(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
モバイル通信ネットワークのネットワーク構造の初期段階においては、ユーザの数は少なく、それゆえ一般的には、マクロセル(Macro Cell)のネットワーク構造が受信地域(coverage)に使用される。マクロセルの受信地域範囲(coverage radius)は、一般的に1キロメートルから10キロメートルである。ネットワークユーザの数が増加すると、マクロセルのキャパシティはサービストラフィックの要求を満たすことができない。マクロセルの不十分なキャパシティを補うために、マイクロセル(Micro-Cell)又はピコセル(Pico-Cell)が一般的にホットスポットエリアの中で受信地域に使用される。屋内受信地域の質を改善するために、一般的な屋内受信地域では、マクロセル又はピコセルもまた受信地域として使用される。
図1に示されるように、セルAはマクロセルであり、かつ、セルB,C,D,及びEはマイクロセルである。基地局制御器は、セルA,B,C,D,及びEに疑似雑音コード(Pseudo-Noise code,略してPN code)X,Y,Z,U,及びVを割り当てる。隣接セルリストは、基地局制御器によって構成され、かつ、セルAの隣接セルB,C,D,及びEは、セルAの隣接セルリストにおいて構成される。プロトコルは、隣接セルの数を制限する(一般的にプロトコルは、IS-95モバイルフォンが20の隣接セルをサポートすること及びIS-2000が40の隣接セルをサポートすることを要求する)。前記基地局制御器はまた、セルB,C,D,及びEに対して、隣接セルリストを構成する。
【0003】
通信サービスがビジーである領域(例えば、北京の西単)においては、マイクロセルシステムは、マイクロセルを形成するために各ビルに配置される。それゆえに、隣接セルリストは、より膨張し、プロトコルにおいて要求される隣接セルの数が、予定される必要がある隣接関係を越えてしまうとき、必然的に、一部のセルの隣接関係が隣接セルリストに加えられないことの原因となり、それによって、ハンドオーバー失敗を引き起こす。同時に、一つのPNコードが、各マイクロセルに割り当てられるが、PNコードリソースは制限され(その数は512)、かつ、無制限に割り当てることはできない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の態様は、リソース多重化方法及び装置、並びにハンドオーバー方法及び装置を提供する。
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の態様は、以下の技術的解決策を採用する。
リソース多重化方法であって、
各セルに多重疑似雑音コードを割り当てるステップであって、前記多重疑似雑音コードは、疑似雑音コード及びオフセットを含むステップと、
前記多重疑似雑音コードを使用することによって、前記セルに対する隣接セルリストを構成するステップと
を含むリソース多重化方法。
【0006】
リソース多重化装置であって、
多重疑似雑音コードを各セルに割り当てるように構成された多重疑似雑音コード割り当てモジュールであって、前記多重疑似雑音コードは、疑似雑音コード及びオフセットを含む、多重疑似雑音コード割り当てモジュールと、
前記多重疑似雑音コードを使用することによって、前記セルに対する隣接セルリストを構成するように構成された隣接セルリスト構成モジュールと
を含む、リソース多重化装置。
【0007】
従来技術において、PNコードは、異なるセルA及びBを区別するために使用されていた。例えば、PNコードX及びYは、2つの疑似雑音コードを占有するセルA及びBそれぞれに割り当てられてもよい。本発明の態様において、多重疑似雑音コードは、異なるセルA及びBを区別するために使用される。例えば、セルAに割り当てられた多重疑似雑音コードは、X−オフセットである。セルBに割り当てられた多重疑似雑音コードは、X+前記オフセットである。前記セルA及びBは、同じ疑似雑音コードを使用し、疑似雑音コードリソースをセーブし、かつ、隣接セルがプレッシャーを計画することを軽減する。
【0008】
前記オフセットは、特定の状況に基づくセットであってもよく、種々のセルに対するオフセット増加及びオフセット減少は異なってもよい。
【0009】
ハンドオーバー方法であって、
端末によってソースセルから目的セルに移動するステップと、
探索を介して、前記目的セルのパイロット信号を見出すステップと、
前記パイロット信号の質が、ハンドオーバー閾値よりも大きいとき、前記目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを送信するステップと、
