特許第5745212号(P5745212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5745212検出用オリゴマーおよびこれを利用したバイオチップのQC方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5745212
(24)【登録日】2015年5月15日
(45)【発行日】2015年7月8日
(54)【発明の名称】検出用オリゴマーおよびこれを利用したバイオチップのQC方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20060101AFI20150618BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20150618BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20150618BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20150618BHJP
【FI】
   C12Q1/68 AZNA
   G01N37/00 102
   G01N33/53 M
   C12N15/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2009-14715(P2009-14715)
(22)【出願日】2009年1月26日
(65)【公開番号】特開2009-171970(P2009-171970A)
(43)【公開日】2009年8月6日
【審査請求日】2012年1月26日
(31)【優先権主張番号】10-2008-0007675
(32)【優先日】2008年1月24日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】李 周遠
(72)【発明者】
【氏名】金 秉撤
(72)【発明者】
【氏名】鄭 善玉
(72)【発明者】
【氏名】▲チョ▼ 昇惠
【審査官】 森井 文緒
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−146190(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/025281(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/050916(WO,A1)
【文献】 Nucleic Acids Res. (2001) vol.29, no.4, p.996-1004
【文献】 Nucleic Acids Res. (2001) vol.29, no.19, e92
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12Q 1/68
PubMed
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プローブおよび第2プローブの一端が固定相にカップリングされたバイオチップであって、所望する数のモノマーを含む第1プローブおよび所望しない数のモノマーを含む第2プローブを含むバイオチップを提供する工程、
前記第1プローブおよび第2プローブにQCプローブをハイブリダイズる工程、
前記第1プローブと前記QCプローブを連結させる工程、
前記第1および第2プローブと前記QCプローブのハイブリダイズ結合を切断する工程を含む、バイオチップのQC方法であって、
前記QCプローブが、前記第1プローブの塩基配列と相補的な塩基配列を有する鋳型および前記鋳型の一端に連結されたヘアピンを含む、バイオチップのQC方法。
【請求項2】
前記第1および第2プローブに前記QCプローブをハイブリダイズする前に、前記第1および第2プローブの他端をリン酸化する工程をさらに含む、請求項1に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項3】
前記QCプローブの前記ヘアピンが、第1一本鎖および第2一本鎖がハイブリダイズしたステムとループを含み、
前記第1一本鎖の一端は前記ループとカップリングされて、他端は前記鋳型の一端にカップリングされ、前記第2一本鎖の一端は前記ループとカップリングされて、他端は前記第1プローブの他端とカップリングされ得、
前記第1プローブと前記QCプローブを連結することは、前記QCプローブの前記第2一本鎖の他端と前記第1プローブの他端をカップリングすることによって達成される、請求項1に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項4】
前記QCプローブの前記ヘアピンが、第1一本鎖および第2一本鎖がハイブリダイズしたステムとループを含み、
前記QCプローブの前記第2一本鎖の他端は前記第2プローブの他端から離れているために、前記第2プローブに前記QCプローブを連結することができない、請求項1に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項5】
前記ハイブリダイズ結合を切断した後に、前記第1プローブと前記QCプローブの鋳型をハイブリダイズして二重鎖を形成して、
前記二重鎖にラベルをカップリングして前記ラベルから提供される信号を検出することをさらに含む、請求項1に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項6】
