【文献】
RYF, R. et al.,Space-division multiplexing over 10 km of three-mode fiber using coherent 6×6 MIMO processing,OSA/OFC/NFOEC 2011,2011年,PDPB10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
別の空間光変調器に入射する光を位相変調するための、別々に制御可能な光位相変調器の2次元アレイを有する別の空間光変調器であって、前記電子コントローラが、前記別の空間光変調器を操作して、対応する異なる空間位相パターンで複数の他の光ビームのそれぞれが変調されるように前記他の光ビームを送るように構成可能である、別の空間光変調器と、
前記光ビームおよび前記他の光ビームを前記多モード光ファイバの前記端面に結合するように構成された光学素子と
をさらに備える、請求項1または2に記載の装置。
第1および第2のデータ変調光キャリアが前記多モード光ファイバ内の異なる光学モードに送られるように、前記空間光変調器のうちの第1および第2のものに前記第1および第2のデータ変調光キャリアをそれぞれ送るように結合された第1および第2の光データ変調器
をさらに備える、請求項4に記載の装置。
別々に制御可能な光位相変調器の2次元アレイを有する第2の空間光変調器を有する第2の光学モード結合器であって、前記第2の空間光変調器に、複数の第2の光ビームを介して多モード光ファイバの端面に第2の光源または光検出器を結合させるように構成可能であり、前記第2の光ビームのそれぞれが、前記多モード光ファイバ内の前記光学モードのうちの異なるものに結合する第2の光学モード結合器
をさらに備える、請求項7に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、例えば光遠隔通信帯、例えばC、L、またはS帯内の波長で動作するように様々な光学デバイスを構成することができる。
【0023】
図1は、多モード光ファイバ14の1つまたは複数の光学モードに光源または光検出器12を選択的に結合するように構成可能な光学モード結合器10を概略的に示す。光学モード結合器10は、入力オプティクス16、空間光変調器(SLM)18、電子コントローラ20、および出力オプティクス22を含む。
【0024】
話を簡単にするために、以下では、光源または光検出器12が参照番号12で示される光源である構成について光学モード結合器10を説明する。要素12がレーザや光データ変調器などの光源であるか、それとも光検出器や光データ復調器などの光検出器であるかに関わらず、光学モード結合器10は同様に機能することを当業者なら理解されよう。例えば、そのような異なる実施形態が、光学モード結合器10への、光学モード結合器10からの、および光学モード結合器10内の光伝搬の方向の反転、例えば光入力および光出力の機能を交換すること、および光源と光検出器の交換によって関係付けられることを当業者なら理解されよう。
【0025】
様々な実施形態では、光学モード結合器10は、優先的に多モード光ファイバ14に関する光学モードのセットのうちの光学モード(複数可)の選択された適切なサブセットへの要素12の全光学的結合が可能である。ここでは、セットの光学モードは、多モード光ファイバ14に関する相対的に直交するモードである。
【0026】
入力オプティクス16は、光源12から空間光変調器(SLM)18の入力面に光ビームを誘導する。入力オプティクス16は、光源12の光出力、例えば単一モード光ファイバの端面からの光ビームの一部を、SLM18の入力面の一部に対してコリメートすることができる。例えば、入力オプティクス16は、その断面直径がSLM18の入力面のかなりの部分に対して誘導される光ビームを生成することができる。入力オプティクス16は、受動光学系、例えばレンズおよび/またはミラー・システムでよく、光源12の光を向け直す受動光学素子(複数可)を含むことができる。
【0027】
SLM18は、入力オプティクス16によってSLM18の入力面に誘導された光ビームの波面を空間位相変調し、それによってSLM18の出力面から出る変調光ビームを生成するように構成可能である。SLM18は、別々に制御可能な光位相変調器の2次元(2D)アレイを有する。様々な実施形態では、SLM18は、光位相変調器の2Dアレイを通じて光を送り、または光位相変調器の2Dアレイからの光を反射することによって光を位相変調することができる。SLM18では、各光位相変調器は、例えば、制御可能な液晶セルまたは並進可能な微小電子機械システム(MEMS)ミラーを含むことができる。例えば、SLM18は、空間的に変動する位相変調を適用するように構成される、市販のliquid crystal on semiconductor(LCOS)2D SLM、または別々に並進することのできる、市販のMEMS制御される微小ミラーの2Dアレイを含むことができる。
