信、などに対する一つ以上のアンテナとして構成され得る。同様に、無線通信デバイス104は、所定範囲内の他の車両との通信専用に構成され得る。無線通信デバイス104は
図1において外部アンテナとして例示されるが、これは一例にすぎないことを理解すべきである、と言うのも、幾つかの実施形態は内部アンテナを以て構成され得るからである。
【0013】
図2は、本明細書中に開示された実施形態に従う、局地的な交通流を決定すべく構成され得る車両用演算デバイス106を概略的に示している。図示実施形態において、車両用演算デバイス106は、プロセッサ230、入力/出力ハードウェア232、通信インタフェース・ハードウェア234、(地図データ238を記憶する)データ記憶構成要素236、および、メモリ構成要素240を含んでいる。メモリ構成要素240は、揮発性および/または不揮発性のメモリとして構成され得ることから、(SRAM、DRAM、および/または、他の形式のRAMなどの)ランダム・アクセス・メモリ、フラッシュ・メモリ、レジスタ、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および/または、他の形式の持続的なコンピュータ可読媒体として構成され得る。特定実施形態に依存し、これらの持続的コンピュータ可読媒体は、車両用演算デバイス106内に、および/または、該車両用演算デバイス106の外部に配置され得る。
【0014】
付加的に、メモリ構成要素240は、一例として各々がコンピュータ・プログラム、ファームウェアおよび/またはハードウェアとして具現され得るというオペレーティング・ロジック242、車両環境ロジック244aおよび交通状態ロジック244bを記憶すべく構成され得る。
図2においてはローカル・インタフェース246も含まれると共に、該インタフェースは、車両用演算デバイス106の各構成要素間の通信を促進するバスまたは他のインタフェースとして実現され得る。
【0015】
プロセッサ230は、(データ記憶構成要素236および/またはメモリ構成要素240などから)命令を受信して実行すべく作用し得る任意の処理構成要素を含み得る。入力/出力ハードウェア232は、モニタ、キーボード、マウス、プリンタ、カメラ、マイクロフォン、スピーカ、大域的位置受信器、および/または、データを受信、送信、および/または、呈示するための他のデバイスを含み得る。通信インタフェース・ハードウェア234は、無線通信デバイス104、または、他のアンテナ、モデム、LANポート、ワイヤレス・フィデリティ(Wi-Fi)カード、WiMaxカード、移動通信ハードウェア、(IEEE 1609、SAE J2735などに準拠する)専用の短距離通信ハードウェア、および/または、他のネットワークおよび/またはデバイスと通信する他のハードウェアの如き、任意の有線または無線のネットワーク用ハードウェアに対する通信に対して構成され得る。この接続から、車両用演算デバイス106と、他の車両に対して組み合わされても組み合わされなくても良い他の演算デバイスとの間の通信が促進され得る。同様に、通信インタフェース・ハードウェア234は、車両制御ユニットなどの如き、他の車両内演算デバイスに対して通信すべく構成され得る。これらの通信は、コントローラ・エリア・ネットワーク、フレックスレイ(flexray)バスなどの如き車両内インタフェースを介して促進され得る。
【0016】
同様に、データ記憶構成要素236は、車両用演算デバイス106に対してローカル的に、および/または、該デバイスから遠隔的に配置され得ると共に、車両用演算デバイス106および/または他の構成要素によるアクセスのための一つ以上のデータを記憶し得ることを理解すべきである。
図2に示された如く、データ記憶構成要素236は、幾つかの実施形態において道路、道路位置、掲示制限速度、工事現場に関するデータを含む地図データ238、ならびに、所望の行先箇所へと探測用車両100を経路設定するための経路設定アルゴリズムを記憶する。
【0017】