前記QCプローブが、前記鋳型および/または前記ヘアピンにカップリングされたラベルをさらに含み、
前記ハイブリダイズ結合を切断した後に、前記第1プローブとカップリングされたQCプローブの前記ラベルから提供される信号を検出することをさらに含む、請求項1に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項7】
前記信号を検出した後に、前記QCプローブと前記第1プローブをデカップリングすることをさらに含む、請求項5に記載のバイオチップのQC方法。
【請求項8】
前記ヘアピンが、第1一本鎖および第2一本鎖がハイブリダイズしたステムとループを含み、
前記第1一本鎖の一端は、前記ループとカップリングされて、他端は前記鋳型の一端にカップリングされ、前記第2一本鎖の一端は前記ループとカップリングされ、
前記第1一本鎖の他端部および第2一本鎖の他端部は特異的な配列を含み、
前記デカップリングすることは、前記特異的な配列に反応するヌクレアーゼを使用しデカップリングすることによって達成される、請求項7に記載のバイオチップのQC方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出用オリゴマーおよびこれを利用したバイオチップのQC方法に関するものであって、より詳細にはヘアピンを含む検出用オリゴマーおよびこれを利用したバイオチップのQC方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
バイオチップは、基板に固定されたプローブのマトリクスにバイオ試料を提供してプローブとバイオ試料間に反応が起きるのかの可否を観察することで、バイオ試料の具体的な成分を分析する。一つのバイオチップには様々な種類の互いに異なるプローブがセル別に固定されて多様なデータを判読できる。
【0003】
分析しようとするデータの量がぼう大になるつれ、バイオチップにはバイオ分子と混成化できる多様な種類のプローブがカップリングされて固定化される。バイオチップにカップリングされて固定化されたプローブの種類が多様化されるほど、所望する塩基配列を有するプローブがバイオチップに形成されたのかの可否などを判断する、バイオチップの品質管理が重要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、効率的にバイオチップの品質を管理できる検出用オリゴマーを提供することにある。
【0005】
本発明が解決しようとする他の課題は、効率的にバイオチップの品質を管理できるバイオチップのQC方法を提供することにある。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した課題に制限されなく、言及されていないまた他の課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明のいくつかの実施形態による検出用オリゴマーは、特定の配列のオリゴマーに相補的な配列を有する鋳型、および前記鋳型の一端に連結されたヘアピンを含む。
【0008】
前記課題を解決するための本発明のいくつかの実施形態による検出用オリゴマーは、特定の配列のオリゴマーに相補的な配列を有する一本鎖第1オリゴマー、および前記第1オリゴマーの一端に連結されてヘアピン構造を形成できる配列を有する一本鎖第2オリゴマーを含む。
【0009】
前記他の課題を解決するための本発明のいくつかの実施形態によるバイオチップのQC方法は、プローブの一端が固定相にカップリングされたバイオチップを提供するものであって、前記プローブは所望する数のモノマーを含む第1プローブと所望しない数のモノマーを含む第2プローブを含み、固定相にカップリングされた前記第1および第2プローブにQCプローブを混成化(ハイブリダイズ)して、前記第1プローブと前記QCプローブを連結して、前記第1および第2プローブと前記QCプローブの混成化(ハイブリダイズ化)結合を切断することを含み、前記QCプローブは、前記第1プローブの塩基配列と相補的な塩基配列を有する鋳型および前記鋳型の一端に連結されたヘアピンを含む方法である。
【0010】
本発明のその他具体的な内容は詳細な説明および図に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。
図2】本発明の他の実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。
図3】本発明のまた他の実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。
図4A】本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図4B】本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図4C】本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図4D】本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図4E】本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図5】本発明の他の実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。
