特許第5745140号(P5745140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5745140データペアおよび予備ペアにおけるパワーオーバーイーサネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745140
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】データペアおよび予備ペアにおけるパワーオーバーイーサネット
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/26 20060101AFI20150618BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   G06F1/00 330F
   H04L12/28 200Z
   G06F1/00 334J
【請求項の数】17
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-123241(P2014-123241)
(22)【出願日】2014年6月16日
(65)【公開番号】特開2015-5286(P2015-5286A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2014年6月16日
(31)【優先権主張番号】61/836,399
(32)【優先日】2013年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/150,150
(32)【優先日】2014年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593219551
【氏名又は名称】リニアー テクノロジー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Linear Technology Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー リン ヒース
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ドゥウェリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒース ディクソン スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】マイケル トーマス ポール
【審査官】 西村 直史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0228721(US,A1)
【文献】 特開2013−118622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムであって、該システムは、
イーサネットシステムの中で、1組のデータワイヤペアと1組の予備ワイヤペアとに選択的に接続可能なパワーソーシング機器(PSE)であって、該PSEは、少なくとも該データワイヤペアにわたってPoE電圧を提供する、PSEと、
該PoE電圧を受け取るために、少なくとも該データワイヤペアによって該PSEに接続された電力デバイス(PD)と、
該PSEの一部分としてのPSEコントローラと
を含み、
該PSEコントローラは、
第1の出力ポート(OUT1)と、
第2の出力ポート(OUT2)と、
第1のスイッチに結合された第1のスイッチ制御ポートであって、該第1のスイッチは、該PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる、第1のスイッチ制御ポートと、
第2のスイッチに結合された第2のスイッチ制御ポートであって、該第2のスイッチは、該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる、第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、システム。
【請求項2】
前記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を前記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を前記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
前記PDがPoE適合可能であることを示す、該PDにおけるインピーダンスを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、前記データワイヤペアおよび前記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
前記OUT1に信号を印加して、前記データワイヤペアに結合された前記PDがPoE適合可能であるかを決定することと、
前記OUT2に別の信号を印加して、前記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路網は、前記PDが前記データワイヤペアと前記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチをオンにするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
前記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも前記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記PoE電圧を少なくとも前記データワイヤペアに結合させる変圧器をさらに含み、前記PoE電圧は、前記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムに用いられるパワーソーシング機器(PSE)コントローラであって、該コントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給するように構成された第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給するように構成された第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、コントローラ。