【0028】
様々な実施形態では、SLM18の別々に制御可能な光位相変調器を、2Dアレイ内でほぼ一様に、または非一様に間隔を置いて配置することができる。例えば、隣接する個々の光位相変調器がほぼ等間隔に配置されるように、個々の光位相変調器の中心を一様な2D格子の交点に配置することができる。
【0029】
様々な実施形態では、SLM18の別々に制御可能な、または個々の光位相変調器は、ほぼ同じ動作特性を有することができ、または異なる動作特性を有することができる。例えば、SLM18の異なる個々の光位相変調器は、それに入射する光ビームの各部分に対して同一の、または異なる量の光損失を生み出すことがある。実際には、個々の光位相変調器のそのような挿入損失の量を、あらかじめ固定した方式で2Dアレイにわたって空間変調して、光源12から入射する光ビームの各部分の異なる輝度を部分的に補償することができる。例えば、個々の光位相変調器は、光源12からSLM18の入力面に入射する光ビームの断面にわたるガウス状の輝度変動を部分的に補償する空間変調された損失を生み出すように、異なる入力面積でよい。
【0030】
電子コントローラ20は、SLM18の個々の光移相器を制御するように電気的に接続される。例えば、電子コントローラ20は、入射光ビームの波面に対して、選択された空間位相パターン(複数可)を変調するようにSLM18の個々の光移相器を構成することができる。電子コントローラ20は、SLM18に入射する光ビームの波面に対して、異なる空間的に変動する位相パターンを変調するように個々の光位相変調器を再構成することができ、例えば、その結果、多モード光ファイバ14の異なる選択された光学モード(複数可)に結合するように光ビームを再構成することができる。
【0031】
出力オプティクス22は、SLM18の出力表面の一部から、多モード光ファイバ14の端面に光を誘導する。出力オプティクス22は受動光学系でよく、例えばレンズおよび/またはミラー・システムを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、SLM18の出力面の発光部分が多モード光ファイバ14の端面上でほぼ結像されるように、出力オプティクス22を配置または配向することができる。そのような実施形態では、出力オプティクス22の共役平面上またはその付近にSLM18の出力面および多モード光ファイバ14の端面を配置することができる。例えば、SLM18および多モード光ファイバ14の端面を、共役平面のうちの最も近いものに隣接して、出力オプティクス22の光学中心からの共役平面のうちの前記最も近いものの距離の20パーセント以内、好ましくは10パーセント以内に配置することができる。いくつかのそのような実施形態では、出力オプティクス22は、多モード光ファイバ14の上記で論じた選択された光学モード(複数可)を励起するために照明すべきである多モード光ファイバ14のより小さい端面および/またはその一部の上でSLM18の出力面の発光部分をほぼ結像するように縮小も実現することができる。出力オプティクス22も、多モード光ファイバ14の端面上の近似像で、例えば3分の1以上、さらには5分の1以上、SLM18の出力面の発光部分を縮小することができる。そのような縮小により、SLM18は、小さい面積を有する多モード光ファイバ14の端面上でより高い分解能の像を生成することが可能となる。
【0033】
別の実施形態では、出力オプティクス22は、多モード光ファイバ14の端面上にSLM18の出力面の発光部分のフーリエ変換をほぼ結像するように配置および配向される。そのような実施形態では、出力オプティクス22の焦点面(複数可)上またはその付近にSLM18の出力面および多モード光ファイバ14の端面を配置することができる。例えば、SLM18の出力面および多モード光ファイバ14の端面を、最も近い焦点面に隣接して、出力オプティクス22の光学中心からの焦点距離の20パーセント以内、好ましくは10パーセント以内にそれぞれ配置することができる。そのような実施形態では、多モード光ファイバ14の端面は、SLM18の出力面の発光部分のフーリエ変換の空間フィルタリングをも実現することができる。具体的には、端面は、SLM18の規則的な2D格子構造によって出力オプティクス22の第2の焦点面上に生成される輝点が端面に入射しないように十分に小さくすることができる。
【0034】