メモリ構成要素240に含まれるのは、オペレーティング・ロジック242、車両環境ロジック244aおよび交通状態ロジック244bである。オペレーティング・ロジック242は、オペレーティング・システム、および/または、探測用車両100の各構成要素を管理する他のソフトウェアを含み得る。同様に、車両環境ロジック244aは、メモリ構成要素240内に配置され得ると共に、該ロジックは、プロセッサ230により、各センサ102からの信号を受信すると共に、探測用車両100の近傍における交通輻輳を決定すべく構成され得る。交通状態ロジック244bは、プロセッサ230により、探測用車両100の近傍における交通状態に関する他の探測用車両からのデータを受信すると共に、探測用車両100がまだ遭遇していない関連交通状態の表示を提供すべく構成され得る。
【0018】
図2に示された各構成要素は、例示的にすぎず、本開示内容の有効範囲の制限は意図されないことを理解すべきである。
図2における各構成要素は探測用車両100内に配置されるものとして示されるが、これは一例にすぎない。幾つかの実施形態においては、各構成要素の内の一つ以上が探測用車両100の外部に配置され得る。但し、
図1および
図2における車両用演算デバイス106は単一システムとして示されるが、これもまた一例にすぎないことも理解すべきである。幾つかの実施形態において、車両環境の機能性は、別体的なハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアにより実現され得る交通状態の機能性とは別体的に実現される。
【0019】
次に
図3Aから
図3Cを参照すると、本明細書中に開示された実施形態に従う、探測用車両により遭遇され得る複数の交通状態が概略的に示される。
図3Aに示された如く、探測用車両100は、(集合的に“他の各車両302”と称される)一台以上の他の車両302a、302b、302cおよび302dと共に、道路上を下り走行中であり得る。従って、各センサ102は、探測用車両100に関する他の各車両302の箇所を決定すべく構成され得る。この情報により、車両用演算デバイス106は、(集合的に“各交通間隙304”と称される)一つ以上の交通間隙304a〜304fを決定して、交通輻輳レベルを決定し得る。更に詳細には、
図3Aの例において、センサ102aは他の車両302aを検出すると共に、探測用車両100と他の車両302aとの間の距離を交通間隙304aとして決定し得る。同様に、センサ102bは、他の車両302bの位置を検出することから、交通間隙304bおよび304eを決定し得る。センサ102cは、他の車両302cを検出することから、交通間隙304cを決定し得る。同様に、センサ102dは他の車両302dの存在を検出することから、交通間隙304dおよび304fを決定し得る。
【0020】
同様に、
図3Bは、第2車両306から交通情報を受信している(例えば探測用車両100などの)第1車両の例を示している。
図3Bの例において、第2車両306は、第2車両用演算デバイス308を備えると共に、
図1および
図2に関して記述された交通検出用のハードウェアおよびソフトウェアを含む。従って、第2車両用演算デバイス308は、(探測用車両としても構成され得る)第2車両306が、現在は、(高速で動いている道路上で一群の他の車両が突然に停止したという)ショックウェーブ(shockwave)、または、車両の交通速度が急激にゼロもしくは殆どゼロまで低下したという他の交通事変に在る、ということを決定し得る。従って、第2車両306は、該第2車両306の位置、該第2車両306の現在速度を表すデータ、および/または、該第2車両が現在、ショックウェーブ内に在ることを示す他のデータを送信し得る。(例えば、
図1および
図2の探測用車両100などの)第1車両は、第2車両306からのデータを受信すると共に、該第1車両のユーザに対し、潜在的に危険な状況が接近しつつあることを表示し得る。同様に、幾つかの実施形態において、上記第1車両により自動減速の如き他のメカニズムが実現されることで、該第1車両が、潜在的に危険な速度にて交通事変に接近することが更に阻止され得る。
【0021】