【請求項8】
前記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を前記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を前記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスを決定することであって、該インピーダンスは、該PDがPoE適合可能であることを示す、ことと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび前記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項9】
前記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
前記OUT1に信号を印加して、少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
前記OUT2に別の信号を印加して、前記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項10】
前記処理回路網は、少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと前記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチをオンにするように構成されている、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項11】
前記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
前記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも前記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、請求項7に記載のコントローラ。
【請求項12】
パワーオーバーイーサネット(PoE)システム内において接続されたパワーソーシング機器(PSE)コントローラによって実行される方法であって、該PSEコントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給する第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給する第2のスイッチ制御ポートと、
該OUT1、該OUT2、該第1のスイッチ制御ポート、および該第2のスイッチ制御ポートにおいて信号を制御するように構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、方法。
【請求項13】
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
第1の電流を前記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を前記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスが、該PDがPoE適合可能であることを示すことを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび前記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
前記OUT1に信号を印加して、少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
前記OUT2に別の信号を印加して、前記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも前記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと前記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチをオンにすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
電流感知方法をさらに含み、該方法は、
前記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも前記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
変圧器は、前記PoE電圧を少なくとも前記データワイヤペアに結合させ、前記PoE電圧は、前記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、Jeffrey Lynn Heath等による、2013年6月18日に出願された米国仮出願第61/836,399号に基づいており、上記米国仮出願の優先権を主張する。上記文献は、参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、パワーオーバーイーサネット(登録商標)(PoE)システムに関し、PoEシステムにおいて、電力は、ねじれたデータワイヤペアおよびねじれた予備ワイヤペアにわたって伝送される。
【背景技術】
【0003】
(背景)
データラインにわたって電力リモート機器に電力を伝送することが知られている。パワーオーバーイーサネット(登録商標)(PoE)は、そのようなシステムの一例である。PoEにおいて、制限された電力は、イーサネット(登録商標)スイッチからイーサネット(登録商標)接続の機器(例えば、VoIP電話、WLAN送信器、防犯カメラ等)に伝送される。一般的に、スイッチからのDC電力は、標準CAT−5配線内の2組のねじれたペアワイヤにわたって伝送される。DC共通モード電圧がデータに影響を与えないので、同じの2組のねじれたペアワイヤはまた、差分データ信号を伝送し得る。このように、「電力デバイス」(PD)に外部電源を提供するニーズが省略されることができる。PoEに対する標準は、IEEE 802.3で設定され、それが参照することによって本明細書において援用される。
【0004】
