(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記配列情報は、前記配置部内で配置される各電子部品の配置位置、及び前記配置位置における前記各電子部品のランク情報を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品移送装置。
前記制御部は、前記配置部に対する移送が完了したことを知らせる信号または強制再配置信号を受信したときに、前記残電子部品を前記再配置部に再配置するように前記電子部品移送部を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子部品移送装置。
前記制御部は、前記残電子部品を、前記ランク情報に基づいてランク毎に規則的に前記再配置部に再配置するように前記電子部品移送部を制御することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電子部品移送装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態の電子部品移送装置および電子部品移送方法の構成を示すブロック図である。
【0014】
本発明の電子部品移送装置の実施形態である電子部品移送装置1の構成を
図1を参照しながら説明する。この
図1のピックアップ部10及び実装部20内において、左右方向をX方向、手前側から奥側に向かう方向をY方向、上下方向をZ方向、XY平面における角度をθとして、以降の説明を行う。
【0015】
図1に示されるように、電子部品実装装置1は、ピックアップ部10、実装部20、電子部品移送部である移載ヘッド30、制御部40、電子部品情報格納部41及び配列情報格納部42を備えて構成されている。ピックアップ部10と実装部20とは、X方向に相互に離隔して配置される。本発明において、電子部品移送部は、吸着ノズルを備えた移載ヘッドおよびこれを作動させるヘッドアクチュエータから構成される。
【0016】
ピックアップ部10は、電子部品移送装置1において、電子部品100が配置されるウェハシート200から電子部品100のピックアップを行うユニットである。ピックアップ部10は、電子部品保持テーブル11、電子部品保持テーブルアクチュエータ12、ピックアップハンマ13、上円板カム14、ピックアップモータ15、突き上げ針16、下円板カム17、突き上げモータ18及びカメラ19を備えて構成される。
【0017】
ピックアップ部10においては、ウェハシート200に配置される電子部品100を移載ヘッド30によりピックアップするためのピックアップ位置Puが一ヶ所設定される。ピックアップ位置Puは、ピックアップ部10におけるX方向及びY方向の所定の位置を示す。
【0018】
電子部品保持テーブル11は、電子部品100が配置されるウェハシート200を保持可能な平坦な面を有する部材である。電子部品保持テーブル11は、ウェハシート200の周縁部を保持し、伸縮性のある粘着シートを伸長することで、ウェハシート200上に配置される電子部品100を互いに所定の距離離隔させる。
【0019】
電子部品保持テーブルアクチュエータ12は、電子部品保持テーブル11を電子部品100が配置される面内(言い換えれば、XY平面内)で移動させるとともに、この面内で電子部品保持テーブル11をθ方向に回転させるアクチュエータから成る。電子部品保持テーブルアクチュエータ12は、制御部40から供給される制御信号に応じて、電子部品保持テーブル11を移動させることで、ウェハシート200上に配置される所望の電子部品100をピックアップ位置Puに設定する。
【0020】
ピックアップハンマ13は、ピックアップ位置Puにおいて、ウェハシート200の上方に配設されるベアリング状の端部を有する構成である。ピックアップハンマ13のベアリング状の端部は、アームを介して上円板カム14に接続される。
【0021】
上円板カム14は、ピックアップモータ15の回転に応じて回転可能な円板状のカムである。ピックアップモータ15は、制御部40から供給される制御信号に応じて回転し、上円板カム14を回転させる。ピックアップハンマ13は、上円板カム14の回転に応じてアームが移動することで、ベアリング状の端部がZ方向に往復移動する。
【0022】
突き上げ針16は、ピックアップ位置Puにおいて、ウェハシート200の下方に配設される針状の構成である。突き上げ針16は、アームを介して下円板カム17に接続され、下円板カム17の回転に伴って、Z方向に移動する。
【0023】
突き上げ針16が、下円板カム17の回転によりZ方向を上方に移動するに従って、突き上げ針16の上端はウェハシート200に接触する。突き上げ針16は、移動範囲の上端において、ウェハシート200を貫通し、電子部品100に接触するとともに、電子部品100を突き上げる。
【0024】
突き上げ針16は、針状の上端がピックアップ位置Puにおいて配置される電子部品100を突き上げ可能な態様で配設される。突き上げモータ18は、制御部40から供給される制御信号に応じて、下円板カム17を回転させる。
【0025】
カメラ19は、ウェハシート200上のピックアップ位置Puに位置調整して配置される電子部品100及びその周辺に配置される電子部品100を撮像範囲に収められるよう構成され、配設される。カメラ19において撮像された電子部品100の画像は、制御部40に送信される。
【0026】
実装部20は、ピックアップ部10において、吸着ノズル31により吸着された電子部品100が本実施形態における配置部である実装基板300に実装するユニットであって、実装基板保持台21、実装基板保持台アクチュエータ22、実装ハンマ23、円板カム24、実装モータ25及びカメラ26を備えて構成される。
【0027】
実装部20は、実装基板保持台21上に実装基板300とは別に再配置部400を備える。再配置部400は、例えば、実装基板保持台21上に配置された複数の実装基板300のうちの1つを再配置部として置き換えたり、実装基板300が配置されている実装基板保持台21の上の余ったスペースや、実装基板300が取り出された後に同一の場所に配置されるものである。
【0028】
なお、再配置部400は、粘着性を有するシートから構成され、電子部品を配置できるものである。
【0029】
実装部20においては、吸着ノズル31に吸着される電子部品100を実装基板300上に実装するための実装位置Plが一ヶ所設定される。
【0030】
実装位置Plは、実装部20におけるX方向及びY方向の所定の位置を示す。なお、実装位置Plは、ピックアップ位置PuからX方向に所定の距離離隔した位置に設定される。
【0031】
同様に、実装部20において、移載ヘッド30に保持される吸着ノズル31に吸着される残電子部品を再配置部400上に配置するための再配置位置Prが一ヶ所設定される。再配置位置Prは、実装位置Plと同様に実装部20におけるX方向及びY方向の所定の位置を示す。
【0032】