図6】本発明の実施形態によるバイオチップのQCが用いられるバイオチップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の利点、特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述される実施形態を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現されることが可能である。本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に対して発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範囲によってのみ定義される。
【0013】
したがって、いくつかの実施形態において、公知の工程、段階、構造および技術は、本発明が不明瞭に解釈されるのを避けるために、説明を省略する。
【0014】
本明細書において使用された用語は実施形態を説明するためであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において単数形は、文言で特別に言及しない限り複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及した構成要素、段階、動作および/または素子は、一つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除するものではない。そして、「および/または」は、言及されたアイテムの各々および一つ以上のすべての組合せを含む。
【0015】
また、本明細書で記述する実施形態は、本発明の理想的な実施形態の断面図または概略図を参照して説明する。したがって、製造技術または許容誤差などによって、例示図の形態が変形されてもよい。したがって、本発明の実施形態は、図示された特定形態に制限されるものではなく、製造工程によって生成される形態の変化も含むものである。また、本発明に図示された各図面において各構成要素は説明の便宜を考慮して多少拡大または縮小されて図示されたものである。明細書全体にかけて同一の参照符号は同一の構成要素を指称する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。以下で検出用オリゴマーは説明の便宜のため、鋳型の自由末端(free terminus)が5’−末端であり、鋳型とカップリングされていないヘアピンのステム末端は3’−末端である検出用オリゴマーを例示するが、これに制限されるものではない。また、以下で検出用オリゴマーの鋳型およびヘアピンの塩基配列は説明の便宜のための例示的なものであり、検出対象がオリゴマーの特定の配列およびヘアピンの構造などによって変わり得ることは本発明の技術分野に属する当業者に自明である。
【0017】
図1においては、本発明の一実施形態による検出用オリゴマー1は鋳型100およびヘアピン200を含む。
【0018】
鋳型100は、特定の配列のオリゴマーに相補的な配列を有し、検出用オリゴマー1を特定の配列のオリゴマーに混成化する役割を果たす。ここで、混成化は相補的な配列の塩基が例えば、水素結合によって結合されることであり得る。特定の配列のオリゴマーはバイオチップに固定化されたプローブ(probe)であり得る。すなわち、鋳型100は、バイオチップに固定化されたプローブの塩基配列と相補的な塩基配列を有するので、プローブに混成化することができる。
【0019】
ここで、バイオチップは、バイオ試料に含まれているバイオ分子(bimolecular)を分析することによって、遺伝子発現分析(gene expression profiling)、遺伝子型分析(genotyping)、SNP(Single Nucleotide Polymorphism)のような突然変異(mutation)および多形(polymorphism)の検出、蛋白質およびペプチド分析、潜在的な薬のスクリーニング、新薬開発と製造などに利用され得る。バイオチップのプローブとしてオリゴマープローブを含み得る。オリゴマープローブは採用されるプローブのモノマー数がオリゴマー水準であることを暗示する。ここで、オリゴマーは共有結合された2つ以上のモノマーから成るポリマーのうちモノマーの分子量が概ね1000以下であり得る。具体的に約2〜500個のモノマー、好ましくは約5〜300個のモノマー、さらに好ましくは約5〜100個のモノマーを含むものであり得る。しかし、オリゴマープローブの意味が前記数値に制限されるものではない。
【0020】
オリゴマープローブを構成するモノマーは分析対象になるバイオ試料の種類によって変形可能であり、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチド、アミノ酸、ペプチドなどであり得る。ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、公知のプリンおよびピリミジン塩基を含むだけではなく、メチル化されたプリンまたはピリミジン、アシル化されたプリンまたはピリミジンなどを含み得る。また、ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、従来のリボースおよびデオキシリボース糖を含むだけではなく、一つ以上のヒドロキシル基がハロゲン原子または脂肪族に置換されたりエーテル、アミンなどの官能基が結合した変形された糖を含み得る。アミノ酸は自然で発見されるアミノ酸のL−、D−、および非キラル(nonchiral)型アミノ酸だけではなく、変形アミノ酸(modified amino acid)、またはアミノ酸類似体(analog)などであり得る。ペプチドとは、アミノ酸のカルボキシル基と異なるアミノ酸のアミノ基の間のアミド結合によって生成された化合物を指す。