イーサネット(登録商標)標準は、データペアとして指定された第1および第2のペアのねじれたワイヤと、予備ペアとして指定された第3および第4のペアのねじれたワイヤとが存在することを特定する。予備ペアは、25.5WのIEEE電力制限以上を要求しないPDに対して、一般的に使用されない。「パワーソーシング(power sourcing)機器」(PSE)は、データラインにわたってPDに電力を供給する任意のイーサネット(登録商標)デバイスであり得る。PSEとPDとは、一般的に、標準イーサネット(登録商標)8ピン(4つのねじれたペア)コネクタで終端にされる標準CAT−5ケーブルを介して接続される。
【0005】
しかしながら、25.5W IEEE制限以上を要求するPDが存在することが知られている。CAT−5ケーブルに沿うPoE電力損失を最小にするために、PSE終端とPD終端との両方でデータおよび予備ペアを並列に接続してケーブル内の抵抗損失を低減させることが知られている。これは、図1に示されている。
【0006】
図1は、PoEを用いるイーサネット(登録商標)システムを示し、CAT−5ケーブル内のデータペア12および13は、PSE18内の予備ペア14および15にハードワイヤで接続されて、2つの経路に沿って並列でPoE電流を伝導する。これは、現在、PoEに対するIEEE標準を無視するが、様々なユーザによって行われる。用語「PoE」が、ときどき、IEEE標準に従ってシステムを識別するために使用されるので、図1のシステムは、「>25.5W PoE」と呼ばれ得る。このペアは、PD22内のダイオードブリッジ20および21のそれぞれに適用されて、PDコントローラ24のグラウンドおよび−VIN端子で電流を結合する。PoE供給電圧が−55Vとして示されるが、供給電圧は、システムに依存して他の電圧であり得る。ペアの各組が、最大25.5Wまでの電力を輸送するように保証されるので、ペアの組み合わせは、PD22がより高い電力を要求し、かつ、IR降下を低減させる場合、より高い電圧を安全に輸送し得る。
【0007】
PSE18は、一般的に、メイン電圧(120VAC)によって電力供給され、外部電圧コンバータか、または内部電圧コンバータを使用して44〜57ボルトの間の電圧を生成する。PoE標準は、PoEがPDにおいて最小37ボルトを供給することを要求する。ケーブルに沿う電圧降下は、距離と共に増大する。
【0008】
使用中の全てのペアは、変圧器(例えば、変圧器23および25)によって、PD22において終端にされる。ねじれたペア13および15が44ボルトを提供し、かつ、ねじれたペア12および14がグラウンドに接続されることが仮定される。接続は、PDコントローラ24におおよそ44ボルトを提供するように、変圧器の中央タップになされる。DC電圧が共通モードであるので、DC電圧は、差分データに影響を与えない。
【0009】
44ボルトは、電圧をPD負荷によって要求される任意の電圧またはいくつかの電圧に変換するDC−DCコンバータ26に印加される。負荷(例えば、防犯カメラ)は、コンバータ26によって電力供給され、ねじれたワイヤペアを介してPSE18および任意の他の機器と通信し得る。
【0010】
IEEE標準は、PoE電力供給のデバイスの存在を検出するために、およびPSE18がPD22へ全電力を利用可能にする前にPSE18およびPD22の関連の特徴を伝達するために、PSE18とPD22との間においてある低電流ハンドシェーキング手順を必要とする。
【0011】
以下は、PSE18とPD22の間の標準ハンドシェーキングプロトコールの簡単化された要約である。
【0012】
PoEイネーブルのイーサネット(登録商標)ケーブルがPD22内に差し込まれると、PSEコントローラ27は、PoE適合可能であるかを決定するようにPD22に問い合わせる。この期間は、検出の段階と呼ばれる。検出の段階の間、PSEコントローラ27は、ねじれたワイヤペア12および13を介して固定の間隔の間に第1の電圧制限の電流をPD22に印加し、そして固定の間隔の間に第2の電圧制限の電流を印加し、その間に、生じる電圧を検出することによってPD22(約25Kオーム)の特徴的インピーダンスを求める。正確なインピーダンスが検出されない場合、PSE18は、負荷がPoE適合可能ではないと仮定し、PoE能力を使用しない。そしてシステムは、標準イーサネット(登録商標)接続として動作する。
【0013】
シグネチャインピーダンスが検出される場合、PSEコントローラ27は、オプションの分類の段階に移動する。PSEコントローラ27は、PD22への電圧を上昇させる。PSEコントローラ27は、(タイプ1のPSEであると示す)1つのパルスか、または(タイプ2のPSEであると示す)2つのパルスを生成する。PD22は、ある電流レベルを有する分類パルスに応答して、PD22がタイプ1またはタイプ2であるかを識別する。タイプ1のPDは、13W未満を要求する。タイプ2のPDは、最大25.5Wの最大値までを要求する。これらのタイプ内の様々なクラス(例えば、5つのクラス)も識別され得、各クラスが、最大平均電流レベルおよび最大瞬間電流レベルに関連付けられる。図1に示されるように、PDコントローラ24のRCLASSピンに接続された分類抵抗器が使用され得る。そして、PSEコントローラ27は、この電力デマンド情報を使用して、それが要求された電力をPD22に供給し得るかを決定し得、PD22は、この情報を使用して、それがPSE18と共に完全に動作し得るかを決定する。検出および分類の段階(例えば、500ms)に対する最大の時間ウィンドウが存在する。
【0014】
より高い電力の機器のために、高い電力クラスが指定され、高い電力クラスは、PSE18が25.5W以上をPD22に提供することを可能にする。このような高い電力クラスに伴い、データペアと予備ペアとを一緒に結び付けて電流を共有することが望ましい。
【0015】
他のタイプの検出および分類ルーチンおよび標準が、今後には実装され得る。
【0016】
検出および分類の段階の完了の際に、PSEコントローラ27は、PoE出力電圧を42V以上に上昇させ、FET30は、PD22に全PoE電圧を直接に接続するように閉じられる。下電圧(under−voltage)ロックアウト(UVLO)閾値がPD22において検出されると、内部FETは、オンにされ、DC−DCコンバータ26をイネーブルする「Power Good」信号を生成する。ここで、PD22は、通常に動作し始め、PD22は、入力電圧が要求されたレベル以上を維持する限り、通常に動作し続ける。
【0017】