ここで、残電子部品とは、制御部40によって指定された移動されるべき電子部品100以外の電子部品であり、電子部品情報より不良の電子部品と判断された電子部品と、当該実装に係る必要電子部品以上にウェハシート200上に電子部品があった場合に、余ってしまう電子部品100である。この余った電子部品100、つまり残電子部品にもそれぞれランクが付与されている。
【0033】
実装基板保持台21は、電子部品100が実装される実装基板300を保持可能な平坦な面を有する部材である。実装基板300は、セラミック基板、ガラス基板、プリント基板などの基板である。
【0034】
実装基板保持台アクチュエータ22は、実装基板保持台21を電子部品100が実装される面方向(言い換えれば、X方向、Y方向及びθ方向)で移動可能である可動軸を有するアクチュエータである。
【0035】
実装基板保持台21上に保持される実装基板300には、移載ヘッド30の吸着ノズル31によって吸着される複数の電子部品100がそれぞれ所定のマージン離隔して実装される。以降、実装基板300上のそれぞれの電子部品100が実装されるべき位置を、電子部品実装位置と称して説明する。なお、電子部品実装位置は、例えば、実装基板300上に複数の列及び行から成るマトリックス状に設定される。
【0036】
実装ハンマ23は、ベアリング状の端部がアームに接続され、該アームを介して円板カム24に接続される。円板カム24は、実装モータ25の駆動に応じて回転可能に構成される。
【0037】
円板カム24の回転に伴ってアームが移動することで、実装ハンマ23のベアリング状の端部がZ方向に往復移動する。実装モータ25は、制御部40から供給される制御信号に応じて、円板カム24を回転させる。
【0038】
カメラ26は、実装基板300上の実装位置Plに実装される電子部品100と、再配置位置Prに配置される残電子部品及びその周辺を撮像範囲に収められるよう構成され、配設される。カメラ26において撮像された画像は、制御部40に送信される。
【0039】
移載ヘッド30は、円筒状の吸着ノズル31を複数保持し、ヘッドアクチュエータ32の動作の下、ピックアップ部10と実装部20との間を移動し、電子部品100のピックアップ動作及び実装動作、再配置動作を行う。移載ヘッド30は、ピックアップ部10の電子部品保持テーブル11及び実装部20の実装基板台21に対して、Z方向上方に配設される。
【0040】
吸着ノズル31は、移載ヘッド30内に設けられる吸気通路(図示せず)を介して、真空ポンプなどの減圧装置(図示せず)に接続されており、制御部40から供給される制御信号に応じて、当接する電子部品100の吸着及び吸着の解除を行う。
【0041】
ヘッドアクチュエータ32は、制御部40から供給される制御信号に応じて、移載ヘッド30をX方向に移動可能な一軸のアクチュエータである。ヘッドアクチュエータ32は、移載ヘッド30をピックアップ位置Puと実装位置Plとを結ぶ直線に沿って、
図1の矢印で示されるようにピックアップ部10及び実装部20の間を移動させる。
【0042】
移載ヘッド30は、吸着ノズル31の下端が電子部品100の上端からZ方向に所定距離離隔するよう保持し、更に吸着ノズル31を保持位置において安定に固定するようZ方向上方に付勢するバネ機構を有する。
【0043】
実装基板保持台アクチュエータ22、電子部品保持テーブルアクチュエータ12、ヘッドアクチュエータ32に制御信号を送り、それぞれを制御する制御部40は、電子部品情報格納部41及び配列情報格納部42と接続されている。
【0044】
電子部品情報格納部41は、前工程またはプローブ検査機から、ウェハシート200上の電子部品100の位置情報およびランク情報を含む電子部品情報を取得し格納している。
【0045】
この電子部品情報はLANによるサーバ経由などの方法やCD、メモリーなどの電子記憶媒体などの方法により取得される。位置情報はウェハシート200上のインデックスを含み、ランク情報は光量、波長、抵抗値、処理速度、耐高電圧、電流増幅率などの情報を含む。また、ランク情報は、光量、波長、抵抗値、処理速度、耐高電圧、電流増幅率などの情報から予め決められたランクに分けられていてもよい。
【0046】
配列情報格納部42は、実装基板保持台21に配置される実装基板300における電子部品100の配列情報を格納している。配列情報は、実装基板内での各電子部品の実装位置、及び実装位置における各電子部品100のランク情報を少なくとも含んでいる。
【0047】
また、さらに実装基板上に実装されるべき電子部品100の数情報や、完成品における所望の光度(ルクス)に基いて設定される電子部品(例えば、発光ダイオード素子)のランクとその数と位置についての情報、予めパターンとして設計された電子部品のランクとその数と位置についての情報など、複数の配列パターン情報も含まれる。
【0048】
図2は、電子部品移送装置の各部の位置関係と動作方向を示す図である。
【0049】
図2を参照して、電子部品移送装置1の各部の位置関係について更に説明する。
図2は、
図1の電子部品移送装置1をZ方向上方から見た場合のピックアップ部10の電子部品保持テーブル11、実装部20の実装基板保持台21及び移載ヘッド30の配置及び動作方向を示す図である。
【0050】
図2に示されるように、移載ヘッド30は、ピックアップ部10のピックアップ位置Puと、実装部20の実装位置Plとを結ぶ直線上に、複数の吸着ノズル31をそれぞれ所定のマージン離隔した上で一列に保持する。
【0051】
従って、ピックアップ部10においては、ヘッドアクチュエータ32の動作により移載ヘッド30がX方向に移動されることで、移載ヘッド30に保持される吸着ノズル31が一つ一つピックアップ位置Puに移送される。他方で、実装部20においては、ヘッドアクチュエータ32の動作により移載ヘッド30がX方向に移動されることで、移載ヘッド30に保持される吸着ノズル31が一つ一つ実装位置Plに移送される。
【0052】
図2で示されるように、実装基板保持台21には、複数の実装基板300が配置される。ここで、実装基板保持台21の一部を再配置部400として利用し、残電子部品を再配置する。再配置及び残電子部品については、後述する。
【0053】
制御部40は、ピックアップ部10、実装部20及び移載ヘッド30の各部の動作を制御する制御用のCPUであって、関連各部と接続され、制御信号を供給することなどによって動作の制御を行う。
【0054】
制御部40は、例えばカメラ19より送信されるウェハシート200上の電子部品100の画像を解析することで、各電子部品100に位置座標を設定する。制御部40は、所望の電子部品100の位置座標に応じて電子部品保持テーブルアクチュエータ12を動作させることによって、電子部品100がピックアップ位置Puに来るよう、電子部品保持テーブル11の位置調整を行う。
【0055】
また、制御部40は、実装基板300上に位置座標を設定し、所望の座標を電子部品実装位置として電子部品の実装位置が実装位置Plに来るよう、実装基板保持台アクチュエータ22を動作させて実装基板保持台21の位置調整を行う。
【0056】