図3Cは、ショックウェーブ内で停止している探測用車両100の例を示している。斯かる状況において、探測用車両100のユーザは、該ショックウェーブが間もなく終了するか否かを知ることを望み得る。従って、車両用演算デバイス106は、第3車両312の第3車両用演算デバイス310から交通データを受信し得る。第3車両用演算デバイス310は第3車両312の位置を表し得ることから、ショックウェーブが終了する箇所を車両用演算デバイス106に対して示し得る。
【0022】
図3Bから
図3Cに関して本明細書中に記述される実施形態はショックウェーブに言及しているが、これは一例にすぎないことを理解すべきである。更に詳細には、工事、交通事故などの如き他の種類の交通事変なども本開示内容の有効範囲に含まれ得る。
【0023】
図4は、本明細書中に開示された実施形態に従う、現在車両速度から交通輻輳レベルを決定するためのフローチャートを示している。示された如く、車両用演算デバイス106は、探測用車両の現在の箇所および配向を決定し得る(ブロック450)。この情報は、全地球測位システム(GPS)用受信器を介し、および/または、車両環境ロジック244bおよび/または車両用演算デバイス106の一部であり得る他の位置決定構成要素を介して獲得され得る。従って、決定された位置における道路の掲示制限速度が決定され得る(ブロック452)。上記掲示制限速度は、地図データ238(
図2)から決定され得るか、および/または、遠隔的な演算デバイスとの通信により決定され得る。
【0024】
付加的に、車両速度の如き現在の運転状態も決定され得る(ブロック454)。車両速度は、探測用車両100における速度計に対する通信により、経時的な大域的位置の変化の計算により、および/または、他のメカニズムにより、決定され得る。次に、現在車両速度が掲示制限速度の所定の第1の百分率以上であるか否かに関する決定が為され得る(ブロック456)。もし現在速度が掲示制限速度の上記所定の第1の百分率より大きければ、輻輳レベルは“自由流れ”として分類され得る。例えば、上記第1の所定百分率が85%と選択され、且つ、現在車両速度が掲示制限速度の90%であるなら、輻輳の流れレベルが“自由流れ”として分類される如く、交通輻輳は最小限度である、という決定が為され得る。
【0025】
もし、ブロック456において、現在車両速度が掲示制限速度の所定百分率以上でなければ、現在車両速度が掲示制限速度の上記第1の所定百分率と第2の所定百分率との間であるか否かに関する決定が為され得る。例えば、上記第1の所定百分率が75%であり、上記第2の所定百分率が50%であり、且つ、現在車両速度が掲示制限速度の60%ならば、フローチャートはブロック462へと進展し、輻輳レベルを“同期的流れ”として分類し得る。もし、ブロック460にて、現在速度が上記第1の所定百分率と上記第2の所定百分率との間ではないなら、現在車両速度が、上記第2の所定百分率以下であるか否かに関する決定が為され得る(ブロック464)。もしそうであれば、輻輳レベルは“輻輳流れ”として分類され得る(ブロック466)。ブロック462、458および466から、決定された輻輳レベルおよび/または他のデータは、探測用車両100から他の車両へと送信され得る(ブロック468)。
【0026】
次に
図5を参照すると、本明細書中に開示された実施形態に従う、推計された所望車両速度であって、ユーザが運転を望むという車両速度から交通輻輳レベルを決定するためのフローチャートが示される。示された如く、車両用演算デバイス106は(車両環境ロジック244aを介し)、ユーザの運転習慣に関する履歴データを集計し得る(ブロック550)。更に詳細には、車両用演算デバイス106は、運転データを集計することで、概略的に好適な運転速度、特定の道路に対して好適な運転速度、特定の制限速度に対して好適な運転速度、好適な巡航制御速度、好適な車線変更頻度、好適な前進方向距離(headway distance)、好適な車線変更間隔、および/または、他のデータを予測すべく構成され得る。次に、車両用演算デバイス106は、探測用車両100に対する(例えば進行の方向などの)現在の箇所および配向を決定し得る(ブロック552)。次に、所望車両速度の如き所望運転状態が、ユーザの運転習慣に基づいて決定され得る(ブロック554)。また、現在車両速度の如き現在運転状態に関する決定が為され得る(ブロック556)。車両用演算デバイス106は次に、ブロック558において示される如く、(例えば所望車両速度などの)所望運転状態を(例えば現在車両速度などの)現在運転状態に対して比較し得る。