低値感知抵抗器32は、電流経路と直列で接続され、その電圧降下が、PSEコントローラ27によって検出される。PSEコントローラ27は、感知された信号を使用して、1)PD22が切断されたかを検出し、2)報告目的のために、感知抵抗器を通る実際の電流を検出し、3)報告目的のために、過電流状態を検出し、4)PD22が、FET30を通る電流を制限するハードストップ電流制限に到達したかを検出する。電流フラグは、PD22の分類に依存する。PD22に電力を停止させることが要求される場合、PSEコントローラ27は、FET30をオフにする。
【0018】
データは、従来の手段(例えば、データペア変圧器および予備ペア変圧器の差分端子に他のデバイスのトランシーバを接続すること)を用いてデータペアおよび予備ペアにわたって伝送され得る。
【0019】
PSE18の設計者が、どうのデバイスがPSE18に接続されているかを制御しなくもよいので、PSE18は、ユーザによって正確に使用されず、結果として機器への損傷を引き起こし得る。図2は、機器への損傷を引き起こし得る1つの可能な構成を例示する。
【0020】
図2において、ユーザは、図3に示されるように、Yケーブル36の1つの端34をPSE18の8ピンCAT−5ソケットに接続するように決定した。Yケーブル36のもう一方の端は、データペア端38と予備ペア端39とに分割する。端39は、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)42に接続されるように示され、NIC42が、例のために任意に選択されたデバイスである。NIC42は、PoEを使用ように構成されていない。しかしながら、PD22は、PSE18が44ボルトをデータペアおよびお予備ペアに提供するべきである検出および分類の段階の間に、PSE18に示される。従って、NIC42は、損傷となり得、および/または、システムは、フラグが上昇されるので、停止する。
【0021】
このような問題は、PD22およびNIC42(または任意の他の機器)に別個のPSEおよびCAT−5ケーブルを提供し、それにより、独立的な検出および分類ルーチンが各デバイス上に実行され得るようにすることにより回避され得るが、その構成は、システムに対するコストおよび大きさを付加させる。
【0022】
PoEシステムにおいて単一のPSEコントローラが必要であり、単一のPSEコントローラは、1)データペアと予備ペアとの両方に同一の電力を供給すること、または、2)データペアのみに電力を供給すること、または、3)いずれのペアにPoEを提供せず、PSEコントローラが、データペアかまたは予備ペアに接続された非PoE適合可能なデバイスに供給されるPoE電圧がないことを確実にすることのうちのいずれかを行い得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
(要約)
PSEコントローラは、2つの独立的に制御可能な出力ポートを有するように説明され、共通のグラウンドを伴い、第1の出力ポート(OUT1)がデータペアに接続され、第2の出力ポート(OUT2)が予備ペアに接続される。第1のFETは、検出および分類の段階の後に、通常の動作中、全PoE電圧をデータペアに選択的に接続する。検出および分類の段階の前に、PSEコントローラは、第2のFET(または他のタイプのスイッチ)を制御して、データペアを予備ペアから隔離し、また、OUT1をOUT2から隔離する。次に、PSEコントローラは、OUT1およびOUT2を用いて、データペアおよび予備ペアにわたって検出および分類を独立的および/または同時に実行することが可能である。
【0024】
検出および分類の段階の結果が、PoEがデータペアのみに供給されるべきであり、予備ペアに供給されるべきではないことを示す場合、第2のFETがオフのままであり、従ってデータペアは、予備ペアから隔離されたままであり、PoE電圧は、データペアのみに供給される。ペアの両方は、なお、従来の手段を介してデータを伝送/受信し得る。
【0025】
検出および分類の段階が、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続され、かつ、PDが(>25.5Wを要求する)高い電力PDとして分類されることを明かす場合、第2のFETは、オンにされて、データペアを予備ペアに接続し、PoE電圧は、両組のペアに印加されて、従って電力は、抵抗損失を低減させるために、2組のペアによって同等に共有される。
【0026】
PoEに対する現在のIEEE標準は、データペアおよび予備ペアが、2組のペアを通してPoEを供給するために一緒に短絡されることを除外するが、本発明は、2組のペアを通してPoE電圧を供給するために、第2のFETによってデータペアおよび予備ペアが一緒に短絡されることを可能にする。PoEに対するIEEE標準は、このようなシナリオを含むように将来に変更され得る。
【0027】
検出および分類の段階が、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続され、かつ、PDが(<25.5Wを要求する)標準電力PDとして分類されることを明かす場合、第2のFETは、オンにされて、データペアを予備ペアに接続し得、従って電力は、2組のペアによって同等に共有される。しかしながら、IEEE標準が満たされるように要求される場合、第2のFETがオフのままでなければならない。
【0028】
検出および分類の段階が、PoE要件がデータペアおよび予備ペアに接続された異なるPDに対して同じであることを明かす場合、または、PDが互換性クラスを有する場合、第2のFETは、現在のIEEE標準に違反してオンにされ得、PoE電圧がデータペアおよび予備ペアに提供されることを可能にする。しかしながら、IEEE標準が満たされるべきである場合、第2のFETは、オフのままでなければならず、従って、予備ペアに接続されたPDは、PoEを受け取らない。
【0029】
検出および分類の段階が、少なくともデータペアがPoEを提供されるべきであることを示した後に、全PoE電力は、PSEコントローラが、データペアを(例えば、55ボルトを提供する)PoE電源に接続する第1のFETを閉じることによって供給される。従ってPSEコントローラは、PSE電源が全電力をデータペアに供給するときに迂回され、(またもPSEコントローラによって制御される)第2のFETは、予備ペアがデータペアに接続されるべきであるかを決定する。
【0030】
全ての場合において、検出および分類の段階の間に、デバイスがPoE適合可能であるように検出されない限り、電力は、データペアか、または予備ペアに接続された任意のデバイスに供給されない。