同様に、制御部40は、再配置部400上に位置座標を設定し、所望の座標に再配置位置Prが来るよう、実装基板保持台アクチュエータ22を動作させて実装基板保持台21の位置調整を行う。
【0057】
また、制御部40は、カメラ26より送信される画像解析結果に基づいて、実装基板300上に配置された電子部品100や再配置された残電子部品の品質の検査や位置情報の取得などを行う。
【0058】
また、制御部40は、カメラ19、カメラ26により撮像された画像を参照し、電子部品100がXY平面においてθ方向にずれて配置されている場合には、電子部品保持テーブルアクチュエータ13と実装基板保持台アクチュエータ22に制御信号を送信し、電子部品保持テーブル11、実装基板保持台21をそれぞれθ方向に動かし補正を行う。これにより、電子部品のピックアップ、実装、再配置がより確実に行われる。
【0059】
制御部40は、上記動作を電子部品情報格納部41と配列情報格納部42からの情報に応じて行う。例えば、電子部品情報格納部41のランク情報と、配列情報格納部42の実装基板300において必要な数とそのランクの情報から、ウェハシート200上の電子部品100をどのように実装基板300に実装すれば、効率よく実装できるかを制御部40が算出して、制御信号を送信する。ここで、配列情報とは、実装基板内での各電子部品の実装位置、及び実装位置における各電子部品100のランク情報を少なくとも含んでいる。
【0060】
また、配列情報格納部42に設定された所望の性能の情報と電子部品情報格納部41のランク情報から、製品としての合格範囲内で、ランクを混在させて効率よく製造するように、制御部40が算出して、制御信号を送信する。
【0061】
さらに、モジュール完成時における所望の性能の情報入力を外部から受け、配列情報格納部42の実装基板300における必要実装数と位置情報から、所望の性能が得られるように実装基板300における電子部品100の実装位置とランクを計算する手段を備え、この計算結果に応じて、制御するようにしてもよい。
【0062】
図3は、電子部品移送装置による電子部品のピックアップの態様を示す図である。
【0063】
次に、
図3を参照して、移載ヘッド30の吸着ノズル31がウェハシート200上の電子部品100を吸着によりピックアップする動作について説明する。
図3では、各部の位置関係を状態1から状態4に分けて記載した。以下に説明する各部の動作は、制御部40の制御の下、実施される。
【0064】
電子部品100のピックアップ動作においては、先ず、電子部品保持テーブルアクチュエータ12が電子部品保持テーブル11を移動させ、ピックアップ位置Pu(一点破線で示した軸上)に所望の電子部品100を移動する。
【0065】
同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、ピックアップ位置Puに所望の吸着ノズル31を移動する(状態1)。この状態におけるピックアップハンマ13、突き上げ針、吸着ノズル31のZ方向の位置が、それぞれのZ方向における初期位置となる。
【0066】
続いて、ピックアップモータ15が上円板カム14を回転させ、ピックアップハンマ13を下方に移動させる。ピックアップハンマ13は、移動に伴い、吸着ノズル31の上端に接触した後、吸着ノズル31を上方に付勢するバネ機構の付勢力に抗して吸着ノズル31を下方に押し下げる。
【0067】
押し下げられた吸着ノズル31は、ピックアップハンマ13が移動範囲の下端に達した位置で、電子部品100に当接し、あらかじめ制御部40が電子部品100を吸着するために吸着ノズル31の吸着を動作させ、電子部品100を吸着する。また、突き上げモータ18が下円板カム17を回転させ、突き上げ針16を電子部品100に向かって移動させる(状態2)。
【0068】
続いて、ピックアップモータ15が上円板カム14を回転させ、ピックアップハンマ13を上方に移動させることで、吸着ノズル31の押し下げを解除する。押し下げが解除された吸着ノズル31は、バネ機構による付勢力により、電子部品100を吸着した状態で上方向に移動する。同時に、突き上げ針16の上端がウェハシート200を貫通して電子部品100を上方向に突き上げ、電子部品100の下端をウェハシート200から剥離させる方向に向かって移動させる(状態3)。
【0069】
ピックアップハンマ13、及び突き上げ針16が、それぞれの初期位置に戻り、電子部品100を下端に吸着させた吸着ノズル31もZ方向における初期位置に戻る。その後、電子部品保持テーブルアクチュエータ12が電子部品保持テーブル11を、次のピックアップ位置Puに次の電子部品100がくるように移動させる。同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、ピックアップ位置Puに次の吸着ノズル31を移動する(状態4)。
【0070】
以上、説明した動作により、電子部品100が移載ヘッド30の吸着ノズル31に吸着される。上述した動作を複数回繰り返すことにより、移載ヘッド30に保持される複数の吸着ノズル31のそれぞれに電子部品100が吸着される。
【0071】
なお、実装部20における実装動作についても、同様の手順で実施される。具体的な手順について以下に説明する。電子部品100の実装動作においては、先ず、実装基板保持台アクチュエータ22が実装基板保持台21を移動させ、実装基板300上の所望の電子部品実装位置を実装位置Plに移動する。同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、実装位置Plに電子部品100を吸着する吸着ノズル31を移動する。このとき、実装ハンマ23は、Z方向における初期位置にある。
【0072】
続いて、実装モータ25が円板カム24を回転させ、実装ハンマ23を下方に移動させる。実装ハンマ23は、移動に伴い、吸着ノズル31の上端に接触した後、吸着ノズル31を上方に付勢するバネ機構の付勢力に抗して吸着ノズル31を下方に押し下げる。押し下げられた吸着ノズル31に吸着される電子部品100は、実装ハンマ23が移動範囲の下端に達した位置で、実装基板300に当接する。
【0073】
このとき、制御部40が電子部品100を吸着する吸着ノズル31の吸着を解除することで、電子部品100が実装基板300上の電子部品実装位置に配置される。実装基板300は粘着性を有するため、電子部品100は電子部品実装位置において実装基板300に接着する。
【0074】
続いて、実装モータ25が円板カム24を回転させ、実装ハンマ23を上方に移動することで、吸着ノズル31の押し下げを解除する。押し下げが解除された吸着ノズル31は、バネ機構による付勢により、電子部品100を吸着していない状態で上方向に移動する。
【0075】
実装ハンマ23が初期位置に戻り、電子部品100の配置を終えた吸着ノズル31もZ方向における初期位置に戻った後、実装基板保持台アクチュエータ22が実装基板保持台21を移動させ、実装位置Plに次の実装位置を移動する。
【0076】
同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、実装位置Plに次の電子部品100を吸着する吸着ノズル31を移動する。