基地局制御器によって送信されたハンドオーバー命令メッセージを受信するステップと
を含むハンドオーバー方法。
【0010】
ハンドオーバー方法であって、
目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを受信するステップと、
訂正された多重疑似雑音コードフェーズを取得するために、多重疑似雑音コードフェーズを訂正するステップと、
前記訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、前記目的セルの疑似雑音コード同定範囲内にあるかどうかを決定するステップと、
もし、前記訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、前記目的セルの疑似雑音コード同定範囲内にあるとき、端末にハンドオーバー命令メッセージを送信するステップと
を含む、ハンドオーバー方法。
【0011】
ハンドオーバー装置であって、
目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを受信するように構成された受信モジュールと、
訂正された多重疑似雑音コードフェーズを取得するために、前記多重疑似雑音コードフェーズを訂正するように構成された訂正モジュールと、
前記訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、前記目的セルの疑似雑音コード同定範囲内にあるかどうかを決定するように構成された同定モジュールと、
もし、同定モジュールの出力結果が、前記訂正された多重疑似雑音コードフェーズが前記目的セルの前記疑似雑音コード同定範囲内にあるという場合、ハンドオーバー命令メッセージを端末に送信するように構成された送信モジュールと
を含む、ハンドオーバー装置。
【0012】
本発明の態様において、多重疑似雑音コードフェーズが、訂正されるとともに、ついで同定され、同定エラーを減少させ、かつ、ハンドオーバー命令が、同定結果に基づいて送信され、ハンドオーバー成功率を増加させる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
疑似雑音コードリソースをセーブ(save)し、かつ隣接セルがプレッシャーを計画することを減らすために、本発明の実施形態は、リソース多重化方法を提供する。
図2に示されるように、その方法は以下を含む。
【0015】
201:各セルに多重疑似雑音コードを割り当て、ここで多重疑似雑音コードは疑似雑音コード及びオフセットを含む。
【0016】
IS-95A CDMAシステムにおいて、PNコードのサイクルは32768チップ(chip)である。64チップ毎に分割が実行され、かつ、種々のフェーズを有する512(= 32768 / 64)PNコードが取得される。
【0017】
一つのPN codeが各セルに割り当てられる。
図1に示されるように、セルA,B,C,D,及びEは、5つの疑似雑音コードX,Y,Z,U,及びVを占有する。
【0018】
前記多重疑似雑音コードは、疑似雑音コード及びオフセットを含む。前記オフセットは、1,2,及び3チップであってよい。種々のセルに対するオフセット増加及びオフセット減少は異なってもよく、かつ、前記オフセットは特定の状態に基づいてセットされてもよい。
図1に示されるように、多重疑似雑音コードY+1チップが、セルBに割り当てられる。多重疑似雑音コードY-1チップが、セルCに割り当てられる。多重疑似雑音コードY+3チップがセルDに割り当てられる。多重疑似雑音コードY-3チップがセルEに割り当てられる。
【0019】
202:前記多重疑似雑音コードの使用によって、前記セルに対する隣接セルリストを構成する。
【0020】
隣接セルリストを構成する原理は次の通りである。
a.お互いに直接的に地理的に隣り合っているセルは、一般的に隣接セルとしてみなされる。
b.一般的に、隣接セルは、双方に隣接セルであることが要求される。つまり、もし、セルAの搬送周波数が、セルBを隣接セルとしてみなす場合、セルBもまたセルAを隣接セルとしてみなす。
c.過密な都市部にとって、局(station)配置は比較的近く(0.5から1.5キロメートル)、かつ、それゆえに、多くの隣接セルが確立されるべきである。PNコードリソースは制限され(その数は512)かつ、無制限に割り当てることができない。
【0021】
もし、前記隣接セルリストが、セルに対して多重疑似雑音コードを使用することによって構成される場合、多くの隣接セルを確立すること、及び、PNコードリソースをセーブすることの要求が満たされる。
【0022】