【0031】
ペアにわたってPDに2つの電圧を供給して、生じる電流を測定することによって特徴的インピーダンス(25Kオーム)を検出する従来の技術に代わって、検出は、1組のペアに既知の第1の低電流を供給し、生じる電圧を検出し、そして電流を既知の第2の電流に変更し、デルタ電圧を検出することによって実行される。2点固定電流法は、PDシグネチャ抵抗が、PD内の任意の静的ダイオード電圧降下から隔離されることを可能にする。
【0032】
この検出方法のバリエーションは、単一のPDがデータペアと予備ペアとの両方に接続される場合を同時に検出するように使用され得る。第2のFETがオフである間に、PSEコントローラは、既知の第1の電流を(OUT1を介して)データペアに供給し、かつ生じる電圧を測定する。第1の電流がデータペアに印加されている間に、既知の第2の電流が(OUT2を介して)予備ペアに供給され、生じる電圧が検出される。データペアおよび予備ペアがPDにおいて接続される場合、データペアおよび予備ペアに供給される電流の合計は、PD内の任意の25Kオーム抵抗器を通して流れる。2つの電流レベルにおける2つの電圧の検出が、25Kオーム抵抗器が存在することを示す場合、それは、データペアおよび予備ペアに結合された1つのPDのみが存在し、かつPoE適合可能であることを示す。この分類の段階は、次に単一PDに対して実行される。
【0033】
以上の検出技術が、データペアおよび予備ペアが同じPDに接続されていないことを示す場合、全検出および分類ルーチンは、(OUT1を介して)データペアおよび(OUT2を介して)予備ペアに対して独立して実行される。
【0034】
PSEコントローラが検出、分類、および第1のFETおよび第2のFETを開閉する機能を実行すること以外、PSEコントローラは、低値感知抵抗器を横断する電圧を検出することによってPD内への電流も検出する。次に、PSEコントローラは、電流を報告し、PDの切断を検出し、過電流を検出し、および第1のFETの電導性を制御することによって最大電流を制限する機能を実行する。
【0035】
差分デジタルデータは、従来の手段(例えば、データペアおよび予備ペアに対する変圧器の差分端子にデータ関連のデバイスのトランシーバを接続すること)を用いてデータペアおよび予備ペアにわたって伝送され得る。このようなデータ通信方法および構造は、本発明から影響を受けされず、単にPoEに関連することに過ぎない。
【0036】
様々な他の実施形態が説明される。
本願明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムであって、該システムは、
イーサネットシステムの中で、1組のデータワイヤペアと1組の予備ワイヤペアとに選択的に接続可能なパワーソーシング機器(PSE)であって、該PSEは、少なくとも該データワイヤペアにわたってPoE電圧を提供する、PSEと、
該PoE電圧を受け取るために、少なくとも該データワイヤペアによって該PSEに接続された電力デバイス(PD)と、
該PSEの一部分としてのPSEコントローラと
を含み、
該PSEコントローラは、
第1の出力ポート(OUT1)と、
第2の出力ポート(OUT2)と、
第1のスイッチに結合された第1のスイッチ制御ポートであって、該第1のスイッチは、該PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる、第1のスイッチ制御ポートと、
第2のスイッチに結合された第2のスイッチ制御ポートであって、該第2のスイッチは、該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる、第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、システム。
(項目2)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
上記PDがPoE適合可能であることを示す、該PDにおけるインピーダンスを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、上記データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、上記データワイヤペアに結合された上記PDがPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目4)
上記処理回路網は、上記PDが上記データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目5)
上記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目6)
上記PoE電圧を少なくとも上記データワイヤペアに結合させる変圧器をさらに含み、上記PoE電圧は、上記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、上記項目のいずれかに記載のシステム。
(項目7)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システムに用いられるパワーソーシング機器(PSE)コントローラであって、該コントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給するように構成された第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給するように構成された第2のスイッチ制御ポートと、
方法を実行するために構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、コントローラ。
(項目8)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスを決定することであって、該インピーダンスは、該PDがPoE適合可能であることを示す、ことと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目9)
上記処理回路網は、検出方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目10)
