【課題を解決するための手段】
【0023】
(要約)
PSEコントローラは、2つの独立的に制御可能な出力ポートを有するように説明され、共通のグラウンドを伴い、第1の出力ポート(OUT1)がデータペアに接続され、第2の出力ポート(OUT2)が予備ペアに接続される。第1のFETは、検出および分類の段階の後に、通常の動作中、全PoE電圧をデータペアに選択的に接続する。検出および分類の段階の前に、PSEコントローラは、第2のFET(または他のタイプのスイッチ)を制御して、データペアを予備ペアから隔離し、また、OUT1をOUT2から隔離する。次に、PSEコントローラは、OUT1およびOUT2を用いて、データペアおよび予備ペアにわたって検出および分類を独立的および/または同時に実行することが可能である。
【0024】
検出および分類の段階の結果が、PoEがデータペアのみに供給されるべきであり、予備ペアに供給されるべきではないことを示す場合、第2のFETがオフのままであり、従ってデータペアは、予備ペアから隔離されたままであり、PoE電圧は、データペアのみに供給される。ペアの両方は、なお、従来の手段を介してデータを伝送/受信し得る。
【0025】
検出および分類の段階が、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続され、かつ、PDが(>25.5Wを要求する)高い電力PDとして分類されることを明かす場合、第2のFETは、オンにされて、データペアを予備ペアに接続し、PoE電圧は、両組のペアに印加されて、従って電力は、抵抗損失を低減させるために、2組のペアによって同等に共有される。
【0026】
PoEに対する現在のIEEE標準は、データペアおよび予備ペアが、2組のペアを通してPoEを供給するために一緒に短絡されることを除外するが、本発明は、2組のペアを通してPoE電圧を供給するために、第2のFETによってデータペアおよび予備ペアが一緒に短絡されることを可能にする。PoEに対するIEEE標準は、このようなシナリオを含むように将来に変更され得る。
【0027】
検出および分類の段階が、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続され、かつ、PDが(<25.5Wを要求する)標準電力PDとして分類されることを明かす場合、第2のFETは、オンにされて、データペアを予備ペアに接続し得、従って電力は、2組のペアによって同等に共有される。しかしながら、IEEE標準が満たされるように要求される場合、第2のFETがオフのままでなければならない。
【0028】
検出および分類の段階が、PoE要件がデータペアおよび予備ペアに接続された異なるPDに対して同じであることを明かす場合、または、PDが互換性クラスを有する場合、第2のFETは、現在のIEEE標準に違反してオンにされ得、PoE電圧がデータペアおよび予備ペアに提供されることを可能にする。しかしながら、IEEE標準が満たされるべきである場合、第2のFETは、オフのままでなければならず、従って、予備ペアに接続されたPDは、PoEを受け取らない。
【0029】
検出および分類の段階が、少なくともデータペアがPoEを提供されるべきであることを示した後に、全PoE電力は、PSEコントローラが、データペアを(例えば、55ボルトを提供する)PoE電源に接続する第1のFETを閉じることによって供給される。従ってPSEコントローラは、PSE電源が全電力をデータペアに供給するときに迂回され、(またもPSEコントローラによって制御される)第2のFETは、予備ペアがデータペアに接続されるべきであるかを決定する。
【0030】
全ての場合において、検出および分類の段階の間に、デバイスがPoE適合可能であるように検出されない限り、電力は、データペアか、または予備ペアに接続された任意のデバイスに供給されない。
【0031】
ペアにわたってPDに2つの電圧を供給して、生じる電流を測定することによって特徴的インピーダンス(25Kオーム)を検出する従来の技術に代わって、検出は、1組のペアに既知の第1の低電流を供給し、生じる電圧を検出し、そして電流を既知の第2の電流に変更し、デルタ電圧を検出することによって実行される。2点固定電流法は、PDシグネチャ抵抗が、PD内の任意の静的ダイオード電圧降下から隔離されることを可能にする。
【0032】
この検出方法のバリエーションは、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続される場合を同時に検出するように使用され得る。第2のFETがオフである間に、PSEコントローラは、既知の第1の電流を(OUT1を介して)データペアに供給し、かつ生じる電圧を測定する。第1の電流がデータペアに印加されている間に、既知の第2の電流が(OUT2を介して)予備ペアに供給され、生じる電圧が検出される。データペアおよび予備ペアがPDにおいて接続される場合、データペアおよび予備ペアに供給される電流の合計は、PD内の任意の25Kオーム抵抗器を通して流れる。2つの電流レベルにおける2つの電圧の検出が、25Kオーム抵抗器が存在することを示す場合、それは、データペアおよび予備ペアに結合された1つのPDのみが存在し、かつPoE適合可能であることを示す。この分類の段階は、次に単一PDに対して実行される。
【0033】
以上の検出技術が、データペアおよび予備ペアが同じPDに接続されていないことを示す場合、全検出および分類ルーチンは、(OUT1を介して)データペアおよび(OUT2を介して)予備ペアに対して独立して実行される。
【0034】
PSEコントローラが検出、分類、および第1のFETおよび第2のFETを開閉する機能を実行すること以外、PSEコントローラは、低値感知抵抗器を横断する電圧を検出することによってPD内への電流も検出する。次に、PSEコントローラは、電流を報告し、PDの切断を検出し、過電流を検出し、および第1のFETの電導性を制御することによって最大電流を制限する機能を実行する。
【0035】
差分デジタルデータは、従来の手段(例えば、データペアおよび予備ペアに対する変圧器の差分端子にデータ関連のデバイスのトランシーバを接続すること)を用いてデータペアおよび予備ペアにわたって伝送され得る。このようなデータ通信方法および構造は、本発明から影響を受けされず、単にPoEに関連することに過ぎない。