【0021】
ヘアピン200は、鋳型100の一端(3’−末端)に連結され、ステム(stem、210)とループ(loop、230)を含む。
【0022】
ステム210は、ヘアピン200で相補的な塩基が混成化されてカップリングされた二本鎖領域で、鋳型100の一端にカップリングされた第1一本鎖(ステム210において大文字で表示された塩基配列の部分)および第1一本鎖に混成化された第2一本鎖(ステム210において小文字で表示された塩基配列の部分)を含む。
【0023】
第1一本鎖の一端はループ230にカップリングされ、他端は鋳型100の一端にカップリングされる。ここでカップリングは共有結合などによって結合されたことであり得る。
【0024】
第2一本鎖の一端はループ230にカップリングされ、他端は3’−末端を有する。第2一本鎖は第1一本鎖の塩基配列に相補的な塩基配列を有し、これによって第2一本鎖と第1一本鎖は混成化されてカップリングされた二本鎖領域を形成することができる。
【0025】
ステム210の第1一本鎖の他端部および/または第2一本鎖の他端部は、特定ヌクレアーゼ(nuclease)または化学反応に対して特異的な配列215を含む。ここで、ヌクレアーゼはエンドヌクレアーゼ(endonuclease)またはエキソヌクレアーゼ(exonuclease)であり得る。例えば、第1一本鎖の他端部および/または第2一本鎖の他端部は、制限酵素(restriction endonuclease)に特異的な回文配列(palindromic sequence)を含み得る。
【0026】
図2は、本発明の他の実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。
【0027】
図2においては、本発明の他の実施形態による検出用オリゴマー2が図1の実施形態による検出用オリゴマー1と異なる点は、鋳型100にカップリングされたラベル300をさらに含むという点である。
【0028】
具体的に、本発明の他の実施形態による検出用オリゴマー2は、鋳型100の他端(5’−末端)にカップリングされたラベル300をさらに含む。ラベル300は、バイオチップに固定化されたプローブと検出用オリゴマーの混成化反応以後、光学的検出方法に用いられる。ラベル300は蛍光または燐光物質であり得る。例えば、ラベル300はローダミン200(Rhodamine200)、カルシウムグリーン(Calcium Green)、シアニン2(Cyanine2)、シアニン3(Cyanine3)、シアニン5(Cyanine5,)、マグネシウムグリーン(Magnesium Green)、テトラメチルローダミン(Tetramethylrhodamine)、フルオレセイン(Fluorescein)などから選択されうるが、これに限定されない。
【0029】
また、図面には図示しなかったが、本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマーはヘアピンのループにカップリングされたラベルをさらに含むこともある。類似に検出用オリゴマーは鋳型およびヘアピンのループにカップリングされたラベルをさらに含むこともある。
【0030】
図3は、本発明のまた他の実施形態による例示的な検出用オリゴマーを説明する図である。
【0031】
図3においては、本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマー3は、特定の配列のオリゴマーに相補的な配列を有する一本鎖第1オリゴマー(103、以下「第1オリゴマー」と称する)および第1オリゴマー103の一端に連結されてヘアピン構造を形成できる配列を有する一本鎖第2オリゴマー(203、以下「第2オリゴマー」と称する)を含む。検出用オリゴマー3は、第2オリゴマー203が例えば、温度、溶液のような周囲環境に応じた分子内反応(intramolecular reaction)を介して、ヘアピン構造を形成することができる。
【0032】
本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマー3で第1オリゴマー103は、図1の実施形態によるオリゴマー1の鋳型100と実質的に同一であり得る。すなわち、第1オリゴマー103は、例えば、バイオチップに固定化されたプローブと相補的な配列を有し、これによって第1オリゴマー103は、バイオチップに固定化されたプローブと混成化することができる。
【0033】
第2オリゴマー203は、第1オリゴマー103の一端(3’−末端)に連結され、ヘアピン構造を形成できる塩基配列を有する。第2オリゴマー203のヘアピン構造を形成できる塩基配列は、形成しようとするヘアピン構造でステムを形成する部分のサイズおよび配列、ループを形成する部分のサイズおよび配列、またはヘアピン構造を形成しようとする温度などに応じて変わり得る。例えば、常温で第2オリゴマー203の一端部と他端部がカップリング時発生する自由エネルギーの変化が−20kcal/mol以下になるように第2オリゴマー203の塩基配列が設計される場合、第2オリゴマー203は常温でヘアピン構造を形成することができる。