【0077】
以上、説明した動作により、移載ヘッド30により移送された電子部品100が実装基板300上に実装される。上述した動作を複数回繰り返すことにより、移載ヘッド30に備えられる複数の吸着ノズル31にそれぞれ吸着される電子部品100が実装基板300上に実装される。
【0078】
また、実装部20における再配置動作についても、同様の手順で実施される。具体的な手順について以下に説明する。残電子部品の再配置動作においては、先ず、実装基板保持台アクチュエータ22が実装基板保持台21を移動させ、再配置部400上の所望の電子部品再配置位置を再配置位置Prに移動する。同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、再配置位置Prに残電子部品を吸着する吸着ノズル31を移動する。このとき、実装ハンマ23は、Z方向における初期位置にある。
【0079】
続いて、実装モータ25が円板カム24を回転させ、実装ハンマ23を下方に移動させる。実装ハンマ23は、移動に伴い、吸着ノズル31の上端に接触した後、吸着ノズル31を上方に付勢するバネ機構の付勢力に抗して吸着ノズル31を下方に押し下げる。押し下げられた吸着ノズル31に吸着される残電子部品は、実装ハンマ23が移動範囲の下端に達した位置で、再配置部400に当接する。
【0080】
このとき、制御部40が残電子部品を吸着する吸着ノズル31の吸着を解除することで、残電子部品が再配置部400上の所望の電子部品再配置位置に配置される。再配置部400は粘着性を有するため、残電子部品は所望の電子部品再配置位置において再配置部400に接着する。
【0081】
続いて、実装モータ25が円板カム24を回転させ、実装ハンマ23を上方に移動することで、吸着ノズル31の押し下げを解除する。押し下げが解除された吸着ノズル31は、バネ機構による付勢により、残電子部品を吸着していない状態で上方向に移動する。
【0082】
実装ハンマ23が初期位置に戻り、残電子部品の配置を終えた吸着ノズル31もZ方向における初期位置に戻った後、実装基板保持台アクチュエータ22が実装基板保持台21を移動させ、再配置位置Prに次の再配置位置を移動する。
【0083】
同時に、又は相前後して、ヘッドアクチュエータ32が移載ヘッド30を移動させ、再配置位置Prに次の残電子部品を吸着する吸着ノズル31を移動する。
【0084】
以上、説明した動作により、移載ヘッド30により移送された残電子部品が再配置部400上に配置される。上述した動作を複数回繰り返すことにより、移載ヘッド30に備えられる複数の吸着ノズル31にそれぞれ吸着される残電子部品が再配置400上に配置される。
【0085】
図4は、本実施形態の電子部品移送装置および電子部品移送方法の動作の流れを示すフローチャートである。次に、電子部品移送装置1によるピックアップ動作及び実装動作、再配置動作を含む、全体的な動作の流れを示すフローチャートである
図4を参照して電子部品移送装置1の動作を説明する。
【0086】
電子部品移送装置1では、一連の動作の開始時に、電子部品100が保持されるウェハシート200がピックアップ部10の電子部品保持テーブル11の上に設置される(ステップS1)。このウェハシート200上には、ランクの異なる複数の電子部品100がウェハ状に配置されている。
【0087】
同時に、又は相前後して、電子部品100が実装される実装基板300と再配置部400が実装部20の実装基板保持台21上に設置される(ステップS2)。
【0088】
次に、ピックアップ部10のカメラ19は、ウェハシート200上に配置される全ての電子部品100について画像を撮像し、制御部40へと画像情報を送信する。制御部40は、送信された画像情報に基づき、ウェハシート200上のインデックスと、電子部品情報格納部41から取得した電子部品情報(ウェハシート200上の電子部品100のランク情報と位置情報を含む)に含まれたインデックスとを照合する。
【0089】
制御部40は、照合が一致した電子部品情報(ランク情報と位置情報を含む)の位置情報と、上記カメラ19によって撮像された画像情報に基いて各電子部品100に座標を設定し、生成された位置情報とをリンクさせる。これによって、制御部40は、ウェハシート200上に配置された電子部品100の位置とランクを認識可能となる。なお、電子部品情報格納部41は、前工程のプローブ検査装置の記憶部またはサーバ上にある記憶部などから電子部品情報を取得している(ステップS3)。
【0090】
続いて、制御部40は、配列情報格納部42から実装基板300に実装する電子部品100の配列情報(ランク情報と位置情報を含む)を取得する(ステップS4)。
【0091】
制御部40は、電子部品情報と配列情報から制御信号を生成し、各アクチュエータへ送信する(ステップS5)。
【0092】
次に、制御部40は、移載ヘッド30をピックアップ部10へと移動させ(ステップS6)、ピックアップ動作を実行する(ステップS7)。
【0093】
かかるピックアップ動作により、ウェハシート200上に配置される電子部品100が、移載ヘッド30の複数の吸着ノズル31のそれぞれに吸着される。なお、ピックアップ動作については後述する。
【0094】
続いて、制御部40は、移載ヘッド30を実装部20へと移動させ(ステップS8)、実装動作を実行する(ステップS9)。
【0095】
かかる実装動作により、移載ヘッド30内の複数の吸着ノズル31のそれぞれに吸着されている電子部品100が、実装基板300へと実装される。なお、実装動作については後述する。
【0096】
制御部40は、ウェハシート200上の実装されるべき全ての電子部品100が実装基板300に実装されるまで(ステップS10:Yes)、ステップS6からステップS9までの一連の動作を繰り返す。制御部40は、実装されるべき全ての電子部品100が実装基板300に実装されると、実装が完了した信号を受信する。
【0097】
また、制御部40は、強制再配置信号を受信し、強制的にウェハシート上の電子部品100を残電子部品として、再配置部400へ配置させることもできる(
図4には図示せず)。この強制再配置信号はステップ6〜9のいずれの工程においても受信することができ、受信後、直ちにウェハシート上の電子部品100を残電子部品として、再配置部400へ配置させる。
【0098】
ウェハシート200上の実装されるべき全ての電子部品100が実装されると、ウェハシート200上には、残電子部品が配置されたまま残っている。
【0099】
実装されるべき全ての電子部品100が実装基板300に実装されると、制御部40は、すでに照合が一致した電子部品情報から残電子部品の有無を確認する。さらに、あらためてカメラ19によって撮像された画像からウェハシート200上の照合が一致しない残電子部品の有無を確認することもできる(ステップS11)。残電子部品を確認した結果、残電子部品がない場合は、再配置すべき電子部品100がないので(ステップS11:No)、終了となる。
【0100】