【0036】
様々な他の実施形態が説明される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムであって、該システムは、
イーサネットシステムの中で、1組のデータワイヤペアと1組の予備ワイヤペアとに選択的に接続可能なパワーソーシング機器(PSE)であって、該PSEは、少なくとも該データワイヤペアにわたってPoE電圧を提供する、PSEと、
該PoE電圧を受け取るために、少なくとも該データワイヤペアによって該PSEに接続された電力デバイス(PD)と、
該PSEの一部分としてのPSEコントローラと
を含み、
該PSEコントローラは、
第1の出力ポート(OUT1)と、
第2の出力ポート(OUT2)と、
第1のスイッチに結合された第1のスイッチ制御ポートであって、該第1のスイッチは、該PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる、第1のスイッチ制御ポートと、
第2のスイッチに結合された第2のスイッチ制御ポートであって、該第2のスイッチは、該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる、第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、システム。
(項目2)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
上記PDがPoE適合可能であることを示す、該PDにおけるインピーダンスを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、上記データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、上記データワイヤペアに結合された上記PDがPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
上記処理回路網は、上記PDが上記データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
上記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
上記PoE電圧を少なくとも上記データワイヤペアに結合させる変圧器をさらに含み、上記PoE電圧は、上記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムに用いられるパワーソーシング機器(PSE)コントローラであって、該コントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給するように構成された第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給するように構成された第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、コントローラ。
(項目8)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスを決定することであって、該インピーダンスは、該PDがPoE適合可能であることを示す、ことと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目9)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目10)
上記処理回路網は、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目11)
上記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目12)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システム内において接続されたパワーソーシング機器(PSE)コントローラによって実行される方法であって、該PSEコントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給する第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給する第2のスイッチ制御ポートと、
該OUT1、該OUT2、該第1のスイッチ制御ポート、および該第2のスイッチ制御ポートにおいて信号を制御するように構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、方法。
(項目13)
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスが、該PDがPoE適合可能であることを示すことを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにすることをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
電流感知方法をさらに含み、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
変圧器は、上記PoE電圧を少なくとも上記データワイヤペアに結合させ、上記PoE電圧は、上記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
パワーソーシング機器(PSE)は、データワイヤにわたって電力デバイス(PD)にPoE供給電圧を提供する。PSEコントローラは、PoE電圧をデータワイヤペアに結合させる第1のFETを制御し、データワイヤペアを予備ワイヤペアに結合させる第2のFETを制御する。電力を供給する際に、PSEコントローラは、2つのFETを開かれるままにして、データペアおよび予備ペアに接続された任意のデバイス上に検出ルーチンを実行する。PoE適合可能なPDが、データペアに結合されるように検出される場合、第1のスイッチが閉じられる。PoE電圧がまた予備ペアに結合されるべきであると決定される場合、第2のFETも閉じられる。方法は、予備ペアに接続されたデバイスがPoE適合可能ではないときに、PoE電圧が予備ペアに印加されることを防ぎ、IEEE PoE PDに後方へのコンプライアンスを維持する。