【0027】
更に、その後、現在車両速度が、所望車両速度の所定の第1の百分率以上であるか否かに関する決定が為され得る(ブロック560)。もしそうであれば、車両用演算デバイス106は輻輳レベルを“自由流れ”として分類し得る(ブロック562)。もし、ブロック560にて、現在車両速度が上記所望車両速度の第1の所定百分率以上でなければ、現在車両速度が、所望車両速度の第1の所定百分率と所望車両速度の第2の所定百分率との間であるか否かに関する決定が為され得る(ブロック564)。もしそうであれば、輻輳レベルは“同期的流れ”として分類され得る(ブロック566)。もしそうでなければ、現在車両速度が、所望車両速度の第2の所定百分率以下であるか否かに関する決定が為され得る(ブロック568)。もしそうであれば、輻輳レベルは“輻輳流れ”として分類され得る(ブロック570)。ブロック564、570および572から、輻輳レベルおよび/または他のデータは、他の車両へと送信され得る(ブロック574)。
【0028】
次に
図6Aから
図6Cを参照すると、本明細書中に開示された種々の実施形態に従う、ユーザ固有の運転選好性から交通輻輳レベルを決定するためのフローチャートが示される。
図6Aに示された如く、車両用演算デバイス106(
図1、
図2)は、ユーザの運転習慣に関するデータを集計し得る(ブロック650)。
図5に関して論じられた如く、ユーザの運転習慣は、好適な運転速度、特定の道路に対して好適な運転速度、特定の制限速度に対して好適な運転速度、好適な巡航制御速度、好適な車線変更頻度、好適な前進方向距離、好適な車線変更間隔、および/または、他のデータを含み得る。付加的に、探測用車両100の現在の箇所および配向が決定され得る(ブロック652)。上記探測用車両に対しては、一つ以上の現在の前進方向間隙、一つ以上の現在の速度差の如き現在運転状態、および、車線変更間隙の如き現在の(一つ以上の)側方間隙も決定され得る(ブロック654)。上記車線変更間隙は、側方移動性係数を計算するために組み入れられ得る(ブロック656)。上記前進方向間隙および速度差は、前後方向移動性係数(longitudinal mobility factor)に組み入れられ得る(ブロック658)。比較されたデータからは、輻輳レベルが決定され得る(ブロック660)。付加的に、上記輻輳レベルは、他の車両に対して送信され得る(ブロック662)。
【0029】
図6Bは、側方移動性係数の決定に関する
図6Aのブロック656を拡大している。更に詳細には、時間分および/または長さ分などの所望の間隙持続時間に関する決定が為され得る(ブロック664)。必要条件ではないが、このことは、ブロック650からの集計済みデータにアクセスすることにより実施され得る。付加的に、間隙(i)の側方間隙持続時間が決定され得、その場合、i=1であり、且つ、“i”は、存在する全ての側方間隙に対するインデックスである(ブロック668)。更に詳細には、
図3Aと同様に、探測用車両100は、該探測用車両が進行しつつある道路上の一つ以上の間隙を識別し得る。そのとき、間隙(i)の側方間隙持続時間が、ユーザに対する所望の間隙持続時間より大きいか否かに関する決定が為され得る(ブロック670)。もしそうであれば、側方移動性係数成分(i)が1に設定され得る(ブロック672)。もし、ブロック670にて、間隙(i)の側方間隙持続時間が所望の間隙持続時間より大きくないならば、側方移動性係数成分(i)は、間隙持続時間(i)を所望の間隙持続時間により除算した商に等しく設定され得る(ブロック674)。付加的に、ブロック672および674から、全ての間隙が考慮されたか否かに関する決定が為され得る。もしそうでなければ、フローチャートは678へと進展し、iを1だけインクリメントし、処理は再開され得る。もし全ての間隙が考慮されていれば、側方移動性係数は、1〜Nにわたる間隙iの各々に対する移動性係数成分の平均値として決定され得る(ブロック680)。上記側方移動性係数は、現在の側方運転状態が所望の側方運転状態を満足していない量を表し得る。上記処理は次に、