上記処理回路網は、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにするように構成されている、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目11)
上記処理回路網は、電流感知方法を実行するように構成されており、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載のコントローラ。
(項目12)
パワーオーバーイーサネット(PoE)システム内において接続されたパワーソーシング機器(PSE)コントローラによって実行される方法であって、該PSEコントローラは、
データワイヤペアに結合されている第1の出力ポート(OUT1)と、
予備ワイヤペアに結合されている第2の出力ポート(OUT2)と、
PoE電圧を該データワイヤペアに選択的に結合させる第1のスイッチに第1の制御電圧を供給する第1のスイッチ制御ポートと、
該OUT1を該OUT2に選択的に結合させる第2のスイッチに第2の制御電圧を供給する第2のスイッチ制御ポートと、
該OUT1、該OUT2、該第1のスイッチ制御ポート、および該第2のスイッチ制御ポートにおいて信号を制御するように構成された処理回路網と
を含み、
該方法は、
該OUT1および該OUT2を介して実行される検出および分類ルーチンの間に、該第1のスイッチおよび該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該検出および分類ルーチンを実行して、該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアのみに印加されるべきであるか、または、該データワイヤペアおよび該予備ワイヤペアのいずれにも印加されるべきではないかを決定することと、
該PoE電圧が該データワイヤペアのみに提供されるべきであると決定される場合、該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアのみに供給する間に、該第2のスイッチをオフのままにすることと、
該PoE電圧が該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に提供されるべきであると決定される場合、該第2のスイッチおよび該第1のスイッチをオンにして該PoE電圧を該データワイヤペアと該予備ワイヤペアとの両方に供給することと
を含む、方法。
(項目13)
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
第1の電流を上記OUT1に印加して、生じる第1の電圧を測定することと、
第2の電流を上記OUT2に印加して、生じる第2の電圧を測定することと、
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)におけるインピーダンスが、該PDがPoE適合可能であることを示すことを決定することと、
該第2の電流が該第1の電流に加えられることを検出して、該データワイヤペアおよび上記予備ワイヤペアが同じPDに接続されることを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
検出方法を実行することをさらに含み、該方法は、
上記OUT1に信号を印加して、少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)がPoE適合可能であるかを決定することと、
上記OUT2に別の信号を印加して、上記予備ワイヤペアに結合されたデバイスがPoE適合可能であるかを決定することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
少なくとも上記データワイヤペアに接続された電力デバイス(PD)が該データワイヤペアと上記予備ワイヤペアとの両方に結合され、特定の電力レベルを要求することが決定された後に、上記第1のスイッチおよび上記第2のスイッチをオンにすることをさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目16)
電流感知方法をさらに含み、該方法は、
上記第1のスイッチがオンにされて電流を少なくとも上記データワイヤペアに伝導した後に、該第1のスイッチを通して流れる電流を検出することと、
該電流があるレベルを超えることを防ぐように該第1のスイッチを制御することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目17)
変圧器は、上記PoE電圧を少なくとも上記データワイヤペアに結合させ、上記PoE電圧は、上記第1のスイッチがオンにされるときに、該変圧器の中央タップに結合される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(摘要)
パワーソーシング機器(PSE)は、データワイヤにわたって電力デバイス(PD)にPoE供給電圧を提供する。PSEコントローラは、PoE電圧をデータワイヤペアに結合させる第1のFETを制御し、データワイヤペアを予備ワイヤペアに結合させる第2のFETを制御する。電力を供給する際に、PSEコントローラは、2つのFETを開かれるままにして、データペアおよび予備ペアに接続された任意のデバイス上に検出ルーチンを実行する。PoE適合可能なPDが、データペアに結合されるように検出される場合、第1のスイッチが閉じられる。PoE電圧がまた予備ペアに結合されるべきであると決定される場合、第2のFETも閉じられる。方法は、予備ペアに接続されたデバイスがPoE適合可能ではないときに、PoE電圧が予備ペアに印加されることを防ぎ、IEEE PoE PDに後方へのコンプライアンスを維持する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、PoE電圧をPDに供給し、一般的に25.5Wより大きい電圧をPDに供給するための一緒にハードワイヤされたデータペアおよび予備ペアを用いる非慣習的な先行技術PoEイネーブルのイーサネット(登録商標)システムを例示する。
図2図2は、図1のシステムを例示し、このシステムにおいて、ユーザがYケーブルを使用して非PoE電力デバイスを予備ペアに間違って接続し、その一方、PoE電力デバイスがデータペアに接続されて、結果として非PoE電力デバイスに損傷を与える可能性を引き起こす。
図3図3は、データペアと予備ペアとを分割するための、イーサネット(登録商標)の従来のYケーブルを例示する。