様々な実施形態では、その相対的位相および相対的振幅が多モード光ファイバ14の端面上の1つまたは複数の選択された光学モードの空間依存性にほぼ一致する空間依存性を有する光ビームを出力するように光学モード結合器10を構成することができる。セットの異なる光学モードは、例えば相対的に直交する光学モードでよい。出力光の位相および振幅は、選択された線形伝搬(LP)の位相および振幅とほぼ一致するものでよく、または多モード光ファイバ14の端面上の実際の伝搬光学モード(複数可)の位相および振幅にほぼ一致するものでよい。出力光ビームおよび選択された光伝搬モード(複数可)の空間的位相および振幅変動の近似的一致は、SLM18に入射する光ビームの空間位相変調によって生成することができる。
【0035】
図2に、環状光学コアを有する多モード光ファイバの一例について、相対的に直交する伝搬光学モードA、B、C、D、E、F、G、H、I、およびJの空間振幅プロファイルを概略的に示す。
図2では、比較的大きい振幅領域が、暗い領域を介して示され、比較的小さい振幅領域が、白い領域を介して示される。伝搬光学モードA〜Jのうちのいくつかの位相は、例えば非ゼロ角運動量に対応する、多モード光ファイバの軸の周りの自明でない巻き依存性を有する。そのような光学モードの選択された組合せと、その場が複雑な横方向空間依存性を有する他の光学モードの選択された組合せに優先的にエンドカップリングするために、SLM18を操作して、SLM18に入射する光の波面に対して空間的に変動する位相変調パターンを生み出すように電子コントローラ20のいくつかの実施形態を構成することができる。
【0036】
図3に、空間位相変調を空間フィルタリングと組み合わせる
図1の光学モード結合器10の特定の実施形態10’を示す。光学モード結合器10’は、入力オプティクス16、SLM18、電子コントローラ20、および出力オプティクス22を含む。
【0037】
光学モード結合器10’では、
図1の光学モード結合器10についての説明と同様に、入力オプティクス16、SLM18、および電子コントローラ20を構成することができる。
【0038】
光学モード結合器10’では、出力オプティクス22は、第1の収斂光学レンズもしくはミラー・システム24、第2の収斂光学レンズもしくはミラー・システム26、および任意選択の光学開口絞り28を含む。収斂光学レンズもしくはミラー・システム24、26は、多モード光ファイバ14の端面上にSLM18の出力面の一部の近似像を形成する。第2の収斂光学レンズもしくはミラー・システム26および/または任意選択光学開口絞り28は空間フィルタリングを実現する。
【0039】
空間フィルタリングを実現するために、光学モード結合器10’の要素は通常、特別に空間的に配置され、第2の収斂レンズもしくはミラー26および/または任意選択の光学開口絞り28によって形成される光学開口は、特定の空間形状を有するように構築される。特別な空間的配置に関して、SLM18の出力面が、第1の収斂レンズもしくはミラー・システム24の焦点面上またはその付近に配置され、第2の収斂レンズもしくはミラー・システム26および/または任意選択の光学開口絞り28が、第1の収斂レンズもしくはミラー・システム24の焦点面上またはその付近に配置される。特別な空間形状に関して、第1の収斂レンズもしくはミラー・システム24がフーリエ変換平面上に生成するSLM18の出力面の特定の高次輝点をブロックするように第2の収斂レンズもしくはミラー・システム26および/または任意選択光学開口絞り28を構成することができる。
【0040】
特定の高次輝点は、SLM18の光移相器の2Dアレイ構造によって生成される。SLM18の2Dアレイ内の個々の光位相変調器の中心間の間隔距離に基づいて、前記特別な高次輝点の位置を当業者は容易に決定できるはずである。特定の高次輝点は通常、SLM18の出力面のフーリエ像の中心の周りに中心が置かれた規則的なグリッド上にある。したがって、輝点が第2の収斂レンズもしくはミラー・システム26または任意選択の光学開口絞り28の物理的開口の外部に配置されるので、いくつかの実施形態では、特別な高次輝点をフィルタ除去することができる。
【0041】
図4に、光の相対的に直交する線形偏光を別々に処理するように構築された光学モード結合器10’’を示す。光学モード結合器10’’は、並列な光シーケンスHおよびV、第1および第2の偏光ビーム・スプリッタ30、32、ならびに電子コントローラ20を含む。
【0042】
光学モード結合器10’’では、各光シーケンスH、Vは、光の2つの相対的に直交する線形偏光成分を別々に処理する、入力オプティクス16
H、16
V、SLM18
H、18
V、および出力オプティクス22
H、22
Vを含む。以下で説明することを除いて、
図1および/または3の入力オプティクス16、SLM18、および出力オプティクス22とそれぞれ同様に、入力オプティクス16