図6Aにおけるブロック658へと進展し得る。
【0030】
図6Bにおける実施形態において、側方移動性係数は各移動性係数の平均値として決定され得るが、これは一例にすぎないことを銘記すべきである。更に詳細には、幾つかの実施形態においては、最小値、最大値、最頻値、および/または、中央値の如き他の計算値が利用されることで、側方移動性係数が決定され得る。
【0031】
図6Cは、
図6Aからのブロック658を更に詳細に示している。更に詳細には、ブロック656から、所望の前進方向、所望の前進方向間隙持続時間、車両長さ、車両速度、および、運転者の所望速度の如き所望運転状態が決定され得る(ブロック679)。此処でも、必要条件ではないが、このことは
図6Aのブロック650において実施され得る。現在の前進方向間隙もまた決定され得る(ブロック680)。次に、3と車両長さとの積を現在の前進方向間隙から減算した差から、所望の前進方向間隙持続時間と現在速度との積を減算することにより、間隔誤差(spacing error)が決定され得(ブロック681)、すなわち次式である:
【数1】
【0032】
上記の計算においては“3”の値が使用されたが、これもまた一例であることを銘記すべきである。更に詳細には、特定の実施形態に依存して、任意の数値が使用され得る。
【0033】
付加的に、そのとき、間隔誤差が0(ゼロ)より大きいか否かに関する決定が為され得る(ブロック682)。もしそうであれば前進方向間隙係数は1に等しく設定される(ブロック683)。もし間隔誤差が0(ゼロ)より大きくなければ、該間隔誤差が、ユーザが受け入れ得る最小限度の前進方向距離であるユーザ前進方向飽和値よりも小さいか否かに関する決定が為され得る(ブロック684)。もしそうであれば、前進方向間隙係数はゼロに等しく設定され得る(ブロック686)。もし、ブロック684にて、間隔誤差が前進方向飽和値より小さくないと決定されたなら、前進方向間隙係数は、1から、間隔誤差をユーザ前進方向飽和値で除算した商を減じた差として決定され得、すなわち次式である:
【数2】
【0034】
ブロック683、685および686に続き、現在速度が、所望ユーザ速度より大きいか否かに関する決定が為され得る(ブロック687)。もしそうであれば、速度差係数が1に設定される(ブロック688)。もし、現在速度が所望ユーザ速度より大きくなければ、現在速度が、例えば、ユーザ所望速度と0.6との積より小さいか否かに関する決定が為され得る(ブロック689)。もしそうであれば、速度差係数はゼロに等しく設定される(ブロック690)。もし、現在速度が、ユーザ所望速度と0.6との積より小さいならば、速度差係数は、ユーザ所望速度から現在速度を減算した差を、0.4とユーザ所望速度との積により除算した商を、1から減算した差に設定され得、すなわち次式である:
【数3】
【0035】
ブロック688、690および691から、上記前後方向移動性係数は、上記前進方向間隙係数と速度差係数との内の小さい方として設定され得ると共に、該前後方向移動性係数は、現在運転状態が、所望運転状態を満足しないという量を表し得る(ブロック692)。フローチャートは次に、
図6Aにおけるブロック660へと進展し得る。
【0036】
次に
図7を参照すると、本明細書中に開示された実施形態に従う、交通輻輳を分類するための例示的な条件によるグラフ700が示される。更に詳細には、
図6Aにおけるブロック660から、現在輻輳レベルに関する決定が為され得る。