ステップ201から、セルB,C,D,及びEは一つの疑似雑音コードのみを占有するが、4つのセルが隣接セルリストに示されてもよいと、認識されてもよい。
【0023】
本発明の技術的解決策はまた、マクロセル、マイクロセル、及びピコセルに適用される。
【0024】
端末が、探索を通して、疑似雑音コードYを使用する全てのセルB,C,D,及びEを見出すことを保証するために、前記リソース多重化方法はさらに、探索ウィンドウパラメータ(探索ウィンドウパラメータ)を構成するステップを含む。
【0025】
前記探索ウィンドウパラメータは、適度に構成される必要があり、前記パラメータは過大でも、かつ、過小でもないように構成されても
よい。もし、前記パラメータが過大であるように構成される場合、無関係な信号もまた探索ウィンドウ内に入る原因となり、リンクの質(link quality)を悪化させ、大きい探索ウィンドウもまた、隣接パイロットに対して探索するモバイルフォンのスピードを遅くする原因となる。もし、前記パラメータが過小であるように構成される場合、一部の有効なアクティブセット信号が探索ウィンドウの外に落ちる原因となり、かつ、ウィンドウの外のこれらのアクティブセット信号は、障害となり、リンクの質を著しく悪化させる可能性がある。本発明の態様において、前記探索ウィンドウパラメータは、2つのチップであるように構成される。
【0026】
本発明の実施形態はさらに、リソース多重化装置を提供する。
図3に示されるように、装置は、
各セルに多重疑似雑音コードを割り当てるように構成された多重疑似雑音コード割り当てモジュール301であって、前記多重疑似雑音コードは疑似雑音コード及びオフセットを含む、多重疑似雑音コード割り当てモジュール301と、
多重疑似雑音コードを使用することによって、セルに対しての隣接セルリストを構成する隣接セルリスト構成モジュール302と、を含む。
【0027】
前記セルは、マクロセル、マイクロセル、及びピコセルを含み、前記オフセットは一つのチップである。
【0028】
本発明の実施形態におけるリソース多重化装置はまた、探索ウィンドウパラメータを構成するように構成されたパラメータ構成モジュールを含み、本発明の実施形態において、探索ウィンドウパラメータは2つのチップであるように構成されている。
【0029】
本発明の実施形態においてリソース多重化方法を使用することによって、疑似雑音コードリソースがセーブされ、かつ、隣接セルがプレッシャーを計画することは軽減される。
【0030】
本発明の実施形態はさらに、ハンドオーバー方法を提供する。前記方法のアプリケーションシナリオは、端末がソースセルから目的セルへと移動し、前記目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを基地局制御器に送信する。
図4に示されるように、ハンドオーバー方法は以下のステップを含む。
【0031】
401:目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを受信する。
【0032】
基地局制御器は、セルDの多重疑似雑音コードフェーズPNphase =PN Y*64+3−mを受信する。
【0033】
402:訂正された多重疑似雑音コードフェーズを取得するために、多重疑似雑音コードフェーズを訂正する。
【0034】
前記基地局制御器は、訂正された多重疑似雑音コードフェーズ PNphase =PN Y*64 +3を取得するために、セルAの送信遅延に基づいて多重疑似雑音コードフェーズを訂正する。
【0035】
訂正プロセスは以下のようである。
セルA及びDのクロックとして、システム時間(つまり、グローバル・ポジショニング・システム(GPS: Global Positioning System))を参照し、端末のクロックは、端末が位置しているセルの送信遅延に関連する。本発明において、前記端末は、セルAからセルDへハンドオーバーされる。前記ハンドオーバーが完了する前に、セルAは、前記端末へサービスを提供し、かつ、mがセルAにおける信号の送信遅延であると仮定される。
【0036】
もし、セルDが、朝の10時に多重PNコードを送信する場合、ついで、多重PNコードは、セルAによって前記端末に送信される。前記セルAにおける信号の送信遅延mは10分であると仮定し、かつ、この場合、前記端末の時間は10:10であり、前記端末は、前記送信遅延に基づいて、セルDが多重PNコードを送信した時の時間が、10:10−10分=10時であると決定し、かつ、前記目的セルの多重PNコードフェーズがPNphase =PN Y*64+3−mであると決定される。
【0037】