H、16
V、SLM18
H、18
V、および出力オプティクス22
H、22
Vを構成することができる。
【0043】
光学モード結合器10’’では、H光シーケンスの入力オプティクス16
Hは、第1の偏光ビーム・スプリッタ30から1つの線形偏光の光を受け、V光シーケンスの入力オプティクス16
Vは、第1の偏光ビーム・スプリッタ30から相対的に直交する線形偏光の光を受ける。
【0044】
光学モード結合器10’’では、各SLM18
H、18
Vは、それに入射する線形偏光の光を、例えば空間的に変動する方式で位相変調するように構成可能である。したがって、各SLM18
H、18
Vは、1つの線形偏光の空間位相変調された光ビームを出力するように構成される。
【0045】
光学モード結合器10’’では、電子コントローラ20は、SLM18
H、18
Vのそれぞれを制御するように接続される。したがって、電子コントローラ20は、各SLM18
H、18
Vに、対応する線形偏光の光の波面を1つまたは複数の選択された位相パターン、例えば空間的に変動する位相パターンで位相変調させるように構成される。
【0046】
光学モード結合器10’’では、H光シーケンスの出力オプティクス22
Hは、第2の偏光ビーム・スプリッタ32に1つの線形偏光の光ビームを送り、V光シーケンスの出力オプティクス22
Vは、第2の偏光ビーム・スプリッタ32に相対的に直交する線形偏光の光ビームを送る。
【0047】
光学モード結合器10’’では、第2の偏光ビーム・スプリッタ32は、H光シーケンスとV光シーケンスからの両方の線形偏光の光ビームを重ね合わせる。偏光ビーム・スプリッタ32は、重ね合わせた光ビームから、多モード光ファイバ14の端面上に像を生成する。像内で、平均振幅、平均位相、および/または平均線形偏光はピクセルごとに変動することがある。それぞれのそのような像では、線形偏光の光が多モード光ファイバ14に関する選択された光学モード(複数可)、例えば多モード光ファイバ14内の実際の伝搬光学モードを優先的に励起するように振幅、位相、および線形偏光を設定することができる。
【0048】
様々な実施形態では、SLM(複数可)18、18
H、18
Vの光位相変調器を、すなわち電子コントローラ20により、多モード光ファイバ14の選択された光学モード(複数可)を優先的に結合するために、入力オプティクス16、16
H、16
Vから受けた光の波面を位相変調するように構成することができる。SLM(複数可)18、18
H、18
Vは、入射波面、例えば平面波面を位相変調し、その位相、振幅、および偏光の空間変動が多モード光ファイバ14の端面付近で選択された光学モード(複数可)の位相、振幅、および偏光の空間変動とほぼ一致する出力光ビーム(複数可)を生成することができる。具体的には、光学モード結合器10、10’、10’’を、多モード光ファイバ14の選択された光学モード(複数可)へのそのような光の結合を改善またはほぼ最適化するように構成することができ、かつ/または多モード光ファイバ14の残りの選択されない光学モード(複数可)へのそのような光の結合を低減またはほぼ最小限にするように構成することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、光学モード結合器10’’は、多モード光ファイバ14の選択された実際の光伝搬モード(複数可)に光源12からの光を優先的に結合するように構成され、または構成可能である。いくつかのそのような実際の光伝搬モードは、多モード光ファイバ14の断面にわたって空間的に変動する偏光を有することができ、光学モード結合器10’’は、その偏光が多モード光ファイバ14の端面にわたってほぼ一致する方式で変動する光を出力するように構成可能にすることができる。実際に、光学モード結合器10’’は、相対的に直交する線形偏光の光を別々に位相変調し、そのような別々に位相変調した光を重ね合わせ、多モード光ファイバ14の端面上に像を生成する能力を提供することができる。そのような像では、多モード光ファイバ14の端面にわたって、偏光、振幅、および位相を光学モード結合器10’’によって別々に、選択的に、すなわちピクセルごとに構成することができる。その理由で、光学モード結合器10’’は、改善され、またはほぼ最適化された、多モード光ファイバ14の選択された実際の光伝搬モード(複数可)への光の結合を実現することができ、かつ/または多モード光ファイバ14の選択されない実際の光伝搬モード(複数可)へのそのような光の結合を低減またはほぼ最小限にするように構成することができる。
【0050】