ウェハシート200上に残電子部品が確認されると(ステップS11:Yes)、制御部40は、移載ヘッド30をピックアップ部10へと移動させ(ステップS12)、ピックアップ動作を実行する(ステップS13)。
【0101】
かかるピックアップ動作により、ウェハシート200上に保持される残電子部品が、移載ヘッド30内の複数の吸着ノズル31のそれぞれに吸着される。なお、ピックアップ動作はステップ7と同様になされる。
【0102】
続いて、制御部40は、移載ヘッド30を実装部20へと移動させ(ステップS14)、再配置動作を実行する(ステップS15)。
【0103】
かかる再配置動作により、移載ヘッド30内の複数の吸着ノズル31のそれぞれに吸着されている残電子部品が、再配置部400へと再配置される。なお、再配置動作については後述する。
【0104】
制御部40は、再配置が終了するまで(ステップS16:Yes)、ステップS12からステップS15までの一連の動作を繰り返す。不良品の電子部品および良品でランク304C付与された電子部品から成る残電子部品を再配置部400において、ランク不明品を含む不良品を別にして、良品はランク毎に配置される。
【0105】
なお、ランク不明品を含む不良品はウェハシート200にそのまま残しておき、良品でウェハシート200上に残った電子部品のみを残電子部品として再配置部にランク毎、配置するようにしてもよい。この場合は、制御部40は良品でウェハシート200に残った電子部品のみを残電子部品として認識して、各アクチュエータを制御する。
【0106】
ランクの異なる複数の電子部品がウェハ状に配置されているウェハシートを電子部品保持テーブルに保持するウェハシート保持工程は、ステップS1に対応する。
【0107】
電子部品保持テーブルにおけるウェハシート上の電子部品の位置情報と電子部品のランク情報からなる電子部品情報を電子部品情報格納部に格納する電子部品情報格納工程は、ステップS3に対応する。
【0108】
配置部における電子部品の配列情報を配列情報格納部に格納する配列情報格納工程は、ステップS4に対応する。
【0109】
ウェハシートから電子部品を1または複数個ずつ取り出し、配置部へ移送する移送工程は、ステップS6−9に対応する。
【0110】
電子部品情報と前記配列情報に基づいて電子部品を前記配置部における所定の位置へ移送し、前記ウェハシート上に残った残電子部品を再配置部に移送するように電子部品移送部を制御する制御工程は、ステップS12−15に対応する。
【0111】
図5は、本実施形態のピックアップ動作の流れを示すフローチャートである。次に電子部品移送装置1のピックアップ部10による電子部品100のピックアップ動作(
図4のステップ7)について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
【0112】
先ず、制御部40は、最初にピックアップを行う電子部品100を基準電子部品に設定する。カメラ19は、この基準電子部品について画像を撮像し、制御部40へと画像情報を送信する。制御部40は、送信された画像情報に基づき、基準電子部品に再度座標を設定し、位置情報を生成する(ステップS101)。
【0113】
制御部40は、初めにカメラ19による撮像された画像より取得された(
図4、ステップS3)全電子部品100の位置情報と、改めて取得された基準電子部品の位置情報とを比較し、基準電子部品の位置が最初の(即ち、ステップS3において検出された)位置からどれだけずれているかを検出し、ずれを補正するための位置補正量を算出する(ステップS102)。
【0114】
制御部40は、改めて取得された基準電子部品の位置情報を適用して、格納される基準電子部品の位置情報を更新する(ステップS103)。
【0115】
次に、制御部40は、基準電子部品の更新後の位置情報に基づいて電子部品保持テーブルアクチュエータ12を動作させ、基準電子部品がピックアップ位置Puに移動されるよう、電子部品保持テーブル11を移動させる(ステップS104)。
【0116】
同時に、又は相前後して、制御部40は、ヘッドアクチュエータ32を動作させ、電子部品100を吸着していない吸着ノズル31がピックアップ位置Puに移動されるよう、移載ヘッド30を移動させる(ステップS105)。
【0117】
続いて、制御部40は、吸着ノズル31に基準電子部品を吸着させ、電子部品100のピックアップを行う(ステップS106)。
【0118】
具体的には、制御部40は、ピックアップモータ15を駆動させ、ピックアップハンマ13に吸着ノズル31を押し下げさせる。同時に、制御部40は、突き上げモータ18を駆動させ、突き上げ針16に電子部品100を突き上げさせる。
【0119】
電子部品100は、ピックアップハンマ13に押し下げられた吸着ノズル31と接触することで吸着され、更に吸着ノズル31が上方向に移動するとともに、突き上げ針16により突き上げられることで、ウェハシート200より剥離しピックアップされる。
【0120】
次に、ピックアップ可能な電子部品100が存在し(ステップS107:Yes)、且つ、電子部品100を吸着していない吸着可能な吸着ノズル31が存在する場合(ステップS108:Yes)、次の電子部品100のピックアップが行われる。
【0121】
制御部40は、次の電子部品100について格納されている位置情報を読み出し、この電子部品100の座標と更新前の基準電子部品の座標(即ち、ステップS3において検出された座標)とを比較し、この電子部品100の位置が補正量適用エリア内であるか否かの判定を行う。
【0122】
補正量適用エリアは、基準電子部品の位置座標を起点とする所定の範囲を示す。かかる補正量適用エリア内では、各電子部品100について、最初の電子部品100位置の検出(即ち、
図4のステップS3)から、基準電子部品の位置の再検出(即ち、
図5のステップS101)との間に生じた位置のずれが同様であると見なすことが出来る。
【0123】
電子部品100位置のずれは、伸長されるウェハシート200の伸縮が大きな要因となっており、ある程度近い範囲内の電子部品100であれば、位置のずれは同程度であると考えられる。
【0124】
基準電子部品のピックアップを行った後に、ピックアップされる電子部品が補正量適用エリア内に存在するのであれば、電子部品の位置のずれは、基準電子部品の位置のずれと同程度であると考えられる。このため、この電子部品について改めて座標を検出して、位置情報の取得を行わなくとも、基準電子部品の補正量を適用することで、次にピックアップされる電子部品についてずれた後の位置情報を算出できると考えられる。
【0125】
なお、補正量適用エリアを規定する、基準電子部品を中心とする所定の範囲は、適宜変更されてよく、例えば、電子部品100の位置のずれの要因となるウェハシート200の伸縮性などに応じて適宜変更されてよい。
【0126】
制御部40は、次の電子部品100の位置が基準電子部品を基準とする補正量適用エリア内である場合(ステップS109:Yes)、基準電子部品の位置補正量を用いて、この電子部品100の位置情報の補正を行う(ステップS110)。
【0127】