【0034】
第2オリゴマー203は第1オリゴマー103の一端に連結された部分から順に第1領域210b、第2領域233および第3領域210aに区分することができる。第2オリゴマー203の第1領域210bおよび第3領域210aは互いに混成化してヘアピンのステムを形成して、第2領域233はヘアピンのループを形成することができる。
【0035】
第2オリゴマー203の第1領域210bおよび第3領域210aは、互いに相補的な塩基配列を有し、これによって、第2オリゴマー203の第1領域210bおよび第3領域210aは周囲環境によって互いに混成化されてカップリングされた二本鎖を形成することができる。すなわち、本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマー3における第2オリゴマー203の第1領域210bおよび第3領域210aは、図1の実施形態による検出用オリゴマー1におけるステム210の第1一本鎖および第2一本鎖と実質的に同一であり得る。
【0036】
ここで、第2オリゴマー203の第2領域233と連結されていない第1領域210bおよび第3領域210aの末端部は、特定のヌクレアーゼまたは化学反応に対して特異的な配列215a、215bを含み得る。
【0037】
本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマー3における第2オリゴマー203の第2領域233は、図1の実施形態による検出用オリゴマー1におけるヘアピンのループ230と実質的に同一であり得る。
【0038】
また、図面には図示しなかったが、本発明のまた他の実施形態による検出用オリゴマーは、図3の実施形態による検出用オリゴマーの第1オリゴマー103および/または第2オリゴマー203にカップリングされたラベルをさらに含むこともある。
【0039】
具体的に第1オリゴマー103の5’−末端にラベルがカップリングされた場合、検出用オリゴマーは周囲環境に応じた分子内反応を介して、図2に例示された検出用オリゴマーを形成することができる。類似に第2オリゴマー203の第2領域233にラベルがカップリングされた場合、検出用オリゴマーは周囲環境に応じた分子内反応を介して、ヘアピンのループにラベルがカップリングされた検出用オリゴマーを形成することができる。第1オリゴマー103および第2オリゴマー203にラベルがカップリングされた場合、鋳型の自由末端だけではなく、ヘアピンのループにラベルがカップリングされた検出用オリゴマーを形成することもできる。
【0040】
以下で、本発明の実施形態による検出用オリゴマーを用いたバイオチップのQC(Quality Control)方法を説明する。
【0041】
図4Aから図4Fは、本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法において用いられるQCプローブは図1で例示的に説明した検出用オリゴマーから成るQCプローブであり得る。
【0042】
図4Aを参考すれば、固定化相10にカップリングされた多数のプローブ60,65を含むバイオチップを提供する。ここで、プローブ60,65は、バイオ試料に含まれた所定のバイオ分子を検出できる所望する数のモノマーを含む第1プローブ60と、所望しない数のモノマーを含む第2プローブ65を含む。以下では説明の便宜のため、所望する数のモノマーを含む第1プローブ60は25個のモノマーを含んでおり、所望しない数のモノマーを含む第2プローブ65は25個以外の数のモノマーを含むことを例にあげるが、これに制限されるものではない。また、第1および第2プローブ60,65の3’−末端は固定化相10にカップリングされて固定され、5’−末端は自由末端であることを例にあげるが、これに制限されるものではない。
【0043】
固定化相10は、プローブ60,65と直接または間接的にカップリングが可能な官能基を直接に提供することができ、また、アニーリング、オゾン処理、酸処理、塩基処理などの多様な表面処理により官能基の提供ができる物質で形成され得る。直接的にカップリングが可能であるということは、間に他の媒介物なしでプローブ60,65とカップリングする場合をいい、間接的にカップリングが可能であるということは、リンカー50を媒介としてカップリングされる場合をいう。
【0044】
リンカー50は、固定化相10が有している官能基(例、SiOH)よりプローブ60,65とのカップリング反応性が大きい官能基を有し、バイオ試料との自由な相互作用ができるに充分な長さを提供できる物質で形成することができる。リンカー50の形成は、必要によっては省略されることもできる。
【0045】
第1プローブ60および第2プローブ65が固定化相10にカップリングされたバイオチップは、例えば、光分解性保護基(photolabile protecting groups)によって保護されている官能基を含む固定化相10上に光照射を通して特定の領域の脱保護基を行い、官能基を露出した後、オリゴヌクレオチド、ポリペプチド、ペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA)などのようなプローブ60,65を固定化相にカップリングする方法で製造され得る。また、光リソグラフィーによってモノマーをイン・サイチュ(in−situ)合成する方法で製造したり、スポッティング(spotting)などの方法によって、あらかじめ合成されたオリゴマープローブを固定化相にカップリングさせる方法で製造したりすることができる。