図5に、多モード光ファイバ14に関する光学モードのセットのうちの選択された光学モード(複数可)に光を優先的に送る光結合器10、10’、10’’の特定の実施形態を構築する方法40を示す。例えば、方法40を使用して、
図1、3、および4の光結合器10、10’、10’’の電子コントローラ20を構成することができる。
【0051】
方法40は、多モード光ファイバ14の屈折率プロファイルに基づいて、多モード光ファイバ14の端面上のセットの光学モードの空間依存性を決定することを含む(ステップ42)。通常、ステップ42は、多モード光ファイバ14内のセットの光学モードの空間振幅依存性および空間位相依存性、ならびに場合によっては空間線形偏光依存性を発見することを含む。ここでは、振幅、位相、および偏光空間依存性は、光学モードの光場の振幅、位相、および偏光空間依存性、例えば光学モードの電場および/または磁場の空間依存性である。光学モードの電場および磁場を決定する周知の方法を使用することにより、そのようなセットの光学モードのそのような空間依存性を当業者なら容易に決定することができるはずである。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるAyman M. Mansour他によるプロジェクト・レポート「Fiber Modes [Theory and Simulation]」(2005/2006年秋)、publication EE−0903729 of the Electrical Engineering Department at the University of Jordanが、いくつかのそのような方法を説明している。
【0052】
セットの異なる光学モードは、多モード光ファイバ14の2D端面にわたって重なり積分を有し、重なり積分は、通常は多くても、小さい、または無視できる大きさである。実際に、セットの光学モードは互いに直交するものでよく、そのような重なり積分に関して正規化することができ、したがって重なり積分は、多モード光ファイバ14内のセットの個々の光学モードへの入射光の結合の大きさも決定する。セットの光学モードは、例えば、異なる線形偏光(LP)された光学モードでよく、または例えば、多モード光ファイバ14の実際の伝搬光学モードの基底セットの一部またはすべてでよい。
【0053】
方法40は、光がセットの光学モードのうちの1つまたは複数の選択された組合せを優先的に励起する順序で、多モード光ファイバ14の端面に入射する光の光場に関する位相φ(x,y)、振幅A(x,y)の空間依存性を決定することを含む(ステップ44)。ここで、デカルト座標(x,y)は、多モード光ファイバの2D端面上の点またはピクセルを特定する。一例を挙げると、セットの個々の光学モードは、多モード光ファイバ14の端面上のそれらの間の重なり積分に関して互いに直交するものでよい。そのような光学モードのセットについて、光の光場が多モード光ファイバ14の端面上の光学モードのうちの選択された1つの振幅にほぼ比例する振幅を有し、多モード光ファイバ14の端面上の光学モードの選択された1つの位相にほぼ等しい位相を有する場合(すなわち、最大で一定のシフト)、光は、光学モードのうちの選択された1つに優先的に結合することができる。
【0054】
任意選択で、決定するステップ44は、光がセットの光学モードのうちの1つまたは複数の選択された組合せを優先的に励起するように、光の線形偏光に対応するローカル値を決定することをも含むことができる。例えば、決定するステップ44は、光ファイバ14の端面に対する光出力に関する別々の空間位相および振幅プロファイル、すなわち{φ
H(x,y),A
H(x,y)}および{φ
V(x,y),A
V(x,y)}を決定することを含むことができる。例えば、そのような{φ
H(x,y),A
H(x,y)}および{φ
V(x,y),A
V(x,y)}プロファイルを使用して、
図4のH偏光およびV偏光SLM18
Hおよび18
Vをそれぞれ構成することができる。
【0055】
方法40は、SLM(複数可)18、18
H、18
Vに入射光を位相変調させ、多モード光ファイバ14に関するセットの1つまたは複数の選択された光学モードに優先的に光学エンドカップリングするための適切な出力光ビームを生成するように電子コントローラ20を構成することを含む(ステップ46)。電子コントローラ20は、SLM(複数可)18、18
H、18
Vに、SLM18の2D出力面上のその光場(複数可)がほぼ以下によって定義される出力光ビーム(複数可)を生成させるように構成される。
A(X,Y)e
iφ(X,Y) (1a)
式(1a)では、SLM18、18
H、18
Vの2D出力面上の点に関するデカルト座標が、1対の大文字、すなわちXおよびYで書かれる。各出力オプティクス22、22
H、22
Vは、対応するSLM18、18