具体的には、格納されたこの電子部品100の位置情報に対し、基準電子部品の位置補正量を適用したものを補正後の位置情報とする。
【0128】
制御部40は、次の電子部品100の補正後の位置情報に基づいて、電子部品保持テーブルアクチュエータ12を動作させ、この電子部品100がピックアップ位置Puに移動されるよう、電子部品保持テーブル11を移動させる(ステップS111)。
【0129】
続いて、電子部品100を吸着していない次の吸着ノズル31をピックアップ位置Puに移動させ(ステップS105)、次の電子部品100のピックアップを行わせる。
【0130】
他方で、次の電子部品100の位置が基準電子部品を基準とする補正量適用エリア外である場合(ステップS109:No)、制御部40は、この電子部品100を新しい基準電子部品に設定する。
【0131】
制御部40は、新しい基準電子部品について、画像の撮像による位置情報の取得(ステップS101)、位置補正量の算出(ステップS102)、及び位置情報の更新(ステップS103)を行い、ステップS104以降のピックアップ動作を実行させる。
【0132】
以上、説明した構成によれば、移載ヘッド30に保持される複数の吸着ノズル31について、連続してウェハシート200上に配置される電子部品100の吸着動作を行うことが可能となる。このため、移載ヘッド30の一度の移動で、複数の電子部品100をまとめて実装部20へ移送することが可能となる。
【0133】
電子部品移送装置1では、電子部品100の取り出しを行う位置であるピックアップ位置Puを定め、このピックアップ位置Puに1つずつ順番に吸着ノズル31及び電子部品100を移送している。このため、比較的短時間で位置決めを行うことが可能となり、タクトタイムの短縮が実現出来る。
【0134】
なお、電子部品100の移送と、吸着ノズル31の移送を並行して行うことで、更なるタクトタイムの短縮が見込まれる。また、電子部品100の状態や形状、ランクに応じて、吸着する電子部品100を適宜選択することで、電子部品100の仕分けが可能となる。
【0135】
図6は、本実施形態の実装動作の流れを示すフローチャートである。次に電子部品移送装置1の実装部20による電子部品100の実装動作(
図4のステップ9)について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0136】
制御部40は、配列情報に応じて実装基板保持台21上に予め設定された座標などに基づき、実装基板保持台アクチュエータ22を動作させる制御信号を送信し、実装基板300上の所望の電子部品実装位置が実装位置Plに移動されるよう、実装基板保持台21を移動させる(ステップS201)。
【0137】
同時に、又は相前後して、制御部40は、ヘッドアクチュエータ32を動作させ、電子部品100を吸着している吸着ノズル31が実装位置Plに移動されるよう、移載ヘッド30を移動させる(ステップS202)。
【0138】
続いて、制御部40は、吸着ノズル31に吸着される電子部品100が実装基板300上の電子部品実装位置に実装されるよう、吸着の解除を行う(ステップS203)。
【0139】
具体的には、制御部40は、実装モータ25を駆動させ、実装ハンマ23に吸着ノズル31を押し下げさせる。押し下げられた吸着ノズル31に吸着される電子部品100が実装基板300に接触した後に、制御部40は、この吸着ノズル31の吸着を解除し、電子部品100を実装基板300上の電子部品実装位置に実装する。
【0140】
次に、移載ヘッド30に設けられた吸着ノズル31が吸着している電子部品が存在しなくなるまで(ステップS204:Yes)、制御部40は、ステップS201からステップS203までの一連の動作を繰り返させる。
【0141】
吸着ノズル31に電子部品が存在しているか否かは、制御部40によって、指定された移送されるべき数と、カメラ26により撮像された画像上の移送済みの数が一致した場合に、吸着ノズル31に電子部品が存在していないと見做すことができる。
【0142】
吸着ノズル31に吸着される全ての電子部品100が実装基板300に実装されると(ステップS204:No)、実装動作が終了する。
【0143】
図7は、本実施形態の再配置動作の流れを示すフローチャートである。次に電子部品移送装置1の実装部20による残電子部品の再配置動作(
図4のステップ15)について、
図7のフローチャートを参照して説明する。
【0144】
制御部40は、実装基板保持台21上に予め設定された座標などに基づき、実装基板保持台アクチュエータ22を動作させる制御信号を送信し、再配置部400上の所望の電子部品再配置位置が再配置位置Prに移動されるよう、実装基板保持台21を移動させる(ステップS301)。
【0145】
同時に、又は相前後して、制御部40は、ヘッドアクチュエータ32を動作させ、残電子部品を吸着している吸着ノズル31が再配置位置Prに移動されるよう、移載ヘッド30を移動させる(ステップS302)。
【0146】
続いて、制御部40は、吸着ノズル31に吸着される残電子部品が再配置部400上の電子部品再配置位置に配置されるよう、吸着の解除を行う(ステップS303)。
【0147】
具体的には、制御部40は、実装モータ25を駆動させ、実装ハンマ23に吸着ノズル31を押し下げさせる。押し下げられた吸着ノズル31に吸着される残電子部品が再配置400に接触した後に、制御部40は、この吸着ノズル31の吸着を解除し、残電子部品を再配置400上の電子部品再配置位置に配置する。
【0148】
次に、移載ヘッド30に設けられた吸着ノズル31が吸着している残電子部品が存在しなくなるまで(ステップS304:Yes)、制御部40は、ステップS301からステップS303までの一連の動作を繰り返させる。
【0149】
吸着ノズル31に電子部品が存在しているか否かは、制御部40によって、指定された移送されるべき数と、カメラ26により撮像された画像上の移送済みの数が一致した場合に、吸着ノズル31に電子部品が存在していないと見做すことができる。
【0150】
吸着ノズル31に吸着される全ての残電子部品が再配置400に配置されると(ステップS304:No)、再配置動作が終了する。
【0151】
次に
図8、9を参照して、電子部品として発光ダイオード素子を適用した場合における、ウェハシート上から基板への実装および再配置部への配置について説明する。なお、電子部品移送装置1による移送・実装・再配置については、上述した構成及び動作がそのまま適用可能であるので、説明を省略する。
【0152】
図8は、ウェハシート上の発光ダイオード素子と、基板に実装された発光ダイオードモジュールを示したものの一例である。ここで、電子部品100は発光ダイオード素子であり、実装基板300はセラミック基板又はガラス基板など、発光ダイオードモジュールの基板として、発光ダイオード素子が実装可能な基板である。
【0153】