図4図4は、本発明のPSEコントローラと、PoEシステム内のその接続との1つの実施形態を例示する。
図5図5は、図4のPSEコントローラの動作中、いくつかの可能なシナリオを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
同じまたは同等の構成要素は、同じ数値でラベルを付けられている。
【0039】
図4のPSE48内に示された回路は、PoEイネーブルイーサネット(登録商標)システムの関連局面を示し、電力が、ねじれたワイヤデータペアおよび予備ペアにわたってPDに供給され得る。本発明に関連しないこのようなイーサネット(登録商標)システムの局面(例えば、CAT−5ケーブルにわたって動作データをPDに通信するデバイス)は、従来通りであり得るので示されていない。電力を供給された後に差分デジタルデータを通信するために、データペアおよび予備ペアにそれらの変圧器を介して接続され得る一般的デバイスは、PDの動作を制御し得るプロセッサである。データペアおよび予備ペアのための変圧器は、様々な他のデバイスに接続されたデータバスに接続され得る。
【0040】
図4において、データペア12および13と、予備ペア14および15とは、図1および2に示されたデバイスを含む任意のデバイスに接続され得る。図4のPSEコントローラ50は、追加の特徴を有し、その追加の特徴は、任意のタイプのデバイスがデータペアおよび予備ペアに接続されることを可能にし、その一方で、データペアおよび予備ペアのうちの1つまたは両方にPoE電圧を選択的に印加してデバイスへの損傷を回避する。
【0041】
最初に電圧がPSEコントローラ50に印加されると、PSEコントローラ50のVEEピンおよびグラウンドピンに結合された電源によって、FET1およびFET2は、それらのオフ状態にある。PSEコントローラ50内のデジタル回路網のためのグラウンド端子DGND、および、アナログ回路網に対する共用のグラウンド端子AGNDが存在する。
【0042】
従来の変圧器52〜55は、(例えば、PD(または他のデバイス)が完全に電力を供給された後に)動作中のデータ通信のために、データペア12および13と、予備ペア14および15とをバス(示されていない)に結合する。PSE48は、ソケット内に差し込む端子を有するカードを含み得、変圧器リードは、ソケットを介してバスに接続する。ソケットも、−55ボルトおよびグラウンドを提供し得、PoE電源もPSE48の一部分を考えられる。
【0043】
PSEコントローラ50が電力供給する際に、−55ボルトが供給されると、ルーチンは、PSEコントローラ50の内部のプロセッサによって実行される。処理ハードウェアは、従来通りであり、図2の先行技術のPSEコントローラに類似し得る。しかしながら、ルーチンは、本明細書に記載される追加された特徴を含む。ルーチンは、メモリ内に格納され、または論理回路(例えば、状態機器)内にハードワイヤされ得る。
【0044】
提供された例において、以下の検出技術が使用される。ペアにわたって2つの電圧をPDに供給して、生じる電流を測定することによって特徴的インピーダンス(25Kオーム)を検出することに代わって、検出は、1組のペアに既知の第1の低電流を供給し、生じる電圧を検出し、そして電流を既知の第2の電流に変更し、デルタ電圧を検出することによって実行される。デルタ電流も既知であるので、抵抗は、オーム法則によって決定される。2点固定電流法は、PDシグネチャ抵抗が、PD内の任意の静的ダイオード電圧降下から隔離されることを可能にする。
【0045】
図5のフローチャートに示されるように、ステップ58において、FET1およびFET2は、最初に開けられることにより、PSEコントローラ50が電力供給された後にデータペアおよび予備ペアに印加される電力が存在しない。FETは、GATE1およびGATE2のピンに印加される信号によって制御される。一実施形態において、GATE1は、PSEコントローラ50のホットスワッピングのために構成され、その一方で、GATE2は、ホットスワッピングのために構成されない。
【0046】
ステップ59において、検出テストが実行され、検出テストは、同時にPD内に25Kオーム抵抗器の存在を検出し、(図1に示されるように)単一PDが、PoEのためのデータペアおよび予備ペアに接続されているか決定する。FET2がオフである間に、PSEコントローラ50は、既知の第1の電流を(OUT1を介して)データペアに供給し、かつ生じる電圧を測定する。第1の電流がデータペアに印加されている間に、既知の第2の電流が(OUT2を介して)予備ペアに供給され、生じる電圧が検出される。データペアおよび予備ペアがPDにおいて接続される場合、予備ペアに供給される電流は、データペアに供給される電流に加えて、OUT2に測定される電圧に影響を与える。データペアおよび予備ペアに供給される電流の合計は、PD内の任意の25Kオーム抵抗器を通して流れ、PoE適合可能であることを示すように使用される。2つの電流レベルにおけるOUT1およびOUT2での2つの電圧の検出が、25Kオーム抵抗器が存在することを示す場合(オーム法則を用いる)、それは、データペアおよび予備ペアに結合された1つのPDのみが存在し、かつPoE適合可能であることを示す。この分類の段階は、次に単一PDに対して実行される。
【0047】
分類ルーチンは、低電力で(様々な信号に対してPDの応答を検出することによって)実行されて、例えば、5つのクラスのうちのどれにPDが当てはまるかを決定する。クラスは、概して、PDの電力ニーズに関し、PDが、25.5Wの従来の最大電力よりも大きい電力を要求するかを含む。分類ルーチンは、IEEE標準によって特定され得る。
【0048】
以上の検出技術が、データペアおよび予備ペアが同じPDに接続されていないことを示す場合(ステップ60)、全検出および分類ルーチンは、(OUT1を介して)データペアおよび(OUT2を介して)予備ペアに対して独立して実行される(ステップ61およびステップ62)。
【0049】
一実施形態において、ステップ61および62の検出および分類は、データペアおよび予備ペアに対して同時に、独立して実行され得、または連続して実行され得る。検出および分類ルーチンは、図1に対して説明されるものと同じであり得る。検出および分類に対するIEEE PoE標準は、参照することによって本明細書において援用される。
【0050】