H、18
Vの出力面の発光部分の像、または多モード光ファイバ14の端面上の前記発光出力面の像もしくはフーリエ変換を形成する。したがって、各SLM18、18
H、18
Vの出力面上の発光点(X,Y)が、多モード光ファイバ14の端面上の点(x,y)に結像され、または各SLM18、18
H、18
Vの発光出力面のフーリエ変換の点が、多モード光ファイバ14の端面上の点(x,y)に結像される。前者の場合、各SLM18、18
H、18
Vの2D出力面上の(X,Y)の発光点が、ほぼ以下の通りに多モード光ファイバ14の2D端面上の(x,y)に関係付けられる。
(X,Y)=(x/m,y/m)
この場合、出力オプティクス22、22
H、22
Vは、SLM18、18
H、18
Vの出力面上の発光パターンの線形寸法を「m」分の1に拡大する。ただしmは多くの場合1未満である。多モード光ファイバ14の2D端面上で、出力オプティクス22、22
H、22
Vは通常、その光場(複数可)が場(複数可)にほぼ比例する像を生成する。
A(X,Y)e
iφ(X,Y) (1b)
後者の場合、本開示に基づいて、出力オプティクス22、22
H、22
VがどのようにSLM18、18
H、18
Vの出力面上の発光パターンの光場(複数可)を多モード光ファイバ14の端面上の光場(複数可)に関係付けるかを当業者なら理解されよう。
【0056】
SLM18、18
H、18
Vに式(1a)で定義される光場(複数可)を生成させるために、電子コントローラ20は、SLM18、18
H、18
Vの個々の光位相変調器の2Dアレイを、デカルト座標(X,Y)で索引付けされる、ピクセルのより低い分解能の2Dアレイとして操作することができる。それぞれのそのようなピクセルは、SLM18、18
H、18
Vのローカルに配置された個々の光位相変調器のローカル・グループを含み、SLM18、18
H、18
Vのそれぞれの個々の光位相変調器は、ローカル・グループのうちの単一のものに属する。様々な実施形態では、個々のローカル・グループは、異なるサイズを有することができ、例えば、SLM18、18
H、18
Vの2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上の相対的に局所的に配置された個々の光位相変調器を有する。
【0057】
各ローカル・グループは、入射光の平均位相および振幅変調を生成するように(すなわちローカル・グループのピクセルのより低い解像度の2Dアレイの格子スケールで)電子コントローラ20によって構成される。すなわち、各SLM18、18
H、18
Vの光位相変調器による空間的に変動する位相変調は、例えば、(X,Y)座標によって索引付けされるピクセルの2Dアレイのより低い分解能で、組み合わされた空間的に変動する振幅と位相変調を生成する。
【0058】
図6および7は、そのような空間的に変動する振幅および位相変調がSLM18による位相変調の結果として生じる、ピクセルのより低い分解能の2Dアレイに関する代替の例示的構成を示す。それぞれの例示的構成では、より低い分解能のアレイの個々のピクセルは、SLM18の隣接する個々の光位相変調器の(a,b)で索引付けされた対を含む。点(X,Y)でのピクセルは、SLM18の隣接する行上に位置する光位相変調器の(a,b)で索引付けされた対を含む。(a,b)で索引付けされた対は、
図6に示す対の行構成内のSLM18の同一の列内に位置し、
図6に示す格子じま構成のSLM18の隣接する列および行内で対角に位置する。例えば、
図6〜7は、(X,Y)座標(1,1)、(1,2)、(1,N−1)、(1,N)、(M,1)、(M,2)、(M,N−1)、および(M,N)を有するN×Mアレイのピクセルを明示的に示し、ピクセルは、参照番号のそれぞれの対{11
a,11
b}、{12
a,12
b}、{1(N−1)
a,1(N−1)
b}、{1N
a,1N
b}、{M1
a,M1
b}、{M2
a,M2
b}、{M(N−1)
a,M(N−1)
b}、および{1N
a,1N
b}を有する(a,b)で索引付けされた光位相変調器を含む。
【0059】
図6および7の構成では、電子コントローラ20が、入射光ビームの波面上でそれぞれの位相Ω
a(X,Y)およびΩ
b(X,Y)を変調するように、(X,Y)のピクセルに属する(a,b)で索引付けされた対に関する、aで索引付けされ、bで索引付けされた光位相変調器を構成する。位相Ω
a(X,Y)およびΩ
b(X,Y)は、例えば以下で定義される。
Ω
a(X,Y)=φ(X,Y)+cos
−1(A(X,Y)/A
max)+2πK
a (2a)
および
Ω
b(X,Y)=φ(X,Y)−cos
−1(A(X,Y)/A
max)+2πK
b (2b)
ただし、K
aおよびK