【0046】
前記のような製造工程によって製造されたバイオチップのプローブ60,65は、工程環境によって所望する数のモノマーを含む第1プローブ60および所望しない数のモノマーを含む第2プローブ65を含み得る。例えば、所定のバイオ分子を検出するための塩基配列を構成する25個のモノマーを含むプローブをイン・サイチュ工程によって順に固定化相10上に形成する場合、25番目の配列のモノマーが形成されなかったり、1から24番目の配列のうち一つ以上のモノマーが形成されず、所望しない数のモノマーを含む第2プローブ65が形成され得る。これによって、固定化相10にカップリングされた多数のプローブ60,65は、所定のバイオ分子を検出するための塩基配列を構成する25個のモノマーを含む第1プローブ60と25個以外のモノマーを含む第2プローブ65を含み得る。
【0047】
固定化相10にカップリングされた第1および第2プローブ60,65の他端(5’−末端)は、第1および第2プローブ60,65にQCプローブ(図4Bの「1」参照)を混成化する前にリン酸化(phosphorylating)することができる。リン酸化することは、例えば、キナーゼ(kinase)を用いてリン酸化したり化学的にリン酸化したりすることができる。ここで、キナーゼは、例えば、T4 DNAキナーゼであり得る。
【0048】
次に、図4Bにおいては、固定化相10にカップリングされた第1および第2プローブ60,65にQCプローブ1を混成化する。
【0049】
さらに、第1プローブ60とQCプローブ1を連結する。具体的にQCプローブ1の第2一本鎖(ステム210において小文字で表示された塩基配列の部分)の他端(3’−末端)と第1プローブ60の他端(5’−末端)をカップリングする。ここで、カップリングは、ライゲーション(ligation)または化学反応によってされ得る。ライゲーションは、例えば、T4リガーゼ(ligase)、E.coilリガーゼまたはTaqリガーゼなどのリガーゼを用いて行うことができる。
【0050】
所望する数のモノマーを有する第1プローブ60の他端と、QCプローブ1におけるヘアピン200ステム210の第2一本鎖の他端は、互いに隣接して配置される部分70でリガーゼによってカップリングされる。
【0051】
反面、所望しない数のモノマーを有する第2プローブ65の他端と、QCプローブ1におけるヘアピン200ステム210の他端は、互いに交差する部分75でリガーゼによってカップリングされないこともある。すなわち、第2プローブ65の他端と、QCプローブ1におけるヘアピン200ステム210の他端の間には、一つのモノマーに対応する空間があるため、第2プローブ65とQCプローブ1は互いにカップリングされないこともある。
【0052】
また、図面には図示しなかったが、1から24番目の配列のうち一つ以上のモノマーが形成されていない第2プローブ65の場合、QCプローブ1の鋳型100が折りたたまれて(folded)立体障害(steric hinderance)が発生し得るため、リガーゼによって第2プローブ65とQCプローブ1が互いにカップリングされないこともある。
【0053】
本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法においてQCプローブ1は鋳型100によって第1プローブ60に混成化して、ヘアピン200によって第1プローブ60とQCプローブ1が連結され得る。これによって、QCプローブ1と第1プローブ60が、QCプローブ1と第1プローブ60の2分子反応によって連結され得るため、バイオチップのQC工程効率性が向上できる。すなわち、第1プローブ60に相補的な塩基配列を含む第1鋳型を混成化させた後に、一端に検出用ラベルがカップリングされた第2鋳型を第1鋳型に混成化させて、第2鋳型と第1プローブ60をカップリングさせる通常の3分子反応よりさらに速くバイオチップのQC工程を行うことができる。
【0054】
図4Cにおいては、第1プローブ60および第2プローブ65とQCプローブ1の混成化結合が切断されるようにウォッシング(washing)する。第1プローブ60および第2プローブ65とQCプローブ1の混成化結合を切断することは、例えば、塩基を添加してpHを調節したり、温度を高めたりすることであり得る。
【0055】
これによって、QCプローブ1と混成化されているだけではなく、カップリングしていた第1プローブ60は、QCプローブ1が連結された一本鎖を形成することができる。反面、QCプローブ1と混成化だけされていた第2プローブ65はQCプローブ1が連結されていない一本鎖を形成することができる。
【0056】
図4Dにおいては、第1プローブ60とQCプローブ1の鋳型100を混成化して二重鎖を形成する。すなわち、第1プローブ60とQCプローブ1がカップリングされた一本鎖を、第1プローブ60とQCプローブ1鋳型100の相補的な塩基配列およびQCプローブ1の第1一本鎖と第2一本鎖の相補的な塩基配列を混成化して二重鎖を形成することができる。二重鎖を形成することは、相補的な塩基配列が再び混成化できるように、pHまたは温度を調節することであり得る。
【0057】