図7の例においては、演算された側方移動性係数と、前後方向移動性係数とから、輻輳レベルの決定が為され得る。グラフ700に示される如く、上記側方移動性係数がγおよび1という各所定スレッショルド値の間であるか、または、上記前後方向移動性係数がβおよび1という各所定スレッショルド値であるなら、輻輳レベルは“自由流れ”(FF)と決定され得る。同様に、上記側方移動性係数がγという所定スレッショルド値より小さい場合、上記前後方向移動性係数がαという所定スレッショルド値より小さいならば、輻輳レベルは“輻輳流れ”であると決定され、且つ、上記前後方向移動性係数がαおよびβという各所定スレッショルド値の間であるならば、輻輳レベルは“同期的流れ”であると決定される。
【0037】
図6Aから
図6Cおよび
図7に関して論じられた上記例は、例示的にすぎないことを銘記すべきである。更に詳細には、各移動性係数、ならびに、輻輳レベルを決定すべく、他の計算が実施され得る。
図8Aから
図8Cは、これらの決定に対する別の好適実施形態を示している。
【0038】
図8Aから
図8Cは、本明細書中に開示された実施形態に従う、交通輻輳を決定するための別の好適実施形態を示している。更に詳細には最初に
図8Aを参照すると、探測用車両800aは、(夫々の方向に2車線が延在する)4車線道路上で進行しつつあり得る。探測用車両800aの検知範囲内には車両800bおよび車両800cも在り、該車両800bおよび800cの間の距離はD23である。付加的に、探測用車両800aは、車両800bおよび800cの相対速度を決定することで、D23が、増大しているのか、減少しているのか、同一に留まっているのかを決定すべく構成され得る。従って、車両800bの速度(speed_2)および車両800cの速度(speed_3)が探測用車両800aの速度(speed_1)より大きければ、側方移動性係数は、D23を、車両800cおよび探測用車両800aの相対速度で除算した商であると決定され得、すなわち次式である:
【数4】
【0039】
斯かる状況においては、
図8Aに示された横方向間隙が、後方にて閉じつつある。付加的に、側方移動性係数は1より大きい値を有し得ることから、幾つかの実施形態において、側方移動性成分は、1の上側境界を有し得る。
【0040】
同様に、車両800bの速度および車両800cの速度の内の大きい方が、探測用車両800aの速度より小さいか否かに関する決定が為され得る。斯かる状況において、側方移動性成分は、D23を、車両800bと探測用車両800aとの相対速度で除算した商であると決定され得、すなわち次式である:
【数5】
【0041】
斯かる状況においては、
図8Aに示された横方向間隙が、前方にて閉じつつある。
【0042】
車両800bの速度が探測用車両800aの速度より大きいか否か、および、車両800cの速度が探測用車両800aの速度以下であるか否かに関する決定も為され得る。もしそうであれば、側方移動性係数は1に等しく設定され得、すなわち次式である:
【数6】
【0043】
この状況においては、横方向間隙は開いていることから、車両800b、800cのいずれとも遭遇せずに、上記探測用車両が車線を変更することが許容される。
【0044】
車両800bの速度が探測用車両800aの速度以下であるか否か、および、車両800cの速度が探測用車両800aより大きいか否かに関する決定も為され得る。もしそうであれば、側方移動性係数はゼロに等しく設定され得、すなわち次式である:
【数7】
【0045】
斯かる状況において、
図8Aにおける横方向間隙は閉じている。
【0046】
図8Aに関して記述されたアルゴリズムは、
図6Bにおいて利用されることで、側方移動性係数を決定し得ることを理解すべきである。付加的に、
図8Aにおいて明示的には示されないが、一つ以上の側方間隙が在るという状況においては、平均値、最小値、最大値、最頻値、中央値などが側方移動性係数として考慮され乍ら、各側方間隙に対して、同様の計算が実施され得る。
【0047】
次に