前記端末は、多重疑似雑音コードフェーズをセルDに送信する。もし、セルAにおける信号の送信遅延が3分であると仮定する場合、基地局制御器は、多重PNコードフェーズがPNphase =PN Y*64+3−m+nであると決定する。前記目的セルが、セル又はマイクロセルであるとき、nは、前記セル又は前記マイクロセルから前記端末への距離が非常に短いという理由で無視されてもよい。
【0038】
前記基地局制御器は、多重PNコードフェーズを訂正し、かつ復元し、前記PNphase+セルAにおける送信遅延mは、多重疑似雑音コードフェーズPN Y*64 + 3+nと等しい。ハンドオーバーが完了しない、かつ、通信チャネルが前記端末とモバイルフォンとの間で確立されないという理由で、nは訂正されることができない。
【0039】
403:訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、目的セルの疑似雑音コード同定範囲(pseudo-noise code identification range)内にあるかどうかを決定する。
【0040】
前記基地局及びモバイルフォンは、同じ隣接セルリストを有し、前記隣接セルリストは隣接セルを記録し、かつ、各隣接セルは、一つの同定範囲に対応している。前記目的セルの疑似雑音コード同定範囲の開始点は、目的セルの多重疑似雑音コード−Wチップであり、終了点は、目的セルの多重疑似雑音コード+Zチップであり、W及びZは自然数である。W及びZの値は、同じであり、かつ、異なっていてもよい。
【0041】
セルBの疑似雑音コード同定範囲は、(PN Y, PN Y+ 2)であり、セルCの疑似雑音コード同定範囲は、(PN Y, PN Y-2)であり、セルDの疑似雑音コード同定範囲は、(PN Y+2, PN Y+ 4)であり、かつ、セルEの疑似雑音コード同定範囲は、(PN Y-2, PN Y- 4)である。
【0042】
前記基地局制御器は、疑似雑音コード同定範囲内に前記多重疑似雑音コードフェーズPNphase =PN Y*64 +3+nが入っていることを同定する。
【0043】
404:もし、訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、目的セルの疑似雑音コード同定範囲内にある場合、端末にハンドオーバー命令メッセージを送信する。
【0044】
もし、多重疑似雑音コードフェーズPNphase =PN Y*64 + 3+nが、前記目的セルD(
図5に示されるように、nは訂正されないので、多重疑似雑音コードフェーズを表す矢印と範囲の中心との間にわずかなギャップが存在する)の疑似雑音コード同定範囲 (PN Y+2, PN Y+ 4)の中に入る場合、前記ハンドオーバー命令メッセージが前記端末に送信される。前記目的セルが、前記端末のアクティブセットに追加される。
【0045】
前記端末は、基地局制御器によって送信されたハンドオーバー命令メッセージを受信し、かつ、ハンドオーバーを実行する。本発明の実施形態において、多重疑似雑音コードフェーズが訂正されるとともに、ついで同定され、同定エラーを減らし、かつハンドオーバー命令が、同定結果に基づいて送信され、ハンドオーバー成功率を増加させる。
【0046】
図6に示されるように、本発明の実施形態はさらに、以下を含むハンドオーバー装置を提供する。
目的セルの多重疑似雑音コードフェーズを受信するように構成された受信モジュール601と、
訂正された多重疑似雑音コードフェーズを取得するために、多重疑似雑音コードフェーズを訂正するように構成された訂正モジュール602と、
訂正された多重疑似雑音コードフェーズが、前記目的セルの疑似雑音コード同定範囲内にあるかどうかを決定するように構成された同定モジュール603と、
もし、同定モジュールの出力結果が、訂正された多重疑似雑音コードフェーズが前記目的セルの前記疑似雑音コード同定範囲内にあるという場合、端末にハンドオーバー命令メッセージを送信するように構成される送信モジュール604とを含む。
【0047】
前記多重疑似雑音コードフェーズは、64を乗じた前記目的セルの疑似雑音コード+前記目的セルのオフセット−ソースセルの送信遅延であり、前記目的セルの前記疑似雑音コード同定範囲の開始点は、前記目的セルの前記多重疑似雑音コード−Wチップであり、かつ、終了点は、前記目的セルの前記多重疑似雑音コード+Zチップであり、W及びZは自然数である。W及びZは、同じであってもよく、また異なってもよい。
【0048】
多重疑似雑音コードフェーズを訂正することは、多重疑似雑音コードフェーズ及びソースセルの送信遅延を追加することを含む。
【0049】
本発明の実施形態において、多重疑似雑音コードフェーズが訂正されるとともに、ついで同定され、同定エラーを減らし、かつ、ハンドオーバー命令が同定結果に基づいて送信され、ハンドオーバー成功率を増加させる。