ウェハシート200上の発光ダイオード素子には、前工程における発光ダイオード素子の製造工程での製造条件などにより、品質にバラツキがある状態で受け取る。この品質のバラツキは、発光ダイオード製造時のチャンバー内の雰囲気や発光ダイオード素子の洗浄、発光ダイオード素子の膜厚のバラツキなどから生じる製造上避けられないバラツキである。このバラツキを考慮せずに製品やモジュールを製造すると、完成品においてバラツキが生じ、最終的に歩留りが悪くなる。
【0154】
従って、プローブ検査などにより、発光ダイオード素子1つ1つを検査し、検査結果に応じてランク分けを行う。
図8のウェハシートは、検査結果を模式的に示したものであり、○がAランクの発光ダイオード素子、●がBランクの発光ダイオード素子、×がCランクの発光ダイオード素子、■が不良素子を示している。実際には、数十のランクが存在するが、本実施形態の説明においては3ランクで説明する。ランクが数十ランクになっても、本発明の適用は可能である。
【0155】
この検査結果とランク分けの情報は、位置情報と結び付けられ、1枚1枚に付されたウェハシートのインデックス番号またはコードなどとともに、サーバ上または前工程の検査装置の記憶部などに格納される。または電子部品情報格納部41に直接格納するようにしてもよい。
【0156】
電子部品情報格納部41は、前工程の検査装置または上記記憶部から電子部品情報を取得する。一方、配列情報格納部42では、基板における実装すべき発光ダイオード素子のランクと位置に関する情報である配列情報が入力されている。
【0157】
配列情報は、例えば、発光ダイオード素子の光度(ルクス)や光量、波長など、ランク分けをするために必要な情報と、この情報に応じて予めランク分けされたランク情報と、位置情報などがある。
【0158】
発光ダイオードモジュールにおけるランク情報と位置情報について、具体的に説明する。
図8における、実装基板に対して各ランクの実装工程を経て、発光ダイオードモジュールとして完成した状態3を参照して説明する。
【0159】
発光ダイオードモジュールの場合、モジュールに使用される全ての発光ダイオード素子が必ずしも最高ランクである必要がない。これは、モジュールとして光量や光度が結果としてバラツキが少なく、仕様上、許容可能な範囲で製造できればいいからである。
【0160】
このため、発光ダイオードモジュールには、最高ランク以外のランクの発光ダイオード素子が実装される。ただし、端部はコントラストなどの関係からランクが比較的高いものが要求され、中心部はランクが低いものであってもよいなど、その発光ダイオードモジュールの仕様に応じての制約はある。
【0161】
図8の状態3の発光ダイオードモジュールでは、端部は最高ランクであるAランクが使用され、中心に行くに従って、ランクの低いものを採用するように実装している。つまり、ランクの低いCランクを中心に実装し、その周りをBランク、その周りをAランクで囲うように実装し、モジュール全体の光度、光量を担保するように実装している。
【0162】
このように配列のパターンは、最終製品で求められる仕様に応じて必要なランクの発光ダイオード素子を、適切な位置に実装するという考えから複数のパターンが用意される。従って、例えば、実装部20の実装基板保持台21に複数の基板が保持されているときに、その複数の基板それぞれに対して同一の配列パターンで実装することも、異なるパターンで実装することも可能となる。
【0163】
制御部40は、配列情報に応じて、電子部品情報を参照して、ウェハシート200上のどの位置の、どのランクの発光ダイオード素子をピックアップし、基板へ実装するかを算出し、電子部品保持テーブルアクチュエータ12、実装基板保持台アクチュエータ22、移載ヘッド30に制御信号を送信する。
【0164】
これにより、発光ダイオード素子は、移載ヘッド30の吸着ノズル31によってウェハシート200からピックアップされ、基板へと実装される。
【0165】
例えば、
図8では、実装基板保持台21に配置された1枚の基板に対して、実装すべき発光ダイオード素子のうち一番多いAランクの発光ダイオード素子をまず、基板へ実装している(状態1)。
【0166】
次に、Bランクの発光ダイオード素子をウェハシート200上からピックアップし(状態2)、実装し、最後にCランクの発光ダイオード素子をウェハシート200上からピックアップし、実装する(状態3)。
【0167】
なお、この実装時に各ランクの発光ダイオード素子の実装後に、実装済みの電子部品について検査をするようにしてもよい。このような検査を各ランクの実装後に行うことで、タクトタイムの短縮が可能となり、またAランクなど、ウェハシート200上に多い発光ダイオード素子から検査を行った場合、Aランクの実装後の検査で問題を検出した場合に、その基板への実装を停止し、より少ない電子部品であるBランクやCランクの発光ダイオード素子を無駄に使用することを防ぐことも可能となる。
【0168】
また、検査は、基板への実装終了後、基板毎に行ってもよい。検査は、実装部20のカメラ26によって撮像された画像に基いて行われる。
【0169】
カメラ26によって撮像された画像において、各発光ダイオード素子があるべき位置に存在しているか、あるべき位置に他の発光ダイオード素子と所定の距離離間して実装されているか、斜めや横になって実装されていないかなどを、検査する。
【0170】
なお、
図8の説明において、基板上で一番多く実装されるAランクの発光ダイオード素子から実装することを説明したが、実装順序はこれに限らず、基板上で一番少なく実装されるランクの発光ダイオード素子からや、ウェハシート200上で一番多いランクの発光ダイオード素子や一番少ない発光ダイオード素子から実装してもよい。
【0171】
図9は、実装するべき発光ダイオード素子を実装した後にウェハシート上に残った残発光ダイオード素子と、再配置部400に配置された残発光ダイオード素子を示したものの一例である。次に、
図9を参照して、ウェハシート上に残った残発光ダイオード素子の再配置部400への配置について説明する。
【0172】
制御部40は、配列情報に応じて、発光ダイオード素子を実装基板300に実装していき、実装後にすでに照合が一致した電子部品情報から残電子部品の有無を確認する。さらにカメラ19によって撮像された画像からウェハシート200上の照合が一致しない残電子部品の有無を確認する。その後、設定された全ての実装基板300に対して実装を終了させる。次に、制御部40は、カメラ19によって撮像された画像からウェハシート200に残った発光ダイオード素子の確認を行う。
【0173】
制御部40は、残った発光ダイオード素子を再配置部400に配置する。例えば、
図9の右側に描いた再配置部400で示すように、■で示された不良素子、○で示されたAランクの発光ダイオード素子、●で示されたBランクの発光ダイオード素子、×で示されたCランクの発光ダイオード素子が配置される。
【0174】
このように再配置部400に、規則的に配置することで、再配置部400上の発光ダイオード素子が利用しやすくなる。また、再配置部400を基板とは別に設けた場合、再配置部400を移動し、ピックアップ部10に再度、保持させることも簡単となる。
【0175】