bは、SLM18の個々の光位相変調器をその動作範囲内で配置することが可能となるようにその値が固定される整数であり、A
maxは、例えば、SLM18の出力面上の振幅A(x,y)の最大値でよく、または別の定数値でよい。K
aおよびK
bの値は、SLM18による空間位相変調された光出力に影響を及ぼさない。式(2a)〜(2b)に基づいて、(X,Y)でのピクセルにわたって平均した光場の複素数値は、以下に比例する。
【0060】
【数1】
式(3)より、より低い分解能の2Dアレイのピクセル、すなわち座標(X,Y)によって索引付けされるピクセルの個々にわたって平均したとき、空間的に変動する方式で位相変調することのできる、SLM18の出力面から出る光が、式(1a)のように位相と振幅の両方で変調されるように見えることを当業者なら理解されよう。したがって、式(2a)〜(2b)および
図5または6で示されるローカル位相変調が、CA(X,Y)e
iφ(X,Y)の形式を有する光場の打切り近似を生み出す。ただしCは定数であり、2Dアレイの分解能スケールで、ピクセルが(X,Y)座標によって索引付けされる。
【0061】
図6および7の構成では、
図1、3、および4のSLM18、18
V、18
Hのそれぞれを式(2a)〜(2b)に従って操作して、その振幅および位相が適切な式(1b)を満たす光を出力することができる(すなわち、多モード光ファイバ14の端面上の選択された光学モード(複数可)について、ピクセルの個々のものにわたって平均したとき)。
【0062】
図4の光学モード結合器10’’では、多モード光ファイバ14の選択された光学モード(複数可)のそれぞれのVおよびH線形偏光成分に関する変調光ビームを出力するように、SLM18
VおよびSLM18
Hを別々に構成することができる。すなわち、その出力面上でA(X,Y)=A
V(X,Y)およびφ
V(X,Y)=φ
V(X,Y)を用いた式(2a)〜(2b)に従って光ビームを位相変調するように電子コントローラ20によってSLM18
Vを構成することができ、その出力面上でA(X,Y)=A
H(X,Y)およびφ
H(X,Y)=φ
H(X,Y)を用いた式(2a)〜(2b)に従って光ビームを位相変調するように電子コントローラ20によってSLM18
Hを構成することができる。ここで、A
H(x,y)およびφ
H(x,y)は、多モード光ファイバ14の端面上の選択された光学モード(複数可)のV線形偏光成分の振幅および位相であり、A
V(x,y)およびφ
V(x,y)は、多モード光ファイバ14の端面上の選択された光学モード(複数可)のH線形偏光成分の振幅および位相である。
【0063】
図8は、N個の光源または光検出器12
1〜12
Nを多モード光ファイバ14のN個の対応する光学モードに優先的に並列に結合する再構成可能N×1光学モード結合器52を含む光学デバイス50を概略的に示す。再構成可能N×1光学モード結合器52は、N個の1×1再構成可能光学モード結合器10
1〜10
Nおよび受動N×1光結合器54を含む。
【0064】
各1×1再構成可能光学モード結合器10
1〜10
Nは、光源または光検出器12
1〜12
Nのうちの対応する1つに結合された光入力を有し、受動N×1光結合器54の対応する光入力に接続された光出力を有する。各1×1再構成可能光学モード結合器10
1〜10
Nは、
図1、3、および4の1×1光学モード結合器10、10’、10’’のうちの1つと同様に構築することができる。
【0065】
受動N×1光結合器54は、そのN個の光入力で受け取られたN個の光ビームを重ね合わせ、得られる組合せ光ビームを光ファイバ14の端面に誘導する。この重ね合せのために、N個の1×1光結合器10
1〜10
N内のSLMの出力面の発光部分の像、または前記出力面の発光部分のフーリエ変換を、多モード光ファイバ14の端面上に受動n×l光結合器54によって並列に形成することができる。受動N×1光結合器54は、異なる光ビームのそのような重ね合せを形成するための従来型受動光学系でよい。例えば、従来型ミラー、レンズ、偏光スプリッタなどで受動N×1光結合器54を形成することができる。
【0066】
受動N×1光結合器54の2×1実施形態は、例えば、ある1×1光学モード結合器10
1〜10
Nが1/2または部分的に銀被覆されたミラーの裏面を照明することができ、別の1×1光学モード結合器10
1〜10
Nが1/2または部分的に銀被覆されたミラーの表面を照明することができるように配置された1つまたは複数の1/2または部分的に銀被覆したミラーを含むことができる。組み合わされた透過および反射により、そのような1/2または部分的に銀被覆されたミラーは、並列に、そのような1×1光学モード結合器10
1〜10