ステップ62(またはステップ60)の後に、ここでPSEコントローラ50は、データペアおよび予備ペアが、(例えば、図1のように)同じPoE適合可能なPDに接続されるか、または、データペアおよび予備ペアが、1つまたは両方がPoE適合可能であり得る異なるデバイスに接続されるか、またはペアのいずれもPoE適合可能なデバイスに接続されていないかを分かる。
【0051】
様々なシナリオがここで議論される。
【0052】
ステップ66において、検出および分類は、データペアと予備ペアとの両方が、同じPoE適合可能なPDに結合されることを示す場合、PDが(>25.5Wを要求する)高い電力PDであるか否かにかかわらず、PSEコントローラ50は、FET2をオンにし、データペアを予備ペアに効率的に短絡させる(グラウンドが常に接続される)。これは、ケーブル内の抵抗損失を低下させる。次に、PSEコントローラ50は、FET1をオンにし、低値感知抵抗器Rsenseを介して−55ボルトの全PoE電圧をデータペアおよび予備ペアに結合する。FETが示されたが、任意のトランジスタまたは他のタイプのスイッチが使用され得る。ここで、PDは、完全にPSE48によって電力供給される。しかしながら、現在、IEEE標準は、PoEのためにデータペアおよび予備ペアが短絡されることを禁止し、従って、代替的に、FET2は、オフのままにされ、IEEE標準を満たすことが可能である。PDが、分類中にPDが25.5Wより大きい電力を要求することを示す場合、高い電力がデータペアおよび予備ペアによって共有されてIR降下を低減させるようにFET2がオンにされるべきである。データペアおよび予備ペアによって電力を共有することは、高い電力の適用に対して安全性も増大させる。
【0053】
ステップ68および66において、たとえステップ61および62における検出および分類の段階が、異なるPDがデータペアおよび予備ペアに接続されるが、分類が同一または適合可能であることを示す場合、FET1およびFET2は、オンにされて全PoE電圧をデータペアと予備ペアとの両方に印加する。しかしながら、前述のように、IEEE標準は、現在、PoEのためにデータペアおよび予備ペアが短絡されることを禁止し、従って、代替的に、FET2は、オフのままにされ、IEEE標準を満たすことが可能である。
【0054】
PSEコントローラ50は、従来のハードウェアおよびルーチンを含み得、ハードウェアおよびルーチンは、Rsenseを通る電流を監視し、FET1を制御して電流を制限し、または電源からPDを切断する。一実施形態において、PSEコントローラ50は、VEEピンとSENSE1ピンとの間の電圧差を感知し、オーム法則によってRsenseを通る電流を決定する。PSEコントローラ50は、感知信号を使用して、1)PDが切断にされたかを検出し、2)報告目的のために、Rsenseを通る実際の電流を検出し、3)報告目的のために、過電流状態を検出し、4)PDが、FET1の電導性を制御することによって電流を制限するハードストップ電流制限に到達したかを検出する。PDが切断されたことを示す、流れている電流が存在しない場合、FET1がオフにされる。電流フラグは、PDの分類に依存する。
【0055】
ステップ72および74において、検出および分類の段階は、データペアに接続されたデバイスのみがPoE適合可能であることを示す場合(例えば、図2に示されるように)、PSEコントローラ50は、FET2をオフのままにし、FET1をオンにしデータペアのみにPoE電圧を印加する。従って、非PSE適合可能なデバイスに与えられる損傷が存在しない。
【0056】
ステップ76および78において、検出および分類の段階は、データペアおよび予備ペアに接続されたデバイスのいずれもPoE適合可能ではないことを示す場合、PSEコントローラ50は、FET1およびFET2をオフのままにし、データペアおよび予備ペアに供給されるPoE電圧が存在しない。
【0057】
FET2の選択的制御は、IEEE PoE PDに後方へのコンプライアンスを維持する。
【0058】
予備ペアに接続されたデバイスのみがPoE適合可能である場合において、FET1およびFET2がオフのままであり、いずれのデバイスもPoE電圧を受け取らない。なぜなら、図4の実施形態において、予備ペアは、データペアがPoE電圧を受け取る場合のみにPoE電圧を受け取り得るからである。従って、別の実施形態において、ノード80とデータペアとの間に第3のFETが存在し、第3のFETは、FET1およびFET2が閉じられて、PoE電圧を予備ペアのみに供給するときに、データペアから予備ペアを隔離するPSEコントローラ50によって制御される。第3のFETは、検出および分類の段階の間にオンにされ得る。このような構成は、IEEE標準を満たし得る。そのモードにおいて、データペアおよび予備ペアのそれぞれのための別個のPSEコントローラとは異なり、データペアおよび予備ペアへのPoEを独立して制御するためになお単一のPSEコントローラのみが使用され、コストおよび空間を節約する。
【0059】
様々なFETは、プロセッサによる信号に応答して簡単な駆動回路によって制御される。様々なFETは、図4に示された任意の外部配線と共に、PSEコントローラパッケージの内部にあり得、適切なピンが、パッケージ上に提供され得る。マイクロプロセッサおよび/または状態機器を含むPSEコントローラ50内部の処理ハードウェアは、図1の先行技術PSEコントローラ27内の処理ハードウェアと同一であり得、そこで、実行されるルーチンは、本発明に従って変更されて、追加のOUT2およびFET2制御ポートに適応する。従って、PSEコントローラ50の内部回路網の説明は、本発明の実施のために必要とせず、多くの同等タイプの制御回路が使用され得る。PSEコントローラ50は、単一の集積回路として形成され得、または単一のパッケージは、一緒に接続された複数の集積回路を含み得る。
【0060】
用語PSEおよびPDは、電力を供給する機器と電力を受け取る機器とを識別するために、本開示を通して使用され、このような機器/デバイスは、他に特定されない限り、イーサネット(登録商標)機器/デバイスに限定されない。
【0061】
本開示の全てを通して説明された任意の特徴が組み合わせられ得る。
【0062】
本発明の特定の実施形態が示され、かつ説明されたが、変更および改変が本発明のより広い局面において本発明から逸脱することなしに加えられ得ることは当業者にとって明白であり、従って、添付された請求項は、本発明の真の精神および範囲内にあるようなこれらの変化および変更のすべてをその範囲内に含む。
図1
図2
図3
図4
図5