本実施形態では、ランク不明素子を含む不良素子も再配置部400へ配置するようにしたが、ランク不明素子を含む不良素子は廃棄されるものであるため、ウェハシート200にそのまま残しておき、良品の発光ダイオード素子のみを再配置部400へ規則的に配置させることが好ましい。
【0176】
なお、ウェハシート200上の電子部品100や残電子部品のピックアップは複数個ずつに限らず、移載ヘッド30に1つの吸着ノズル31が形成されたもので、1つずつピックアップしてもいい。移載ヘッド30に形成された単ノズルによって、電子部品100を1つずつ、基板毎にランク順に実装して個々の基板を完成させることや、実装基板保持台21上の複数の実装基板300に対してランク順に実装して複数の基板への実装を完成させることができる。
【0177】
本実施形態では、一例として配置部として実装基板300が設けられた実装基板保持台21と同一平面上に再配置部400を設け、再配置部400に残電子部品を配置する例を示したが、移送される側の配置用ウェハシートの一部を再配置部として利用し、残電子部品をピックアップ部に配置されたウェハシートの一部に移送するように構成してもよい。
【0178】
また、複数の実装基板300の1つ、または複数を再配置部400として利用することも可能である。なお、再配置部400は別途、ピックアップ可能なように構成されることが好ましく、再配置部400に配置された各ランクの電子部品100に関する位置情報とランク情報は、別途使用可能なように記憶部に格納される。
【0179】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態における電子部品移送装置は、ランクの異なる複数の発光ダイオード素子がウェハ状に配置されているウェハシートを保持する電子部品保持テーブルと、電子部品保持テーブルにおけるウェハシート上の発光ダイオード素子の位置情報とこの発光ダイオード素子のランク情報からなる電子部品情報を格納する電子部品情報格納部と、ウェハシート上から発光ダイオード素子を1または複数個ずつ取り出し、配置部へ移送する電子部品移送部と、配置部における発光ダイオード素子の配列情報を格納する配列情報格納部と、ウェハシート上に残った発光ダイオード素子を再配置する再配置部と、電子部品情報と配列情報に基づいて発光ダイオード素子を配置部における所定の位置へ移送し、ウェハシート上に残った発光ダイオード素子を再配置部に移送するように電子部品移送部を制御する制御部とを備える。
【0180】
上記のように構成したことで、ウェハシート上に残った発光ダイオード素子を適切に、規則的に再配置部へ配置することができ、後工程で、簡単に利用することができる。
【0181】
再配置部はウェハシートと同一のウェハシート上に設けられている。このため、再配置用に別途、シートを設ける必要がなく、また、最短の距離で、再配置ができるため、タクトタイムの減少にもつながる。
【0182】
さらに再配置部は、配置部を備える台と同一平面上に設けたシートでもよい。このため、配置動作と同様に、配置部側で、ウェハシートに残った発光ダイオード素子を再配置することができる。
【0183】
さらに、再配置部を配置部の一部に設けることも可能である。配置部の一部を再配置部として利用するので、再配置部を別途設ける必要がなく、再配置を行うことができる。
【0184】
制御部は、配置部に対する移送が完了したことを知らせる信号または強制再配置信号を受信したときに、残電子部品を再配置部に再配置するように電子部品移送部を制御する。これにより、制御部は、移送すべき全ての電子部品の移送後、または電子部品の移送中のどのようなタイミングにおいてでも、ウェハシート上の発光ダイオード素子を残電子部品として、再配置部へ配置させることができる。
【0185】
制御部は、残電子部品をランク情報に基いて再配置するので、残電子部品を再配置部において、ランク毎に規則的に配置することができる。
【0186】
配置部は基板であってもよい。このため、ピックアップ部のウェハシート上の電子部品を直接、基板へ実装する電子部品実装装置のような場合に、本発明を適用できる。
【0187】
残電子部品は、ランク不明素子を含み不良と判断された電子部品及び/又は、配置部又は基板への必要実装数が満たされ余った良品の電子部品である。
【0188】
本実施形態における電子部品移送方法は、ランクの異なる複数の電子部品がウェハ状に配置されているウェハシートを電子部品保持テーブルに保持するウェハシート保持工程と、電子部品保持テーブルにおけるウェハシート上の電子部品の位置情報と電子部品のランク情報からなる電子部品情報を電子部品情報格納部に格納する電子部品情報格納工程と、配置部における電子部品の配列情報を配列情報格納部に格納する配列情報格納工程と、ウェハシートから電子部品を1または複数個ずつ取り出し、配置部へ移送する移送工程と、電子部品情報と前記配列情報に基づいて電子部品を前記配置部における所定の位置へ移送し、前記ウェハシート上に残った残電子部品を再配置部に移送するように電子部品移送部を制御する制御工程とを備える。
【0189】
上記のように構成したことで、ウェハシート上に残った発光ダイオード素子を適切に、規則的に再配置部へ配置することができ、後工程で、簡単に利用することができる。
【0190】
<定義部>
本発明において、電子部品は、一例として発光ダイオード素子を用いたが、例えば、半導体素子、抵抗素子、トランジスタなどでもよく、また、その性質によって複数のランクに分けることが可能な電子部品であれば、どのような電子部品であってもよい。
【0191】
本発明において、基板とは、例えば、セラミック基板、ガラス基板、プリント基板などの基板であり、電子部品を実装可能な基板であればよい。
【0192】
本発明において、電子部品情報とは、例えば、ウェハシート上のインデックスを含む、各発光ダイオード素子の位置情報と、光量、波長などの情報を含むランク情報のことである。また、ランク情報は、光量、波長などの情報から予め決められたランクに分けられたランク情報でもよい。なお、電子部品情報格納部は、電子部品実装装置の記憶部内以外にも、電子部品実装装置の外部の記憶装置、例えば、前工程のプローブ検査装置の記憶部や、このプローブ検査装置と接続されたサーバ、CD、メモリーなどの記憶媒体のことであり、記憶可能なものであれば、どのようなものであってもよい。
【0193】
本発明において、配列情報とは、基板内での各発光ダイオード素子の実装位置情報、及び実装位置における各発光ダイオード素子のランク情報のことである。なお、配列情報格納部電子部品実装装置の記憶部内以外にも、電子部品実装装置の外部の記憶装置、例えば、電子部品実装装置と接続されたコンピュータ、サーバ、CD、メモリーなどの記憶媒体のことであり、記憶可能なものであれば、どのようなものであってもよい。
【0194】
本発明において、再配置部とは、例えば、ピックアップ部側に設けられたウェハシートの一部またはこのウェハシートとは別に設けられたシート、実装部側に設けられた複数の実装基板の一部またはこの実装基板とは別に設けられたシートなど、装置において利用できるスペースであれば、どこに構成してもよい。