図4Eにおいては、二重鎖にラベル310をカップリングする。ここで、ラベル310は二重鎖にカップリングできる蛍光、燐光物質であり得る。ラベル310は、例えば、SYBR green I、SYBR green II、SYBR gold、OY(Oxazole Yellow)、TO(Thiazole Orange)、PG(Pico Green)などであり得る。
【0058】
これによって、バイオチップで所望する数のモノマーを含む第1プローブ60を、第1プローブ60にカップリングされたラベル310から提供される光信号によって検出することができる。すなわち、バイオチップでバイオ分子と混成化できる所望する塩基配列を有する第1プローブ60と所望する塩基配列のうち一部が欠けた第2プローブ65の比率を検出できるため、製造されたバイオチップの品質を測定することができる。
【0059】
次に、第1プローブ60でQCプローブ1をデカップリングすることができる。第1プローブ60でQCプローブ1をデカップリングすることは、ヌクレアーゼを用いたり他の化学反応によって行うことができる。ヌクレアーゼは、例えば、エンドヌクレアーゼまたはエキソヌクレアーゼなどであり得る。例えば、QCプローブ1のステム210の一端部の特異的な回文配列215に反応する制限酵素を用いて第1プローブ60とQCプローブ1をデカップリングすることができる。
【0060】
本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法においては、QCプローブ1は、第1プローブ60と混成化されて二重鎖を形成しているため、ヌクレアーゼなどによって効果的に第1プローブ60をデカップリングすることができる。これによって、バイオチップで所定のバイオ分子を検出できるプローブ(例、所望する塩基配列を有する第1プローブおよび所望しない塩基配列を有する第2プローブ)に対する品質を測定した後、他のバイオ分子を検出できるプローブに対する品質を測定するために前に言及した過程を再び繰り返すことができる。
【0061】
図5は、本発明の他の実施形態によるバイオチップのQC方法を説明する図である。本発明の他の実施形態によるバイオチップのQC方法において用いられるQCプローブは、図2で例示的に説明した検出用オリゴマーから成るQCプローブであり得る。
【0062】
図5においては、本発明の他の実施形態によるバイオチップのQC方法が本発明の一実施形態によるバイオチップのQC方法と異なる点は、ラベル310を含むQCプローブ2を用いることである。これによって、第1プローブ60および第2プローブ65とQCプローブ2の混成化結合を切断した後に、所望する数のモノマーを含む第1プローブ60を検出することができる。
【0063】
具体的に、本発明の他の実施形態によるQC方法においては、QCプローブ2はラベル310を含んでいるため、図4Dおよび図4Eに例示したQC方法のような、本発明の一実施形態における第1プローブ60とQCプローブ2を再び混成化して別途のラベルをカップリングさせる段階を必要とせずに、第1プローブ60を検出することができる。
【0064】
図面には図示しなかったが、本発明のまた他の実施形態によるバイオチップのQC方法ではヘアピンループにラベルがカップリングされたQCプローブを用いることもできる。
【0065】
また、本発明のまた他の実施形態によるバイオチップのQC方法では、QCプローブとして図3に図示した検出用オリゴマーを用いることもできる。すなわち、第1および第2プローブとQCプローブが混成化される段階でヘアピン構造を形成できるQCプローブを用いてバイオチップの品質を測定することもできる。
【0066】
さらに、本発明のまた他の実施形態によるバイオチップのQC方法では、QCプローブとして、図3に図示した検出用オリゴマーの第1オリゴマーおよび/または第2オリゴマーにラベルがカップリングされたQCプローブを用いることもできる。
【0067】
図6は、本発明の実施形態によるバイオチップのQCが用いられるバイオチップの断面図である。
【0068】
図6においては、第1および第2プローブ60,65は、バイオチップ90の少なくとも第1層100にカップリングされ得る。本発明の他の実施形態で、バイオチップ90は、第1層、第2層、または第3層100,110,120にカップリングされたバイオ分子、プローブおよび/またはオリゴマーと制御部90との間の電気的通信が可能なように第2層および第3層110,120をさらに含み得る。第1層100は、第1および第2プローブ60,65が固定できるリンカー50をさらに含むこともある。
【0069】
一実施形態で制御部90は、電気的コネクション85を通じてバイオチップ90で形成される電気的な信号を制御、感知および/または測定することができる。他の実施形態で、制御部90はリンカー50、第1および第2プローブ60,65が形成された電極(図示せず)をさらに含むこともある。また、他の実施形態で、制御部90は、電源提供部を用いてバイオチップ90に電気的信号を提供することもできる。
【0070】
以上添付された図面を参照して、本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明を、その技術的思想や必須の特徴を変更しない範囲で、他の具体的な形態において実施され得ることを理解することができる。したがって、上記記述した実施形態はすべての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6