図8Bを参照すると、探測用車両802aは、H21の距離にて車両802bの背後を、且つ、H13の距離にて車両802cの前方を進行しつつあり得る。この実施形態においては、前後方向移動性係数が決定され得る。一例として、探測用車両802aの現在速度が所望速度(speed_des)以下であるか否か、および、間隙H21が所望間隙(h_des)より大きいか否かに関する決定が為され得る。もしそうであれば、探測用車両802aの速度に対する制限は殆ど無いことから、前後方向移動性係数は1に等しく設定され得、すなわち次式である:
【数8】
【0048】
同様に、探測用車両802aの速度が、ユーザが受け入れる最小速度である速度飽和値(speed_sat)より大きいか否か、および、探測用車両802aの速度が上記所望速度以下であるか否か、および、H21が所望間隙距離より大きいか否かに関する決定が為され得る。もしそうであれば、上記前後方向移動性係数は、所望速度から探測用車両802aの速度を減算した差を速度飽和値で除算した商を1から減算した差に設定され得、すなわち次式である:
【数9】
【0049】
付加的に、前進方向間隙H21がユーザ前進方向飽和値(h_sat)以上であり且つ所望前進方向間隙以下であるか否か、および、探測用車両の現在速度が所望速度以上であるか否かに関する決定が為され得る。もしそうであれば、前後方向移動性係数は、所望前進方向間隙からH21を減算した差を前進方向の最小許容間隙で除算した商を1から減算した差に等しく設定され得、すなわち次式である:
【数10】
【0050】
また、前進方向間隙H21が上記前進方向飽和値と上記所望前進方向との間であるか否か、ならびに、探測用車両802aの速度が速度飽和値と上記所望速度との間であるか否かに関し、付加的な計算が実施され得る。もしそうであれば、上記前後方向移動性係数は、所望速度から探測用車両の現在速度を減算した差を上記速度飽和値で除算した商を1から減算した差と、所望前進方向から前進方向H21を減算した差を前進方向飽和値で除算した差を1から減算した差と、の内の小さい方に等しくされ得、すなわち次式である:
【数11】
【0051】
更に、探測用車両802aの現在速度が速度飽和値以下であるか否か、または、H21が前進方向飽和値より小さいか否かに関する決定が為され得る。もしそうであれば、上記前後方向移動性係数はゼロに等しく設定され得、すなわち次式である:
【数12】
【0052】
次に
図8Cを参照すると、上記側方移動性係数および上記前後方向移動性係数が一旦決定されたなら、グラフ820を使用するなどして、輻輳レベルが決定され得る。
図7からのグラフ700は輻輳流れおよび同期的流れに対して矩形状の領域を図示しているが、グラフ820は、他の計算が為され得ることを強調すべく包含されている。更に詳細には、グラフ820において、輻輳流れは、高さとしてγである所定スレッショルド値と、幅としてμである所定スレッショルド値とを備える、矩形状の領域である。同様に、同期的流れは不規則的な形状とされ得ると共に、自由流れは、側方移動性係数および前後方向移動性係数に対する夫々の最大値の間の残存領域とされ得る。
【0053】
本明細書においては、本開示内容の特定の実施形態および見地が図示かつ記述されてきたが、該開示内容の精神および有効範囲から逸脱せずに、他の種々の変更および改変が為され得る。更に、本明細書中では種々の見地が記述されたが、斯かる見地は組み合わせて利用される必要はない。従って、添付の各請求項は、本明細書中に示されて記述された実施形態の有効範囲内である斯かる変更および改変の全てを網羅することが意図される。
【0054】
今や、本明細書中に開示された各実施形態は、局地的な交通流を探測用車両により決定するためのシステム、方法、および、持続的コンピュータ可読媒体を包含し得ることを理解すべきである。上記で論じられた如く、斯かる実施形態は、道路上における所望の運転状態、並びに、側方および前後方向の間隔を決定することで、交通状態を決定すべく構成され得る。この情報は、車両、演算デバイス、交通情報センター、運輸局などの如き、他の対象体へと付加的に送信され得る。これらの実施形態は、例示的であるにすぎず、本開示内容の有効範囲を制限することは意図されないことも理解すべきである。