Nの両方から多モード光ファイバ14の端面に光ビームを向け直すことができる。
【0067】
図8の受動N×1光結合器54の1つの例示的実施形態は、例えば、
図9でNが2よりも大きいN個のそのようなミラーPSM
1〜PSM
Nについて示されるように、Nまたは(N−1)個の部分的に銀被覆されたミラーの縦続接続を含むことができる。そのような実施形態では、各1×1光学モード結合器10
1〜10
Nは、そこから、部分的に銀被覆されたミラーPSM〜PSM
Nのうちの対応する1つの表面に出力光を誘導することができる。そのような縦続接続では、その表面から反射された光を縦続接続の次の部分的に銀被覆されたミラーPSM
1〜PSM
Nの裏面または多モード光ファイバ14の端面に誘導するように、それぞれの部分的に銀被覆されたミラーPSM
1〜PSM
Nを配置することもできる。
【0068】
本開示から、他の従来型受動光学デバイスを使用して、
図8の受動N×1光結合器54を構築できることを当業者なら理解されよう。
【0069】
図8を参照すると、光学デバイス50は、いくつかの実施形態では光データ送信機でよい。そのような実施形態では、N個の光源または光検出器12
1〜12
Nのそれぞれは、例えば受信したデジタル・データ・ストリーム(複数可)から、データ変調光キャリアを生成する別々の光データ送信機でよい。例えば、それぞれのそのような光送信機は、デジタル・データ・ストリーム(複数可)で1つまたは複数の波長チャネル内の光キャリアを変調する従来型電気および光学デバイスを含むことができる。そのような実施形態では、受動N×1光結合器54は、N個の光送信機のうちの異なるものから、多モード光ファイバ14の光学モードのうちの異なるものに対するデータ変調光キャリアを選択的かつ再構成可能に多重化することができる。
【0070】
図8を参照すると、光学デバイス50は、いくつかの代替実施形態では光データ受信機でよい。そのような実施形態では、N個の光源または検出器12
1〜12
Nのそれぞれは、例えば、受信したデータから変調された多モード光キャリアからの、復調デジタル・データ・ストリームに関する別々の光受信機でよい。例えば、それぞれのそのような光受信機は、1つまたは複数の波長チャネルを含むことのできる光学モードのうちの単一のもののデータ変調光キャリアから、デジタル・データ・ストリーム(複数可)を変調する従来型電気および光学デバイスを含むことができる。そのような実施形態では、受動N×1光結合器54は、データから変調された多モード光キャリアを多重分離し、多モード光ファイバ14の光学モードうちの異なるものの光を分離し、光学モードのうちの異なるものに関して受信した光をN個の光受信機のうちの異なるものに誘導する。
【0071】
上記の
図1、3、および4の光学モード結合器10、10’、10’’の様々な実施形態を、2011年9月16日にRoland Ryfによって同時に出願されている「OPTICAL SYSTEM FOR SIGNAL AMPLIFICATION USING A MULTIMODE FIBER」という名称の米国特許出願に記載の光学デバイスに類似の光学デバイスで使用することができる。このRoland Ryfの米国特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。上記で組み込まれる米国特許出願の中で論じられる多モード光ファイバの導波モードのうちの様々なものに光を優先的に結合するように位相マスクがその中で機能することができるとき、
図1、3、および4の光学モード結合器10、10’、10’’は、例えば、位相マスクのいずれかと、光増幅器の対応する入力および出力オプティクスと、上記で組み込まれる米国特許出願に記載の他の光学デバイスとを置き換えることができる。例えば、本願に記載の光学モード結合器は、上記で組み込まれる米国特許出願の光信号結合器および/または光ポンプ結合器内の位相マスクの一部またはすべてを置き換えることができる。
【0072】
例示的実施形態の詳細な説明および図面は、本発明の原理を示すに過ぎない。したがって、本明細書では明示的に説明または図示していないが、本発明の原理を実施し、特許請求される発明の中に含まれる様々な構成を当業者は考案できることを理解されよう。さらに、本明細書で列挙されるすべての例は、主に、当技術分野を促進することに対して本発明者が寄与する本発明の原理および概念を理解するのを助けるための教育目的のものに過ぎず、そのような具体的に列挙される例および条件に限定されないものと解釈すべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態を列挙する本明細書のすべての陳述、ならびにその特定の例は、その均等物を包含するものとする。